デート・ア・ライブ 狂三リビルド   作:いかじゅん

143 / 223
というか気がつけば投稿一周年超えてたんですね。あっという間の出来事。




第百四十話『三つ巴の戦争』

 

 

「……!!」

 

 六喰と相対し、持てる天使で彼女の攻撃を受け流していた士道の鋭さを増した感覚。それが妙な気配を察知し、僅かばかりに動きを止めることとなった。

 

「何だ……!?」

 

 何かが、空間に響いた。そうとしか言えない。しかし、どこかで感じたことがある感覚。ここは果てのない宇宙空間ではあるが、士道を生かすために〈フラクシナス〉から随意領域(テリトリー)が展開され、随意領域(テリトリー)の空間内だからこそ、重力の概念がない宇宙で自由に動き回ることができる。

 その空間内に、何かが走った(・・・・・・)。まさか、〈フラクシナス〉に異常があったのかと周囲に視線を巡らせ――――――

 

「油断とは、どこまでも不遜じゃな――――【(ラータイブ)】」

 

「っ……!!」

 

 が、口説き相手(・・・・・)はそんな士道の懸念を察しても、ましてや待ってなどくれない。

 開かれた『扉』が様々な岩石、破片を吸い込み、士道の周りに展開された無数の『扉』を伝い飛礫となって降り注いだ。

 〈フラクシナス〉の随意領域(テリトリー)では逸らしきれない量の攻撃。ならばと、士道はイメージを練り上げ、左手を翳しながら謳う。

 

「――――【颶風騎士(ラファエル)】!!」

 

 無風の空間ではありえない、奇跡の暴風を呼び起こす。

 イメージした通りに荒れ狂う風は、全方位で士道を守る鉄壁の神風。飛礫を難なく打ち払い、ますます六喰の視線が細まるのが見て取れた。

 

「人の身でありながら、幾つもの天使を扱うか――――うぬは、本当に人間か?」

 

「……どうかな。自分ではそうありたいと思ってるよ。ただ――――――」

 

 士道が普通の人間か、そうでないかなど、今の士道が構うものではない。

 五河士道はここにいる。五河士道という存在は、精霊を救いたいと願っている。それだけで、十分だ。

 

【――――お前の心を開くために、自分の身を惜しむ気はない】

 

 〈破軍歌姫(ガブリエル)〉。人の領域を軽々と踏み越える声は、随意領域(テリトリー)を介して鼓膜を震わせ、士道の肉体を極限まで強化させる。

 

「うおおおおおおおおおッ!!」

 

 この瞬間、自身への気遣いなど不要。必要なものは、六喰のもとへ至るという意志のみ。

 裂帛の気合いと共に虚空を蹴り上げ、士道の意志と動作を汲み取った随意領域(テリトリー)が士道の身体を大きく跳ね飛ばす。

 一瞬にして、六喰との距離が一気に詰められる――――――が。

 

「――――ごめんね。その精霊は、私たちが貰うよ」

 

「――――ッ!?」

 

 視界に映る機械の鎧、士道の首際(・・・・・)に迫る必滅の刃――――アルテミシア・アシュクロフト。DEMの魔術師が、士道の視野の外から既に迫っていた。

 如何に虚勢を張ろうと、如何に他人を真似ようと、士道の力量は戦士のそれには遠く及ばない。DEMがこの場に現れることは知っていたはずなのに、一点しか見えていなかった士道の限界。

 刺突が迫る。アルテミシアの剣は喉元まで到達しかけ、あと幾秒と使わず士道の首と胴を離れ離れに切断せしめることだろう。さすがの〈灼爛殲鬼(カマエル)〉といえども、即死に至る傷は塞ぎようがない。

 士道に時間は止められない。士道に刃を防ぐ力量はない。そう、士道には止められない(・・・・・・・・・・)

 

「……!!」

 

 あと数ミリ。濃密な魔力で編まれた刃先が肌を焼き、切り裂くその瞬間――――――息を詰まらせたのは士道ではなく、アルテミシアだった。

 ああ、士道だけなら、今この場で命を散らし、六喰の運命を閉ざしてしまっていたかもしれない。

 だが、それは士道だけなら、という前提だ。士道はずっと、一人で戦っているんじゃない。

 

 

「――――士道、無事?」

 

 

 心強い、仲間がいる。

 

「折紙!!」

 

 九死に一生を得た士道は、かの救世主の名を叫ぶ。

 下方から現れた刃が、アルテミシアの刃を弾く。それを成し遂げてくれた人物、折紙の名を呼び、それから彼女の姿を見て士道は目を見開いた。

 そこにいたのは、精霊としての姿ではない、魔術師(ウィザード)としての折紙だった。純白のCR-ユニットに、肩や胸元を覆う西洋の甲冑にも似た鎧。何より手に持った武器は、剣というより長柄の槍を思わせる造りをしていた。

 

「その姿は――――」

 

「説明はあと」

 

 言葉を吐き出しながら、折紙は姿勢を崩したアルテミシアを槍で薙いだ。

 ――――折紙の言う通りだ。危険を押して士道を助けてくれる皆に報いるためにも、士道は何より行動で示す。だが、ほんの僅かな言葉でも力になるならと、士道は声を張り上げた。

 

「折紙、そいつを頼む!! こっちは必ず何とかしてみせる!!」

 

「!!」

 

 言葉ではなく首肯で返した折紙が、アルテミシアと随意領域(テリトリー)同士の接触を起こしながら、魔力光で編まれた剣と槍を打ち合わせる。

 目映い閃光を暗闇に描き、二人の魔術師(ウィザード)は激突した。しかし、窮地を脱したとはいえ状況が落ち着いたわけではない。

 

「く……!!」

 

 不意に六喰の放つ幾条もの光線が迫り、士道は近づいた距離を離れざるを得ない。

 仕切り直しか――――そんな考えが士道の頭を過ぎったその時、もう一人の救援隊が駆けつけた。

 

「シドー!!」

 

「――――十香!!」

 

 その身に限定霊装を、そして〈鏖殺公(サンダルフォン)〉を手にし、士道を助けに来てくれた十香。彼女の手を借り、一度六喰から距離を取る。

 

「お前まで、ごめ――――いや、ありがとう、十香」

 

 彼女の手を取った途端、士道の心に安堵の光が灯った気がした。できれば自分一人で、そういう思いがあったのは確かだが、それでも心のどこかでは十香たちの助けに安堵している士道がいた。

 だから、こういう時は巻き込んでしまった謝罪ではなく、十香たちに対する礼が正しいと思い、士道は微笑みとともにそう言った。

 

「気にするな。シドーが精霊を助けたい想いと同じくらい、私たちもシドーを助けたいのだ――――――ッ!!」

 

 十香が心強い笑みでそう返すも、団欒は長く続かない。六喰が再び〈封解主(ミカエル)〉の力で飛礫を解き放ったことで、士道と十香は防衛のために意識を集中し、複数の来客(・・・・・)の存在を察知した。

 

「〈バンダースナッチ〉――――!!」

 

 意思のない人形兵。それらが、士道と十香、そして六喰を無差別に攻撃し始めた。

 

「〈氷結傀儡(ザドキエル)〉ッ!!」

 

「はぁッ!!」

 

 士道が凍土の壁を生み出し複数の攻撃を防ぎ切り、十香が〈鏖殺公(サンダルフォン)〉の斬撃で人形を薙ぎ払う。

 が、状況がそれで解決するかといえば、否。精霊を捕えることが目的のDEM、それを士道たち諸共敵と見なす六喰。先程までとは違い、士道と六喰の一対一から完全な乱戦の様相を呈していた。

 乱戦――――攻撃を受け止めながら、士道の思考には一人の少女がいた。いつもなら、いの一番に駆けつけるはず彼女のことを。

 

「十香、狂三は!?」

 

「〈フラクシナス〉でやるべきことをやる、そう言っていた!!」

 

 〈バンダースナッチ〉をまた一体切断しながら、十香が叫んだ言葉の意味を確認する。

 恐らく、分身の一人すら送り込まないことにも何かしらの理由があるのだろう。やるべきことがある――――――なら、ここ(六喰)を任された信頼(・・)に、士道は更に全力で応じるまでのこと。

 

「行けるか!?」

 

「うむ、露払いは任せろ!!」

 

 士道の言葉の意図を読み取り十香が声を上げる。彼女の戦場における驚異的な判断力、直感は士道とは比較にすらならない。だから、十香であればこの状況をチャンス(・・・・)と見込んでくれると信じて士道は声を上げた。

 戦場の乱戦で荒れている。だが、多少の危険は承知の上だ。その上で、この乱戦を利用するなら尚更。

 人形の対処が必要なのは六喰も同じなのだ。そういう意味では、一対一より六喰の隙を狙える可能性が高い。

 

「行くぞ、十香!!」

 

「おおっ!!」

 

 危険は好機。ピンチをチャンスへ変えるべく、士道は叫びと共に幾つもの流星が流れる戦場へ、十香と身を躍らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 アスガルド・エレクトロニクス製CR-ユニットAW-111〈ブリュンヒルデ〉。

 折紙が琴里から渡された新たな力。魔術師(ウィザード)として、更なる高みへ到達することができるもの――――――だとしてもなお、届かないものがある。

 

「ふ――――ッ!!」

 

「ぐ……ッ」

 

 様々な方向から襲い来る斬撃。極限まで研ぎ澄まされた刃が、随意領域(テリトリー)により隙らしい隙を生み出すことのない神速の剣戟を折紙へ見舞う。

 無論、折紙とて防戦はしている。しかし、防戦に徹して、それでも腹部へ一撃を貰い後退を余儀なくされてしまった。

 鳶一折紙は魔術師(ウィザード)だ。それこそ、凡百の魔術師(ウィザード)には決して劣らない自負がある。けれど、相対する相手の魔術師(ウィザード)は、その凡百の頂点に近い力を持つ者。折紙を歯牙にもかけない、頂上に位置する存在なのだ。

 全てだ。断言をしよう。折紙が培ってきた魔術師(ウィザード)としての技量の全てが、アルテミシア・アシュクロフトに劣ると。

 

「……ッ、でも――――」

 

 折紙がそれで諦めると、それが諦める理由になるなど、嘘だ。

 士道からこの場を託された。負けるわけにはいかない。何より二度と、折紙は諦めない。

 生きると誓った。罪過を背負って生きると。士道と、皆と――――――彼女と、約束したから。

 

「アルテミシア・アシュクロフト。あなたは強い。私よりも、ずっと」

 

 故に、折紙がこの力を引き出すことは必然であった。

 

 

「――――魔術師(ウィザード)と、しては」

 

「……ッ!?」

 

 

 折紙へ追撃を測っていたアルテミシアの軌道が逸れ、一気に距離を取る。正しい判断だ。敵の身体が突如として光り輝くなど、未知なる可能性を警戒して離れるのは当然のこと。

 かつての折紙ならそうした――――今の折紙は、その驚きを実現する側となった。

 

「これは……」

 

 アルテミシアが驚きと共に折紙の姿を見やる。

 ――――限定霊装。霊力を封印された精霊が、一時的に経路(パス)の循環から霊力を取り戻すことで得られる鎧。そしてそれは、身に纏った衣服に影響され変化する。

 そう、今の折紙なら魔術師(ウィザード)という戦闘能力を有するCR-ユニット。それが限定霊装と融合すればどうなるかは、明白。

 精霊と魔術師(ウィザード)。敵対関係にある二つの力の融合体――――――この世で唯一、鳶一折紙だけが成し遂げられる奇跡のハイブリッド体である。

 かつて精霊を殺すため手に入れた二つの力を、士道を、そして彼が救わんとする精霊を守るために振るう。皮肉だが――――――今の折紙は、それを是として肯定できる。

 

「これなら、あなたと、戦える」

 

 こんなところで、負けていられない。アルテミシアを乗り越え、精霊を救い――――――彼女へ辿り着くためにも。

 武器を構え、純白の霊装を揺らす折紙。その時、

 

 

『――――システム起動完了。タイムラグ、誤差修正。同期開始(スタート)

 

「っ……?」

 

 

 声が、折紙の脳を直接揺さぶった(・・・・・・・・・・・・)

 

『多重接続。演算結果を送信――――――さあ、参りましょう。折紙さん、琴里さん』

 

「――――!?」

 

 その電子音声(・・・・)が聞き慣れた精霊の口調に瞬時に切り替わり、さしもの折紙も目を見開いて驚いてしまう。

 

「油断し過ぎだよ」

 

「っ!!」

 

 刹那、折紙の視界に映るアルテミシアの姿が膨張した。随意領域(テリトリー)によるノーモーションの強襲。まるで隙だらけだった折紙にとっては、致命傷を負うには十分な斬撃だった(・・・)

 

「な……」

 

「は――――ッ!!」

 

 だが、折紙はアルテミシアの攻撃を受け流し(・・・・)、完璧な形での反撃で虚を衝く。

 完璧とはいえ、相手はエレンに次ぐ実力者。打ち込まれた折紙の槍をギリギリで受け止め、アルテミシアは急速に距離を取る――――――その行動さえ、視えている(・・・・・)

 

「……!!」

 

「く……」

 

 視線を交わす暇さえ与えない。今度は折紙が攻勢に転じ、アルテミシアに迫る。宇宙に煌めく二つの軌跡。しかしその二つは、僅かに、だが確実に、折紙が押し始めていた(・・・・・・・・・・)

 普通ならばありえない。精霊の力があるとはいえ、それは限定霊装下でのもの。互角の勝負でなければならないはずだ。

 

 

 DEMと〈ラタトスク〉。星宮六喰を巡る戦場に――――――未来が、届く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 戦艦〈ゲーティア〉。最強を名乗る魔術師(ウィザード)、エレン・メイザースが駆るその空中艦。

 その最大の強みは、火力でも、ましてや耐久でもない――――速度。圧倒的な機動性。他の空中艦と異なり、エレン自らが制御することによって実現可能となる、あらゆる物理法則を無視した動き。

 初見であれば、新型の〈フラクシナス〉といえど翻弄されていただろう――――初見であれば(・・・・・・)、だが。

 

「うっわ!! 何今の!! 画面ぐるんって!!」

 

 今し方行われた〈フラクシナスEX(エクス・ケルシオル)〉の相手と同じ挙動(・・・・・・・)を見て、後方の耶倶矢が興奮した様子で声を弾ませた。

 琴里も気持ちはわかる。向こうの特許と思われていた機動を、たった今〈フラクシナス〉は見事に意表を突き披露してみせたのだから。

 

「〈フラクシナス〉改修における目玉の一つよ。随意領域(テリトリー)の中に、機体のみを包む随意領域(テリトリー)をもう一枚張って、随意領域(テリトリー)同士を反発させることによって、今までにない自由な駆動が可能となったの」

 

 それが回避不能と思える〈ゲーティア〉の高速機動に対応できたカラクリ。

 相手が高速機動を行うというのなら、こちらもそれに対抗できるだけの機動性を用意すればいい。八舞姉妹や〈アンノウン〉のような速度を持たない狂三が、【一の弾(アレフ)】の力で神速の領域に至る理屈と同じだ。

 と、琴里は得意げに言ったものの、すぐに自嘲気味に肩をすくめる。

 

「まあ、もっとも。その着想のもとが、まさに改変前の世界で見た〈ゲーティア〉だっていうのは気に入らないけどね」

 

 気に入らないが、それで意表を突くことができたなら安いものだ。戦闘直前、得意げな顔で間抜けな自信を語っていたエレンの訝しげな顔が容易に想像出来る。それによって思わず意地の悪い微笑みを浮かべてしまうくらいには、上出来だと琴里は考えている。

 

「うーん、でも妹ちゃん、本当に大丈夫? 確かに凄いとは思うけど、それって相手の真似っ子してスピード上げただけで、追いつけたってわけじゃないんでしょ?」

 

 すると、二亜が眉根を寄せて最もな苦言を呈した。

 

「そうね。あの女の鼻っ柱をへし折るにはもう一枚カードが必要よ。そのために、あなた達の力が必要なの」

 

 確かに、このままでは強がって拮抗が精々というところ。霊結晶(セフィラ)が不十分な二亜を除く、琴里、四糸乃、耶倶矢、夕弦、美九。ここに残った(・・・・・・)精霊の力を借りれば、勝ちを得ることも可能だろう。

 だとしても、不十分。確実とはいえない上に、ギリギリの戦いだ。必要ならば、琴里はその賭けを勝ち取りに行こう。しかし――――――

 

「あの子たちなら、そろそろのはずだけど……」

 

 その、瞬間。

 

 

『――――システム起動完了。タイムラグ、誤差修正。同期開始(スタート)

 

 

 琴里が懸念し、司令としては待ち望んだ声が艦橋に響き渡る。

 突然のアナウンスに精霊たちは面食らっているが、琴里だけはニッと唇の端を上げた。

 

「な、何!?」

 

『多重接続。演算結果を送信――――――さあ、参りましょう。折紙さん、琴里さん』

 

「狂三さん、でしょうか……?」

 

「で、でもこれ、マリアの声じゃ……」

 

 そう。まるでマリアの電子音声が狂三の口調で話している(・・・・・・・・・・・)。すると、二亜の疑問にモニタに映った『MARIA』の文字が再点灯し、誰よりも早く声を響かせた。

 

『その通りです。文句を付ければ格好いいと思っているタイプのクレーマー気質さん』

 

「マリアだ!! これはマリアだよ!!」

 

『判断基準が悲しいですわね。二亜さんは被虐趣味がおありなのですか?』

 

「くるみんだ!! このナチュラルSな気質を感じるのはくるみんだ!!」

 

 身振り手振りに二転三転。判断基準が二亜らしいといえば二亜らしいのかもしれないと、琴里は呆れ気味にやれやれと肩をすくめた。

 マリアが狂三を代行している? マリアが狂三を真似ている? どちらも間違っている。そして、二亜の言っていることは、何も間違っていない――――――今の彼女はマリアであり、狂三なのだから。

 

「行けるわね、マリア、狂三」

 

『はい――――もちろんですわ』

 

 一人で二人の声。琴里の呼び掛けに応じ、マリアと狂三が声を返す。その間にも、システムを起動した彼女たちは琴里では想像もつかない領域にいる。

 故に――――時は長く使えない(・・・・・・・・)

 

「――――神無月!!」

 

「お任せを!!」

 

 声を上げた琴里に応えたのは、艦長席の脇に控える副司令、神無月恭平である。既に彼の頭部には、顕現装置(リアライザ)に脳波を伝えるためのヘッドセットが装着されている。

 神無月が自ら機体の制御や〈世界樹の葉(ユグド・フォリウム)〉を管理する。普通の人間なら不可能な技だが、神無月はただの変態ではない。こと実力面において、副司令の座に相応しい技量を持っているのだ。

 そして、彼の脳には演算結果(・・・・)が即時に更新され、送り届けられていることだろう。

 かの仇敵、〈ゲーティア〉を琴里は見つめる。愛しい仇敵だ――――が、この瞬間に、その仇敵は取るに足らない〝敵〟でしかない。

 兄の愛しい人に無用な負担をかける、邪魔な〝敵〟だ。そんなもの――――――馬に蹴られて地獄へ堕ちろ。

 

 

「生憎、前座に長く構ってられないの――――――一分で終わらせるわ」

 

 

 さあ、蹂躙を始めよう(・・・・・・・)

 






次回、宇宙編決着。

たとえ愛しき仇敵であろうと、今この場においては愛する者を邪魔するただの敵でしかない。……まあ狂三が味方の位置に近いと仕方ないんですけど、エレンも大概こういう役回りが板についてきたというか。まともにやらせるとクソほど厄介なのは原作で証明されてるんですけどね。

果たしてマリアと狂三の能力とは如何に。なんかもう想像されている気がしますが!
感想、評価、お気に入りなどなどお待ちしておりますー。次回をお楽しみに!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。