「…………」
家――と言っても寝泊まりを行う程度の宿舎に近い――で端末から流れる文字列を一語一句間違えず記憶し、その作業を一通り終えた令音は座る椅子の背もたれを鳴らした。
作業は名の通り、事務的なもの。元々、〈フラクシナス〉外に迂闊に重要な情報を持ち出すわけにもいかない。そのこともあり、令音がこの母屋とは名ばかりの家を利用することは少なく、専ら寝泊まりは〈フラクシナス〉の個室で行っていた……結果、こうして強制的に帰宅を余儀なくされたのではあるけれど。
「……ふむ」
零した声の意味は、少しばかり迂闊であったか、というもの。
だが――――それも、もうすぐ終わる。
約束の時は、近い。それまでは座して待つ。しかし、時が終局を奏るのならば……。
「――――デート……、か」
けれど、過ぎる考えを反芻した言葉が、約束の時を遮った。
まさか、という思い。このタイミングで、という予想外。
令音の正体が割れた――――それは、限りなく低い可能性。正体が割れたのなら、真っ先に
令音が精霊である、ということが知られる可能性は幾つか……どれも杞憂と言ってしまえるほど低いものではあるが、たとえば令音の正体を知るあの子ならば――――――
「……いや」
小さく頭を振り、否定する。その方法は確かに存在しているが、あの子がそれをするとも思えない。
あの子は『私』だ。『私』に仇なす行為を、直接的にするような子ではない。第一、狂三の道を無理やりに定めてしまう方法は、あの子の本意ではないはずだ。
今考えるべきことは、士道の思惑なのだが――――彼が何を考えていようと、令音が彼の誘いを断ることなど、あるはずがなかった。
「…………」
だから、不思議と憂鬱な雰囲気を纏う沈黙は、彼のことではなく、結局は
彼とのデート。歓喜がないわけがない――――でも、考えてしまうのだ。
あの子は、最後まで彼との逢瀬は望めなかったことを。
あの子は、『私』だ。どんな出生であれ、それが令音――――澪の
それでいて、狂三を第一と考えたあの子は……妹、とも言える存在だった――――それにしては、別れは薄情なものだったけれど。
仕方がない。そういう関係なのだ。いいや、正確には、そういう関係にしか
「……きっと、あの子は――――――」
――――私のことを、恨んでいるだろうから。
わからないなりに、生を押し付けた存在として……そう思った。
そんな令音が、あの子より先に彼との逢瀬を楽しむ。まったく――――皮肉な結果が、あったものだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ラタトスク空中艦、〈フラクシナス・エクス・ケルシオル〉。
その艦橋内は、一風変わった風景と人影があった。これから始まる
そして、何より――――――
「…………」
「…………」
とある女王様とその従者の、今朝から続く恐ろしく気まずい空気感が漂っていた。
再びローブを着込み、壁際で寄りかかっている少女と、艦長席を囲う予備席に腕を組んで目を閉じる狂三。
ただそうしているだけならば、特に気にする必要はないもの。が、
「……!!」
「……っ」
時折、示し合わせたようにお互いを見て、一瞬にして目を逸らしてまた同じ体勢に戻ってしまうのだから、狂三の隣にある司令席に座る琴里も顔を渋くするというもの。
「……へい、妹ちゃん」
「わかってるわよ……こんな不器用な狂三、初めて見たわ」
コソッと耳打ちしてきた二亜に、琴里も深い息を吐いてそう対応する。
器用で不器用。いつだったか、士道が狂三を表現した一言だ。こうして目の当たりにすると、それを嫌という程に実感する。
基本的に、距離感の掴み方が上手い狂三ではあるのだが、長年付き合っていたからこそ、表面上だけは一番に近い少女と、今壊されてしまった距離感に翻弄されている節が見られる――――とは、いえ。
「どっちかって言うと……問題は、あの子ね」
ふぅ、と言葉を零して琴里は席を立つ。
実際、狂三が距離感を計りかねているのは仕方がない。今の今まで、常に主と従者という仮初の距離で接して、ようやく歩み寄れる段階になったのだ。
それより問題なのは、少女がそれを頑なに拒んでいるということだ。作戦があるから、と連れ出してきたが、狂三が話しかけようとすればふらりと消えて、戻ってはの繰り返し。少女側の拒絶が、狂三側の不器用な一面を出してしまっていた。
お馴染み〈ラタトスク〉のクルーたちは、令音の正体に驚きながらも、相手が精霊ならば変わらないと気合いを入れて本日の作戦に参加してくれている……のだが、さすがにこの二人の空気には困惑気味だった。
肝心の作戦を開始する前から、この雰囲気を引きずられては敵わないと、琴里は自ら少女の元へと歩き抑え気味の声で話しかけた。
「ちょっと。昨日、私たちと話してた時のあなたはどこにいったのよ」
「……さあ?」
さあ、じゃない、さあじゃ。苛立ちから額に青筋を浮き立てながら、琴里は矢継ぎ早に言葉を捲したてる。
「あなたと、狂三のことでしょ!! 大体、作戦開始前から空気悪くされたら困るのよ」
「……私、協力するとは言っていませんし。不満があるなら、ここから出て――――――」
「却下。勝負に勝ったのは私たち。負けたのはあなた。なら、最後まで付き合ってもらうわ」
「…………」
なんだこの傍若無人な司令官、という視線はこの際無視するに限る。こういう頑固者のわからず屋には、多少なりとも強引にいかねば事は進まないというもの。
頭に手を置き、致し方なしと琴里は呆れ気味に言葉を続けた。
「とにかく……納得しろとは言わないし、今すぐに元通りに出来ないのも理解してる。でもせめて、狂三と話すくらいはしてあげなさいよ――――あなただって、狂三のああいう顔は本意じゃないでしょ?」
「……ん」
返事を返すように零した言葉は、狂三に視線を向けることと同時になされていた。少女の視線の先には……落ち込んでいるとか、しょげているという風に近い狂三の顔がある。
無論、人よりもわかりづらく、表立ったものでもないが――――狂三がああいう態度を見せるのは、士道かこの子くらいなものだろうと琴里は思うのだ。
琴里に促され、少女がようやく重い腰を上げて狂三の元へ寄り……目を上げ、少女と視線を交わした狂三へ、少女は声を発した。
「……あなたの願いに、納得はできません。私は、あなたの生存率が低い事象に賛同はできませんから」
「……そうですの」
僅かに動揺して瞳を揺らした狂三に対し、少女は構わず――その拳が痛いほど握られていることは、気づいていた――に言葉を継ぐ。
「……けれど、あなたが
目を見開いてその言葉を聞き届けた狂三は、全てに納得はしていない。それでも、こくりと首を縦に倒した。
「今は、それで構いませんわ。わたくしたちの選択を……士道さんの行動を、見届けてくださいまし」
「……もしも、それがダメだったら、その時は――――――」
その時に、少女は迷いなく狂三を生かす選択肢を選ぶ。
暗にそう言い残し、言葉を切った少女は再び席から離れた壁際に寄りかかり……これでいいのだろう? と言わんばかりに琴里を見やった。
「たくっ……」
ガリガリと髪をかきあげ、琴里は愚痴を零すように声を吐き出した。
我が女王。その呼び名に、ここまでの
「やれやれ、我が
「参照。夕弦たちを見習ってほしいものです」
「…………いや」
二人揃ってやれやれ系を装っているが、聞いた話だと、あなたたちも似たようなものじゃなかったかしら? という指摘を既で飲み込んだ。口は災いの元。特に、大事な時期を前にしてこれ以上はやぶ蛇……ぶっちゃけた話、精霊関係では大半が人のことを言えない面倒さがあったのである。
大人しく司令席に戻った琴里を、右方に座る六喰が気遣う声で出迎えた。
「むん。大義じゃの、琴里」
「ふふっ。ありがたき幸せ……かしら?」
琴里の気を紛らわすために、わざと大層な言葉遣いをした六喰。琴里は明るく笑い声を発して続きを返す。
「ま、放っておくわけにもいかなかったし……貸し一つにしておくわよ、狂三」
「……少しばかり、琴里さんからの貸しが増えていますわねぇ。嘆かわしいことですわ」
ニヤッと隣の狂三へ投げかけると、彼女は否定することなく受け入れ、コンソールで遊びながら自分の立場を皮肉るような声を返す。
貸しというものであれば、琴里は――絶対に表立って認めはしないが――狂三へ大きな貸しがあるのだが、狂三は狂三で
とまあ、貸し借りの有無を頭で算段しながら琴里は会話を続ける。
「ふふん。そう思うなら、もう少し殊勝な態度を見せてほしいわね。ああ、そのために、もっと貸しを作っておくのも悪くないかしら」
「性格の悪い方ですこと。そもそも、へりくだったわたくしを見たいんですの? 司令官様?」
「……止めておくわ。想像したら鳥肌が立ってきた」
琴里へ謙る狂三を想像すると、想像しただけで気味が悪くなってしまう。思わず、自分の両腕を擦り合うくらいには。
司令官様、とか言われるだけでも気味の悪さがあったというのに、謙る狂三の姿など頭に浮かべ続けたら鳥肌では済まされない。と、そんな琴里をすかさず二亜が茶化してくる。
「あっははー。妹ちゃん、そりゃ〝解釈違い〟ってやつだねぇ」
「カイシャクチガイ? 何だそれは、介錯の親戚か?」
小首を傾げ物騒な親戚を並び立てた十香に、琴里は慌てて手を振って返す。
「気にしなくていいわ、十香。二亜の戯言よ」
十香は感受性豊かで物覚えがいいのだ。一度間違えたことは殆ど繰り返さないその分、変な言葉を変な意味で教えたらそのまま覚えてしまうことだってある。さすがの琴里も、〈ラタトスク〉の失態エピソードを飾りたくはない。
二亜の「えー、妹ちゃんひどーい」という心のこもっていない抗議を聞き流し、琴里はチュッパチャプスの棒をピコピコと上下に揺らし、チラリと狂三を見遣る。
ここは素直になって、琴里の部下として敬意を評した立ち回りを行う狂三の姿を今一度浮かべてみてることにした。〈ラタトスク〉の制服に、似合う伊達眼鏡を添えて、イメージは出来る女秘書・時崎狂三。
『五河司令、本日のご予定ですわ。……あら、あら今日も凛々しく愛らしいですわ。素敵ですわ、最高で――――――』
「……正直ないわー」
「何をご想像いたしましたの?」
突如奇っ怪な顔で奇っ怪な言葉を発した琴里に、狂三が怪訝な顔をみせた。
いや、本当にない。マジでない。イメージが色々混ざってかなりおかしくなったことは認めるが……なるほど、これが〝解釈違い〟ということか。
「うんうん。これで妹ちゃんも、こっちに一歩近づいたねぇ」
「何のお話……でしょうか?」
『うーん。
「ちょっと違うと思うけど……ていうか、書き方おかしくなかった?」
「そうですかー? とっても素敵な響きだったと思いますけどー」
……聞こえる範囲で大変に失礼な会話が成立していたが、コホンと咳払いをして改めて空気を入れ替える。
「――――琴里」
「……ええ。そろそろ、ね」
目を細め、少女の様子を観察していた折紙から短く意思が伝えられる。
狂三と少女のことは、あくまで応急処置。いっそ、
――――頭の中でスイッチを切り替える。
司令官として、求められるものを。
士道の命を預かる者として、適切な精神力を。
息を吸って、吐く。基本動作を繰り返し――どんな超人であれ、基本がものを言うのだ――押し慣れたスイッチに指を接地させ、五河琴里は、全ての命運を握る最愛の兄へ声を届けた。
「そろそろ時間よ――――準備はいいかしら、士道」
「……ああ」
囁くように、しかし強固な意志を以て。五河士道は妹――――〈ラタトスク〉司令官に声を返す。
耳元のインカム……ではなく、首元に張り付けられた骨伝導型通信機から、〈フラクシナス〉側の声は伝わっている。
初見の精霊ならまだしも、今まで精霊攻略の第一人者であった令音には、インカムでは気づかれてしまうかもしれない恐れがある――――実際、最初のデートでインカムを封じた精霊がいたわけで、それだけでも説得力が違う。
どこまで用意しても、杞憂とは言い切れない現状。そのため、こうして最新式の通信機が支給されたわけである。
そんな通信機の用途について気になった士道は、ふと声を発した。
「もしかしてこれ、本当は……」
『お察しの通り、対狂三用よ。……その様子だと、結局は使わなかったみたいだけれど』
「あはは」
『適当に笑って誤魔化すんじゃないわよ』
実際、誤魔化そうとしているのでこれ以上の言葉はなかった。
便利なものを今まで使わなかったのではなく、使わせようと思ったデートにおいて、士道が固辞して使わなかったというのが正しいようだ。こんなものがあると伝えられる前に、士道は狂三と対等の立場で望むと宣言していたので、知るはずもないことだった。
「…………」
緊張や恐れ。目を閉じて、それらがないと言えば嘘になる。けれど、そんなものを消し飛ばしてしまうくらいに、崇宮真士が澪を想う気持ちは強く、怒涛の如く溢れる慕情となって存在している。
それだけでないのは、昨夜に士道自身が再確認したこと。
『――――もう、絶対離さない。もう、絶対間違わない。だから、』
夢の中の声。それも、ごく最近のものではなく、およそ十ヶ月ほど前――――令音と出会う、直前のもの。
十香と出会い、医務室に運ばれ目覚めた士道の文字通りの眼前に令音はいた。今にして思えば、夢の声の主は
第一印象は……正直なことを思うと、『変な人』だった。というより、令音を見てこの感想を抱かない人はそう居ないだろう。それこそ、令音と似た感性を持つ者――――白い少女とか、どうだったのだろうかと気にはなる。
ただ、そんな『変な人』という印象を越え――――綺麗な人、と思う者が大半であるとも考えている。それ以上の感情は、昨夜に自覚した通りだ。
刻んできた。狂三と交わしたものがある。実のところ、彼女にも念押しされていることだが……何よりも、
そして士道は――――令音とのデートを、楽しみにしている。だから、大丈夫だ。そうして目を開けた士道は。
「……やあ、待たせたね」
「うひぁっ!?」
かつてのように、目の前にあった令音の顔に驚き、素っ頓狂な声を上げた。愛しい彼女のため息が、通信機を通して伝わってきた気がした。
「れ、令音さん……!? いつの間に……!?」
「……ん。今来たところだよ。何やら考え事をしているようだったので、邪魔をしてはいけないと思ってね」
「そ、そうですか……」
どうにか言葉を返した士道の目に、令音の装いが飛び込んでくる。
綺麗に結い上げられた髪。唇にうっすらと引かれたリップ。どちらも、普段の令音であれば見せることのない――――女が、男に見せる装い。
だが、何より目を奪われたのは
恐らくは、狂三も、あの白い少女も気がついている。士道の中の真士が、深い感慨を抱いている。
ああ、だからか。僅かな空白を置いて、士道は真っ直ぐに……ただ、素直な言葉を万感の想いで解き放った。
「令音さん――――綺麗です。普段、そういう格好を見たことがなかったから、見とれちゃいました」
士道が放ったそれに、令音は眠たげな双眸を僅かに見開いた……のが見えて、ハッとなった士道は慌てて弁解の言葉を続けた。
「す、すいません突然。素直に気持ちが言葉に出ちゃったっていうか……ああ、いや、何言ってんだろ、俺……」
開幕出会い頭で、一体士道は何をやっているのか。衝動で気恥しい口説き文句をぶつけてしまうなど……いや、今日はまさに令音を口説く日なのだけれど。
「……ふむ? ……そうか。ふむ。そうか」
しかし、慌てる士道とは裏腹に、令音はあごに手を当てながら、受けた言葉を幾度か転がすように呟いている。表情に変化は見られなかったが、それはどこか喜びの感情が乗っている気がした。
「……ありがとう。君の装いも素敵だよ」
「あ……ありがとうございます」
サラリと反撃を喰らい、士道の方が頬を染める結果が生じる。
それには褒められた気恥しさ……というより、この服装を選んでくれた皆の努力が結実したことへの喜び、というのが大きい気がしたけれど。
「……さて、それで、シン。今日はどこへ行くんだい? 随分大荷物のようだが」
士道の携えたキャリーバッグ。令音の問いは、それを見れば当然というもの。
狂三との決戦を前にして、遠出の支度を整えた荷物。まず、案じが先行してもおかしくはないものだった。
「ああ、安心してください。全部が嫌になって逃避行……ってわけじゃありませんから」
以前……それも『前の世界』での受け売りジョークを混ぜ、冗談めかした士道の答え。それに「……ふむ?」と令音は小首を傾げてきた。
「……そうなのかい? それは残念だ」
「へ?」
冗談に対しての返答としては、予想外のものがあった。
「……逃避行の相手に私を選んでくれたのなら、光栄だと思ったのだが。君が逃げたいというのなら、私はどこにでも付いていくよ」
「え、ええと……ジョーク、ですよね?」
「……君の冗句に返したつもりだよ。気持ちに偽りはないがね」
「そ、そうですか……」
なんて返すのが正解だったのだろうか、これ。と、士道は冷や汗をかく。
冷静に考えられたのは、令音が士道の狂三に対する熱意を見てきたから、という事実があるからだ。……それを差し引いても、思わず確認を取ってしまったのだが。
コホンと咳払いをして、気を取り直して言葉を続ける。
「今日行くところは……まだ内緒です。令音さんを驚かせたくて。――――俺を信じて、付いてきてくれますか?」
「……ああ、もちろん。では行こうか」
思考に迷いを感じさせない。心から信じてくれている――と士道は感じた――返答ののち、令音は何かを思い出したように小さく眉を揺らした。
「令音さん? どうかしましたか?」
「……これは一応、デートだったね?」
「はい。――――一応、ではないつもりですけど」
「……ふむ。なら――――――」
令音は、士道へ手を伸ばす。ごく自然な動作――――それこそ、幾度も士道が成してきた
「……手くらい、繋いでおいた方がいいかな?」
「――――!!」
白く細い指先と、その腹が無防備に士道へ向けられる。
けれど、それからの対応は
「そうですね。デートですから。――――でも、失敗したな」
「……失敗?」
「はい。それは俺から言おうと思ってたのに」
士道の微笑みと言葉に、令音はきょとんと目を丸くし、それから釣られるように小さく笑みを零した。
「……そうか。それは悪いことをしたね」
「いえ。令音さんのレアな表情が見られたのでよしとしておきますよ」
冗談めかした言葉を返した士道は、令音の手を優しく握った。
慣れたと言いながら、それは微かな緊張を孕ませるに足る感触を帯びて。ひんやりと冷たく、小さな手。
興奮と緊張。それらは士道自身にも熱を帯びさせる。けれど、これまでの全てを上乗せするかのように、少年は己という仮面を造り上げる。それは偽りではなく、士道という人間が培ってきた技能を駆使した
初めの頃のように、ハリボテでも上っ面でも、ましてや空白と小手先のものではない。士道が救い上げてきた、数々の道がその証。
十の道標を胸に、令音の手を引いて街を歩いていく。
――――精霊たちの、士道と狂三の、そして少女と
Q.なんで本人と分霊なのにこんなすれ違うんですか? A.だからこそ言葉にしないと分かり合えないんじゃないかなぁ。
互いの目的は知っているし察しがついてる。そして会話もある程度あり別れも済んでいる。だからこそ致命的に食い違う。分かり合えない。この子ら、相手をどう思っているかはほとんど口にしていないんですよ。せいぜい、令音が別れ際に告げた言葉くらいで。
〈アンノウン〉と士道のデートがなかったことは……まだノーコメントで。
狂三が歩み寄れば終わると思うじゃろ? ところがどっこい、歩み寄ったら逆に距離が離れる狂三ガチ勢。
なおこの子、狂三がフェイカー辺りで早期に霊力を封印されるルート→影ながら狂三を守る狂三セコム。
狂三が士道の霊力を得るルート→霊結晶を渡して歴史改変で退場。もう一つ、士道IFはゴニョニョな感じですが、まあ狂三の従者から関係が外れることはなし。
なので、距離を詰めようとするとこのタイミングしかない。不具合かな?ちなみに士道と狂三の答えが早いと今度は澪デッドエンドが待ってます。なんだこれ。
原作は原作で気味が悪いくらいは言いそうですけど、この琴里的にはもはや解釈違いの領域になるのかなって。義姉のそんな姿はショウジキナイワー。
それでは次回、いよいよデート編。今回からも感じる、士道のちょっとした心境の違いだったり……の前に、愉快なあの子と精霊たちをお届けできるかなと。
感想、評価、お気に入りなどなどありがとうございます&どしどしお待ちしておりますー。次回をお楽しみに!!