ピンポーン♪
「うぃー、ちょっと待ってなよ………っと」
インターホンが鳴り、俺は玄関まで小走りで行ってドアを開く
「おはよう、葉月」
「はいおはようさん椎乃。いつも早いな、もう少し遅く来ても良いんだぞ?」
「別に大丈夫よ。私の意思で来てるんだもの………上がっても良い?」
「勿論」
椎乃を家に招き入れリビングに待たせ、俺は二階にある自分の部屋に上がる。一人暮らしになった時からベッドとその他は一階に置いてるが、まだ大体の物は二階に置いてある
クローゼットから制服を出してパパッと着替えて一階へ
リビングに入ると椎乃と椎乃のポケモンであるトゲピーが一緒に綺麗な青色の卵が入ったケースを覗き込んでいた
宿泊研修の時に響歌から預かった卵だ
「この卵、いつ孵ると思う?」
「さぁ……?どんなポケモンが生まれるのか姉さんに聞いてみたけど、姉さんも見たことないんだってよ」
「そうなんだ……」
卵から目を離さずに言う椎乃。ガラスケースの中のトランペットを眺める少年のように目が輝いている
「生まれたなタップリ愛情注いで育てねえとな〜♪」
どんなポケモンが生まれてくるんだろ?可愛いのかな、カッコイイのかね?どんなのにしても楽しみだ
『〜♪』
サーナが鼻歌を歌いながらキッチンからお盆を持って現れる。可愛い
椎乃が毎朝家に来るようになってからサーナはご機嫌だ。元々サーナは椎乃と仲が良かったからだ。俺が椎乃と距離を置いていた時も頻繁に会っていたらしい
「ありがとなサーナ」
俺はサーナから朝食の乗ったお盆を受け取って椅子に座り手を合わせて食べ始める
バタン!
トーストにかぶり付くと同時にポケモン達が部屋に入ってくる。各自位置に付いて尻尾や体を揺らしながらご飯ご飯と待っている姿は何度写真に残したかわからない程可愛い。あぁ、可愛い可愛いよ皆最高だな!ナイトのブレードは今日も煌めいているし他の皆も毛並みが整っている
俺がそんなポケモン達を見ているとサーナは椎乃にココアの入ったコップを渡す
「ありがと………葉月、顔がだらしなく緩んでるわよ」
「別に良いじゃねーか、こんなにも可愛いんだぜ〜?」
はぐはぐと俺の横でご飯を食べているライデンの頭を撫でる
『(はぐはぐ』
がしかし全くの無反応。少し寂しいぞライデン
あっ、尻尾で弾きやがった。このやろう
「食べにくいって言ってるのよ」
「ぐ………まあいい」
誤魔化すように手早くトーストを平らげてベーコンと目玉焼きも一口で口に詰め込む
「喉詰まらせるわよ」
「ふぁいふぉふ」
椎乃の忠告に返事をした後にココアで流し込んだ
「喉に詰まってもモーマンタイ。ココアで流せば良いんだよん」
「はいはい」
む、綺麗に流された………
ピンポーン♪
「ん?サトシが来たんかね」
「みたいね。行きましょうか」
「おう。行ってきまーす!」
「行ってきます」
俺と椎乃は学校の鞄を持って立ち上がり、キッチンに平らげた食器を持って玄関につく
「オース、サトシ。おはよー」
玄関のドアを開けると見慣れた幼馴染のサトシがグレーと一緒に待っていた
「おはよう葉月、椎乃。椎乃は毎朝早いな」
「おはようサトシ。ただ起きるのが早いだけよ」
「いや、ただ葉月に会「何か言った?」なんでもない」
「いよっしゃ二人とも。学校まで競争だぜ!サトシは一番遅かったらアレな!今日一日俺のパシリな!」
言いながら俺はスタートダッシュ!
「あ、コラ!ずるいぞ葉月!!」
「私には何もないのかしら……」
「そこ!?」
現在サトシと椎乃を5m程引き離しております!この状況、どう思いますかライデン実況者!!
『ピッカピカ、ピカチュウ、ピー。チャ〜』
あ、最後欠伸しやがった。可愛い……じゃなくて!すんげえ面倒臭そうだなお前!
『ピ〜カ………ピカチュゥ……』
今度は頰をパチパチさせながら何故かほうっ……と息を吐いた
「…………まさかお前、この前のバトルの余韻にまだ浸ってんのか」
どうやらライデンは先週に行われた下剋上バトルでのバトルの余韻にまだ浸っているようだ。そんなにスカッとしたのかあのバトル………。めっちゃ一方的だったぞ?
下剋上バトルと言えば………順位変更の手続きが面倒くさいな。順位入れ替えなくてもいいって言ってんのに、荒島先生の奴どうしても聞いてくれないんだよなぁ………。あまりにも面倒くさいから先週は逃げ続けてたけど、そろそろ放課後に無理矢理やらされるかも
「葉月、お先に」
「え………?」
『ルオッ!』
なぁ!?ルカリオに担いでもらってる!?
「ずるいぞ椎乃!?」
「ポケモンに運んでもらっちゃ駄目なんて言ってないでしょ?」
「ダメだダメ!!そんなの認めるか!今からルール追加だ!」
「今更遅いし、スポーツじゃないんだからルールなんて必要ないわ。それじゃ……」
そう言って椎乃を担いだルカリオは猛スピードで俺と距離を離す
くそっ………どうすれば!
「流石椎乃。良いところつくよな」
「ブルータスお前もか!!」
今度は後ろからシャモに担がれたサトシが!
「お先に〜」
そう言ってサトシは離れていく
「あ、葉月が最下位だった場合は今日一日椎乃の言いなりだってよ」
なん………だと!?
「コクヤ!!」
『ホー!』
「全速全開だ!!」
『ホー!!』
負けるかあぁぁぁぁぁぁぁ!!
結局負けた
そして放課後
これまでの全ての過程は消し飛んだのだぁ!!
ぶっちゃけ普通に学校生活してただけだしぃ?椎乃も椎乃で何も言ってこなかったから別段違うこともなかったから
「だ〜か〜らぁ!何度も言ってるじゃないですか。俺は順位なんてどうでもいいんですって」
「そういうわけにはいかんのだ。これも学校の決まり事だからな」
と言うわけで現在俺は職員室にて荒島先生と揉めている。内容は順位変更について
「だって面倒くさいじゃないですか、順位変更するのになんでわざわざ試験と同じ方式でバトルをしなきゃならんのですか?」
「八百長という可能性もある。可能性は低いが……」
「だから、そんな疑うくらいなら順位変更はいらないって言ってるんじゃないっすか。だいたいホントにどうでもいいんですよ。俺はただ楽しい学校生活が送れればそれで満足なんです」
だっるぃ〜、早く終わらせて帰りてぇ………早く部室に行ってサトシのお茶飲みながらゆっくりしてぇ……
そう言えば誰か一人くらい依頼人来たかな?来てるといいな〜
「はぁ………そんなに嫌ならば仕方ない」
「お!わかってくれましたか!?」
「あぁ、よくわかった。…………だがその代わりにバトルのレポートを書いて提出するように」
なん………だと……
「もう行っていいぞ」
「そんな殺生な!貴方に人としての心はないんですか!?」
「大袈裟にも程がある。ほら、早く行け。それとも今からでも順位変更の手続きをするか?」
ぐぬぬぬぬ…………やりおるこの鉄人め。脳筋かと思っていたが意外と頭が回るようだ
「はぁ………失礼しました」
諦めた俺は挨拶をして職員室を跡にする
「面倒くさいことになったな」
レポート提出とか………マジ面倒くさい。あぁぁぁぁぁぉ………サトシにやらせようかな
「こんにちは、天野 葉月君!」
「あ、はいこんにちは〜」
前方に不意に女子生徒が現れ、その人から挨拶をされる
制服に縫われている、校章の色を見るに二年生らしいが、何故俺のことを知ってるのだろうか?広げた扇子には『ご対面』と書いてあるが………まあいいや。俺はそう思い部室に向けて歩き出す
「ちょ!?なんで無視して歩き出すの!?」
先輩の横を素通りするとそんな焦ったような声と共に肩をぐわし!と掴まれた
「え?」
「え?じゃなくて………お姉さんを無視しないでもらえると嬉しいなー?」
「ちゃんと挨拶したじゃないですか」
「知らない人に声かけられたら普通用があるからだと思わない?」
え………何それ、正論
「いや、思いませんけど」
だが否定する
だって〜………なんかもう早く部室に帰りたいんだよ
「う〜ん、聞いてるより警戒心高いわね……」
「いんや〜、別に警戒はしてないですよ?」
知らない上級生から話かけられるなんて、どこで俺を知ったのかと聞けばあの時アリーナでの宣戦布告の時だと軽く予想はつく。もしかしたら他で知り合ってるのかもしれないけど
どうせ好奇心かなんかなんだろうな
「椎乃ちゃんから結構友好的って聞いたのにな〜」
…………なに?
「椎乃の知り合いっすか?」
「(あ、あら?さっきまでの面倒くさそうな雰囲気が急になくなったわね……)」
なんだ、椎乃の知り合いだったのか。だったら悪い人ってわけじゃなさそうだな
椎乃の人間関係について文句は言ったことないが、信用してるから大丈夫だろ
「いやぁ、知り合いなら最初から言ってくれれば良いのに。それで、何の用っすか?」
「え?………あ、あぁうん。椎乃ちゃんから君のこと聞いて会ってみようと思って」
「そっすか、取り敢えずうちの部室に行きません?椎乃から俺の話聞いてるってことは、他の奴らのも聞いてますよね。紹介するんで」
「わかったわ」
俺が歩き出すと先輩は後に着いてくる。なんか周りからの視線が刺さってる気がするけど………まさか、この人有名人か?もしや七輪花とか言わないよな?いや、でも美人さんだし………それに椎乃の知り合いとならば可能性も無きにしも非ずかっ!
「そう言えば先輩、お名前は?俺の名前は知ってるみたいですけど」
「え?知らないの?」
え?…………知らないよ?
「こう言ったことに疎いとは聞いたけど、まさか知られてないなんて……」
そんな俺の顔を見たのかやれやれとそう言う先輩。やはり有名人だったか……
「私の名前は烏山 千歳《からすやま ちとせ》」
ゆっくりと扇子を開くのを、俺も釣られて扇子を見る
そして最後、何故か最後の方だけ勢いよく開かれた扇子には、こう書いてあった
『生徒会長』
「このアビノ北高校のスーパー生徒会長とは私のことよ!」
「………………」
どう反応しようか、とても困る俺だった
葉「いやぁ、どうもお久しぶり。葉月です」
新「いよっす!未だに後書きと過去の回想でしか登場してない小鳥遊 新だ!今回は俺がゲストだぜ」
葉「いやぁ、ホント久しぶりだけど、覚えてる人いるのかね?」
新「二ヶ月だろ?一人くらいはいるんじゃね?」
葉「そうだったらいいけどなー…………突然だが、質問タイムと移ろうぜ!」
新「俺もか?」
葉「おう、一応な。まずは簡単な家族構成からと、好きなこと、物、食べ物を教えてくれ。んでもって簡単な自己紹介でもしてくれればいいな」
新「OKOK。名前は知っての通り小鳥遊 新だ。アビノ北区一の不良高と言われる霊山高校に通ってる」
葉「確か端の方にあって、裏山がゴーストタイプが多いから付けられた名前だっけ?」
新「え、マジで?知らなかったなぁ」
葉「確かそんな感じだったと思う。…………てか、よくそんな高校に行こうと思ったなよな」
新「俺は元々頭もそんなに良くなかったし、何より強い奴と戦いたいからな。不良高って言ってもプロトレーナーが結構うちから出てるんだぜ?」
葉「へぇ、そりゃ凄いことで」
新「バトルだけが取り柄の学校だからな。不良高って言われるのも気性が荒くて学校内でも外でもバトルしまくってるからだろ」
葉「いや、普通に不良も多いだろ」
新「否定はしねぇなぁ。……………んで、家族構成はだな。俺は一人っ子だ。親父とお袋が家にいるだけだな」
葉「拓郎さんは健在か?」
新「物騒なこと言うなよ………親父は警察で、お袋は幼稚園の先生やってる」
葉「わりわり、あの人元気の塊みたいなもんだからさ。昔家に遊びに行った時、『ガーハッハッハッ!』って笑いながら頭をぐしゃぐしゃと撫でて来たのを覚えてる」
新「今でもそうだろ?」
葉「それは言うな。年頃なんだから結構恥ずかしいんだよ」
新「やめろって言ってもやめないしな。ま、諦めろ」
葉「悪い気はしないんだけどなぁ……………んで、次行くぞ」
新「好きなこと、物、食べ物だな。趣味としてはよく筋トレするぜ。好きな食べ物はオレンの実だ!」
葉「好きだなぁ、オレン。てか、筋トレって………まあお前の鍛えられた体見たらわかるけどさ」
新「脱いだら凄いぜ(キラリ」
葉「気持ち悪いから風呂以外では脱ぐな」
新「ひでぇ!?」
葉「ひどくない。……………それじゃあ、今日はここまでにしようか」
新「そうだな。俺帰って買い物行かないと。お袋から頼まれてんだ」
葉「醤油とオタフクソース間違えるなよ」
新「そこまで頭が残念じゃねぇぞ!?」
葉「えっ………?」
新「あぁん?上等だテメェ、バトルするようになってから調子に乗りやがって、ポケモンバトルで決着つけようじゃあねぇか!!」
葉「はっ、久しぶりに俺もお前とバトりたいって思ってたぜ。俺のポケモン達も同じみたいだしなぁ!」
新「1567戦756勝812敗、負け越しまくってるこの結果を着々とひっくり返す時がやって来たなぁ!」
葉「そこに1敗プラスされるだけだがな!…………行くぜ」
「「バトル!!」」
椎「やめなさい」
「「ぐはっ!?」」
葉「し、椎乃…………何故、ここに……!?」
椎「Vにストッパー役として頼まれてるのよ。ゲストあんたが揉めないようにね。バトルならまた別の時にやりなさい。もう終わる時間よ」
新「く………最近何故か椎乃に逆らえない……!!」
葉「俺達の知らない間に、何が………」
新「いや、お前は避けてたから知らないけど他の奴らは頻繁に会ってたぞ」
葉「マジで!?ちょ、それどういうことだよ椎乃!?」
椎「それじゃ、また次回」
新「じゃあなー」
葉「話聞いてる!?」