この度通算4000UAになったこと、そしてこの小説に投票を入れてくれたことに対して御礼を申し上げます。
さてとラグナたちは今回の話で夏凜と刃と合流するわけですが…うん、取り敢えず言っておきます。かなりヤバイ回です。主に刃のせい。覚悟はいいですか?それではどうぞ
The wheel of fate is turning…
Rebel1…Action!!
ラグナが転校してから約10日ほど経った頃に再びバーテックスの出現が確認された。樹海へ移動した彼らの前には4本の鉄杭のような足を持つ怪物が現れた。
「あれが今回の敵…山羊座のバーテックス、カプリコーン・バーテックスか」
「あれとは戦ったことがあるんですか、ラグナ先輩?」
「いや、一度もねえな。どんな攻撃を仕掛けてくるかは分からねー」
「じゃあ気合いを引き締めるわよ!『勇者部五箇条』、なせば大抵なんとかなる!」
『はい!』
「おう!」
「東郷、準備はいい!?」
「いつでもいけます!」
「よーし、突撃!!」
しかし勇者部が突撃する前にカプリコーンの頭上が爆発した。何が起こったのか、勇者部はわからない。
「東郷さん!?」
「私じゃない…いったい誰が」
すると空から人影がカプリコーンに迫るのを勇者部が見えた。少女はヤマツツジを思わせるような赤色の服を身に包み、二本の刀を手に取っていた。少女はそのまま刀をカプリコーンに投げつける。
「チョロい!!」
命中した剣が再び弾けると少女はもう一本かの刀を取り出して封印の儀を開始する。
「あの娘、一人でやる気!?」
風の懸念を他所にカプリコーンから御魂が出現し、その端々から紫色のガスが噴出された。
「こいつ、まさか毒ガス!?」
「みんな!!」
一人離れた位置にいた東郷は無事だが、地上の友奈たちにガスが襲う。しかしガスは自分たちに近づくことはなかった。
「何これ…」
「氷の…壁?」
「いったい誰が…?」
勇者たちを守るように巨大な氷の壁が一瞬で出現したからだ。困惑する勇者たちだったが、ラグナはこの氷に見覚えがあった。この氷はあの世界でも、そしてこの世界でも馴染み深い人物が作ったものだ。
「…ここでもテメェがいるとはな」
「どうしたのよ、ラグナ」
「お前の妹すげーなと思ってただけだよ」
その頃少女は見えない毒霧の中にいた。ガスは少女の精霊「義輝」が守ってくれている。
「そんな目くらまし、気配で見えてんのよ!!」
少女はそう言って二振りの刀でそのまま真っ直ぐ突貫。見事に御魂を両断した。バーテックスの体が崩壊する中、少女は静かに終わりを告げた。
「殲・滅」
〈諸行無常〉
それだけ言うとバーテックスの体は完全に消え去り、毒霧も晴れだした。氷の壁が砕けると勇者部の面々は彼女の元へ駆けていく。少女は彼女たちの方へ向き直した。
「えっと…誰?」
「揃いも揃ってボーッとした顔が揃っているわね。こんなのが神樹様が選んだ勇者なのかしら?」
「おい、そこまで言う必要ねーだろうが」
「なによいきな…てアンタ、死神!?」
いきなりラグナに話しかけられた少女は驚愕の表情を浮かべながら武器を取り出してきた。ラグナもそれに応じて大剣に手をつける。
「冗談じゃないわよ!!アンタたち何死神と仲良く戦ってんの!?そいつは第一級危険人物よ!?」
「死神じゃないよ、ラグナ君だよ」
「知らないわよ、そんなこと!!」
死神と勇者が共闘していることに未だ驚きを隠せない少女にラグナは問い出した。
「んなことは今はどうでもいいんだよ」
「どうでもよくないわよ!!」
「ったく、うるせーな。いいから答えろ。あいつ、ジンは何処だ?」
「は!?アンタ、大尉を知ってるの!?」
「当たり前だろ。だって」
「僕たちは『兄弟』だから。ね、兄さん」
ラグナの前にもう一つ、人影が降りてきた。降りてきた人物は金髪碧眼の少年で白い着物の上に青い羽織を着ている。白いグローブの手に握られている剣からは白い冷気が漏れていて、少年の周りを雪の結晶が舞っている。
さらなる謎の人物の登場に頭がついていけていない勇者たち。それらを無視して少年はラグナの前に立つ。ラグナも警戒を最大に上げて少年に近づく。やがて両者は睨み合いながらようやく言葉を交わした。
「感動の再会…と言うところかな、兄さぁん?」
「へっ。人を斬りそうな面してなきゃそうだろうよ、ジン」
「いいじゃないか、僕たちの仲だもの」
ラグナが変わらず刃を睨み続けているのに対して、刃の顔には徐々に笑みが生じる。そんな刃の様子を見て少し寒気を感じる他の勇者たち。そんな中一人だけ行動に移った。
「ダメよ、綾月君。ここで喧嘩はよくないわ」
「トウゴウ…」
「ほら貴方も。こんなところで暴れてどうするの」
「黙れ女。僕は兄さんと…!!!?」
刃が鬱陶しそうに東郷を追い払おうとしたが、彼女の方を見ると動揺した。しかしその直後に体が徐々に震えてきた。
「何故貴様がここにいる!!」
「えっ!?」
「答えろ、貴様!!いったい何を考えてこんな場所に来た!!!」
「そんな、東郷さんにそこまで言わなくても!!」
「東郷…だと?」
突如樹海から花びらが吹き荒れる。どうやら樹海化が解けるようだ。刃とラグナ、そして勇者たちはここで一旦お別れだ。刃は何処から苦々しい顔を浮かべながらラグナに言った。
「話は現実世界で聞かせてもらうよ、兄さん」
「ああ。待ってろ、ジン」
「本日から新しく転校してきました、三好さんと如月さんです」
「三好夏凜です。よろしくお願いします」
「如月刃だ」
翌日、刃と夏凜はラグナたちのクラスに転入してきた。まさか二週間連続で転校生が来るとは思わなかったものたちは度肝を抜かれていたが、ラグナはそれほど驚いていなかった。勇者や衛士とはいえ彼らが中学生の身分である以上、教育を受けるのは不思議ではなかった。
「それでは三好さんの席は結城さんの右後ろ。如月さんは綾月さんの後ろでお願いします」
「分かりました」
「了解した」
担任が指定した刃の席はよりによってラグナの後ろの席だった。これからの苦労を考えてしまったラグナは思わず机に突っ伏してしまった。
「綾月君、大変そうね…」
「それは東郷さんも同じだよ。昨日刃君にすごく迫られたでしょ?」
「心配ないわ、友奈ちゃん。私なら大丈夫」
友奈はラグナのことも心配だがどちらかというと東郷の方が心配だった。原因はやはり樹海でのあの出来事だった。
「やっぱりあの人も東郷さんの過去を知っているのかな?」
「そうね。私もなんとなくそんな気がするわ」
「でも東郷さん、よくラグナ君と刃君が顔を合わせていた時に間に入れたね。私、ちょっと入りづらくて止められなかったよ」
「そうかしら?私は何故かそこまで変には思わなかったけど」
「もしかしてラグナ君と刃君は昔から仲が悪いのかな?」
「友奈ちゃん、あれは…仲が悪いんじゃなくて刃君が綾月君のことが好きすぎるだけだと思うの」
「そうなの!?それなのにあんなに怖い雰囲気になってたの!?」
東郷の見解を聞いてますます友奈は刃についての理解が遠のいてしまった。当の刃はラグナの隣に通ると笑顔で挨拶してから席に着いた。
「なるほど、そうきたか」
「転入生のフリはめんどくさいけど、仕方がないしね」
放課後になってから勇者部は新しい戦力としてきた二人と意見を交換するために部室に集合していた。
「でも私がきてからにはもう大丈夫、完全勝利よ!」
「昨日の戦闘は僕から言わせればまだまだだったがな」
「ちょっと大尉、横槍入れないでよ!!」
「何度も精霊の力に頼るなと言ったはずだ、三好夏凜。その家畜を過信したところで碌なことはない」
「大赦の人なのに大赦の作ったシステムを完全否定しているんですけど、この人…」
「何か言ったか、小さい女」
「いえ、なにも!!」
思いのほか刃が大赦に対して辛辣な評価をしていることにラグナ以外の勇者部部員は驚きを隠せなかった。夏凜は一度咳き込んでからさらに続けた。
「本当はすぐにでも行きたかったけど、大赦は何重も準備して万全を期しているの。最強の勇者を育てるためにね」
「へー、そんなことしてたんだー」
「私の勇者システムは対バーテックス用に改良が施されていて、私自身もそのために長年戦闘訓練を積んできたわ。貴方たちトーシローとは違うのよ!」
「まあ、アンタが強いというのは良く分かったわ。で、その横の刃「如月だ」如月はどうしてここにいるのよ?バーテックスと戦うんじゃないでしょうね?」
「生憎ながら、僕が来たのはあの屑どもを屠るためだ。最も、別の目的もあるがな」
「別の目的?」
風がそう聞くと刃はラグナの方へ近付いた。それに呼応してラグナも席から立ち上がった。両者は樹海にいた時よりも近い距離まで近づくと、お互いの頭を突き合わせながら睨み合った。
「やっと話ができるね、兄さん」
「随分と調子良さそうじゃねーか…ジン。元気で何よりだよ…」
「アハハ…兄さんも五体満足そうでよかった」
「まるでそうじゃない方が良かったようにしか聞こえねーぞ」
「嫌だな、兄さん。それじゃあ面白みがないじゃないか」
「ほうほう、ちょっと会わねー内に随分というようになったな」
「のうのうと生きている兄さんのせいだよ。全く、死神なんて呼ばれるようになって大赦の方でも人気者になって…本当に目障りだよね」
「テメェも『大橋の英雄』とか呼ばれているってこの前ウサギに聞いたぞ。そっちも大人気じゃねーか」
「なにを言っているの、兄さん?僕があんな雑草の注目を欲しがると思うのかい?」
「じゃあなんで俺を目障りに思うんだよ?」
「兄さんが人気者になったら、僕と過ごす時間がなくなっちゃうじゃないか。だから…大赦の雑草どもが目障りなんだ♪」
「月が落ちるとか言って泣きべそかいていたガキとは思えねー言葉だな」
「何年前の話をしているんだい、兄さん?もうあの頃とは違うよ?」
「そのようだな…」
どんどん会話の内容の危険度がエスカレートしていく中、これ以上はまずいと判断した友奈と東郷が止めに入った。
「二人とも仲がいいんだね!喧嘩するほどなんとやら、かな?でもさすがにもう仲直りしよう?」
「こら、二人とも。その辺までにしなさい」
「…」
二人の言葉を聞いても男子たちは一歩も下がる気配を見せない。まるで言葉が耳に入ってきていないようだ。しばしの沈黙の後、刃が提案を出してきた。
「そうだ、兄さん。ここの体育館、夕方になったら誰も入ってこないよね?久しぶりに『組手』、殺ろうか?もう一つ聞きたいことがあるし」
「…そいつぁいいな。その方がわかりやすい」
「ちょっとアンタたち!?何勝手に話進めてんの!?」
「黙れ、女。これは僕と兄さんの用事だ。邪魔をするなら…氷漬けにしてやる」
「フウ。悪りぃがここは退いてくれ。今のジンじゃ話は聞いてくれねー」
「…せめて体育館は勘弁して。壊れたらアタシの責任になる」
「じゃあグラウンドか。それでいいか、ジン」
「兄さんと殺れるなら何処へでも」
そう言って二人は睨み合ったまま夕方になるまで待った。勇者部内の空気はその間とても緊張したものになっていた。
夕方、下校する生徒の影が無くなると7人はグラウンドに出ていた。ラグナの刃の戦いを見届けるためだ。無論最後まで勇者部の面々は「組手」に反対していたが、男子二人は意見を変えることはなかった。
「ラグナ先輩、大丈夫なのでしょうか…「組手」と言ってましたけど全然そんな風には聞こえませんでした」
「あの二人、兄弟なんだよね…どうして喧嘩しないといけないのかな…」
「友奈ちゃん…」
「あれはあの兄弟の問題よ。私たちが介入しても…多分今は意味がないわ」
「さっきからアンタたち、随分と死神の肩を持つわね。どうしてそんなに仲良いのよ?」
「樹海で一緒に戦う内にかな?元々良い人だったし」
「ふーん」
ギャラリーが駄弁っている中、刃の口が開いた。
「懐かしいね…子どもの頃はこうして良く訓練してたっけ?」
「ああ…ソノコの家の敷地とかでな」
「あの後も僕、たくさん、たくさん訓練したよ。兄さんを…『殺す』ために…」
「テメェ…どこに居てもそれだな、ったく」
殺す。その言葉を聞いて耳を疑う勇者部。それに対してラグナは心底めんどくさそうに溜息をつく。
「どうしたんだい、兄さん?そんなことしたら幸運が逃げちゃうよ?」
「今まさに不幸だよ…」
「そう…なら
狂喜しながらそう叫ぶ刃は己の武器を取り出した。その剣の鞘は青く、鍔に当たる部分から強烈な冷気が放出された。6月の初めのはずなのに今やグラウンドの気温は真冬のそれだった。
「ユキアネサ、起動!!!」
刃が御役目に就いた頃より常に持ち歩いている愛刀の名を呼ぶと、鞘から氷のように透き通った刃が露わになる。ラグナも大剣を刃に向けて構える。
「さあ、兄さぁん!!僕と、『殺し合おう』よ!!!!」
「喧しいんだよ!!このクソガキが!!!!」
両者がそう言うと、互いは必殺の一撃を叩き込まんと駆け出した。
「ブラッドサイズ!!」「吹雪!!」
「ヘルズファング!!」「
「カーネージシザー!!!」「凍牙氷刃!!!」
両者の技がぶつかり合う様に呆然とする少女たち。今まで見てきた戦いとは全く違う迫力に言葉も出ない。しばらくしてから辛うじて口が開いたのは夏凜だった。
「あの二人、完全に本気じゃない!!大尉に至ってはユキアネサまで出してるし!!」
夏凜の口から出る聞きなれない単語に友奈は反応した。
「夏凜ちゃん、そのゆきあねさってなに?」
「いきなり名前呼び!?というかアンタ勇者なのにアークエネミーを知らないの!?本当に大丈夫なの、部長!?」
「だってアタシ、大赦にはなにも言われてないし」
「アプリに書いてあったでしょうが!!アークエネミーってのはね、簡単に言うと神樹様の精霊が宿った特殊な武器よ。で、大尉が持っているのはそのうちの一つであるユキアネサってわけ」
「ユキアネサ…雪女のことね。それにしても…やっぱり何処かで見たような…」
東郷がそんなことを考えていると益々寒さが強くなってきた。
「この前の氷の壁は如月だったってわけね。にしてもデタラメ過ぎるわよ、この寒さ!!」
「こ、凍えそう…」
「寒いよ、お姉ちゃん…」
「よしよし樹、こっちよー」
「友奈ちゃん、こっちにきて。暖まるわ」
『うん』
勇者たちが見守る中、ユキアネサとアラマサは何度もぶつかり合う。何とか突破口を見出そうとしたラグナは鍔迫り合いの最中に刃を蹴り飛ばして体勢を崩させる。
「ぐっ!」
「よし、今…!!」
後退する刃に追撃しようとするラグナだが直前に直感に任せて剣を逆手に持ち替えた。刃の剣が鞘に収まっているのを見えたからだ。ラグナの攻撃が放たれる直前に予想通り刃の前に赤い方陣が展開され、刃が疾風の如く切り掛かってきた。
「インフェルノディバイダー!!!」
「虚空刃…雪風!!!」
刃の十八番ともいうべきカウンター技、虚空刃雪風を何とか凌ぐがラグナの足から血が少し出始めた。どうやら完全には防げなかったようだ。
「すごいね、兄さん!以前の兄さんならこれで首が吹っ飛んだんだよ!!」
「そんなことでテメェに褒められても嬉しくねーよ!!」
楽しそうに笑顔で戦う刃に対してラグナは苦い顔を浮かべていた。今の刃は小学生の頃に比べてはるかに強くなっていた。少しずつだが疲労が見え始めてきた。
「さあ、もっとだ!!もっと頂戴よ!!!兄さん!!!!」
「ジーーーーン!!!!」
ラグナが右手で拳を作って突貫した。それを見て刃は手の平をラグナに向ける。そこから氷でできた剣が何本も出現し、形ができるとラグナに向かって射出された。
「氷翔剣!!」
迫り来る氷の弾丸をラグナは左腕に持った剣で叩き落として刃に接近する。氷が来ないことを確認すると、
「フン!!」
「なっ!!?」
剣を刃に向かって投げつけた。予想外の行動に剣を弾いた刃だが、そこをラグナは見逃さなかった。
「ガントレットハーデス!!!」
「グオァッ!!!」
ラグナの拳が刃に決まった後、そのまま刃に飛び蹴りを喰らわせた。それによって刃はグラウンドにある号令台と激突した。この戦いにおける最初のダウンはラグナのものになった。
「グハッ!」
「はぁ…はぁ…」
ダウンしてしまった刃とそれに向けて剣を構えるラグナ。両者ともに疲れが現れてきた。だが、遂に決着を付ける時が来た。
「教えてくれ、ジン。お前が俺を殺そうとするのは…やはり『あの日』に俺が奪ってしまったモンと関係あるのか…」
「違うよ、兄さん」
ラグナの問いを否定する刃は起き上がりながら冷酷な笑みを浮かべる。まだ戦うつもりのようだ。
「確かにあれで僕たちはバラバラになってしまったよ。でも本当に会おうと思えばいつでも会えた。大赦が制限させなければ、ね」
「…済まねえ」
「兄さんは本当に優しいね…いや、甘いとも言えるかな?まあ、だからこそ兄さんの周りに人は集まる。僕もそうだ」
「…じゃあ聞きてえがその俺を殺したいっていうのは?」
「純然たる殺意という名の愛情だよ!兄さぁん!!」
「…あー、うん。何とかなく知ってた」
「あの獣になるとわかってから大赦の老人どもは兄さんを殺す計画を立てようとしていたよ。でも安心して、兄さん。誰も兄さんを殺させないよ…兄さんを殺すのは…この僕だと決まっているからね!!!」
「決まってんのか、それ…」
「決まってるんだ…」
「決まってるのね…」
「うーん、このブラコン」
「もうそんなレベルじゃない気がするよ、お姉ちゃん」
「私、こんな変態に教導されていたなんて…」
夏凜がショックで撃沈している中、ラグナはそのまま剣を収めた。その理由が分からない刃は兄に問い詰める。
「なんでなんだい、兄さん!!?まだ終わってないんだよ!!?」
「テメェ、バカか。周りを見ろよ。これ以上やったら洒落じゃ済まなくなる」
ラグナと刃の周りは爆心地になっているかのようになっていて、グラウンドのあちこちが凍てついたり、抉られたりしていて大変なことになっていた。この戦闘が体育館で繰り広げられていたら恐らく施設は倒壊していただろう。
「結局テメェが勝負に熱くなったおかげでもう完全下校時間になるわ、こっちはボロボロになるわで最悪だ。テメェの話を聞けねーだろうが」
「うん、もう流石にやめて。お願い」
「明日また部室に来い。必要なら人払いもしとく。それでいいな、ジン」
刃はラグナの提案を聞いて、少し考えた後、嬉しそうに駆け出した。
「分かったよ、兄さん!!明日二人きりで頼むよ!!あ、そこの女ども。盗み聞きとかしたら覚悟してね。殺すから」
そう言って嵐のように如月刃は去っていった。やっと厄介な奴がいなくなったことで疲れ果てたラグナはそのままグラウンドに倒れた。
勇者部の面々は彼の元へ急ぐ。見たところ服は傷だらけだが、特に目立った怪我はなかった。ボロボロのラグナを見たからか、夏凜がラグナの前に来ると膝をつけてあるものを差し出した。
「…なんだこの豆みてーの?」
「…疲労とストレス解消用のサプリ。アンタに少しあげる」
どうやら言動は少し悪目立ちしていただけで実は結構良い娘かもしれない。そう思うラグナであった。
いかがだったでしょうか?
分かりますよ。これはひどいと。夏凜ちゃんの登場回なのに刃、というかジンがでしゃばってくるのはまずいと。でもさ、勝手にジンが暴走したんですよ。ヤンホモこわい。
あと読者の何人か、特にブレイブルー を知らない方はこれがひどいと思うでしょう。安心してください。これが彼の本編でのデフォです(多分。主にラグナと他人に対して)。寧ろ『障害』発言を控えただけマシな気がするのは筆者だけなのか。
次回こそにぼっしーメイン回。それではまた