蒼の男は死神である   作:勝石

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どうも勝石です。

のわゆの歌の曲名が決まったりとなにかとのわゆ関連が盛り上がり始めましたね。これはアニメ化来るか?

さて今回は日常回。あのキャラが登場しますね。それではどうぞ

The wheel of fate is turning...


Rebel52.愛と正義の戦士

楽しい文化祭が終わってから数日後、友奈たちの前にとある二人が現れた。この前出会った乃木園子と三ノ輪銀だ。

 

「じゃじゃじゃ〜ん! 乃木さんちの園子だよ〜! 今日から同じ学校に通うけどよろしくね〜!」

「オッス、二人とも! 今日からアタシもここの生徒だからよろしくな!」

 

二人の顔を見て東郷が抱きついてきたのは言うまでもなかった。その後放課後になると二人は部室に来て正式に勇者部部員になる表明を出した。

 

「偉大な先代勇者たちを歓迎します、乃木さん、三ノ輪さん」

「乃木とか〜園子でいいんだぜ〜『フーミン先輩』」

「アタシも銀で良いですよ、風先輩!」

「そのっちと銀とまた学校に通えるなんて思わなかったわ」

「授業中に寝たら起こしてね〜」

「気をつけないとダメよ」

「なんだか須美が説教するの、久しぶりに見た気がすんな」

「もう銀ったら。貴女だって危ないからね」

「分かったよ母さん」

「誰がお母さんですか」

 

そう言いながら楽しそうな顔を浮かべる東郷を見て友奈やラグナも嬉しく感じた。

 

「ラッくんもジンジンも同じクラスなんだよね?これからよろしくね〜」

「何気にラグナと同じクラスになるのは初めてな気がするな」

「そういやそうだな…まあ、何はともあれ、これからよろしくな。ソノコ、ギン」

「三ノ輪はまだ良いが園子、貴様は身体はもうなんともないのか?」

「もう大丈夫だよ〜。乃木園子、完全復活だ〜!」

 

朗らかな園子に対して、大赦から先代勇者たちのことをある程度聞いていた夏凜は度肝を抜かれていた。

 

「な、なんで先代勇者様たちがここに!?」

「乃木さんたちは御役目から解放されて、こっちの中学に転校してもらったらしいわ」

「これからも仲良くしようね〜、にぼっしー」

「誰!? その呼び方を教えたのは!!?」

「そりゃあ東郷くらいだと思うけど」

「はあ…まあ良いわ。でも乃木家はともかく三ノ輪家はどうやって? この時期に転校なんて簡単に出来るかしら?」

「ココちゃんが全部やってくれたんだよね〜」

「ココノエのことか…確かにアイツならそれくらいのことをやってのけるな」

「そもそも銀さんて、第七機関と繋がりがあったんですね」

 

樹がさり気なく疑問に思っていると銀は意外そうな顔をしながら東郷に聞いてきた。

 

「あれ? 須美お前、父さんのことは教えてないのか?」

「ううん。それは銀自身から言った方がいいのかと思って」

「え、どういうこと?」

 

状況が分からない勇者部に銀が説明した。

 

「アタシの父さんは第七機関に所属してるんだよ。ほら、あのでっかくて赤い人」

「デカくて赤い…てえええええ!!? あの赤鬼が!!!?」

「アイツここじゃあ所帯持ちだったのかよ!!?」

「私も初めて知った時は驚いたわ。前に見た時はあんな感じじゃなかったのに」

「いや、父さんはちょっと事故で死にかけた時があってその時に九重さんに助けられたんだよ。鬼っぽくなったのはその時の手術の副作用だとさ」

「でも…色々大変じゃあ…」

「そうでもないですよ?食事がオイルと充電になったこと以外は特に不便はないかな?飛べるから車は要りませんし、メッチャ力持ちだから色んなもの運べますし、精密作業とか出来るからもの壊れても修理できて、他の兄弟も馴染んでるから問題ないんすよ。仕事の給与も色々ハードな分、稼ぎいいんです」

「何その一家に一台欲しいみたいな感じのスーパーお父さん!?」

 

初めてあった時の恐ろしい風貌からは想像できないテイガーの私生活に驚きを隠せない勇者部の面々だった。

 

「え、えっとそれでもこれからよろしくお願いします! 園子さん! 銀さん!」

「ああ! こちらこそよろしくな、樹!」

「私の方もよろしくね〜、いっつん〜。文化祭ではサッちゃんと仲良くしてくれてありがとね〜」

「い、いっつん!? それにサッちゃんてもしかして」

「そのっちは昔から変なあだ名をつけることが多いのよ。サッちゃんは沙耶ちゃんのことね」

「友奈さんはゆーゆかな?」

「良いねそれ! じゃあ私の方はそのちゃんとかにしようかな!」

「ゆーゆ〜!」

「そのちゃーん」

 

波長が合うせいか早くも友奈と園子は仲良くなった。二人が戯れていると樹が別のことを指摘してきた。

 

「そういえばこの前来た沙耶さんたちはどうしたんでしょうか? 園子さんたちがうちの学校に来るなら二人も来ると思ったんですけど」

「沙耶は大束町のゴールドタワーにある寮で暮らすらしいぞ。大事な御役目があるってさ」

「それは椿姫も言っていたから恐らくあの二人は同じ場所で生活することになるだろう。何も無ければ良いのだが」

「それは多分心配はないと思うよジンジン〜。何でもたくさんの衛士さんたちが招集されるからね〜。仲良くなれる人もいっぱい出来るんじゃないかな〜」

「時々こっちにも来るって言ってたしな。それでも大勢の中で友達を作ればきっと沙耶にとっても良い経験になるだろうよ」

 

沙耶たちの話をした後、風は園子と銀の歓迎会を開くといってかめやに行く案を出した。他の部員もそれに賛同したので、そのまま皆出かけて行った。

 

 

数日後、樹はパソコンの画面を睨めっこしながらある動画を見ていた。その様子を気になった姉が彼女に話しかけてきた。

 

「どうしたのよ樹? なんか面白い物でもあったの?」

「お姉ちゃん、これ知らない? 今巷で話題になっている謎のヒーローだよ」

 

樹がそう言いながら画面を風に見せるとそこには軍服を着た何者かが高らかに名乗りを上げながら敬礼していた。

 

「國を護れと人が呼ぶ…愛を護れと叫んでいる…憂国の戦士! 『国防仮面』、見参!!!」

 

白昼堂々とそれを言ってのけた人物は風にとっても非常に見覚えのある人物で、思わず見入ってしまった。

 

「これ…まさか…」

「やっぱり東郷先輩だよね…これ…」

「そうよね…だってあの娘が好きそうな要素を全部つぎ込んだらこんな感じになるでしょうよ…これはちょっと調査が必要ね…」

「情報によると平日の夕方や夜、後週末は昼から活動してるみたいだよ?」

「まずは部のみんなと話しますか」

 

その翌日。東郷と友奈意外の部員が部室に集まると全員例の動画を見た。動画が再生し終えると風はそれぞれの感想を聞いてきた。

 

「それで…どうだった?」

「いや、どうだったて…これトウゴウじゃねえか…」

「あの娘、また何やってんのよ…」

 

夏凜が呆れている中で園子と銀はその衣装を見て懐かしそうに言った。

 

「あ〜! これ、小学生の時のレクリエーションで着た衣装だよ、ミノさ〜ん!」

「ホントだ。成長してる分作り直してると思うけど…本当に当時のままだな。あの時は園子も着てたっけ」

「うんうん!よく覚えてるよ〜。そういえばジンジンも衣装を着てたんだよね〜」

「あの刃がそんなノリの良いことをやってくれたの?」

「そうだよ〜、ジンジンはあれだったよね?真っ白な着ぐるみを着て刀を差したアレ!」

「園子…なぜ今それを言及するんだ…」

「え?少佐もなんかしてたの?」

「これが当時の写真だよ~」

 

そう言って園子は端末からある写真を見せてきた。そこに映っていた小学生の頃の東郷たちは分かったが、一つだけ何とも言い難い何かがいた。

 

そのものはずんぐりした体形の真っ白なナマモノだった。顔にTのような文字が描かれており、頭の後ろからは一本の銀色のポニーテールらしきものが見える。背には模造刀を差しており、腹のZEAがこちらに妙なインパクトを与えた。

 

「何これ……」

「国防仮面の忠犬、『パクメン』だ!!!」

「パクメン!!? 『ハクメン』じゃねえのか!!? つーか国防仮面って相棒いるのかよ!!?」

「基本的にZEAとしか喋らないけど国防仮面がピンチの時にサポートしてくれる頼もしい相棒なんよ~」

「そんな設定まであったの、あのヒーロー!!?」

「まさか刃…アンタこれ?」

「っく! そんなことは良いだろう!?それより国防仮面の行方を捜すのではないのか!!?」

 

刃にそう指摘されると、パソコンや端末を経由してSNSなどを確認した結果、最初に樹が声を上げた。

 

「聞いてください皆さん! どうやら国防仮面が現れたようですよ!!」

「それ本当!!? 場所はどこなの!?」

「ここにある住宅地だそうです!」

「ようやくお目にかかれるってわけね! それじゃあアンタたち! 国防仮面をとっ捕まえるわよ!!」

『おおーー!!!』

 

 

「あー、やっと買い物が終わったよ。早く家に帰ってジューベーさまと遊びたいなぁ」

「家まで後もう少しだから我慢しようよ、瑠奈〜」

「えー」

「今日はありがとう、瑠奈さん、瀬奈さん。晩御飯は好きなものを作るから楽しみにして下さいね」

「よっしゃー!! それじゃあ早く帰らなきゃなー!!」

 

瑠奈と瀬奈、そして母親である草原は買い物から帰る途中だった。瑠奈たちが母から離れると、突然男が草原と衝突してしまった。

 

「あ、ごめんなさ…あ、鞄が!!」

「ママ大丈夫か!?」

「瑠奈! アイツ、お母さんのバッグを取り上げて逃げてるよ!」

「なんだと!? 待てコラぁ!! ママのバッグを返せ!!!」

「返さないと永久に社会復帰できないようにしますよ〜!」

「瑠奈さん! 瀬奈さん! 追ってはなりません!」

 

瑠奈たちを引き止めようとした草原だが、子どもたちは引ったくり犯を追いかけてしまった。犯人が後ろを振り返ると自分を追いかける少女を見て、逆に迎え撃つ構えに出る。

 

「おいテメェ! よくも瑠奈様のママからバッグを盗みやがったな! ボッコボコのギッタギタにしてやる!!」

「なんだとこのクソガキ! テメーなんか返り討ちにしてやらぁ!」

 

彼女たちをバッグで殴りかかろうとした犯人だがその前に別の声が響いたことで注目が逸れてしまった。

 

「待てい!!!」

「な、誰だ!!」

 

彼らが声がする塀の上へ目をやるとそこには軍服を着た人物がいた。実際に見るとその人物は瑠奈たちより少し背が高く、胸部の辺りの膨らみから女性であることが分かる。視線が集まる中、彼女は名乗りを上げた。

 

「國を護れと人が呼ぶ…愛を護れと叫んでいる…憂国の戦士! 『国防仮面』、見参!!!」

「な、国防仮面だと!!?」

「とう!!」

 

国防仮面が塀から飛び降りると目にも止まらぬ早業で犯人を縄で拘束した。これによって犯人はもう動けない。

 

「確保ぉ!!」

「チクショウ!!!」

「す、スゲー!! なんだアイツ!! 一瞬で犯人をやっつけたぞ!!」

「国防仮面って…ああ、最近よく聞くヒーローの…それにしては見たことがあるような…」

 

瑠奈たちが感心している内に人だかりができていた。取り押さえた犯人からバッグを取り戻すと国防仮面は瑠奈たちにそれを手渡した。

 

「貴女たち。危なかったわね。もう大丈夫よ」

「へ、へーんだ! お前が助けなくても瑠奈がどうにかできたってんだ!」

「こーら瑠奈~。ちゃんと御礼を言わないとダメだよ~。風さんにも言われているでしょ~? それにちょっと怖かったの、僕は知っているからね~」

「う!! ……ありがとな」

「いいのよ。私は出来ることをやっただけだから」

「それにしても、お姉さん。国防仮面って具体的に何者なんですか~?」

「良い質問ね。そう、私は国防仮面。人々が悪の脅威に晒された時、出来るだけ現れるわ」

「で、できるだけなんですか…」

 

若干瀬奈が苦笑いすると、そこへ風たちが駆けつけてきた。

 

「見つけたわよ~、『東郷』~」

「ふ、風先輩!!? それにみんなも!!」

「あー、やっぱりわっしーだったね~」

「あ、風に樹じゃん!! 何やってんだよ、こんなところで!!」

「瑠奈に瀬奈こそ何してんのよ!!」

「実はお姉さんがこの男にお母さんのバッグを取られたところを助けてくれたんです~」

「そうなの?」

「は、はい……」

 

観念したのかすっかり大人しくなった東郷に対して風は判断を下した。

 

「はあ…全く。何してんのよアンタは。とにかく後は警察に任せて部室に戻ってから説明してもらうわよ。でも瑠奈たちを助けてくれてありがと」

「瑠奈たちもジューベーさまを連れてきてから来ても良いか!?」

「どうでしょうか、草原さん?」

「構いませんよ。でもあまり遅くなっては行けませんからね」

「は~い」

 

瑠奈たちも風たちについていくことが決まると、突然犯人が全員の隙をついて体を転がして縄を東郷の手から巻き取り、彼女の足から抜け出した。

 

「クソッ…今日はこの辺でズラかせてもらうぜ!!」

「おい! アイツ逃げるつもりだぞ!!」

「待ちやがれ、このタコ!!」

 

瑠奈の声に反応してラグナは彼を追いかけるが、その方角には野次馬の中の子どもがいた。どうやら彼を人質にするつもりのようだ。

 

「おい、そこのガキ!! こっちこ」

 

だが彼が少年に辿り着く前に突如何者かが男にドロップキックを決めて倒した。

 

その漢は濃いモスグリーンの忍衣装を着ており、手甲を装備していた。風になびく真紅のマフラーは灼熱の炎を連想させ、X字の傷がついた顔にある瞳は正義に燃えている。塀にめり込んだ男は復活すると目の前の漢に威嚇した。

 

「なにしやがんだ! 退け!!」

「お主こそ何様の心算でござるか!! いきなり子どもに襲い掛かろうなど言語道断でござる!!」

「て、テメー…何モンだ!! 答えろ!!」

「拙者か? ならば名乗らせてもらおう!!」

 

彼らの前で仁王立ちする漢は喧しい大声で名乗った。あまりの暑苦しさに少し寒さを感じる秋が真夏に感じる。

 

「四国の愛と平和を守る正義の忍、『獅子神萬駆(ししがみ ばんぐ)』!!! ただいま見参!!!! 悪党め!!! 年貢の納め時でござる!!!!」

「訳分かんねえこと言ってんじゃねえ!!」

 

萬駆が名乗った後も男は突撃したが、流石に両腕を縛られた状態で男性に挑むのは無謀だった。あっさりと萬駆に捕まり、マフラーで足まで縛られて地に伏せられた。

 

「そこまででござる!! これ以上の狼藉は許さないでござるよ!!!」

「がッ…くそぅ…ここまで来てこれかよ…」

「当然でござろう!! この世に悪は栄えた験しは無し!! さあ、観念してお縄に着くでござる!!」

 

暑苦しく叫び続ける萬駆と先ほどの国防仮面の活躍でひったくり犯を無事に捕らえることが出来た。警察が来るとその場にいた草原と萬駆たちが事情を説明してくれている間に子どもたちは集まった。さらにそこへ連絡を貰った友奈が駆けつけてきた。

 

「東郷さんが危ない目に遭ったって本当!!?」

「ゆ、友奈ちゃ…さん」

「あれ? もしかして国防仮面さん?東郷さんは?」

「う…」

「まさかユウナのやつ…気づいてないのか?」

「ヒーロー物とか大好きっぽいからね…中の人なんていないみたいな認識でしょうよ」

「どうして分からないんでしょう…」

「ん? 中の人ってなんだ風?」

「瑠奈にはまだ早いかもね…」

 

国防仮面の正体に一向に気付かない友奈はそのまま話を進めた。

 

「私、今国防仮面さんと話せてすごく安心した気がするんだ…どうしてなんだろう、以前助けてくれた時に会った時はそんなことはなかったのに」

「そ、それは…」

 

友奈の前で芝居することに耐えかねた国防仮面は帽子と仮面を取り、自身の素性を明かした。

 

「国防仮面は私だったのよ、友奈ちゃん!!!」

「そうでしょうね~」

「そんな…国防仮面の正体が東郷さんだったなんて…」

「貴様は本当に気付いてなかったんだな…」

 

自分を助けてくれたヒーローが実は親友だったことにちょっとショックを受けつつも安全を知ることが出来て一安心する友奈であった。

 

「でも本ッ当に何事もなくて良かったわ…あのまま犯人が東郷に逆上したらどうなっていたことやら…」

「すみません…」

「人助けをするのは良いけどもうやめてよね。アンタに何かあったら悲しむやつがいるんだから」

「それにしてもなんでこんなことをしたんだ?テメェが危険を冒す必要なんてなかったじゃねえか」

 

ラグナにそう指摘されると東郷はその理由を話し出した。

 

「…私が壁を壊してしまって大変なことをしてしまったのに…みんなは私を笑顔で迎え入れてくれたから…でもそう考えると皆に申し訳なくて…だからせめて部活以外の時間でも多くの人を勇んで助けようと思って…」

「仮面をつけていたのはその身分で夜中を出歩くことに問題があるからか」

「フットワークが軽くなった分、暴走の幅が広がったってことか~…」

「わっしーは思い立つとどこまでも暴走するよね~。見ていてちょっとあぶなっかしいよ~」

 

仲間たちからの心配の声を聞いてより申し訳なさを感じていく東郷。そんな彼女に友奈がそっと寄り添った。

 

「もう、東郷さんってば。少し目を離すとこれなんだから」

「ごめんね、友奈ちゃん…でも身体が動く分、何もしないのがもどかしく感じて…」

「それならずっと見ておかないとね!」

「う、うん」

 

友奈と東郷がいつまでも見つめ合っていると園子がそれに対して反応し始めた。

 

「おお~! この状況下で見つめ返すなんて打点高いよわっし~! これは良いよ~! 輝いてるよ~!」

「いや~、須美さんは中学にいてもモテモテですな~」

「まあ…で、どうなんだフウ。トウゴウは反省してるみてえだから俺はこれ以上詮索するつもりはねえけど」

「そうね。それじゃあ東郷。アンタに部長として沙汰を言い渡すわ。国防仮面は今日で引退。通常の日常に戻る、以上」

「風先輩…ありがとうございます」

「おーーーい!! お主らーー!! 無事であったかーーー!?」

 

問題が解決すると向こう側から警察の事情聴収を終えた萬駆がこちらに駆け寄った。

 

「あ、獅子神さん! あの男の子はどうでした?」

「それならば心配に及ばないでござる!! 先ほど元気に親と合流するところをしかと見届けたでござるよ!!」

「あの、獅子神さん。先ほど助けていただき、ありがとうございました」

「なーに!! 拙者は大したことをしてはござらぬ!!! 本来あの悪漢を捕らえたのはお主であろう? 一応拙者が捕らえたことにしてはおいたが、あの時にそこなご婦人を救ったのはお主ではないか!!!」

「それって東郷の手柄を横取りしたってことじゃ…」

「中学生がひったくり犯とはいえ、犯罪者と自分から接触したからね~。多分わっしーが捕まえたってなったら褒められると一緒に学校と警察で問題になっちゃうかも~。それに国防仮面のことを聞かれたら不利になるのはわっしーだもん~」

「それくらい大赦にもみ消せそうだけどね…それにしても暑苦しいのに意外と気遣いできるじゃない、この忍者…」

 

夏凜と園子がそんなことをヒソヒソやり取りしている内に東郷がポツリと言葉を零した。

 

「…私はどうすれば、皆の思いに報えるのかしら…」

「……そうでござるな。参考になるかは分からぬが、一つだけ拙者が思いつくものがあるでござるよ」

「それは、なんですか?」

 

東郷がそう聞くと萬駆が満面の笑顔で言い放った。

 

「笑う事にござる!!! お主が笑えばお主の仲間も皆笑うようになるでござる!!! そやつらもお主のことを大切に思っているにござろう?」

「そうだよ東郷さん!! 私も東郷さんがいつまでも私の傍で笑ってくれるならそれだけで嬉しいよ!!!」

「友奈ちゃん…うん…私、もっと貴女の傍で笑っていられるように頑張るわ!」

 

お互いを抱きしめている友奈と東郷の様子を見て、萬駆は満足そうに頷いていた。

 

「うむ!!! 友情とは美しいものでござるなあ!!!」

「ありがとな、バング。お前の言葉のおかげでアイツの心の重荷が少し軽くなった気がするぜ」

「ラグナさ~ん、大人のおじさんにそんな馴れ馴れしい態度で接したら失礼ですよ~」

「敬語か…なんか使っていて違和感あんだよなぁ…でもありがとう、バングさん」

「だ、大丈夫でござるよ。気にしてないでござる…」

 

ついいつもの口調で話しかけてしまい、急いで訂正したラグナだったがなぜか萬駆は膝を崩して項垂れていた。そこまで敬語を使われなかったことがショックになるなんて思わなかったラグナは思わず謝罪した。

 

「その、ごめんなさいバングさん!! まさかそこまで傷つくとは思いませんでした!!」

「いや、本当に気にしなくても良いでござる…拙者が老け顔であることは今に始まったことではござらぬし…」

「……え?」

「しかし、それほど拙者は年不相応に見えるでござろうか…これでもまだ『高校生』にござるが…」

「…そうか」

 

その事実が明らかになった時、ラグナたちはなんとも言えない気持ちになった。獅子神萬駆、高校3年、忍者研究会所属。この齢にして大人と間違えられること多数である。




夏なのに更に熱いやつが登場して熱中症にならないことを祈っています。

さて今回のゲストキャラはカグツチの愛と正義とライチ殿を守る正義の咎追い、シシガミ=バング殿にござる!!!こちらの世界ではロイ殿はアラクネになってないから筆者はどうしようか本気で悩んでいるでござる!!!そのままの設定で出したらせ…バング殿はただのストーカーになってしまうでござる!!!助けて欲しいでござる!!!

と、おふざけはここまで。この世界のバングは本編よりも若いですが一応高校3年なのであの姿のままの認識で大丈夫です。

そしてもう一人は隠れゲストとして六英雄ハクメン…ではなくマスコット化した何かであるパクメンが登場。もちろんあの国防体操もパクメンの状態でジンがやりました。

次回も日常回。この世界の園子が小説を書くきっかけが明らかに!!それではまた
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