遂に誕生日イベが始まりましたね。筆者は周回は余りせずにストーリーで満足って人だけど皆さんはどうでしょう?
初めの話は短めに。最初はちょっとシリアスだけど大丈夫。次の回でギャグになるから。それではどうぞ
ー『ラグナ=ザ=ブラッドエッジ』ってどんな人だったの?ー
二人だけで文化祭の準備を進める中、何気ない友奈の口からいきなり飛び出た質問を聞いて、ラグナの周りの時間が止まった。
勇者部のみんなは身体が回復したが、他の部員は最近まで車椅子だった友奈を気遣って屋内の仕事を任せ、全員材料の買い出しでいない。ラグナが一緒だったのは友奈が彼に話があるから残って欲しいと言ったからだ。
「な、何だよユウナ? そんな名前の奴と会ったことあるのか?」
「あるのかっていうか、ラグナ君…というか『さん』なんだよね?」
ここまでハッキリと言われてしまうと、最早隠すことが出来ないとラグナは悟った。しかし同時に不思議にも思った。
自分がかつての世界でラグナ=ザ=ブラッドエッジだったことを話したのはレイチェルだけだ。他の誰も知っているはずがない。勇者部の仲間はもちろん、家族である刃たちも、当然書史部の峡真さえもだ。
だがそこでラグナはあることを思い出す。以前レイチェルが言うに大赦では自分を「血濡れの刃」と呼んでいる者もいると聞いている。それならば峡真も聞いているだろうし、それを友奈に言ったのかもしれない。何故このタイミングかはさておき。
色々な可能性を考えながらもラグナは平静を装って友奈に真相を聞くことにした。
「どこでその名前を知ったんだよ、ユウナ。後いつもの呼び方で構わねえよ」
「………聞いても驚かない?」
いつもの元気の良さはどこへやら、友奈はどこか不安そうにこちらの了解を求めた。ラグナは何も言わずに頷いた。
「ラグナ君が私を助けたときのことは覚えてるよね?」
「まあ、色々あったからな。忘れたくても後先忘れられそうにねえよ」
「あの時も後も私、色んなものを
「…何を
「…四国とは全然景色も建物も違う場所だったんだよ。会ったことのある人も何人か
「…ユウナ。出来ればこっちでは聞かねえものでお前が
ラグナの顔がどんどん深刻になっていくのが分かったのか、友奈は少し戸惑いながらも元気に話した。
「じ、じゃあ言うね! えーっと確か…『カグツチ』、『統制機構』、『イカルガ』、『六英雄』、『境界』…あ! 後『三輝神』!」
「そうか…そこまでで構わねえ。最後の奴は…他の奴に知られると碌なことにならねえからな」
友奈があげた数々の単語を聞いてラグナは確信した。彼女があの時
「…もしかして、問題だった?」
「…分からねえ。ただ言えんのは、お前が見たそれは全部本当にあった出来事でラグナ=ザ=ブラッドエッジてのは俺のことだってことだ」
「じゃあ、史上2人目のSS級犯罪者で最高金額の賞金首だったてことも?」
「…アキツの窯をぶっ壊して、たくさんの人間を殺してしまったことも全部…事実だ」
どうやら今の友奈にはこれまでのラグナの歴史が殆ど分かっているようだ。だが不安なことがあった。仮に友奈が自分のこれまでを
「一応聞くが、どこまで
「ううん。
「…今のお前なら分かるかもな…ニューと戦った後、俺は『何回』黒き獣になった?」
「何回…えーっと、そのニューさんに負けた後は沙耶ちゃん…じゃなくて『ノエル』さんに助けられたんだよね?」
聞いたところから推測するに彼女はあのループは
平和的で争いを好まない友奈があれを見てどう感じたのだろうかと思いながらもラグナは彼女に問いかけた。
「…それでどうだったんだ? あっちの俺を
「………ラグナ君が酷いことをしてしまった人だって知ったのはショックだった…」
「………そうか」
かつての罪は消えたりなんてしない。改めてそれを思い知ったのであった。でもそれでも受け入れなければならない。他の誰でもない、自分が行った過ちだから。しかしその後友奈が言葉を続けた。
「…でも」
「何だ?」
「教会が燃え落ちて…お母さん代わりだったシスターさんが殺されて…ジンさんに腕を斬り落とされて…しかもサヤさんがテルミさんに拐われた時のラグナ君を
「あれも
「…伯父さんの関係で?」
「……あっちのハザマとテルミも
こっちでもとんでもない人物だったが敢えてラグナはそれを口にしなかった。友奈はそんな彼の手を取る。
「あの時のラグナ君、本当に不安だったんだね。伯父さんを見た時にあそこまで怒ってたのも…テルミさんを思い出させるから…」
「…そのことならもう気にしてねえよ。それに言っただろ? あの後のお前の言葉を聞いて、俺は嬉しかったってな」
「ありがとう…ラグナ君、一つ聞いても良いかな?」
「良いぞ」
「最後にみんなの記憶から自分を消して…存在が無くなって…死んだ時に怖くなかったの?」
友奈はそれを聞くと、ラグナは少し考え込んでから返答した。
「……怖かったか、か。別に死が怖くねえってのはねえけど…そうだな。あの時はサヤ…『ジ・オリジン』を助けたかったし、ジンやノエルが生きる未来を守りたかったからな…多分そっちの方が大事だっただけだと思うぜ、当時の俺にとって」
「…」
「難しく考えんのは性に合わねえしよ。出来なかったらとか考える余裕もなかった。ただ、諦めたくなかったんだ。アイツを…サヤを助けることを…結局色んな奴の大事なもんも壊してしまったけどな…」
諦めたくない。言うだけならまだしも目の前の男は本当にそうしなかったから笑い物など出来ない。色んな人から目の敵にされたり、出会った弟や妹のクローンは自分と殺し合いになったり、何度も死にそうな目にあったにも関わらず、それでも立ち上がったのだから。
当然諦めかけたこともあった。でも仲間にも恵まれていたこともあって彼は立ち上がることができた。例えその先がどれだけ大変であっても。
「…ラグナ君のことを勇者って呼んだセリカさんの言葉が良く分かった気がするよ」
「そういやそんなことを言われてたな、 なんか懐かしいぜ…てあれ? セリカと今の母さんが同じ名前で師匠の嫁はコノエ…『ナイン』で娘がココノエ…ってことは…やっぱシスターってセリカだったのか…」
「え、そうだったの!!? 気づかなかった〜」
「俺も今になるまで確証なかったっての。そういやシスターも壊滅的な方向音痴だったな…」
そんな昔の思い出を感慨深く思い返しながらも彼は最後に友奈に話した。
「…俺としてはあまり昔のことを話して欲しくねえってのはあるが、お前が話したいなら俺は止めねえ。アイツらも知る権利はあるしな」
「うーん、でもこんなこと話しても信じられないというより信じたら信じたでとんでもない騒ぎになりそうだね。それにラグナ君も話して欲しくないみたいだし、言わないでおくよ」
「…ありがとな。俺自身のことは仕方ねえけど、三輝神…とりわけ『マスターユニット』は知られたら何が起こるか分からねえ。アレで人間はヤベエことに足を突っ込んじまったからな」
「分かった…でも」
「どうした?」
友奈が笑いかける理由が分からず、ラグナはつい聞いてきた。
「ラグナ君は大人っぽくてすごいなぁって思ってたけどまさか本当に私たちより年上だったなんて思わなかったよ〜。道理で大人びてたわけだ〜」
「これからはさん付けとかマジで勘弁してくれよ…あの頃の俺とノエルならともかく、今の俺とテメェは殆ど年変わんねえだろうが。それにいきなり呼び方を変えられてもむず痒いっての」
「じゃあこれからもいつもみたいに呼ぶね! そういえばこのことで他に頼りになる人はいないの?」
「…テメェのそれはウサギにも相談するよ。アイツなら何か原因が分かるかもしれねえし、俺の事情も知ってるしな。テメェほど鮮明に
「分かった!! レイチェルさんなら安心だね!! でも私たちだけなんだ…なんか秘密結社みたいで楽しいね!」
「そう、なのか? よく分からねえがテメェがそれで良いなら俺もそれで良いぞ」
子供みたいに楽しそうな友奈を見て何が何だか良く分からないラグナは取り敢えず深く考えるのをやめた。あれからそれなりに時間が経っているからそろそろ風たちが帰ってくる頃だ。
あの戦いの後に学校で風に会ったラグナは最初は何発か殴られる覚悟をしていたが、風が自分の頭に一つゲンコツを喰らわせた後
「今のは無理して身体を勝手に傷つけた分よ。全く、無茶して妹さんを心配させるんじゃないっての」
「え? え?」
「…と・に・か・く! アンタの昔やったことは取り返しのつかないこと。でもアンタは本気で友奈を、勇者部を守ろうとした。だから…アタシはアンタを信じるわ」
「フウ…」
「ほーら! 早く部室に行くわよじゃんじゃん部員としてこき使うから覚悟しなさーい! アッハッハッハッハー!」
「ったく…わーったよ。待ちやがれ、部長!」
そんなこんなで風と和解を果たすことが出来たのであった。改めてラグナは樹がすごい姉を持ったものだと感じた。
✳︎
「それでウサギ。何か心当たりはないか?」
「……あの娘が特別だというのは知っていたけれど、まさか『アレ』に覚醒するなんてね」
「…まさかだが、アイツが…この世界の『眼』か?」
「大正解」
レイチェルがそれだけ言うとラグナはやはりかと返した。窯で精錬された時、精霊バリアもあって友奈は境界に接触することができたのだろう。その時に様々な事象を
「ええ。あの娘には宿っているわ。『真の蒼』が」
「つまりユウナが…」
「この世界の『蒼の継承者』、またの名は『カラミティトリガー』よ。あの緑膿菌は知らなかったみたいだけれど」
「単純に天ノ逆手だけじゃねえのか?」
「アレだけではないわ。友奈さんは生まれたその時から…蒼を内包した娘なのよ。歴代の友奈のどれにも例外はないわ。友奈以外はね」
「うん?ユウナ以外?」
「貴方には高嶋友奈、と言った方がよろしいのかしら?全くそれくらい察しなさい、鈍感」
「生憎そのタカシマ=ユウナに会ったことがねえんだよ。俺は…」
「…そういえばそうだったわね」
どうしてかレイチェルは残念そうに言ってから素早く話題を戻した。
「それで、あの娘は貴方の過去…というよりラグナ=ザ=ブラッドエッジという存在を認識してしまったというのね」
「これ以上面倒ごとが増えるってのも嫌だからな…あっちの継承者のノエルも散々な目に遭ってたからこっちでもはやめて欲しいぜ」
「それ、不吉を呼ぶ言葉だからあまり言わない方がよろしくてよ」
「…マジで勘弁してくれ」
ただでさえ峡真が消息不明で怪しいのにそれは笑えない。
「そういやウサギ。さっき歴代つてたが、何人ユウナはいたんだ?」
「そうね…私が知る限りでは『13人』よ」
「…ノエルは『12人』目だったな。こっちも13人いたけどよ」
「『次元接触用素体』のことね…貴方の世界の科学者たちはとんでもないことをしたものだわ。よせば良いものを」
「…間違いなくイカレてる奴がいたから反論出来ねえよ」
観察好きの変態仮面を思い出しながらラグナは言った。
「…明日アイツには俺から話しておくよ。他の部員には…少し悩むが…」
「言っても構わなくてよ。貴方の正体だって友奈さんにバレているし、あの娘も話すつもりがないならそれを伏せて説明すれば良いじゃない?」
「…そうするか。ユウナに関してはトウゴウに説明しておかなきゃならねえ。正体は…まあバレたらバレたで仕方ねえか」
今あまり込みいったことを話しても良いことは無い。讃州中学ではまもなく文化祭が始まるからだ。前の学校ではあまり積極的に参加しなかったラグナだが、今回は勇者部のみんなと一緒な上に家族である沙耶と芹佳も来るそうなので俄然やる気になっていた。
「そういえば貴方、劇をやるのよね?どんな役なのかしら?」
「なんか勇者が冒険を記録するときに寄る協会の神父らしいぜ」
「そういうのに疎い私でも聞き覚えのある役なのだけれど…」
「勇者はユウナで魔王はフウ。カリンは裏方でイツキが音楽を流すんだ。進行はトウゴウだったな。後ジンは姫だそうだ」
「まさかよりにもよってえいゆうさんが姫だったとはね…とても面白そうだけれどどうせロードローラーみたいな名前なのでしょう?」
「良く分かったな。それ裏設定なんだよ」
「何が良かったのよ…怒られそうで恐ろしいわ…」
想像以上にフリーダムな勇者部の劇の内容を聞いて呆れながらも楽しそうに笑うレイチェル。
「それでクラスではなにを?」
「…メイド喫茶」
「ということは貴方は裏方ね」
「…」
「……まさか、貴方『も』?」
「野郎どもが積極的過ぎたんだよ…」
初めに誰かが悪ふざけで出した案だったのだが、どう考えても自分たちが客になりたいだけであろう男子たちはほぼ全員それに投票した。結果として見事に決定したものの、女子の中から大ブーイングが発生。
男対女の激突になりそうの中、何をトチ狂ったのか、女子の一人が爆弾を投入した。
「だったら男子たちもメイドにしちゃえば良いじゃん」
自分たちの恥と女子のメイド姿を天秤に掛けた結果、男子たちは苦悩の末、自分たちも女装のメイド姿で接客する事でこの話は収まった。可愛いからは誰も逃げられないのだ。
それなりに顔付きが中性的な刃はもちろん、何だかんだやってくれるラグナもウェイトレスをやることになった。沙耶には出来れば見られたくないが、決まったものは仕方がない。
「プフフフ!それは是非とも見に行かなくてはならないわね!」
「いいか!!来んなよ!!ぜってー来んなよ!!フリじゃねえからな!!」
「ギィ、ナゴ。カメラのメモリーカードは十分かしら?」
「バッチリッス!!」
「いくらでも撮れるわよ〜」
「おいゴラァ、ウサギ!!!」
心底楽しそうなレイチェルをラグナは追いかけた。その後、城で騒いだとしてヴァルケンハインに止められ、床掃除をする羽目になった。
その後ラグナは勇者部のみんなに友奈の身体の状態を説明した。案の定東郷は狼狽えたが、友奈が落ち着かせたおかげでそれほど慌てふためくことはなかった。
因みにラグナの正体はまだ話していない。大赦がどこかでこんなことを聞いてしまったら偉い騒ぎになることを考慮したラグナと友奈の判断だ。
数日が経ち、秋の寒さが目立つようになって木の葉が舞う中。讃州中学校文化祭は始まったのだった。
結城友奈は蒼の継承者である…まあつまりそういうことです。なお、友奈ちゃんが見たのは家庭版ストーリーモード(トゥルーエンド直行コース)です。
一応個人ページにネタ箱を設置しました。気軽に見てくれれば有難いです。
次回は文化祭前半!当然ギャグなので楽しみながら書かせていただきます。それではまた。