蒼の男は死神である   作:勝石

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どうも勝石です。
前回の話で一気にお気に入り登録が50を超え、感想も3個いただきました。評価も入れてくれた方を含めて、ありがとうございます。

いや、正直言ってあんなにぶっ壊れたジンを出して大丈夫かとか考えましたけど読者の皆様に受け入れていただいてよかったです。

今回は夏凜ちゃんのメイン回。彼女の日常はここから新しくなる。

それではどうぞ


Rebel21.諸行無常

戦いの翌日、刃とラグナは二人、部室で顔を合わせていた。こうしてまともな会話をするのはあの戦いのいざこざを除けば実に2年ぶりになる。ラグナは第一級危険人物として大赦に監視されるようになり、他の親しい大赦関係者との接触のほとんどをシャットアウトされたからである。

 

刃は刃で大橋での戦いに保護された後、ユキアネサに精神が汚染されていることが判明した。しかし、その後も少しずつ直しながら一人で訓練して実力を上げていったのだ。先日はラグナに不覚を取ったが、それでも二人の実力は拮抗していた。

 

「で、ジン。話ってのはなんだ?やっぱり『あいつ』のことか?」

「流石だね兄さん。僕が殺すと決めているだけはあるね。僕の考えていることを手に取るように分かっているみたいだよ」

「まあ、あれだけ樹海で動揺してりゃな。つーか殺すは余計だ」

 

さりげなく出てきた刃の言葉にラグナがツッコんだ後、刃が顔付きが少し真剣になった。

 

「なら、話が早いね。何故『鷲尾須美』がまた勇者になっている?」

「…さあな。俺も初めに会った時はびっくりしたぜ。あいつ、名前まで変わってるしな」

「…勇者であったことは?」

「覚えてねー筈だ。最初の戦闘の時でもバーテックスを知らないようだったしな」

「…やはり記憶はないのか。チッ、あの老人どもめ」

「…同感だ」

「じゃあ兄さん、もしかして鷲尾に過去のことは?」

「ウサギに言うなって口止めされているからな。詳しくは言ってねー。せいぜいあの頃のあいつを見た印象ぐらいだ」

「そうか…」

 

刃はそれだけ言うと今度はラグナから質問した。

 

「ていうかお前はあいつの近況を知らなかったのか?ここに来るときの報告書やらなんやらくらいには書いていただろ?」

「基本的には大赦内では鷲尾須美という人物の情報は機密として扱われているんだよ、兄さん。そもそも彼女に簡単に接触できるなら『あいつら』とも会えただろうに」

「…ギンとソノコか」

「会いたがっていたよ、2人に」

 

刃の様子を見ていたラグナは少し違和感を感じていた。以前の世界の彼は会えば即バトルと言わんばかりに殺伐としていたが、こちらでは園子たちの話になると棘は残しつつもどこか穏やかだった。

 

(あいつらとの出会いがこいつを保たせているのか、はたまたもう『あれ』を無自覚に身につけ始めているのか)

 

そんなことを思いつつラグナは刃との会話を続けた。

 

「お前…あいつに自分のことについて話すのか?あいつは気になっているかも知れねーぞ」

「僕がここに来れたのは『機密を明かすな』という条件があるからだ。当の本人が覚えていないなら接触したことにはならん。だから必要以上のことを話すつもりも、ない」

「そうかい…それじゃあジン。どうすんだ?このまま勇者部に入部すれば俺たちを監視しやすいと思うが…」

「ボランティアなどにうつつを抜かす連中と馴れ合うつもりはない」

「あのカリンてのはどうすんだよ?あいつは入部すると思うぞ」

「好きにすればいい。僕の干渉することではない」

「それなら仕方ねーか…」

 

ラグナがそれ以上は言わず、刃も席を立って出て行こうとしていた。

 

「じゃあまたね、兄さぁん。明日、また殺し合おうよ」

「そればっかだな、おい。いいぜ、その度にぶっ飛ばしてやるよ」

 

そう言って刃は扉を開けて出ようとした。しかし、その前にある人物と会ってしまった。友奈と東郷だ。

 

「あ、刃君!もうラグナ君とのお話は終わったの?」

「…ああ」

「良かった、喧嘩とかしていないよね?」

「余計なお世話だ、女」

「あはは…でも何事もなさそうで良かったよ」

「…どけ。僕は帰る」

「刃君、勇者部に入らないの?」

「入る必要などない」

「そっかー、刃君についてもっと知りたかったな〜」

「鬱陶しいぞ、女。僕は貴様らと馴れ合うつもりはない」

 

友奈の言葉を聞いてどんどん苛立ちを募り始める刃。明るく朗らかな彼女は刃からすればただ能天気にしか見えないようだ。友奈たちの横を通ろうと刃は歩き出すがその前に東郷も彼に話してきた。

 

「でも、刃君。花凜ちゃんと貴方の話によると貴方たちは私たちを、特に貴方は綾月君を監察するために来ていると聞いているわ。それなら入部したほうがいいんじゃないかしら?」

「…監視など入ることの理由にはならん」

「それにバーテックスと戦うなら集合していたほうがいいわ。連携も立てやすいもの」

「僕は1人でも戦うつもりだ」

「貴方にはバリアがないでしょ?そんなことをしていたら命を落とすわ」

「そのために訓練している」

「では昨日綾月君に負けたのは誰だったでしょう?」

「うぐっ…」

 

痛いところを突かれて若干刃は苦い顔をした。東郷はまだ話を続ける。

 

「綾月君だって一人でバーテックスに勝てるわけではないわ。みんなでなんとか協力して倒してるの」

「馬鹿な!兄さんの魔道書ならあの屑どもなど!」

「でも使えば市街地に被害が出るでしょ?だから基本的には使おうとはしないわ。まあ、戦闘の回数も少ないから確証はないけれど」

「…だからどうした?」

「貴方がいてくれればとても頼もしいわ。出来れば入って欲しい。綾月君も入って欲しいと思っているはずよ」

 

東郷にそう言われて刃の表情は険しくなる。長い間唸っていると、しばらくして顔を伏せながら部室へ戻った。

 

「おう、帰るんじゃなかったのか?」

「このまま話しても引いてはくれなさそうだったからね。無駄な議論するよりさっさと入って黙らせたほうがいいと思っただけだよ」

「そうかよ」

「あと、貴様ら」

 

刃は振り返らずに友奈たちに呼びかける。

 

「僕のことは如月、もしくは大尉と呼べ。刃と呼んでいいのは兄さんだけだ」

「分かった、よろしくね!如月君!私は結城友奈だよ!」

「よろしくね、如月君。東郷美森よ。出来れば東郷と呼んで欲しいわ」

「…分かった」

「あと、今度友奈ちゃんを『女』なんて不敬な呼び方で呼んだら柱に縛りつけますからね」

「…了解だ」

 

しばらく後に入ってきた花凜も入部届けを提出したことで、刃と花凜はめでたく勇者部の一員となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(私は三好夏凜。大赦から派遣された完成型勇者。厳しい選抜を生き残って、あの変態教官のしごきに耐えてついに勇者になった)

「兄さぁん!!早速殺ろうよ!!!殺し合い!!!」

「インフェルノディバイダー!!!」

「グァッ!?」

(この勇者部に入ったのも、あくまでこの娘たちを監視するため。決して馴れ合うためじゃない。大尉はあんな感じになっているけど、私は御役目を忘れはしないわ)

「如月君、またラグナ君と遊んでるの?」

「出来れば声をもう少し落として欲しいわ。このままじゃいつ学校の先生にクレームが入るか分かったもんじゃないわよ」

「いい度胸だな、犬吠埼風。僕と兄さんのふれ合いを邪魔するつもりか?」

(だからこうしてこいつらのいる空間で一緒に過ごしているのは仕方のないこと…だけど)

「待って待って!!落ち着きなさい、如月!!」

「ユキアネサ、きど「うおりゃあぁぁ!!!」ぐはっ!?」

 

刃がアークエネミーを抜き放つ前に夏凜のドロップキックが彼の腰に決まった。そのまま刃と夏凜は床に倒れた。

 

「何してんのよ、教官!!?少しは落ち着いたらどうなの!!?」

「くっ、三好夏凜…貴様。腕を上げたな…」

「ああ、もう最悪!!なんで今までギッタンギッタンにされてきた相手にこんな下らないことで一本を取れて、しかも褒められるのよ!?寧ろガッカリよ!!」

「え?『教官』?」

「あ、やば」

 

自分が発してしまった教官というワードに樹が反応してしまった。冷や汗が止まらない夏凜に風は恐る恐る聞いてきた。

 

「夏凜、アンタ…如月に「あー、聞こえない聞こえなーい!!!」」

「如月君は夏凜ちゃんの先生なのかな?」

「勇者としての訓練と言っていたけど、もしや」

「うう…ええそうよ!こいつは私の勇者としての教官なのよ!!変態だけどそれなりに世話になったのよ!!変態だけど!!!」

「二度も言いましたね…」

 

夏凜が顔を真っ赤にしながら自分と刃の関係性を短く告げるのを見てラグナはなんとも言い難い表情になった。先日の夏凜の実力を見れば刃の戦闘面での教育はそれなりに良かったことは明らかであり、多分それなりに実力者としては尊敬されていただろう。

 

しかし先日の暴走っぷりで刃の本性が露わになってしまった。思春期の少女にとって指導していた人物がとんでもないブラコンだというのはかなりキツイ事実のはずだ。それを考えると申し訳なさが込み上げてきた。

 

「あー、なんだ。済まん」

「アンタに謝られてもこっちが困るわ!!」

「謝る必要はないよ、兄さぁん!!兄さんと僕は殺し合う運命にあるんだから!!」

「アンタは謝れ!!!」

 

全く反省する様子を見せない刃に夏凜は再び怒号を放った。そんな彼女に友奈が歩み寄って話しかけた。

 

「でもすごかったよ、この前の夏凜ちゃん!あれだけ強い如月君に鍛えられていたからバーテックスを一人で倒せたんだね!」

「ま、まあそうね。その点は感謝してるわ」

「私も如月君の指導を受けたら強くなるのかな?」

「辞めておきなさい。あの人、滅茶苦茶厳しいから。大体組手の稽古でしかも手抜き無しだから毎日ボコられてるようなものよ」

 

夏凜は自分が受けた刃の指導を思い返す。あの頃はユキアネサを出されることは無かったが、素の実力が段違いに高かった刃に夏凜は全く敵わなかった。今なら限られた時間内にタイムアップまで粘ることはできるが、とうとう勝利することはなかった。

 

「うわー、私じゃ出来ないかなー」

「アンタみたいなのには向かないわよ。まだ死神…というかラグナだっけ?アイツに習った方がアンタに向いてるわ」

「え、なんで?」

「昨日の戦闘を見てもあの人も何らかの訓練を受けているのがわかるでしょ?大振りで直線的だけどそこら辺のヤンキーの戦い方じゃなかったわよ、アレ」

「そういえばラグナ君、師匠がいるって言ってたなー」

「寧ろ気になるのは」

 

夏凜は刃とラグナの方は目を向けた。

 

「あの二人、兄弟って言ってたけど全然似てないじゃない。苗字も違うし、顔も違うわ」

「えーと、それは…ラグナ君!如月君!言ってもいいかな?」

「構わねーぞ」

「好きにしろ」

「じゃあ言うね。ラグナ君によると子どもの頃に如月君は高い術式適性が出たから養子に出されたらしいんだ」

「じゃあラグナはなかったから引き取られなかったってこと?」

「それもあるが…まあそんなとこだ」

「まあどこにいたとしても僕は如月家の子どもである前に兄さんの弟だけどね」

 

刃がそう言って再び兄の方へ向いた。しかしそこを風が待ったを掛けた。

 

「こーら、そろそろ依頼について話すわよー。樹、説明よろしく」

「うん。それで、今週の勇者部の活動は今週末にある子供会のレクリエーションのお手伝いです」

「具体的にはなにかしら?」

「はい、折り紙の折り方を教えたり、一緒に遊んだり、色々やることがあります」

「ラグナは魔道書もあるからそうね、かくれんぼの鬼とかだったらできるんじゃない?もしくは缶蹴り」

「悪くねーんじゃねーの?」

「如月と夏凜はそうね…子どもたちとドッジボールの相手をするとか!」

『はあ!?』

 

大赦から来た二人は自分たちの扱いもそうだが、勝手に勇者部の活動に加えられたことに反発した。

 

「ちょっと、何言ってんのよ!私活動するなんて一言も」

「昨日二人とも入部届けを出したでしょ?入った以上は部の方針に従ってもらうわ」

「僕は子供の相手などしている時間は!」

「2人とも週末忙しいの?」

「いや、ないけど…」

「自主訓練だ。それ以外に何がある?」

「いや、予定無しってことじゃねーか」

「それなら歓迎会も兼ねて行こうよ。きっと楽しいよ」

「だから人のスケジュールを勝手に決めないで」

「嫌…?」

 

友奈が残念そうに二人を見る。それを見て夏凜は気まずそうにする。友奈の顔を見るに自分と行きたかったのだろう。夏凜はそれを見て折れてしまった。

 

「ああ、もう!行くわよ!行きゃいいんでしょ!!」

「やったー!!」

「如月君はどうするの?」

「何度も言わせるな東郷美森。僕は行かないぞ」

「はあ…おいジン。子どもの相手はしなくていいからテメェも混ざってかくれんぼに参加しろ。それだったら遊んでやる」

「準備を万端にして朝一で行くね!!兄さん!!」

 

ラグナと触れ合えると聞いて刃が思いのほか簡単につられてしまった。夏凜はそんな現状にただ天を仰ぐしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、来たわよー」

 

その週の日曜、夏凜は部室に到着した。どうやらほかの部員はおらず、一番先に着いたのは自分のようだ。それに対して夏凜は訝しんだ。

 

「おかしいわね…アイツらならともかく、あの大尉がこの時間でも来ないなんて…」

 

刃はこの前朝一で行くと言っていた。つまりもうここにいるはずだ。なのにここには刃はおろか、誰もいなかった。

 

「やっぱり嫌になって行くのを辞めたのかしら?」

 

仕方ない、と言って夏凜は他の部員たちを待った。しかし一向に誰も来る気配を見せることはなく、気づけば集合時間から30分過ぎてしまった。流石におかしいと感じた夏凜は渡されたプリントを見て、その原因を悟る。

 

「…しまった、現地集合じゃない」

 

つまり自分の方が間違えてしまったのだ。どうするべきか夏凜が悩んでいると電話が鳴り出した。相手は自分を誘ってきた友奈だ。

 

「ど、どうしよ…あ」

 

間違えて切ってしまった。いっそ掛け直そうか。いや、

 

「下らない…そもそも参加するつもりはなかったし…」

 

そう言って夏凜は端末の電源を切って自宅に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(私はアイツらとは違う…真に選ばれた勇者…)

 

家へ帰った夏凜はトレーニングをしていた。大赦に勇者候補として選ばれてから彼女は剣術と体作りのトレーニングを毎日欠かさずやっていた。

 

(『あの娘たち』との競争を勝ち抜いて私は勇者になった。だから『あの娘たち』の分も頑張らないと。遊んでなんていられない。普通じゃなくたって…いいのよ)

 

長い間自分と勇者の座を争ったライバルたちの顔を思い返していると突然ドアベルが鳴った。新聞の勧誘か何かと思った夏凜はそのまま放置したが、そのドアベルもしつこく鳴り出した。

 

「もう。なんなのよ!!」

 

堪忍袋の緒が切れた夏凜は木刀を持ってその輩をとっちめるのにドアへ向かった。そんな彼女に驚いていたのは刃以外の勇者部の面々だ。

 

「な、何よアンタたち?」

「アンタねー、なんで電源オフにしてたのよ?何度電話しても繋がらないし!」

「う…それでどうしたのよ?」

「どうしたってお前、心配で見にきたに決まってんだろ?」

「心配…」

「でもよかったー。寝込んでいたわけじゃないんだね」

「サプリばかりでは栄養が偏るからもしや、と思ってしまったの」

「まあ、大丈夫そうだし。上がるわね」

「あ、ちょっと!!」

 

夏凜の家に上がる勇者部の面々。中を見るとトレーニング用の物と最低限の家具以外は特に何もなかった。

 

「殺風景ね…」

「悪かったわね!!」

「すごーい、プロのスポーツ選手の物みたい」

「勝手に触んないで!」

「冷蔵庫…水しか入ってないね」

「おーい、ユウナ!ンなのはいいから、ちょっと手伝え」

「分かったー」

「こらー!!」

 

そんなことしているうちに勇者部が買ってきたお菓子やらドリンクやらがどんどんテーブルの上に広がっていった。夏凜は状況が全く理解できなかった。

 

「ていうか何の用よ、結局?」

「じゃじゃーん!!」

 

友奈が後ろから白い箱を取り出して蓋を開けた。そこから見えたのはケーキだった。

 

「ハッピーバースデー、夏凜ちゃん!」

「え…」

 

友奈の言葉を聞いて夏凜は思い出した。今日は6月12日。自分の誕生日だ。

 

「でも、どうしてそれを?」

「アンタ、入部届けに生年月日を書いたでしょ?」

「友奈ちゃんが気づいたんだよね」

「うん!紙を見たときにあーっと思って。だったら誕生日会をやらないと!」

「歓迎会も兼ねて出来ますからね」

 

どうやら友奈は自分の誕生日を見つけて、わざわざこれを計画してくれていたらしい。初めは子ども会で子どもたちも巻き込んで盛大にやろうとしたが、自分は電源が繋がらない上に子どもたちも離してくれなかったので遅くなってしまったようだ。

 

夏凜は俯きながら体を震わせていた。心配して声をかける友奈たちに向かって顔を向けると顔を朱色に染めながら夏凜は告げる。

 

「バカ…アホ…おたんこなす…」

「夏凜ちゃん…」

「誕生日会なんてやったことないからッ…なんて話せばいいのか…分かんないのよ…」

 

そう言いつつも夏凜は気恥ずかしそうに目を背けていた。

 

「…いいんじゃねーか?」

「ラグナ?」

「お前にとってこれが初めてだったら、お前の思っているように言えばいいじゃねーか。それで間違いねーだろうよ」

 

そんな彼の一言に後押しされたからか、夏凜は小さな声で一言だけ言った。

 

「…ありがと、みんな」

 

それを聞いて勇者部、特に友奈は笑顔で返事を返した。

 

「お誕生日おめでとう、夏凜ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、アイツら。騒ぐだけ騒いでゴミ増やして…」

「まあ、気にすんなって。俺も手伝ってるしよ」

 

誕生日会が終わって時間が遅くなったため、勇者部は皆家へ帰った。全員で片付けた後、夏凜はラグナとともにゴミ置場に向かっていた。

 

「そういえばアイツら、なんで私の家の住所知ってたんだろ。入部届けには書いてなかったし」

「…これ、内緒にしてくれよ」

「な、なによ」

 

ラグナが意味あり気に言うことに対して夏凜は少し警戒した。その時思いがけない事実がラグナの口から出た。

 

「教えたのはジンだよ。やるんだったら家でやれってさ」

「大尉が?」

「アイツも十二宗家の一人だしな。大赦関係の家の事情は少し知ってたかも知れねー」

「あの人がね…」

 

ここに来てから色んなことが変わった。短い間だが自分も今まで会ってきた人々とは違う人間に会えた。今まで接してきた人の意外な一面に触れた気がした。

 

「…今度大尉にもお礼、言わなきゃね」

「アイツは黙っておくように言ってたから知らんと来るかもな」

「いいのよ、借りっぱなしみたいで釈然としないの」

 

そう言って夏凜はゴミを捨てた後家へ踵を返した。

 

「ありがと、ラグナ。お陰で大尉のこと、ちょっと見直した」

「そうかよ。じゃあな、カリン」

 

そう言ってラグナは帰宅するのに夜の道へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さぁん!!!今度こそ殺し合おうよぉ!!!」

「僅かに戻った私の尊敬の念を返せぇぇぇ!!!」

「ブゲラッ!?」

 

翌日の刃はいつもの刃だった。




いかがだったでしょうか?

前回ラグナとジンの苗字に対する疑問を勇者部は受けなかったのかについて指摘を受けて、今回入れました。はっきり言います。忘れてました。今後はこうならないよう注意します。

正直あのままジンを突っ走らせてしまうと勇者部が大変なことになりそうなのでブレーキ役を夏凜ちゃんと東郷さんにしました。それでも暴走するときは暴走しますが。

今思うと夏凜ちゃんも相当何だかんだな人だなと思う。もうなんだかんだ先輩でいいんじゃなかろうか?先生はいるし。

次回は日常編。とその前にアンケートを出したいと思います。全部番外編のネタですので気軽に選んでくれると幸いです。それではまた
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