のわゆアニメ化するってマジ?まだ正式発表じゃないけどもしそうなったら色々ワクワクしますね~…こっちは大変なことになってますけど。
さてこちらは夏凜と刃の活躍回。そして後半で衝撃の事実が明らかになる。…これ神樹サイド大丈夫かな?それではどうぞ
「おい、今なんつったココノエ!?サヤが戦線に参加してるだぁ!?」
『気づいたらあの馬鹿が飛び出ていたんだ!まさかアレが出てくるとは…あークソ!どうなっている!!』
「アレ…!まさかベルヴェルクか!?」
『知っていたのか…』
「ウサギからはあるって聞いていたからな…サヤのところに行ったのか…』
ラグナは急いで壁の方へ駆けつけている途中で九重から沙耶の参戦を聞いていた。正直沙耶の身体のことを考えると戦いに巻き込みたくはなかったが、どういうわけか彼女はアークエネミーを持っているようだった。
「…ココノエ。サヤのやつ、身体は大丈夫かよ?アイツ、昔から病弱なのに…」
『…試しにやつのバイタルを計測したが、これまで以上の健康体だった。ベルヴェルクには精密射撃を行うために使用者の精神異常の原因となるものを押さえ込むリミッターが存在する。アレのおかげで沙耶は精霊たちからの干渉を受けなくなったのだろう』
「ただ外した瞬間…一気に溢れるってか?」
『ああ、だが戦うと決めたのはアイツだ』
ラグナは少し悩んだが、妹の意思を尊重することにした。
「…分かったよ。アイツらのこと、頼んだぜココノエ!」
『ナビならなんとかしてやる。今はとにかく前に進むことだけを考えろ…マズイな』
「おい、どうした!?」
『バーテックスどもめ…本格的に侵攻を始めたようだ。未完全だが、大型も来ている』
彼女の言葉をラグナは前を向いた。その視線の先には何体かの大型バーテックスがマグマのような色をしながら壁を越えてくるのが見えた。
「あんまり時間はなさそうだな…行くぜ!」
そう言ってラグナは壁へ走って行った。
✳︎
「まさかこれほどの数がいるなんて…これじゃあ、犠牲無しでは済まないでしょうね」
「どうした。ここに来た以上、泣き言は許さんぞ。やる気がないなら帰れ」
「ハッ、まさか。私だって…どうしても守りたいものが出来たからね」
バーテックスたちの群れを見ながら言い合っていたのは夏凜と刃だった。ここに来るまでバーテックスとは殆ど遭遇していない。後ろにいる他の仲間たちが押さえてくれているおかげだ。
夏凜は端末の方に目をやった。その待ち受け画面にはあの誕生会で勇者部全員と撮った写真があった。今までこんなことをする機会はなかったから戸惑ったものの、今となっては大事な思い出になった。
夏凜は大赦で勇者の訓練に明け暮れる前から友達と遊ぶと言ったことは全くしていない。それどころか彼女のズバッと言ってしまう性格故に友達というもの自体がいなかった。
家の方でも家族、とりわけ兄はとても大事にしてくれたが、彼の優秀さにどうしても劣等感を抱いてしまっていた。大赦の方でも多くの人間は『春信の妹』としか認識されていなかった。そのせいか、峡真に指摘された時はかなり動揺してしまった。
そんな中で、勇者部は自分を受け入れてくれた。競合の激しかったあの頃の反動で普段以上にトゲトゲしていた自分をだ。中でも友奈は本当に親身になって接してくれたのが実はとても嬉しかった。
「…アンタにはちょっと言いたいことあるんだけど、いいかしら?」
「なんだ。手短に言え」
刃がそう言うと夏凜はそれを言った。
「あの時友奈たちに私の住所を教えてくれたの、アンタだったってね…ありがとう」
「…全く何を言っているのかが理解できないが、何のことだ?」
「ラグナが教えてくれたのよ。だから、私が居場所を見つけられるきっかけをくれた礼をしたかっただけ」
「兄さん…教えるなって言ったはずなのに…」
「遅かれ早かれバレていたわよ。あの時に私の住所なんて知っていたのはアンタくらいだと思うし」
「…フン」
刃は夏凜の方を見ずに敵の一団を見据える。今の自分はユキアネサが使えない以上、夏凜の剣を借りるしかない。そんなことを考えているところへ夏凜は言い放った。
「あと私…もう『大赦の勇者』として戦うのは…やめるわ」
「…そんなことを僕に言ってどうする?」
「私はこれから…『勇者部の一員』として戦う。私たちの居場所を…絶対あんな蛇野郎に壊させない!…それを言っておきたかっただけよ」
夏凜の言葉について刃は何も返さなかった。しかしそれはつまり異論はないという意思表明でもあった。代わりに夏凜が話を進めた。
「大尉。アンタ、今ユキアネサを使えないんでしょ?下がってなさい」
「この数を一人で相手にするつもりか?…満開の危険性は知らないはずがないだろう」
「それだけのことをしても良いと思うほど…あの娘たちは魅力的だったのよ。それに…勇者部五箇条、成せば大抵何とかなる。でしょ?」
「五箇条…ああ、あったな。そんなものが」
「あれは勇者部のルールみたいなものでしょ?だから勇者部の私もそれに則って行動するわ。みんなが…友奈や東郷が帰ってくる場所を守るために」
夏凜がそれを言うと刃は再び園子の話を思い出した。ルールは何故あるのか。それは安定した空間を保つためだ。では何故安定は自力では保てないのか。それはそれを乱す悪が存在するからだ。ならばその悪はどうやって鎮めるのか?
「ふ…ふ…ふふ…フフフ…フフフフ…」
「ちょ、何よ。急に笑ったりして。気持ち悪いわよ」
「フハハハハ…フハハハハハ!!!そうか…そういうことだったのか!!!園子め、随分と回りくどいことをしてくれたものだ!!」
刃は腰のユキアネサに手を掛け、自身の前に持ち出す。これまでとは比べ物にならない暴風が吹き荒れ、背筋が凍るほど周囲の温度が低下し始めた。刃はどこか凄みを感じる笑みを浮かべていた。
「あの時から戦うことに迷いなどなかった……ただ僕があの日の運命を…そして今の世界を受け入れることを、長い間拒んでいただけに過ぎない!!」
[諸行無常]
「私全然話についていけてないから、説明してよ!」
「説明などするまでもない…今ここで見せてやるからな!!!」
「なっ…」
「見せてやろう、三好夏凜…バーテックス…そして天上に座しているものたちよ!!『世界』の『
雪の結晶が舞う中、刃は目を大きく開きながら叫ぶ。
「我は『
鞘から刃の愛刀が抜き放たれると周囲は極寒地獄と化した。樹海全体に冷気が行き渡り、彼の周りも凍り付き始める。近くにいた星屑も被害に巻き込まれて凍り付き、そのまま落下して着地と同時に砕けた。対する刃はどこか活力に満ちていた。
「長い微睡みの中から覚めた気分だ…」
「その様子なら、下がれっても無駄みたいね!」
「当然だ。僕を誰だと思っている…貴様こそ遅れを取るなよ、『三好』!!!」
「遅れを取るですって…アンタこそ、追い越されても知らないわよ!!!」
刃の迫力に触発されて夏凜も剣を二本取り出す。そして彼女も相対する怪物たちに名乗りをあげる。
「さあさあ!!ここからが大見せ場!!遠からん者は音にも聞け!!近くば寄って目にも見よ!!これが『讃州中学2年』、『勇者部部員』!!!『三好夏凜』の実力だーーーー!!!!」
二人の剣士は敵の大群に突撃し、次々と星屑を切り刻みながら二人は力を開放させた。
「もってけ!!!満開!!!!!」
「行くぞ、バーテックス!!!オーバードライブ!!!!」
同時にヤマツツジをかたどった光と雪の結晶を表した方陣が出現した。夏凜は四本のアームを持つユニットに乗ったまま、次々と雑魚を倒していく。
「勇者部五箇条ひとーつ!!挨拶はぁぁ、きちんとーー!!!」
刀の一振りと自身から射出される剣で次々とバーテックスが殲滅されていく。対する刃は邪魔な星屑を切り倒しながらヴァルゴに向かって一撃を叩きこむ。
「勇者部五箇条一つ…なるべく諦めない!!霧槍尖晶斬!!!」
刃に触れて一瞬で凍り付いたヴァルゴにさらに刃は追撃を浴びせ、さらに横薙ぎでキャンサーの方へと吹き飛ばした。
「『
「おおおああああ!!!」
ヴァルゴたちの方へ夏凜が突進して穿ち、そのままその後ろにいたキャンサーを奇襲した。キャンサーもプレートでガードしたが彼女の勢いを止めることなどできず、剣先がプレートに突き刺さって取れない。夏凜は蹴りを入れてそれを粉々に破壊し、キャンサーを両断した。
しかし敵を倒した直後の彼女を狙うものがいた。彼女の背後から鋭い針で屠らんと迫るスコーピオンだ。夏凜は咄嗟に腕でガードしようとしたが、彼女たちの間に割って入ってきたものがいた。
「勇者部五箇条一つ…良く食べて…良く寝る!!」
スコーピオンの針が刃の展開した方陣に触れると瞬く間に刃はスコーピオンを切り付けた。敵はそのまま凍り付き、刃も何度も切り付ける。終いにはスコーピオンは氷漬けのままバラバラになり、刃が剣を納めると砕け散った。
「虚空刃…雪風!!!…ッ!」
そこで刃のオーバードライブの効果は途切れてしまった。秩序の力に目覚めた彼は以前のような精霊の精神汚染を受けなくなったが、体力的な問題で疲れが生じたようだ。そこを狙ったのだろう、サジタリウスが容赦のない針の雨を降らせてきた。
「危ない!!!」
そこへ夏凜が針を剣で弾いていく。しかしそれでもユニット中に針は刺さってしまった。そのせいでエネルギーを使い果たしてしまったのか、満開は解けて右足の周りをリボンのようなものが包んだ。どうやら代償は払ってしまったようだ。
「くっ…なんのーーーー!!!」
「ううおおおお!!!」
だがそれでも二人は止まらない。すかさず刃は氷翔刹で針の雨を防ぎ、さらに上から夏凜が剣を突き立ててバーテックスの上部を破壊した。
「勇者部五箇条ひとーつ!!悩んだら…相談んんんん!!!」
同時に夏凜は満開を発動する。再び咲いた花から夏凜は突撃し、後ろからサジタリウスを断ち切る。残るはピスケスだけだが
「あの魚野郎、どこに…!!?」
その巨大魚は地中から夏凜の方へと迫って来た。だが彼女に辿り着く前にピスケスの動きは止まってしまった。なぜならばそれは完全にもう一人を失念していたからだ。
「貴様はいつまで経っても学習しないな…星より生まれた屑が…」
二度目のオーバードライブを発動させていた刃は樹海の根にユキアネサを突き刺していた。伝わった冷気はピスケスの身体をあっという間に捕らえ、徐々に凍り付かせ始めていた。
だがピスケスも必死に氷を振り払おうと暴れ狂う。それを押さえんと刃も出力を上げ続ける。
「やれーー!!!!」
「…勇者部五箇条…ひとーつ!!!!」
彼の叫びを聞いて夏凜もピスケスに突貫し、敵を切り裂かんと力の全てを振り絞る。暴れようにも胴体のほとんどが分厚い氷の中に閉じ込められている以上もうピスケスは動けない。そして二人は同時に叫んだ。
『成せば大抵…なんとかなるーーーーーー!!!!!!!』
怒号を挙げながら夏凜は御魂のあるピスケスの頭部にクロス状に切断し、身体は刃によって完全に凍り付いた。
「『二双斬・瞬足刃』!!!」
「煉獄氷夜!!!」
大型が全て倒し尽くされ、二人の剣士は穴のある方角へと己の得物を向けた。
「その眼に収めたか、貴様ら!!!!」
「これが!!讃州中学、勇者部の力だー!!!!」
とうとう体力の限界が来たのか二人はその場で倒れ、強化も解除してしまった。
✳︎
「おい、あいつらが落ちていくぞ!!」
『落ち着け!!座標は割り出した。指示を送るから私の言う通りの場所に向かえ!!』
「…クソが!!!待ってろよ、ジン!カリン!」
二人の激闘を確認したラグナは戦いの場へと急いだ。しばらくするとそこには倒れた夏凜と剣を地面に突き立てながら辛うじて立っている刃がいた。
「おい、お前ら無事か!!?」
「その声…ラグナね」
「しっかりしろ、カリン!!立てるか!?」
「ごめん…ちょっと力を出しすぎちゃって立てないみたい…でも心配はいらないわ」
「そうか…」
次に刃が兄に話しかけてきた。
「兄さん…ここまで来たってことは」
「ああ。サヤなら無事だ。今は園子たちと戦ってるらしい」
「何?そんなことが沙耶に出来るのか?やつは身体が弱かったはずだが」
『沙耶は今、お前と同じようにアークエネミーを持っている。それに大人数の中で戦っているんだ。心配はいらないだろう』
「貴様は、九重!!何故ここに!!?貴様は三ノ輪とともにいるのではないのか!!?」
「…色々訳アリでな。とにかく時間がねー。ジン、お前身体は?」
ラグナは過去にオーバードライブをした刃を知っているからか、彼に言葉を掛けた。それに対して刃も返事を返した。
「園子のやつの言う秩序の力とやらに目覚めたおかげか、今まで以上に精霊による汚染を感じないよ。ただ…」
刃はそれを言ってから少し苦い表情を浮かべた。ラグナもその理由もなんとなく察していた。夏凜は自分から身体の状態について話し出した。
「…持ってかれたのは右足と視力みたい…ごめん二人とも…」
「…そうか」
「二人とも…見た…私の…大活躍…」
「…ああ、バッチリこの目に焼き付いたさ」
「…相変わらず猪突猛進なところはあったが、少しは成長したようだな」
「ハハハ…ラグナはともかく…大尉まで…素直に褒めるなんて…明日は…どうなる…でしょうね」
「…一言余計だ、馬鹿者」
「ねえ、二人とも…ちょっと聞いて」
男二人は彼女に耳を貸した。
「私…今までずっと大赦の勇者の訓練で友達とかそういうのいなくて…家の方でも…正直居場所があるようには感じられなかったんだ…自分の存在価値なんて戦うことだけだと思って…悔しいけど…あの蛇野郎の指摘も…半分は当たっていたと思う」
「そうだったのか…」
「…」
「だから勇者部のみんなと過ごした時間は…本当に楽しくて…依頼を一緒に受けたり…海に行ったり…誕生日会も…」
そう勇者部との思い出を楽しそうに語る彼女に二人は真剣に聞く。しかしその途中で通信が入ってきた。出てきたのは意外な人物だった。
『みんな、生きてはいるかしら?』
「レイチェル!!テメェどうやって!!?」
『突然私の部屋に来たのだ!!おいレイチェル!!なんのつもりだ!!』
『峡真について私の方からも調べていたのよ。最も最悪の事実が見つかってしまったのだけれど』
「最悪の、だと?どういうことだ?」
レイチェルの言葉に刃は思わず聞き返してしまう。レイチェルも悔しそうな表情を浮かべながら説明し始めた。
『あの男…結城峡真は確かに人間よ。それは間違いなかったわ。誕生した記録も、きちんと存在している』
『それは私の方でも見た!まさかそれだけじゃないだろうな!!』
『そうでしょうね、彼の記録はそこまでしか残っていなかった…でもやはり私にはそれらがあの男を見たときに感じた危うさと説明がつくようには感じなかったわ。だから最後の手段を用いたのよ』
「何したのよ、レイチェルさん」
『お父様の書庫を覗いたわ。そしてそこに全ての答えがあったのよ』
神妙そうにそういうレイチェルに対してラグナはそれについて掘り下げるように促した。
「教えてくれ、レイチェル。何があったんだ?」
『…貴方たち。神樹が多数の土地神の集合体であることは知っているわね』
その事実に対して全員頷きながら肯定した。そんなことはこの世界に生きる人間ならば知らない方がおかしいほどの常識だ。
『神樹は実に300年近く…貴方たちを守ってきたわ。でもね。それを構成する神々は意思のある個体なの。当然不満、怒り、狂気…そういったものも持ち合わせているわ。それは多くの伝承でも確認されていることよ』
「神樹はたくさんの神が合体しているってわけじゃねーのか?」
『そんな単純な話の訳があるわけないでしょう、この駄犬。人間、果ては生命が何の苦も無く生きていけるほどの環境を300年整えるのにどれだけ絶妙なバランス調整を行わなければならないと思っているの?』
「じ、じゃあ一体どうやって…」
『レイチェルの言う通り、神樹は単純に神同士が結合しているのではない。あれは様々な神が広大なネットワークを構築することでそれぞれの神の権能を併用できるようにし、大樹の形になったものだ。それによってアレは四国全土の環境を保てている。そして少しでもどこかで歯車が狂えば…それは災害や事故という形で現れる。樹海化も壁もある意味、バーテックスという名のウイルスをシャットアウトするためのファイアーウォールやセキュリティだ』
(…細けーところは分からねーが…要はマスターユニットやタカマガハラと同じってことか)
ラグナはかつての世界での神々と今の自分たちの神を連想していると、そこで刃が何かに気付いたようだ。
「待て、レイチェル=アルカード、九重。貴様らの話を聞く限り、神樹を構成する神々には意志があるといったな。そしてそれには負の情念も少なからず存在すると。そんな状態でよくも300年、この世界を保つことができたものだな」
『そう…システムに感情を持ち込んではならない。だから彼らは決めたわ。自分たちの負の情念を結集させ、一つの塊にしたの。そしてそれを外の世界へ排出したわ。これで彼らは自分たちの衝動を抑えていたの』
『……おいおいおい待てレイチェル!!それはまさかそういうことなのか!!!?』
「どうした、ココノエ!!?」
『聞いていて分からないのか、この大馬鹿者!!!こいつが今言ったことが真実なら、奴は!!!!』
「わ、分からないわよ!!ちゃんと説明して!!」
九重が突然荒振り出した原因が分からないラグナたちの中で夏凜は更なる説明を求めた。
『負の情念を一つの塊にしただと!!?馬鹿な!!そんなものは内面が破綻しているとは言えども、構造は立派な『魂』だろうが!!!そんな危険なものを出したというのか!!?』
『当然野放しというわけには行かないわ。だから世界や神樹は残った僅かな生命を守るために送ったのよ。秩序の力を持つ者たちの魂を。そして神を殺し得る天ノ逆手を持つ者をね』
「僕や結城友奈のことか…」
刃の発言に対してレイチェルは肯定するとラグナはある疑問を提示してきた。
「神樹がその情念ってやつを外に出したのは分かった。けどよ。どうやって出したんだ?まさかそれが精霊とかじゃねーだろうな?」
『…もしそうならどれほど良かったでしょうね』
「何?だってそれぐらいしかいねーだろ?後は動物か人間…ッ!!!」
『流石にここまで来れば貴方でも分かるようね。そうよ。彼らがとった方法は、その塊を一つの生命として外の世界で誕生させることよ。人間としてね』
「それが…峡真の正体かよ!!!クソがッ!!!」
レイチェルの話を聞いてラグナはあの世界で戦ったテルミの顔を思い出す。あれがここでも繰り返されるのか。そうならば笑えない話だった。
『今思えば…あのテロ騒動でも似たようなことが起きたわね』
『…神世紀72年の大規模カルト団体によるテロか…あれもそれが原因だったのか』
『ええ…そしてそのときは当時の『友奈』によって倒されているわ。『
それを聞いて夏凜は推測を述べた。
「まさか…アイツが友奈を狙うのは…昔の怨みから!!」
『いいえ。確かに友奈という少女の力を本能的には警戒したと思うけれど、記憶自体は峡真のものだから先代の事情は知らないはずよ。彼が友奈さんを狙ったのは天津神に反旗を翻す以上、彼女の力を利用した方が良かったから。恐らくかなり前から計画をしていたでしょう。峡真自身が天津神の存在を知ってからが始まりだったでしょうね』
「…おい、レイチェル」
ラグナは最悪の予想が来ることが分かりつつもそれを聞かずにはいられなかった。
「その神様からの情念つーのは…みんな同じくらいなのか?」
『…いいえ。多くのものから出てきたのはそれこそ少ない量よ。ただ一柱だけ、極めて強いものを持った神がいるわ』
「…そいつの名前は?」
『…かつて天津神の一人であったものの、その気性の荒さによって『
『『…まさか!!?』』
『そうよ』
そこにいる全員がその神を予感すると同時にレイチェルは静かにそれを告げた。
『あの男を生み出した邪念の元は…『
「なん……だと…!!!?」
「よもや……神が相手だとはな……」
『不幸中の幸いというべきはアレが本人ではなく、いわば彼の神の中にあった悪意や破壊衝動が人間の肉体となったものであること。最も残虐さと狡猾さはオリジナルの比ではない。そして、どういうわけかラグナと同様に魔道書を手に入れたことであの男は…完全な『
「おい…アイツにユウナを利用されちまったら!!!」
『いいこと、ラグナ!必ず友奈さんを奪還しなさい!!でなければ世界が終わるでは済まないわ!!』
レイチェルの言葉を聞いて夏凜は二人に強く言った。
「ラグナ、大尉!!!私は大丈夫…早く行って!!!友奈を…お願い!!!」
「…心配すんな!ぜってーにアイツを助けて見せる!!」
「…先の言葉を忘れていないだろうな、三好」
「…当たり前でしょ」
「ならば良い。僕たちは先へ急ぐぞ」
彼女に急かされてラグナと刃は壁のある方へと向かった。様々な者の思いを背負って。そして峡真の野望を打ち砕くために。
前に峡真は人間だといったな。ああ、言ったとも。普通のとは言っていないが。…アラクネじゃないけどどうしてこうなった。
というわけで本作のハザマは簡単に言いますと
・出自:スサノオ
・誕生前関係:テルミ
・人間としての姿:ハザマ
という最凶最悪の悪魔合体を行った結果誕生しました。ある意味ハザマとテルミが同一人物として扱うって感じです。もう滅茶苦茶だよ。
次回ははっきりいいます。ハザマ注意報を発令します。それではまた