前回のカオスから一夜明けたことでギャグ的な意味で大変なことになってましたが、とうとうこのときが来てしまいした。最後のジェミニ討伐戦です。はたしてこの戦いの果てに何が起こるのか。
因みに現在の勇者部の寝ている位置関係はこんな感じです。参考にしていただくと幸いです
夏風
東友ラレ
樹刃
それではどうぞ
「う、うーん」
勇者部が散々はっちゃけた昨晩から一夜が過ぎた早朝、結城友奈は目を覚ました。少し寝ぼけてふと自分の前を見ると、そこには眠りについたラグナの寝顔だった。しかも見てみれば自分は彼の左腕にしがみついていた。
「えっ!!?」
これには友奈もびっくり。自分の記憶が正しければラグナの部屋は自分たちの隣にあるため、彼はここに寝る必要はないのである。というより一緒に寝たら何のために大赦がわざわざに部屋も取ってくれたのかが分からない。
「ど、どっどどどうして私、ラグナ君にこんな!?」
とりあえず彼を起こさないよう、友奈はそっと腕を離して少し距離を取った。改めてその寝顔を眺めてみる。普段ではみれない、穏やかな顔だ。
「こうして見ると私たちと同じくらいの年齢なんだなー。いつもはちょっと怒ったような顔しているからもっと年上に見えちゃうよ」
友奈は次に辺りを見渡した。どういうわけか勇者部の面々はラグナを取り囲むように寝ていた。ラグナの頭先では風は夏凜に抱き着いており、刃まで自分たちの部屋でラグナの上で爆睡、樹はラグナの足を枕にしていて、レイチェルも彼の右側で寝ていると、かなり混沌とした状況になっていた。しかも風と夏凜は疎通はしていないもののお互いに寝言で会話していた。
「樹…治ったのね…よかった」
「しゃーないわね…」
友奈は少し心苦しくなる。やはり風は樹の件をかなり気にしているようだった。今度は窓の方へ眼をやると、そこには東郷が四国を囲う壁の方を眺めているのが見えた。
「あ、東郷さん。早いんだね」
「おはよう友奈ちゃん。…ところで昨日の夜に何があったのか覚えてる?」
「え?うーん…ごめんね、あんまり覚えてないかも」
「私もなのよ…なぜか気づいたら綾月君に甘える友奈ちゃんが見えたけどあまりの可憐さにまた意識を失ったからそれ以降何があったのか覚えてないわ…」
「私そんなことしてたの!!?」
「ええ、とてもかわいかったわ。それで朝起きたらみんな綾月君の周りで寝てたの」
「う~…」
東郷の話を聞いて友奈は少し赤面しながら悶えていた。どうやら自分は気づかない内にラグナの迷惑になっていたようだ。後で彼には謝っておこう。東郷はそんな彼女を見てほほ笑んでいた。
「とってもかわいい顔になっているわ、友奈ちゃん」
「も、もう東郷さん!揶揄わないでよぅ~」
「ごめんなさい。いつもは元気いっぱいの友奈ちゃんが珍しく動揺しているからつい、ね」
「う~、そんなことを言う東郷さんには…え~い!」
「ひゃっ!?友奈ちゃん、くすぐったいよー」
東郷が笑っていると友奈は彼女とじゃれあい始めた。すると友奈は東郷が手にとっているリボンに気付いた。
「東郷さん。そのリボン、ここでも肌身離さずだね」
「うん…私が事故で記憶を失ったときに握りしめていたらしいの。誰のものかは分からないけど…とても大切なもの…そんな気がして」
「そうなんだ…海を見ていたの?起こしてくれればよかったのに」
友奈の質問に対して東郷は不安を漏らした。
「次の戦いで…本当にすべてが終わるのかしら?」
「どうしてそう思うの?」
「ほら。バーテックスって『十二星座』から名前を取っているでしょ?でも星座なら他にもたくさんあるじゃない」
「それなら知ってるよ!夏の大三角形とかね!」
「ええ、そうね。あと『13番目の星座』とかね」
「そんなのもあるんだ~。私、知らなかったよ~」
「うん…だからもしかしたらまだこれから先も私たちは戦わなければないかもって」
東郷がそういうと友奈は東郷の髪を整えながら答えた。
「東郷さん…考えてもしょうがないよ。その時はその時にしか分からないし」
「そうよね…一人になると…つい悪い方向に考えちゃって…」
「勇者部五箇条。困ったら相談、だよ。暗いことを考えちゃうなら私、東郷さんが不安じゃなくなるまで傍にずーっといてあげるね!」
「ありがとう、友奈ちゃん…」
髪を結い終わると友奈は東郷を後ろから抱きしめた。そして二人はそのまま朝を迎えた。ちなみにレイチェルは起きる直前に愚図を連呼しながら暴れる寝相の悪さを示したが、そこは友奈たちが事前にヴァルケンハインから貰ったスコーンで沈静化させた。
「さてアンタたち。そろそろ帰る準備をするわよ」
「あっという間に終わっちゃいましたね」
[でも楽しかった]
「ああ、悪くない休暇だった」
「おお、言うようになったじゃない如月。少しは素直になったってことね!」
「何せ兄さんのあんなところやこんなところを見ることが出来たからね!!実によかったよ!!」
「本当、アンタは安定ね。大尉」
「俺からすりゃあれ程長く感じた夜はなかったよ…」
「あ、あの。ラグナ君、なんかごめんね。昨日の私が困らせたみたいで」
「いいよ、お前らのせいじゃねーし。ウサギがやらかしただけだし。まあ俺とウサギ以外は覚えてねーようだけどよ」
「じゃあ、出発するわよ!!帰ったら文化祭について話し合わないとね!!」
帰る支度を済ませた勇者部は荷物を持って玄関の扉を開けると、そこには神官が一人倒れていた。サスペンスに遭遇してしまい一瞬悲鳴を上げる勇者部。すぐさま神官を起こして安否を確認した。
「すみません!!大丈夫ですか!!?」
「おいアンタ!!しっかりしろ!!誰にやられた!!」
「う…こ、ここは?」
神官は気が付くと、自分の周りに勇者たちがいることを認知した。そしてその中で一人の人物を見つけると神官は彼女の名前を叫んだ。
「夏凜!!良かったー、元気そうだね」
「え、まさかアンタ…兄貴!!?」
『えええ!!?』
倒れていた人物が予想外にも自身の兄であることに驚きを隠せない夏凜とそれ以上に夏凜の兄が自分たちを見に来ていたことに驚愕する刃以外の勇者部。夏凜の兄は一度立ってから挨拶した。
「勇者の皆様方、お初にお目にかかります。夏凜の兄の三好春信です。いつも妹がお世話になっております」
「ちょっと兄貴!そんな保護者みたいなことしないでよ!!」
「は、初めまして。部長の犬吠埼風です」
「ありがとうございます、風様。その、うちの夏凜はしっかりやれていますか?友達とかできていますか?」
「ええ、ちょっと強気なところとかあるけど頼りにはなるし、友達もいますよ」
「なッ!!?な、なに言ってんのよ風!!」
「初めまして、夏凜ちゃんのお兄さん!夏凜ちゃんの友達の結城友奈です!」
「ちょっと、友奈まで!!」
「ありがとうございます、友奈様。夏凜、君も本当にいい友達を持てたね」
「だ、だから、その…まあ、うん。そうね」
夏凜が赤面しているのを尻目に今度は刃が出てきた。
「久しぶりだな、三好春信。最後に会ったのは大赦本庁でか」
「ああ、久しぶりだね如月君。うちの妹のこと、色々ありがとうね」
「…やつが危なっかしすぎるから見ているだけだ」
「それでも感謝しているよ…それと」
「どうした?」
春信が意味深な間を入れたことに刃は疑問に思う。春信が口を開けると
「うちの妹を君が嫁に貰ってくれるなら私は大歓迎だよ。でもまさか二人がそんな仲になるなんてね」
『………は?』
とんでもない爆弾発言をかましてきた。彼の言葉がいまいち理解できなかったがやがて二人は旅館中に響くほどの怒号を上げた。
『はーーーーーーーーー!!!?』
「え!?どうしたんだい二人とも!!?」
「何言ってんの、このバカ兄貴!!なんで私がよりにもよって大尉とそんなことをしなきゃなんないのよ!!?」
「三好春信、貴様倒れたときにどこか頭を悪くしたか?何故僕がこの女とそのような関係を結ばねばならないんだ?」
「え?だって昨日の夜に夏凜が告白した相手は如月君だろう?」
「いつそんなこと言ったのよ私は!!それに私がこの変態教官にそんな言葉を掛けるわけないでしょ!!!そんなことするくらいなら見合い結婚の方がマシだわ!!!」
「同感だ。貴様と夫婦の契りを交わすくらいなら僕は生涯兄さんハンターになるね」
「ほら、この有様よ!!」
二人が春信に猛抗議している中、ポカンとしていた勇者部一同に対してラグナはレイチェルの方をジト目で見ていた。どうやらこの男、昨日偶然にもあの騒動の最中で起きた夏凜の告白を聞いてしまい、そのまま倒れたようだった。事実、彼はそれについてしか言及していない。ラグナはレイチェルの方へと寄るとヒソヒソと話し始めた。
(おい、どうしてくれるんだウサギ。これテメェのせいだぞ。何とかしろ)
(いいじゃない。えいゆうさんもあのままでは一生嫁の貰い手が見つからなさそうだし、たまにはこういうことでもしないと意識しないもの)
(あの様子じゃお互いのことをけなしあっているようにしか聞こえねーけど)
レイチェルが止めようとする様子を示さなかったので、仕方なくラグナは春信の誤解を解いた。初めは悪名高い死神が妹と行動を共にしていることに驚く春信だったが、話している内に彼が良識のある人間だということが分かり、話を信じてくれた。
その後、春信は別れの挨拶を残して去っていき、勇者部もそれぞれを待つ家へ戻った。こうして夏休みで様々な思いでを作っていくうちに夏が終わり9月になった。そして…とうとうその時が来た。
「これって…」
「私たちの端末…ということは風先輩」
「ええ、見つかったみたいよ。最後のバーテックスの生き残り」
勇者システムが入ったケースが勇者部部室に来た。それを見て彼女たちは緊張感で気を引き締める。
「本当にごめん…いつも突然で」
「もとから戦うつもりだったし、気にすんなよ」
「ああ、これが来るかどうかなど些細なことだ。障害はただ、滅するだけだ」
[勇者部五箇条、成せば大抵何とかなる]
「…ありがとう、みんな。それにしても…」
理解の深い後輩たちに感謝を示した後、風はあることを指摘した。
「なんか精霊の数…増えてない?」
「言われてみれば…そうだな」
「こうしてみると賑やかになりましたね」
「大赦がアップデートしてくれたんだけど…ちょっとした百鬼夜行ね、これ」
[この中にもしかしたらラグナ先輩のことを怖がらない精霊がいるかも]
「…いや、そうでもねーみてーだ」
樹に対してラグナは否定的な意見を述べた。実際自分からは近づいても新しくきた精霊の多くは彼に警戒しており、唯一自分に近づく牛鬼もまた自身の頭にかじりついていた。
「うわー!!アンタら、自分の精霊の管理ぐらいしなさいよ!!特に友奈!!」
『外道めッ!!』
「もう慣れたよ、ここまでくると…」
「ほら牛鬼~。そろそろやめようねー」
「おのれ家畜!!兄さんの頭にかじりつくなど!!」
「いや精霊に嫉妬すんな、ジン!!」
「ほらほら、全員もう端末に戻りなさい!」
風に言われるがままに皆精霊を端末内に戻した。それぞれ増えた精霊の数は夏凜以外全員一体。奇しくも満開を行った者たちだった。
「くっ…私だけなんで精霊が増えてないのよ」
「やっぱり満開と関係しているのかしら」
「…可能性はあるな。なんかあからさますぎるぜ」
[最後のバーテックスはいつ来るんだろう]
「私の勘では来週あたりに来るわね」
「実は襲撃自体が気のせいだったりしてね」
「いや、それはない…何かが見え始めた。来るぞ」
「見える?」
刃の言い回しに疑問を持った友奈だったが、その前に樹海化警報が鳴った。最後の敵が来た証拠だ。
「噂をすればってことかな…」
「ジン…お前…見えるのか?『線みてーなもの』を」
「あれ?これ兄さんに言ったっけ?まあそうだよ。僕には、『変な線』が見えるんだ。そしてそれは大体…バーテックスが出現する前に見える」
(…やっぱここのジンも『アレ』を持っているかもな)
「兄さんは特に右腕がスゴイことになっているよ。もうこれは線じゃない、塊だ」
「ほざけよ。まあ、それは後でいいからとっとと野郎を倒すぞ」
「これで…本当の意味で、最後…なんですね」
東郷が心配を口にしている内に樹海化が始まった。
「さあ行くわよ!準備はいいわね!」
「もちろん!殲滅してあげるわ!」
樹海に勇者部の面々がたどり着きそれぞれ変身を終えた。そのとき、ある異変に気付いた。
「満開ゲージ…『空っぽ』だ」
友奈が満開を発動させるためのゲージが空っぽになっていることに疑問を持った。一方で夏凜は次の戦いに対して気合を入れていた。
「この戦いで、一花咲かせてやるわ!」
「やめておけ。そんなことをしたところで意味などない」
「ちょっ、人の息込みを邪魔しないでよ!」
刃と夏凜の駄弁りを余所に友奈は何か考え込んでいた。東郷はそんな親友を心配して声を掛けるが、友奈は彼女の声を聞くやすぐに元気な返事を返した。風が前方に出るとまた円陣を組むように部員たちを呼び掛けた。
「敵さんはここで倒して全部終わらせるわよ!勇者部ファイト!!」
『おーーーー!!!』
気合を入れなおしてからしばらくするとこちらに向かってこの前倒したジェミニのもう片割れだと思われるバーテックスが出現した。
「どうやら大尉たちの情報通りだったみたいね」
「双子座…だからかな?」
「何はともあれ、あいつを倒すぞ!!」
「ええ…」
「どうしたの?テンション下げちゃって?」
夏凜が他の勇者部部員の様子の変化に気付いて彼女たちの方へと向いた。見たところ、彼女たちの戦意はあまり高くなっていなかった。おそらく満開のことを考えたんだろう。
「…問題ない!私が行く!」
「あんまり無理すんじゃねーぞ、カリン!!」
「それは兄さんも、だけどね」
「よおーーーしッ!!!」
友奈は自分の顔を数回叩いて気合を出すと風に聞いてきた。
「あいつを倒せば、これでホントのホントで最後なんですね!」
「そのはずよ」
「だったらさっき言ったみたいに早く倒して文化祭の話をしましょう!!結城友奈、行きます!!」
「私に任せなさいっての…ていってもどうせ付いてくるんでしょうね。いいわ、一緒にたたむわよ!!」
「うん!!行こう、夏凜ちゃん!!」
『ヤァァァァァ!!!』
樹海を疾走するジェミニに狙いを定めると二人は同時に急降下パンチでジェミニを強襲し、地面にめり込ませた。動かなくなったジェミニに対して彼女たちは取り囲む。
「よーし、封印の儀、始めるわよ!!」
「障害…これで終わりだ」
封印の儀を行うとジェミニの御魂が出現した。すると御魂は大量に小さく分裂し、溢れかえるようになっていた。
(これ以上他のみんなの満開ゲージを溜めさせるわけには行かない!)
「こいつは私がやるわよ!」
「やめなさい、夏凜!部長命令よ!!」
これ以上満開の危険性を増やすまいと風は御魂を攻撃しようとする夏凜を制止した。すると側からいつもよりも弱いものの、あの悪寒を感じた。
「ブラッドカイン!!!」
ラグナだった。彼は右腕を押さえて全身から黒い瘴気を放つと御魂に突撃し、右腕を巨大化させた。禍々しい手はそのまま無数の小さい御魂を掬い取り、
「闇に…喰われろぉぉぉ!!!」
ベキベキと嫌な音をたてながらそれを握り潰した。御魂は破壊されたことでバーテックスの身体は砂となり、消滅した。これで最後の戦いが終わったのだ。
「なんとか終わったな…」
「ラグナ!?アンタ、なんで勝手に倒しちゃうのよ!?」
「そのゲージは勇者にしかねーだろ。だったら俺らでやった方が良いじゃねーか」
「兄さん、身体の方は?」
「問題ねーよ。ほら」
ラグナは右腕を振り回して自分が大丈夫であることを証明した。それを見てひとまず勇者部のメンバーはみな胸をなでおろした。そんなときに樹海が解け始める。これで元の何気ない日常へ戻れるんだ。
「今日はお祝いにうどんを食べようね!」
「そうね、盛大にやりましょう」
勇者たちは戦いの終わりに喜んでいた。しかし、そのときに異変が起きた。樹海が大きく歪み始めた。勇者たち、特にラグナと東郷、そして友奈の周りを放電する黒い光球が包みはじめ、彼女の姿を含めて砂嵐が掛かったような現象が起きていた。いち早く親友の異変に友奈は手を伸ばした。
「な、なにこれ!!?」
「ちょっ、どうしたのよ東郷!!」
「これはまさか、兄さん!!」
「東郷さん!ラグナ君!捕まって!!」
「友奈ちゃん!!」
「な、こいつは!!」
友奈が二人の手をつかみ取ると同時に3人は虚空へと消えた。屋上へ戻ってこれたのは風、樹、夏凜、そして刃の4人だけだった。
「そんな!!友奈、東郷、ラグナ!!」
「3人とも、どこへいったのよー!!」
「…」
[如月先輩、もしかして知っているんですか]
「ああ。おそらく兄さんたちがいるのは」
「あだッ!!?」
「ここは?」
「友奈ちゃん、大丈夫?」
ラグナたちが現実世界へ戻ると、そこはいつもの屋上ではなく、瀬戸大橋記念公園の近くの社だった。後ろを振り向いてラグナは体の血流が逆転する感覚に襲われる。2年前のあの日から見ることのなかった、破壊しつくされた大橋が目に映った。
「ここは…」
「いつもの屋上じゃないよね…それに端末に電波も入ってこない」
「私の改造版でもダメみたい…一体どうして」
「ほう。この私が開発した端末を改造するとは、お前中々いい腕してるじゃないか」
3人は声の方へ顔を向ける。そこには長いピンク髪のポニーテールをした眼鏡の女性がいた。女性はへそ出しの薄い白衣を着ており、サンダルを履いていた。よく見ると白衣の中の懐には何本ものチュッパチャップスのようなキャンディーがあり、今も一本口にくわえている。
しかし、友奈と東郷が最も驚いたであろう部分は別にあった。なんと目の前の女性の後ろからは二又の尾がみえ、しかも小さいが、猫の耳らしいものが見えた。その人物が誰なのかを聞く前にラグナが怒鳴り始めた。
「あれはテメェの仕業か、『ココノエ』!!」
「うるさいぞ、ラグナ。お前はついでに呼んだだけだ。我々が用があるのはそこにいる結城友奈と東郷美森だ」
「九重って…まさかこの前の赤鬼さんのいる!!」
「そうだ。私が第七機関の九重博士だ。こうして直接会うのは初めてになるな。結城友奈」
友奈はかつて自分たちを襲撃した第七機関の一人と聞いて少し不安になり、東郷は勇者システムを起動させられるように端末を手に取るが、九重はけだるそうに忠告した。
「やめておけ。ここには特殊な『場』を形成している。お前たちではそのシステムを起動させることはできん」
「うっ」
「樹海のあれはやっぱ『事象干渉』か。わざわざこんなところまで呼んで何の用だ!!」
「データを貰えるなら儲けものだが、生憎無理やりするとうちの『お節介』がうるさいのでな。それはいまはやらん。正直、結城友奈のデータはもう少し欲しいところだがな」
なんの感慨もなさそうに友奈のなにかについて言及されて東郷が激昂した。
「何者なのかは知りませんが、友奈ちゃんに危害を加えるなら許しませんよ!!」
「フン。勘違いするな。こっちの本命は貴様だ、東郷美森」
「東郷さんが!!?」
「といっても私は興味がないがな。私はやつに頼まれてお前にどうしても会いたいなどというやつの友人に少し『コツ』を教えてやれと頼まれたから来ただけだ」
「普段は研究室からでねえテメェが、か?」
あの九重博士を動かせる人間がいることに驚きを隠せないラグナに対して九重はやれやれと言っているかのように頭を押さえた。
「ああ、そうだ…2年前から『家』に転がり込んだアイツの娘のせいだ。まさかチャップスを人質にそいつの頼みを聞いてやってくれとせがまれるなんて思わなかったぞ…」
「あ、ああ…」
「しかも今や第七機関のほとんどの家事はやつが担っているからな…ほとんど逆らえんのだ。まあ、メシが上手いのは認めるが…」
「どんな奴だよ、それ…」
九重のどこか哀愁漂う愚痴を聞いていると、奥から穏やかな声が聞こえた。ここ2年、ラグナが聞いて久しい声だった。
「ココちゃん。そんなことを言ってたらミノさんに怒られちゃうよ~」
「はあ…まあいい。あいつには感謝していることは間違いない。それで、どうするんだ?」
「話したいよ。こっちに案内して」
「ああ」
「おい…ココノエ。まさか…」
「そうだ。お前たちを事象干渉で呼び寄せたのは私ではない。やつだ」
3人はココノエに連れられて空間の奥へと向かった。そこには大きなベッドがあり、一人の少女が横になっていた。
少女は四肢を覆うほどの長袖の着物に身を包んでおり、顔も包帯で覆われていた。こちらを見つめる目はどこか寂し気で、そして悲しそうだった。彼女のそんな姿を見てラグナ、そして東郷は身震いしていた。対する少女は左腕をこちらに振りながら挨拶した。
「二人とも…ずっと樹海で呼んでいたよ~…わっしー、ラッくん…会いたかった~」
やっぱそのっちのあのシーンはみていて悲しいな…わすゆを見た後とかだと猶更…その後の園子で元気になってよかった…。
本作のそのっちの満開回数は軽減しているので、一応動く箇所はありますが、やはり寝たきりは否めなかった。
次回、勇者システムの真実が明らかになる…そのとき、勇者部は…それではまた