市街地でフェイスたちがジーンと戦っている頃、ヴァルム皇宮西の庭園では。
「おらぁ」
ズガン!
「ぐぁ……こんなガキに…」
ルッツの最後の一撃を受けて兵士が倒れる。
「アルバレアの猛獣め!」
敵兵の槍が化身したベルモットを襲うも。
「……ふっ」
ヒョイ。
彼女は軽々と避ける。
ズガン!
「ぎああ!」
「くそっ! 囲め、囲め」
仲間が倒されたのを受けて他の兵士が一番厄介そうなベルモットを囲むも、
ズガン!
「ぐぇ」
「俺たちもいるんだよな。まぁ隙ができて助かるからよそ見してくれて構わないが」
ベルモット扮する大兎に気を取られていたヴァルム兵をアカネイア兵が攻撃する。
「くそ……卑怯なアルバレアの兵どもが!」
未だ皇帝を暗殺しようとしたのがアルバレアの手のものだと思っているため今戦っている軍がアルバレア兵だと思っているヴァルム兵は敵をそう罵倒する。
「お前らに言われたくねえな……アルバレアの王子の隙を狙って殺そうとした偽帝の軍が!」
「偽帝……アルバレア王子を暗殺だの訳の分からぬことに続いてそんな不敬をぬかしやがって…やっちまえ!」
オオオオオオ!
「行くぞお前ら……王子お付きの嬢ちゃん抜きでこいつらを蹴散らしてアカネイア再興の足掛かりにするぞ!」
オオオオオオ!
両軍は激突する。
両陣営の首脳を暗殺しようとした犯人を知るルッツとベルモットは複雑そうな顔を見せながらも今それを触れ回るわけにはいかない。二人もアカネイア兵として戦いに混じる。
カイルは軍将校の意見に従って後方で戦いを見守っていた。彼の周りには数人の兵士が護衛や命令を各部隊に伝えるための伝令として控えている。
両軍とも相手の方が暗殺を仕掛けてきたと思っている。不毛な戦いだ。この戦いも教団によって仕組まれたこと。この大陸も滅ぼすためなのかそれとも別の理由があってヴァルム大陸の各国を疲弊させたいのかわからないが。
(まずい。戦況が泥沼に入ってきた。まだヴァルム軍は皇宮内と帝都北に多くの予備兵力を残しているだろう。彼らを投入されたらヴァルム側に優位が戻ってしまう。そうなる前に皇帝を囲んで投降を促す予定だったのに)
そんなカイルの心のうちを見透かしたようにある人物が戦場にやってくる。
ヒィィィン!
「あ……あいつは!」
「ヴァルムの偽帝?」
馬に騎乗したヴァルム皇帝ファルスが現れアカネイア兵がどよめく。
「陛下! まだ戦いは終わっておりません。皇宮内にお戻りを!」
ヴァルム兵も懸命にファルスに呼びかける。
だがファルスはどちらの声にも耳を貸さずカイルを一瞥しながら愛馬を走らせアカネイア兵とヴァルム兵が交戦する戦線の手前で止まる。
命令されたわけでもないのに両軍はどちらからともなく戦闘を止めた。
「アカネイア王子カイルに告げる。投降せよ! たった今北の砦に待機していた約28万の軍が帝都に到着した。アルバレアとソンシンと合流したとてうぬらに勝ち目はない。1度だけ生き延びる機会をやろうではないか。繰り返す投降せよ!」
「なっ?」「28万?」
兵士がうろたえる。無理もない。
今のアルバレア軍は滝での敗戦で15万まで減った。アカネイア軍5000と特異な技を持って戦いづらいとはいえ100のソンシン兵を合わせてもとても太刀打ちできない。
対してヴァルム軍は平原から後退しながらも兵力20万以上を維持してきた。そのうえ北から28万以上の増援がやってきたと言うのだ。イストリア軍は間に合わなかったか。
アカネイア兵の戦意は見るからに落ちた。このままでは独断で投降しようとする者も出てくるだろう。
「皇帝……」
カイルは側近の制止も聞かず戦線の前まで走り、ファルスに告げる。
「ヴァルム皇帝ファルス殿……忠告感謝する……あなたの提案通り降伏する……ことはとてもできない」
「カイル王子……」
「カイル……」
「……」
アカネイア兵や彼らに混じってルッツとベルモットもカイルを見る。
カイルの返答を予想しながらもファルスは彼に問う。
「なぜだ? 我はうぬら…少なくとも王子を害する気はない。今後アカネイア各国への外交に貸しとして利用させてもらうだけだ。我らにかの大陸を侵略する気も余裕もない。向こうから恨まれ、戦いを挑まれても骨が折れるだけというものだ。正直この戦争の直後で疲弊した状態ではあの国々に勝てる見込みもないしな」
「…………皇帝、私たちは私たちの大陸を破滅させかけた竜、ギムレーとギムレーを操るラーズ教団を追ってこの大陸までやってきた。そのための協力をイストリア王、アルバレア王子はしてくださった。そんな彼らの国が滅ぼされるかもしれないところを私は黙ってみていられない」
カイルの物言いにファルスは苦笑し首を振る。
「それはそれは、ご立派なことだ。異大陸に連れてこられた挙句戦に付き合わされる兵にとっては迷惑なことだろうがな」
それに関しては返す言葉もない。そう思いながらカイルは兵に向かって言う。
「諸君……私個人の義憤に君たちを死地に巻き込んで済まないと思っている」
カイルは兵士たちに深々と頭を下げた。
「王子……そんな」
「顔を上げてください!」
カイルは頭を上げる。兵に言われたからではない。続けて言う言葉があったからだ。
「だがどうかいましばらく私に力を貸してほしい。この戦争で我らが虜囚となればもうあの竜を捜し出すことはできない。それどころかこの戦争を仕組んだ教団はこの戦いが終わり次第竜を使ってこの大陸と我らの大陸を滅ぼしに来るかもしれない。……この戦いはすでにヴァルム大陸の国々だけのものではない。アカネイア大陸の興亡までかかっているんだ!」
そこまで言ってカイルはアカネイアの兵を見回す。
中には教団が戦争を仕組んだと明かされて訝しる者もいる。だがこの戦争にアカネイア大陸の命運がかかっていることは誰もが理解できた。
そんな中アカネイアの王子の言葉に真っ先に答えたのは……。
「言われなくても俺はカイルに協力してやるぜ。それに俺は付き合わされたんじゃない。俺の方から志願してきたんだ。親父がうなるほどの大仕事を成し遂げにな!」
斧を背中に担いだルッツだった。
「私も自ら志願してきたクチだ。自由を取り戻したタグエルの平穏を脅かす竜、ギムレーを倒すまでは帰れと言われても応じるつもりはない」
「なっ? 猛獣が人間に!」
人間の姿になり言葉を発したベルモットにヴァルム兵はひるむ。
(ルッツ……ベルモット)
言葉に出さずカイルは声をあげてくれた者に感謝する。
「俺も王子についていくぞ……もう二度とあの竜に故郷を滅ぼされてたまるか!」
ある兵士が二人に続く。
「やってやろう。28万がなんだ。100万人が来たって投降してやるもんか!」
「カイル王子殿下万歳! アカネイア王国万歳!」
「聖王カイル万歳!」
カイルを称える声は続き、兵の中には彼を聖王と呼ぶ者までいる。隠れ里で共に暮らすわずかな手勢を率いて巨大なグランベル帝国に立ち向かったセリスと今のカイルを重ね合わせて。
20年前にアカネイア大陸に来たグランベル使節団の中には国交断絶してなおバーハラ公女だったユリナを慕ってユグドラル大陸に帰らず家族ともどもアカネイア大陸にとどまった者も少なからずいたと言うがこの兵士もユグドラル出身の一族の一人だったらしい。彼も聖王セリスの物語を知っている。
戦意を取り戻したアカネイア兵はファルスとヴァルム兵を見る。いつでも戦いを再開するという意思表示だ。
パチパチパチ!
誰かが拍手を鳴らした。アカネイア側からではない。ヴァルム側、それも――
「うぬらの大陸の命運か……確かにそれを出されたら我らに屈するわけにはいかんな。見直したぞアカネイア王子……いやカイル。さすがは次期国王だ。カーシャが慕うだけはある」
ファルスはこの場でただ一人カイルに拍手を送る。
「……」
カーシャの名を出されてカイルの眉間にしわが寄る。
「最初に降伏の機会は1度だけと言った。もううぬらの気が変わって投降を申し出ても聞かぬぞ。うぬらはここで死ぬ、いずこにいるカーシャも含めてな。……だがカイルの王としての資質と勇気に免じて代わりに別の機会をやろうではないか」
「機会?」
ブォン!
ファルスは剣を抜いた。
「その剣は!」
ファルスが抜いた剣を見てカイルは目をみはった。
「カイル! 我と一騎打ちの勝負をせよ。この勝負に勝てば我は死んで我が軍は士気を失いこの戦に勝てるやもしれん」
「……」
カイルは驚いたままだ。
「もちろんうぬが負ければ我は援軍を呼びうぬらを血祭りにあげる。どちらの約も破りようがなかろう。……どうだ?」
背後に圧倒的多数の援軍を控えながら自らの生死をかけた一騎打ちを仕掛ける。それだけでも十分驚きだが、カイルが驚いたのはそれだけではない。
ファルスが持っている剣はファルシオンの前の形状によく似ていた。前の剣と同じく柄の上部には赤い宝玉「竜玉」が埋め込まれている。
「…………いいだろう。この決闘受けて立とう」
一瞬罠かと思ったがファルスの性格では考えにくい。それに本当に30万近くの兵を新たに投入されればこの敵地で罠や伏兵を伏せることもできない自軍に勝機はないに等しい。
ヴァルム軍に唯一勝つ方法はこの一騎打ちでファルスに勝つことだ。それにカイルには自らファルスと戦う理由があった。
「そう言ってくれると思っていたぞ」
ファルスは満面の笑みを浮かべ馬から降りる。ファルスの馬は兵士の一人が手綱を持ち預かった。
「ルッツ!」
カイルはルッツを呼び盾を持たないファルスに合わせ封印の盾をルッツに預ける。
「カイル……勝てよ!」
「ああ」
ルッツの激励にカイルはうなずいて答えた。
二人は対峙し剣を構える。
決闘の前にカイルは思う。
(あの剣は……もしそうならチキに彼とは戦うなと言ったシスターの言葉の意味がわかるな)
ファルスもカイルの剣に考えを巡らせる。
(カイルの持つ剣……空洞がこの剣の宝石と同じ大きさか……刀身も我の剣に劣らぬ……いやこれ以上)
ジリ、ジリ、
両者とも間合いを詰める。
「はぁぁぁ!」
「ぬぉぉぉ!」
カイルとファルスは太刀を交える。
ギィイィン!
ガァァァン!
双方とも全力でぶつかるがどちらの刃も刃こぼれ一つしない。当然だ。どっちも竜王ナーガの牙で作られた剣……ファルシオンなのだから。
ガキィィィン!
鍔迫り合いの中カイルの意思に呼応してカイルのファルシオンの柄に蒼い宝石が現れ、剣が蒼く輝くがファルスは驚かずに話を始める。
「実はな……この決闘を申し入れたのは余裕から出た酔狂ではない」
「僕もだ。……自軍の勝利のためだけじゃない」
ギィィイン!
二人の声は同時に発した。
「カーシャの心を射止めたうぬを我自ら叩き斬ってやりたかったからだ!」
「カーシャを奪おうとしたお前をぶん殴ってやりたかったからだ!」
グワギィィィン!
ガゴォォォン!
ヴァルム東無人島。
この無人島ではヴァルム帝国の艦隊が2隻停泊していた。
艦からある兵士たちは島に上がり、ある兵士たちは船に残ってそれぞれ何人かは東の海を見張っていた。
東にあるアカネイア大陸からアカネイア本国やアカネイアと同盟関係にあるフェリア・ペレジアの軍がカイルたちの一団に援軍を送りはしないか監視するために。
ドォォォン!
だが彼らは東から来た船団のことを本国に報告することなく帰ってくることは無かった。
ガゴォオオオン!
ザシュ!
「くっ」
カイルの右腕を浅くファルスの剣が裂く。
「ちっ……もう少しで腕を落とせたものの」
そう言うファルスも腕の痺れをこらえながら剣を構え直す。
互いのファルシオンの性能は改良したうえ聖痕によって更なる力を引き出したカイルのファルシオンの方が上だ。だがファルスは物心ついたころからアルムに近づくべく修練を重ねた剣技によってその差を補って優位に立っていた。それでも剣が交差するたび自身の獲物以上に頑強な剣とぶつかる衝撃はファルスの腕にダメージを与えていた。
(傷一つ入らんな……あの剣もヴァルム製か?)
「はぁ!」
ファルスが腕の痺れをこらえてる隙を見てカイルは念を込める。
キュィィィン。
途端にカイルの腕は光に包まれ傷は跡形もなくなった。それでも封印の力を強化するため命のオーブの力のすべてを引き出せず他の傷は残ったままだが。
(ぐぬ……回復の力か。厄介な……剣だけに頼るのもそろそろ限界だな)
ファルスは歯噛みし、切り札としてとっておいた彼にとって忌まわしい力を使うことに決めた。
「はぁぁぁ」
ファルスはカイルにかかる。
ギィィインン!
「くっ」
二人は鍔迫り合いを再開する。
ザシュ!
「ぐお!」
今度相手の右腕を切り、制したのはカイルだ。
ファルスも腕を切り落とされることは無かったが、破壊力を増したファルシオンの威力でファルスの右腕を守っていたリヤーブレイスが砕ける。
「!?」
あらわになったファルスの右腕を見てカイルは目を剥く。
ファルスの右腕には十字の痣があった。
「その痣は?」
カイルの視線が自身の痣のある部分に向けられていることに気付きファルスは言葉を投げかける。
「この痣か? これは我が一族に代々受け継がれてきた皇帝の証たる聖痕だ。かの聖帝アルムにもあった。彼の祖先たるリゲルの皇帝たちにもな。……我が皇帝になったのはこの聖痕があったことが一番大きい。もし他の者に聖痕があればそやつが皇帝となっていただろう。たとえ傍系でもな」
彼は痣について語る。心なしか誇らしそうに。
「そうだったのか……僕もこの右目と同じ痣……聖痕を母から受け継いだ。母は代々のバーハラ公爵から……だからその聖痕を誇るあなたの気持ちはわかる……あなたの祖先、アルムの世継ぎが国名を変えたりせっかく統一したバレンシア教を軽んじたりしなければ、みなは聖痕を持つあなたたちを王と認めただろうに」
カイルの憐みの言葉にファルスは鼻を鳴らす。
「それほどアルムを敬い、彼の名を後世に残したかったと言うことだ。2代目の皇帝の気持ちはわかるぞ。……国を分けた3代目以降の無能ぶりには頭を痛めるが」
言い終わらぬうちにファルスは剣を振りかぶる。
カァァァン!
ギィィィン!
ガァン!
「しまっ」
ファルスは剣を取り落とす。
「今だ! はぁぁ」
その隙を逃さずカイルはファルスに斬りかかる。
ファルスは何事かつぶやく。
『てんよりまいおりててきをほろぼせ! ライナロック』
ブォォォ!
突如ファルスの前に炎が出現しカイルに襲い掛かる。
「ぐわああああ!」
シュゥゥゥ。
魔法で繰り出された炎は一瞬で自然に鎮火し燃え広がることは無い。だがカイルは大やけどを負い。鎧からは黒い煙が立ち上った。
「ぐ……剣士が魔法を? こんな切り札を隠し持っていたなんて……」
カイルは火傷から発する激痛をこらえ立ち続ける。少しでも気を緩めれば倒れ伏してしまいそうだ。
「はあああ!」
自身の気を保てている間に決着をつけようとカイルは自分から斬りかかる。
ギイイイイン!
「ぐぬっ!」
「ぐはっ!」
それでも激痛に気を持って行かれ全力が出せずファルスに押し負ける。そんな中剣を取り落とさなかったのは剣を握りしめることで気を保ち続けていたからだろう。
その時カイルはふと気付いた。
剣が交えた時、ファルスもうめいていたことを。
はた目には新たな傷が入ったように見えないが……。
(まさか!)
ファルスの見えないダメージに気付いたカイルは再び彼に挑む。
「ああああああ!」
「ぬううううん!」
グワアアアアン!
「がはっ!」
今度はファルスが押し負ける。
(やはりファルスはダメージを受けている。僕に斬られた個所とは別の……魔法を使った反動で!)
統一戦争以降、バレンシア大陸では魔法が廃れた。
バレンシアでは魔導書は必要なく自然の力を己のうちに宿すことで詠唱だけで魔法が使えた。
その代り術者は魔法を行使した後魔法の力に見合う分の生命力を失う。むやみに行使すれば命を失うこともある。
そのため自己犠牲を尊ぶドーマ教が衰退し、彼らに対抗する必要のなくなったミラ教も魔法を使うことが少なくなった。魔法を使うのは傷を負った無辜の人々を治療しようとする献身的なシスターや修道士ぐらいである。
(このぶんだと2度目は使えんか……よい。もうこの剣一本で!)
「はあああああ!」
「おおおおおお!」
この機を逃すまいと残された力を振り絞るカイルとファルシオンでこの戦いを締めようとするファルスがぶつかる。
ガアアアアアン!
パキィィィィン!
そしてファルシオンが折れた。ファルスの持っていたファルシオンが!
「はぁはぁ」
「……き、貴様! アルムから代々受け継ぎし聖剣ファルシオンを!」
息も絶え絶えのカイルに代々伝わった聖剣を折られたファルスは激怒する。もう戦や国の存亡のことまで忘却するぐらいに。
「あああああ!」
「許さぬ『てんよりまいおり』」
ファルスにとどめを刺そうと迫るカイルにファルスは自分の命も顧みず2度目のライナロックを唱えようとする。
「カイル殿ーー!」
「陛下ーー!」
その時二人を別々の声が呼ぶ。
「っ! ……?」
「『ててきを』……?」
二人も剣と詠唱を止め声の方を見る。
そこには市街地からアルバレア兵とヴァルム兵が駆けつけていた。
「二人とも戦いをやめてください。もう戦争どころではありません!」
アルバレア兵が二人に戦いを止めるように訴える。
「陛下! 東からイストリアとドルマの軍が……それに――」
「それに? どうした答えよ!」
言い淀むヴァルム兵にファルスは詰め寄る。
「東の大陸から何十隻もの船団が! アカネイア各国の援軍だと思われます!」
「馬鹿な! そんな報告受けておらんぞ。監視のために派遣した海軍は何をしておる!」
皇帝に報告せずに逃げた、もしくは寝返ったのか? そう思って憤るファルスの詰問に新たな声が答える。
「その艦隊は沈められたそうです。彼らが待機していた島の大地から現れた竜によって」
数名の兵士の後にアルバレア・アカネイア連合軍の総指揮官ユーリが現れる。
「ユーリ! ……いや待て島の大地から竜だと?」
重い腰を上げてやってきた宿敵をファルスはにらみつけるが竜という単語に戸惑う。
呆然とする二人にユーリは宣告する。
「今のヴァルム軍は約45万。対して援軍を得た我が軍は約152万。もう勝負は決しました。その上両大陸に仇成す竜、ギムレーが姿を現した。ここはお互い矛を納め、二つの大陸とそこに住まう民、それ以外の大陸……世界を守るため力を合わせてギムレーを倒そうではありませんか!」
第一次ヴァルム大戦の終結を。