そのっちの誕生日イベとか新レアリティとかで色々動きのあるゆゆゆいですが、筆者はマイペースにやらせていただきます。あ、でも一枚絵すこだった。
さて、今回は若葉ちゃん暴走回!それではどうぞ
「こいつはまた…随分と大所帯じゃねえか」
「ああ…あまりにも…多すぎる」
ラグナは前方から来襲してくる星屑の大群を見て溜息を出した。その数は実に千以上。以前の諏訪の大進撃に比べればまだマシだが、それでもここに来てから初めての大規模な襲撃だ。
「端末にあるマップも敵の反応でビッチリだよ…」
「ここまで多いのは見たことがありません…」
杏の言葉に呼応して球子も頷く。自分がいない頃でも勇者たちはそれなりにバーテックスと交戦しており、戦闘にも慣れてきているようだった。しかし今までにない敵の数に不安を覚え始める。
(いや…リーダーの私が弱気になってどうする!)
自身を鼓舞した後に若葉は星屑の群れを見据えながら言った。
「私が先頭に出る」
「若葉さん、待ってく」
杏が若葉を呼び止める前に刀を手にした若葉が敵陣に突撃を仕掛けた。敵の方も彼女に気付くと、その方向へ集まっていく。
「おかしいぞ…なんでさっきからバーテックスたちは若葉ばかりに向かってるんだ?」
球子が口にした疑問は最もだ。今までバーテックスは人間やそれに関係したものであればそれが何であれ攻撃してきた。しかし今回は他の勇者たちに眼もくれずに若葉のいる方へ全ての戦力を割いている。
「そんな…まさか…」
「ワッツ? どうしたの、杏さん?」
「バーテックスには知能があります! 恐らくこれまで個人で大群を相手にしてきた若葉さんを見て、今までのような単純な数での力押しが通用しないことに気付いたんです!」
「つーことは、アイツらの狙いは!!」
「はい…若葉さんを最優先に潰すことです!!」
「クソッ! だったら早く助けに行かねえと!!」
次第に囲まれていく若葉を他の勇者たちも助けに向かおうとする。しかし、それはバーテックスの大群はまるで雲のようにぶ厚く、彼女たちの行く先を阻む。
しかもそれだけで終わりではなかった。若葉を包囲していたものから一部の敵が神樹の方へと向かっていた。
離脱したバーテックスの数も普段の勇者たちが全員で立ち向かっている数とそれほど変わらない。ここで自分たちが若葉を助けようと時間を使ってしまったら、バーテックスは神樹を破壊してしまう。
今の四国に生きる人類にとって神樹は最後の生命線ともいえる。これが倒れれば、四国は滅びるだろう。
「若葉ー!! 戻ってこーい!! 一人で戦っちゃダメだー!!! 皆で集まって戦わないと危険だ!!!」
球子が懸命に彼女の名を呼ぶが、星屑によって空間が閉ざされたのでは若葉にその言葉も届かない。
「若葉ちゃん…」
仲間と神樹という究極の二択を迫られて苦悩する友奈だったが、そこへ急に悪寒を感じた。振り向くとそこには蒼い光を放つ右腕を翳すラグナがいた。
「お、おい! 何だったんだ今のタマらなく危ない感覚は!?」
「…テメェらは急いでシンジュの方へ向かえ。今ならまだ間に合う!」
「まさかだけど。一人で乃木さんを助けに行く、なんて言うつもりじゃないでしょうね?」
「…悪ぃがそのまさかだ。俺もあの中に突入してワカバの奴を助けてくる。その間に皆はシンジュの方を頼む!!」
「そんな、危険すぎます!! あの様子では突破は容易ではありませんし、万が一入れても絶対に出て来れません!!」
「それでもやるよ。このままだとワカバの奴が確実に死んじまう」
ラグナの目を見て、その場にいる勇者たちが彼が本気であることを理解する。しかしそれでも解せないことがあった。確かに彼は強いが、たった一人で行ったところで何が変わるというんだ。
「ラグナ…もしかしてアレを使うの?」
「おい、アレってなんだよ?」
「説明すると長えから省くが、要は俺の切り札みてえなものだ。そいつを今使う」
「ラグナにも…ジョーカーが…まさかそれで!?」
「ああ。そいつのおかげで、俺はこれまで戦うことが出来た。出来ればどうなるか分からねえここじゃあ使いたくなかったが、今は四の五の言ってられねえ!!!」
ラグナがそう言うと腕に力を込める。徐々に瘴気が腕の方へと集まり、地鳴りと風が発生する。
「な、なんだ!? 地面が震え出したぞ!?」
「これが…ラグナさんの切り札…」
「成る程ね…確かにこれならみーちゃんがデンジャラスだと感じる訳だわ」
バーテックスも彼の異常に気付いたのか、何体かがラグナの方へ向かっていった。
「第666拘束機関開放! 次元干渉虚数方陣展開!! イデア機関接続!!!」
瘴気と同時に白い光が右腕の方へと吸い寄せられていくと、ラグナは力強く宣言した。
「『
眩い蒼の方陣が出現した後、ラグナの全身から禍々しい力が溢れ出る。瘴気を身に纏ったラグナは若葉を取り囲むバーテックスの群れの方へと駆け出しながら吠えた。
「行くぞ、このシロアリ野郎が!!!」
白の壁に向かってラグナは斬りつけ、黒い瘴気で包囲網を力任せに抉じ開ける。
「カーネージシザー!!!」
一撃で星屑で出来た壁に穴を開けると、ラグナは急いで中へ突入した。道中にも大量の星屑はいたが、それも彼によって屠られていく。
襲い掛かる無数の敵によって傷を負わせられるが、一刻も早く若葉と共にここから脱出するためにもラグナは立ち止まらなかった。瘴気を纏った剣で敵を薙ぎ払っていき、身体の傷はソウルイーターで少しでも回復する。
「退きやがれぇぇぇぇぇ!!!」
必死の思いでようやく包囲陣内に到達すると、そこには右腕に負傷があったものの、太刀で次々と敵を切り払っていく若葉の姿があった。恐らく一人でこの数を相手にしているうちに攻撃を受けたのだろう。
「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
それでもなお、彼女は強かった。自身の血と汗が飛び散る中で雄叫びを上げながら彼女は無数の星屑を切り伏せていく。
「これしきの苦痛に…屈したりするものか!」
灼けるような激痛が腕から走っているはずなのに、まだ彼女は剣を振るう。人々の大切なものを奪っていったバーテックスへの怨嗟の念の篭った目で敵を睨む。
「どれ程の痛みを、苦しみを!! 貴様らは罪なき人々に与え続けたぁぁぁぁ!!!」
怒りのままに戦う若葉。しかし如何に強いとはいってもこれだけの数の敵に囲まれては隙も出来る。
三体のバーテックスが若葉に突進し、彼女に喰らい付こうとする。そのうち、二体は斬り倒すことに成功したが、一体を仕留め損ねてしまった。
「しまっ…」
若葉は攻撃を受けることを覚悟したが、星屑が彼女に接触する前にその真下から何者かが攻撃を仕掛けてきた。
「ガントレットハーデス!!!」
ラグナが星屑を黒い炎に覆われた拳で殴ると、その後にキックでその死骸を吹き飛ばす。
星屑たちが侵入者に気づくと、一斉にラグナの方へと急襲した。彼も負けじと大剣を大鎌に変え、敵を切り払っていく。
気のせいか、星屑たちの攻撃対象も若葉からラグナに変わっていっているようにも感じた。事実、先ほどから若葉よりもラグナを優先して戦っているように見える。
狭い場所で無数の敵を相手に悪戦苦闘するラグナを若葉が敵を刀で追い払って助けた。
「何故だラグナ!! 何故ここに来た!? 私は一人でも戦える!!」
「テメェバカか!! その腕であのままやり合ってたら死んでたぞ!!」
「だがそれでお前まで危険な目に遭ったら意味がないだろう!!」
「だったら一人で突っ込むんじゃねえ!! テメェがおっ死んだら悲しむ奴らもいるんだぞ!!」
「それは…」
「こうなった以上、今無理して出るなんて言わねえ!! ここで出来る限り奴らをぶっ倒して、隙が出来たところから脱出するぞ!!」
「……了解した!!」
二人が剣を構えると飛びついてきたバーテックスたちを相手に一騎当千の力を見せつける。
高速で動き回る若葉は殆ど敵の攻撃に当たらずに敵をどんどん駆逐していき、ラグナはソウルイーターによる回復と大剣の大振りで星屑を叩きのめす。
「『
「シード・オブ・タルタロス!!!」
それぞれの大技を放つが、それでも中々包囲網は崩れない。内側は外に比べて敵の方も集中して攻撃することが出来るため、突破は容易ではない。
「くそがッ…ワラワラ出てきやがって…これじゃあ埒が明かねえ!!」
大鎌で一度に何体もの星屑を倒すが、切り裂いた敵の後ろから更に新手が突撃してきた。完全に虚を突かれてしまったラグナに星屑の顎が喰らいつこうとする。
しかしその前に頭上から何かが急降下してそのバーテックスを粉砕した。それは外で神樹の防衛に務めているはずの友奈だった。
「友奈!? お前まで!?」
「なんでテメェがここにいるんだ!!? アレを突破するのがどれだけ危険か、分かってんだろ!!?」
よく見れば友奈の勇者装束は所々切れていて、何か所も出血が見られた。どうやら先ほどのラグナと同様、あの包囲網を突っ切ってここまで来たようだ。
「危ない目に遭っている友達を放っておくなんて、やっぱり私には出来ないよ…」
それを聞いて若葉はこれまでの日々を、そしてラグナはそれと同時に未来にいる結城友奈のことを思い出す。友奈という少女が他人の苦しんでいる姿を見て黙って見ていられるような少女ではない。もし仲間が危険に晒されたら彼女はその危険を冒してでも助けに行くのだ。
こうなっては出来るだけ早くここから出るしかない。少しよろめきながらも拳を上げて構える友奈を見たラグナの行動は早かった。
「ワカバ…こいつらと遊んでる場合じゃねえ…他のみんなのためにもいい加減ケリをつけるぞ!!」
「ああ!!」
「ユーナ!! テメェはもう少しだけ身体が持ちそうか!!?」
「うん! 若葉ちゃんやラグナのおかげで数が減った分、まだ何とかなりそう!」
「分かった…なら一気にこいつらを蹴散らして他の連中と合流する!!イデア機関、出力最大!!!」
瞬間、腕から発される瘴気は全身から漏れ出て、量も濃くなっていく。異様な雰囲気を出したラグナは大鎌を手に襲い掛かる星屑たちに凄まじい斬撃をぶつけた。
その後も三人は大群を相手に奮闘する。外には他のバーテックスに苦戦しているであろう仲間たちがいる。元の世界では自分たちの無事を待っているひなたとレイチェルがいる。
「おおぉぉぉぁぁぁぁ!!!!」
「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「うおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」
獣のような野太い咆哮を上げながらラグナは、そして闘志の籠った声で叫ぶ若葉と友奈は敵を倒していく。ある程度数が減っていくと、絶え間なく出る瘴気で巨大な腕の形を作っていく。
「ワカバ、ユーナ!!跳べ!!」
「承知した!!」
「うん!!」
「バーテックス共、闇に喰われろ!!!」
ラグナは腕を星屑たちの壁に突っ込むと、そのまま星屑たちを飲み込むように鷲掴む。その後、まるでかき分けるように腕で星屑たちを喰い潰していく。そのおかげでかなりの数のバーテックスを倒すことが出来た。
「やった!! 今ので敵もぐんと減ったよ!!」
「あともう少しで、ここから外に出られそうだ!!」
「あと少しだ!! それまでは絶対に死ぬんじゃねえぞ!!」
やがてバーテックスの数も激減していき、三人は何とか脱出して他の勇者たちと合流することが出来た。戦闘は続いていき、終わった頃には実に4時間半近く経っていた。
樹海が静かになる中、若葉が周りを見渡す。仲間たちは皆生きていたが、身体中が傷に覆われていた。特に無理して自分たちを助けに来た友奈は傷がそれなりにひどく、すぐに病院へ連れていかれて入院した。
それでも意識はきちんと保っており、周りの勇者たちにも大丈夫だと伝えていた。あの様子ならしばらく安静にすればすぐに回復するだろう。
ラグナも切り札である蒼の魔道書を使ったとして病院に連れていかれた。当然調べてもその力はあまりにも未知であったため、異常を調べようにも何が異常なのかが分からなかった。ラグナの身体も外見上何か所かの傷以外に異常が見られないため、彼はしばらく病院で養生と告げられてあっさり解放された。
彼が友奈のいる病室へと向かうと、何やらピリピリした空気が漂っていた。そこでは頬を赤く腫らしながら俯く若葉と彼女を涙の溜まった眼で睨む千景、静観するレイチェル、そしてどうすれば良いのか分からない他の者たちだった。
「おい、何があったんだ?」
「ラグナさん…検査の方はどうでしたか?」
「まあ…少し病院で休めってよ。それよりこいつは…」
ラグナの言葉にひなたは答えずに二人の方へ振り向くだけだった。彼に気付く様子を見せないまま、千景は若葉を強く責めた。
「乃木さん…これは貴女が引き起こした結果よ…」
「……」
「どうしてこんなことになったのか…分かってるの……?」
「…分かっている。私の突出と無策が全ての原因だ……」
若葉は樹海での自身の行動を振り返る。死んでいったものたちの無念に報いようとした結果、自分は暴走という形で単独行動に走った。それによって仲間たちが傷つくことになった。
彼女の回答に対して、千景は顔を歪ませながら怒りを露わにした。
「やっぱり貴女は何も分かってない!! 一番の問題は…貴女の戦う理由なのよ!!」
「戦う……理由…」
「貴女はいつも…バーテックスへの復讐のためだけに戦っている!! だから…怒りで我を忘れてしまう!! 周りが傷つくことにも…気づきさえしない!!」
千景の言葉に対して誰も声を上げることが出来なかった。若葉の戦いを見てきた者として、どこか彼女の言葉に思い当たる節があるのだろう。
「貴女が一人で戦おうから…高嶋さんが傷つくことになった!! あの人が介入して、しかも切り札まで使ったからまだあれだけで済んだけど、もしそうじゃなかったらどうするつもりだったの!!?」
勇者には精霊を身体に降ろすことで身体能力などを高めることの出来る「切り札」がある。しかしこの力は身体への負担が大きく、長期戦には向いてはいない。
しかし若葉は考えてしまう。もしあの時、自分もラグナと同じように切り札を使えば彼や友奈の負担を減らすことが出来たのではないのだろうか。自分はただ少しでも長く、多くの敵に報いを与えるため、戦うためにわざと使わなかったのではないのか。
(あの時のラグナの言葉は…こういうことだったのか…)
「どうしたの…なんで何も言い返さないの!?」
返事を返さない彼女を見て千景は苛立ちを隠せずに言葉をぶつける。
「貴女に…私たちのリーダーとして先頭に立つ資格なんてない!! このまま貴女が変わらずに戦えば…また誰かが傷つく!! これから何度も!! だったら…私はもう…!!」
「チカゲ、もうそこまでで十分だ」
千景の言葉をラグナは遮った。彼の存在にようやく気付いた千景はどうして止められたのかが分からないようだった。
「どうして…」
「言いたいことがまだあるのは分かるが、今はもう勘弁してやれ。アイツの病室の前だし、ワカバだって…お前の言いてえことが今になっても分からねえほどバカじゃねえよ」
そう言いながらラグナは若葉の方を見る。後悔と苦痛で思い悩んでいる顔だった。しかし彼の言い分に納得出来ない千景は彼に問い詰めた。
「貴方…分かってるの!? どうしてそんなに冷静でいられるの!!? 乃木さんが暴走したことで、貴女も高嶋さんも!!」
「…確かにその通りだ。だが…あの時助けると決めたのも俺自身だ。危険だと分かった上で、だ。そいつは…ユーナも同じだろうよ」
彼の言葉を千景は完全に否定することが出来なかった。ラグナは次に若葉に言葉を告げた。
「…ワカバ。チカゲが言いてえことは理解したな」
「……」
「…取り敢えずアイツが俺の言いたかったことを殆ど言ってくれたからそう多くは言わねえが、一つだけテメェにやってもらうことがある」
「……それは?」
「…しばらく刀をヒナタにでも預けて生活しろ。鍛錬も壁を眺める習慣ってのも無しだ」
「え?」
「さっきからチカゲも言ってるだろ。周りが見えてねえってな。だからやれ」
「しかし、その時に敵が来たらどうする!!?」
勇者たちの武装は勇者システムとは切り離されている。そのため、常時携帯していなければ樹海に持ち込めないのだ。
「だったらその時は俺たちだけでやるよ。それに巫女の神託がないなら進撃も多分ねえだろ?」
「それは…そうかもしれないが…」
「だったら丁度良い機会じゃねえか。今そいつを逃すんじゃねえ」
そう言って他の者たちに彼は振り返る。
「ンじゃあもう日も暮れてきたし、この辺で解散だ。みんなも色々あって今日は疲れただろ?」
それを皮切りに周りの者たちも自身の病室へと戻っていった。そしてその夜、若葉は再び考えた。三年前のあの日の出来事、自身の戦う理由、そして勇者のリーダーとしての在り方について。
無茶苦茶展開が難産だったよ…ギスギスは苦手なんだ(ハザマには目を瞑る)。でもこれがあったからこそ彼女は成長出来た訳だから外すのは出来ないんだよね…
ぶっちゃけココノエ博士をぶち込んでギャグをやりたかったけど、流石にダメかなと思ってやめた。あれやらないとブレイブルー組、先生と姫様くらいしか出てこないから。
さて次回は若葉ちゃん、自分を見つめ直す回。それからアンケートですが、この作品って登場人物紹介みたいなページないんだよね。作ったほうがいいのかな?一応載せますので気軽に答えてくださるとありがたいです。それではまた。