長らくお待たせしました。あらかじめ大体のプロットは決まってはいたけどやりたいことが多すぎる上に増えるものだから何を書くか悩んだり、文章が思いつかなかったり、リアルの方でも忙しかったりで大変。
しかもそこへポケモン新作。そんなことをしている内に二週間も更新を滞らせてしまいました…おのれ、ワイルドエリア…俺の夢に見ていたポケモンワールドそのままじゃねえか…感動したよ…そのおかげで一気にリフレッシュできた。
今回は病院後編!高嶋さんが目を覚ました後の話です。それではどうぞ
The wheel of fate is turning…
ラグナが目覚めてからそう経たない日にちが過ぎると、友奈が意識を取り戻したという報せが入ってきた。それを聞いていの一番に千景は彼女のいる病室へと向かうために部屋から出る。
ここ数日は仲間たちといることもあって千景はまだ何とか平静でいられたが、部屋に戻って一人になるとあの時のスコーピオンとライブラの圧倒的な力、そして死の淵から立ちあがった時のラグナを思い出していた。
怪物になりかけ、敵を相手に暴れる彼を見て彼女が本能的に感じたのは恐怖だった。もし彼があのまま敵として襲い掛かってきたら…考えただけでもぞっとした。
そんなときに思い出したのはアルカード城で結んだ約束。気付けばそれを必死に彼に向かって叫んでいた。それと仲間たちの助けの甲斐もあってか、彼は何とか元に戻った。
しかし彼があそこまでしなければ倒すことの出来なかった敵の出現。そしてそれを倒すことの出来た彼の不安定さ。懸念事項が多すぎる。
千景だってラグナには世話になっている。彼の行動はそこそこ見てきたつもりだ。勿論嫌っていないし、戦うなんて考えたくもない。だから彼を信じたいが
(……それでも……怖い)
今回は無事のようだが、次にあのような敵が出てくれば彼は蒼の魔道書を使うだろう。そしてその時、敵の前で彼が今度こそ完全に暴走する可能性がある。
そうなれば両者がぶつかって勝った方が自分たちの敵になる。どっちにしても戦って勝てる未来が見えない。ゲームで言えば詰みと言うべきか。
(でも…戦わなかったら…皆の傍にはいられない…)
ようやく得られた自分が最も安らぐことの出来る場所。最悪だったあの頃を話しても尚自分を必要だと言い、『自分』を受け入れてくれる場所。もし戦いから逃げれば大社は自分を勇者として置いてくれなくなるだろう。そして大事なものも失う。しかし戦っても場合によっては
(彼と…戦うことに…それも訓練やレクリエーションじゃなくて…正真正銘の殺し合い…)
暴走した仲間との殺し合い。人類に害を成す存在になれば、それも必要になるかもしれない。
だが万が一自分が彼と戦って殺したら皆はなんていうだろうのか。絶対に批判される。泣きながら糾弾もされるだろう。冷たい目で見られるだろう。その時、自分は耐えられるだろうか?
(嫌……)
無理だ。あんな人生には戻りたくない。仲間たちを失えば、自分はまたあの村で生きるしかなくなるだろう。そして再びあの冷遇されながら生きていた日々に戻るだろう。
村での出来事や初めてバーテックスと戦った時の恐怖がじわじわと蘇っていく。あの時は友奈が自分を引っ張ってくれたが、今彼女は病院のベッドだ。自分が最も心を開いている存在が傍にいない今、これまでにない不安が千景の心を蝕み、頭をぐちゃぐちゃにしていた。
故に千景は友奈と話がしたかった。少しでも早く元気な彼女に会って安心したかった。
(……でも…高嶋さんにどんな話をすれば…)
「千景」
丸亀城の城門前まで来てようやく自分にレイチェルが話しかけていることに気付いた。彼女も友奈のところへ顔を出すのは知っている。
「え…あ、アルカードさんね。何かしら?」
「もう友奈のところへ行くのかしら?」
覗きこんでくる彼女の紅眼にこちらの心意が見透かされそうになっている気分だ。彼女から目を反らすようにして千景は答えた。
「……ええ。高嶋さんに話したいことがあるから…」
「……そう。行ってらっしゃい」
「…止めないのね。貴女も行くのに」
「これでも貴女たちの仲の良さは知っているつもりよ。若葉たちには貴女が先に行っていると伝えておくわ」
「…ありがとう」
そうレイチェルに礼を言うと千景は友奈のいる病室へと急いだ。面会が解禁された部屋で彼女は広い窓から満開の桜を寂しそうに見ていた。友奈がそんな顔をしているのを見て、千景は彼女に声を掛けた。
「高嶋さん…来たわよ」
千景の声に気付くと友奈は彼女を笑顔で迎え入れた。
「あ、ぐんちゃん!来てくれたんだね!」
「ええ、後で皆も来るわ…私はどうしても早く高嶋さんに会いたくて…身体の調子は?」
「腕以外はもうだいぶ回復してるよ!」
それを聞いて千景たちはひとまず安心した。確かに両手は包帯で包まれているが、それ以外では特に目立つような傷はないようだ。
「ぐんちゃんこそ大丈夫?」
「わ、私?」
「なんだか顔色が良くないから…何かあったの?」
友奈の問いに少しドキリとした。彼女は人の気持ちに機敏なのは知っていたが、自分はそれほど憔悴しているように見えたのだろうか。
だが自分も仲間の惨状を目の前で見て、身体も傷だらけなのに不安がっている自分を心配してくれる友奈を心配させたくなくて千景は彼女に笑いかけた。
「…そうね。ちょっと夜更かしもしていたから…でも高嶋さんが元気になってくれたからもう大丈夫よ」
「夜はちゃんと寝ないと身体に良くないよ?」
「毎日ちゃんと日が跨ぐ前に寝るわ」
「あはは…ぐんちゃん、こっちに来て」
何だろうと疑問に思っていると友奈は彼女を抱き寄せた。彼女の手は包帯で少しザラザラした感覚がしたが、その熱は自分に伝わってくる。
「えへへ…ぐんちゃんあったかい…」
「で、でも高嶋さん。腕、まだ痛いんじゃ…」
「これぐらいなら大丈夫だよ。それに私ね、ぐんちゃんとこうして一緒に居ると落ち着くんだ」
「…私もよ」
少しずつ心に落ち着きが戻っていくと千景も友奈を抱き返した。少しして友奈がはっきりと言った。
「大丈夫だよぐんちゃん。何があってもぐんちゃんは私が守る。もうこれ以上誰も傷つけさせやしない」
力強いその言葉を聞いて千景は悟る。友奈は自分が不安になっていることを見破っていて、その上で何も指摘しなかった。
「ありがとう…私も…貴女を守るから」
「うん…ありがとう、ぐんちゃん」
二人は互いを離さない。友奈の腕の中にいる千景は少し微睡み始めた。
「あら。もしかして面会は後日にした方がよろしかったかしら?」
「ああああアルカードさん!!?それに皆も!!?」
「…その、なんだ。邪魔したな」
「普段はデリカシーがないのに空気読んだ感じで立ち去るんじゃないわよ、乃木さん!!!」
顔を真っ赤にして若葉に噛み付くが、それはどちらかというと羞恥による悲鳴に近いものだった。
「貴女は本当に分かりやすいわね、千景」
「い、良いでしょ別に」
レイチェルの指摘でちょっとバツが悪くなる千景を見て周囲が微笑む中、ひなたが友奈に話しかけてきた。
「しかし本当に良かったです。その様子ならゆっくり休んでいる内に退院出来ますね」
「うん!」
ひなたの言葉に友奈は元気に返事すると、自分が目覚める前の出来事について聞いてきた。
「あ、そうだ!ラグナは!アンちゃんにタマちゃんも!」
「待ってて友奈さん!ちょっと遅れてるけど…あ、ジャストタイミングよ!」
噂をすれば何とやら。まだ入院している球子と杏が顔を見せに来た。二人の顔を見た友奈は心配そうに見ていた。
「二人とも、大丈夫?怪我はもう治ったの?」
「まあな!タマはもう平気だぞ!」
「あはは…でも私も大分良くなりました」
「そうだったんだね…あ、後…」
「ラグナさんならちょっと検査があって今出かけています。ちゃんと知らせていますので終わったらすぐ来るのではないかと」
杏の言葉に応えてか、その件のラグナが部屋に入ってきた。彼を見た時、千景は若干身構えた。
「…もうそんなに動き回っても大丈夫なの?」
「ああ。つーかどうしたチカゲ?なんかこの前よりツラが怖え気がするが」
「え…ご、ごめんなさい」
思わず自分の返事に嫌悪感を感じてしまう。何をしているんだ。暴走した時ならともかく、彼は今正常だ。怯える必要なんてない。
「……俺がここにいちゃあ不味いならか「ま、待って!!」
千景の様子を見て、自分がいない方が良いと考えたラグナは出て行こうとするが、千景が彼を呼び止めて彼の腕を掴む。久しぶりに出た彼女の大声に周囲や呼び止められたラグナは勿論、千景本人も自分の行動に驚いて、思わずそれを手放した。
正直彼に対する感情が今でも整理が出来ていなくてどう接すればいいのかが分からない。しかし、友奈も彼を心配している。何より
「…問題ないから」
「そ、そうなのか?」
自分を気遣って出て行こうとしている彼を見て千景も彼が化け物になるとはやっぱり考えたくなかった。人だと信じたい。そして絞り出すように声を出した。
「ここに…貴方がいても、良いからッ!」
「……ありがとな」
「…そんなこと言わなくて良いわよ…」
普段ここまで気持ちをストレートに言わない彼女にそう言われ、ラグナも心の中で少し安心する。少し前に見た千景は何だか無理しているようだったが、友奈に逢えたおかげか、今は幾分ストレスが取れたように見えた。
二人の様子を微笑まし気に見ている外野は見なかったことにしてラグナは友奈の方へと近づいた。
「お、おうユーナ。そっちは元気か?」
「う、うん。ラグナこそ…」
正直友奈は彼に関してはまだ不安だった。何せ最後にラグナを見た時は腹に穴を開けられていて、しかも暴走して危うく黒き獣に飲み込まれた。彼が無理をしやすいのも知っている分、余計に心配だった。
「どうかしたか?」
「だってラグナ…お腹を貫かれたから…もうここに来ても大丈夫なの?」
「…ああ。そのことか」
それを聞いてラグナは上着をめくり上げた。いきなりのことにびっくりして少女たちは目を腕で隠したが、目を向けるとそこには少し大きな円の傷痕がはっきりとあった。しかし、傷自体は完全に塞がっており、包帯も巻かれていない。
「ほら見ろ。もうなんともねえだろ?」
気になった友奈はまじまじとその傷を見る。なんだったらとラグナはその部分を指で軽く押し当ててみせる。特に異常はなさそうだった。目の前のラグナは特に痛そうにしてもいない。平気なのは本当のようだ。
「…ホントだ…治ってる…あれだけの大怪我だったのに…」
「まあな…それと悪かったな。俺がやられちまったからそのヤバい精霊を使ったんだよな?」
「ううん、ラグナのせいじゃないよ!…でも本当に良かった…」
ラグナが殆ど問題なさそうなことに安心した友奈は息を吐く。二人のやり取りを見ていると彼の腹を見て棗が疑問を持った。
「ラグナ。腹の包帯を取っても良かったのか?」
「今日の検査の終わりに医者に聞いたんだよ。それで良いってさ」
「窮屈だもんな、ああいうのって」
余計なものが取れてラグナは嬉しそうにしていて、球子もそれに同意する。ようやくいつもの日常が戻ってきた気分だ。
「あれ?そう言えばラグナってヒナちゃんと一緒でも右目開いてるね?」
「それなんだが…目が覚めたら右目も右腕も動けるようになったんだよ。以前にも似たようなことがあったけど…あの時とは大分状況が違うはずなんだが…」
元の世界だとラグナの右腕はココノエがイデア機関に当時いたセリカの影響を打ち消すノイズキャンセラー機能を搭載させたことで再び動けるようになった。
今回はそれとは違う理由で腕は復活した。その理由にラグナも少し心当たりはあったが、それでも少し不可解に思った。
(あるとしたら…蠍野郎の毒ぐらいだよな…マスズや医者の話だと俺の身体から毒は見つからなかったわけだし…もしかしたら魔道書が取り込んだのかもしれねえ…)
だが今回のイデア機関にはそういうものがあるとは聞いていない。なのに何故ひなたの影響をかき消せたのかは分からない。考え込んでいる彼の顔を友奈は覗きこんだ。
「ラグナ?」
「……ああ悪ぃ。まあ動けるようになったなら動くで気を付けるよ」
「…あんまり無理して前みたいなことにならないようにね」
「心配性だな、テメェは。何度聞かれても大丈夫だって言うぜ、俺は」
何でもなさそうにラグナは言う。友奈という少女は優しい。自分が大変な目に遭っている状況でも他者のことを気遣ってしまう。あの時に自分が刺されたことがショックだったのだろう。
そうなら自分がすべきなのは目一杯元気であることを示すことだと考えた。
「だからもう心配すんな、ユーナ。テメェもそんな怪我とっとと治せよ」
手を腰に据え、不敵な笑いを浮かべる彼を見て友奈も笑う。
「…うん、分かった!でも元気になった皆を見たらこっちもパワーを貰った感じがしてくるよ!!」
「そいつを聞けて何よりだぜ」
その後もしばらく一同は色んなことを雑談し、平和な時間は過ぎていった。窓の外を見てポツリと若葉が言葉を漏らす。
「…そういえばもう桜の季節だったな」
スコーピオンたちとの戦いの前に花見の準備をしようと約束したが、ラグナたちが全員退院する頃には全部散っているだろう。
「…流石に皆さんがいらっしゃらないのに花見は出来ませんね」
「だったらここで見れば良いんだよ!」
そう強く言うのは球子だった。
「友奈の部屋で花見をすればいいんだ!丁度この部屋もタマたち全員が何とか入り切れるだけ広いし、ここからでも桜は見れるからな!!」
「それは良い案だな、球子。私も賛成だ」
「何だかんだこうして同年代と大人数で花見するの初めてだな…諏訪の方だとうたのんしかいなかったし」
「あの頃はそんなこと出来るなんて想像できなかったけど、生きていればいいことあるわね、みーちゃん!」
少女たちが楽しそうにそう言っているが、友奈は一人複雑な顔をしていた。
(皆…本当は外で見に行きたかったよね…)
確かに戦いに行く前に皆で桜を見に行こうと約束はしていた。もしや自分に気を遣ってここで花見をしようとしているのだろうかと考えていると、レイチェルが彼女に話しかけてきた。
「友奈」
「レイチェルちゃん?」
「皆にとってどこで見るのかではなく、誰と見るのかが大事だっただけよ。貴女が気の病むところではないわ」
「…うん!ありがとう、レイチェルちゃん!」
「……あの男が言うであろうことを言っただけよ」
「それでもありがとね」
「…礼は受け取っておくわ」
夕方の丸亀市を歩きながら今日の友奈たちについて若葉たちは談笑していた。あの後一同は球子が持っていた菓子や若葉たちが病院の購買でお茶やトランプを買って、結果花見という名の祝勝会になった。
当然ながら病院には事前に許可を貰い、最後は看護師に窓に映る桜をバックに記念写真を撮った。慎ましいものだったが、とても楽しかった。
歩きながら思考しているひなたに若葉が問いかける。
「ひなた。お前、ここ最近何か考え込んでいるようだが何か悩みでもあるのか?」
「若葉ちゃん…ラグナさんの右腕は若葉ちゃんも気づいていますよね?」
「ああ。こちらでも右腕が動けるようになったのは良いことだと思うが、ひなたはそう思わないのか?」
「…実は水都さんによるとラグナさんの右腕の力が以前よりも強くなっているようなんです」
「…なるほどな。それで心配だったと」
「はい…恐らく暴走もそれが原因ではないかと」
難しい顔をした幼馴染に若葉は力強く宣言する。
「心配するな。万が一アイツが暴走しそうになったら、私が必ず助けてみせる」
「…そうですね。若葉ちゃんが一緒ならそう滅多なことは起きないでしょう」
「何事に報いを。今までアイツには何度も助けられてきたからな」
「ふふ…若葉ちゃんらしいです」
若葉の言葉にひなたも賛同する。一同が寮へ帰る途中で先日の竜巻で知人を失った人々の立ち話が聞こえてきた。
あの天災を生き残ったのに可哀想というのが殆どの意見だった。もちろん大社はあれが実はバーテックスによる仕業だなんて発表していない。だから市民も真実を知らないでいる。
そのことに勇者たちは腑に落ちていなかった。しかしその理由自体も理解できる。彼らにとっての現実が普段の状況だからそこへ今劇薬に成り得る真実を与えれば、混乱を招くだけだ。
それでも悶々とした気持ちでようやく丸亀城の近くまでに来た。
「久しぶりに話せて良かったですね」
「ああ。友奈も意識を回復して、杏も退院間近。球子とラグナもその内出られるだろう」
「あと少しすればオールクリアね!」
「…あまりそうとも言っていられないわ。アイツら…どんどん強くなっていってるから」
千景の言う通り、敵であるバーテックスはとうとう勇者たちの力で倒すことが困難になってきた。事実ラグナと友奈が精霊の力を出すまでは殆ど傷つけることが出来なかった。
かといって大社も勇者たちもどうすれば良いのかが分からない。訓練すればいい話かもしれないが、それでも頼みの綱である切り札も込みで力不足は否めなかった。
「それにタマちゃん。怪我はともかく、武器が壊れちゃったからしばらくは戦線離脱だね」
「いくら勇者でも素手で戦うわけにはいかないからな」
「いざになったら拳の風圧で星屑を消し飛ばせる古波蔵さんが言えることかしら…」
実際ヌンチャク以外に徒手格闘で戦うことの出来る棗に千景が苦笑いしていると、レイチェルが
「…球子の件は心配しないで頂戴。あの娘の楯なら神樹が何とか修復できるだろうし、戦力なら一人心当たりはあるわ」
「それは頼もしいな…とりあえず今日はそれぞれ英気を養うために休もう。明日からは訓練を本格的に入れるぞ」
その言葉に他の勇者たちも頷いて、そのまま解散した。
場面変わって壁の外、愛知県の名古屋の地下室。静寂を保ったその部屋に急な轟音と土煙が舞い上がった。天井の穴からは星屑たちが出てきた。
ここではかつてラグナたちが訪れた伊勢と同様、バーテックスの卵があちこちに植え付けられ、街はバーテックスが闊歩している。そしてインフラが長い間滞っているこの地下室の主も当然ながら息絶えている。
星屑たちが部屋の広い場所へ出るとそこには光り輝く穴がそこにはあった。以前ラグナたちが遭遇したものとは別物だが、窯だ。
人類が作ったものを当然のようにバーテックスはそれを破壊しようとする。一斉に取り囲んでシロアリのように周囲の施設を噛み壊し、窯を塞いでいった。
窯が瓦礫で覆われたことを確認できたのか、星屑が離れていく。そんなときだった。何体かの星屑の下の瓦礫から触手のようなものが飛び出てそれらを窯の中へと引きずり込んでしまった。
星屑を取り込んだ窯から輝きが増していく。強力な力を放つそれに他の星屑たちも惹きつけられるように窯の方へ集まっていき、その中へ入り始め、周囲を取り囲み始める。
数日の時間が経つに連れて窯の周囲には星屑から形成された躰が出来ていく。それから発せられる黒い瘴気は次第に濃くなっていき、低い獣のような唸り声が上がった。
いや、分かるよ。早すぎやしないかって。でも出すならここだとは決めていました。
次回はアンケートにあった話を書く予定ですが、デッドヒートの二つがあったのでどっちも書こうと思います。それではまた。