ところで古戦○を走っていたら何故かこの狂三リビルドがいきなり伸び始めてあわわわわとめちゃくちゃ困惑と嬉しさがしっちゃかめっちゃかになってます。感想含めて死ぬほど嬉しいんですけど唐突過ぎて理由が未だに分からない。取り敢えず今まで通り頑張ります
「ご丁寧に案内していただいたこと、感謝いたしますわ士道さん、十香さん」
「いいってそんな。このくらいならお安い御用だしな」
「うむ。お安い御用なのだ!」
日も傾き始めた夕方。校門の前で丁寧に礼をする狂三に士道と十香は返事を返す。士道は少しばかり大袈裟な狂三に若干苦笑いだが、十香は良い事をしたと得意げな笑顔だ。
結局、二人が倒れてきた後なし崩しに十香も校舎案内に同行する形になったのだ。……折紙は電話で急用が入ったのかすぐに去っていってしまったが、一体なんだったのだろうか。
当初とは予想外の方向性になってしまった校舎案内だったが、士道としては同行してくれた十香に感謝しかなかった。何せ、情けない事だがあのままでは狂三に翻弄されるだけで事情や目的を探るどころではなくなっていた。狂三の好感度を上げる、という根本の目的を考えれば大問題にも程があるのだが、士道としてはとにかく考える時間が欲しかった。
それに……気のせいかもしれない、士道の願望かもしれないが、十香を含めて会話をしていた時の狂三は――――
「それではわたくしはここで失礼いたします。士道さん、十香さん、また明日……学校でお会いしましょう」
「あ、おう。また明日な」
「うむ、また明日だ!」
小さくお辞儀し、手を振って士道たちとは逆の道へ歩いて行く狂三へ二人とも手を振り返し別れた。夕日の中へ消えていく狂三を見送り、士道はふぅと一息つく。
今日得られた情報は時崎狂三が精霊だった。たったこれだけだが、この情報だけでも士道の頭はパンク寸前だった。ひとまず琴里と情報を整理しなければ……と、士道はふと十香の様子が気にかかった。
「……そう言えば十香。随分狂三と仲良さそうだったな」
当初こそ狂三を警戒するような素振りを見せていた十香だったが、本当にいつの間にか士道が間に入るまでもなく普通に会話をしていたのである。それを含めて、士道は狂三が
「む? 狂三は四糸乃と同じシドーの〝トモダチ〟なのだろう? ならば仲良くするのは当然ではないか」
「いや、それはそうなんだが……」
同じ友達の枠組みではついこの前、四糸乃と一悶着あったばかりなのに狂三に対してはやけにあっさりだな……と首を傾げる。四糸乃との経験があったからこそ、同じ〝精霊〟を名乗った狂三と何か通じるものがあったのだろうか?
うーん、と微妙に納得しかねている士道の様子を見てか、十香も考え込むような表情で唸り始めた。
「十香?」
「……うーむ、なんというか狂三は…………ぐぬぅ、すまぬシドー。やはり上手く言葉に出来そうにない……」
「そうか……気にする事ねぇよ。二人が仲良くしてくれるのは嬉しいしな!」
しゅん、とワンコが落ち込んだ時のように気を落とす十香を見て、士道は気にするなと頭を撫でてやる。理由は分からないが、二人が仲良くなるなら本当に嬉しい事なのだ。
例え――――狂三の目的が分からないとしても。
鼻歌交じりに上機嫌な様子で夕暮れの道を歩く少女。放っておけば踊り出してしまいそうなほど楽しげな様子で、少女は――時崎狂三は帰路へついていた。
ああ、あれがあの方が通っている学校。そしてクラスメイト達。あの方の平和な日常。何の変哲もない平凡な毎日なのだろう。しかし、それはあの方が守った平和な光景。
正体をバラした時、あの方は何を考えていただろうか? きっと、自分の事だけを考えていたに違いない。隣を歩いている時、あの方は自分をどう思ってくれていたのだろうか。ああ、ああ、短い時間ではあったけど、こうしてあの方と同じ学校生活を送れた事が堪らなく――――――
「――――――――――――」
――――――今、何を思った? 〝それ〟は時崎狂三が決して口に出してはいけないものだ。〝それ〟は時崎狂三が思う資格などないものだ。
思い出せ、己が背負った宿命を。忘れるな、己が背負いし罪過を。数え切れない大罪を犯して、時崎狂三はここにいる。全ては、
その為ならば、わたくしの全てを捧げよう。その為ならば、わたくしは自分の
今でも瞼を閉じれば〝大罪〟が狂三の脳裏に
時崎狂三は長い、あまりにも長い時間を待ったのだ。そして、
そして〝悲願〟の為の
何を躊躇う必要がある。都合の良い〝道具〟をあの子が教えてくれた、それだけの話だろう。ならば、何故――――
「っ……あら、あら」
深く嵌っていた思考が強制的に断ち切られるのを狂三は感じた。気づかない間に立ち止まっていた彼女の周囲を異様な感覚に包み込む。
知っている。よく知っているとも。何せ自分を
「見つけやがりましたよ、〈ナイトメア〉」
一括りに縫われた〝青髪〟。とっくに見慣れたと思っていたその女の姿に――――――今は何故か、酷く神経を逆撫でされたように感じた。
「……はっ。貴様でもそんな表情をしやがるんですね」
「あら? そう見えまして? 自分では分からないものですから、どのような表情か教えてくださりませんこと?」
「その義理はねーです。――――とっととくたばりやがってください、〈ナイトメア〉」
「――――ふふっ、つれないお方」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「士道、あなたは!!」
「実妹、義妹、どっち派でいやがるのですか!?」
「……お、お前らなぁ…………」
鬼気迫る、という表情で問いかける士道の
状況を確認しよう。彼は十香と狂三を見送った後、二人で夕飯の買い出しへ繰り出した。腹が減っては戦は出来ぬ、とも言うし割り引きされたお肉を調達できた事もあり士道は少し上機嫌で帰宅しようとした……そしてその直後、崇宮真那は現れた。
――――士道の胸に飛び込んで
そこから先はもうてんやわんやだった。大騒ぎするので仕方なく家に連れてきたのだが、何故か折紙を
普通に考えれば、突然現れて私はあなたの妹です、なんて名乗る少女の言葉を信じるほど士道とてお人好しではない。が、元々
……まあ、士道を捨てた母親の事を聞こうとしたらここ二、三年の記憶しかないと言い出し、何故かそこから琴里と真那が義妹と実妹どちらが良いか選手権になってしまったのだが。士道としては本当に頭が痛い。
「……あー、そうだ真那。今どこに住んでるんだ? お世話になってる人がいるなら、俺も会う必要があるかもしれないし……」
とにかく、素直に答えてしまうと場が荒れるのは目に見えていたので、どうにか誤魔化しの問いを思いつき投げ掛けた。その問いを聞いた途端、それまでハッキリとした物言いをしていた真那が突然、口を濁し始めた。
「えっ……それは、ちょっと……」
「何よ、人に言えないような所なわけ?」
「そんなこと……えーと、特殊な全寮制の職場で働いてるというか……」
「職場? 真那、働いてるのか?」
歳はそう琴里と変わらないように思えるが、働いているのならば学校などはどうしているのだろうか? いや、士道の隣には司令官という重役をこなしながら学校にもきっちり通う琴里がいるのだが。
士道と琴里の追求に段々と目を泳がせ始めた真那は……なんと、あっという間に逃げ出してしまった。
「……えーと……ま、またお邪魔します!!」
「へ? ちょ――――」
待った、という声が形になるよりも早く犬の如く駆け出し扉の向こうへ去って行く真那。……結局、自称・妹については殆ど何も分からないまま嵐のように去って行ってしまった。
「……なんだってんだ、一体……」
「彼女についてはこっちで調べておくわ。それより士道」
席を立ち、何故か真那に出されたティーカップを回収しながら琴里が真剣な表情で士道を見つめる。それを見て、士道も琴里が何を言いたいかすぐに察した。
「……狂三のこと、だよな?」
「ええ。…………大丈夫?」
司令官モードの琴里らしくないその言葉には、色々な意味が込められている。狂三に翻弄されっぱなしで大丈夫か、という意味もあるのだろうが……何より、士道を気遣うような表情はどちらであれ琴里だなと嬉しくなり笑みをこぼす。
「大丈夫だ。今日は戸惑ってばっかだったけど……明日は踏み込んで、俺から事情を聞いてみるつもりだ」
琴里を心配させないため、士道は元気づけるような笑みを浮かべる。今日みたいな情けない姿を晒してしまった以上、些か説得力に欠けるかもしれないが落ち着いて冷静になった今だからこそ思う。
「それに……知りたいんだ。狂三が何を考えてるのか。何か困ってるなら、俺はあいつの力になってやりたい」
なぜ今になって精霊だと打ち明けたのか、なぜ士道の前に現れたのか。時折、狂三から感じた
だから士道は彼女の力になりたかった――――それが、狂三との〝約束〟でもあるのだから。そして確かめたいのだ。彼女が、少女の言っていた〝精霊〟ではないと。
「……あまり、入れ込み過ぎたらダメよ」
「? いや、精霊をデレさせるんだから入れ込まないとダメじゃないか?」
「それは……そうだけど……」
〈ラタトスク〉の1司令官としては、士道が精霊攻略に乗り気になっているのは喜ばしい事だ。だが彼の妹としての直感なのか……狂三の事を語る士道が、いつも以上に
変なやつだな、と笑う
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「――――フォローはお任せいたしますわ……とは言いましたけど、わざわざ『わたくし』が死に切る前にあなた自らが助ける必要はありませんのよ?」
狂三の足下より蠢く黒い〝影〟が倒れ伏せた
「狂三が五河士道と
「……それもそうですわねぇ」
〝時間〟を切り取り己の分身体を作り出すのもタダではない。当然、それ相応の霊力が必要になる。確かに、少女が動けると言うなら分身体の一体とはいえ無駄に消費する理由もない。〝悲願〟への道を考えれば、少しでも消費を抑えるのが利口だろう。
「……どうですか、五河士道と共に過ごす学校生活は」
「まあ、興味深くはありましたわ」
「気に入ったなら、しばらく学生生活に専念しても構いませんよ。崇宮真那の相手は私でも出来ますし」
冗談や揚げ足を取る事はいつも言うが、今回は冗談とも本気とも取れる少女の言葉に狂三は目をぱちくりさせた後、声を抑えて笑い始めた。
「うふふ、面白い冗談ですわね」
「狂三が望むなら私は本気ですよ。狂三ほど強力な精霊じゃないとはいえ、私も精霊の端くれです。たかが
「ふふっ、ご謙遜を。でも……心配ご無用ですわ」
あの方と、あの方のご友人方と過ごす学生生活。ああ、ああ、なんて甘美な響きなのだろう――――それを〝甘美〟と思うことすら、時崎狂三にとっては〝罪〟なのだ。
時は有限、時は金なり。〝時〟の精霊は誰よりもその言葉を理解していた。
「わたくしの〝悲願〟とあなたの〝計画〟とやらの為にも――――そう長くは待たせませんわ」
きひ、きひひひひひ。壊れた笑い声を残し、狂三は自らの影へと消えていく。残ったのは白いローブの少女だけ。最初から少女一人しかいなかったような静けさで、風が少女のローブを揺らして撫でる。
「……五河士道。あなたは私の〝計画〟を――――――」
その声は強く吹いた一陣の風に流され、誰の耳にも届くことなく、消えた。
お気に入り登録がいきなり100近く増えて頭の中が??????ないかです。明日で一旦古○場が落ち着くので明後日からいつも通りのペースで書き進めて週1~2話投稿できればなーと思います
感想を貰えると上手く返せているかは分かりませんがめっちゃ見返しながらうひょーって表情になっているので貰えるととても嬉しい思いです、この場を借りてお礼を言わせていただきます。
感想、ご意見、評価、誤字報告など変わらずお待ちしております