蒼の男は死神である   作:勝石

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どうも勝石です。

とうとうハザマが動き出し、原作よりも下手するとハードな本作ですが今回の話で風先輩が暴走。はたして勇者たちは彼女を救えるのか?それではどうぞ


Rebel35.突きつけられる過去

「あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁ!!!」

 

犬吠埼風は雄叫びを上げながら大赦へ向かっていた。心がボロボロで痛くて辛くて仕方がない。どうしようもない怒りが風の中で満たされていた。

 

自分を慕ってくれた部員たちを危険な戦いに引き入れてしまい、誰よりも大切な妹から願望(ゆめ)を叶える機会を奪い、信頼していた友人も実は親の仇だった。今の風には大赦とラグナという憎しみの対象しか見えない。

 

だからなのか、後ろから飛来してきたある人物の存在に気付くことが出来なかった。誰かの声がするとその主は自分に話しかけてきた。

 

「ちょっと風!!アンタどこに向かってんのよ!!」

「邪魔をするなぁあぁぁ!!!」

 

彼女のことを追っていた夏凜は風が取り出した大剣の直撃を貰いそうになるが、咄嗟に出した剣で受け止める。応戦をしながらも風は大赦への進路を変えたりはしなかった。

 

「いきなり何があったのよ!!いきなり暴れだしたりなんかして!!」

「勇者の真実も…アタシたちの両親のことも…大赦に問い詰める!!返事次第では…潰してやる!!!」

「真実、両親!!?一体なんのこと!!?」

 

夏凜には風が何を言っていたのかが理解できなかった。彼女は大赦から他の勇者たちの行動に目を配らせ、監督するように指示されていたが、既に敵がいなくなった今、何を不安に思っていたのかが分からなかった。

 

「大赦は!!!アタシたちに勇者の真実を黙っていた!!!アタシたちの身体の後遺症は普通の手段では治らない!!!治すにも身体に機械を入れる必要がある!!!それを全部知っていたのにアタシたちを生贄にしたんだ!!!父さんと母さんの死因だって!!!隠してたんだ!!!」

「何を適当な!?」

「適当じゃない!!!」

 

二人が激突している内に大赦本庁近くへとつながる瀬戸大橋前に辿り着いた。地上戦に移っても風は攻撃の手を一切緩めない。

 

「アタシたち以前にも犠牲になった勇者がいたんだ!!!身体が動かなくなるまで戦って!!!犠牲になった勇者がいたんだ!!!大橋の崩壊も…本当はバーテックスが原因じゃない!!!黒き獣だったんだ!!!」

「く、黒き獣!!?何でアンタがそれを知っているの!!?」

 

夏凜も大赦で過ごしていた頃、当時の教官だった刃からも黒き獣の話は少しではあるものの、聞いたことがある。世界を破壊するバーテックス以上の怪物であると。しかしそれ以外は聞いたことがなかった。せいぜいバーテックスとの比較例として持ち出されるくらいだ。

 

「アタシは大赦も!!!それになったアイツも許さない!!!必ずこの手で倒してやる!!!そして…アレを手に入れるんだ!!!」

「アレ!!?どういうことよ!!?」

 

夏凜が必死に風の猛攻に耐えるが、それでもガードが崩れるのも時間の問題だった。風の大剣の一撃は非常に重く、いくら日頃から鍛えている夏凜でも細い二刀で何度も受けきるのは難しかった。

 

「アレがあれば!!!みんなの身体を治せる!!!バーテックスと戦う必要のない、平和な日常を作れる!!!樹も…願望(ゆめ)を諦める必要も…ないんだぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そう叫びながら風が放った一撃は夏凜を吹き飛ばすことに成功した。弾かれたショックで武器を落としてしまった夏凜は急いで次の剣を召喚しようとするが、その前に風が切り掛かってきた。万事休すと悟った夏凜は目をつむった。

 

しかしその戦いに乱入する者が現れた。ラグナと友奈である。二人で一度風の剣を弾くとラグナはアラマサを構えて風と向き合い、友奈は夏凜を抱き起こして後ろへ下がらせた。

 

「友奈!!ラグナ!!どうしてここに!!?」

「大赦から風先輩が暴れだしたって聞いて…急いできたの!!」

「フウ、もうやめろ!!これ以上は」

「黙れ、黒き獣!!!!」

「は!!!?」

 

風がラグナの姿を見た瞬間、身体中の力が一気に爆発したような感覚に襲われた。気づけば彼女はラグナに渾身の力で大剣を振り下ろしていた。瞬時に反応したラグナはアラマサで攻撃を受け止め、鍔競り合いに持ち込んだ。

 

「おい!!なんでお前がその名前を知ってやがる!!?」

「やっぱりアンタが…アンタがあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ラグナの問いを無視して風は大剣を彼に向かって振り回す。その攻撃を苦も無くラグナは捌くが攻撃そのものよりも気になるものに彼は注目していた。

 

風の眼は明らかに憎悪に満ちており、何度彼女を弾き返しても自分に突貫してきていた。その様はラグナにとって非常に覚えのあるものだった。

 

「おい!!俺がどうしたんだってんだ!!?なんでお前が黒き獣を知っている!!」

「自分でやっておいて知らんぷりな訳!!!?アンタが大橋を壊したんでしょ!!!?」

 

それを言われた瞬間、ラグナの手が止まった。別に忘れていたわけじゃない。寧ろ忘れるはずがない。あの日に自分が起こした多くの悲劇を忘れることなんて…許されるはずがない。

 

「え…嘘でしょ?ラグナにそんなことできる訳…」

「ラグナ君が…大橋を…」

 

その事実は夏凜と友奈にとっても信じがたいものだった。自分たちが知っている限り、ラグナは自分から人を傷つける人間ではない。それはこれまでの彼を見てきて分かったことだ。

 

ラグナが呆けていると、横から大剣の一撃が飛んできた。何もできなかったラグナは力に流されるまま、橋の入口の手摺と激突した。大剣は左腕に食い込んでおり、出血も見られた。

 

「ガハッ!!」

「ラグナ!!!」

「ラグナ君!!!」

 

倒れていたラグナは頭からも血が出ており、手摺に寄り掛かりながら立ち上がろうとしていた。しかしその後、不思議なことが起こった。ラグナの頭や左腕から蒸気が放出されるとその箇所の傷が塞がったのだ。しかしそんな細かいことに意を介することなく、風はラグナに問い詰めた。

 

「答えなさい!!!アンタが2年前の大橋崩壊の原因なの!!?」

「……ああ」

 

しばらくの沈黙を得た後、ラグナはその事実を認めた。勇者たちが立ち尽くす中、ラグナはポツリポツリと真実を話し始めて行った。

 

「俺は2年前、大橋でバーテックスと戦って…その時に魔道書が暴走して…黒き獣になって…大橋を…壊した」

「……アンタ、その時に死者が出たのは知っているわよね!!!?」

「……ああ」

 

ラグナが風の言葉に肯定の意を示すと風は満開の真実を知ってから、いやあの日からバーテックスに募らせていたであろう怨み辛みを吐き出すかのようにそれを彼に暴露した。

 

「あの時に死んだのはね!!!アタシと樹の両親なのよ!!!!アンタのせいで!!!!アタシたちの家族は滅茶苦茶になったのよ!!!!」

 

そのとき、ラグナの視界はグニャリと歪んだ。別に事象干渉が起こっているわけではない。風の口から出てきたそれを彼が理解した瞬間、身体から意識が離れたような感覚に陥っていた。

 

両親が死んだ。誰の?風と樹のだ。それは何故?大橋が壊されたからだ。ならそれは誰がやった?

 

自分だ。

 

「………」

「ッ!!!何とか言いなさいよ!!!!」

 

怒鳴る風に対してラグナは立ち尽くすことしかできなかった。苛立ちと悲しみのあまりに風はラグナの胸ぐらを掴みかかる。それに対してラグナは抵抗しなかった。

 

ラグナは思い出す。かつて『あの世界』で自分が『ユウキ=テルミ』に住んでいた教会を焼かれ、シスターも殺され、ジンとサヤが攫われたときのことを。あのとき、例えどんなことをしてでもテルミを探し出し、殺したいと強く思った。今の風は正にあの頃のラグナそのものだった。

 

(こいつから見て…今の俺はあの時のテルミみてーなもんか…)

 

かつて最も憎んだ相手と自分の境遇が重ね合わされるなんてざまあないなと思っているラグナを余所に、風は彼を橋にある休憩場の方へと投げ飛ばした。何も言い返さないラグナに対して風は声を張り裂けた。

 

「返せ!!!!アタシの家族を、返せ!!!!」

「……済まねえ」

 

起き上がってこないラグナにさらに風は馬乗りになって彼を殴りかかる。拳を振り下ろす度に枯れた声で怨嗟と後悔をまき散らす。

 

「何でこんな目に遭わなきゃいけない!!!!」

「グッ…」

「何で父さんと母さんが死ななきゃいけない!!!!」

「グハッ…」

「何でみんなは身体を犠牲しなきゃいけない!!!!」

「ゴホッ…」

「何で樹は家族を、声を、失わないといけない!!!!願望(ゆめ)まで手放さないといけない!!!!」

「グアッ…!!!」

「世界を守るために戦った代償が…これかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

涙を流しながらも風はラグナを一方的に殴るのを止めない。しかしどれだけ殴ってもラグナは抵抗しようともしない。逆に自分は泣いて、叫んで、攻撃して、疲労がたまる一方だった。風は最後にラグナに向かって縋るように叫ぶ。

 

「アタシよりもよっぽど強いアンタなら!!!!アンタの蒼の魔道書なら樹の声も!!!!みんなの身体も!!!!世界もどうにかできるんでしょ!!!!本当に申し訳ないんだと思ってるなら!!!!!やって見せてよ!!!!アタシのこの願望(ゆめ)を形にしてよ!!!!!『蒼』の力を使って…樹の願望(ゆめ)を…守ってよ!!!!!!!」

 

それを言い終えると風は泣き伏しながらラグナの胸を弱くも殴りつける。最早攻撃するだけの気力も彼女にはない。ラグナも苦悶に顔を歪めていた。出来ることならそうしたい。自分に責任がある以上、それを償いたい。でも、彼には風の願望(ゆめ)を叶えることはできない。

 

「フウ……済まねえ…蒼の魔道書は…本物の『蒼』じゃねえ…模造品なんだ…俺では…お前の願望(ゆめ)は果たせねー」

「……どういう…ことよ?」

「『蒼』は…『境界(きょうかい)』と呼ばれる場所にあるんだ…ここには…ないんだ」

「そんな…そんなことって…」

 

絶望で周りが見えなくなった風は大剣を握り直すとその柄頭をラグナに向けて剣を振り上げた。

 

「うあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そしてそれを思いっきりラグナの顔に向かって刺そうとした。ラグナもぼやける視界の中で迫りくるそれをスローモーションに見えながらそれが自分の頭蓋を砕くのを待った。

 

しかし風は突如横から衝撃を感じて、ラグナの上から吹き飛ばされた。風が自分にしがみつくその人物に目をやると自分を止めようとしているのが友奈だと分かった。

 

「友奈!!!退きなさい!!!」

「嫌です!!!私、風先輩が誰かを傷つけるところなんて…見たくありません!!!」

「聞いていて分からないの!!!?こいつは…アタシたちの両親の仇なのよ!!!!大赦とかの連中とグルになって…私たちを騙していたのよ!!!!」

「それは…ちげー…!」

 

ラグナは片膝を立てながら風に自分の思いを訴えた。

 

「お前の両親を殺してしまったこと…それは…本当に済まなかった…もし俺を殺したいなら…俺も抵抗はしねー…」

「な、なにを急に!!!」

「お前を…お前たち姉妹をこの戦いに引き入れる原因を作ったのは…間違いなく俺だ…悪いのは…俺なんだ」

「なんで今それを!!!」

「でもな!!!!俺は一度も…お前らを…テメェらを騙そうとも…大赦と組んだ覚えも…生贄にしようと思ったこともねー!!!!それは…レイチェルも…ジンも同じだ!!!!」

 

ラグナはふらつきながらも絞り出すように言うと、風は友奈を引き離そうとしながら嗚咽の混ざった声で叫んだ。

 

「アタシだって…こんなことになるんだったらみんなを…樹を巻き込んだりはしなかった…」

「風先輩…」

「風…」

「そしたらみんなが傷つくことなく、平和に生きていられたんだ…樹も無事でいられたんだ…!!!」

「フウ…」

 

風はそう言って友奈を引き離すことに成功するとじりじりとラグナに近づきながら大剣を振りかぶって攻撃したがそれも友奈の拳でに弾いて二人の間に立つ。そのときに満開ゲージもたまる。

 

「やめなさい、友奈!!!アンタ、風を止めようとしてさっきからゲージがたまりまくっているでしょ!!?そのままでは満開に!!!」

「ッ!!!!」

「風先輩を止められるなら…これくらい!!!」

 

夏凜が指摘したことを聞いて風は攻撃を躊躇った。ラグナも友奈に怒鳴る。

 

「ユウナ、退きやがれ!!これは…俺とフウの問題だ!!!」

「絶対に退かない!!!」

「バカ言ってんじゃ」

「バカを言っているのはラグナ君の方だよ!!!」

「なっ!!?」

 

友奈がラグナの言葉を撥ね退ける。誰か争うことを嫌う彼女にしては珍しい行動だ。

 

「もし風先輩がラグナ君をこれ以上傷つけたら…ラグナ君が死んじゃうよ!!!その時に一番傷つくのは…樹ちゃんなんだよ!!!」

「それは…」

「大好きなお姉ちゃんが誰かを死なせたら…樹ちゃんが泣くんだよ!!!如月君もレイチェルさんも…この前会った乃木さんも…話していた妹の沙耶ちゃんだってラグナ君が死んだら…すっごく悲しむんだよ!!!!そんなこと、絶対にさせない!!!!」

 

友奈はそれを言い終えた後に風の方に向いた。

 

「風先輩だって…本当はどこかでラグナ君を憎み切れないんじゃないんですか!!?悪気があったわけじゃないんだと、分かっているんじゃないですか!!?だからそんなに怒っているのに、泣いているのに、とどめを刺せたがらないんじゃないか!!?ラグナ君を…信じたいんじゃないんですか!!!?」

「ゆ…う…な…」

「もうやめてください…風先輩…お願いです」

 

それを聞いて風は剣を下す。ラグナは思わず友奈にどうしてここまで危険な目に遭いながらも自分たちを止めようとしてくれたのかを聞いた。

 

「お前…どうしてそこまで…」

「だって私は…勇者だから。誰かが悲しむようなことなんて…起きてほしくないよ。それに二人とも。悩んだら相談、でしょ?少しずつでもいいから、時間を掛けながら話し合おう?」

「…アタシは…大赦とこいつが…ラグナがやったことを許せない」

「…ああ。俺も…自分が許されていいとも思わねー…」

「でも…攻撃するたびに…こいつがいつも前に出て、アタシたちを助けようとしていたことを思い出してしまう…本当のアンタがどっちなのかが…自分のやっていることが正しいのかが…分からなくなってしまう…」

「…俺も分からねーよ…最善だと思ったのに…どうしてやることがこうも裏目に出んだろうな…」

「アタシも…勇者部なんて作らなければ…!!」

「何言ってんのよ、風!!!」

 

風の言葉の最中に夏凜が声を上げた。何事かと彼女の方へと注目した。

 

「アンタはそう言っているけど…私は勇者部にいられて…良かった。正直最初はふわっとしていて…面倒だと思っていて…大尉の豹変ぶりとかにも苦労させられたけど…だけど!!!」

 

夏凜はそう言った後、強く宣言した。

 

「私はアンタたちと過ごせて楽しかった!!居場所ができて…良かった!!だから…そんなこと言うんじゃないわよ!!」

「夏凜…」

 

夏凜の言葉を聞いていると、風の背中に誰かが抱き着いてきた。振り返るとそこにいたのは樹だった。

 

「い…つ…き…」

 

樹は何も言わない。ただ首を横に振っていた。まるで悪いことをしてはいけないと言い聞かせているかのように。

 

「ごめん…ごめんね…樹…アタシのせいで…アンタは…」

[私たちの戦いは終わったの。もうこれ以上失うことはないから]

「でも…でもッ…!」

 

姉の懺悔の言葉を聞く前に樹はあるものを取り出した。それは自分が願望(ゆめ)を持つきっかけとなった、『あの日』に貰った勇者部からのメッセージである。その紙に樹は書き加えた。

 

[勇者部のみんなと出会わなかったら、きっと歌いたいって夢も持てなかった。勇者部に入って本当によかったよ]

「風先輩、私も同じ気持ちです。だから、勇者部を作らなければなんて言わないでください」

「うぅ…うあああーーーーー!!!!!」

 

二人の後輩と妹の言葉を聞いて、風は泣き崩れた。そんな彼女を、妹である樹は歯を食いしばりながらも涙を流すことなく抱きしめていた。姉妹の様子を残った三人は見届けた。風が泣き止むと樹は端末にメッセージを書き入れ、ラグナに見せた。

 

[ラグナ先輩。話はさっきの喧嘩から聞こえました]

「…そうか…イツキ…本当に済まねえ…」

[なら絶対にお姉ちゃんを泣かさないでください。私はこれ以上は望みません]

「…分かった。約束するよ」

[ありがとうございます]

 

 

樹は本当に強いなとラグナは感心するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや~?これはどういうことなんですかね~?」

 

軽い口調で場に入ってきたその人物に勇者たちは目を向けたときに驚いた。そこにいたのは黒スーツの男だった。風にラグナの情報を教えた張本人がそこにいた。

 

「結城…さん?」

「峡真伯父さん?どうしてここに?」

「いえ。私、少し『用事』がありまして」

「…そう。でももうこっちのいざこざは終わったわよ。もう風は落ち着いたし」

「え~?何言ってるんですか、夏凜さん?」

 

峡真はまるで夏凜がおかしなことを言っているようにそういうと、彼は告げた。

 

「まだ死神が『生きています』よ?勇者を『攻撃』した彼はすぐに『処刑』しないとだめじゃないですか~」

『…え?』

 

呆気にとられる勇者たちを余所に峡真は次に風に話しかけてきた。

 

「それにしてもなんでそこにぼーっとしているんですか、風さ~ん。その男は貴女たちのご両親を殺したんですよ~?憎くないんですか~?」

「…確かにまだ整理はついてないけど…でも」

「あ~もう、ダメダメ!!死神は『殺して貰わない』と『困る』んですよ~。私」

「へ…?」

 

ニヤケ顔で恐ろしいことをさも当然を言わんばかりに発言する峡真に勇者たちは恐怖を覚える。目の前の男は何かがおかしい。全く話が噛み合っていない。

 

「お…伯父さん?何を言っているの?」

「あー、友奈さんですか?貴女には後で来ていただきますのですみませんが、ちょーっと退いてください。すぐに終わらせますから」

 

家で過ごすときとは全く雰囲気が違う峡真に友奈は困惑している間に峡真は懐からあるものを取り出した。彼愛用のバタフライナイフだ。勇者たちは峡真の後ろを見るとそこにあった光景に言葉を失った。

 

「う、うぐっ…」

『おい、テイガー!!!応答しろ、テイガー!!!』

『父さん!?大丈夫!!?』

「赤鬼さん!?」

「赤鬼!!!」

「アンタ、あいつに何したのよ!!」

「いやですね?あの鬼は貴女たちを監視していたようだったので、『処分』致しました。あれ?でもまだ動くんですね?ま、放っておいてもいいでしょう」

 

峡真は風にさらに畳みかける。

 

「まあ。貴女が死神、ラグナ君に勝てるなど『メダカのクソ』並にしか期待していませんでしたが、まさか殺し合いそっちのけでやっすーーーーいお涙頂戴をやっているとは思いませんでしたよ。やっぱり、犬は所詮『駒』にすらなりませんね~。猫よりはマシですが」

「こ…ま…」

 

そう言いながら茫然とする勇者たちと自分に怒りの籠った眼を向けるラグナと樹を無視して峡真は手に持つナイフを弄びながら悪魔の笑顔を浮かべる。

 

「全くもう一人仕込んでおいたあの娘も仕事が遅いですし。お仕置きするためにもとっとと目的を果たしますかね」




とうとう悪いハザマが勇者たちの前に姿を現しちまった。

誰かーー!!!ハクメンと十兵衛とセリカを呼んでくれーーー!!!!

次回、とうとう対ハザマ!!!それではまた
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