蒼の男は死神である   作:勝石

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どうも勝石です。

ここ最近台風がめっちゃ多い気がするけどどこかで天の神が暴れてるのか?

さて今回は丸亀城の戦い!この戦いをラグナたちは乗り越えられるのか!?それではどうぞ


Rebel66.丸亀城の戦い

殺戮の銀河が樹海へなだれ込んでくる中で勇者たちは円陣を組んでいた。リーダーの若葉が気合いを込めて叫ぶ。

 

「敵の数は文字通り無数だ。だが四国の外にも人類が生き残っている可能性がある! その希望のためにも私たちはここで負けるわけにはいかない! 必ずこの戦いに勝って、四国を守るぞ!! ファイトォ!!」

『オーーーーッ!!!!』

 

掛け声と共に彼女たちは散会していった。今回の戦いでは長期戦を想定して丸亀城を中心に陣形を用いた戦術が使われる。

 

先ずは丸亀城の前方と東西にそれぞれ勇者を一人ずつ配置し、後ろでパートナーとなるもう一人を控えさせる。前衛に疲労が見られれば後衛と交代して、見晴らしが良く、比較的安全な丸亀城の近くで休息を取る。

 

これを適度に繰り返すことで長期戦でも体力の消耗を押さえることが出来るのである。万が一前衛が仕留め損ねても丸亀城付近にいる司令塔の杏がクロスボウで援護してくれる。配置として前方は若葉と千景、西側は球子とラグナ、東側は歌野と友奈に決まった。

 

自身の場所に着いた若葉はバーテックスたちを見据える。その時に自身の足元から何かが這ってくる感覚に襲われた。そこへ眼を向けると

 

「ッ!!」

 

腐り果てた腕で自身の足にしがみつこうと死んでいった者たちの怨霊が掴みかかって来る様だった。

 

怨念はこちらに向かって怨嗟の声を上げる。殺せ、奪え、奴らを怒りのまま根絶やしにしろ。そんな醜悪な声が聞こえてくる。

 

過去に起こったことは決して変わることはない。影はあの日の惨劇を忘れるなと若葉の心の傷を刺激していく。

 

「わーーーかーーーばーーーちゃーーん!!」

 

そんな時に友奈の声が聞こえた。若葉が彼女の陣地へ顔を向けると友奈が自分に向かって呼び掛けているのが見えた。

 

「落ち着いて行こーーーーーーー!! 頑張ってーーー、リーーーーダァーーー!!!」

「友奈…ああ!! 任せておけ!!!」

 

そう。今の若葉は決して一人では無い。共に戦う仲間がいるのだ。それを強く実感出来た彼女はもう怒りに囚われることはない。

 

星屑たちはすぐそこまでやってきた。それを見て若葉は足元の闇を切り払うように生太刀の(しろがね)の刀身を露わにし、敵を向かい打った。

 

「若葉、初めからフルスロットルね!! こっちも負けてられないわ!!」

 

東の前衛でいる歌野も自身の鞭、藤蔓を払いながら大量の敵を倒していく。打たれた星屑たちは腐敗していきながら消滅していった。

 

流石は一人で諏訪を一人で守っていただけはある。防衛戦は十八番だろう。

 

「タマも若葉に負けてられないぞ!西の守りはタマに任せタマえ!!」

 

縦横無尽に駆け巡りながら中央で奮戦する若葉を見ながら西側の球子は旋刃盤を投げて並み居る敵を裂いていく。こちらも広範囲の攻撃なので、一度の攻撃で多数の敵を倒すことが出来る。

 

「歌野さん! 出来る限り前の敵をお願いします!」

「打ち漏らしはこっちで何とかするから大丈夫だよ!」

「ラジャー! 頼りにしてるわ!」

「タマっち先輩! 下の方から星屑の一団が来るからそこに旋刃盤をお願い!」

「任せとけ!」

 

それぞれの勇者が各々の場所を守りながら端末の通信から来る杏の指示の下で攻防を繰り広げていく。かなりの時間が経ってくると前衛に疲労が見え始めてきた。

 

「前衛の皆さん! そろそろ後衛と交代して休憩してください! 後衛の皆さん、お願いします!」

「え? 私はまだ…」

 

後退の指示に思わず若葉は自身の戦闘続行を言いかけるが、確かに疲れが本格的になってから撤退しては遅くなると考えるとそれは愚策だということに気付いた。

 

何より自分の後ろには頼りになる仲間たちがいる。安心して下がることが出来るのだ。

 

「分かった! すぐにそちらに行く!」

 

そう言って若葉は戦線を離脱し、丸亀城へと向かった。彼女と入れ替わるように参戦してきた千景が彼女と顔を合わせる。

 

「…もし交代を渋って戦い続けるようだったら、叩いてでも交代させていたわ」

「ゲームでも戦闘でも役割同士の連携は重要だ。出るときは出て、下がるときは下がる。そうだろう?」

「…そうね」

 

笑い合いながら二人は去り際にハイタッチする。

 

「後は任せたぞ」

「ええ…奴らを塵殺してくるわ」

 

若葉たちと同様に歌野と友奈、球子とラグナが交代する。休んでいる者たちの位置も最後方の杏のクロスボウの射程範囲内であるため、無理して動く必要もない。

 

これだけの作戦を立てられる杏の知識量と頭の回転に感服しながらも若葉は後ろから前衛の者たちを見る。

 

「そうか…私の周りには…こんなにも頼もしい仲間たちがいたのだな」

 

単純に力がどうかではなく、傍にいるときに安心できること。色々な意味で個性的な仲間たちと真の意味で共闘出来た若葉だからこそ気付くことが出来た。それはラグナと交代した球子も同様だった。

 

「タマコ! そろそろ交代するぞ!後は任せろ!」

「ありがとなラグナ! 流石にタマも疲れてきたから休んでいるぞ!」

「おう!」

「後さ」

「ん? 何だよ?」

 

いきなり球子が何かを言い出したようでラグナも彼女の方へと振り返る。

 

「タマはさ、ラグナたちが後ろにいたからすっげー安心して戦うことが出来たんだ。もしタマに何かがあってもラグナたちがいるなら大丈夫だってな。おかげで大暴れが出来たぞ!」

「そいつはお前らも同じだけどな。お前らが前にいるから俺たちは安心して体力を温存することが出来たんだからよ。これからも頼りにしてるぜ!」

「おうよ! タマに任せタマえって!」

 

そう言って二人は入れ替わると同時にラグナが敵陣に切り込む。上空から一気にアラマサを切りかかり、敵を瘴気で吹き飛ばす。

 

「行くぞ、このシロアリ野郎が!!」

 

そのまま彼女たちは無傷のまま、切り札も蒼の魔道書も使わないまま星屑の大群を圧倒していた。

 

しばらくしていると敵が攻撃を中止して引き始めた。これで終わりかと考えた勇者たちだが、実際は違う。星屑たちは集まって、三体の集合体を形成してきたのだ。

 

「皆さん、注意してください! 進化体が来ました!」

 

やってきたのは三体の大蛇の姿をしたもの。どれも等しく大きな顎と長い胴体を持っていた。最初に攻撃を仕掛けてきたのは若葉と千景の前にいる大蛇だった。

 

だがこれまで何度も進化体を見てきた千景は動じない。冷静に鎌を構えると、迫りくる敵に横一閃。一撃で胴を両断した。しかし敵は動きを止めなかった。

 

「そんな!? 増殖した!!?」

 

数を増やした蛇の一匹の噛み付きを躱しながら千景は驚愕する。他の者たちもこれを見て攻撃を一度中断した。

 

この蛇は攻撃などで身体に損傷が出来た時に分裂するようだ。それはつまり全身を一気に損壊させなければならならいということになる。

 

「これは参ったわね…私たちの中にこいつを一気に倒せる手段なんて」

「こうなったら…第666拘束機関」

 

大蛇の様子を見て、ラグナはすぐに蒼の魔道書を起動させる準備に入るが、そこへ球子が待ったを掛けた。

 

「待てラグナ! ここはタマの出番だ! 切り札を使わせてもらうぞ!!」

「タマコ!? お前、あんなデカブツを倒せる技があんのか!!?」

「まあな!! こいつを見タマえよ!!」

 

球子がそう叫ぶと、意識を集中させるために眼を瞑る。彼女の勇者服が変化していくと同時にある名前を球子は叫んだ。

 

「来い、『輪入道(わにゅうどう)』!!!」

 

精霊を身に宿すと、球子の旋刃盤も次第に巨大化していく。そのサイズはそこそこ広い庭を覆い尽くせるほどになった。

 

「いやデケエな、おい!!!」

「ハッハッハー!! おっタマげたか、ラグナ!!!」

「ああ、こいつにはタマげたぜ!! スゲーじゃねえか、タマコ!!」

「でもタマっち先輩!! そんな大きいの、どうやって投げるつもりなの!!?」

「そんなモン、根性で投げるしかないだろ!!」

「だけど出来れば一ヶ所に集めないと!! アイツらバラバラになり始めたよ!!」

 

友奈の指摘通り、四匹に増えた蛇たちはそれぞれ目の前の勇者たちに攻撃を開始していた。その懐から現れてくる星屑たちは後衛も充実していることもあって対応することが出来ていたが、このままではジリ貧だ。

 

「タマコ! アイツらが一ヶ所にいれば全員倒せるんだよな!!?」

「おうよ!!」

「分かった!! 聞こえたな、アンズ!!」

「はい!! それでは千景さんは一旦下がって歌野さんや私と一緒に星屑の撃滅!! ラグナさんと友奈さん、若葉さんは進化体をなるべく一ヶ所に集めてください!!」

『おう!!』『分かった!!』『分かったわ!!』「了解!!」

 

まずはラグナが大蛇に突進するとアラマサで敵に切り掛かり、瘴気と共に敵を若葉たちの方へ吹き飛ばした。友奈ももう一匹の大蛇にキックをかました。

 

「ぶっ飛べ蛇野郎!! カーネージシザー!!!」

「うおおおおお!!! 『勇者ぁぁぁぁ回し蹴りぃぃぃぃ』!!!」

 

瘴気に全身を冒され、味方と激突しながらも大蛇たちは何とか体勢を整えようとする。だが中央にいる若葉が彼らを逃さない。鞘と刀の二刀流で牽制しながら大蛇たちを足止めする。

 

若葉がタイミングを見計らって離脱するとラグナはすかさず後ろの球子を呼んだ。

 

「今だ!! 行け、タマコ!!」

「オッケー!!『大・旋風炎刃』!!!」

 

時間を殆ど置くことなく球子も旋刃盤を投擲した。大きくなった楯は炎に包まれていき、大蛇たちを切り刻んでいきながら燃やし尽くしていく。

 

「見たか! これが輪入道の力だ!!」

「タマっち先輩、それラグナさんの真似?」

「いーじゃん、別に。かっこいいだろ~?」

「でも本当にすごいよー!! あれだけいた進化体が皆倒されちゃったもん!!」

「いやー、それほどでもないぞ~」

 

球子の放った旋刃盤は大蛇たちを消し炭にした後も攻撃を止めることなく星屑の一群をも焼いていく。前衛にいた者たちは丸亀城近くまで後退し、その光景を眺めているばかりだった。

 

「しかし球子の切り札もすごいな。これほどの威力だとは」

「こいつがテメェらが戦う前に言っていた切り札ってやつか?」

「はい。これは神樹様にある概念的記録にアクセスして、そこから精霊を呼び出し、身体に憑依させるものなんです」

 

杏の解説を聞いてラグナは似たようなシステムのオーバードライブを使っていた頃の刃を思い出す。彼の場合は秩序の力があるため、今はノーリスクで行うことが出来るが、覚醒する前はオーバードライブの繰り返しで幼少期よりも凶暴になった。

 

もし同じことが起きるなら出来れば使って欲しくはない。実際、横の球子に早くも精霊の負担が見え始めてきた。しかし満開も精霊バリアもない中でこれすら使わないとなると強力な進化体に対応することが難しくなっていく。

 

「……やっぱりそれって悪影響もあるんだよな」

「…はい。大社の方の調べでは今のところ、肉体に大きな負担を掛けるから長時間の使用は控えるように言いつけられています」

 

そう考えてみると、完全な秘密主義だった大赦に比べてまだ良心的である。若干苦い顔をしたが、ラグナは彼女の話に納得することにした。

 

「そうか…そいつが分かってんなら良い。無理はすんなよ」

「はい。ありがとうございます、心配していただいて」

「当たり前だろ。仲間なんだからよ」

 

ラグナがそう言っていると、友奈が火炎車と化した旋刃盤を眺めていた。

 

「うわ~~、バーテックスたちがどんどん燃やされていくよ~。バーテックスの丸焼きだ~」

「バーテックスの丸焼きか…匂いは良いんだよな…匂いは…」

「おい!!? ラグナお前!! それってもしかしてバーテックスを食べたことがあるってことか!!?」

「タマっち先輩!! 旋刃盤!! 旋刃盤が!!」

「うおっと!! 危ない危ない、うっかり樹海に墜落させるところだったぞ…」

 

まさかの言葉を聞いて動揺した球子は一瞬コントロールを狂わせそうになったが、すぐに何とか持ち直した。ラグナの言葉に四国出身の勇者たちは驚き、他県出身の二人は苦笑いしていた。それに対して若葉は一人何故か期待の籠った眼をしていた。

 

「そ、その話は本当か!!? 嘘じゃないんだな!!?」

「何でそんなに目をキラキラさせてんだ? まあ良いや。一度飢え死にそうになった時にバーテックスと遭遇してな。奴さんは俺を殺すつもりだったんだと思うけど、俺からすれば腹ごしらえが出来れば何でも良かったんだ。だから、な?」

「な、じゃないだろ!!? お前は食い物の選択肢の中にバーテックスすら入れるのか!!?」

「あの、因みにお味の方は?」

「滅茶苦茶って言えば良いか? とにかく甘いとか酸っぱいとか渋いも全部ぶち込んだような味でよ。焼こうが調味料を掛けようが関係なかったぜ。食った後はそこそこ気力が戻ったから栄養はあるんじゃねえの?」

 

ラグナの回答にそうですかとしか返せない勇者たちに対して、若葉は一人勝ち誇ったような顔をしていた。

 

「見たか皆!! バーテックスを食べたのは何も私だけじゃなかったぞ!!!」

「気にしてたのね、乃木さん…」

「ワカバの奴も食ったことがあんのか?」

「えーっとね? 私たちの初陣で若葉ちゃん、バーテックスの一部を噛み千切ったんだ。今まで色んな人を食べた報いだーって。そしたら樹海から帰った後ヒナちゃんに怒られちゃって」

「大方変なモン食うなってとこだろうな…一応食えねえモンじゃねえぞ、アレ」

「いや食べちゃダメでしょ、あんな物…悪食にもほどがあるわ…」

「悪ぃな。妹の料理(デスディナー)に比べたらバーテックスの方が悲しいことにマシなんだよ」

「バーテックスより不味いって貴方…一体何を食べたらそんな感想が出てくるのよ…」

「不味いっつーかありゃもう兵器だ…一生懸命作ったのは分かるんだが、食った後にまず視界が虹色になってな…」

「本当に何があったのよ…それはもう毒物の類よ…」

「そういえばあの時にラグナが渡したサバイバルのメモにもあったわね…食用のコラムにバーテックスって…アレはみーちゃんと一緒に驚いたのは良い思い出だわ…」

 

間抜けなことを言い合っている内に敵の方にも動きの変化が見られた。球子の精霊に対抗しようと星屑たちはどんどん集まっていく。先ほどの大蛇たちとは大きさも集まった数も比べ物にならない。

 

その姿を見て、ラグナは懐かしい記憶を思い出す。目の前のそれはかつて神樹館、そして讃州中学の勇者たちと共に倒した巨大なバーテックスたちの一種だった。

 

「アイツは!!」

「ラグナ、あのバーテックスを知ってるの?」

「…ああ。比較的マシな奴だが、それでもヤバい」

 

ヒラヒラとレースのようなものを出しているところから恐らくこれは乙女座のバーテックス、ヴァルゴだろう。まだ完全に身体は形成され切っていないが、それでも脅威であることに間違いはない。

 

何よりサイズがこれまでのものよりもはるかに大きい。普通の攻撃を加えたところで意味はないだろう。

 

しかし若葉は敵から目を離さず凝視する。短時間でこれ程の大きさになったならどこかしらかに綻びが出来るはずだ。しばらく相手を観察していると、ようやくそれを見つけた。

 

「こいつの身体にはまだ脆い部分がある!! そこを叩けば倒せるかもしれない!!!」

「でもまずはアレに近づかないことには始まらないわ…」

 

千景の言葉に球子は意気揚々と答える。

 

「心配するな!! それなら今の旋刃盤に乗って近づけば問題ないぞ!!」

「まだ行けそうなの、タマっち先輩!?」

「大丈夫だ!! タマを信じろ!!」

「よし! だったら早く行くぞ!!」

 

球子が一度旋刃盤を自分たちの方へ呼び戻し、その上に勇者たちが乗る。準備を終わらせると旋刃盤は再び火が噴き出しながら進行した。

 

「なるほどな。確かにこの火に守られながら進めばいずれアイツに辿り着けるわけだ」

「中々の名案だろ!」

 

正直かなり長い間切り札を使っているために疲れが酷いものの、球子は気合いで何とか持ちこたえている。辛い様子を表に見せようとしない彼女を順に若葉は見渡す。すると歌野が横から小さく呟いた。

 

「ねえ、若葉」

「なんだ?」

「隣に仲間がいるのって本当に安心するわね…諏訪で御役目に就いてた頃はみーちゃんも一緒だったから強くいられたけど、こうやって隣に貴女たちがいると分かるだけで安心感が別格よ」

「…ああ。私もやっと気づけた気がするよ」

 

皆がいる。待っている人もいる。為らば勝たねばならない。若葉が敵の弱点のある部分を仲間たちに伝え、勇者たちはヴァルゴ撃破の態勢に入る。

 

しかしそれを察知して星屑たちも自分たちの前に立ちふさがる。これではヴァルゴに突撃することが出来ない。

 

「ヤバい!! このままじゃあ激突しちまう!!」

「心配するな」

 

焦るラグナに対して前に出た若葉は強い決意を瞳に宿しながら言った。

 

「私が道を開けてみせる。その後は皆、頼んだぞ!!」

『ああ!!!』

 

仲間たちの声を聞いた後、若葉は前へ突撃して先ほどの球子と同様、意識を集中させる。精霊を呼び出すためだ。

 

(仲間たちのため…四国に生きる者たちのため…神樹様…力を貸してくれ!!)

 

徐々に若葉の姿も変わっていく。スピードも疾風の如く加速していく。星屑たちを切り際に足場にして翔ける姿は

かの武人の妙技「八艘飛び」を彷彿させる。

 

「降りよ…『義経(よしつね)』!!!」

 

若葉が身に宿しているのは『源義経(みなもとのよしつね)』。天狗に武術を習ったなど数多の伝説を持つ武将だ。神速に至った彼女は瞬く間に前方の敵を全滅させ、進路を作り出した。

 

「今だ!!!」

 

彼女の声に応えて仲間たちも攻撃を仕掛ける。友奈の拳、杏の矢、千景の鎌、球子の炎、歌野の鞭、ラグナの大剣。それぞれの怒涛の攻撃がヴァルゴの弱点へ容赦なく叩きこまれた。

 

やがて身体を維持することが出来なくなったヴァルゴは奇妙な断末魔を上げながら樹海へ落ちていく。肉体も砂のようになって崩れていき、消滅していった。

 

(皆…やったな…)

 

仲間との勝利を確認すると、若葉の意識は空中で途切れ、そのまま樹海へ落下して行った。仲間の危機に気付いたラグナは彼女に向かって跳躍し、彼女を捕まえて無事に着地した。

 

「ラグナーー!! 若葉ちゃんはーー!!?」

「切り札の反動で気を失っちゃあいるが、取り敢えず無事みてえだ!!! 心配はいらねえぞ!!!」

「分かったーーー!!」

 

全員の無事が確認される中、樹海化は解ける。こうして後の世で「丸亀城の戦い」と呼ばれる激戦は勇者たちの勝利で幕を閉じた。

 

ラグナに脇で抱えられながら若葉は意識を取り戻した。いまいち状況が分からなかった彼女はラグナに話を聞いてきた。

 

「……終わった…のか?」

「ああ。俺たちの勝ちだ」

「そうか…良かった」

 

戦いが終わって若葉は安心していたのか、まだ微睡んでいるようだった。

 

「ラグナ…さっき…夢を見ていたよ…」

「ふーん…どんな夢だ?」

「あの日の夢だ…今思えば…私はあの時からお前に助けられてきたのだな」

「……そうか」

 

微笑んでいる彼女の方を見ずにラグナは返事を返す。

 

「なあ…ラグナ」

「何だよ?」

「あの時、私のクラスメートたちを助けてくれて…本当にありがとう」

「……別に礼を言われるほどじゃねえよ。俺は…あの時、生きていた奴らを生かしてやっただけだ」

「そうか…ならばこれ以上は言うまい。これからもよろしく頼む」

「ああ」

 

自分たちの方へ駆け寄ってくる仲間たちを見つけると、ラグナたちも彼女たちと合流した。




戦闘スタイルがゆゆゆいなのにクロスタッグバトル要素も入れようとする筆者…出来るならクラッシュアサルトもやりたかった。

タマっち先輩とラグナの必殺技の連撃はブレイブルークロスタッグバトルのディストーションスキル・デュオをイメージしていただければ幸いです。他のキャラでもやりたかったけど敵が敵なだけに出来んかった…出来るなら別の機会かな。

アトラスファンの自分としては義経と聞くと無茶苦茶強い印象があるんだよね…主に鋼のシスコン番長の出る作品のせいで。なおこちらではそうならない模様。

次回からはしばらく遠征。ここから少しずつブレイブルー色が強くなるかも。もしくは唐突な番外。それではまた。
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