デート・ア・ライブ 狂三リビルド   作:いかじゅん

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さぁ――――――私たちの戦争(デート)を続けましょう。







未零アナザー


 

 

 それを声と呼ぶにはあまりに小さく、対極し大きすぎるものだった。

 ただ『在る』はずの存在が意志を保ち、語りかけてくる。

 

『――――――を』

 

『……………………だぁれ?』

 

 誰、などと。おまえはその存在を誰より知っているはずなのに(・・・・・・・・・・・・・)

 だからこそ、だろうか。なればこそ、と言えるかもしれない。どちらにしろ、少女はそう返す他なかった。問う他ない。

 

 

『かの――――――を――――――――』

 

 

 極めて近く、限りなく遠い存在へ。

 

 

『――――――――とどけて』

 

 

 嘶くように、弾けるように、震えるように――――――その世界は脈動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「……どんな夢を見たんだい?」

 

「………………………………………………………………別に、何も」

 

 たっぷり二十秒の熟考。未零が姉へ(・・)返した言葉は、夢見を案じる人へのものとは思えない実に薄情なものだった。

 とはいえ受け取った姉――――村雨令音は、不自然な未零に詰め寄るわけでもなく「……そうか」と返して朝食の味噌汁を啜った。まあ不自然とはいえ、未零が夢の中身を思い出そうとして、思い出せなかった、とでもいえば誤魔化せてしまう程度のものだ。未零が話すつもりがないというのなら、詮索をするつもりもなかったのだろう。

 たとえそうだとしても、夢を見たことは聞くまでもなく察されている、ということになるのだが。何とも察しが良すぎる令音に続き、未零も同じように味噌汁に手を付けた。

 

「…………」

 

 ついで、令音を見やる。特別、変わった様子はない。以前と違うのは、以前に比べ多少はマシになった隈。肩の力が僅かに抜けた様子、という程度のもの――――――それで、全てが解決しているとは思わないけれど。

 

『ごちそうさまでした』

 

 行儀よく、朝食を済ませる。いつも通りの光景だ。少々と様相が異なるのは、

 

「……すまないが」

 

「やっておきます。私が原因ですからね」

 

 令音が仕事へ向かうため、足早に準備を済ませていることくらいか。

 無論、優秀な令音が仕事へ向かう時間を気にするほどギリギリを攻める、というのは考えられず、理由は幾つか存在している。

 当然最たるものは未零が口にした通り、少女自身が原因だ。本来今日は、所用が重なり早めに出かけることになっていた令音のため、朝食当番を引き受けたのだが……妙な夢(・・・)に気を取られて、不覚にもそれを令音自身に行わせてしまったのだ。

 結果、未零に時間を合わせた令音側の時間は圧迫され……不運とは重なるものである。共に暮らし始めて(・・・・・・・・)初の失態に眉根を下げると、それを悟られたのだろうか。令音が柔らかな微笑みを浮かべた。

 

「……気にすることはないさ。特別な不備は生まれないし、君が後片付けを担当してくれれば役割は分担できている。――――――それじゃあ、私は先に出よう」

 

「っ……あ」

 

「……ん?」

 

 息を詰まらせ、小さく言葉を吐き出した。そんな仕草でさえ、令音は足を止めて振り向いてくれる――――――だけど。

 

「……ううん、何でもないです。いってらっしゃい、令音」

 

「……ああ。行ってきます、未零」

 

 言いたかったことは、在り来りなやり取りにかき消された。微笑を浮かべ、手を振って令音を見送る。振り返される手をそのまま送り届けて――――――

 

 

「――――――気をつけて、なんて言葉も言えないんですか、私は」

 

 

 言いたいこと一つ伝えられない自分に、ため息を吐いて呆れ返った。もっとも、霊力を封印されてなお力を振るうことができる令音に、気をつけて(・・・・・)が必要な対象は存在しないのだけれど――――――妙な夢が、そう思わせてしまうのか。

 

 

 手早く片付けを済ませ、未零は未零で通学(・・)の準備を済ませる。さっさとしないと、小生意気な同級生に朝から突っ込まれること間違いなしだ。

 そんな急ぎの時に――――――傷だらけのクマのぬいぐるみが視界に入ってしまったのは、未零の心境故か。

 

「……シン」

 

 丁寧に飾られた、ボロボロのぬいぐるみ。一見して相反するものだが、事実としては成り立つものだ。

 三十年もの間、主の心を支え続けた影の功労者。ようやく前を向いて歩き始めた澪たちに従い、長い長い勤務から休暇をもらった、といったところか。

 ツギハギで随分とくたびれて、だけど修復は人力で行われているために、これは『崇宮真士』からもらったものの中で唯一形として残っている。三十年もの間、そしてこれからも、傍に在らずとも澪を見守り続けてくれる。

 そんな相手にだからこそ、未零は指を伸ばし――――――八つ当たるように、その鼻を押した。

 

 

「姉妹って、どうすればいいんですか――――――お義兄ちゃん(・・・・・・)

 

 

 返ってくるものは、押した指に対抗する柔らかな反発くらいなもので、未零はまた深くため息を零した。

 

 

 

 世界が再構築され、半年余り――――――村雨未零が俯瞰する世界は、信じられないくらいに平和だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「――――――夢見が悪いって顔してるわね」

 

「…………」

 

 開口一番。これは果たして彼女の察しが恐ろしいほどにいいのか、自分が思っている以上に顔に表情を出してしまうタイプなのか、辟易としながら未零は言葉を返して彼女と――――――万由里と歩き始めた。

 

「……私、そんなにわかりやすいです?」

 

「わかりにくい。だから注意深く見てないといけないんでしょ」

 

 サイドテールに括った金髪をぴょこぴょこと揺らし、さもありなんと万由里は答える。どうやら、彼女の観察眼が優れているという説が正しいらしい。それにしたって、人の夢見を的中させるのはどんな観察力だと思うけれど、と未零は額に汗を流した。

 

「……そこまで見てなくてもいいじゃあないですか」

 

「ちゃんと見てるように頼まれたわ」

 

「誰に?」

 

「私を含めて全員かしら」

 

「………………」

 

 一度、個人的信頼度に関して話し合った方が良い気がすると考え込む未零だったが、自身の立場を考えて何とかそれを呑み込む。

 そもそも、大学へ行ってみたい(・・・・・・・・・)と言い出したのは未零なのだから。それに万由里まで付き添わせる形になってしまったのは――――――

 

「私が行きたいと思っただけよ。大体、半年過ぎてるんだから今更でしょ」

 

「……だから、人の考えを当てないでくださいよ」

 

 ――――どこまで人を見ているのだ、この子は。

 睥睨気味に目線向けると「はいはい」と空返事で返してくる。反省している様子はないし、反省する意味もないだろう。別に、その観察眼は悪いものではないのだから。つっけんどんな物言いも、未零が相手だからしていると理解はある。

 

「……半年、ね」

 

 半年。世界を改変して、半年。もうすぐ七月を終え、八月に差し掛かろうか。冬を越え春を過ぎ、夏の日差しが照りつける。声に出した季節の移り変わりは、そんな時期を迎えていた。

 当然、封印された精霊である未零には幾つもの選択肢が生じた。通りすがりを卒業し、〈ラタトスク〉の保護下に落ち着いた未零は、何となしに大学への進学を申し出た――――――何となし、というのは少し趣旨が異なるか。

 行ってみたかったのだ。それは、令音が経験したものだから(・・・・・・・・・・・・)

 村雨令音の人生とは、偽らざる履歴(・・)が存在している。紙面となった経歴などを洗われることを想定し、彼女は現実の学生生活を送っていた。その履歴は、確かに『在る』のだ。世界が書き変わっても、否、書き変わったからこそ事実は消えていない。

 だから、未零はふと言ってしまった。まあ――――――狂三と士道の逢瀬に遠慮をした、という密なる想いがないわけでもなかったが。

 あのときは、恐らく〈ラタトスク〉としては中学か高校などを想定していたのだろう。高校は先の理由、中学はさすがに遠慮願いたかった。理由はというと、ふと同じ高さの目線で(・・・・・・・・)万由里が都合よく声にした。

 

「それにしても……急に伸びたわね」

 

「……まあ、私はあなたとは別の意味で澪の明確な分霊ですからね。元が元なので、伸ばそうと思えば令音くらいは簡単ですよ」

 

 というより、霊力封印の影響で勝手に伸びるという方が正しいか。

 そう。万由里の言及の通り、未零の身長は急速に伸びた。成長期と言うにしろ、さすがにやりすぎなくらいには。未零からすればこうなることは目に見えていたので、間違いなく悪目立ちする中学は遠慮願ったのだ。なお、身長がほぼ同じだったはずの琴里は、そんな未零の成長を見て膝を折った一幕があったのだが。

 と、そんな騒ぎがあったりなかったりしたのだ。まあ、あったりなかったり、という曖昧な表現なのは――――――

 

『未零の好きにすればいいですわ。そうしたいというのなら、わたくしは歓迎いたしますもの』

 

『……ああ。私は構わないよ。すぐに手配しよう』

 

 狂三と令音。ある意味、未零という精霊の保護者的立場――狂三はむしろ逆だろうと主張はしたい――の二人が、あっさりと認めたからに他ならない。

 ……というか、必要になった未零の苗字(・・)の方が大騒ぎだった。五河、時崎、何故か鳶一まで乱入した大騒動に発展――――――思い返すと血色が令音のように悪くなりそうなので、閑話休題。学内で『吸血鬼』の渾名をもらうのは姉だけで十分だろう。

 〈ラタトスク〉としても精霊の願い出は極力叶えていく方針なのだろう。たったそれだけで、思いの外あっさりと未零の出願は認められ、晴れて自由に大学へ……とはならず、こうして万由里まで巻き込んで学資の歴を積み重ねようとなったのである。

 他の精霊たちも、それぞれの道を歩んでいる。変わる者と変わらぬ者。周囲が変化し、大切な人たちとの再会を得た者。未だ己の所業を後悔し、身勝手に入り込む資格はないと首を横に振った者。様々ではあるが、確実な変化はある。万由里など、まさにその最たる例なのだから。

 だから、こそ。

 

「気になるの?」

 

「……はっきり覚えているわけじゃないんです」

 

 未零は自身に生じた〝変化〟を、軽々と無下にはできなかった。

 

「……ただ、夢と呼ぶにも曖昧だったのに――――――私は、その声を知っている気がしたんです」

 

 気がした、で済めばいいと未零は顔をしかめた。起きがけに感じたものは、知っていなければおかしい(・・・・・・・・・・・・)とさえ思ってしまうほどのものだった。

 単なる夢、そう断じることは簡単だ。しかし、それができないということは――――――未零にとって、未零以外の誰か(・・・・・・・)への影響を無視できない事柄、かもしれないということだ。

 たとえば士道、たとえば折紙、たとえば万由里――――――たとえば、狂三と澪。

 未零のみで完結できる問題ならまだしも、あの〝声〟は何か引っかかる。

 

「知っている気がする……か。あんた、人より色んなことを知ってた分、曖昧なことは捨て置けそうにないわね」

 

「…………」

 

 沈黙で返したそれは、肯定の意。未零は識っていた(・・・・・)。始源の精霊、士道の力、アイザック・ウェストコット。あらゆるものを記憶に収めながら、それを駆使して狂三が生き残る術を模索する精霊だった。

 だが、今その記憶に意味はない。狂三の生存は成された。心情的な問題(・・・・・・)は個人に委ねるにしろ、この世界は未零にとって想定を上回る結末を迎えた。故に、起こり得る異常に対して未零は記憶を持たない。なぜなら、澪が引き起こすものではない(・・・・・・・・・・・・・)のだから。

 今の澪が何かしらの干渉を行ったのなら、わからないはずはないし、彼女がそうする必要もない。なら、未零が聞いた声は何者なのか。それがどのような影響を及ぼすのか。対象が未零だけならいい。だが、もしものことがあれば――――――

 

「また一人で抱え込もうとしてる」

 

「……!!」

 

 咎めるような棘を感じ、未零は思考の沼から無理やり引き上げられた。桜色の瞳には、強ばった未零の顔が映り込んでいた。

 はぁ、と息を吐いた万由里は、せめてもの説得のように髪に指を搦めながら声を発した。

 

 

「あんたの性格は知ってる。だから無理に言えとは言わないし、まだ告げ口もしないわ。ただ――――――あんたの姉さんくらいには、相談してもいいんじゃないかしら」

 

「っ……」

 

 

 それは、初めから未零の性格を熟知しての線引き(・・・)であったし、同時に煮え切らない未零に対しての提案(・・)でもあった。

 詰まらせた息を吐き出し、万由里の気遣いを今度こそ呑み込む。

 巻き込みたくはない。未零は今の平和が好きだ。未零が聞いた〝声〟は、所詮夢見の一瞬。何の確証すらなく、現実には何も起こっていない。恐らく、〈ラタトスク〉に何かしらの調査を頼んだところで意味を為さないだろう。そんなもののために動いてもらうには、些か早計がすぎるというものだ。だから万由里も〝まだ〟という表現を使ってくれている。

 けれど、未零一人でこうして悩んでいても埒が明かない。あの夢の声がもう一度届く保証もない。ならば――――――今もっとも近くにいる家族くらいには、相談をするべきではないのか。

 

「……そう、でしたね」

 

「必要なことはやっといてあげるから、あんたの気の済むようにやればいいわ。ま、私が口を出す前に片付けてほしいけど」

 

 髪を手で払い、すげなく返す万由里を見て苦笑を浮かべた。素っ気なく生意気な態度を取るのに、手助けは怠らないお人好しは誰に似たのやら、そんな思いからの苦笑だった。

 そんなお人好しの友人(・・)へ、未零は心から感謝の言葉を発した。

 

「……何か奢りますよ、万由里」

 

「チュッパチャプスの新フレーバー。発売日の朝に用意しておいてよね、未零」

 

「――――――了解」

 

 優しい同級生に返事を返し、足並みを揃えて大学へ向かう。さて、ここからの予定は――――――

 

 

「向こうは明日から――――――夏休みでしたね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「夏休みだぞ五河ぁ!!」

 

「暑苦しいわっ!!」

 

 終業式を終え、さあ帰宅だぞというこの時、突如として押しかけてきた悪友を一刀両断で叩き伏せた。もっとも、この程度の悪態で怯むような男ではないとわかっていてのことだが。やはりというべきか、大仰に手を広げながら言葉を継いだ。

 

「そうつれないこと言うな、我が同胞よ。高校最後の夏休み、思い出をたくさん作ろうじゃないか」

 

「おまえとの時間を山ほど作るなら、一人で狂三とのデートプランを考える時間に当てるがね」

 

「こんの、裏切り者がぁ!!」

 

 誰が裏切り者だ、誰が。……まあ、一年の頃は彼女の影などなかったことは認めるけれど。本音半分冗談半分、涙を浮かべた悪友・殿町宏人の叫びにようやく頬杖を解いて士道は少々と真面目な声を返した。

 

「つっても、おまえ三年生の夏休みがそれでいいのかよ……他にやることあるだろうが」

 

「だからじゃねぇかよ。俺だって青春的な思い出がほしいんだよぉ五河ぁ。みんなで遊びに行こうぜぇ……女の子含めて」

 

「やっぱそっちが本音かよ」

 

 士道が言えたことではないが、欲に正直な奴めと呆れ顔を作る。

 どの道、精霊たちとのスケジュールは山のように詰め込まれるはずなので、間違ってはいないのだが……と士道&殿町のくだらない会話に、一人の女神が現れた。

 

「よろしいのではありませんの? 殿町さんを含め、亜衣さん麻衣さん美衣さんもお誘いしては如何でしょう」

 

 愛しの君、狂三が学生鞄を携えニッコリと微笑みを作り声をかけた。その姿からは、正しく後光が差していたと殿町は後に熱く語っていた。というより、感激のあまり咽び泣く殿町から、言葉でなく熱量で伝わってきている。

 

「と、時崎さん!! やべぇ、マジ女神です……!!」

 

「おうそうだ、ありがたい女神様だぞ。だから拝み料金に財布の中身全部置いていけ」

 

「こっちは魔王!?」

 

 随分とみみっちい魔王がいるものである。というか、

 

「ま、そもそも誘う予定は立ててたんだけどな、最初から」

 

「な、なにぃ!? 謀ったな五河!! く、覚えてろよぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 鞄を引っ掴んで涙を拭い走り去る殿町に、「おまえこそなー」と適当な言葉を投げかけて別れを告げた。フォローついでに、あとで予定の連絡を入れておけばいいだろう……帰り際に笑顔を見せていたし、必要かどうかはともかくとして。

 顔を緩ませて殿町を見送った士道を見てか、狂三がくすくすと微笑を零した。

 

「まったく、意地が悪いですわよ」

 

「はは、誰かさんに似たのかね」

 

「あら、あら」

 

 誰のことかしら、と素知らぬ顔で頬に手を当てる狂三。間違いなく、このいたずらっ子の影響だった。

 ただ、再び頬杖を突いた士道の余裕もそこまでだった。

 

「ふふっ。ですが、殿町さんと美衣さんは良い雰囲気ですわね。お節介かもしれませんけれど、悪くない流れをプレゼントできそうですわ」

 

「…………え、そうなの?」

 

 作り上げた外面というものは、本物に対して無力である。愕然と目を丸くした士道に、机の横からひょこっと二人分の顔が飛び出してきた。

 

「うおっ!?」

 

「うむ。そうだぞシドー!! 気が付かなかったのか?」

 

「わかりやすかった。士道、私たちもするべきだと思う。今すぐに」

 

「今さら、あの甘酸っぱさは難しいのではなくて……?」

 

「……………………マジ?」

 

 顔を出した十香と折紙、そして狂三の顔を幾度も行き来するが、全員揃って「うんうん」とうなずくばかりだった。間違いとかではなく、真実(マジ)らしい。

 亜衣麻衣美衣の三人娘に殿町とは、世界が変わろうと(・・・・・・・・)相変わらずよく話す間柄ではあったが、まったくもって気が付かなかった。気を抜きすぎたか、あるいは――――――

 

「……わたくしばかりを見すぎ、ですわね」

 

「うぐ……」

 

 仕方なさげに息をつく狂三に、呻くことしかできない士道であった。

 恋は人を盲目にするとは言うものの、それで鍛えた観察眼が恋にしかいかないのも問題である。これは、それ以前の話な気はしたけれど。

 

 俺、そんなに鈍いかなぁ……? などと精霊攻略がご無沙汰ながら、意外と学生生活は見えていなかったかもしれないとか士道は考えながら学校の玄関口をくぐる。

 

「……ん?」

 

 そこで、何やら外側が妙にざわざわとしていることに首を捻った。狂三たちも同様なのか、小首を傾げている。

 

「む……この匂いは……」

 

「お、おい十香?」

 

 いの一番に鼻を利かせ、十香が早足に駆けていく。続けて折紙と狂三、士道もそれに続いた。

 やはりというべきか、普段ではないほどの人だかりが校門前に出来ている。終業式とはいえ、こんな光景は見たことがないと目を丸くする。

 すると、その少し手前に見慣れた顔を二人発見し、士道は流れるように彼女たちへ声をかけた。

 

「耶倶矢、夕弦!」

 

「む、遅いぞ、我が友たちよ」

 

「指摘。速さが足りません」

 

「いや、おまえらと比べられてもな……」

 

 こちらの教室へ来るなり、「我らの勝負に決着を!!」みたいなことを言って下校競走を始めたはずの耶倶矢と夕弦も、この人だかりに足止めをされていたらしい。

 先に来ていたということもあり、二人には人だかりの原因がわかっているようで、やれやれと困り顔で首を振った

 

「当人が切り抜けると思っていたが、あやつは存外に人が良い。集まり過ぎてキリがないぞ、あれは」

 

「増大。あの魅力は魔性です。顔を隠していた気持ちが理解できます」

 

「顔を隠してた……って、まさか……!?」

 

 そのまさか、が視界の先に存在した。

 目を奪われる、などという次元ではない。別世界の美しさを描く少女がそこには在った。見慣れた士道ですらそう思うのだ。見慣れていなければ、その物憂げな双眸と滑らかで清らかな髪の流れに目を奪われ、ゾッとするほど美しい芸術的な造形に心を奪われてしまうことだろう。

 美しさの体現があった。だが、その美しさに物怖じしない、あるいは呑み込まれた者が一人でもいたならば、それに釣られる形で人が集うのも無理はない。

 

「――――未零!?」

 

 そう。そこにいた人物とは、半年前から大学に通っているはずの少女であり、令音の妹(・・・・)である村雨未零だったのである。さしもの狂三も目を見開いているし、折紙とて似たようなものだ。士道の驚きは、それより勝るというものだろう。

 ただでさえ騒ぎが恐ろしい規模で、聞こえてくる話題も「もしかして村雨先生の……」など純粋な興味本位とか、「良かったらこのあと……」などのナンパ目的とか、「うおおおおおお通りたかっただけなのにいいいいい」など巻き込まれた哀れな悪友の声だとか、その他諸々だった。まるで、お忍びで現れたアイドルが顔バレしたような大騒ぎ。

 来禅の生徒はここまで無遠慮ではなかったはずだが、魅了の天使でも使用しているのだろうか。唖然と口を開いた士道は、そんなふうに思わざるを得ない。

 

「……いえ、私は用事があって。……あ、大丈夫です」

 

 その明らかな異常状態は、未零自身が来る人来る人を拒み切れていない様子から形成されているように見えた。

 耶倶矢の人が良い(・・・・)とは、正しくその通り。本人はあまり自覚症状がないようだが、令音以上に未零は押しに弱い。見ず知らずの相手だろうと、自分に用があるのであれば決して無下にはできないのだ。

 何とか一歩手前で押し止めているものの、これでは教師まで飛んできかねない暴動に発展する危険さえあった。とはいえどうするべきか、などと悩むまでもなく解決策は提示される。要は、未零に見ず知らずの他人より優先すべき対象を見せればいいという話で――――――

 

 

「――――未零」

 

 

 ここに一人、お誂え向きに未零の女王様がいる。

 鶴の一声とはこのことか。凛とした狂三の声は、暴動手前の人だかりすら一瞬の静寂に伏し、中心の未零はハッとこちらへ顔を向けて――――――

 

 

「――――狂三」

 

 

 花咲くような微笑みが、大衆を更なる魅了へと突き落とした様を見てしまった。

 ……笑顔が素敵なのは結構なことではあるが、夏休み明けの噂話が怖くなった士道は頭を抱えた。

 先ほどまでの躊躇いが嘘のように容易く人だかりを抜け出し、未零は士道たちの前で足を止める。そうして、何事もなかったかのようにニッコリと今度は作り笑顔で挨拶をしでかした。

 

「皆さん、どうもこんにちは」

 

「うん、こんにちは。……何か、後ろの言い訳はあるかな?」

 

「………………気付いたら、こうなってました」

 

 目を逸らされる。それで通るならアイドルだって顔を隠す必要はないだろうよと、士道たちは揃って半目を作るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「……なるほど。それであの騒ぎというわけか」

 

「……大変ご迷惑をおかけ致しました」

 

 来禅高校の物理準備室――とは思えぬ〈ラタトスク〉が持ち運んだ機材が並んでいるが――にて、コーヒーカップを受け取りながら未零は令音へ割と心からの謝罪をした。それはそれとして、精霊攻略を終えても私物化されているこの部屋にツッコミを入れたくはなかったが、そちらはどうにか抑え込んだ。

 

「……君は、もう少し自分の容姿を理解した方がいいかもしれないね」

 

「……あなたの容姿は嫌というほど理解していたつもりなんですけれど、〈擬象聖堂(アイン・ソフ・アウル)〉がないとどうにも慣れません……」

 

 ――――――特別なことは、何もしなかった。

 問題があるとしたら、そこだったのだろう。高校の門を潜り、令音へ会いに行こうとしたまではよかった。が、話しかけてきた生徒へ無難な返事を返してしまったのが運の尽き。見事囲まれ、会っていくつもりはなかった士道たちにまで世話をかけてしまったのは失態だった。

 自分が目を引く容姿なのは理解している。というより、崇宮澪の分霊である未零が知らないはずはないし、この貌に一種の誇りを感じていたのも事実。しかし、半年を迎えてなお己の身を隠す天使がないことは、少なからず未零の危機意識の欠如をもたらしていた。

 常にあったものがない。注目を浴びることを自然と〝消す〟ことができた未零にとっては、よりにもよって単独行動での認識不足を招いていると言える。これがたとえば令音と共に、ならば未零側が警戒心を高めるためこのようなことにはならないのだが――――――つまるところ、絶望的なまでに人を惹き寄せるのだ、澪の容姿というのは。

 令音のように立場がはっきりしている。澪のように浮世離れしている。というのなら避けようはあるが、普段の未零は意図的に澪と雰囲気を離す努力をしているので、こういった不幸な事故が引き起こされてしまうという結論を得た。

 思わぬ発覚とコーヒーの苦味に顔をしかめながら、適当なテーブルに軽く背を預け未零は令音と言葉を交わす。

 

「……とはいえ、今日のような経験は初めてでしたが」

 

「……ふむ。生徒が私を知っていたから、かもしれないね。知り合いの身内とわかれば、人の意識は自然と関連を覚え興味が生じる」

 

「……まあ、あなたも来禅に勤務して一年以上ですからね。知名度はあるでしょうし」

 

 廊下で幾度も倒れる血行不良の美人物理教師で副担任。健康健全な生徒たちが、何気ない令音の仕草に心を射止められていないか不安になる日々である。

 からかい気味に告げた未零に、令音はほんの僅かに表情を変えて言葉を継いだ。困り顔、というやつだ。

 

「……私としては、目立つことは本意ではないよ。どのみち来年には、私に変わる皆のサポート役が派遣されるがね」

 

「ああ――――――あの女ですか」

 

 自然と、言葉の端に鋭い棘を感じさせる声音になったことは否定できない。だが、令音はこくりと納得したようにうなずいた。少なくとも、未零よりは冷静に受け入れている。そう受け取れる。

 

「……ん。思うところはあるかもしれないが、私たちが案ずることじゃあないさ」

 

「私は――――――別に」

 

 何かを挟み込みかけて、誤魔化す時の口癖のように否定を重ねた。令音の言う通りだったからだ。あの女――――――エレン・ミラ・メイザースは、今や〈ラタトスク〉の機関員として活動する令音の同僚(・・)なのだから。

 一体、どんな過去をでっち上げたのやら、と未零は息を吐く。とはいえ、管轄があの男(・・・)から恩人(・・)に移ったというのであれば、未零はそれを受け入れ呑み込むと決めていた。かつて全ての元凶にして敵だったとはいえ、今は嫌う理由がない――――――わざわざ好く理由もないが。

 特別、未零個人の因縁で警戒しているわけではないのだから、本当にタチが悪い話だと自嘲する。複雑な未零にくすりと微笑を零した令音……しかし、その目を細めて改めて本題に切り込んだ。

 

「――――それで、君の相談事(・・・・・)を聞かせてくれるかい?」

 

「…………」

 

 ――――そりゃあ読まれるかと、未零は細く息を吐いた。

 わざわざ令音の手伝いがあるから(・・・・・・・・・・・)などと、未零こそでっち上げで令音と二人きりになる状況を作ったのだ。

 上手く合わせてくれた令音に感謝すると同時に、この察しの良さは狂三以上に隠し事ができない相手だとも思う。

 

「……実は――――――」

 

 しかし、だからこそ令音を頼るために来たのだと、未零は重い口を開き、包み隠さず己の現状を吐き出し始めた。

 

 

 

 

「――――――夢の声、か」

 

 未零が一通り話し終え、聞き終えた令音があごを撫で思考を巡らせる。

 〝夢の声〟。問題はそこに収束する。逆に今は、そこにしか問題がない(・・・・・・・・・・)。だから頼る対象が令音しかおらず、その令音相手ですら万由里に説き伏せられなければならないほど、未零は乗り気にはなれなかったと眉根を下げた。

 

「……もちろん、私の気のせいという可能性が大きいです。というより、本当なら問題にだってしたくなかった。でも……」

 

「――――君はその予感を無視できない、だろう?」

 

 令音の確信めいた問いに、未零はいつも以上に素直な首肯を返した。

 所詮は夢。それも微かな感覚と記憶しかなく、何もかもが曖昧――――――曖昧な中で、未零は無視することができないでいる。

 この〝声〟がどういうものなのか。誰のものなのか。害がないのならいい。人としての機能が生ませた幻想というのなら構わない。だが、未零は無視できなかった(・・・・・・・・)。収束というのであれば、問題の中心はここにある。

 

「……私たちは過去の夢(・・・・)ならば常にあったものだが、これはそうではないね」

 

「……令音」

 

「……うむ。冗句だ」

 

 とんだブラックジョークがあったものだ、と未零は半ば睨むようにコーヒーを啜る。苦々しいジョークに苦いコーヒーが更に苦味を増した気さえした。

 そんな未零たちの夢見はともかくと、問題定義を掲げて会話の流れを戻していく。

 

「……その声が本当にあったもの(・・・・・・・・)だとしよう。ここで問題となるのが――――――」

 

「――――なぜあなたではなく、私だったのか」

 

 言い換えるなら、なぜ崇宮澪(オリジナル)ではなく村雨未零(デッドコピー)だったのか、だ。

 あの〝声〟が未零の予感にあるものだったとして、どうして未零なのか。その〝声〟は何を伝えたかったのか。

 

「……私はその〝声〟を耳にしたことはない。君が聞けるだけの理由があったか――――――もしくは他の精霊たちへ届いてはいたのか、かな」

 

「……!!」

 

 確かに、その可能性はあると未零は顔を上げる。これを相談しなかったのは未零の性格故でもあるが、第一に記憶のできない夢の声だったという前提がある。

 たとえば……の話になるが、他の精霊(・・・・)が同じ夢を見ていた場合、引っ掛かりすら覚えない可能性はある。直感、予感になってしまうが、あの〝声〟を聞いた時に懸念を覚えるなど、それこそ未零か令音――――――あるいは、士道。

 けれど、士道に変わった様子はなかった。では他の精霊ならどうか。ただの夢(・・・・)と認識するであろう精霊なら、どうなるか。ただの夢ではない、そう認識するなら既に問題にはなっているはずだ。そうでない今は果たして〝声〟を聞いたのか、あるいは聞いていないのか。蓋を開けてみなければ検討も付かない、ということになる。

 令音と揃って腕を組み、現状の案を纏めあげるように声を発する。

 

「……聞こえていたのか、いないのか。それさえわかれば……」

 

「……あくまで、可能性の話だ。だが、世界改変(・・・・)によって綻びが生まれた可能性もある。以前と比べ、洗練された力であるとはいえ、ね」

 

「……実例、ありましたからねぇ」

 

 肩を竦め、それも身から出た錆だと思えば責任は澪と未零にある、そう言ってしまえると苦笑を零す。

 可能性が見えてしまったなら、未零は責任をもってことに当たる必要がある。杞憂であればいい。そうでないなら……左腕側で無造作に纏めた髪を払い、未零はこの懸念に乗ることを決めた。

 

「……それとなく折紙たちに当たってみます。その前に一人、思いつく可能性は潰しておきますが……ま、不自然にならない程度に私が動きますよ」

 

「……わかった。琴里には私から――――――」

 

「いやいやいやいや」

 

 ぶんぶんぶん、と勢いよく頭を振り切ると、令音が不思議そうに小首を傾げた。

 

「何のためにあなたに相談していると思ってるんですか。琴里に知られたら、問答無用で検査室に叩きつけられた挙句病棟にがんじ絡めですよ」

 

「……君の発想は、時折とても物騒になるな。狂三の影響かな」

 

「あの子はもっとえげつないことしますし、言います。……じゃなくて、琴里にはまだ黙っていてください。何が起こるかどころか、確証の一つすらないんですから」

 

 何も起きていないし、何が起きるとも言えない。日常という平和に向かい半年、未零という存在で余計な懸念を持たせたくはなかった。無論、何かあれば頼る腹積もりではあるものの、未零一人で解決できるものならしてしまいたい。

 

「……せめて、折紙たちに話を聞いてからにしてください。私の問題ですから、私がやるべきことを終えてからが筋でしょう」

 

 期限の落とし所は、その辺りでいいだろう。譲歩を願う未零に令音が微かに目を細める――――――白衣越しの腰に片手を添え、意を酌むように声を返したのは僅かな逡巡の後だった。

 

「…………わかった。琴里にはそれとなく私から聞いておこう」

 

「……あと、狂三もお願いできればと」

 

「……まあ、君がいいなら引き受けるが」

 

 訝しげな顔をした令音だったが、無事引き受けてもらえてホッと一息つく。

 良いも悪いも、未零は狂三を相手に嘘を吐ける自信がなく、駆け引きという面では令音の方が上だという自覚があるからだ。これは単純な経験値の差で、ただでさえ琴里から暗に『向いてない』と言われているのである。〈擬象聖堂(アイン・ソフ・アウル)〉をおいそれと使えない今、ありがたみが身に染みるとはこの事だった。……もしかしたら、経験がある令音が向いているだけで、澪も向いていないのかもしれないけれど。

 一安心と息を吐いた未零だったが、直後に令音の視線が鋭くなったことで、その嫌な予感に頬の筋肉が硬直した。

 

「……ただし、問題が起きた時には即座に琴里へ伝えること。私なりに調べ、何か見つかった場合も同条件。それと、常に連絡は取れる状態にしておくこと。……これらが条件だ。いいね?」

 

「…………………………はい」

 

 目一杯の躊躇いは、『多くないです?』と未零が言った瞬間に、端末を取り出して琴里へ連絡を飛ばしかねない雰囲気があったからである。

 

 信頼とは、行動から培われていくものであり、得ようとしなければ底へ落ちていくものである。と、せめてもの抵抗から目を逸らして未零は自覚するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 懸念、とはいうものの。

 

「四糸乃さん、四糸乃さん」

 

「……?」

 

 夕食の支度をしていた狂三が、その手伝いに台所に同伴していた四糸乃を小声で呼ぶ。不思議そうに小首を傾げ、小さな歩幅で狂三へと歩み寄り――――――ぱくっ、と四糸乃の幼い口元へ調理した食材を上手く放り込む。

 

「…………!!」

 

 すると、カッといつになく強く目を見開いた四糸乃は、パタパタと可愛らしく身振り手振りをし、グッと狂三へ親指を立てた。どうやら、とても美味しかったらしい。

 それを見た狂三が柔らかい微笑を浮かべて、人差し指を自分の唇に当てる。

 

「しー、ですわ」

 

「……!!」

 

 四糸乃も合わせるように唇に指を当て、大変に心が和む光景である。

 

「……女神、いいよな」

 

「……いいわね」

 

 それを眺める信奉者(士道と七罪)は、歴戦の猛者を思わせる理解っぷりであったが。ちなみに、『よしのん』は四糸乃のこれから(・・・・)の訓練のため、七罪の左手で休憩中である。器用なことに、うんうんと頷かせていた。

 

「…………ううん」

 

 ――――平和すぎて、気が緩みそうになる未零であった。

 

 

 







我が悲願の成就のため、番外編を届けるため――――――ソ〇モンよ、私は帰ってきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

私だ……呉島だぁ!! はい、ということで前書き真面目にしたから後書きふざけてもいいやろ。って感じのいかです。二週間ぶりにおはようこんにちはこんばんは。やり残しを完遂するため、再び更新に舞い戻ってきました。

と、いうわけで番外編、『未零アナザー』開幕です。主役はもちろん白の少女、狂三の忠犬……じゃない元従者にして令音、澪の妹、村雨未零。当方のオリジナルキャラクター。ある意味、本編の後だからこそ立たせられたヒロインとなります。
士道?彼をもう一度主役にすると一話で未零攻略終わり!になりますよ(真顔)
……まあ、ご存知の通り狂三と士道、二人の恋物語はきっちりと完結させたつもりというか完結をさせたので、ここからはあくまで後日談兼未零編。さりげない感じで夫婦……じゃない、恋人な二人を少しお見せできたらと思います。そもそもあんだけ苦労して創り上げた世界でこの世界発の問題起きて士道と狂三が出張って解決とか台無しだしね!!

そんなわけでして、基本的に平和な時空なのでのんびり、本当にのんびりな進行となります。日常、残された過去、未零のこれから、などなどを長い目で期待しすぎないくらいで見守っていただけると幸いです。
めちゃくちゃ予防線を貼っている理由?評価と感想が想像の10倍は飛んできたからですね。一週間は嬉しさで悶えてたんですけど、そこからこの章面白いんか……?って内側のネガティブが囁いて来て大変でした。結局、私のモットー『私は私に書けるものしか書けない』を発動させて書き進める他ないですね。

改めまして数多くの感想、評価、お気に入り本当にありがとうございます。完結させることの重大さを読者として知っていたつもりなのですが、作者としてこれほど評価をいただけるとは夢にも思いませんでした。一気に読み進めた、といった声もあり最高に嬉しかったです。
本編完結後ということもあり、残すはこの章、士道と狂三を再びメインに据えたif、そして最後に一つの構想を残すのみとなりましたが、最後までお付き合いいただければ幸いです。あ、評価はこれからもめちゃくちゃ待ってます!私、信条、ブレない。

それでは、争いが起こり得るはずのない平和な世界で、果たして何が到来するのか……そして、村雨未零は心の迷いを振り切ることができるのか。創り変えられた世界で、己の意味を探す少女の物語を――――どうかよしなに。

感想、評価、お気に入りなどなどお待ちしておりますー。あ、更新ペースはいつも通りです。では、次回をお楽しみに!!
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