蒼の男は死神である   作:勝石

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どうも勝石です。
新しいぶるらじを見て、定春と銀さんの中の人が同期だったことを初めて知ってびっくりしました。全然知らなかったよ…

さて今回の話は原作4話後半と5話始めの辺り。歌についてと思ったらもうそのイベ終わってた…それでは参りましょう!

The wheel of fate is turning…Rebel…1…Action!!


Rebel26.それぞれの願望

(2年前。ある日家に大赦の人たちがやってきました。そしてそこで私たちはお父さんとお母さんが死んじゃったことを知らされました)

 

犬吠埼樹は朝起きてから先ほどまで見ていた夢、いや過去の記憶を思い返していた。2年前のあの日、自分たち姉妹が両親を失ってから姉である風は家計の全てを支えていた。家事も炊事も全部姉がやった。

 

(あの日からお姉ちゃんは私のお姉ちゃんであって、お母さんでもあって…お姉ちゃんがいれば何だって出来る)

 

もし、樹は自分の部屋から出て居間の方を見る。そこでは風が狗神にご飯をあげていた。

 

(私がお姉ちゃんに隠れている私じゃなくて、隣で歩いていける自分だったら…)

 

そう考えていると樹に気づいた風は笑いながら樹の朝食を用意し始めた。樹は一言挨拶してご飯を食べていると、風はそんな樹の髪を整えた後、樹の向かいの席に着いた。

 

「元気ないなー、どうしたの?」

 

風はどこか気が落ち込んでいるように見えた樹に声をかけた。しばらくすると樹は返事する。

 

「お姉ちゃん…ありがとう」

「も、もう。どうしたのよ、急に」

「別に…なんとなく言いたくなったの。この家のこととか、勇者部のこととか…お姉ちゃんにばっかり大変なことさせちゃって」

 

樹の言葉に対して風が優しい笑みを浮かべると、

 

「気にしないでよ、『理由』もあるからね」

「『理由』?」

「世界の平和を守るため…とかかなー?」

 

風のその言葉を聞いて樹が疑問に思っていると風がはぐらかす。

 

「あー、やめやめ!シリアスな話はここまで!早く学校に行くわよ!」

「うん!」

 

そう言って2人は玄関を出て讃州中学に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業が終わった後、勇者部は学校外に出ていた。以前依頼されていた猫の飼い主探しで子猫のうち、2匹の貰い手が決まったため、現在猫たちが保護されている家へ向かう必要があった。

 

以前の第七機関の襲撃に警戒して、猫のいる家の一つは友奈、東郷、夏凜、そして刃のグループ。もう一つは犬吠埼姉妹とラグナのグループに決まった。

 

「確か、この辺りなのよねー」

「あそこじゃないかな?」

「お、でかしたぜイツキ」

 

3人は家へ向かう。家の前に着くと風がドアベルを鳴らして挨拶した。

 

「こんにちわー!讃州中学勇者部でーす!子猫引き取りに来ましたー!」

 

しかしドアの向こうから返事は来ない。その様子に3人が少し不審に思うと今度はラグナがノックして話してきた。

 

「こんにちわー!讃州中学勇者部でーす!誰かいませんかー?」

「あ、は〜い。どうぞお入りくださ〜い」

 

ようやく中から家主と思われる女性の返事が聞こえてから、3人はドアを開けて入ろうとした。しかし家に一歩入ろうとすると先頭にいたラグナの顔にサッカーボール大の鈴が飛んできた。

 

「ブベラッ!?」

「な、何があったの!?」

「こら、『瑠奈(るな)』さん。勇者部の皆さんに何をするの?」

「何言ってるんだよ、ママ!こいつらは『ジューベーさま』を持っていくって奴らじゃんか!!」

「でも瑠奈さん。この子はうちじゃあ飼えませんよ。この子の面倒、誰が見るんですか?」

「そうだよー、瑠奈ー。家じゃあ流石にこの子の面倒は見れないよー。瑠奈だって世話しないでしょー」

「何言ってんだよ、『瀬奈(せな)」!お前だってジューベーさまを飼いたいんだろ!?瑠奈には分かる!だって『瑠奈は瀬奈で、瀬奈は瑠奈』だからな!!」

「うっ…それを言われちゃったら言い返せないかも…」

 

中で口論していたのは小さな少女とその母親と思われる丸メガネの女性だった。少女は母親と同じ長いプラチナブロンドの後ろ髪の横をツインテールで結っていた。しかしその最大の特徴は見た目よりもその喋り方だった。

 

少女は男勝りな女の子口調と少し気弱な男の子口調を繰り返しており、側から見ればかなり異質な状態である。しかし、少女が猫を渡したがっていないことは明白だった。少女の様子に少し面食らったが、彼女たちを見かねた風は2人と話し合うために入ってきた。

 

 

「すいませーん『草原』さん、宜しいでしょうか?」

「なんだよお前!?見ない顔だな!」

「瑠奈ー、この人たちは猫を引き取りに来た勇者部の人たちだよー」

「やっぱりか!!残念だけどジューベーさまは渡さないぞ!!出てけー!!」

「まあまあ待ちなさんなって」

「待つもんか!!バーカ、アーホ、オバさーん!!!」

「瑠奈さん、それ以上はダメですよ」

「ああ、気にしないでください。慣れていますから」

 

瑠奈と呼ばれた少女の容赦ない罵倒を軽く受け流しながら風は瑠奈と目線を合わせた。

 

「貴女、この子を飼いたいの?」

「飼いたい!飼いたい!メッチャ飼いたい!!」

「でもその子のお世話はお母さんがする訳にはいかないよ。自分で世話できる?」

「できるに決まってるだろ!!この瑠奈様をナメるな!!」

「瑠奈ー、それはお姉さんに失礼だよー」

「ヤダ、ヤダ!!絶対ヤダ!!!瑠奈が絶対世話するからジューベーさまが持っていかれるのはヤダー!!!」

「困りましたね…瑠奈さんは一度言い出すと中々聞いてくれませんよ」

 

母親が困っているのを見て風は彼女に事情を聞いてきた。

 

「すいません。もし差し支えがなければ飼えない理由を教えていただけますか?娘さんもここまで言ってくれていますし」

「ええ。私は平日に仕事がありますし、瑠奈さんも瀬奈さんも生き物を飼ったことがなくて…それを考えるとこの子を飼うことは難しいかなと思ったんです」

「そうだったんですね…それならどうしても猫の面倒が見れない日は私たち勇者部で面倒を見る、というのはどうですか?時々こっちにも顔を出してお子さんに世話の仕方を教えながら」

「え、そんな。そこまで迷惑をかける訳には…」

「大丈夫ですよ。ねえ貴女、その子は貴女がお世話するのよね?出来る?」

「何度も言わせんな!出来るったら出来るんだ!!」

 

相変わらず駄々をこねる瑠奈に対して風は悪戯っぽく笑いながら続けた。

 

「どうやってお世話するのか、わかるかなー?」

「ご飯あげて、遊んで、一緒に寝る!」

「確かにそうねー。でもそれだとお風呂とか猫ちゃん用のトイレとかベッドとかの掃除とか、あと毛玉の処理とかの仕方もわからないといけないわよ」

「うっ…うるせー!そ、そんなの知ってたし!」

「瑠奈ー、誤魔化しても無駄だと思うよー」

「じ、じゃあどうすりゃいいんだよぉ…」

 

そこまで言われて流石の瑠奈もちょっと涙目になった。しかし風は瑠奈の頭を撫でながら言った。

 

「良かったらこれからもアタシたちがこの家に来たり、貴女がその子を連れてうちの部室に来たりしながらその子の世話の仕方を教えてあげるけど、どう?」

「ホントか!!?」

 

風の提案を聞いて瑠奈の目に活力が戻った。

 

「ええ、貴女が良ければだけど」

「分かった!!頼む!!」

「こーら。そこはもうちょっと丁寧に、でしょ?」

「お願いしますー」

「お、お願い…します」

「よく言いました。でも二回も言う必要は無かったわよー」

「いえ、『僕』は、というより僕『たち』は2人で1人なんですよー」

「そういえばさっきから雰囲気がコロコロ変わるわよね…え?どゆこと?」

「娘は瑠奈と瀬奈という2つの自我を持っているんです。ただ周りから見ていると独り言をしているように見えてしまうので中々友達ができなくて…私も出来るだけ家へ早めに帰っていますが、どうしても遅くなるときもあって1人にしてしまいがちなんです」

「そうだったんですね…まあ、うちもクセの強い子は結構いるし大丈夫ですよ。それで草原さん、どうですか?私たちも協力しますよ?」

 

草原は少し考えた後、微笑みながら頷いた。

 

「それでしたらよろしくお願いします。瑠奈は少しヤンチャですけど根はとてもいい子ですし、瀬奈は慎重で頭のいい子です」

「私が瑠奈様だ!覚えておけ!」

「僕は瀬奈です。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。えーと、貴女たちの名前は何でしょうか?」

「アタシは犬吠埼風。これからもよろしく瑠奈、瀬奈」

「犬吠埼樹です。宜しくね瑠奈ちゃん、瀬奈ちゃん」

「僕は『君』の方がいいですー」

「じゃあ改めて宜しくね、瀬奈君」

「は、はい。宜しくお願いしまーす」

「俺は綾月洛奈。みんなにはラグナと呼ばれてる。宜しくな」

「宜しくな、ロリコン!」

「どこからそう聞こえた!?つーか誰がロリコンだ!!?」

 

こうして勇者部は依頼を達成することが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「瑠奈ちゃんと瀬奈君のお母さんが子猫のこと、考え直してくれて良かったね。お姉ちゃん」

「うん…」

「お姉ちゃん?どうしたの?

「いや、ね。あの子たちを見てたら…こう」

 

ラグナに家までついて行ってもらって帰宅してから風は少し考え事をしていた。子猫を必死に離そうとしない瑠奈の様子がどうも頭から離れなかったらしい。

 

「…ごめんね、樹。アンタを勇者なんかに巻き込んじゃって」

「え、どうしたの急に?」

「大赦に樹を勇者部に入れろって命令されたとき、嫌だって瑠奈見たいに言えば良かった…そうすれば、樹はこんな危険な目に」

「そんなこと言わないで、お姉ちゃん」

 

樹は笑いながら不安な表情を浮かべる姉に言う。

 

「お姉ちゃんは何も間違ったことはしてないよ。それに私は嬉しいんだ。守られているだけじゃなくてお姉ちゃんたちと、みんなと一緒に戦えることが」

 

それにね。樹は嬉しそうに言いながら続ける。

 

「私、やりたいことが出来たんだ。

「お。なになに?将来の夢?」

「秘密ー」

「えー、いいじゃん。少しくらーい」

「ダーメ」

 

そう言いながら樹は自分の部屋へ戻った。自身の机には様々なことが書かれたノートや歌が上手くなるための参考書、音声を記録するための機器やそういったソフトが含まれているパソコンがあった。

 

「今はまだ、これが夢だなんて言えないけど…やってみたいことが出来たんだ」

 

樹がパソコンを開いてスイッチを入れるとそこにはアイドルらしきもののオーディションについて記されていた。これの第一歩を踏み出せたときに言おう、そう樹は心に決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妹が部屋へ戻った後、風はテーブルの上に突っ伏していた。樹はああいってくれたが、それでも風の中には少し後ろめたい感情があった。朝、自分の目的が世界のため、なんていったが実は違う。

 

(アタシが戦っているのは…2年前の大橋で死んだ親の仇であるバーテックスを討つため…でもそれは本来、あの子には関係ないものなんだ)

 

風は自分の端末を覗く。そこには大赦に送ろうとした、自身が万が一倒れた際に撤退を許可させるメールが残っていた。風は不安だった。もし自分のせいで友奈が、東郷が、夏凜が、ラグナが、刃が、そして何より樹が命を落とすようなことになれば、自分は自分を見失うだろう。

 

そんなことを考えている中、携帯端末からアラームの音が鳴る。樹海化警報だ。世界は徐々に白い光に包まれ、景色も変わっていく。

 

「始まったんだ…最悪の事態が…!」

 

狗神から渡された端末を握り締めながら風は戦いの場へと誘われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇者部が集合すると向かってくるバーテックスの数を確認した。その反応の数は7体。つまり、

 

「これ、全部きたんじゃないの…?」

「とうとう来ちまったのか…」

「しかし、6体しか見当たりません。もう一体は何処に」

「…最後の一体は恐らく不意に現れる奴だ。各自気を抜くな」

「どういうことよ、大尉」

「以前にも同じようなことがあった。だから奴は恐らくいるとしたら僕たちが他の敵に引きつけられているときだ。」

「そうだったのね。なら後ろは任せて」

「…貴様も戦った相手だがな

「何か言ったかしら?」

「気にするな…来るぞ」

 

現れたバーテックスで姿を現したのは牡牛座のタウラス、水瓶座のアクエリアス、天秤座のライブラ、牡羊座のアリエス、魚座のピスケス、そして…

 

「兄さん、あれは!!」

「やっぱいやがったな…あの『輪っか野郎』…!!!」

「ラグナ君?如月君?」

「どうしたんですか、先輩方?」

「一番奥にいる巨大な屑…奴は特段に危険だ」

 

友奈と樹が2人にその怒りの理由を思わず聞く。無理もない。最後に確認できたレオ・バーテックスを見たとき、ラグナと刃の目付きが明らかに変わった。並ではない因縁を持っているかのようにも見えたのだ。

 

「…お前ら、ウサギの話は覚えてるな?」

「私たちがあくまで人で身に余る力は破滅をどうこうって話よね。聞いていてあまり良い気がしなかったけど」

「いいか…ウサギは紛らわしい言い方はするけど嘘はつかねー。あいつの言う通り、『そいつ』を、『満開』を使えば…大変なことになる」

「大変なこと…ですか」

「蒼の魔道書を使った後の樹海、覚えてるな?」

「うん。ラグナ君が初めてそれを私たちの前で使ったときだよね?」

「…あれと同じようなことがお前らの身体に起こると思ってくれ」

『!!!』

「兄さん…」

「悪りーな、ジン。けど危険性を知らせねーで使わせるってのは納得できねー」

「…兄さんがそう言うなら、僕は構わないよ。僕は元々あの屑どもを屠るつもりだったからね」

「お前だって、あれに納得なんざしてなかったくせに…つーかテメェもだからな、ジン。オーバードライブを使いすぎるな」

「心配性だなー、兄さんは。まあ、上手くやるよ」

 

刃がそう言った後、ラグナは勇者たちへと向き直った。

 

「つーわけだ。だから出来るなら…『そいつ』を使うな。やばくなったときは…俺は『こいつ』を使う」

 

そう言ってラグナは右腕をあげる。1つの黒い火を灯した後、それはすぐに消えた。その決意に対して風は溜息を吐きながら

 

「…アンタ、ホントバカね」

「はあ!?何言ってんだ「アンタも!…それは危険なものでしょ?」だけど!」

「コチョコチョコチョ!」

「うおっ!?何しやがる!!?」

 

突如後ろから何者かにくすぐられたラグナは振り返ると友奈が笑いながら励ましてきた。

 

「ほら!緊張しなくても大丈夫!皆がいるから…だからどんな奴が来たって、きっと勝てる!」

「あのな…俺が言ってんのは」

「ありがとう、ラグナ。でもそれでアンタ1人が戦って危ない目にあったら元もこうもないわよ」

「そうそう、完成型勇者である私だっているだからドーンと任せなさい!!」

「何だかそこまで心配されると緊張している自分の方がしっかりしないと、って思っちゃいますよ」

「援護は任せて。誰も傷つけさせないわ」

「そういうことだ、兄さん。こいつらがこう言う連中だってもうとっくに知っていたはずだよ?」

「…だぁ!分かったよ!でもテメェら、無理すんじゃねーぞ!!」

「じゃあ、みんな!変身よ!!」

 

風の号令で勇者たちは全員で一斉に変身する。それが終わった後、風は全員を集めて円陣を組んだ。因みにラグナは右腕の都合上、片腕は円に組ませていない。

 

「アンタたち!勝って帰ってこれたら好きなもの奢るから、絶対死ぬんじゃないわよ!!」

「楽しみー!!いっぱい美味しいもの食べないと!!肉ぶっかけうどんとかね!!」

「言われなくても、殲滅して手柄を立てるわよ!」

「屑は排除する。それだけだ」

「わ、私も…叶えたい夢があるから!」

「頑張ってみんなを…御国を護りましょう!!」

「上等だ!!やってやらぁ!!!」

「さあ、行くわよ!!勇者部!!!」

『ファイトーーー!!!』

[出陣!!!]

 

夏凜の精霊、『義輝』がホラガイを吹くとともに戦いの狼煙が上がった。




…来ちまったな、原作満開祭り…つーかそれ以上に怖いことがもう一個あるけど(蛇を見つつ)

今回の話のゲストは無兆鈴を振るう魔法少女、『プラチナ=ザ=トリニティ』と六英雄の1人にしてナインの親友、『トリニティ=グラスフィール』!草原という名字は単純にグラスフィールを和訳しただけ。そしてここでもルナとセナは一緒です。

さーていよいよスタークラスタ戦になります!!
果たしてラグナたちは敵に勝利して四国を守れるか!?
それではまた
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