蒼の男は死神である   作:勝石

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どうも、勝石です。

先日は若葉ちゃんたちにとっての始まりの日、7月30日でしたね。でも色々忙しくてできなかった…すまねえ。

さて今回の話は文化祭の劇。ラグナたち勇者部は成功するかな?それではどうぞ


The wheel of fate is turning...


Rebel51.幕開け

「アンタたちぃ…ちょっと手貸してぇ…」

「どうしたの夏凜ちゃ…うわぁぁぁ!? ラグナ君に風先輩、しっかりーー!!!」

 

着々と劇の準備を進めていく讃州中学勇者部だったが、遅れてやってきた夏凜たちの方を見るとボロボロのラグナと風を背負った夏凜がいた。

 

ラグナは何かをブツブツ言っており、風は誰かに対して拝んでるように見えた。大方お化け関係だろうと考えた友奈たちだが、話を聞くと別の要因があるようだ。

 

「マグロ…怖い…マグロ…嫌い…」

「マグロ様ごめんなさい二度とマグロを食べませんからどうか祟らないでお願いしますなんでもはしませんから」

「しないんかい…」

 

夏凜は突っ込むがここまで来るのに体力を使ってしまったのか、いつものキレがない。樹と東郷が彼女が背負っている二人を受け取ると友奈が事の顛末について聞いてきた。

 

「夏凜ちゃん…二人に一体何があったの?」

「やられたわ…まさかあんなものがお化け屋敷に潜んでいたなんて…」

「兄さんは怪談とか嫌いだからね。それで三好。一体何が出たというんだ」

「マグロよ」

『へ?』

「正体不明のマグロたちにやられたのよ」

「訳がわかんないよ…」

 

夏凜から聞かされた話を聞いても理解の範疇を超えたがために友奈と刃は天を仰ぐしかなかった。程なくして東郷が差し出した牡丹餅で二人が復活すると準備は格段に進んだ。

 

「もうすぐ私たちの出番だね」

「ここまで来た以上、絶対に成功させるわよ!! 勇者部!!」

『ファイトーー!!!』

 

 

「どうやらあの娘たちの出番が来たみたいね」

「どんな劇になるのかワクワクするよ〜」

 

観客席にいるレイチェルたちはラグナたちの出番を今か今かと待っていた。しばらくするとアラームと同時に幕が上がる。最初に出てきたのは勇者の恰好をした友奈だった。

 

《むか~しむかし。あるところに勇者がいました》

「あ、わっしーの声だ~」

「須美がナレーターか」

《勇者はとても明るく、誰とでも仲良くなれるみんなの人気者でした。ある日勇者は王様から世界の支配を企む魔王を退治する御役目に就かせました》

(ここはある意味あの娘たちと同じね…)

 

レイチェルがそんなことを考えていると、場面が変わって教会のセットが設置された。そこで友奈はうつ伏せになっていて、隣に神父服のラグナがいた。

 

「あ! 兄さまです!」

「おお、勇者よ。魔王の手下である魔物に転がされてしまうとは情けない」

「転がされるって何よ…」

「ごめんなさい! でもすぐに魔王のところに行かないと大変なんです!!」

「慌てるでない。そのような状態で彼の魔王の元へ行けばあっという間に返り討ちにされるぞ」

「それではどうすれば!!」

「そのために良いことを教えよう。この呪文を唱えれば、これから先の冒険で何があっても大丈夫じゃ」

「ありがとうございます、神父様!!」

「では行くぞ。

 

けつうれ るもらい きならけ かいなだ

なたしる たたなる ないめな らるひい

いいやか ちちんの ひだるい くのとす

んにはら ああどだ といわあ じだがき

だまぜゆ ががでか がすけき 

 

だ。忘れでないぞ」

「えーっと…はい! 分かりました!!」

「いや分かってないよ、アレ!! 長すぎる上に言えるかっての!!」

「それでは情報量として1万プラチナダラーを所望する」

「しかも金取るのかよ!!? とんでもない詐欺だよ!!」

 

どう聞いても唱えるにしても紙に書き置かなければ忘れてしまいそうな呪文が出てきた。実際、当の勇者である友奈本人は全く理解しているようではなかった。

 

「そういえばラグナは毎晩何かの台詞の練習をしていたけど、あの呪文を言えるように練習していたのね」

「良く噛まずに言えたわね。これも魔道書を使ったおかげかしら?」

「起動するときの台詞が長いからね~」

「私だったら何か所か噛んでるかも…」

 

しばらくして今度は魔王の恰好をした風と友奈が対峙する場面が出てきた。

 

「ようやく見つけたぞ魔王! もう悪いことはやめるんだ!」

「忌々しい勇者め! お前のことなど気にしている暇はないのだ!」

「君がみんなの笑顔を奪い続けるなら僕は君を止める!」

「えーーい! 小癪な奴め! だがコイツを前に同じことが言えるか!? 行け、我が僕となった姫よ!」

 

風がそう叫ぶと両腕を突き出したドレス姿の刃が現れた。ゾンビのように迫ってくる彼に友奈は剣を構える。

 

「眼を覚ますんだ、姫! 君はこんなことをするような人じゃないだろう!?」

「ウウウー」

「無駄だ! そいつは愛する者の声でしか眼を覚ますことができないのだ! 初めて会ったお前などに心を開くものか!」

「くっ、どうすれば!」

 

刃の突進を躱していく友奈。だがこのままではジリ貧だ。

 

「友奈さんピンチですよ!」

「さてここからどう巻き返すのかしら…あら?アレは?」

「勇者よ、助けに参ったぞ」

「神父様!」

「いや神父さんが戦うのかよ」

 

杖を持ったラグナが登場すると刃の動きが止まった。二対一になったことで不利になったと考えたのだろうか。

 

「………サン」

「む、お前は…まさか!」

「ニーサーーーーーーーン!!!!」

「ぐおおお!!!」

「開始早々神父さんがやられたぁーー!!?」

《なんということでしょう。神父は姫の生き別れた兄だったのです》

 

まるで本当にそうであるかのように姫になった刃はラグナに襲いかかって二人は取っ組み合いを始めた。混乱の最中、ラグナは友奈に言葉を送る。

 

「行くのだ勇者よ! ワシに構わず先に行くのだ!」

「そんな! 神父様を置いていくなんて!」

《勇者は悩みました。神父は自分を助けてくれた人ですが、今その人を助ければ魔王を取り逃がしてしまいます。しかし魔王を追えば神父はただでは済みません》

「いやあの男、ぼったくりをしただけじゃない」

「それでも行くのだ! こんなところでワシは死なん! お主にはやるべきことがあるのだろう!」

「それでも…僕は…困っている人を見捨てることなんて出来ない!!」

 

友奈は刃たちがいる方へ振り返って刃を落ち着かせた。憑き物が落ちたかのように大人しくなった彼はすぐに彼女に礼を告げた。

 

「勇者様、助けていただきありがとうございます」

「いえいえ! 神父様と仲良くしてくださいね!」

「はい。それでは城へ戻りましょう、『兄さぁん』」

「うむ。では勇者よ、無事に魔王を倒せることを心より祈っているぞ………おいちょっと待て、テメェそれ台本にやめアァァァッァァァ!!!?」

 

がっしりと腕を組まれて連れていかれたラグナはそのまま刃と外で一死合する羽目になってしまった。外部の人間はかなり動揺したが、いつもの日常に慣れた讃州中学の人間たちの間では微笑ましい笑い声が上がった。

 

「讃州中学でもアイツらいつもこんなことしてんのか…」

「学校でも相変わらずなんですね…」

「あ~、ラッくんがジンジンにドナドナされちゃったよ~!」

「刃兄さま…後でちょっとお話をした方が良いのかな…?」

「刃はしばらく見ない間に何があったのかしら…」

「色々あったのよ…色々と…」

 

こうなるであろうことを若干予想しながらもレイチェルたちは刃に対する各々の反応を言っていた。

 

物語はクライマックスへと近づいていく。旅の途中で勇者は自分を否定し、蔑む者に出会った。神父も姫も今の彼女がいる場所へ行けない。それでも孤独になった勇者は魔王に挑む。そしてついに対峙することになるが、敵の力の前に倒れそうになる。

 

「うぐ…」

「ガハハハ! 見ろ! 結局世界は嫌なことだらけだろう!? 辛いことだらけだろう!? 諦めろ!!」

 

高笑いを決める魔王。しかし勇者は再び立ち上がる。何度打ちのめされたのか分からない。それでも立つのだ。

 

「嫌だ!」

「嫌も何もない! もっと現実の冷たさを思い出すのだ! これまでお前を悪く言ったり、助けてくれなかったものがいっぱいいたはずだ!」

「そんなの、気の持ちようだ!!」

「何!!?」

 

魔王の言葉を強く突っぱねるように友奈は叫んだ。しかし彼女の事情を知るものからすれば心配だ。だが友奈は力強い台詞を続ける。

 

「他人でも、大切だと思えば友達になれる。互いを思えば何倍でも何倍でも強くなれるんだ!」

「甘いことを! そうやって貴様は他人のためにボロボロになっていくのだぞ!」

「それでも、無限に力が湧いてくるのは、みんなが祈っていてくれるからだ!」

「祈りだとぉ? そんなものが何になる。それで世界が変えられると思うのか!」

「そりゃあ、世界には嫌なこともある…悲しいことも、自分ではどうにもならないことも…」

 

それは他の勇者たちなどが身に染みて学んだことだ。世界は良いことばかりではない。残酷なほどに理不尽なこともある。だが友奈は言葉をとぎらなかった。

 

「だけど…それでも…!! 大好きな人がいるのだから、くじけない! 諦めるわけがない!!」

 

その言葉を聞いて不覚にも勇者たちは涙ぐみ、戻ってきた男子二人はしんみりしていた。その続きを観客は固唾を飲みながら見守る。

 

「大好きな人がいるのだから、何度でも立ち上がる! 立ち上がれるから、勇者は絶対に負けないんだ!!」

 

その言葉を聞いて魔王が急に苦しみ始めた。

 

「こ…この呪文は…!!? おのれ…勇者め…! わ、私の力が…抜けていくうううう…」

 

もがき続ける魔王だったが、とうとう断末魔の言葉を残して力尽き、倒れた。

 

「おのれ…おのれ……」

 

悪を統べる魔王は倒され、平和を取り戻すことに勇者は成功した。しかしそのときに異変が起きた。勇者の身体が急に不安定になり、倒れこみそうになったのだ。

 

「あ……れ…?」

『(結城)友奈(さん)!!!』

「友奈ちゃん!!!」

 

勇者部のみんなが友奈へ駆け寄り、東郷が彼女を抱き起こす。すぐに友奈は気が付き、心配してくれる仲間たちに笑いかけた後に台詞を続けた。

 

「……大丈夫。なんだって乗り越えられるんだ…大好きな…みんなと一緒なら!!!」

 

そう友奈が締めると観客の方から拍手と歓声が沸き上がった。

 

 

「刃兄さま!! そこは私の居場所です!!」

「違うね!! 僕の場所だ!!」

「おい、お前ら喧嘩してんじゃねえよ」

「ダメです!! 今回ばかりは譲れません!!」

「奇遇だな沙耶…僕も同じことを考えていたよ…」

 

その夜、勇者部のメンバーとかめやで祝杯を挙げた後にラグナ、刃、沙耶は久しぶりに芹佳の家に集まっていた。同じ部屋で三枚の布団を並べている最中だが、ラグナの隣で寝たい刃と沙耶は言い争っていた。

 

「ったく。あれから何年も経ったはずなのにまだそれで喧嘩すんのな」

「今夜は兄さまの傍で寝られるまたとないチャンスなんですよ!! 逃すわけないじゃないですか!!」

「何を言っている沙耶。兄さんはもう立派な『男』だ。女のお前の隣で寝ることなど、兄妹でも出来るわけがないだろう」

「それをいったら毎日ちょっかいを出してくるテメェも同じだぞ、ジン」

「そうですよ!! 劇の途中で刃兄さまは兄さまと一杯遊んだじゃないですか!! 今回は沙耶の番です!!」

「ハッ。沙耶、お前は何を言っている? お前だって一秒でも多く兄さんと過ごしたいだろ? 僕だって同じさ」

「うう~~!!!!」

 

澄ましたように刃が告げるとそれに対して沙耶はほっぺを膨らませながら怒りを示していた。先ほどの言葉を否定できない分、反論の仕様がない。そこでラグナが妥協案を出した。

 

「…しょうがねえな。今ならイデア機関と巫女のおかげで魔道書の力を制御できているから、俺が中心で寝るよ。そうすりゃ二人とも一緒に俺の傍にいられるだろ?」

「本当ですか、兄さま!!?」

「大丈夫なのかい、兄さん。それってつまり兄さんがずっと起きていないといけないってことになるんじゃ…」

「起動しなきゃ問題ねえと思うし、万が一問題があるなら俺は起きているよ。どうせ明日は休日だから寝坊しても問題ねえしな」

「兄さん…」

「それによ」

 

ラグナは突然下の兄妹二人を抱き寄せると嬉しそうに言った。

 

「俺はテメェらとこうしてまた笑い合えることがスゲー嬉しいんだよ。たまには夜更かししても(ばち)にゃあ当たらねえだろ?」

「うん…なんだか夢みたいです…こうしてまた兄さまと一緒に居られるなんて…」

「…そうだな。二年前のあの日から考えれば…想像出来なかったよ」

 

あの日。兄弟たちは離れ離れになり、お互い会うことが出来ずにいた。そして今回のバーテックスの侵攻がきっかけで様々な仲間たちと出会い、再び集結することが出来た。

 

「でも…まだ壁の外にはバーテックスがたくさん残っています。壁にも傷が入ってしまいましたし…これからどうなるんでしょうか…」

「どうにかなるよ。俺たちは生きているからな。それにハザマ以上に厄介な奴がそうホイホイといてたまるかよ」

「今回の件で勇者たちの大赦に対する信用はかなり薄くなっただろうね。ま、僕は元から期待はしていないけど」

「でも…努力している人間はそれなりにいました。安芸さんや園子ちゃんたちはその中の少ない一部です」

「…大半がそうじゃねえってことかよ。ウサギによるとここ200年近くは大きな騒動がなかった分、大赦は平和ボケしたって言ってたが、あながち間違ってねえな」

 

これはどこかでテコ入れしなきゃこの国終わるぞとか考えていたが、そういった駆け引きが下手であるラグナが考えても仕方がないことだ。今は自分ができることを精一杯やろう。そう誓うのであった。

 

「さてと…布団も敷けたし、そろそろ横になるか」

「賛成!!」

「じゃあ電気消すよ」

 

消灯した後も兄妹たちは夜明けになるまで語り明かした。これからしたいこと。やりたいこと。やることになること。そうしているうちに三人は気持ちよさそうに眠りに落ちた。ラグナの右腕はこの日ばかりは大人しくしていた。

 

 

「クッ……中々の深手を負わされてしまいました……」

 

ここは夜中の高知のとある廃村。年々人が減っていきながらついに最後の住人がいなくなってから実に数十年経ったそこで黒スーツを着た傷だらけの男がいた。ラグナと激闘を繰り広げた末に友奈の拳を受け重症を負った峡真である。

 

あの戦いで樹海の底へ落とされた彼は事件が解決した後に海に放り投げられた後に何とか近くの漁船を強奪して陸地に辿り着いた。大赦が自分を捜索していると知った後、人がいる場所にいられなくなった彼は人里を避けた果てにここへたどり着いたのであった。

 

この村にはかつて『七つの躰を持つ死神』がいるという奇妙な伝説が存在していたが、そんなガセであろう話に意を介する峡真ではない。奥へ奥へ進んでいく。

 

「しかし…あの娘の力…あれはただ神殺しを持っているというだけではありませんねぇ…殴られたときの感触に前とは違う奇妙な違和感がありました…まるで別の力が働いているような…しかも…蒼の魔道書に近いとなりますと…変な勘繰りもしたくなるものです…」

 

実際に対峙した彼だからこそ、今の二人が持つ力の類似性に少し気づき始めている。しかしそこに確信がいまいち足りない。そんなことを考えていたから後ろの人物の存在に気付くことに遅れた。

 

「チッ!! 大赦の追手がもうここまで来ちまったのかよぉ!!」

 

暗闇の中に姿を隠しているが感じからして勇者のものとは異なる。しかしそれは衛士やラグナと同類と呼ぶにも違いがあった。こちらをじっと覗いてくる眼は自分の内側すらも見透かしていると感じさせる、不快なものだ。

 

髪を逆立たせた峡真はウロボロスを取り出し、影の中にいる人物に向けて攻撃した。だが男も相応の手練れなのか。ウロボロスをたやすく弾いて見せた。攻勢に回ることなくこちらを見つめ続けるその人物に対して苛立ちを覚えた峡真は影に向かって怒鳴り散らす。

 

「テメー殺る気あんのかゴラぁ!!? とっととそこから出てこいやぁ!!!」

「成程……そういうことか……」

 

渋い声をした男性が一人何かに納得していると峡真に制止を掛けた。

 

「もう良い。理解した」

「な~に一人で勝手に納得してんだテメー!!」

「いきなり攻撃を仕掛けてくるお前がおかしく『観測()えた』が…そうか。随分と変わった魂を持つようになったな、『テルミ』」

「…オイオイオイオイ、俺様のその名前ってそんなに有名なわけ? この前ラグナ君にも呼ばれたんだけどよぉ…」

 

ラグナと言う名前に男は興味を示したのか、自身が知る人物かどうかを峡真に聞いてきた。

 

「ラグナ…それはもしや、『ラグナ=ザ=ブラッドエッジ』のことか?」

「…『血濡れの刃(ブラッドエッジ)』とも『死神』とも呼ばれているが、そんな呼び方は知らねえなぁ…」

「言い方を変えよう。その男は蒼の魔道書の所有者。そして蒼に選ばれた者、『蒼の男』か?」

「……テメー、おもしれえ話をするじゃねえか。もっと聞かせろや」

「良いだろう」

 

男は峡真に自分の知り得る多くの情報を授けた。そして男の話が進むにつれて峡真の顔に引き裂かれたように笑みが広がる。獲物を見つけた蛇のような、とてつもなく邪悪な笑みだ。

 

「……ヒャーッハッハッハッハッ!!!! マジかよ、その話!!! そいつが本当ならテメーもアイツもとんでもねえ連中だなぁ!!! しかもアイツのことだから必死こいて隠してやがんのかぁ!!!」

「その高笑いは『こちら』でも健在か。よもや境界を越えて別人とはいえ、再びお前と邂逅するとは思わなんだ」

「ヒャーッハー!! 最高に愉快な話だったぜぇ!! 後ろにいる『そいつ』があるってんだから信じるしかねえわけだぁ!!!」

「それにしてもテルミ、いや今はハザマと呼ぶべきか。この世界はどのようなものになっている? 良ければ教えて欲しいものだが」

「ああ良いぜ!! こっちはこっちでテメーんとこに負け劣らずヤベーからって腰抜かすなよ!!」

 

峡真もこちらの世界の事情を男に話した。神樹のこと。勇者のこと。大赦のこと。そしてこの世界のラグナのことを。特に友奈の話が出始めた辺りから男の方も口角が少し上がっていくのを峡真は見逃さなかった。

 

「これはまた……大変興味深い事象だ。神によって300年間維持された世界。そしてそれを破壊し、人類を滅亡させようとするもう一つの神…その二柱による長い闘争によってこの世界は停滞し続けていると。だが何よりも…神に愛された故に人知を超えた力を持った無垢な少女…そしてその中で神殺しまで持つものか…かつての次元接触用素体も似た境遇に置かれていたが、まさかこの世界にもそのようなものがあったとはな」

「あんなクソガキどもの話が面白かったのかよ」

「お前とてその勇者、中でも神殺しを宿らせている結城友奈の価値を理解しているだろう。今すぐにでも捕らえて研究したいところだが…生憎私はこの世界に来たばかりでその実態を知らなさすぎる。そのためにもお前にも手を貸してもらうぞ、ハザマ」

「いや見ろよこの身体。まずは適当な場所で回復しなきゃいけねえだろうがよぉ…」

 

峡真は自身の身体に状態を説明しようとする前に男はすぐに解決策を打ち出した。

 

「何を言っている。呪詛に蝕められている以上、お前の躰は使い物にならないだろう。ならば『新しい躰』を『造れば良い』。材料にもよるがこの世界で手に入らないとは限らない。必要ならば材料に人間を使えば問題なかろう」

「ヒャーッハハハハハ!!! 自分以外の人間は実験材料ってか!! 俺様が外道ならテメーは悪魔だなぁ!!! 俺よりもエグイ事言ってくれるじゃねえかぁ!!」

「これも真理の探究、そして実験のためだ。惜しむ必要などない」

 

男はそういうと峡真と共に闇の中へ進んでいく。新たな危機が四国、そして勇者たちに迫りつつあった。

 

「さて四国よ、楽しませてもらうぞ」




来ちゃった☆

うん、おかえりください。というわけで察しの良いブレイブルーファンなら彼が参戦したことがどれだけヤバいか分かりますよね?アレを喰らったら勇者部のみんなはどうなっちゃうんだろう…まだ大人しくしているけど…

因みに例の呪文は言っていますよ。ヒントは読み方。

次回からは園子と銀入学後のある騒動。とうとうあのキャラが出ますね。それではまた
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