デート・ア・ライブ 狂三リビルド   作:いかじゅん

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 未零に未来を予知する力はないが、〝予測〟をすることはできる。というより、そういう〝予測〟は人の思考を持つ者であれば誰もが持ち得る未来予測だ。そもそも、零からの未知という意味を授けられた未零が未来予知の力を持つなど、台無しにもほどがあるため提案されたところで願い下げだが。

 

「……はぁ」

 

 まあ、とにかく未零にはこの状況(・・・・)を予測できていたわけである。ここで未零が言いたいことは、予測できたからと言って必ずしも対処ができるわけではない、ということ。現状、未零が抱える問題の一つがそうであるように。

 阿鼻叫喚、地獄絵図。死屍累々、はまた少し違い、恐らくは未零が訪れなければ発生する未来であろうか。

 兎にも角にも、風貌は二十歳ほどの機能性以外女性としてのあらゆる尊厳を捨て去ったような彼女を見ながら、未零は作業台(・・・)の汚れを拭き取りながら救いの手を差し伸べた。

 

「――――――あと何時間です?」

 

「七時間でぇぇぇぇぇぇぇぇす助けてれーちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 

 ということは、夕方頃がデッドゾーンかとあごに手を当て作業の計算に入る。

 一息で叫び切る辺りはまだまだ余裕そうだなと、プロの漫画家にして絶賛〝修羅場〟という体験をしている本条二亜へ向かって、半目になって冷たい目線を投げかけた。

 

「……以前の修羅場から感じたのですが、もしや二亜の思考には〝計画性〟の文字が存在しないのです?」

 

「そこまではあるって思っててくれたんだ!? ――――いや、はいすいません。その節は本当に申し訳ありませんでした……」

 

「……できれば、これからはあってほしいものですね」

 

 ないとは思うが、と会話をしながら必死に手を動かす二亜を見て、人間無理なものは無理だろうと未零は既に諦観の念を覚えていた。ジェットコースターばりに緩急の凄まじいスケジュールを少し控えるだけで、こういった二亜の作業環境は比較的マシになると思うのだが、前述の通り不可能なことを可能にすることは困難というもの。

 締切のデッドラインで苦労をするのは二亜だけではない――――――のは、未零にとっては関係のないことだと割り切らせてもらう。心配になるのは二亜自身のことだと渋面を作る。

 

「……こんな生活して、身体を壊して誰かを泣かせても知りませんよ。私だってこうして助けに来られる時が常にある、というわけではないんですから」

 

「うう、すいません……けど、助けに来てくれる前提なのはお姉さん感激だよぉ。まあ前半はちょっとブーメランな気もして――――あいたー!!」

 

 瞬間、スパーン! と一瞬手を止めた二亜の頭をハリセンが直撃した。無論、それは間違っても未零の手によるものではない。

 可愛らしい少女が、黒縁の眼鏡をかけ『制作進行監督役』と書かれた腕章を身に着け、可愛らしさとは裏腹に厳しい顔で二亜へ叱りを飛ばした。

 

「手が止まっています。未零の優しさに漬け込んで仕事を増やさせず、さっさと作業に戻ってください」

 

「はいはい」

 

「〝はい〟は一回」

 

「はーい……くっ、修羅場とはいえロボ子を軽率に雇った己が恨めしい」

 

 ぐぬぬ、と呻きながら少女の感じを受けてペン入れに戻る二亜。少女は未零が訪れるより先に、二亜を監視する役割――先日逃避した前科からか――を担うために雇われたのだろう。

 ――――少女、と一括りにするには少々と複雑な人物だが。彼女は未零にも視線を向け、ぺこりと頭を下げた。

 

「そういうわけで、このズボラな作家に力を貸していただき私が代わって礼を送らせていただきます。――――――ちなみに、特別時給は私と同じ手当てですよ」

 

 瞬時に悪い顔を作れる辺り、そのボディ(・・・)の優秀さがわかるものだろう。

 そう。何を隠そう、彼女は人間ではない。インターフェースボディを得た〈フラクシナス〉の中核を担うシステムAI『MARIA』――――――少女の正体はマリアであったのだ。

 因んでおくと、〈フラクシナス〉に出入りする未零にとっては見慣れた光景であり、特に驚きもなく会話のパスを受け取り、返すことができた。

 

「……特別こだわりがないので、私は遠慮してもいいんですけれど。バイクの礼もありますし」

 

 別段、現金に対してこだわりがあるわけではなく、まして困っているわけでもない未零には心は揺れないことだ。ヘルプで入る程度、それで二亜が助かるというのなら構わないと思っている。

 しかし、未零の対応に異を唱え叫びを上げたのは他でもないその二亜だった。

 

「駄目に決まってるでしょ! いいかねれーちゃん、そういうことをしてるといつか悪い大人に騙されちゃうんだから、働いた報酬はきっちり受け取ること!!」

 

「……ん。それはそうかもですけれど、冷静に考えて時給二万は――――――」

 

「皆まで言うな! れーちゃんの生活面はあたしに任せときんさい!!」

 

「…………」

 

 だから、別に困ってはいないのだが。修羅場でおかしくなったテンションなのか、話の通じない二亜を指差して現場監督のマリアを見てみたものの、とても良い笑顔をしていた――――――次辺りの修羅場、無数のインターフェースボディで毟り取るだけ毟る気だなと気づき、ぽりぽりと頬をかいて曖昧な表情を返した。

 二亜がその場のノリでも納得しているなら、未零としては手助けのしようがない。仕方なしに、もう一人部屋でどことなく涙目で作業をする女性の姿を視界に収めた。

 目を引く淡い色の金髪。似合わぬ黒のジャージ。彼女の風貌は、嫌というほどに見覚えがあった。

 

「な……なぜ私がこのようなことを……」

 

「……で、なぜ彼女がいるんです?」

 

 エレン。エレン・ミラ・メイザース。『以前の世界』では士道たちと敵対したDEMの魔術師(ウィザード)にして、数少ないオリジナルの魔術師(メイガス)、その生き残り。あの男の右腕――――――現職、〈ラタトスク〉の機関員であるエレンの威圧感の見られない姿がそこにはあった。

 身体中が悲鳴を上げているのか、凄まじい倦怠感を覚えさせる表情をしている。だというのに、決して作業の手を止めないのは彼女の性根を何となく感じさせるものだった。

 

「やー、なっつんはタイミングが悪くて捕まらなくて、人手が足りないーって言ったらついでに派遣されてきた。正直、想像以上に何も出来なくてあたしが泣きそうになってる」

 

 ……それに力量がついていっているかは、察するに容易いというものだろう――――――しかし、

 

「……いいんです?」

 

「うんにゃ、よくないからこき使ってる――――――こっちのエレンに罪はないのに、あたしってば悪よのぅ」

 

 集中するエレンに聞こえない程度に、未零へ向けてわざとらしい笑いを返す二亜。それに対し未零は、思考の中にある言葉ではなく、彼女の望む納得を返すことにした。

 

 

「――――――そうですか。わかりました(・・・・・・)

 

 

 二亜がそれで納得しているなら、構わない。二亜がそれで納得しろ(・・・・)と言ってくれるのなら、それもまた是だ。

 本条二亜が望むのなら……『以前の世界』で徹底的な〝報復〟を望んでいたのなら――――――エレンは今、ここにはいないのだろうから。

 特に表情に載せた返し方ではなかったが、二亜はフッと優しげな微笑みを零して、そうして目の前の原稿(きょうてき)へ向き直った。

 

「よし――――――さあ、あたしたちの原稿(デート)を始めようぜ」

 

「格好をつけたところで、怠慢の結果には変わりありませんよ」

 

「ぎゃふん」

 

 まあ、キメ顔はギャフンと言わされ一秒ともたない楽しい現場だと未零は苦笑し、己の仕事に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、お疲れ様でしたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「……思ったより早く終わりましたね」

 

 時計を見遣れば、所要時間は五時間といったところ。切羽詰まった状況の割には、それなりに余裕をもたせることができた、というところであろう。……これを繰り返してしまえば話は別になるのだが。とはいえ、脱稿のテンションで冷却シートをゴミ箱に「超銀河フィニィィィィィィイッシュ!!」などと叫びながら叩き込んでいる二亜に、忠告をしても徒労に終わるのは予想に容易いというもの。

 

「お疲れ様、とは言っておきます。しかし、未零の言う通り彼女がいつも助けられるとは思わないことです。――――ちなみに、代わりに令音を引き抜こうとした場合、火葬が死因になることをお忘れなく」

 

「……」

 

 死んでからではなく、死因そのものが火葬なのは些か無理があるのではないか。そんな困惑顔の未零に何かしらのフォローを入れてくれる人は、あいにくこの場にはいないようだった。

 腕章をと眼鏡を外したマリアは「では、私はこれで。報酬は月末までに口座へ」とクールに去っていった。その顔は『次も必ず呼ばれる』という確信に満ち満ちていた、ような気がした。

 二亜は前述の通りテンションが破壊されて数分は戻りそうにないし、エレンはといえば、

 

「――――――ぐぅ」

 

 返事はある。ただの寝息のようだ。終わった瞬間、死んだように倒れ込んで、死んだように眠ってしまっていた。どうやら、もやし(・・・)と呼ばれる彼女の肉体は、とうに限界を迎えていたようだ。

 これがかの人類最強なのかと思う面と、小学生にも劣る体力にしてはよく保った方か、と二つの相反する思考に自然とため息が零れた。

 

「……はぁ」

 

 もう一つため息。そうしてから、未零はエレンを抱きかかえて(・・・・・・・・・・)、備え付けられた仮眠室にきちんと寝かしつける。一応、女性として最低限の身嗜みを整え、毛布を掛けてから作業場に戻った。機能性が充実していることから、特に体調を損なうということはないだろう。

 ついでに荒れた部屋の掃除をするために崩れた髪を再び纏めあげようとして、誰かの視線が向けられていることに気づく。マリアは帰宅し、エレンは熟睡。該当者は、微笑ましいものを見るような顔をした本条二亜しかいない。

 

「……何か?」

 

 訝しげに視線を向け直すと「んーん」と何もない返事が返ってくるが、その表情は正しく何かがあるといったもので、当然のように二亜は言葉を連ねた。

 

「キミ、ホントに人がいいなぁって。エレンのこと、正直好んでないでしょ?」

 

「……私自身は否定も肯定もしません。私にとってあの人は、関わりのない他人(・・・・・・・・)です。令音やあなたが受け入れるというのなら、私はそれを否定しない。……それだけのことですから」

 

 そう、他人(・・)だ。知り合いの知り合い。恩人の身内。『以前の世界』の悪逆非道を、『この世界』のエレンが背負う理由はない。彼女は、その罪を知らないのだから――――恐らくは、だけれど。

 だから、未零は『この世界』のエレンを嫌うことはないし、かといって好く理由もない。仮に令音や二亜がエレンを排除したい、というのなら未零はその憎悪を否定する謂れはない。だが望まれなかった以上、エレンに対して個人的感情は存在しなかった。それだけの話だ――――――人がいいなどと、そんなわけはない。村雨未零は、あくまで大切な人たちの世界を大切にするだけなのだから。

 あくまで無関心(・・・)を貫き、作業の後片付けを続ける未零に、二亜は苦笑を交えて返してくる。

 

「れーちゃんらしい割り切り方だなぁ。あたしの選択一つってのは、試されてるみたいで悪い気はしないけど――――――あ、そうだそうだ。この後、時間があれば付き合ってほしいところがあるんだけど」

 

「構いませんよ」

 

 即答で返し、荒れ果てた作業場と言う名の戦場跡地の整理整頓を続けていると、今度は何とも言えない視線が注がれていた。さっきから何なのだろうか、と不満になる受け答えをしたつもりはない未零は小首を傾げて何度目かの同じ言葉を返した。

 

「…………何か?」

 

「いやさ。気持ちよく答えてもらえて嬉しいんだけど、れーちゃんに誘いに対する否定という概念はないの?」

 

「……そりゃあ、ありますよ。それを引き受けることが二亜に対する不都合(・・・)になるなら、私は安易に引き受けたりしません」

 

 それでも、なるべく引き受けるだけの何かを捻出する努力はしてみせるだろうが。未零の拒否は、どちらかといえば拒否された(・・・)側の事情が重要になってくるであろう。

 そう返すと、二亜は視線と同様に何とも言えない顔で声を発した。

 

「それは実質、あたしらの頼み事を断らないってことじゃないかにゃあ……」

 

「……そうとも言い換えられますね。私は気にしませんから、ご安心を」

 

「そのうち誰か(・・)が気にすると思うけどねぇ――――――じゃ、ちょっと付き合ってちょうだいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一定の身嗜みを整えて、未零は二亜が運転する車(・・・・・・・・)の助手席に座り、高速で流れる景色を眺めながら声を発した。

 

「……車の免許。持ってたんですね」

 

「こんな言葉を知ってるかい、れーちゃん。証拠に成り下がった資格は――――――」

 

「……それ、前に使ったんですよね」

 

「なぬぅ!? ぐぬぬ、二亜ちゃんとあろうものが完全ネタ被りをしてしまうとは……」

 

 ハンドルを握ると途端、二亜が別人に見えたのだが、悔しがる結局中身は漫画家の二亜らしい――――――そう外面で思わせて、〝大人〟な一面を覗かせるのが本条二亜の本質なのかもしれない。

 悔しがる顔を器用に引っ込め、二亜は改めて話を自身の免許へ戻した。

 

「免許証もちゃんと更新してきたし、そこは安心してくれていいよ」

 

「……ん、常識なのでは?」

 

「そう言ってくれないでよぅ。『この世界』だとどうなってるかとか、思い返すまで時間かかっちゃってさぁ」

 

 困ったように笑みを浮かべた二亜は、比較的安全運転を心がけながら――曰く、何かあったらくるみんに殺されると呟いていた――言葉を続けた。

 

「まあでも、『前の世界』だったら間違いなく免許失効してたし、そこはラッキーだったかなぁ。監禁五年(・・・・)はさすがにねぇ」

 

「……無免許運転にならず、安心しましたよ」

 

 無免許運転で警察に捕まる人気漫画家……なかなか、面白くない光景だ。無難な答えを返しながら、未零も言葉を重ねる。

 

「……変わったんですね」

 

「んー、あの二人、変えない理由がないところは徹底的にやったっぽいよねぇ。ま、あたしが少年たちと出会う過去をなくさない程度に――――――あたしたちの知人も含めて、だとは思うけど」

 

 その考察は間違っていないのだろうな、と未零は二亜と同意見で結論を出していた。

 

「我が儘だよねぇ。都合のいい選択を残しながら、あたしらが出会ったこと、大事なことや人は何一つ取りこぼしたくない、なんて。それくらいの覚悟がなきゃ、こんな大それたことできやしなかったろうけどね」

 

「……それがたった一人、大事な人を手に入れるためだって言うんですから、独裁者の論理も突き抜けていますよ」

 

 無論、未零はそれを批判するつもりなど一切ないけれど。けたけたと笑う二亜だってそうだろう。自分たちは――――――否、精霊たちはあの二人の答えに賛同した共犯者なのだから。

 

「にゃははは、言うねぇれーちゃん。そんな独裁者のくせに、あたしらの人生はきっちりあたしらに選ばせるんだからちゃっかりしてるよねぇ――――――あたしも、似合わず前に進もうかなって考えちゃうわけだ」

 

「っ……」

 

 ――――――〝何か〟を成そうとする意志。それはひたすらに人を成長させる。

 もちろん、失敗することはあるだろう。語り部の二亜とて、その道で知らぬ者はいない漫画家。しかし、精霊として生まれ変わる前に本条二亜という少女は――――――だけど絶望を超えて、二亜もまた成長しようとしている。

 誰もがそうだ。この創り変えられた世界で。優しい世界で、そのことに胡座をかくことなく、誰一人として挫けることなく。真っ直ぐに、眩しく、輝かしく、愛おしさを以て。

 

「……私も」

 

 ぽつりと、零れた。私〝は〟ではなく、私〝も〟と。

 自らの願いを定めた村雨未零は――――――成長という名の先へ、進むことができているのだろうか。

 出来ているなら喜ばしいと、仄かな未零の微笑みを乗せて二亜の駆る車は目的地まで迫ろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それで」

 

 なすがままに着いてきてから問いかけるのも何なのだが、とは思いながらその口は止まることなく言葉を紡いで行った。

 

「――――――どうして、プールなんです?」

 

 自らの困惑も、水の中でぷかぷかと浮いた状態では色々と台無しだなぁ、なんて考えの未零に、完全にだらけながら身体を浮き上がらせる二亜はグッと親指を立てて応えた。

 

「最近熱いから、打ち上げにはプールかながぼかぼがぼ……」

 

「……意味がわかりませんし、仕事疲れて溺れてるじゃあないですか」

 

 世話が焼けると疲労で沈む二亜を未零は素早く引っ張りあげる。遊びに来てまで大掛かりな人命救助はごめんである。

 引っ張りあげられた二亜は「やーごめんごめん」と言いながら放ってあった浮き輪を引き連れ、今度はそれに挟まるようにぷかぷかと浮き上がる。反省しているようで反省していないし、施設内であっても自由だなと息を吐く。

 

 というのも、未零が二亜に連れられて訪れたのはホテル《・・・》内のフィットネスプールなのだ。

 屋内プール内にはオシャレなカフェまで兼ね備えられており、説明を受けずともわかる超高級な公共施設。まあそれは、ここへ通された時の道なりで嫌というほど理解できていたことだが。

 そのことを考慮に入れ、さらに二亜が初めて訪れたわけではないところを見るに――――――ふむ、と未零は濡れ手をあごに当て声を発した。

 

「……もしかして、さっきの車と同じで、担がれた(・・・・)んです?」

 

「――――――」

 

 答えはなかったが、顔を上げた二亜のニヒルな笑みが答えの代わりだったのだろう。未零が返したのは尊敬より呆れだったけれど。

 ここに来るまで乗ってきた車は、到底普通の稼ぎでは買えない、維持できないような高級車だった。加え、このホテル施設の会員証を二亜が好んで作ったとは思えない。

 ……酒の勢い、あるいは噂程度に聞いた『出版社はヒットを打つと煽てて大きな買い物をさせる』に該当するとしか考えられなかった。二亜が否定をせず決め顔で誤魔化しているところを見るに、両方ともという可能性が濃厚なのだろう。お調子者の二亜らしいと言えば、二亜らしいか。

 

「まーまー、いいじゃないいいじゃない。こうして落ち着けるわけだし。それにぃ……」

 

 にやぁ、という擬音が漫画なら間違いなく表現として書かれるであろう笑みを浮かべた二亜に、未零は思わず悪寒を感じ胸を手で隠した(・・・・・・・)

 プール。それは当然、未零の持ち込んだ私服では入ることはできない。いや、カフェであればそれも叶ったのかもしれないが、二亜はプール側に用事があるのだから未零もそれに付き合うわけで……流れに乗せられて、露出度が高いビキニを着せられてしまったというわけだ。なまじ二亜も揃い種類を選んでいるから、文句が付けられない辺りタチが悪い。

 

「お、いいねぇそのポーズ! えぇもん持ってますなぁお嬢さん、一枚いただき! ささ、もっと目線をこっちこっち!!」

 

「……オヤジですか、あなたは」

 

 いつの間にか防水処理が施された資料用のカメラを構えた二亜に、目線ついでに咎めるようなものを送った。

 

「あぁ!! その蔑むような視線、いい! 癖になっちゃう!!」

 

「…………」

 

 もしかすると、二亜は無敵の人なのではないか。何をしても堪えることがなさそうな――――或いは、後悔しても三歩歩けば忘れるのではないか、という未零の疑問を他所に二亜は流暢な会話のテンポを外さない。

 

「やー、さすがにれーにゃんだと妹ちゃんに焼かれそうだから、れーちゃんが協力してくれると助かるよー。いやほんと……えぇもん、持ってるね」

 

 と思ったが、意外なところでダメージ判定が入っていたようだ。勝手に未零の胸に着目し、浮き輪を外して再び水の中に沈んでいった。なお、その茶番の間もカメラはしっかりと浮上させていた。

 確かに、姉譲りのプロポーションは自分自身で認めるところではある。褒められて嬉しいという気持ちにもなる。が、それを告げればよからぬ予定を企てる可能性があるので、二亜に言うつもりはない。

 

「……まったく、私だからいいですけど、これを他の精霊にしたらセクハラですからね」

 

「いやー、れーちゃんが相手でもセクハラだと思うよ?」

 

「……自覚はあるんじゃあないですか。まさか、この前の狂三にも――――――」

 

「ああ、あれは少年との共謀。参考資料三割、趣味七割」

 

「なお悪いです……!!」

 

 流れ弾で士道への信頼度が下げられた気がした。狂三をある意味で大事にしていると思えて、好感度は上がっていそうなのが困りものだった。そもそも『本条蒼二』の名義で出す雑誌類に必要な参考資料なのか、それは。

 様々な疑問と信頼度の揺れ幅に頭痛の種を増やしながら、悪びれない二亜に声を向けた。

 

「……というか、最初の質問の答えをもらっていないのですが」

 

 何だかんだと流されはしたが、二亜は『どうしてここへ連れてきたのか』という肝心なことへの回答を提示してはいない。偶然なのか、人の気配らしい気配もなく二人きり。精霊二人がわざわざこんな場所を選ぶなど何か話がある、と解釈をするのが普通だ。

 訝しげな未零に、二亜はなんてことがないふうに振る舞いながら言葉を返す。

 

「やー、一人じゃまったく行く気にならなくて、誰かと来たかったってのもあるけど――――――リラックスできるような環境の方が、れーちゃんも話しやすいかなって」

 

「……!!」

 

 二亜の言葉に眉を揺らし、未零はその意図を察した。同時に、たったそれだけのために連れ出した二亜の突飛な発想に苦笑してしまったが。

 普段の二亜とは違う顔は、優しげで真面目で――――――自身の将来という〝夢〟を叶えた人生の先輩がそこにいた。

 

「何を悩んでるかまではわからないけど……れーちゃんがれーちゃんらしく居ればいいさ。キミの中に答えは――――――」

 

「……それは、四糸乃とよしのんから言われました」

 

「…………」

 

 おや? といった顔で首を捻った二亜が、コホンと咳払いをしてから何事も無かったかのように話を続ける。

 

「ほらさ、あたしらのことばかりじゃなくて、もっと自分の欲を持ってその先へ――――――」

 

「……美九から。……そういえば、欲張れという意味では、昔の私が琴里から似たような指摘をされましたね」

 

 欲張ってこれだ、という答え自体は変わっていないが、その範囲は広がっているのだろうと思う。そして、欲の答えこそ、未零がすることが自分自身の幸せ(・・・・・・・)だと気づくことができた。

 

「…………か、身体を動かすと――――――」

 

「……夕弦と耶倶矢に誘われて」

 

「――――――全部じゃん! 全部先回りされてるじゃん!!」

 

 二亜の我慢ゲージが振り切れたのか、派手な水しぶきを上げながら水面にダイブした。律儀なのは、資料撮影用のカメラは空中へ放り投げているところか。しっかりカメラをキャッチし、ついでに水柱で濡れた髪を掻き上げる。……見るからになかなかの衝撃だったが、大丈夫なのだろうか。

 

「……いったぁい……」

 

 大丈夫ではなさそうだった。器用にも正面から飛び込み、腹部を強打して涙目になっている。まったくもって飽きがこない愉快な人である。

 とはいえ、未零の様子から何かを察知して、気を遣ってくれたのは間違いない。頬を緩め、未零は小さく頭を下げた。

 

「……ありがとうございます、二亜。あなたといると楽しく、退屈しません」

 

「このタイミングで言われると嬉しさが複雑だよ……ま、悩みが解決してるなら何よりだよ」

 

 全てが解決したのか、というと嘘になるけれど。そんな考えが曖昧な笑みとなって表へと出ていたのか、聡い二亜は眉根をぴくりと揺らして間延びした声で続けた。

 

「あー……まだ全部ってわけじゃなさそう?」

 

「……ええ。これから〝あの人〟の悩み(・・)をどう解決できるのかとか――――――〝私〟が叶える願いは、本当に〝私〟がしていいことなのか、なんて……」

 

 僅かな迷い。ほんの少しの躊躇い。目を伏せたくなるような、己の感情。それは精霊〈アンノウン〉の残り香であり、己を否定してきた少女のツケなのだろうか。

 自分自身を好きになることに――――――村雨未零にこれ以上の〝価値〟を付けることに、未零自身が恐れを抱いている。

 未零では、そこまでだ。どこまでいっても、未零という精霊は自己の価値を肯定しきる、信じきることができない。

 だから、

 

 

「――――――いいんじゃない。受け取れば(・・・・・)

 

 

 未零は未零を肯定する誰か(・・・・・・・・・)のことを、今は信じられる気がしたのだ。

 

 

「確かに、キミの愛は見返りを求めないものだった。でもね、たとえそれがキミ自身の願いだったとして――――――キミの心が見返りを求めることを、キミが止めちゃいけないとあたしは思うよ」

 

 

 未零が未零を否定しても、目の前で笑顔を見せてくれる人たちは、きっと村雨未零を心から肯定してくれる人たちだから。

 誰も彼もが、そうであったから。論拠の証明は行われ、故に己のために生み出された幸福の結果(・・・・・)を受け取ることができた。

 

「……あなたに、いえ――――――あなた方(・・・・)にそこまで言葉を重ねられれば、〝私〟もようやく納得ができた気がします。心からの感謝を」

 

 何に悩んでいるのかさえわからず、それを形にして、ずっと示されていた己の欲を自覚し、その背を押されてようやく未零は〝私〟の蟠りを呑み込むことができた。

 村雨未零は心から望む。その行為こそが未零の欲に他ならないのだと。その行為によって生まれる愛おしいものは、自らの〝価値〟を同時に肯定するものなのだと。

 

 

『――――いいんだよ、君は生きてて』

 

「……そうだよね、お義兄ちゃん(・・・・・・)

 

 

 去来する言霊を胸に当て、通ずる想いに耽るように目を閉じた。

 一緒にいたい。皆と、共の時間を歩みたい。そこに自分自身がいる必要があるのか――――――そうではない。未零がいたいと思ったから、未零がいることで未零の望みが叶う(・・・・・・・・・・・・・・・・)ことを望んだのだ。

 今になって、やっと己の中にある迷いを認識することができた。誰の影響か――――――あの『声』のせいで、久方ぶりに悩むということをしたせいかもしれない。もしくは、崇宮澪の窮愁(・・・・・・)が見えていたから、だろうか。

 どちらにせよ、今は、

 

「……さて――――――誰の入れ知恵です?」

 

「…………え゛?」

 

 少しばかり、答え合わせ(・・・・・)をしようではないか。

 変わらぬはずの微笑みで二亜へ声をかけると、彼女は露骨に動揺して上擦った声を上げる。

 

「……そりゃあ、わからないはずがないでしょう。私の感情表現、万由里にも太鼓判を押されるくらい乏しいそうですよ?」

 

「そっかー、あたしの察しが素晴らしいってことだねぇ。アッハッハッハッハッ」

 

「……〝私〟自身の悩み、先日の時点でほぼ解決していたので、感情表現で悟られるはずがないんですよねぇ」

 

 二亜は悩みを解決できるかもしれないとここへ連れてきたのだろうが、仮に悟られていたとして解決済み(・・・・)の案件を察するのは時間がズレすぎている。これが美九の前であれば、二亜の行動は自然さを保つことができたであろう。が、美九との対話を終えた未零が相手では不自然さが先行してしまった。

 八舞姉妹にはシラを切り通されたが、ボロを出した二亜を逃がすつもりはない。笑いながらさり気なく水の流れに乗る二亜の捕まえて、しっかりと両の頬を手で挟んで正面から向き合わせた。

 

「……二ー亜ー」

 

「も、もーくーひーけーんー」

 

「……」

 

 ここで『次は手伝いませんよ』と脅し文句を入れれば陥落する気はしたが、脅しとしては手段が卑怯であるし、未零を思っての行動は本当のこと。それは些かはばかられた。

 こういう時は、素直な引っ掛け(・・・・)が一番だろうと、未零はわざと息を吐いてある人物の名を挙げた。

 

「……士道ですか。まったく、あの人は……」

 

「へ、なんでわかっ――――――」

 

 かかった。確信を以て未零が目を細めれば、二亜はあからさまに『あ、やっべ』という表情で目を逸らし始める。駆け引きが得意な二亜にしては珍しい失策だったが、内心の警戒が強い人ほど軽い引っ掛けにはかかるものだ。

 まあ、一概に二亜が悪いというわけではない。未零を案じて誰かに相談をする候補らしい候補など、現状では限られている。それでいて、二亜が悩みを見抜いて「まーまー打ち明けてみなさいって。おねーさんに任せんさい!」などと大見得を切る可能性があるのは、まず間違いなく士道だった。

 相変わらず、何があっても放って置くことをしないお人好し具合を思い知り、二亜の頬から手を離して呆れ気味な声音を発する。

 

「……私に構う必要はないでしょうに」

 

「卑屈なところは治ってないねぇ……まーそう言うなってれーちゃんや。少年だって心配なんだよ。れーちゃんが無理してないか、って」

 

「……どの口が。だから相談なんかできない(・・・・・・・・・)んですよ。……今の、あの人たちには」

 

 それもわざわざ、未零が懸念した何の根拠もない不安のために、だ。そんなことができるわけがない。

 これが仮に未零自身の問題だけなら、未零とて避けることはなかった。しかし、万が一にもあの二人を動かす事態が訪れる〝可能性〟があるなら、未零は極力避ける方針を取らざるを得ない。

 ――――あの二人が得た力とは、そういうものなのだから。

 そう言った未零を見て、何かしらの確信を得たように二亜は鋭く目を細めた(・・・・・・・・・・)

 

「それ――――――あたしが視た変な夢(・・・)と、最近のれーちゃんの行動に関係あったりする?」

 

「――――っ」

 

 まさか、ど真ん中(・・・・)を二亜から撃ち抜いてくるとは思ってもみなかった。瞳孔を僅かに見開き、さしもの未零も二亜の真剣な面持ちに息を呑む。

 適温で保たれた水気が、身体を急速に冷やすような感覚が襲う。見つけたくはなかった――――――二人目が見つかった。

 

「……お聞きします。それは覚えていましたか? それとも、思い出しましたか(・・・・・・・・)?」

 

「後者、かな。見た日にゃあ飛び起きたってもんだけど、不思議なことに何を見たのかさえ覚えてなかった。それが、れーちゃんと会ってから思い出していった。――――――ありがた迷惑でここまでしてくれたら、ただの夢じゃないってのはあたしの中の直感が悟ってくれるさね」

 

 やはり、折紙と同じ。否、二亜のそれは折紙よりも確信という形を得たものだと、二亜のいつになく真に迫る表情から推測ができた。

 隠し立ては必要ない。冷えた息を吸い込み、熱を持つ胸に水で冷やした手を押し当て、声を発した。

 

 

「……もう一つ――――――その夢は、『獣』に襲われる夢でしたか?」

 

「――――――ビンゴ。まさにって感じだよ」

 

 

 未零が受け取った夢と乖離した『獣』の夢。折紙が見たそれは、折紙を『獣』の〝爪〟が切り裂く悪夢だったという。ならば、二亜も同じであろう。それを示すかのように、二亜はあえて平坦な声音を保ち続ける。

 

「悪夢にしちゃあリアリティがありすぎだったねぇ。もっと早くに知れたら、あの感覚(・・・・)を漫画に取り入れられたのに、とか考えるくらいには」

 

「…………二亜」

 

「ん、ごめんごめん。キミにする話題じゃなかった。――――――けど、あたし(本条二亜)が体験したもの。そう誤解してもおかしくないくらい、あの夢が現実と見間違いそうになった。今にして思えば、だけどね」

 

 負の想像は、未零にとって不快感を顕にする結果を予測させる。謝罪を口にしながら肩を竦めた二亜は、なおも言葉を連ねた。思わず、未零が眉根を動かし意外な反応を示すような言葉を。

 

「でもねぇ……夢のあたしに、殺されそうなあたし(・・・・・・・・・)に、恐怖も怒りもなかった(・・・・・・・・・・)

 

「……え?」

 

「……そんな気がするだけだけどね。あったのは後悔とか、疑問とか――――――憐れみ。憐憫(・・)、かな。とにかく、あの『獣』を恨む気持ちを、あのあたしは持ってなかったんだよねぇ」

 

殺される(・・・・)ことへの恨みつらみではなく、殺してくる相手への憐れみ(・・・・・・・)。恐ろしく不可解であり、事情がわからなければ理解し難い感情だろう。

 すると、ここまで真剣な面持ちだった二亜がフッと表情を明るくした。

 

「ま、所詮はただの夢だし、あたしの妄想を真面目に受け取る必要ないっしょ――――――って、れーちゃんが知らなかったら言うつもりだったんだけどねぇ」

 

「……ええ。二亜、申し訳ありませんが――――――」

 

「わかってる。皆まで言うなってね――――――」

 

 返し、水滴を零す手を二亜が掲げ、滴る水が光によって弾け飛ぶ。

 

 

「――――〈囁告篇帙(ラジエル)〉」

 

 

 本と呼ぶには、あまりに荘厳である。神の御使い、その名に相応しき権能を振るう天使――――全知の天使〈囁告篇帙(ラジエル)

 そう。情報という絶対の知恵において、全知の力を持つ天使。幸運、というべきなのか。未零が警戒を強めざるを得ない二人目が、かの天使を持つ二亜であったのだ。

 〈囁告篇帙(ラジエル)〉はこの『世界』の知識。それを主へと伝え得るもの。理屈などなく、天使とは不条理の上に成り立つ結果をもたらす力(・・・・・・・)

 かつて〈囁告篇帙(ラジエル)〉の絶対的な権能を手にしていたが故に、その不条理であり書の天使が持つ『識る』という権能が機能しないことはまず有り得ない。

 

「っ――――?」

 

 その不条理を、異なる条理を以て(・・・・・・・・)覆すことがなければ。

 光り輝く紙面に触れた二亜が、見たことのない不可解な表情で動揺を見せた。まさか、と未零は心臓の鼓動の早鳴りを抑え、声をかける。

 

「……二亜、〈囁告篇帙(ラジエル)〉は……」

 

「…………いや、これは参った。安心して、機能はしてる。あたしが見たものは予知夢じゃない、ってことも理解できる――――――でも、それ以上は〈囁告篇帙(ラジエル)〉には載ってない(・・・・・)

 

 奇妙で、言い得て妙な言い回しだ。しかし、未零には理解できた。即座に二亜の知り得た情報、そうでないものを理解して返す。

 

 

「――――――この世界(・・・・)の中に、私たちが望む情報が存在しない。ということです?」

 

 

 つまり、『この世界』にその『夢』の原因、繋がり合う知識が存在しない(・・・・・)

 未零の言葉を、二亜がうなずき言葉として返す。

 

「概ね、その解釈で間違いないかな。れーちゃんやれーにゃんみたいな特例でもなく、知識が存在しない(・・・・・・・・)んだよね。言い換えれば、因果がこの世界にない、かな――――――変な話だよね。だったら、あたしが視た夢はどこが原因なのさ(・・・・・・・・)

 

 原因がなければ、結果は起こり得ない。結果だけをもたらす力は、因果を歪めるものだ。

 〈囁告篇帙(ラジエル)〉の知識にはない。だが、こちら側で引き起こされた事象。致命的なまでに、その理論は矛盾していた。

 

「で……ついでにそうなった原因(・・・・・・・)についても探ってみたんだけど、難しい答えを返してきてくれたよ。翻訳するのはあたしだってのに、優しくない天使様だこと」

 

「……結果は?」

 

 難しかろうと、それは知らねばならぬことだ。急かすように促す未零に、二亜は唇を固く結び直し、それから重苦しく口を開いた。

 

 

「――――――どこかの〝何か〟と、繋がりかけてる(・・・・)。言葉にしたら、そうなるかな」

 

 

 繋がりかけた〝何か〟――――――繋がりかけた、世界(・・)

 

 

『――――――とどけて』

 

 

 理解が追いつき始めた。理屈的思考ではなく、同一存在の干渉(・・・・・・・)として。

 

「……二亜。私の情報を全て渡します。それを琴里へ伝えてくれますか? 令音が一緒にいるのであれば、話は通しやすいはずです」

 

「おっけー。……ちなみにれーちゃん、何する気? まさか、こっちと繋げる(・・・)の?」

 

 繋げる。そう、知識が僅かに零れ落ちた現状は、繋ぎ(・・)さえすれば全てが明かされるのであろう。そして、解決策(・・・)も同時に提示されるはずだ。

 この世界にはそれだけの力が揃い、それだけの〝歪み〟がある。予感ではあるが、この問題はこちら側に出てきさえすれば問題にはならない(・・・・・・・・)のだ。

 

 

「いいえ――――――()、ですよ」

 

 

 それ故に――――――村雨未零は、彼女の望みを叶える(・・・・・・・・・)ため、力を尽くすのみなのだ。

 

 

 






人間関係据え置きのスーパー仕様。美九の過去などはどうでしょうね。想像におまかせしますが、相手方は顔面が凹むくらいで済んでればいいですね、なんてね。

さあエンジンに火をつけて。ここから終盤戦、一気に行きます。未零が振り切れたからこそここから。ところで――――この章のタイトルはなーんだ?

感想、評価、お気に入りなどなどお待ちしておりますー。次回をお楽しみに!!
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