今回は一気に二年進んでわすゆ第2話の時系列まで進んでいきます。
そろそろ洛奈君の戦闘シーンが見れるかな?
まだ「アレ」はないけど
それではどうぞ
「遠征だぁ~?」
洛奈は中学校の帰り道で偶然出会った獣兵衛に突然合宿に行かないかを誘われた。
「そうだラグナ。次の休日を利用してお前を連れて少し遠出したいんだ」
「急だな、おい。巫女には相談したのか?」
「心配するな。芹佳にはしっかり、許可を貰ってきたぞ」
すでに義母の芹佳の許可を貰ってきたらしいことを告げる獣兵衛。それを聞いた洛奈は少し考えこんだ末、
「よし、じゃあ行くわ」
「分かった。それなら来るときは訓練用の得物を忘れるなよ。今回の遠征の目的の一つは戦闘経験を積むためでもあるからな」
「あぁ?師匠が鍛えるんじゃねえのかよ?」
「俺とばっかり模擬戦しても仕方がなかろう。今回はお前と同様、自分を高めるためにこの合宿に参加するものが大勢来る。『彼女』たちと競い合った経験がお前をさらに強くしてくれるだろうよ」
「そうかよ、じゃあ俺は準備するために帰るぜ」
「おう、気をつけてな」
沙耶と刃が養子に出てから2年。洛奈はあの神官の言葉を聞いてから獣兵衛の修行に打ち込むようになった。その努力の成果なのか、体は多少細身でありながら筋肉質になり、身長と肩幅も大きくなった。
ちなみに顔も厳つくなってきているため、本人の口の悪さも相まって『柄の悪い不良』に見られるようになったことが最近の小さな悩みだ。
(…にしても師匠の話からして来るのは「女」だよな?まさか「あいつ」が?)
合宿の日、洛奈が今いるのは砂浜。今日の訓練のために使うからか、何台ものバレーボールマシンが設置されている。旅館の宿泊手続きをしている十兵衛から先に砂浜で待っててくれと言われて今海岸を見渡しながら待機していた。
「にしても誰も来ねーな。ホントに俺以外のやつが来るのかよ…ん?」
後ろからの物音に気付いた洛奈は振り返る。「何か」が大きな土煙を起こしながら自分に猛スピードで迫ってきていることが見えた。迫ってくる「それ」を見て洛奈は逃げることなく「迎撃」の態勢に入る。やがて「それ」は煙の中から飛び出してきた。
「兄ぃぃぃさぁぁぁん!!!」
「おるぁっ!!」
「グハッ!」
「ったく。毎回毎回飛びかかってくんなっつってんだろ、『ジン』」
飛びかかってきた如月刃は洛奈のアッパーを喰らって砂浜に倒れた。洛奈と離れて暮らすようになった刃は元の小学校から名門「神樹館」へ転校し、如月家の嫡男の名に恥じることなく学校生活も御役目も頑張っていることを兄は聞いていた。
ただ刃が大赦を守る「衛士」の主要武装、
それが原因なのか、最近では兄に対するスキンシップが以前よりも少し激しくなっていたり、少し攻撃的になったりしている。
それでも洛奈自身にとっては「夢」に出てきた刃と比べたら今の彼はまだマシらしく、先ほどのような刃のスキンシップは大体躱しているためそこまで問題にはなっていない。さすがに毎回はやめてほしいが。
「痛いじゃないか兄さん」
「お前が俺にダイブしなきゃもっと平和的に再開できるがな」
「いや~、兄さんの顔を見たらつい…」
「つい、じゃねーよ!」
「相変わらず仲いいね~、二人とも~」
「その声、まさかソノコか?」
「そうだよラッくん~、園子だよ~」
「あぁ、うん。こののほほんとした雰囲気、やっぱソノコだ」
刃と話しているとこの二年間ですっかり顔なじみになった園子が来た。初めて会った日から洛奈は上里家や如月家以外にも乃木家にも足を運ぶようになった。というのも沙耶が時々園子を訪ねに行くようになったからである。
沙耶と園子はあの初対面以降家同士の付き合いもあってよく会うようになり、親同士が話をしている間によく遊ぶようになった。もともとあまり他人に話しかけることが得意ではなかった沙耶にとって、少し変わっているもののおっとりとしていて柔らかな雰囲気を出す園子は家族以外で一緒にいると安心できる数少ない存在になっていた。
そんなこともあって直接は言わないものの、自分がいないときに沙耶を助けてくれる園子に対して洛奈は大きな恩義を感じていた。
「あの…乃木さん、如月君。このひとは?」
「随分と仲良さそうだけど知り合いなのか、園子?刃?」
「あ。わっしー、ミノさん」
「遅いぞ、鷲尾に三ノ輪」
園子と刃の知り合いらしき二人の少女が素性の知らない洛奈について聞いてきた。一人は髪を後ろに束ねた活発そうな娘で、もう一人は黒髪の真面目そう娘だった。
「あ~、俺は綾月洛奈、ジンの兄貴だ。ラグナとでも呼んでくれ」
「アタシは『
「おう、よろしくな。ギン」
「は、初めまして洛奈君、『
「…あだ名が言いにくいなら綾月でいいぞ、スミ」
「…では綾月君、よろしくお願いします」
どうやら須美と呼ばれている少女は洛奈を警戒しているようだ。
「皆集合したようね」
『安芸先生!』
お互い自己紹介を終えると眼鏡をかけた若い女性がやってきた。大赦から派遣された勇者たちの御目付け役で彼女たちのクラス担任である。洛奈も彼女とは何度か顔を合わせたことがあるが、まさか園子たちの学校の先生だとは知らなかった。
「久しぶりだな、メガネの姉ちゃん」
「ええ、久し振りねラグナ君。今日は来てくれてありがとう」
「俺は自分の修行するのに来ただけだから気にする必要はねえよ」
「はあ…貴方まだ言葉遣いがちょっと乱暴だけど、少しは柔らかくしないと損よ?」
「…なんとかします」
純粋に自身の将来を思ってのアドバイスをする安芸の言葉を聞いて洛奈は気恥ずかしそうにしながらも素直に返事した。
普段の彼を知る園子はその光景をニヤニヤしながら、彼と初対面である二人はちょっと驚きながら見ていた。特に須美は洛奈の言葉遣いや見た目から「怖い不良」のイメージがあったため、なおさらだった。
「…ラッくんってもしかして年上好きなの?」
「どうしてそうなるんだよソノコ!?」
「そんな…まさか兄さんが女に興味を示すなんて!」
「おいジン!それどっちの意味で言ってる!?」
「はーい、そこまで!」
アホなことを言い出す刃にツッコむ洛奈だったが、安芸の声をきいて全員彼女の方へと目を向ける。
「これから勇者と衛士の連携訓練を行います。勇者と衛士のみんなはここに残って。ラグナ君、貴方の出番は夕方の個人訓練のときだからそれまでは十兵衛さんのところに行ったり、彼女たちの訓練を見学したり、自由にしていいわ」
「じゃあせっかくだし、俺見学するよ」
「分かったわ。それじゃあ他のみんな、位置について!」
安芸が指示を出すと勇者たちはそれぞれの位置へと向かい、洛奈は安芸の近くのスペースへ移動した。勇者たちの訓練は至ってシンプルだった。要はバレーボールマシンから放たれるボールを全部よけて的である廃バスを破壊すればクリアだ。
洛奈は改めて勇者たちの装備を見る。銀は赤を基調とした衣装で大きな双斧を持った純近距離型、園子は紫を基調とした衣装で帆先が自由に変化する槍を振るう中距離型、須美は藍色を基調とした衣装で弓が主武装の遠距離型だった。
(あとはジンなんだが…!?)
刃は黒のインナーの上に青の羽織を着た服装で『刀』を所持していた。そのとき刃の武器を見た洛奈は一瞬心臓が止まったような感覚に襲われた。
「おいおい…あの『刀』…まさか『夢』に出てきた!!』
そう、問題は刃が持っていた『刀』である。刃が青い鞘からそれを抜くと同時に彼の周りが凍り付き始めた。その刀身は淡い青色を帯びた氷で出来ており、周囲に冷気をまとわせていた。そして刃はアークエネミーを起動させるためにその名を呼んだ。
「『氷剣ユキアネサ』、起動」
かくして刀を見た洛奈の心配を余所に安芸の掛け声とともに勇者たちの訓練は始まった。
「うまくいったね~」
「当然だ、兄さんの前で無様を晒すわけには行かないからな」
「確かに誰かが見ていると力がわいてくるよな!」
「でももっと鍛錬をしないとダメね…」
結果から言うと四人は今日バスにたどり着くことができた。基本的に盾を展開することのできる園子が先頭に走って前方で、須美が弓矢で飛んでくるボールを撃ち落として後方で銀と刃を守りながら接近する、というスタンスを取った。
万が一須美が撃ち漏らしてもボールは刃が氷柱に閉じ込めたりしてアシストすることができたため、より確実にバスへ近づくことができた。
「おうお前ら、お疲れさん」
「兄ぃぃぃさぁぁぁん!!」
「だから飛び掛かんのをやめろっての!」
「兄~さ~~ん」
連携訓練を終えた刃たちに差し入れを持ってきた洛奈に再び刃が飛び掛かり、それを洛奈も予定調和のごとく再びアッパーを決めて刃を撃沈させる。
「なんというか何度か刃や園子から聞いていたけど、ラグナってホント刃に好かれてるよな」
「好かれていることは悪く思わねえけど少しは自重して欲しいがな。ったくどうしてこうなったんだ」
「それはラッくんもジンジンとサッちゃんのことをすっごく大切に思っていることがジンジンに伝わっているからじゃないかな~?」
「ん、園子?サッちゃんって?」
「俺とジンの妹でサヤっつうんだ。まあ、あいつ巫女だから俺たち家族やソノコぐらいしか気軽に会えねーんだけどな」
「おお、ラグナって二人も兄妹いるのか?家と一緒じゃん!」
「お前兄妹いるのか、ギン?」
「ああいるぞ!かわいいマイブラザー二人だっ!!」
「おお、そうか」
「いやぁ、名前は鉄男と金太郎っていうんだけど本当に二人ともかわいくてさ~。どんだけ目に入れても痛くないんだわ~」
銀が楽しそうに弟たちに語っているのを見て洛奈はこれまで自分も刃や沙耶との生活を懐かしそうに振りかえていた。
「あの日」から三人は別々に暮らすようになったが今でもよく会うため、そこまで寂しく感じていない。ただ同じ家の下で生活したあの頃に戻れたらと考えたことがないわけではない。思えばあの頃が一番自分にとって幸福な時間だったんだなと洛奈は振り返る。
「お前みたいな姉貴がいて弟たちは幸せ者だな…」
洛奈は優しく笑いながら銀の頭を撫でた。突然撫でられた銀は照れからか少し顔を赤くする。
「え、どうしたラグナ!?」
「御役目が大事なのは分かるけどよ、無理すんじゃねえぞ。お前になにかあったら、弟たちが悲しむ」
「ラグナ…」
洛奈の言葉を聞いて銀は笑顔で言った。
「心配すんなって。アタシだって一人じゃない。そうだろ須美、園子?」
「ええ、任せてください」
「心配しなくても大丈夫だよ~、ラッくん」
「刃もそうだよな?」
「兄さん!心配はいらないよ!それに僕は兄さんが兄さんでよかったと思っているからね!」
「おまっ、人前で…ありがとよ…」
四人の言葉を聞いて安心する洛奈だった。
そんなこんなしているうちに五人は訓練用の部屋に着いた。すでにそこには安芸と獣兵衛が待っていた。
「四人とも。午前の訓練、お疲れ様」
『ありがとうございます』
安芸の労いの言葉に快気良く返事する刃たち。
「これからやる訓練は貴女たちの連携を実戦でどれほど通用するかを見るためのものよ」
「おお、待ってました!で、相手はどいつです?」
「これから紹介するわ三ノ輪さん。では十兵衛さんお願いします」
「ああ」
安芸が下がると獣兵衛が前に出る。
「初めましてだな嬢ちゃんたち。俺の名は獣兵衛。さすらいの剣士でラグナの師匠だ」
獣兵衛をおそらく初めて見た勇者たち三人は驚きのあまりか、沈黙していた。なんかまずいことをしたのかと思ったのか獣兵衛が彼女たちに声を掛けようとする。そんな中最初に声を上げたのは園子だった。
「り…」
「うん、君。どうかしたかな?」
園子の体が震えているのを見た獣兵衛は園子に声を掛けに近づいたが、そのときに洛奈は見逃さなかった。園子の目がシイタケになって輝いていることを。
「リアルサンチョだよーーーーーーー!!!!」
「サンチョ?知っているかラグナ?」
「ソノコが好きなぬいぐるみのキャラクターだよ。『やけにダンディーな猫』の」
「久しぶりだな、獣兵衛」
狂喜乱舞しながら獣兵衛に抱き着く園子を余所に目の前にいる猫が実物であることが信じられない銀と須美は思わず洛奈と刃に問い詰めた。
「お、おいラグナに刃!?なんでそんなに冷静なんだよ!?猫がしゃべってるぞ!?」
「ま、まさか妖の類では!?」
「あの男は獣兵衛といって兄さんの師匠、そして『獣人』という種族だ。今ではほとんどみかけないらしいがな」
「マジか…」
「そう…」
「乃木さん、そろそろ離れなさい。獣兵衛さんが困っているわ」
「ははは、大丈夫ですよ安芸先生。『
「は~い♪」
獣兵衛をモフモフし終えた園子が離れた後、安芸が説明に入る。
「これから貴方たちは四人で獣兵衛さんと模擬戦をしていただきます。鷲尾さんのゴム矢が一つでも命中すればあなたたちの勝ち。ただし一つでも味方に当てたら十兵衛さんの勝ち。この合宿の訓練を思い返しながら気を抜かずに挑んでください」
「えっ、本気ですか先生!?そんなに強そうには見えませんが…」
「油断するな鷲尾。獣兵衛とは何度か試合しているが僕も勝ったことがない。猫だと思って挑むと痛い目を見るぞ」
「そうなのね…意外だわ。(それにしてもなんとなくお父様と声が似ているわね)」
そんなことを思っていると獣兵衛の方から待ったをかけた。
「その話だが安芸先生。俺に提案がある」
「なんでしょうか?」
「今日は実は俺の弟子に経験を積ませたくてここにこいつを連れてきてな。そいつと戦わせてほしいんだ」
そういって獣兵衛は洛奈に顔を向ける。
「いけるか、ラグナ?」
「ああ、いつでもいけるぜ」
洛奈は部屋の隅にある訓練用の大剣を取りに行った。木製だが刀身の大きい片刃の剣である。勇者たちから距離を取ると洛奈はそれを四人に向けて構える。
「さあ、遠慮なくかかってきな!てめえら!」
刃たちも戦闘装束のまま訓練用の武器を手に取る。
「行くよ兄さん!遠慮なく行っちゃっていいんだよねぇ!?」
「なんかお前が言うと危なく聞こえるがああそうだ!」
「じゃあいくぞラグナ!後になって謝っても止めないからな!」
「いくよ、ラッくん!」
「ではよろしくお願いします!」
「では位置について」
五人は部屋の中心で向かい合って各々の武器を構える。
「はじめっ!」
「おし!じゃあ行くぜ!」
そう言って洛奈はまっすぐ四人に突っ込む。
「みんな散らばって!アタシが受け止める!」
『分かった!』
「でりゃあっ!」
洛奈の一撃を銀が正面から受け止めると、ほかの三人はそれぞれ距離を取った。刃と園子は洛奈の後ろに回り、須美は囲む三人隙間から弓で狙いを定める。
「やるじゃねーか、ギン!」
「そっちもな!」
「けどなっ!」
そういって洛奈は剣から腕を片方離して銀の腕を掴み、園子の方へと投げ飛ばした。
「うおっ!?」
「あいてっ!」
「よくも!」
洛奈の死角から須美は矢を放つが洛奈はすぐにそれを回避する。しかし移動した方向の上空から刃が飛来した。
「隙ありだ、兄さん!」
迫りくる刃の木刀に洛奈は一歩横へ下がり、
「隙ありはてめえの方だ、ジン!」
「何!?」
刃の木刀が振り下ろされた直後、洛奈は剣を逆手に持って一気にジャンプしながら切りかかった。
「『インフェルノディバイダー』!!」
「ぐああっ!!」
「痛っ!」
洛奈の『かつて』の技、「インフェルノディバイダー」をモロに食らって吹っ飛ぶ刃に洛奈はダメ押しのストレートパンチを決め、刃を壁に激突させた。壁から落下した刃は須美の頭上に落ちてしまう。
「兄さん・・・まさかそんな技を持っていたなんて」
「俺だってこの二年何もしてなかった訳じゃねーからな」
そう言って洛奈は体勢を立て直す。
「おらどうした!まだ俺はやれるぜ!」
「ならいっくよー!」
「うおっ、ソノコ!?」
どうやら自分の注意が刃に向いている内に園子が突撃してきた。不意を突かれた洛奈は咄嗟に剣で防いだが衝撃を殺しきれずに押され、
「ミノさん!」
「おうよ!」
園子の横からすぐさま銀が加勢してきた。
『うぉぉぉぉぉ!!』
「クソがっ・・・!」
容赦のない銀と園子の猛攻に防御に入る洛奈。一応須美の矢は味方へのペナルティーがあるため、動いていれば簡単には撃ってこないはずだ。しかしこのままではいつ足止めされるかわからない。今は押されている洛奈だがこのまま負けるのも不本意だ。
(少し強引な手だが、やるしかねえ!)「まだだ!」
洛奈が思いっきり銀の武器を弾き飛ばしてすぐさま接近して切りかかる。
「うわっ!」
「今だ!『カーネージ・・・」
銀に剣が命中したあと、洛奈は持ち手を両手で掴み、
「シザーーー!!!』」
『きゃああ!』
銀を園子ごと薙ぎ払った。
「悪ぃな、そう簡単には勝たせねえよ」
『まだよ(だ)!』
そういって接近する刃の横から須美が渾身の一矢を放った。
「甘いぜ!」
その矢を洛奈は弾く。矢が空中に飛んだのを見た刃はすぐにそれを掴みかかろうと跳んだ。おそらく直接矢を刺し込むつもりだろう。
「何度跳べば気が済むんだよ!インフェルノディバイダー!」
「ぐっ!」
そんな刃に対して再び技を使い、刃が矢を掴むの阻止する。
「残念だったな、ジン」
「いや、僕たちの勝ちだ。兄さん」
「なにいって「わっしー、今!!」っ!?」
気づいた時にはもう遅い。洛奈が落下すると、須美は自分の後頭部を見事に打ち抜いた。実はこの技、インフェルノディバイダーは切り上げた後は無防備になる。その隙をついて攻撃を仕掛けたのだ。
「はい、そこまで!」
安芸の合図で模擬試合は勇者側の勝利に終わった。
「クッソ~、何とかなると思ってたけどな~」
「いや、ラグナも十分強いだろ。四人がかりで何とか勝ったようなもんだし」
「うんうん。一対一じゃさすがに今のラッくんには勝てないよ~」
「けどまさかせっかく身に着けた技の弱点を一発でバレるとは思わなかったぜ。いつあんな作戦立てたんだ?」
「立てた訳じゃないけどさっき刃が」
『兄さんは攻勢になれば強いが攻められると弱い。しつこく攻撃すれば大技で無理やり引きはがそうとするはずだからその時がチャンスだ』
「ていってたからな。じゃあその方向でって話になったわけ」
「そしたらあの技を出したからね。狙うならあれを利用するしかないっと思ったわけだよ」
「いや利用するっつったってそんな簡単に言うけどよぉ・・・」
まさかここまで簡単に自分の技を逆手に取られるとは思わなかった洛奈は改めて修行に力を入れようと決心するのであった。
「まあ後は鷲尾の矢が確実に当てられるように兄さんを誘導させればいいだけだ」
「うんうん。それはジンジンが一番適任だからね~」
「反論してえとこだが、本当だからな。次はこうはならね・・・うん?どうしたスミ?」
「須美?」「わっしー?」「鷲尾?」
洛奈が後ろの須美を見ると、須美の顔に暗い表情が浮かんでいた。
「…ごめんなさい、みんな」
「わっしー泣いてる!?どこか痛いの!?」
「ど、どうしたんだよ須美!?さっきの刃のときになんかされたのか!?」
「ふざけるな三ノ輪!僕が仮にそういうことをするとしたらそれは兄さんに対してだけだ!」
「おい!今ちょっと聞き捨てならねえことが聞こえた気がするんだけど!?」
「違う…違うの」
いろいろとアブナイ刃の発言は無視して須美はとうとう泣き出してしまった。
「私…自分がしっかりしなきゃと思ってたのに…結局迷ってしまって…みんなの足を…」
「そんなことないって須美!最後はバッチリ決めたじゃん!?」
「あれは如月君のおかげで…」
「ジン、お前スミに何言ったんだよ?」
「大したことはいっていない。『最初にお前が牽制の一撃を撃った後、僕が兄さんの隙を作るからそのとき僕に構わず撃て』と言っただけだ」
どうやら銀と園子が洛奈を引き付けている間に刃と須美は軽い打ち合わせをしていたようだ。
「次からは…息を合わせる…頑張る…」
「…ああ。頑張ろうな!」
「頼りにしているよわっし~♪」
「…ああ、期待しているぞ」
それぞれが自分たちなりの励ましの言葉を須美に掛けると最後に洛奈が口を開く。
「馬鹿、お前に必要なのは『頑張る』ことじゃねえよ」
「えっ」
洛奈の意外な言葉に須美が少し不安げになる。
「お前に必要なのは『肩の力を抜く』ことだ。真面目なのはいいがてめえは少し堅えっつーか、気負いすぎっつーか…あー!とにかく!お前の周りには一緒に戦ってくれる連中がいるから、もうちっと楽にしろって話だ!」
「綾月君…」
それだけ言うとちょっと恥ずかしかったのか洛奈は少し早足で自分の部屋へ戻った。
「兄さん、全く不器用な人だ…」
「ま、ラグナの言う通りだな。それじゃあみんな部屋に戻って目一杯お互いのこと話そうぜ!帰ったらやりたいこととか!」
「いいね~それ!わっしーも行こう!」
「うん……あのっ!」
三人に連れられて自分たちが泊っている部屋へと戻る前に須美は刃たちを呼び止めた。
「ありがとう、励ましてくれて…『そのっち』、『銀』、『刃君』」
「気にするな、次に活かせればいいだけだ…うん?鷲尾、お前…」
「おお!わっしーがあだ名で呼んでくれたぁ!」
「もっかい!もっかいだけお願い、須美!」
「そのっち…銀…刃君…!」
こうして少女たちは洛奈を加えた合宿終盤二日間は充実したものとなり、五人の絆も深まった。後日再び洛奈が彼女らと出会うとあの後見事に敵を撃退することができたという。
以前よりも柔らかい表情でそれを報告する須美の顔を見て、彼女たちの助けになれたことをうれしく思う洛奈であった。
いかがだったでしょうか?
今回は洛奈君と訓練しているからバーテックスと戦う前に須美ちゃんが園子や銀たちに心を開く展開にしました。うまく書けたかな?ちなみに刃が苗字呼びなのは別に嫌っているとかじゃなくて素です。そもそもジン=キサラギが親しくなっても女子を名前で呼ぶ印象がないし(ツバキは幼馴染だから例外)
ブレイブルーのキャラにはそれぞれキャラのテーマbgmがあるんですけどいいですよね。自分は
1.Susanooh II (ハクメン)
2.Rebellion II(ラグナ)
3.Conciliation (Es)
です。因みに今回出てきたわすゆキャラにあったものの個人的なイメージは
鷲尾須美:Condemnation Wings II (ツバキ=ヤヨイ)
乃木園子(小):Catus carnival II (タオカカ)
三ノ輪銀:Variable Heart (マイ=ナツメ)
です。
次回はギャグ回…のはずが洛奈最大の危機!はたしてどうなるのか?
それでは