蒼の男は死神である   作:勝石

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どうも勝石です。

今回の話ではラグナとタケミカヅチが激突!!ほぼタイマンだけど勝てるかな?それではどうぞ

The wheel of fate is turning...Rebel...1...Action!!!


Rebel58.巨人の蹂躙

「よりにもよって…テメェが来んのかよ……『タケミカヅチ』!!」

 

最凶のアークエネミー、タケミカヅチがバーテックスとして自身の前に現れたことを認識したラグナはアラマサを握りしめる。

 

今までバーテックスと何度も交戦してきたが、これほど勝ち目が薄いと感じさせる相手はそういない。

 

何せこの敵はあの世界でもセリカの魔素の働きを抑制する力とそれを増幅させるミネルヴァ、クシナダの楔に烈天上で力の大半を奪った後にジンとノエルと自分の3人で戦ってようやく勝てた相手だ。

 

普通に考えればこれに一人で挑むなど自殺行為も良いところだ。しかし、タケミカヅチは一応黒き獣とほぼ同じ様の存在であるため、蒼の魔道書を使えば限られた時間であっても押さえることは出来る。

 

それだって自分が力尽きればそこまでだ。そしてコイツの存在を知っている勇者は殆どいない。動き出せば、この世界で一番戦うのに有利になるのはこいつだ。

 

しかしそれでも彼は武器を持ち、魔道書を起動させる。ここで負けるわけにはいかない。必ず生きて戻るという約束を果たすために。未来で何も知らない仲間たちの日常を守るために。

 

「行くぞ!!!!!」

 

ラグナが駆け出すと同時にタケミカヅチは雄叫びをあげながら腕を振り下ろしてきた。動き自体は決して速いものではないが、当たれば即死は免れない。

 

なんとか攻撃範囲から逃れることが出来たが、それでも凄まじい衝撃が身体を襲う。ビリビリ振動する身体を押して、ラグナは怪物の顔面に鎌の一撃を加えた。

 

「ブラッドサイズ!!!」

 

若干怯んだように見えるが、タケミカヅチに殆どダメージが無いように見えた。舌打ちをしながらもラグナは攻撃の手を緩めない。

 

「ベリアルエッジ!!!」

 

攻撃を加え続けるが、それでも相手からすれば目障りな羽虫が自分の頭に付いている程度の認識だろう。次に敵は口から真紅の槍を口から放った。

 

全力で回避行動を取ったことで何とか無事でいられたラグナだったが、それでも絶望は終わらない。

 

「くそっ!! 当たってねえのに攻撃の衝撃がどいつもこいつも身体の芯までに響いてきやがる!!」

「グォォォッ!!!」

 

こちらを見下ろしているタケミカヅチはまるで哀れなミジンコを見ているようだ。少しそれが気に食わなかったラグナは再びオーバードライブを使う。

 

「イデア機関、出力最大!!!」

 

再び身体中に瘴気を纏い、ラグナは剣で連撃を叩き込んでくる。するとそれまで不動と言って良いほど動きを見せなかった巨人から呻き声が出始めた。

 

「これなら、いける!!!」

 

瘴気を纏った今ならば、タケミカヅチにダメージを与えることが出来るようだ。ならばやることは一つ。

 

「オーバードライブ中に何度も攻撃して、切れたら回避!それならアイツを倒せる!」

 

だがそうは問屋は卸してはくれない。巨人も負けじと拳を地面に叩きつけて大地を揺らす。叩きつけられた周辺は瞬時に炎の海となった。

 

「あの野郎…ウタノたちの畑を!!」

 

それに気を取られたラグナに向かって巨人はパンチを繰り出した。見事にクリーンヒットをもらったラグナは上社本宮までに吹き飛ばされ、地面に転がる。

 

「ガハッ…ゴフッ……」

 

どうやら今の攻撃で骨が何箇所も折れ、内臓もいくつか傷ついてしまったようだ。それでも何とか立ち上がるものの、巨人は容赦を一切見せない。

 

今度は腕を組んで自身の前に方陣を展開すると大量の矢が出現し、それが大挙としてフラフラの彼を襲う。

 

彼も大剣で弾いていくのが精一杯で、回避はとても出来ない。身体の傷もどんどん目立つようになった。

 

「ぐおおっ…!!」

 

タケミカヅチの猛攻が続いていくにつれてラグナの意識が遠くなっていく。もう既に身体の傷はソウルイーターで回復出来る範囲を超えてしまっていた。

 

少し時が過ぎると巨人の攻撃は突然止まった。それを不審に思ったラグナが倒れそうな身体を起こしながら敵のいる方向へ顔を向ける。

 

そこではタケミカヅチ が口を大きく開きながら光を収束させている様子が見えた。前方には自身よりも広い方陣が展開されており、チャージ時間が長引くほど広がっていく。

 

ラグナは戦慄する。あの砲撃こそ、かつてイブキドを崩壊させたものだ。威力はあのレオ・バーテックスの火球に匹敵する攻撃で、しかも直線攻撃なので貫通力も非常に高い。弾くことなど通常の手段では不可能だ。

 

そんなものがここで発射されれば自分はもちろん、諏訪の大地も木っ端微塵に吹き飛ぶだろう。歌野たちもどこまで避難出来ているか分からないため、巻き込まれる可能性もある。

 

それを理解するとラグナは駆け出す。身体中の痛みを感じる余裕もなく走る。あの砲撃を阻止するために。

 

今はチャージ中だが、その間なら攻撃を加えられる。そこで怯ませれば砲撃を中断させられる。

 

再びオーバードライブを発動させ、巨人の顔に有りっ丈の攻撃をぶつけた。

 

「ブラッドサイズ!!」

「グルァ!!」

「ベリアルエッジ!!!」

「グゥゥ!!」

「インフェルノディバイダー!!!」

「グォォォ!!!」

 

巨人は大きく仰け反ったことで砲撃の準備は中断させられた。それが倒れ込むと胸のコアに接近出来るようになる。攻撃するならこの場面だ。

 

「うおおおお!!! カーネージシザー!!!」

 

ラグナは大剣を構えてコアに向かって特攻し、攻撃を加えていく。今度は攻撃が巨人に効いていることがよく分かる。更にだめ押しに鎌での大技が出てくる。

 

「ブラックオンスロート!!! ブラックザガム!!!」

 

多くの星屑の力を取り込みながら、ラグナの最後の一撃が巨人のコアを貫いた。

 

「ナイトメアレイジ……ディストラクション!!!!」

「ガァァァァァァァ!!!?」

 

手痛い攻撃を食らったタケミカヅチは後ろへ後退りしている。対するラグナも何とか動いて攻撃を続行しようと接近する。

 

しかしやられた後のタケミカヅチの行動は早かった。口を空に向けて開けるとそこから巨大な火球を数個放つとそれはラグナの周囲に落ちてきた。

 

辺りは爆風と衝撃に襲われ、堪らず彼も巻き込まれる。そして彼は上社本宮まで吹き飛んでしまった。また立とうとするが手足が言うことを聞いてくれないようだ。

 

最早立てない身体でラグナはタケミカヅチに視線を移す。怒りを

露わにした巨人は彼が動けないことが分かると再び発射の態勢に戻った。

 

大地は唸り声を上げながら震動し、周りの星屑たちも蒸発するように巨人の元へ取り込まれていく。視界が霞んでいく中、ラグナは色んなことを思い出し始めた。

 

(俺……ここで死ぬのか…何も出来ねえまま…)

 

またいずれ会うと友奈や若葉と、必ず戻ると歌野や水都と約束したのにこんなところで倒れると考えると、ラグナの意識はどんどん闇の中へと落ちていく。

 

「ウタノ…ミト…ワカバ…ユーナ…済まねえ。約束、果たせ…そうにねえや…」

 

巨人の口から黄金色の方陣が何重も展開される。とうとう撃つ準備が完了してしまったようだ。アイツら、逃げ切れたかなと考えた後、ラグナは目を閉じた。

 

(ジン…サヤ…みんな…悪ぃ…帰れ…そ…に……)

 

最後に未来にいる仲間たちの顔を浮かべながら、ラグナはタケミカヅチの放つ光に飲まれていった。

 

 

「白鳥さん!!? 応えてくれ、白鳥さん!!」

 

それよりほんの少し前、若葉は諏訪との定期通信を行なっていた。理由は言うまでもなく、訓練中に聞こえたあの雄叫びだ。

 

何事かと気になって大社の職員に聞いたら、長野地域で未確認のバーテックスが出現したと言う。その時に若葉はすぐに歌野のことを思い浮かんだ。

 

焦燥に駆られた彼女はすぐに定期通信を行ったが、ノイズばかりが流れて歌野の返答は返って来なかった。

 

「頼む!! 繋がって…!!?」

 

あの雄叫びを聞いてから20分程経った頃に突如丸亀城全体を激しく揺らすような地響きが起こった。立つのも困難で思わず若葉は地に伏した。

 

「なんだ…この揺れは!?」

 

これほど大きな揺れを体験したのはあの運命の日以来だろう。やっと揺れが収まってから若葉は外の様子を確かめに行った。

 

その時に彼女は見逃さなかった。諏訪のある方角から上がってくる巨大な黒雲を。壁の向こうからも見える高さまで登る雲はキノコのようになっており、その悲惨さを物語っている。

 

「そ……んな……」

 

それで若葉は理解した。諏訪は堕ちた。恐らく歌野と諏訪の民もあの雲の出ている場所にいたのだろう。しばらくしてひなたもこちらに来た。

 

「若葉ちゃん!! 今の爆発はまさか!!?」

「……諏訪の方かもしれない。あの方角は丁度諏訪の方だし、通信も繋がらない…」

「つまり、長野地域が……」

 

ひなたにそう話すと若葉の端末から警報が鳴り出した。神樹の持つ人類守護の最終手段、樹海化が始まろうとしている。

 

「…ひなた。私は行ってくる。ここは任せたぞ」

「…ご武運を」

 

ひなたに見送られていると、気づけば若葉は樹海にいた。壁の向こうから星屑たちが集団となって襲来する。

 

(白鳥さん…諏訪の人々…お前たちの痛み、悲しみ、怒り…必ずバーテックスどもに報いを受けさせよう。何事にも報いを。それが乃木の生き様だ)

 

勇者システムを起動させると、『青い桔梗』を思わせる衣装が若葉の身を包む。愛刀を抜きはなち、迫り来る敵軍に声高く宣言した。

 

「人類を守る御役目、諏訪より確かに受け継いだ!我ら四国勇者が、この丸亀城にて迎え撃つ!!」

 

 

「みーちゃん……無事?」

「なんとか……他の人たちも……みんな無事だよ」

 

ラグナと別れた後、歌野たちはラグナが記したメモを頼りに何とか下山して山里から離れることが出来た。

 

タケミカヅチの砲撃で慣れ親しんだ山は吹き飛び、大地は抉れ、焦土と化していた。

 

水都は戻ることを考えたが、歌野は進もうと言った。このまま行かずに戻って巨人の餌食になったら、それこそラグナに見せる顔はないから。

 

事実その後に安全な道が水都に神託を通じて判明し、その指示に従ったことで諏訪の民は数週間かけて無事に四国へ辿り着くことが出来た。

 

彼らが無事に着けたのは勿論日頃から自活し、協力し合いながら進んでいたことが大きいが、もう一つはあの巨人が動くことがあの後、無かったからでもある。

 

タケミカヅチは砲撃して以来、動きを見せていない。エネルギー切れなのか、実は死んでいるのか、はたまた神の気まぐれかは分からない。

 

ただ言えるのは、巨人が動かなくなったことにラグナは間違いなく関係しているだろうということだ。

 

歌野たちが四国に着くと大社は彼らを迎え入れ、保護した。歌野たちが来たことを若葉たちが知ると当然彼女たちも会いに来た。

 

声しか聞くことのできなかった相手と初めて顔を合わせることに若葉と歌野は喜び合った。巫女である水都もひなたと良く話している。

 

しかしある話題が出てくると二人の表情に陰りが出てきた。

 

「白鳥さん…いや、歌野たちがこうして全員無事に四国へ来ることが出来て、本当に良かった。あの時は…友人の死に直面することを覚悟した…」

『………』

「歌野さん? 水都さん? どうしました?」

「…みんな…じゃないわ、若葉」

「そう、か……済まない。無神経なことを言った…」

 

若葉は謝罪するが、歌野は首を振った。別に若葉が悪気があって言ったわけではないのは分かっている。それにある意味自分も責任を感じていた。

 

「違うの…あの時…私たちが逃げられたのは…ラグナが私たちを行かせたから…なのよ…」

「ラグナ………まさか!?」

「ラグナが諏訪にいたの!!!?」

 

若葉よりも先に友奈が反応した。友奈もタケミカヅチの声を当然聞いている。そして彼女が真っ先に思い浮かんだ外の世界の人物とは、ラグナだった。

 

恩人であり、勇者として初めて共闘した仲間の凶報を聞いたことで、普段の彼女からは考えられない程必死の形相の友奈は歌野にラグナの安否を聞いてきた。

 

「ラグナは!!? ラグナはどうなったの!!?」

「た、高嶋さん落ち着いて!」

「あ…ご、ごめん…」

 

千景の声で何とか友奈が冷静さを取り戻すと歌野はゆっくりと話し出した。ラグナが自分の代わりに囮を買って出て、一人で三時間近くバーテックスと戦い、巨人を大人しくさせたであろうことを。

 

「つまり、あの男は死んだ…のか…?」

「……確認はしていないわ。もしあのバーテックスが動き出せば、彼が守ろうとしたみんなを…また危険に晒してしまうから…」

「そんな…ラグナ…!」

「高嶋さん…」

 

若葉とひなたは彼の壮絶な戦いの結末を聞いて絶句し、友奈はショックで口を手で塞いでいた。千景はそんな彼女を抱きしめた。

 

彼から預かった鍬も若葉たちに見せた。持っても良いかと尋ねられると二人は快くその願いを受け入れた。全員がそれを持つとなんとも言い難い悲しみを感じた。

 

四国の勇者では球子、杏、千景はラグナのことを知らない。しかし歌野の話から想像するにラグナもまた勇敢な人間だったのだろう。

 

もし自分があの声の主と真正面から一人で挑めと言われたら。正直に言えばそんなことは出来れば起きて欲しくない。

 

ただでさえバーテックスだけでも大変なのにそれよりも更に強い敵と一人で戦うなど出来るはずがない。

 

それをラグナはやった。勝ち目がないのは分かっていたはずなのに戦った。諏訪の人々を守るために。

 

その日は誰も話すことなく自分の部屋へ戻った。そして勇者たちは決意した。彼が命を賭けて守ろうとしたものを自分たちも守ろう、と。

 

 

「………っ」

 

丁度勇者たちが合流していた日、件のラグナはというと、死んではいなかった。

 

瀕死の重傷を負っていた彼に巨人の砲撃が当たる直前、小さな影が自分たちの間に割って入ったのだ。

 

すぐに影は音もなくバラの花びらを撒き散らしながらフッと消え去ると、砲撃はそのまま空になった上社本宮に直撃した。

 

結果として誰も死なず、破るべき結界を維持させていた神も健在。タケミカヅチの攻撃は無駄に終わったのだ。

 

されどラグナとて無事ではなく、目覚めるまで実に1ヶ月近く掛かってしまった。ようやく目を開けると彼はベッドの中で寝ていた。

 

「……ここ、どこかで…」

「ようやくお目覚め?」

 

声に反応して振り向くと窓際で月の光に照らされている見慣れた黒のドレスを着たツインテールの女性がいた。少し違和感を感じるのは背丈のせいだろう。

 

自分の知るものよりも少し幼いながらもようやく手がかりを見つけることの出来たラグナは少し安心した。

 

「…やっと見つけたぜ…ウサギ…」

「気安く変な渾名で呼ばないで、穢らわしいわ」

「な、テメェ…!」

 

未来よりも幼いはずなのによりドスの効いた少女の罵倒に少しカチンときたが、ここは我慢。

 

キレてしまったら恐らくこのまま外の世界に放り出される。それにこの少女が自分を知らないならば、いきなり渾名で呼ぶのは確かにまずかった。

 

「…じゃあなんて呼びゃあ良いんだよ?」

「その馴れ馴れしい態度を改めなさい。それが淑女に対する礼儀なの?」

「……俺はラグナだが、お前の名前は?」

「…レイチェル」

「そうか……お前が助けてくれた、のか?」

「偶然見つけただけよ」

「…ありがとうな」

「礼を言われる覚えはないわ」

 

どうやら自分の目の前に立っているツーンとした態度の女子はレイチェル=アルカードその人で間違いないようだ。姿恰好も少しだけ幼く感じるが、それ以外は殆ど変わっていない。

 

「身体は動くかしら?」

「…取り敢えず痛みはねえな」

「なら早く応接間に来なさい。『お父様』が貴方に話があるそうよ」

「分かった」

 

彼女に案内されてラグナは応接間へ行った。そこには先ほど寝ていた寝室よりもずっと広い中世風の部屋で、各所にアンティーク風の家具が設置されている。

 

レイチェルに席をかけるよう勧められたラグナはそのままこの城の主が来るまで待つことにした。

 

やがて車椅子に座った老紳士が現れた。見た目こそ痩せているが、全身から溢れてくる気品からは老いを感じさせない。レイチェルは彼を見るとその後ろへ姿を隠した。

 

後ろの屈強な男に押され、豊かな白髭を蓄えた老紳士はその真紅の眼でこちらを見ると挨拶を交わしてきた。

 

「遅れて申し訳ない、お客人。私の名はクラヴィス=アルカード。この『アルカード城』の主だ。後ろの者は執事のヴァルケンハイン=R=ヘルシングで、こちらは君を助けた娘のレイチェル=アルカードだ」




流石にハイランダーを一人では倒せないかな…原作でも他の人たちの協力があってこそ勝てたし、黒き獣は一人では良くて足止めだし。

さて次回ですが、クラヴィス=アルカードと出会い、そして遂にラグナは再び四国へ!番外編をやるなら…ゆゆゆい原作特有のビバーク回にしたいんですが、皆さんはどうでしょうか?アンケートを出しますので気楽に回答していただければ幸いです。

それではまた
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