色々なことがあって中々筆を進めることが出来ませんでしたが、ようやく出来ました。古波蔵棗の章登場などアプリの方がでも盛り上がりを見せるゆゆゆいですがこちらはまったりしてます。
リクエストを送って下さった方、ありがとうございます!少し時間が掛かりますがどこかで話を出すので楽しみにしてください。
それではどうぞ
今日、レイチェル=アルカードは讃州中学の校門前で人を待っていた。ラグナには来るなと言われていたが、そこは姫様。こんな面白そうなイベントがあるのに大人しく城に居座るはずがない。今、彼女は自分と見て回る者たちを待っているのだ。しばらくしてその者たちが来た。
「こんにちは、レイチェルさん」
「レイチェ~ン、待った~?」
「いえ、それほどでもないわ。よく来てくれたわね」
車椅子に乗った園子とそれを押す銀、芹佳、沙耶、椿姫の五人が彼女と合流した。彼女たちも勇者部から文化祭のことを聞いていたので当然ながら見に行くことを決めていた。
「ここが須美たちが通っている学校なんだな…楽しそうじゃん!」
「ええ。これからとっても楽しいことが起こるわよ」
「ひ、人が多いなぁ…」
「大丈夫よのえる。祭りの時もそうだったじゃない」
「あの時は兄さまたちがいたし…私、長い間人混みを見てないんだ…これでも椿姫や園子ちゃんたちが一緒だからまだマシなんだけど…」
基本的に人が苦手な沙耶はやはりこういったイベント事は苦手のようだ。だがそんな彼女に園子が案を出した。
「じゃあね~。まずはラッくんたちのいる教室に行こうよ。あそこならジンジンやわっしーもいるから最初に見回るにもいいんじゃないかな~?」
「なるほど!それならまずは刃兄様がいらっしゃる教室がどこか聞きに行かないといけませんね!」
「恐らく勇者部の二年生のクラスはどこだと聞けば分かりやすいと思うわ」
「じゃ、早速行くぞー!!」
『おお~!!』
「皆気を付けて行くのよ~」
四人の少女たちが先に校舎内に入っていくのを見届けながらレイチェルと芹佳は微笑んでいた。
*
「ジン…俺たちの『戦い』は…いつ終わるんだ…」
「あと少しだよ…兄さん」
『基地』で一休みしていたラグナと刃は息絶え絶えで「それ」を見ていた。この戦場に来てから長い時間が経っている。そしてその間に捌いた敵の数も正に無数とも言える。他の味方もいるはずなのだが、応援がくる気配が見られない。最悪の状況だ。
「そうか…てことはこの戦いを乗り越えれば…後はもう『自由』なのか!こんな『苦しみ』を味わう必要もねえのか!」
「まだ油断はできない。話によると『増援』が来れないらしい。果たしてどこまで戦線を保てるか…」
「それでもやるんだよ…!じゃなきゃ…俺たちの側があっという間に飲み込まれるぞ!」
「ラグナ君、如月君。出番よ…頼んだわ」
彼らは補充班の女子から支給された武装を手に取ると、基地から出ようと足を踏み出す。
「んじゃ、行くか…」
「僕…この戦いが終わったら兄さんと存分に殺し合うんだ…」
「今言うなよ、それを…てまだそれか。秩序の力はどこ行ったんだよ…」
「僕自身の意志だから秩序も何も関係ないよ、兄さぁん」
「…ハッ。だったらくたばんじゃねえぞ…行くぜ!!!」
二人が基地と外を隔てるシートを潜って出ると勢いよく声を出して挨拶した。
『いらっしゃいませ、ご主人様にお嬢様方!!!』
そこからはミニスカの黒メイド服を着た二人がいた。今の時間はちょうど彼らのシフトの時間である。他にも参加している人間もいるし、友奈も現場に入っているが、やはり中学生に女性ものの服を着て接客するのはハードルが高かった。
「どうぞお嬢様。オムライスです」
「おう、ご主人様。天玉うどんだ」
男性客は若干引きつった顔をしながらも受け取り、女性客はウットリしていた。というのは店の看板がメイド喫茶と書かれている以上、男性客はかわいい女子メイドを期待していただろう。
だが現実は非情で出てきたのはどう見ても同年代の男子よりも怖そうな男たちでしかも全く似合わないメイド服を着ているのだからどう反応すればいいのか分からずにいた。
対して女性客は彼らが来たときは驚きと歓喜に包まれていた。この二人は普段の行動はともかく、それなりに容姿は整っている方なので恰好はアレでも好評だった。
そのせいか、口コミによって評判は瞬く間に広がって学校中の女子生徒が来ていた。それに比例してラグナたちの勤務時間も延びてしまい、少し休憩を挟みながらも朝から働きっぱなしである。
「二人とも、もうそろそろ上がった方が良いんじゃないかな?とっても疲れてるみたいだよ?」
「もうすぐ終わりだからな、仕事はこなすさ…寧ろ途中で抜けたことで午後までやる羽目になるなどごめんだ…」
「それよりよ…他の男子どもはどうしたんだよ…?」
「なんかね。ラグナ君と刃君の人気があまりにも高いから出ようにも出られないって」
「どういうことだ、それ…」
「でも一応出てるんだよ?数は…そんなに多くないけど」
「…本当に午後の部までやるってのはねえよな?とりあえず戻るぞ」
ラグナがそんな切実な願いを告げながら裏の方へ行くと、そこで牡丹餅を持ちながら待っている東郷がいた。
「三人ともお疲れ様。友奈ちゃんはまだ当番があるけど、そろそろ刃君と綾月君は交代ね」
「やっとか…ということはその後に入るのは貴様と三好か…僕が言うのもおかしい話だが貴様らは構わないのか?」
クラスの出し物である以上、当然勇者たちもメイド服を着ている。ただでさえ校内でも指折りの美少女である彼女たちが白いエプロンと黒い衣装を身に包むのだからその光景の破壊力はもう暴力的である。だから当然視線も彼女たちに集まってくる。
特に東郷は同年代と比べてもスタイルがずば抜けているため、殆どの男子は彼女の方へ眼を向けるだろう。そういう好機の目を好まなかった小学生の頃の彼女を知る刃の認識上、東郷はこういうことに抵抗を覚えるはずだ。しかし東郷はあっけらかんとした様子で返した。
「安心して刃君。友奈ちゃん以外の誰かか口説いたからと言って何が問題なのかしら?」
「…フッ。それもそうだな」
「何を理解したのか、俺は分からねえから突っ込まねえぞ…うん。突っ込まねえからな…」
「ていうか何でアレだけで少佐は理解できるのよ…」
「え?東郷さんがまだ恋愛に興味がないってことでしょ?」
「友奈はその純粋な心を持ち続けてね…」
「夏凜ちゃん?」
夏凜もあまり注目されることに慣れていないため、彼女のことも少し気がかりである。どちらかというとしつこく視線を送ってきた相手に怒るという意味ではあるが。
そんなことを相談していると、四人の後ろから別の人物が現れた。この企画を実行に移すことが出来たのも彼女が協力してくれたからでもある。
「う~ん!!本当によく似合ってるわ、三人とも!!やっぱり私の眼に狂いがなかったわね!!」
「ありがとうございます、蘭苺先生。おかげで助かりました」
「やーね、実家で売れ残ったコスプレを上げただけだから御礼なんていらないわよ。せっかく足が良くなってから初めてのイベントでしょ?思い出に残るものにしなくちゃもったいないわ!」
実は学校側も始めはメイド喫茶の意見を認めていなかった。うどんも出すと言ったが、肝心の衣装がないので許可は出してもらえなかったからだ。
しかし東郷が定期健診の後でそんなことを蘭苺に相談したとき、彼女の実家の服屋ではコスプレを数多く売られているからそういった衣装があるかもしれないと言われたのだ。その後、メイド服が大量に売れ残っているという報告が返ってきたので無事学校の許可を貰う条件をクリアした。
「それでもありがとうございます!!おかげでお客さんのみんな喜んでくれていますよ!!」
「ま、まあこの恰好も悪くないわ!その、ちょっと足が見えてちょっと恥ずかしいけど…」
「あら?他にも服あるわよ?丈の長いものもね」
「そ、そう!?ど、どんなものがあるの?」
「フッフッフッ……こんなものはどうかしら?」
そういって蘭苺は後ろに用意していたであろう数多くの服を取り出した。そこからはロングのメイド服だけでなくどこかで見たことのある制服やチャイナドレス、カカ族のネコミミフード付きパーカー(尻尾完備)、魔法少女の衣装、巫女装束も出てきた。
「いやこれ全然企画と関係ないんだけど!!!?」
「え~、きっと似合うのに~」
「アンタの趣味でしょ!!!どう考えてもこの服、アンタの趣味でしょ!!!」
「だって~…こんなに可愛い娘たちがいるなら可愛い服を着せてあげたいじゃない?」
「分かります」
「分かるの!!?」
蘭苺の考えに東郷が同意しているとまた客が入ってきたようだ。ラグナたちが急いで対応に向かうがそこにいたのは予想外の客だった。
「……えっと、兄さま?」
「刃兄様、その恰好…」
「うわ~。ラッくんたち、すごい恰好だね~」
「いや、さっき男もいたからまさかと思ってたけど…本当に着ていたなんてな…」
「……ひと思いに殺してくれ」
まさかの兄二人の女装姿を見ることになった沙耶とそのうち、刃から目が離せない椿姫。困惑している銀と朗らかにその様を見ている園子。ラグナが項垂れていて何とも言えない空気の中、刃が話題を切り出した。
「みんな……随分と早かったじゃないか…」
「サッちゃんが初めに行くならラッくんたちのところが良いと思ったからね~。他の生徒たちに聞いてここまで来たけどまさかメイド喫茶の上に女装もしてたなんて思わなかったよ~。これは良いネタになりそうだ~」
「やめろーー!!こんなバカなことで創作意欲を刺激されんじゃねえ!!!」
彼らの騒ぎを聞きつけて東郷まで顔を出すと、園子と銀に気付いた東郷が思わず彼女たちの方へ駆けよった。彼女たちも東郷のことに気付いて嬉しそうに呼んだ。
「銀、そのっち!!!」
「やっほーわっしー。久しぶりだね~」
「須美!!その恰好、最高に可愛いぞ!!」
「もう。お世辞は言わないの」
「いやいやこれ完璧だって!!園子もそう思うよな?」
「うんうん~!とっても似合ってるよ~、わっしー!」
「それを言うなら銀もきっと似合うわ」
「はっは~ん。言っておくが前みたいに着せられたりしないからな~」
いつぞや園子の家で着せ替えされたことを思い出していると東郷は横の沙耶と椿姫の視線に気づいた。彼女たちが見ていたものは東郷の豊かな胸だった。
「どうかしたのかしら、二人とも?」
「…やっぱりヒップしかないのかな…」
「……くっ」
「へ?」
何故か自分たちの胸を触りながらそんなことを呟く二人の真意が理解出来ずに東郷は少し困惑した。そんなところへ夏凜が会話に入ってきた。
「東郷。なんか蘭苺さんがそこの二人を連れてきてくれって」
「あら?そのっちと銀のこと?」
「違うわ。なんでも沙耶と椿姫の方らしいんだけど…」
「ど、どうしよう…もしかして私たち…何かしたとか…」
「安心しなさい。怒るためじゃないと思うわ。目も輝いていたし」
「それならそこまで心配は無さそうですね。お話があるなら行ってみましょうか、のえる?」
「…分かった」
そう言って夏凜に連れられて椿姫と沙耶は裏の方へ行った。
*
「さて、ここがラグナのクラスがある場所ね」
「へー、メイド喫茶をやってたんですね。ラグナたちは元気かしら?」
「中に入れば自ずと分かるわ。さ、入りましょう」
レイチェルと芹佳が遅れて登場するとそこへ小さな金髪のメイドが顔を真っ赤にしながら接待してきた。
「い、いらっしゃい…ませ、ご主人しゃま!!」
「噛んでいるわよ、沙耶さん」
「あう…」
声の主は羞恥に満ちた表情の沙耶だった。個人的にラグナのメイド姿を揶揄ってやろうと考えていたレイチェルにとって彼女のメイド姿は予想外だったが、これはこれで中々面白いことになっていた。
「まあ、こんなにも可愛らしいメイドさんがここにいたのね。似合ってるわ、沙耶」
「う、うん!ありがとうお母さん!それではお客様?お嬢様?奥様?ニ名ご案内します!」
沙耶は二人を席へと案内した。部屋の奥を見ると椿姫も白衣姿で、友奈は尻尾付きカカ族パーカーを着ながら接客していた。これを見ていた東郷は当然鼻から血を吹き出しながら携帯端末で三人をカメラに収めていた。
「まあ。個性的なメイドさんがたくさんいますね」
「どちらかというとコスプレ喫茶と改名した方がよろしくて?」
「あ、レイチェン。芹佳さん。こっちだよ〜」
園子たちのいる方へ着くと制服に着替え直したラグナと刃もいた。
「あら残念。貴方の滑稽な姿を見て愉しもうと思ったのだけれどもう出番が終わったのね」
「言ってろウサギ。テメェの思い通りにされてたまるか」
「その点は心配いらないわレイチェルさん。ちゃんと綾月君たちのデータもあります」
「では是非拝見させてもらってもいいかしら?」
「トォォゴォォーー!!!」
「アハハ。楽しそうで良かったね、ラグナ」
彼らが元気に騒いでいる様子を芹佳は嬉しそうに見ていた。ラグナは基本的に小学生の頃から友達よりも弟妹と過ごしている時間の方が長かったから今の学校に馴染んでいるのかが心配だったが、この様子なら大丈夫そうだ。
「にしてもアイツらが参加するなんてな。他の野郎どもが色目で見なきゃ良いが…」
「そんなことを気にするの、風くらいだと思ったけどアンタもそっち側か…」
本当は是非妹の劇を見に行きたかった自分の兄が仕事に忙殺されていることを知らずにコメントを残す夏凜だった。
彼らがワイワイやっている中、沙耶は他の客にドリンクを運んでいた。必死に零さないようにしているので側から見るとかなり危なっかしい。
それでも何とか無事に渡すことが出来たが、帰りに床のタイルの隙間に足が引っかかってコケそうになった。しかし兄であるラグナはそれを見逃すことはない。
「おいサヤ。足元気をつけろ」
「あ、はい!ありがとうございます、兄さま」
「良いって。それより、楽しいか?」
「ちょっと恥ずかしいけど…楽しいです」
「そうか…そいつを聞けて良かった」
「じゃあ私次のところに行きますね」
「おう。いってらっしゃい」
二人が別れた後、ラグナは後ろを振り返る。そこには先ほどのやり取りを見て無造作にメモを取り出してバリバリ書き出していく園子、恨めしそうにこちらを見る刃、やれやれと言いたげな夏凜、そしてニコニコしながら生暖かい視線を送る他の者たちだった。
「な、なんだよ」
「いやー、良いもん見せてもらいましたよラグナ先生」
「いやー、ドジっ娘メイドさんなんて想像上のものだと思ったけど本当にいるんだね〜。今のうちに観察しとかないと!!」
「何急に変な口調で喋ってんだギン!つーかソノコも何やってんだ!!」
「おのれぇ、沙耶…僕だって兄さんとあんなことやこんなことをしたかったのに…」
「少佐は妹に嫉妬すんのを自重しなさいよ。あれは仕方ないでしょ?」
「ラグナ。これからは死神ではなくシスコンと名乗った方が良いのではないかしら?案外そちらの方があっていてよ」
「ふざけんな!!そんなんだったらまだ死神の方がマシだってんだ!!」
そうこう言っている内に今度は椿姫が男子生徒の客にうどんを持ってきていた。
「どうぞ。肉ぶっかけうどんです」
「ありがとう…ところで君」
その客が口を開くとさり気なく『それ』を口にした。
「可愛いね。学校では見かけないけどもしかしてお手伝いに来たの?頑張ってね」
「……う、うぅ」
「ん?どうしたの?」
「い、いえ!!それでは失礼します!!」
「え?」
椿姫はトレイで紅に染まった顔を隠しながらラグナたちの方へ逃げるように去った。悪気も何もなかった分、男の方は何かしてしまったのかとオドオドしてしまった。
一応そこへ友奈がフォローしてくれたため大事は無かったが、すぐ近くで刃がユキアネサを抜き放ちそうになっていてかなり危ない状況だった。彼女を心配して東郷が話しかける。
「椿姫ちゃん大丈夫?もしかして何か言われたの?」
「か…」
『か?』
「可愛くないもん…私普通だもん…」
実はこの弥生椿姫。自身の容姿について言及されることにあまり耐性がない。刃は元からその手の話題を出してこないため、殆ど言われたことがないのだ。そのため、彼も全く椿姫のこの弱点については知らなかった。
「心配するな椿姫…その男とは少し
「いえ、そんなことをしなくても大丈夫です!!悪気がないのは分かっているのですが…その…私はそんな…」
「そんなことないよ!!きっとお客さんも心からそう思っていたと思うよ!!」
「そ、そうですか?でも…」
「ほら刃君。何とか言ってあげなさい」
「僕がか?何を言えと…」
「良い?椿姫ちゃんはきっと刃君に言われたら喜ぶわ。今後のためにも貴方から言われ始めた方が良いと思うの」
「……良いだろう」
東郷のアドバイスに納得した刃は椿姫に話しかけてきた。
「つ、椿姫…」
「は、はい。刃兄様」
「…そこまで恥じる必要はない。少なくとも僕もその服を着た椿姫のことは…なんだ、か、可愛いと思うぞ」
普段の彼らしくもない台詞だったからなのか、少しぎこちなくそう言うと椿姫がトレイを少し下げて瞳だけをこちらに向けてきた。
「……本当?」
あらゆる意味で不意打ちだった。普段は生真面目で割とハキハキしている方の椿姫がちょっと弱気になりながらも期待の篭った目でこちらを覗いてきたからだ。
これに東郷たち神樹館組は「やっぱり可愛いじゃねえか!!」と心の中に叫び出し、刃も彼女を見て一瞬ときめいてしまった。訳の分からない感情に晒された彼は
「…うわぁぁぁぁぁ!!!」
大声で叫びながら部屋から猛ダッシュで逃亡した。これまで彼のこんな場面を見たことがなかった兄妹たちと椿姫はポカンとする中、芹佳はニヤニヤしながら彼の出た方角を見ている。レイチェルに至っては笑いを堪えるのに必死だ。
「刃もお年頃なのね〜。ラグナよりも先に彼女が出来そうかしら?」
「えいゆうさん…意外とヘタレだったのね。あんなに取り乱すなんて…プクク!!」
「ジンの奴に彼女とか出来たらフウが泣き出しそうだな…」
「そうだね…『よりにもよって刃に先越されたー』とか言ってそうだよ。風先輩、モテると思うんだけどな〜。告白されたことあるのに」
「その告白イベントだってそれだけでしょうが…あの後すぐに女子にもされたみたいだけど結局その娘、風に告ってきた男と意気投合して付き合い出したし…」
「案外勇者部には既に貴方とえいゆうさんがいるからではなくて、ラグナ?」
「どうやったらその発想に至るのか分かんねえよ…ジンはそもそもアイツに興味なさそうだし、俺もそういうの良く分かんねえし」
恋愛についてあまり考えたことも余裕もなかったラグナからすれば恋なんというものは境界の深淵に眠る何かと同類だ。家族や仲間は大事だから絶対に守ると決めているが、異性のどうこうは興味があってもまだ理解は出来ない。
「…はあ。全く、これだから貴方は…」
「なんだよそれ」
「分からないなら構わなくてよ。その足りない頭で精々考えながら答えを見つけることね」
「…なんかさっきより言葉が辛辣になってねえか、ウサギ?」
「私はいつだって平常よ。おかしなことを言うわね。それともそうだと思い込みたいようなMかしら?なんなら一生下僕としてこき使ってあげても良いわよ?」
「うぎぎぎ…」
「まあまあラグナ君。落ち着こ?」
友奈が間に割って入ったこともあって、二人の口喧嘩も軽いものに終わった。その後勇者部のシフトが終わったため、中学生たちは刃と合流することも兼ねて見回ることにした。
ツバキの前くらいはちょっと綺麗なジンでいても、いいだろ?
ということでライチさんが爆走した結果、勇者部二年生と外部一年生組がコスプレっぽい感じになりました。
次回は文化祭中編!他のキャラは何をしているのか。それではまた