以前のアンケートに答えてくれた方、感想をくれた方、ありがとうございます。もし好評ならまたいつかやりたいなとも考えています。
さて今回は日常回。サブタイの通り授業参観の日ですがラグナの授業を見に来るのは誰かな?それではどうぞ
The wheel of fate is turning…Rebel 1…Action!!
「今日は授業参観の日だー!」
「少し緊張するわね」
「そんなに気にするものかしら?」
昼休みが終わった午後、友奈、東郷、夏凜は教室に向かっていた。今日は一学期の授業参観の日。讃州中学に通う我が子の姿を少しでも見ようと多くの親御さんが来校していた。3人が教室の前へ来ると扉の前で人だかりができていた。
「あら、どうしたのかしら?騒がしいわね」
「何かあったのかな?」
「あ、結城さん!東郷さん!それに三好さん!」
「どうしたの?」
「いや聞いてよ!今教室に親御さんが少しずつ入ってきているんだけど、今スッゴイのがいるんだ!」
『え?』
女子生徒の1人が興奮した様子で友奈たちに話す。何のことかが分からない友奈たちは頭を傾けるしかない。そこへ更に2人の同級生が来た。
「おい、何なんだよ。この騒ぎは」
「さっきから騒がしいぞ。全く、子どもか奴等は」
「綾月くん!それに如月君も!!」
ラグナと刃が会話に混ざってきた。ラグナたちも今日が授業参観の日だというのは当然知っている。だから逆に理解ができない。この学校にそんなにも物珍しく見られる親を持つ生徒何ていたのか、と。
「で、何があったんだよ?」
「いや、聞いてよ!いや教室にね、スッゴイ『可愛い娘』がいるのよ!!」
「可愛い娘だと?どこかの親が下の兄妹を連れてきただけではないのか?」
「それがねー、どうも違うのよ!部屋の中で『日傘』を差してるけどモノすっごい育ちが良さそう人だし、なんか『変なぬいぐるみ』を連れているし、もうホントお人形さんみたいで」
その言葉を聞いてラグナは他の生徒を押し退けながら教室へ直行していた。
「ラグナ君!?また怖い顔していたけど!?」
「アイツが怒るってことは…大尉、アンタまたなんかやらかしたの?」
「いや…僕ではないな。ということは『奴』か」
「『奴』?もしかして如月君は知っているの?」
「ああ…兄さんの保護者だ」
刃が苛立たし気にそれだけ言うとラグナの怒号が学校中に響いた。
「なんでテメェがここにきてやがるんだ、『ウサギ』ィィィ!!!」
「私がどこにいようと、私の勝手でしょう?ラグナ」
「答えになってねーよ!!そもそもテメェにはあの紙を見せてねーだろーが!!」
「別に貴方が教えなくても私に情報は入ってくるわ。寧ろ黙っておこうとするなんて、まるで邪な雑誌を持っているのを見つかるのが怖くて慌てふためく男子中学生のようね。あ、そうだったわ。『今の』貴方は男子中学生だったわね」
「表出ろウサギぃ!!今度こそそのツラァ泣かしてやる!!」
「ああ、嫌だ。獣の相手はしたくないものね」
どうやら教室でバイオレンスなことが起きそうだ。友奈たちも他の生徒を掻き分けながら部屋の中へ入って窓の外をみるとそこには状況が理解できずに腰を抜かす親を尻目に睨み合う2人がいた。
1人は間違いなく自分たちの仲間、ラグナだ。しかしもう1人は刃以外は初めて見る顔だ。その者は少女だった。ぱっと見なら樹とほぼ同じ年と見られてもおかしくはないだろう。少女は長い金髪のツインテールと黒いゴスロリ衣装がとても似合う、まさに令嬢と呼ぶに相応しい人物だった。
苛立っているラグナに対して少女はまるで遊んでいるかのように笑顔を浮かべていた。最もその笑顔が少し黒く見えるのは気のせいか。
「それより貴方、授業は良いのかしら?そろそろ始まる頃でしょう?」
「カンケーねー。その前にテメェをぶっ飛ばしゃあいいからな」
「本当に仕方のない子ね。また泣かされたいのかしら?」
「誰がテメェにいつ泣かされたよ」
ウサギと呼ばれる少女はラグナとは旧知のようだ。しかも会話から聞くにかなり知っている間柄のようだ。しかしそれでも相手は小さな子ども。それを責め立てているこの状況を勇者部は看過できるはずがない。
「ラグナ君!!あんまり小さい娘に乱暴するのは良くないよ!!」
「アンタいい加減にしなさい!!そこまで言わなくてもいいでしょ!!」
「うぐっ」
「あら、その娘たちが新しい『友達』かしら?」
「…そんなところだ」
「つまりそういうことね。皆さん初めまして。先ほどラグナを諌めようとしてくれたことを感謝するわ」
少女は友奈たちに一礼する。間近で見るとクラスメイトが言っていた人形のようだという発言も頷ける。
「気にしないで下さい。私たちだってラグナ君に誰かを傷つけて欲しくありませんから」
「あら、随分と愛されているじゃない。ラグナ」
「どういう意味だ、ウサギ」
「分からないなんて本当に可哀想ね。愛が理解できないほど、悲しい人生はなくてよ」
「いちいち引っかかる言い方しやがって…」
完全に揶揄われている。ラグナには分かる。なぜなら少女は今自分と友奈たちを黒い笑みで見比べているから。少女は少し下がって友奈たちに改めて自己紹介をした。
「
「結城友奈です!レイチェルさんがラグナ君が言っていた人だったんですね。ウサギって呼んでいたけど凄くリボンの位置が可愛いです!」
「あら、お世辞が…いえ、ありがとう」
レイチェルはどこか懐かしそうに友奈の顔を見ていると呼び鈴の音がした。
「じゃあそろそろ席に着きましょう、綾月君」
「レイチェルさんに良いところ見せないとね!」
「…分かったよ」
東郷たちに引き連れられてラグナは渋々席に着くのであった。
結果から言うとラグナは全く授業に集中できなかった。レイチェルの存在がずっと気になって授業どころではなかったからだ。同じような現象が刃にも起きており、放課後になってからは2人は普段の倍は疲れているようだった。
レイチェルは今、勇者部部室でラグナに淹れてもらった紅茶を飲んでいる。初めは東郷が緑茶を出そうとしたが彼女が自分は紅茶派であることを告げるとラグナが淹れることになった。流石にヴァルケンハインが淹れたものには敵わないが、レイチェルの御眼鏡には適っているようだ。
「それにしてもラグナ。アンタ、また随分とキャラの濃い知り合いがいたものね」
「…これでも大人しい方だけどな」
「そうなんですか。それにしても…凄く大人っぽい人ですね。見た目だけなら私と同じ年ぐらいに見えるのに」
「大丈夫よ樹。樹は今のままでも十分素敵だから」
「お姉ちゃん…」
風に頭を撫でられながら抱きつかれる樹。そんな2人の様子を見ているレイチェルの様子が少し変わっていることをラグナが指摘した。
「おいウサギ、アイツらがどうかしたのか?」
「いえ…なんでもなくてよ」
「そうかい…ま、俺には分からねー話だ」
ラグナがそれだけ言うと今度は東郷がぼた餅を持ってきた。
「どうぞお召し上がり下さい。お口に合うかはわかりませんが」
「一ついただくわ」
東郷のぼた餅を一つ取ったレイチェルはぼた餅を紙ナプキンに包んでから小さく一口、それを食べる。少し沈黙していたが口を開けると、
「普段はティータイムに洋菓子を食べているけれど、これは美味しいわね。貴女が作ったの?」
「はい、友奈ちゃんが喜んで食べてくれるのでほぼ毎朝作るのが習慣になって」
「とても美味しかったわ。またここに来ることがあったら是非振舞って頂戴」
レイチェルは東郷のぼた餅を気に入ったようだ。
「ふふ、ありがとうございます。それにしても不思議ですね。私、横文字が苦手なのにレイチェルさんの名前はどうしてかあまり違和感を感じないんです」
「もしかしてレイチェルさんも東郷さんの知り合いとか?」
「…それについては『まだ』話せないわ」
「そうですか…」
レイチェルの話を聞いて身を引く東郷。続いて先ほどから苛立っている刃が話をしてきた。
「…それで答えろ貴様。何故ここに来た」
「貴方は本当にあの頃から成長していないわね、『えいゆうさん』」
「黙れ。僕が聞いているのは何故貴様が勇者部に来たかだ」
「さあ、何故でしょうね?」
「貴様!!」
「ほら、如月君。どうどう」
「…くっ」
レイチェルに対してあまり良い印象がないのか、訪問の理由を言うように急かす刃を東郷が落ち着かせた。レイチェルは一度嘆息を漏らしながらも答える。
「別に理由などないわ。強いて言うならそうね…今回の『勇者』たちの様子を見に来た、と言えばどうかしら?」
レイチェルが勇者のことを言及すると部室の空気が少し変わった。勇者部一同はラグナの方へ向く。
「あとそこで間抜けヅラを晒しているラグナは関係ないわ。少し前に大赦の方で情報を貰ったから知っていただけよ。あのゴミが来ているからもうそろそろ現れる頃だっただろうし」
「バーテックスのことまで!?」
「ええ。知っているわ」
「ということは大赦関係の人なんだ、ラグナ君のお母さんって」
「ユウナ。間違ってもウサギを母親だなんて呼ぶな」
「そうよ。私、そこまでは老けてはいないわ」
「そっちの意味で言ったんじゃねーよ!!」
「仲いいんだね〜、2人とも」
「はあ!?誰がこんなやつと」
「まあ、確かに親子というよりは腐れ縁の方が正しいでしょうね」
レイチェルはクスクス笑っていると、樹が先ほどの彼女の言葉に対して疑問をぶつけた。
「あの、今回のって…どういうことですか?まさか前にも勇者は」
「いたわ。まさか知らなかったなんてことはないでしょうね」
「いえ、すみません。知りませんでした…」
「そういえば私の端末って、先代のものをバージョンアップさせたものだったわね」
「あら、そうなの?」
レイチェルは夏凜の方へ赴くと興味深そうに彼女を見ていた。夏凜も流石に恥ずかしかったのか離れようとするが、哀れなことにレイチェルを振り切れなかった。
「ちょっ、なによ!?人をジロジロ見たりなんかして!」
「へえ、貴女があの娘の後継なのね…ねえ貴女」
レイチェルはまるで新しい玩具を見つけた子どものような笑顔を浮かべながら夏凜に質問した。
「お名前はなんというのかしら?」
「讃州中学の三好夏凜よ」
「では讃州中学の三好夏凜よさん」
「三好夏凜!!」
「フフッ冗談よ。夏凜さん、勇者としての貴女の実力が知りたい。それが私の『依頼』よ」
「また校庭がメチャクチャになるのかしら…」
「お姉ちゃん、虚ろな目でそれを言わないでー!」
前回の刃の時同様、夏凜とレイチェルの試合は人が少なくなった時間帯の校庭で行われることになった。この前の刃とラグナの戦いでボロボロになった校庭の後始末に協力する羽目になった勇者部としてはまたあんなことになるのはごめんだが、今回はキチンとした依頼。しかも名指しで指名されているからには受けないわけにはいかない。
それに何よりも夏凜本人がやる気だから断る理由もない。今回も他の勇者部は外野として見ていた。
「ラグナ君、レイチェルさんってやっぱり強いの?」
「ああ、つえーぞ。四国の中でも指折りに、ってくらいじゃねーか?」
「そんな人が夏凜ちゃんと試合をやりたいだなんてどういうことかしら?」
「大方三好夏凜の実力を測るためだろう。奴は一応先代勇者も知っているからな」
校庭の真ん中ではレイチェルと勇者システムの訓練モードを起動させた夏凜が見合っている。戦いのゴングが今鳴ろうとしていた。
「アンタ、先代を知っているって言ったわね。これが終わったら聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」
「ええ、いいわ。私に答えられることであれば」
「そう…でも遠慮なく行くわよ!!」
「掛かってらっしゃい。行くわよ、ギィ、ナゴ」
夏凜は地面を蹴って接近する。それに対してレイチェルは微動だにしない。
「えいっ!!やあっ!!はあっ!!」
二刀を振るう夏凜の攻撃をレイチェルは軽やかに躱す。まるで空中を漂う落ち葉に攻撃しているみたいだ。
「攻撃してこないの!?」
「戦いは攻めるだけではなくてよ」
未だに動きを見せないレイチェルを夏凜は不気味に思った。
(まさか教官と同じで雪風みたいな技があるの?)
夏凜はカウンターを警戒し始めるとレイチェルがとうとう動き出した。手に取っていた傘のナゴが大砲に変化する。
「『大砲発射』」
「動いた!!」
掛け声と同時にレイチェルは枕のような弾丸をナゴから放つ。しかし夏凜はそれを苦なく回避した。
「そんなんじゃ当たんないわよ!!」
「そうね、貴女相手では当たるとは思っていないわ」
素早く回避しながらレイチェルに近づくと夏凜は自身の刀がレイチェルに届く間合いに入ることができた。この距離ならカウンターも間に合わない。
「貰ったぁぁあぁぁぁ!!?」
「『ゲオルグ13世』。残念だったわね」
だがそれは甘い見通しだった。突如夏凜の全身に電流が流れてきた。夏凜が足元へ目を移すとそこには電気を放射している蛙のような生物がいた。先ほどの攻撃、タイニー・ロベリアの中に仕込んだゲオルグ13世だ。体が麻痺した夏凜からレイチェルは再び距離を取る。
「ッ…なんのーー!!」
「やはり、あの程度では止まらないわね。流石は勇者というところかしら」
「ただの勇者じゃないわ!完成型勇者よ!!」
「あら、完成だなんて寂しいことを言うじゃない。貴女はまだまだこれからでしょ?」
「完成型勇者はどこまでも強くなるのよ!常に成長しているけど同時に完成されていくの!!」
「フフッ、面白いわ貴女。なんだか私も楽しくなってきた」
「だったらここからもっと楽しくなるわよ!」
そう言って痺れを振り切った夏凜は二刀のうちの一本をレイチェルに投げつけた。
「あれは綾月君が如月君にした戦法!?」
「カウンター潰しね!」
風の指摘の通り、投げつけた後に夏凜はレイチェルに向かって突貫した。しかし剣を防いだのはレイチェルではなく、別の存在だった。
「姫様に手は出させないっス!!」
ギィが盾になってレイチェルを守った。突如の第三者の登場が夏凜の不意を突いた。
「えっ!?それ精霊なの!?」
「そんなものよ…ナゴ!」
「あいよ!!」
今度はレイチェルの持っていた日傘のナゴが椅子に変形し、高圧電流を帯びている状態で花凜を待ち受けていた。激突を避けるため、夏凜は体を捻って無理矢理方向転換する。
「精霊が二体…実力があるのは確かね」
「どちらかというと使い魔な上に私は勇者システムを使っていないけれど。まあ好きな解釈をして構わないわ」
そう言いながら再びナゴは傘に変わり、ギィもレイチェルの側に付く。目の前に立つ強敵に花凜は少し震えていた。
(要はその2匹を引き剥がせば勝てる!)
「うおおお!!」
夏凜が雄叫びを上げるとその周りに五本の刀が出現した。そのうちの三本をレイチェルに向かって再び投げつける。
「バカッ!!ウサギに同じ手を使うなんざ悪手だぞ!!」
「いや、違う」
ラグナの予想に反して夏凜の刀はレイチェルの周りに突き刺さった。すると3本の刀は爆発した。土煙でラグナたちに戦いの状況が見えなくなってしまった。
「これが夏凜さんの狙いだったなんですね!」
「でもこれじゃあ夏凛も周りが見えないじゃない」
「やつならばレイチェル=アルカードの気配を読み取って行動することができる。視界が悪い中ならやつにも分はあるかもしれん」
刃はそういうが内心ではこれで夏凜が有利になったとまでは思っていない。確かにこれが普通の人間であったならこの時点で夏凜の勝利は決まったようなものだ。しかし相手はそうではない。このまま終わるとは思えない。
戦いの最中、風は顔に手をやる。
「うわ、嫌だ。『雨』が降ってきたわね。それに『風』も強くなってきているみたい。せっかく洗濯物干したのに」
「いくら強くても、見えなきゃこっちのもんよ!!」
夏凜は残った二刀を手にして再び攻撃に入る。レイチェルたち、正確にはナゴの気配を掴むとそこへ一閃を加えた。
「あ〜ん!!」
「くっ!」
「さっきから距離を取ってばかりだからもしかしてと思ったけどやっぱりそういうことね!!アンタ、『接近戦が苦手』でしょ!!」
ナゴを弾いた後、夏凜はギィを蹴り飛ばしてレイチェルから引き離すことに成功した。これでもう自分の攻撃を阻む者はいない。最後の一本を取らんと夏凜の刀はレイチェルを捉えんとしていた。
「…やってくれるわね!」
レイチェルがそれだけ言うとレイチェルの後ろから猛烈な風が吹いてきた。突然発生した暴風に夏凜は踏ん張れず、そのまま吹き飛ばされた。
「うあっ!?」
風によって土煙は晴れ、ポツポツと雨も降ってきた。そこからノックバックされて尻餅をついている夏凜と使い魔を失ったものの未だ無傷に近いレイチェルが佇んでいた。
「いきなりすごい風!」
「この突風…ラグナ先輩!」
「ああ、ウサギのドライブだ」
吹き荒れる突風はレイチェルのドライブ『シルフィード』。今彼女は自身の力の一端を解放しているのだ。レイチェルの目つきが変わる。普段の退屈そうな顔でもラグナを揶揄うときの笑顔でもない。
「素晴らしいわ、夏凜。あの娘の後継としては間違いなく合格ね。きっとあの娘も安心するでしょう。こんなにも私の情熱を駆らせる娘が自分の魂が受け継いだもの」
だから、レイチェルは一息入れてから挑戦的な笑顔で声を強める。
「最後は『全力で』お相手してあげるわ、『覚悟なさい』!!!」
そう宣言するとレイチェルの後ろに薔薇が描かれた方陣が浮かび上がり、途端に周囲の風雨も一層強まった。木々は激しく揺れ、雨も散弾銃の弾のように打ち付けてくる。遂には雷も降り出した。
「こんなことができるなんて…!!」
「天候を丸ごと変えたと言うの!?」
「それでもやってやる…てなにこれ!?」
「『バレル・ロータス』!!」
夏凜のまわりにコウモリのような円盤がまとわりついてきた。ただでさえ雨風で動きにくいのにこれでは身動きが取れない。モタモタしているとレイチェルが風に乗って一気に近づいてきた。
「しまっ」
「『ガーベラ・リュート』!!!」
レイチェルの蹴りが夏凜に決まると後ろの翼を展開。夏凜の真下から竜巻が発生した。
「吹き飛びなさい!!!」
「うあああ!!」
竜巻は夏凜を包み込み、そのまま宙に巻き上げてしまった。空の上で
竜巻が消えると夏凜は落下してきた。
「ナゴ、受け止めなさい」
「了解したわ、姫様!」
レイチェルに指示されたナゴは夏凜の落ちてくる地点に待機して彼女を受け止める。夏凜は少し頭を回していたが、怪我はなさそうだった。
「うぐっ…強っ…こんなのがいるのに私たちの世界はピンチになっているの?」
「私では樹海には入れないのよ。それに貴女も相当な腕なのは確かよ。流石はえいゆうさんの教え子ね」
お互い手を取り合うとさっきまで荒れていた天気はすっかり大人しくなり、雲一つのない空が広がった。
「凄かったよ2人とも!!夏凜ちゃんの剣戟もレイチェルさんの技も見ていてワクワクしたよ!!」
「ゆ、友奈…ありがとう」
「ありがとう、友奈さん」
「そういえばレイチェルさん。私の勘違いじゃなければだけど何個か技に花の名前を付けているの?」
「あら。よく気づいたわね」
「押し花をしていると花の名前も覚えちゃうんだ。だから聞き覚えがある花もあるなと思って」
「そう」
2人を純粋に賞賛する友奈。それをあまり直接ではないが、素直に2人は受け止める。レイチェルは校庭を一瞥すると声を上げた。
「ヴァルケンハイン」
「お呼びですかな、レイチェル様」
「おわっ!?急に出てきた!?」
突然の転移によるヴァルケンハインの登場に腰を抜かしそうになる風。レイチェルはその彼に命令を下した。
「ここの校庭を整えて頂戴。貴方なら造作もないでしょう?」
「お任せを。すぐに準備に参ります。レイチェル様はいかがなさるのですか?」
「もう帰るわ。ラグナはどうするの?」
「まあ、俺も帰るわ。流石に時間だしな」
「そう、なら転移するから捕まってなさい」
そう言って2人は転移の準備をする。その前に夏凜がレイチェルを呼び止めた。
「待って、まだ聞きたいことが聞けてないわ」
「何かしら?」
花凜の言葉にレイチェルは答えた。
「最初はなんでそんなに勇者の内情に詳しいんだとか先代について聞きたいとかあったけど、戦っているときにもっと気になることがあったからそれを聞くわ」
「いいわよ」
「アンタ、どうして『満開ゲージが増えない程度の攻撃』しかしてこなかったのよ」
夏凜はそこが気掛かりだった。どういうわけかレイチェルは積極的に攻撃することはあまりなかった。それだけなら先ほど接近戦の不得手で通じるが全力で相手した時も最後は自分を助けた。精霊バリアのおかげで致命傷にはならないはずの自分を、だ。
「貴女たち、『それ』についてはなんと説明されたの?」
「勇者の力を何倍も引き上げる機能が満開で、繰り返すごとに強さが増すと聞きました」
「それ、本当?」
「ええ。まあ、大尉とラグナはそれを聞いたときにすごく取り乱していたけど」
「…まあそうでしょうね」
「レイチェルさん?」
レイチェルの意味深な顔を見て友奈は少し疑問に思うとレイチェルは勇者たちに忠告を送った。
「貴女たち、使う意思があるなら構わないわ。でも覚えておきなさい。どれだけ強くなっても貴女たちは『ヒト』。ヒトの身に余る力を自分のものとして振るい続ける愚か者の行く先は破滅よ」
忘れないことね。それだけ言ってレイチェルはラグナと共に丸亀城へ転移した。因みに砂などが巻き上がったりしていたが、以前のラグナと刃の戦いに比べたら被害は軽度だった為、ヴァルケンハインが3時間で作業を終わらせた。
「樹ー、お風呂沸いたわよー」
「今入るよ、お姉ちゃん」
樹は机に伏せながら今日のことを考えていた。自分と背丈は同じくらいでも全く違う人物のことだ。
「レイチェルさん…凄かったな〜。あんなに自信に満ち溢れてて」
そう思いながら樹が憂鬱そうに教科書へ視線を向けた。教科は音楽だった。
「私、どうしたらいいんだろう…」
いかがだったでしょうか?
格ゲーキャラの日常=バトルありなので私は間違っていない。
さて今回初の作品の垣根を超えたバトル回ですがこれからもこう言ったこともあると思います。せっかくのクロスオーバー、しかもブレイブルー は格ゲーなので。もちろん一方の作品だけを無双させるなんてならないように注意します。
次回は多分樹ちゃん回。それではまた