銀魂が最終回を迎えてしまいましたね。筆者は虚が地球に攻めてきてからの話は見てませんが、終わってしまったと聞いたときは寂しかったです。ゴリ…空知先生お疲れさまでした。
今回の話で東郷さんが壁をスパーキンッ!!!!!!してしまうわけですが、察しのいい方の予想通り、あの娘が止めに来ます。それではどうぞ
The wheel of fate is turning…Rebel…1…Action!!!
東郷はついに大橋付近に辿り着いた。ここを攻撃すれば壁は破壊され、四国を守る結界に穴が生じる。バーテックスはそこを通って神樹を破壊せんと侵攻してくるだろう。そうすれば友奈たちはもう戦う必要がなくなる。守る世界はとうになく、自分たちの生を縛るものもいなくなるから。
東郷は全てを終わらせるためにライフルを出現させ、引き金を引こうとした。その時だった。
「そこの貴女、何をしているのですか?」
東郷は声の方へ振り向くとそこには白装束を着た大赦の神官が一人いた。唯一の違いはその者の装束は全身を覆うローブのようになっており、つけている仮面は大赦を示す神樹の意匠の下に大きな目があることだ。
「その仮面…審判の羽ということね」
「…そちらは現勇者の東郷美森様とお見受けしますが、このような場所で何をなさっているのでしょうか?壁の…それもこの大橋近辺は関係者以外立ち入り禁止のはずです。速やかに退去することを願いします」
「あなた…まさか子ども!?」
その者から出たのは真面目そうな少女の声だった。背丈も少し低く、下手をすれば自分よりも若いかもしれない。これに東郷は怒りを覚えた。
「子どもにすらこんなことをさせるというの…大赦は!!」
「…優しいのですね。私は万が一の場合、貴女を捕縛するよう命じられてここに来たというのに…」
「だって…こんな…!!」
「敵の私の身の上を知って怒れるから…貴女は、貴女たちは勇者なのでしょうね。『刃兄様』にも一目を置かれていただけはあります」
目の前の神官はどこか悲しそうにそう言いながら仮面を取り外し、フードを外した。そこから露わになったのは横髪の両端近くに丸い金属の髪留めをした赤髪の少女だった。
「貴女は…」
「やはり…そうなのね…こうして直接見れば良く分かるわ」
少女が自分を悲しそうに見ていることを東郷が不思議に思っていると彼女はさらに言葉を続ける。
「私は大赦第零師団所属、『
「…残念だけれど私は従うつもりはありません」
「何故です!?ここがどういう場所なのかを貴女だってご存じのはずでしょう!?それなのに武器まで取り出して、一体何をなさるおつもりですか!」
「ごめんなさい、弥生さん。でも私はやらなければならないの」
「どういう…」
「私は…大切な友達を救いたいの…だから、壁を壊すわ」
椿姫からすれば東郷の発言は到底信じられるものではなかったのだろう。彼女からすれば勇者は四国を守る存在。みんなの憧れであり、誇りであり、正義の味方だ。あの日から彼女たちが自分が所属していた学校からいなくなった後もそれは変わらなかった。
なのに目の前の東郷は四国を守る壁を破壊するといったのだ。友達を救うためにと。しかし壁の破壊とはつまり大赦への、そして神樹への反逆を意味する。何より彼女の行動と動機に矛盾を椿姫は感じた。
「…これが最終勧告です。どうしても従わない場合…実力を以て拘束します!」
「どれだけ言われたとしても私は退かないわ。もう…これしか方法がないの…」
何かに縋りつくように東郷がそう返すと、椿姫は意を決する。確かにいくつか戦闘用の術式は知っているが、そんなものを中学一年の女子が使ったところで勇者に勝つことなどできない。そんなものは彼女たちと最も近くで戦っていた敬愛する刃の強さを見ていれば分かることだ。
だから『それ』を手に取った。椿姫は目を瞑って念じると『それ』を起動させる。彼女の身体が眩い光に包まれ、東郷は眩しさに思わず顔を隠した。その間、椿姫は『それ』を呼び覚ませる。
「我が右手に持つは
椿姫の周りの光が治まるとその装束はもう大赦のものではなかった。彼女の服装は全身が白の服だが、大赦のものよりも身体のラインがはっきり出ている。特徴的なのは羽がついた帽子で、こちらを覗くように見る目がある。手に持っているのは橙色の短刀と辞書のような盾。盾にも帽子同様の目がついている。見たことのない武装に東郷が動揺している中、椿姫は高らかに声を上げる。
「『
「ッ!!」
東郷はハンドガンを二つ取り出し、戦闘態勢に入る。初めに動いたのは椿姫の方だった。
「『
椿姫がそう言い放つと二人の周りは黒へと塗り替えられる。四国を差す夕日の光も壁もなくなり、暗い空間に東郷と椿姫のみが立ち尽くしていた。見慣れた樹海とは異なる変化についていけていない東郷に対して椿姫は短刀で切り掛かる。
「ハァッ!!」
ジャンプ移動しかできない東郷は彼女の攻撃を銃で何とか受け止めるが力は拮抗する。自分を押さえる椿姫の腕力は東郷の予想以上だった。年頃の少女はもちろん、大の男にも軽く勝てるだろう。何とか新しく実装された衛星兵器で椿姫を後退させると、東郷は彼女にその真相を聞いてきた。
「貴女…まさか勇者なの!!?」
「…もしそうでしたら私は『こんなもの』に頼る必要はありませんでしたよ。でもこれを使わなければ…
椿姫は東郷に向かって駆け出そうとするが東郷が足元を攻撃してくるため、接近できない。ならばと椿姫は辞書のような盾を自身の前に展開させた。
「『インストール』!!」
椿姫が叫ぶと彼女が持っていた盾は本のように開き、ページのようなものが次々と捲れて行った。羽のような光がそこから漏れ出ている様は東郷からすれば自分たちの満開ゲージが溜まっていく様子に酷似しているように見えた。
(あの兵装…まさか満開と同じような力が使えるのかしら…)
もしそうならこの戦いをすぐに終わらせなければならない。十六夜が危険だと感じた東郷はすぐさまハンドガンを撃って椿姫を無力化しようとするが、盾にはその攻撃は効かなかった。エネルギーを充填させた椿姫は次に盾の目から光球を放った。
「『
放たれた光球はそれほど速いものではなかった。だがそこへ椿姫は盾を前にして突っ込んできた。
「『
「うあっ!!?」
光を纏って突進してきた椿姫は東郷の銃撃を以ってしても止めることはできず、東郷の腹に彼女は激突した。それでも精霊が椿姫の攻撃を防いだことで身体への直撃は免れた。
しかしそれでも遠距離を主軸に戦う東郷が不利なのは変わらない。もう今は椿姫の攻撃範囲の中だ。蹴りと盾から放たれる翼の連続攻撃に紛れて椿姫は短刀を巨大化させて下から切り上げる。
「『
「ああっ!!」
東郷は上空へ飛ばされると、椿姫の身体が光に覆われる。彼女が東郷を追ってジャンプすると自分の下に展開された方陣から光の槍が複数現れて東郷へと向かい、椿姫もまた短刀を突き立ててきた。
「『
「これ以上好きにはさせないわ!!」
しかし東郷もやられっぱなしではない。ハンドガンで自身に迫る槍を相殺し、精霊を前面に出して椿姫の攻撃を東郷は止めた。そこへ攻撃の勢いを止められた椿姫に東郷はグリップで殴りつけて追い払う。堪らず椿姫は地面に激突し、東郷はリボンのおかげで無事に着地する。
「ッはぁ…まだです!!『
「こっちもよ!!『護国弾・無双』!!!」
椿姫は盾から何本もの剣を召喚してそれを射出し、東郷は展開した衛星とハンドガンで弾幕を張って全て打ち落とす。遠距離戦ではお互い一歩も譲ることなく爆発と煙ばかりが広がる。東郷もそうだが椿姫も全く引けを取っていない。彼女自身は決して戦闘自体はではないがそれでも東郷にくらいついていた。
何より椿姫自身の気迫も相当なものだった。それは東郷にも十分伝わっているが、生憎自分も負けられない理由がある。ここで捕まれば自分は大赦に何をされるか分からない上にここの警備も恐らく以前よりも厳重になる。そうなったら友奈たちを救うチャンスは一気に少なくなる。そんな最中、椿姫が東郷にその真意を聞いてきた。
「何故そこまでにして戦うんですか!!?壁が破壊されれば、多くの人々の安寧と四国の秩序が脅かされるんですよ!!」
「お願い、退いて!!!こうしないとみんなを…勇者部のみんなを救えないの!!!」
「貴女の発言は矛盾しています!!ここで神樹様に危害を加えるようなことをすれば、殺人ウィルスが四国に入って来るんです!!勇者である貴女たちだって死んでしまうんですよ!!友達を救うどころか自分の手で殺めるおつもりですか!!?」
「だったらどうすればいいの!!!?みんながどんどん身体を神樹に捧げていって、ボロボロになって!!最後にはあんな暗い部屋で崇められて!!!一生人でもない存在として生き続けろというの!!?」
「そ…それは…」
椿姫だって勇者のあんな仕打ちには納得していない。中学に入学してすぐに衛士として大赦に入ってから彼女は小学五年の祭り以来、久しぶりに乃木園子に会った。最初にあの姿を見たときの衝撃はこれから先忘れられるとは思えない。そして先日に大赦から招集されて園子がいる場所へ向かったらそこには同じく祭りでともに巡った須美がいた。しかし以前は足が動いていたはずなのに今は車いすに乗っていたところを見て、恐らく園子と同じことが起きたのだろうと悟った。
「しかも治るといってやるのは武器の入った機械を体に埋め込むことだけで、しかも外には無数のバーテックスが待っているのよ!!!やがて機械では庇い切れない代償まで払うことになるわ!!そのときに友達がおかしくなるのをみることしかできないし、いずれはそれをみて何とも思わなくなるなんて!!!そんなの嫌よ!!!」
「バーテックスが…無数にいる!!?殺人ウイルスじゃないんですか!!?」
「何をいっているの!!?貴女たちが隠していたじゃない!!壁の外には世界が終わっていて、バーテックスしかいないのよ!!!」
壁の外がどうなっているのかの真実は椿姫は知らない。それも仕方のないことだ。彼女は大赦に入ってから数か月しかたっていない新人の中学生だ。そんな情報が伝えられるはずがない。そして東郷の語った言葉が真実ならば、自分の慕う刃は終わりのない戦いに身を投じているということになる。
「そんな…それじゃ…刃兄様は…ずっと帰ってこないというの!!?」
「刃…兄様?貴女、まさか如月君の義理の家族なの?」
途中から互いの情報に齟齬があることに気付いた両者は一旦攻撃を止めた。
「刃に…如月大尉のことをご存知なんですね…」
「ご存知も何も…彼は私たちと一緒に戦っているわ…」
「そうなんですね…」
「でもこのままでは彼も綾月君も戦い続けて、そのうち死んで、忘れ去られて、そして大赦はそれをきっと隠すわ、私のときのように!!だからお願い…貴女も如月君のことが大事なら分かって!!」
東郷の話を聞いて椿姫は動揺し始めた。それは今までの椿姫の人生の根幹を揺るがす情報だったからだ。
椿姫の家、弥生家は十二宗家の中でも特に力のある家で、神樹への信仰も当然ながら篤い。だから神樹を祀っている大赦が正義であるのは当然の認識だし、一族もみな大赦で仕事をしている。しかし彼女の家は血統を気にするあまりに近親婚を繰り返した結果、子宝には恵まれず、彼女が生まれる前には既に何人かの兄姉が亡くなっていた。
そんな家に椿姫は生まれた。勇者や巫女にはなれなかったものの、術式という新兵装を使う能力が高かったうえに元気に育った彼女を見てきっと神樹のために大きな働きをしてくれるだろうと期待した家の人間は彼女を非常に大事に育てた。結果、椿姫は園子並の箱入り娘になった。
一応神樹館には通っていたが、それでも彼女も家のことで警戒されて話しかけられることはなく、帰りもすぐに迎えがきた。だから友達はできなかった。しかしそんな日々も大赦の会合に出席した両親に連れられた時に変わった。
刃と出会ったのだ。彼と出会って話すととても楽しく、彼も神樹館に通うことを聞くと度々彼のいる教室へ向かうようになった。刃もそれを拒むことはなかった。当然そこで他の勇者とも面識を持つようになった。彼のクラスメイトだった園子は何故か自分と刃をキラキラした目で見ながら何かを書き記していたが。
そして小学五年の花火大会の日、彼女は刃に連れられて初めて祭りに行った。そこで彼女は初めて刃の兄であるラグナと自分と同年代である沙耶と出会った。あの時の沙耶は家の関係上緋色のえるという偽名で名乗っていたがそんなことは椿姫は知らないし、知っていたとしてもそれほど気にはしなかっただろう。一度しか会えなかったが、同い年との思い出ではこれが椿姫にとって最も楽しかったものの一つだからだ。
しかし大橋が崩壊したあの日から全てが変わった。何とか無事に帰ってきた刃はその後、学校から帰ると鍛錬に明け暮れ、椿姫と過ごす時間が劇的に少なくなった。椿姫は刃の心境を理解はしていたものの、やはり寂しかった。聞けば勇者たち三人は転校したと聞かされ、学校も全体的に暗い雰囲気に包まれていた。
それからは椿姫も術式の鍛錬をはじめ、第零師団に配属された。大赦の目となって四国の秩序を守るために。だからこそ大赦を悪だという東郷の話にショックを覚えた。そのせいか、椿姫の視界が『暗くなり』始めた。
「うっ…くっ…」
「貴女、どうしたの!!?」
「目が…見えなくなってきて…」
「そんな…!!」
東郷は今の椿姫の症状をみてすぐに何が起こっているのかを理解した。恐らくあの兵装は満開と同じように何かを代償に力を行使しているのだろう。このまま使わせる訳にいかないと東郷は椿姫にすぐ武装を解除するように叫んだ。
「すぐにそれを解きなさい!!このままでは貴女も代償を!!!」
「大赦が…神樹様が…そんなことを…そんな…先輩たちも…みんな生贄だなんて…でも世界が…」
どうやら椿姫には東郷の声は届いておらず、先ほどから様子がおかしい。まるで何かとらわれているかのようだ。東郷はすぐさまライフルに持ち替えて、椿姫に弾丸を撃った。放たれた弾は椿姫の帽子に命中し、それを吹き飛ばした。ヘッドショットを決められた椿姫は十六夜のフィードバックも相まって気絶してしまい、同時に彼女が張った結界と兵装は解かれてしまった。
東郷は倒れた椿姫を刑部狸と青坊主に抱えさせた後、ライフルを携える。壁の端から飛び降りた後に壁に向けてライフルを構え、引き金を引いた。壁は爆発四散し、巨大な穴が生じる。そこからバーテックスがウジャウジャ入ってきた。
「これで…全てが終わるのね…私たちの戦いも…この歪な世界も」
とうとうやった。壁を壊した。これで勇者部のみんなが何かを失いながら戦う必要もなくなる。みんなが救われる。
「友奈ちゃん…もうこれ以上誰にも貴女を傷つけさせないから…」
陸地の方で起こっている悲劇を知るよしのない東郷は暗い表情のまま河のように入って来るバーテックスを眺めていた。
流石に十六夜を着ただけじゃあ覚悟ガンギマリの東郷さんには勝てませんでしたね…それでは…あれ?なんか暗転して
《椿姫の断罪》
「今回は私、椿姫がちょっと言いたいことがあってきたわ」
あ、はい
「ねえ、勝石。今回の話で私、実に30話ぶりに登場したわよね?」
そ、そうですね
「それなのに私負けちゃった上に台詞が原作と違うのだけれど…どういうことかしら?」
いやだって、あそこで貴女が勝つのは展開的にも問題があるし、ゆゆゆの世界を考えるなら流石に「天」を治めるのフレーズはタブーかなぁと思いまして
「…まあいいわ。それならまだ許容できるもの」
ほっ
「だけどね。一つだけ、許せないことがあるのよ」
ひょ?
「なんで…私の知らない間に…刃兄様の周りで女性キャラがあんなに多いのよ!!!しかも知らない間に何か許可されてるし!!!私、認めないからねそんなこと!!!」
お、おう…
「というわけで勝石…」
はい!なんでしょう!!?
「みか…じゃなくて、神樹様に代わり、あなたを断罪します!!!!!!」
ぎゃああああああ!!!!!
「それでは次回、死神対上里沙耶様!!ご期待くださいね」