デート・ア・ライブ 狂三リビルド   作:いかじゅん

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第百二十八話『神の言霊(デウス)

 

 

「……!!」

 

 真っ先に士道の視界で動きを見せたのは、アルテミシアと呼ばれる少女だった。

 エレンと拮抗する白い少女と、悠然と天に立つ白い少女。二人のうち、閃光のように突撃したのは言うまでもなく反霊結晶(クリファ)を持つ〈アンノウン〉へ向けてだった。

 しかし、それは士道から見て最悪の手(・・・・)だと息を呑んだ。

 

 エレンに負けず劣らずの戦力を持つ金色の少女。だが、如何に優れていようと。如何に人外の随意領域(テリトリー)を持ち合わせていようと。

 

 

「あら、どちらへ行かれますの?」

 

 

 少女が背を向けた相手は、最凶の精霊だ。

 

「あなたの相手は、わたくしですわ――――!!」

 

 目にも止まらぬ速さで放たれた弾丸は、見るからに霊力を伴った〈刻々帝(ザフキエル)〉の一撃。触れれば、随意領域(テリトリー)であろうと確実に効力を発現させる時の力。

 

「っ――――」

 

 けれど、それは既にアルテミシアも知るところであったのだろう。

 後ろに目がついているとしか思えない反応速度で、超速で飛ぶ銃弾を難なく躱し――――――銃弾が、軌跡を変えた。

 

「な……!?」

 

 何も超常現象で変わったというわけではない。精霊の力を得て増した士道の視認能力が確かならば、一発目(・・・)の影の弾丸に追いついた二発目(・・・)の影の弾丸が、正確無比に撃ち抜いた。

 それはまるで、そうなることがわかっていたかのような方向へ跳弾。加えて、時間を加速して(・・・・・・・)アルテミシアに到達した。

 

 

「――――【七の弾(ザイン)】」

 

 

 時は、止まる。不可侵を犯し、我こそが理だと宣言するかのように。

 世界最強と比類する魔術師(ウィザード)だろうと、無慈悲なまでに。

 【七の弾(ザイン)】を【一の弾(アレフ)】で跳弾させた。しかも、アルテミシアが避ける方向へ、彼女は完璧な形で成功させてしまったのだ。

金色の時計に妖しく光を宿し(・・・・・・・・・・・・・)、自らの影を従えて、時の女王は超然と微笑む。

 

「残念――――――あなたでなければ、その心の臓に全て弾を費やしたというのに」

 

 夥しい数の銃弾。それらは全て、世界から切り離された少女へと殺到する。

 

「アルテミシアッ!! く……退きなさいッ!!」

 

 常に見せていた余裕の表情は見られない。エレンが鍔迫り合いをしていた白い少女を、その強大な随意領域(テリトリー)を応用したのか、力技で弾き飛ばした。

 士道たちへの牽制か、恐ろしい風圧がこちらを襲い全員が何とか身を守る。その中で、悠然と白い少女――――と思われる誰か(・・)は士道と精霊たちの近くへ降り立った。

 

「〈アンノウン〉……?」

 

「……違う。彼女は」

 

 何者かわからない。狂三のような分身か。そう幾つか可能性を考えていた士道の横で、折紙が何かに勘づいたように目を見開く。

 全身を覆う白いローブ。色のない刀。どこからどう観察しても、それは〈アンノウン〉にしか見えない――――――そんな彼女から発された声色に、士道は目を丸くした。

 

「皆様、下がっていてくださいまし」

 

「な……」

 

「――――マジックショーは、まだ続いていましてよ」

 

 その、声は。紛れもなく。

 確信に近い思考を口に出すより早く、エレンがウェストコットを守るようにもう一人の〈アンノウン〉を見上げながら声を発する。

 

「それを返しなさい――――!!」

 

「っ!!」

 

 一瞬あれば、エレンは〈アンノウン〉に斬り掛かる。

 士道たちの間に緊張が走る。〈アンノウン〉は今、武器がない。その上、まだ以前負った傷が治りきっていないはずだ。

 エレンが、士道が、精霊たちが、動く。

 

 

「〈擬象聖堂(アイン・ソフ・アウル)〉――――――」

 

 

 しかし、誰よりも疾いのは、少女だった。

 

 

「――――【翼片(ヘネツ)】」

 

 

 瞬間。白い羽が辺りの空間を一掃した。

 

「こ、これは……っ!?」

 

「きゃ……な、何なの!?」

 

「み、見えない……です……」

 

 空間という空間が、士道たちの視界が白く染る。

 普段は数枚見えるだけに過ぎなかった白い羽が、辺り一体を埋め尽くして飛び交っている。〈アンノウン〉が放った物である以上、士道たちへ攻撃の意思は感じられないが、これでは何も確認できない。

 だが、それが続いたの数秒のこと。目に見えて羽は一点へと収束していく。〈アンノウン〉、ウェストコット、エレン。そして、二亜が集う場所へと。

 

「〈アンノウン〉、二亜――――!!」

 

 羽を掻き分け、士道は走る。

 が、辿り着くより前に、士道は分厚い羽の壁に足を止められてしまった。

 巨大な球体上になった羽は、尚も美しい回転を描きながら――――――まるで繭のように、士道たちの目の前に鎮座していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「目くらましのつもりですか。このようなもの――――――!!」

 

 全方位を囲う羽の檻。その中で、ウェストコットはエレンの随意領域(テリトリー)に守られながら、白い精霊に目を奪われていた(・・・・・・・・)

 待ち望んだ反霊結晶(クリファ)さえ、目に入っていない。心臓の鼓動が鳴らすものは、歓喜(・・)か。

 

「…………」

 

 精霊は、エレンの激昂に応えない。人類最強の魔術師(ウィザード)を歯牙にかけてしないのか――――――その瞳に映すものを、ウェストコット一人だと思っているのか。

 自惚れた考えを過ぎらせるウェストコットの前で、精霊は自身の顔を隠すフードへ手をかけ――――――誰にも明かすことがなかったそれを、()せた。

 

「な……」

 

「――――――――――――」

 

 絶句するエレンのことすら、ウェストコットは気にかけることができなかった。

 言葉がない。思考もない。あるのは、ただ。

 

 

「ふ……はは。ははは、ははははははははははは、はははははははははははははは――――――ッ!!」

 

 

 感情のままに行われる、哄笑のみだった。

 笑う。笑うとも。これを笑わずして、男はいつ笑えるというのか。まったくもって愚かしい自分を、男は笑い飛ばしてやることが義務として存在した。

 

 

「ははははははは……ッ!! そうか、そうか。全てキミの手のひらの上か!! これほど滑稽なことはない!! 素晴らしい、素晴らしいよ!!」

 

「――――――『私』が欲しいなら、大人しく待っていて」

 

 

 ピタリと、男の哄笑が止む。

 少女は、反霊結晶(クリファ)己が内に取り込むと(・・・・・・・・・)、その顔を冷笑へと変えて、愛しい声(・・・・)を発した。

 

 

「必ず、『私』はもう一度、世界に顕現する。その時、あなたがどうしようと構わない。けれど、今は、待つといい――――――もうすぐ『私』は、望みを果たすから」

 

「く、はは……そうか。キミがそういうのか。なら、待つとしよう(・・・・・・)。ああ、退屈しのぎの暇潰しは、許してくれたまえよ」

 

 

 何、その程度は物語に些細な影響しか及ぼさない。

 ――――――神の描いたシナリオに、凡人が抗えるものか。

 

 

「ああ、そうとも。従おう。全ては悲願の成就のために――――――〈デウス〉。我が、愛しき精霊よ」

 

 

 その力を、我が手にするまで(・・・・・・・・)

 

 ――――――白き羽が、全てを覆い隠すように、爆ぜた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「シドー!! 大丈夫か!?」

 

「疑問。この球体は、一体……」

 

「ああ、俺たちは大丈夫だ。これは……多分、〈アンノウン〉がやってる」

 

 羽の球体が構成され、士道たちが行動を決めかねている間に、離れていた十香たちが息を切らせて合流した。

 士道としても、曖昧にしか答えられない。耶倶矢、美九が呆気に取られたように目を丸くする。

 

「ふむ。突然、羽のようなものが散ったと思えば、狂三の従者の仕業であったか」

 

「何だか綺麗な繭みたいですねー。けど、どーするんですかー?」

 

「いや、それは……」

 

 答えあぐねて、士道はガリガリと髪を掻く。アルテミシアは念入りに霊力を込めたのか、未だ時間停止の中。士道たちに危険はない――――だが、中にいるはずの〈アンノウン〉、重症を負った二亜は話が違う。

 球体が構成されてまだ一分も経過していない。だが、士道にとっては長すぎる時間に思えてしまった。

 特に二亜は、早く治療しなければ手遅れになりかねない傷を負っているはずだ。何か手はないか。そう思考を巡らせる士道の前に、アルテミシアを捌いた狂三が降り立った。

 

「さて、説明してもらいましょうか、『わたくし(・・・・)』?」

 

 目を細め、士道とは違う人物へ視線を向ける狂三。全員がそれを追うように顔を動かすと、その先にはもう一人の〈アンノウン〉――――狂三が『狂三』と呼んだ白い少女がいた。

 狂三に声に応じて、ゆっくりと、少女がフードに手をかけ、それを後ろへ放り去る。

 

「『狂三』……っ!!」

 

 白いローブの下は、やはり、『狂三』。恐らく、狂三の分身の一人である『狂三』だった。

 手品の種が割れた『狂三』は、くすくすと無邪気さと妖艶さを兼ね備えた、芸術のような微笑みを見せた。

 

「ご覧の通りですわ。それに、わたくしが口を滑らせる必要もなく――――ほぉら」

 

 一本の指が羽の繭を指し示す――――――次の瞬間、羽が膨張を始めた。

 明らかに普通ではない動きに、士道は表情を変え喉を震わせる。

 

「っ――――みんな下がれ!!」

 

 士道が咄嗟に指示を飛ばし、全員が身を屈めた、その時だ。

 羽の膨張が静寂を伴い止んだかと思えば、衝撃と共に全方位に弾け飛ぶ。

 

「く……っ」

 

「あの子は……!!」

 

 腕で視界を覆い尽くす羽から身を守り、士道たちはどうにか弾け飛んだ中心の状況を確認するため奮戦する。

 だが、それは無用の長物と言えたかもしれない。視界を埋めつくしていた羽が、溶けるように消えていく。

 

「〈アンノウン〉、二亜ッ!!」

 

 叫びながら状況を確認する。状況は……なぜか、球体が生まれる前と変わっていないように見えた。

 倒れた二亜。白い翼で飛ぶ〈アンノウン〉。苦々しく、顔を歪めるエレン――――いや、一人だけ、違う。

 

「……?」

 

 思わず、士道はその光景を訝しんだ。手で顔を覆うウェストコット。しかし、そこに見え隠れする表情は、反霊結晶(クリファ)という目的のものを手放してしまった落胆ではなく――――――それ以上のものを手にした、歓喜だと士道には思えてならなかったのである。

 状況の変化に応じるように、アルテミシアを封じていた【七の弾(ザイン)】の効果が途切れ、時が動き出す。

 

「アルテミシアッ!!」

 

「平……気……ッ!!」

 

 驚くべきことに、幾数十の弾丸を受けてなお、アルテミシアは動き出した。

随意領域(テリトリー)を扱い、全身から血を流しながらもエレンとウェストコットへ合流する。狂三にとっても驚くべきことだったようで、呆れたような声を発した。

 

「あら、あら。もう少し撃ち込んでおくべきでしたわね。折紙さんの知人のようでしたので、思わず手心を加えてしまいましたわ」

 

「……冗談がわかりづらい」

 

「まぁ。わたくし、いつでも本気ですことよ」

 

 狂三は折紙と他愛のない会話をしながら、二人とも視線は絶対にエレンたちから外すことはなかった。

 状況は変わらず、どう転ぶかわからない。士道たちの勝利条件は、エレンたちに勝つことではなく二亜を救うことなのだ。

 仮に再び戦闘になり、エレンたちを追い込むことができたとして、血溜まりを作る二亜が持つとは思えない。本音を言えば、今すぐにでも駆けて行きたいのだ。

 数秒の拮抗が、焦れったい。血が混じった汗が士道の口元にまで及び、嫌な匂いが士道の鼻腔を刺激する。それがまた、二亜の血を現しているようで、士道は強い不快感に見舞われた。

 どうする、どうすればいい。冷静さを焦りが上回りかけた、その時。

 

「では諸君――――――今日はここまでにしておこうじゃないか」

 

 そんな、気の抜けるような提案をしたのは、他ならぬアイザック・ウェストコット自身だった。

 

「なに……?」

 

「アイク……」

 

「さあ、行こうか」

 

 急すぎる意見の鞍替えに面食らう士道たちを他所に、ウェストコットは楽しげにエレンを急かした。

 エレンはウェストコットの指示に逡巡を見せたが、屈辱に塗れた顔で一度〈アンノウン〉を睨むと、アルテミシアと共に随意領域(テリトリー)を収縮させ、三人の身体を宙へ浮かび上がらせる。

 

 

「近いうちにまた会おう。精霊諸君。そして、イツカシドウ。残り少ない安寧の時を――――――お互いに(・・・・)、どうか楽しもうじゃないか」

 

「てめぇ何を……!!」

 

「そして、今日は会えて嬉しかったよ」

 

 

 ウェストコットは視線を外し、〈アンノウン〉を見やる。

 相変わらずフードに隠れた顔を(・・・・・・・・・)、なぜか愛おしげな視線で眺めていく。

 

 

「敢えて、今一度伝えよう。我が愛しき精霊――――よ」

 

「……!?」

 

 

 確かに、ウェストコットは何かを口にした。しかし、それは士道たちに届くことなく風に消えていき――――――彼らのシルエットすら、捉えることが困難な距離へと消え去った。

 

「二亜!!」

 

 我先にと士道は地面を蹴り上げる。ウェストコットの突然の退却。気にはなるが、そんなものは捨て置いていい。

 仰向けに倒れ、血の海に沈んだ二亜。全身の傷……何より、アルテミシアの剣で貫かれた腹部が致命傷なのは火を見るより明らかだ。

 掠れた呼吸が、辛うじて二亜の命を繋ぎ止めているのがわかる。放っておけば、あと数分さえ持つかわからないことも。

 士道が取るべき行動。それは、一瞬の判断だった。

 

「――――〈灼爛殲鬼(カマエル)〉ッ!!」

 

 心臓を核とし、炎が士道の身体から咆哮をあげる。即座に炎を右手に収束させ、傷だらけの二亜に押し当てた。

 〈灼爛殲鬼(カマエル)〉の炎は二種。相手を焼き尽くす破壊の炎と、焼くことで再生を促す治癒の炎。〈アンノウン〉の一件から、治癒の炎は対外にも効果があるはず――――――だが。

 

「……ッ!? 傷が治らない!?」

 

「なんですって!?」

 

 傷を癒すはずの炎は、無常にも二亜を避けるように拡散し消えていく。何度押し当てても同じ結果になり、士道と駆け寄った琴里に焦りの色が灯る。

 原因を追求している暇などない。他に宛があるとすれば。

 

「くそ、これが駄目なら……!! 琴里!! 顕現装置(リアライザ)は!?」

 

「手配済みよ!! でも、〈フラクシナス〉が動かない以上、転送はできないわ!! 車を用意してるから少し待って!! けど……霊結晶(セフィラ)を奪われた精霊なんて〈ラタトスク〉も治療したことがないわ!! 一体どうなるか――――」

 

「く――――七罪、応急処置を頼む!!」

 

「わ、わかった!!」

 

 一度治療の経験があることも生きたのか、七罪が小走りにかけて〈贋造魔女(ハニエル)〉による応急処置を開始する。

 しかし、これはあくまで応急処置。〈アンノウン〉の時と同じで、損傷した臓器を完璧に修復できるわけではないし、失われた血も取り戻せない。

 降り注ぐ光が傷自体は塞いだものの、血の気の失せた顔は変わらず、呼吸も段々と薄くなってしまっている。

 

「くそ……二亜!! 俺の声が聞こえるか!? 今車が来るからな!!」

 

 二亜の手を握り、祈ることしかできない。それはあまりに無力で虚しい祈りであり、二亜には何の影響も及ぼすことはない。

 過ぎる数秒が惜しい。複数の天使を扱えようと、士道にできることなど限られていた。刻一刻と過ぎる時間に、拳を地面に突き立てた。

 まさにその時だ。白い外装が視界の端に移り――――〈アンノウン〉が降り立ったのは。

 

「〈アンノウン〉……!!」

 

「……本条二亜に、まだ霊結晶(セフィラ)が残っています」

 

「な、に……?」

 

 どういう意味だと詰め寄る前に、白い少女は言葉を続ける。

 

私の中にある(・・・・・・)反霊結晶(クリファ)と、本条二亜が反発しあっています。これを取り除かれる前、何かしたのではないですか?」

 

「っ、そうか!! 上から降ってきたあの女に刺される前に、士道は二亜の意識をほんの僅かだけど引き戻していた……!! あの時点で、完全な反転状態ではなくなっていたのよ!!」

 

「――――つまり、二亜さんの中に霊力さえあればよい、ということですわ」

 

 琴里から言葉を引き継ぐようにそう告げた狂三は、膝を折って士道と二亜が繋ぐ手に自らの手を重ね合わせるように置く。

 それは、温かな光を伴う霊力の循環(・・・・・)。ほんの少しではあるが、二亜の薄くなっていた呼吸が回復していることに士道は目を見開いた。

 

「反転した霊結晶(セフィラ)を今の二亜さんに戻すことは、反作用の危険が大きすぎますわ。ですが、切り離された霊結晶(セフィラ)があるのなら、取れる手段は存在し得る。わたくしでは気休め程度ですが、士道さんなら――――――」

 

「っ――――霊力の経路(パス)を、繋げられる」

 

 士道と精霊たちには見えない経路(パス)が存在し、そこを絶え間なく霊力が循環している。

 なら、仮に士道が二亜と経路(パス)を繋ぐことができれば、霊力による肉体の修復を促すことが可能なはずだ。だが、そのためには。

 

「士道、まさか」

 

「ああ――――一か八か、二亜を封印する……!!」

 

 霊力の供給。それさえ完璧なら、二亜を救うことができる。

 ただ一つの問題点は、二亜が士道に心を開いてくれていなければ、この希望すら消えてしまうということだ。

 信じるしかない。琴里が言ったように、自分たちが紡いだ道を――――――二亜の心に、士道たちの想いが伝わっていると。

 

 

「――――二亜。頼む。俺を……受け入れてくれ。俺の力、持ってけるだけ持っていけ!! だから――――――!!」

 

 

 生きろ。その願いを胸に――――士道の身体の中を、霊力の温もりが駆け巡る感覚。

 それは、幾つもの精霊を封印した時と、全く同じ感覚。二亜から顔を離し、必死になって二亜へ呼びかける。

 

「二亜!! 二亜!!」

 

「目を覚ますのだ、二亜!!」

 

「二亜……さん!!」

 

「士道さんの霊力を持っていって、目を覚まさないなど、このわたくしが許しませんわ。どうか、目を覚ましてくださいまし!!」

 

 士道に続いて、精霊たちが声を上げ続ける。次々と、祈りを捧げるように。

 その祈りは、無力などではない――――――二亜の瞼が、微かに動いた。

 

 

「…………、そんなに……叫ばなくって、も……聞こえて……るって……の……」

 

「――――!! 二亜!!」

 

 

 士道たちの顔が見えたからか、微かに微笑んだ二亜がもう一度目を伏せ、小さく唇を動かした。

 

 ――――ありがとう。そう、言っているように見えた。

 

 

 






割といつものことなんですけど、これ実は前話とセットで1話予定でした。お前の展開と文字計算ガバガバすぎない?

弾丸に弾丸の効力って入るの?制御細すぎない?というツッコミは狂三が器用だからで解決します。嘘です冗談です。明らかに精霊としての力が増大してます。初登場キャラ相手にシレッと予知をするんじゃない。

二回目の顔出しとなりました。フードを堂々と取る描写は、実はずっとやりたかったネタです。やはり正体バレは鉄板だぁ。顔出しが一回目じゃない理由?アレが一人目なのが嫌だったんじゃないかな(直球)

そんなわけでフラグバッキバキに破壊してくスタイル。この構想自体は初期の初期から決まっていて、ここ以外はあんま原作から変えられないんじゃないかなぁって不安になってました。結果は……ノリと勢いで結構変わってると信じたい。
特に灼爛殲鬼には言及してませんでしたけど、さすがに無条件他者回復はできません…………原作だとできないよね?てかしてないですよね?多分……。

毎回毎回語りたがりおじさんしてますけど、これで感想が減ったりしてないよなと不安になる今日この頃。
さて、次回はエピローグ。少女は霊結晶を手にし、どこへ辿り着こうとしているのか。そして、救われた二亜の口からは……。
感想、評価、お気に入りなどなどお待ちしておりますー。次回をお楽しみに!!
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