途中で野宿をしたり、ともえちゃんが不思議なフレンズにあったり。
たどり着いた場所はハイウェイ、そこはかけっこ好きなフレンズのコース。
そこで知り合ったプロングホーン、ロードランナー(愛称ゴマちゃん)、ハンターのサーベルタイガー。
ロードランナーの案内でハイウェイのスタートをめぐり、レースを観戦、っと思ったら、ゴマちゃんは飛んで行っちゃった。
バイクで後を追う二人、でもそこにセルリアンが、ゴマちゃんが一人で止めようとしたけど苦戦、そこに駆け付けたともえちゃんとイエイヌ、ラモリ、バイクに積んであった発煙筒でセルリアンの視界をふさいで足止めできて、ゴマちゃんも助け出せた。
ともえちゃんとイエイヌはレースを助けた恩人、恩返しとゴマちゃんが旅の仲間に。
次の目的地は、音楽祭。
そういえば、賞品になっていた浄炎の羽、お礼にもらったけど、なんだかすごくポカポカしてるきがする。
ともえ、イエイヌ、ラモリ、そして新たに加わったロードランナー、4人での旅は騒がしくも楽しい物になっていた。
が、常に楽しくとはいかなかった。
イエイヌ「ゴマさん、交代ですよ」
ロードランナー「さっき変わったばっかじゃねーか、そんなんだと、ライブがおわっちまうぞ」
イエイヌ「約束したでしょ」
ともえ「二人とも、仲良くして、ね」
イエイヌとロードランナーの喧嘩に、ともえは苦笑いを浮かべる。
喧嘩の理由は、ともえの後ろ。
最初はロードランナーが座っていたのだが、バイクの性質ゆえにともえに抱きつく形になる。
それにイエイヌが嫉妬、交代制にしたがその度に停車する、それが火種で口喧嘩。
そもそもともえ達はライブがいつ始まるか知らない、ロードランナーの意見も一理あったりする。
ともえ「次の休憩所で交代だよ、ラモリさん、次は」
ラモリ「しんりんちほー入口ダヨ、ゲートトハ違ウカラ、注意シテネ」
イエイヌ「ハイウェイ横もゲートも、セルリアンのせいでダメなんて」
ロードランナー「ハンター連中が見て回るのに時間かかりすぎなんだよ」
この前ハイウェイにでたガブノミセルリアン程ではないが、セルリアンがハイウェイやゲートの近くに出たらしい。
ハンターが対応しているが、その間は通行止め。
おかげでともえ達は時間のかかる道を揺れながら進んでいた。
ともえ「道があるだけラッキーだよ、ね、ラモリさん」
ラモリ「ソウダナ、ナケレバライブハ諦メルシカナカッタカラナ」
ともえ「ね、だから前向きに考えよ」
イエイヌ「ともえさんがそう言うなら」
ロードランナー「まっ、動けるだけましか」
前向きに考え進んでいくと、古びた丸太橋の向こうに木の看板、その横には四角い箱の様なものが鎮座していた。
ともえ「ラモリさん、あれって」
ラモリ「休憩所ダヨ、タダシ、ツクッタノハパークノスタッフジャナクッテ、フレンズダヨ」
ともえ「あの箱みたいなのを?」
イエイヌ「確かに、手先な器用なフレンズはいますけど」
ロードランナー「あれ、木じゃないよな?」
ちかづいてみると、その箱の外板は波打っていて、下にはバイクと同じようなタイヤがくっついていた。
ラモリ「キャンピングトレラーダヨ、パークガ営業シテイタコロ、コノ島ニ捨テラレタ物ヲ、フレンズガココマデ運ンデ自分達ノ休憩所ニシタンダヨ」
ともえ「どうしてですか?」
ラモリ「ゲートダケガ道ジャナイカラネ」
イエイヌ「そういえば、ヒトが作った物って、大きな道にしかないですもんね」
ロードランナー「こういうのって、ほかにもあるのか?」
ラモリ「イクツカアルミタイデ、フレンズガ家トシテ使ッテルノモアルミタイダヨ」
ともえ「他のも見れるかな・・・あれ?」
よくみると、トレーラーの陰に何かが止まっていた、よく見ればそれは黄色に塗られた、4つのタイヤを持つ乗り物だった。
ともえ「ラモリさん、これは?」
ラモリ「ジャパリバギーダネ、バイクト同ジデ保守管理用ノ車両ダケド、コッチハバイクヨリモ荒レタ道ヲ進メルヨ、充電中ミタイダネ」
ともえ「ということは、誰かいるのかな?」
イエイヌ「くんくん・・・たしかに、フレンズのにおいがします」
ロードランナー「これも早そうだな・・・ま、プロングホーン様のほうが早いに決まってるけど」
ともえ「すいませーん、あたし達も休ませてもらっていいですか?」
???「構いませんよ、ここは誰の物でもないので」
優しい声を聞いて、ともえ達は安心してトレーラーなかに入る。
そこでは真っ白な耳と髪、尻尾には金色の紐をつけ、白のブレザーにスカート、胸元の赤いリボンがアクセント。
だけど何故か瓶底眼鏡を掛けたフレンズが出迎えた。
ともえ「はじめまして、あたしはともえ、こっちはイエイヌちゃんとロードランナーちゃん」
イエイヌ「はじめまして」
ロードランナー「よろしくな」
???「はじめまして、私は・・・そうね、いくつかの名で呼ばれてますけど、ここではミケツと呼んでください」
ともえ「いくつか?」
ミケツ「はい、そういう存在なので」
イエイヌ「あれですね、あだ名が多い、みたいな感じですよ」
ロードランナー「お前らが俺のことをゴマと呼ぶのと同じなんだろ、きっと」
ともえ「そっか、よろしくね、ミケツちゃん」
ミケツ「はい、こちらこそ」
ミケツは丁寧にお辞儀をする、一方ともえの視線は尻尾に釘付け。
ミケツ「気になるかしら?」
ともえ「はい!」
イエイヌ「ともえさん・・・」
ミケツ「少しなら触ってもいいですよ」
ともえ「ありがとうございます!」
ロードランナー「はやっ!」
ともえはミケツの尻尾に優しく触れると、撫で始める。
ともえ「ふかふか、もふもふ」
ミケツ「狐の尻尾はいかがかしら?」
ともえ「最高!」
ロードランナー「なぁイエイヌ、やっぱりあれがともえの素か?」
イエイヌ「はい、もふもふ大好きさんです」
ロードランナー「通りで毎朝、イエイヌの尻尾に顔をうづめてるわけだな」
堪能すると、ともえはミケツの尻尾から離れた。
ともえ「ところで、外のバギーは、ミケツちゃんのですか?」
ミケツ「そうですが、今は動かせなくて」
ともえ「今は?」
理由を聞こうとすると、ミケツの後ろにある窓が開いて、大きな耳を持つフレンズが顔を出した。
ミケツ「オオミミギツネ、どうでした?」
オオミミギツネ「申し訳ありません、トレーラーの配線は問題ないのですが」
ミケツ「困ったわね」
オオミミギツネ「はい・・・お嬢様、そちらの方々は?」
ミケツ「此方はともえちゃん、イエイヌちゃん、ロードランナーちゃん、今知り合ったばかりよ」
ともえ「はじめまして」
イエイヌ「どうも」
ロードランナー「よろしくな」
オオミミギツネ「オオミミギツネです、お嬢様の従者をさせてもらってます」
ともえ「あの、さっき配線がって」
ともえの質問に、オオミミギツネは困った顔になる。
オオミミギツネ「実は、このトレーラーには充電設備が有るのですが、壊れていて」
イエイヌ「バギーが動かせないのは、もしかして」
ミケツ「ここで充電する予定でしたが、迂闊でした」
ロードランナー「大変だな」
ともえ「力になってあげたいけど、ラモリさん・・・あれ?」
ロードランナー「そう言やともえ、ラモリどこいった?」
イエイヌ「降りるまでは一緒に居ましたよ」
オオミミギツネ「里長様、もしかして」
ミケツ「結論を急いでは駄目よ」
ラモリを探すともえ達、すると天井が開き、アームで体を支えながらラモリが姿を現した。
ともえ「ラモリさん、どこに行ってたんですか?」
イエイヌ「どうしてそんなところに?」
ラモリ「バギーノ充電ガ進ンデナカッタカラ、屋根ノソーラーパネルヲ点検シテタンダヨ」
ロードランナー「そーらーぱねるって、なんだ?」
イエイヌ「電気を作る板ですよ」
ミケツ「ラモリさん、ソーラーパネルに異常が?」
ラモリ「雑巾1枚デ解決スルヨ」
オオミミギツネ「こちらを」
オオミミギツネが雑巾をラモリの耳の間に挟むと、また天井に上る。
しばらくすると、真っ黒な雑巾を耳の間に挟んで降りてきた。
ミケツ「これは、私としたことが」
ともえ「うわっ、真っ黒!」
イエイヌ「この汚れって」
ラモリ「ソーラーパネルノダヨ、定期的ニ拭イテオカナイトコウナルンダ」
オオミミギツネ「ですが、それはラッキービーストの役目では?」
ロードランナー「そういえばボスたちは、掃除とか好きだよな」
ともえ「もしかして、ここはフレンズちゃん達が作ったから、管轄外?」
ミケツ「いえ、しばらく来ていなかったので、優先度が下がったのでしょうね」
ラモリ「ソノトオリダヨ」
しばらくすると、天井に着いた照明が光だし、車内が明るくなる。
ミケツ「充電完了まで1時間、これなら音楽祭には間に合いそうね」
ともえ「音楽祭・・・ライブのことですか?」
ミケツ「はい、この子がペパプのファンで、フィールドワークで近くまで来たので」
オオミミギツネ「お嬢様のご厚意に感謝します」
イエイヌ「その音楽祭、いつ始まるんですか?」
オオミミギツネ「今日の昼頃からですが、どうなさいました?」
ロードランナー「俺たちもそのライブに行くんだ、危なかったな」
ともえ「よかった、バギーで間に合うならバイクでも」
ラモリ「十分間ニ合ウヨ」
ほっと一安心のともえ達、ミケツ達も事情があることは理解した。
ミケツ「ここで会ったのも何かの縁、会場までご一緒しませんか?」
ともえ「いいんですか?」
ミケツ「旅は道連れ世は情け、大勢での旅は楽しいですよ」
ともえ「ありがとうございます!」
ミケツ「そうなれば、オオミミギツネ、お茶を彼女たちに」
オオミミギツネ「御意」
イエイヌ「私も手伝います」
ロードランナー「俺様は、少し寝させてもらうぜ」
ともえ「目覚まし時計はいる?」
ロードランナー「遠慮しとく」
ともえとミケツが二人っきりになると、空気が変わる。
眼鏡の向こうにある目が、厳しいものに変わったように見えた。
ともえ「ミケツちゃん?」
ミケツ「貴方は、何時からパークに?」
ともえ「・・・わかりません、目が覚めたのがつい最近で」
ミケツ「目覚めた場所は?」
ともえ「何かの建物、それ以外は」
ミケツ「わからない、覚えていないのね」
ともえ「はい、あの、ミケツちゃん?」
ミケツ「ごめんなさいね、不快な思いをさせて」
ミケツの目が優しくなり、空気も戻る。
ミケツ「最近、ヒトのフレンズが現れたので、恐らく初めての事例なので」
ともえ「ヒトのフレンズ・・・かばんって名前のヒトの他に?」
ミケツ「いえ、そのかばんと言う方がヒトのフレンズらしいのですが、話を聞く前に旅に」
ともえ「でも、その人、悪いことは」
ミケツ「していませんが、ヒトが全てフレンズに優しい訳ではありません」
ミケツはトレーラーの壁に手を添える。
ミケツ「このトレーラーがパークに在るのは、ヒトの悪意、無関心ゆえに」
ともえ「悪意、無関心」
ミケツ「ここに捨てても構わない、フレンズにとって毒でも構わない、そんなヒトもいた」
ともえ「でも、ここはフレンズちゃん達が作ったってラモリさんが」
ミケツ「そうね、フレンズを大切に、隣人として愛してくれるヒトもいた、それにフレンズは強いから」
捨てられたトレーラーを休憩所に、フレンズはそれが出来る強さがある。
ミケツ「ただ、フレンズを愛してくれる、そんな存在だったヒトの中に、無関心の裏切り者がいた」
ともえ「裏切り・・・」
ミケツ「私は、ヒトのフレンズが裏切り者にならないか心配なの、そしてあなたのことも」
ともえ「あたしはイエイヌちゃんもゴマちゃんも裏切らない、裏切りたくない!」
ミケツ「その通りね、できれば、それを貫いて、自分の力で生きるのがパークの掟、でも、誰かと力を会わせる事、助け合う事、それは恥ではないのよ」
ともえ「ミケツちゃん」
ミケツ「私だって、バギー運転出来ませんし」
ともえ「えっ?」
オオミミギツネ「皆さま、お茶のご用意ができました」
イエイヌ「ジャパリまんもありますよ」
話はお茶で中断され、匂いに釣られ起きてたロードランナーも加えて優雅なひととき。
ともえ「凄く絵になる」
イエイヌ「ともえさん、いつの間に」
ロードランナー「まぁ、なんか優雅だし、わかっけど」
ミケツ「紅茶を飲んでいるだけですよ」
オオミミギツネ「後で分けてもらっても」
ともえ「あたし、頑張る」
ともえがミケツとオオミミギツネの絵を二枚書き終える頃には、バギーの充電も終わっていた。
オオミミギツネ「私達が先導しますので、ついてきてください」
ともえ「わかりました
ラモリ「出発スルヨ」
耳の収まる専用のヘルメットをかぶった二人のバギーにともえたちはついて行く。
道はデコボコしているが、それはこれまでの道も一緒だった。
ロードランナー「なぁ、イエイヌ」
イエイヌ「なんですか?」
ロードランナー「あいつ等のこと、信用できるか?」
イエイヌ「・・・信用はできますけど、ミケツさんのにおいは変でした」
ロードランナー「におい?」
イエイヌ「何か別のにおいでごまかしてました」
ともえ「それって、香水じゃない?」
イエイヌ「ともえさん」
二人はこっそりしゃべってるつもりだったようだが、ともえにはしっかり聞こえていた。
ともえ「確か、いい匂いをつけたりするやつだよ、そうだよね、ラモリさん」
ラモリ「間違ッテナイナ」
ロードランナー「それじゃあ、なにか匂いをごまかさないといけない理由があったってことか」
イエイヌ「う~、お話しするかぎりだと、騙してるわけではなさそうですし」
ともえ「ほら、フィールドワークで近くまで来たって言ってたでしょ」
イエイヌ「そういえば」
ともえ「それで、いろいろ匂いがついてたのをごまかしたんだよ」
ロードランナー「そういうもんか?」
ラモリ「ヒトナラソウダロウナ」
ラモリの言葉で一応納得したのか、ロードランナーは何も言わなかった。
しばらく進むと、フレンズとすれ違い始めた。
ともえ「あの子たちも音楽祭を見に行くのかな?」
イエイヌ「ペパプってよく知りませんけど、人気なんですね」
ロードランナー「ペパプも知らなかったのかよ」
ともえ「ゴマちゃんは知ってるの?」
ロードランナー「ペンギンのアイドルグループ、パークで知らないやつはいないぜ」
イエイヌ「ペンギンの・・・ピップならわかるんですけど」
ロードランナー「まぁ、見ればわかるよ、おれもそんくらいしか知らねーし」
ともえ「ペンギンのアイドル、皆かわいいんだろうなー」
しばらく進むと、建物が見えてくる、それは小さな丘の上にあって、その下ではフレンズたちが集まっていた。
バギーを運転するオオミミギツネは邪魔にならない場所に止める、ともえもその隣にバイクを止めた。
ともえ「オオミミギツネちゃん、ミケツちゃん、案内、ありがとうございます」
オオミミギツネ「どういたしまして、ペパプのファンが増えるのはうれしいので」
ミケツ「あなたも人探し、頑張ってね」
ともえ「はい!」
イエイヌ「お二人もお気をつけて」
ロードランナー「またどこかで会おうな」
ここで別れる二人に、手を振るともえ達。
二人が人ごみに消えると、三人も行動を開始する。
ともえ「それじゃあ、始まるまでに聞き込みをしようか」
イエイヌ「そうですね」
ロードランナー「でもこの人数だしな」
ラモリ「チョットイイカ?」
たくさんのフレンズにとにかく話を聞いて回ろうとする3人を、ラモリが止める。
ともえ「ラモリさん、何かいい方法が?」
ラモリ「仲間カラノ情報ヲ調ベタラ、ココニハ島ノ長ガイルヨウダ」
ともえ「長?」
イエイヌ「それって、図書館に住んでる」
ロードランナー「博士と助手だな」
ともえ「知ってるの?」
ともえの質問に、二人は視線をずらす。
イエイヌ「知ってはいますけど」
ロードランナー「何度も会いたいとは思わねぇな」
ともえ「?」
イエイヌ「賢い人たちなんですけど、少し意地悪と言いますか」
ロードランナー「めんどくせぇんだよな、いろいろと」
ともえ「うーん、悪い子じゃないだね、じゃあ会いに行こうか、ラモリさん、案内してもらっていい?」
ラモリ「マカセロ」
ラモリの先導で会場を進む三人、ステージに着くと、言い争う声が聞こえた。
見れば、赤と白のそっくりな二人とシマシマのフードを被ったフレンズに、耳の先が黒く、薄い赤色の服を着たフレンズが詰め寄っていた。
???「だから何度も言いますが、そんなの知らないのです」
???2「カラカルも諦めるのです」
カラカル「何でそうなるのよ、長でしょ、ツチノコもなにか言いなさいよ」
ツチノコ「俺は遺跡はともかく、それは専門外だからな」
カラカル「あぁもう!」
ともえ「揉めてるね」
イエイヌ「見たいですね」
ロードランナー「面倒だな」
ラモリ「・・・少シマッテテ」
様子を伺うともえ達、ラモリは一人で近づいていく。
ラモリ「チョットイイカナ?」
カラカル「何よ、って、ボスじゃない!」
ツチノコ「こいつ、保安課姿容の特別品じゃねぇか!」
???2「喋るラッキービースト、つまりこれは」
???「すぐ近くにヒトがいるのです、カラカル、お前は後回しなのです」
カラカル「何でよ!」
???「ヒトは貴重なのです、早く呼んでくるのです」
ラモリ「トモエ、話ヲツケタヨ」
ラモリに呼ばれて出てくるともえ一行、赤と白の二人は姿勢をただす。
コノハ「どうも、アフリカオオコノハズクの博士です」
ミミ「助手のワシミミズクです」
ツチノコ「ツチノコだ、あいつ以外にも居たのか」
ともえ「ともえです、よろしくね、コノハちゃん、ミミちゃん」
イエイヌ「イエイヌです、お家の物、勝手に持っていこうとしたの、忘れてないですよ」
ロードランナー「ロードランナー様だ、羽根をむしろうとしたの、覚えてるぞ」
コノハ「お前たち、さすがに長に向かって失礼なのです」
ミミ「そうなのです、失礼です」
カラカル「自業自得よ」
ツチノコ「だな」
なんだか威厳のない長だが、コノハ博士とミミちゃん助手はぷんぷんしていた。
カラカル「あたしはカラカル、こう見えてもハンターよ」
ともえ「ともえです、あの、カラカルちゃんは」
カラカル「いいのよ、この長達がダメってわかっただけでも十分、他をあたるから」
ともえ「あっ、その」
コノハ「失礼な奴なのです、え、お前はどういった用事ですか?」
ミミ「最近は動く島とか、変なことばっかりなので、内容によっては流しますよ」
ともえ「えっと、ヒトのいたころと、あと、守護けもさんの居場所が知りたくて」
コノハ「ヒトのいたころ、ヒトについてではなくてですか?」
イエイヌ「ヒトについては私が説明しときました」
ミミ「余計なことを」
ミミちゃん助手の舌打ち、本当に長なのかともえは心配になってきた。
コノハ「まぁ、少しぐらいなら教えてやるのです」
ともえ「本当ですか!?」
コノハ「人がいたことはこのパークは復興中、という状態だったのです」
ミミ「ラッキービーストたちも、この時期に島に持ち込まれました」
ともえ「それで」
コノハ「そのあと、例の事件で人がいなくなり、かばんが現れるまでヒトは絶滅したと考えられていたのです」
ミミ「以上です」
ともえ「・・・へ? どんな暮らしをしてたとか、何をしてたとか、後守護けもさんは?」
コノハ「わからないのです」
ミミ「守護けもさんについては聞いたことないのです」
ともえ「・・・」
イエイヌ「ともえさん、しっかり!」
あまりの情報のなさにがっかりするともえ、心配になって駆け寄るイエイヌ。
ため息をついてツチノコが助け舟を出す。
ツチノコ「あのなともえ、この島にいるフレンズはヒトがいなくなった後に生まれたやつが大半なんだ」
ともえ「でも、イエイヌちゃんは紅茶を作ってくれたし、ヒトがいたころを」
ツチノコ「ちょっと違うんだ、ヒトのしたこと、人と居たことを覚えてるのと、ヒトのいたころってのは」
イエイヌ「でも、長の二人は図書館が縄張りですし」
ロードランナー「そうだぜ、それに字も読めるんだろ?」
ツチノコ「本に書いてあることはパークに関係ないのも多い、ヒトのいたころなんて書いた文献はないんだ」
ともえ「そうなの?」
コノハ「確かに、パークでヒトがどう過ごしていたかについては」
ミミ「文献そのものがありません」
ツチノコ「図書館は知識を得たり、昔のことを知るために作られたからな、ヒトがいたころはできた時にはふるくなかったから、残ってないんだろ」
ともえ「そうだったんだ、じゃあ、守護けもさんは?」
ツチノコ「すまねぇ、俺もそれは知らねぇ、誰から聞いた?」
ともえ「温泉宿のカピバラちゃんから」
イエイヌ「はい、どこにいるかは知らないけどと」
カピバラの名前が出たとき、ツチノコは顎に手を添えた。
ツチノコ「カピバラか、このレアなボスもそいつの紹介か?」
ともえ「そういえば」
イエイヌ「そうかも」
ラモリ「ソウダナ」
ツチノコ「あいつ、こんな貴重なのと知り合いだったのか」
ロードランナー「確かに変わってるけど、こいつすごいのか?」
ツチノコ「すごいに決まってるだろ! なんてったてボスの中でもめったにお目にかかれない保安課仕様、保安課ってのは今のハンターみたいなもんでな、しかもしっぽじゃなくてアームなのは初期中の初期、今のパークじゃ絶滅してても当然・・・はっ!」
ともえ「ラモリさん、そんなすごい存在だったんだ」
イエイヌ「すごくすごいです!」
ロードランナー「ハンターのボスか、見直したぜ」
ラモリ「ソンナコトハナ」
ツチノコ「無視すんな!」
ツチノコの説明っを聞いて途中からラモリをなでたりしていたともえ達だった。
ツチノコ「とにかく、こいつと知り合いってことはどっかにいるんだろ、四神とは違うのか?」
ともえ「ししん?」
コノハ「このパークの守り神ともいうべき4人の神聖なケモノなのです」
ミミ「ですが資料が少なく、謎が多いケモノでもあります」
ツチノコ「そいつら以外にも守護けものって呼ばれるやつはいるんだが、ややこしいからな」
イエイヌ「神聖な・・・そういえばともえさん、浄炎の羽根も、神聖なものでしたよね」
ともえ「これだよね」
ロードランナー「なくすんじゃねぇぞ」
コノハ&ミミ&ツチノコ「「「!!」」」
ともえが浄炎の羽根を取り出した瞬間、コノハ博士とミミちゃん助手が驚き、ツチノコが目を輝かせる。
ツチノコ「それは、間違いない、ほんもって、こら、離せ!」
コノハ「あの羽根はやばいのです、なんでか知らないが逃げるべきなのです!」
ミミ「早く逃げねば、よくないことが起こるのです!」
ツチノコ「俺を巻き込むなぁー!」
ともえ「・・・なんだったの?」
イエイヌ「きっと普段の行いの罰が当たると思ったんでしょうね」
ロードランナー「プロングホーン様みたいに、清く正しく生きないとな」
長二人が謎の逃亡のため、手がかりが無くなったともえ達だが、フレンズは沢山いる。
ともえ「他のフレンズちゃんにも聞いてみないとね」
イエイヌ「そうですね」
ロードランナー「これだけいるならきっと見つかるぜ」
ラモリ「僕モ仲間ノ情報カラ探シテミルヨ」
聞き込みを始めるも、長ですら知らないこと、当然ながら・・・。
パンサーカメレオン「もうしわけありません、拙者は忍びについて調べておりますが、ヒトのいた頃は」
クジャク「そうですね、守護けもさんについてはなにも、キョウシュウの守護けも様は美しい羽根を持っていたとは聞いてますが」
キンシコウ「港で目撃されたのがフレンズがヒトを見た最後、かばんさんはヒトは港に住んでいたのではと、ただ、どんな暮らしだったかは」
リカオン「守護けも様はパークを救ったらしいとしか、守護けもさんについては・・・あの、そのボス、撫でていいですか?」
ヒトのいた場所、守護けも様はわかっても、ともえの知りたいことはわからなかった。
イエイヌ「ともえさん、元気だしてください」
ロードランナー「そうだぜ、調子の悪いときもあるんだぜ」
ともえ「二人ともありがとう、いっぱいスケッチさせてもらったし」
ラモリ「コッチモ該当情報ナシ」
ともえ「ラッキーちゃん達でもだめ・・・」
イエイヌ「ともえさん?」
ステージの向こう側、バイクを停めた場所の反対側、丘のしたには、木が数本生えていて、その回りにフレンズが集まっていた。
イエイヌ「どうしました?」
ともえ「・・・知ってる」
ロードランナー「何をだ?」
ともえ「あたし、あの場所知ってる」
イエイヌ「ともえさん!」
ともえは急に駆け出し、イエイヌも続き、ロードランナーもラモリを脇に抱えて追いかける。
着いたそこは、テーブルと椅子があるだけの休憩所だった。
イエイヌ「ともえさん、急に走ると危ないですよ」
ロードランナー「そうだぞ、下りでこけると大変なんだからな」
ともえ「ごめんね、でも、思い出したから」
イエイヌ「もしかして最初に仰った、行かないといけない場所?」
ともえ「違う、けど」
ともえはゆっくりとステージを見る。
ともえ「白い服のお姉さんに連れられて、あそこの舞台の修復が終わったら、このちほーはパークの文化的中心になるかもって」
イエイヌ「文化?中心?」
ロードランナー「ステージならみずべちほーにもあるぜ」
ともえ「図書館があるから、複雑なお芝居が見れるかもって、そこで誰かが呼んで」
イエイヌ「ともえさん?」
ともえ「ごめん、これ以上思い出せなくて」
イエイヌ「気にしなくて大丈夫です、私も大切なヒトの事、思い出せませんし」
ロードランナー「その白いねーちゃんと呼んできたやつは?」
ともえ「わからないけど、呼んできた方が大切な気がする」
イエイヌ「行かないといけない場所と関わりは」
ともえ「たぶん」
ロードランナー「まっ、何にもわかんないよりましだろ」
ともえ「そうだね、うん、がんばろう!」
ともえが元気をとりもどす、その時イエイヌは何かのにおいを感じ取ったのか鼻をらした。
ともえ「イエイヌちゃん」
イエイヌ「くんくん・・・近くに私の知り合いがいます、この匂いは、そこですね、タイリク先生!」
タイリクオオカミ「やっと気づいてくれたね」
木の影から姿を表したのは、黒いブレザーと黒白チェックのミニスカートを着た、オレンジと青の瞳を持つフレンズ。
タイリクオオカミ「初めまして、私はタイリクオオカミ、漫画家だよ」
ともえ「初めまして、あたしはともえ」
ロードランナー「ロードランナー様だ」
イエイヌ「お久しぶりです」
タイリクオオカミ「久しぶり、元気そうでよかった」
ロードランナー「知り合いなのか?」
タイリクオオカミ「マンガのアイデアを探してるときにね」
ともえ「そうなんだ」
ともえはタイリクオオカミに興味津々、以前イエイヌから絵を描いてると聞いていたので余計に。
タイリクオオカミ「おや、ともえは私が気になるみたいだね」
ともえ「はい、あたしも絵が好きなので」
タイリクオオカミ「同好の士だね、見たところヒトのようだし、それだとあの話を伝えておこうか」
ともえ「どんな話?」
ロードランナー「俺も聞いていいよな?」
タイリクオオカミ「もちろん」
イエイヌ「あっ」
なにかに気づいたイエイヌが口を挟もうとしたが遅かった。
タイリクオオカミ「古い話だけど、サンドスターを作ろうとしたヒトがいてね」
ともえ「サンドスターを?」
タイリクオオカミ「そう、最初はフレンズの力を借りて、上手くいっていたんだ」
タイリクオオカミ「でも、そのうちにヒトはおかしくなっていって、フレンズを追い出してしまったんだ」
ロードランナー「ひでぇじゃねぇか」
タイリクオオカミ「全くだよ、そのヒトはついに人造のサンドスターが完成したと確信して、とんでもないことをした」
ともえ「それは」
タイリクオオカミは目をつむり、少しためてから口を開いた。
タイリクオオカミ「人造サンドスターで、無理矢理フレンズを作ろうとしたんだ」
ロードランナー「そんなことできんのか!?」
ともえ「ひどい」
タイリクオオカミ「できると思ってたんだろうね、でも、そううまくはいかなかった」
タイリクオオカミ「最初はフレンズの姿になった、ところが、背中や腕からサンドスターの結晶が飛び出して、全身を覆って、最後にはヒトごと」
ともえ&ロードランナー「「キャー!」」
タイリクオオカミ「おっ、いい顔頂きました」
悲鳴を上げて抱き合うともえとロードランナー、それを微笑みながらスケッチするタイリクオオカミ。
イエイヌ「タイリク先生、恐い作り話は程ほどにしてください」
ともえ「作り話?」
ロードランナー「ってことは、嘘だったのか!」
タイリクオオカミ「全部が嘘じゃないよ、図書館の本やいろんな場所にある昔話からヒントを得てるからね」
イエイヌ「まったく、私もすごく怖い思いさせられたんですよ」
タイリクオオカミ「お詫びと言ってはなんだけど、これをあげるよ」
怒るロードランナーにも動じず、タイリクオオカミはともえにいくつかのスタンプが押された細長い紙を手渡した。
ともえ「これは?」
タイリクオオカミ「この音楽祭のリハーサル見学チケットだよ、演出を手伝ったお礼でもらったんだ」
ともえ「いいんですか?」
タイリクオオカミ「助手が苦労して私の分のチケットを手に入れたから、そっちは君たちが使ってほしい」
ロードランナー「気前がいいな」
イエイヌ「そういうところがあるから憎めないんですよ」
ともえ「ありがとうございます、あ、あとでスケッチさせてくださいね」
タイリクオオカミ「その時は私も君をスケッチさせてもらうよ」
ともえはタイリクオオカミは固い握手をしてから、再びステージへと向かう。
すでに自由に入れないようになっており、ともえたちも白に黒のオーバーオールのフレンズに止められる。
ともえ「えっと・・・図鑑だとミナミコアリクイちゃんだね」
ミナミコアリクイ「なんだよ、チケットがないならあっち行ってよぉ」
イエイヌ「はい、チケットですよ」
ミナミコアリクイ「通っていいよ」
ロードランナー「なんだかノリが軽い気がするけど・・・って、リハーサルなのに結構人がいるな」
まだリハーサルにもかかわらず、会場にはたくさんのフレンズがいた。
舞台上ではツチノコと、ネコ科のフレンズがリハーサルの真っ最中だった。
ツチノコ「スナネコ、これが本番で使うマイクだ、違和感ないか?」
スナネコ「いい感じですよ」
ツチノコ「一曲歌うか?」
スナネコ「ですね」
スナネコと呼ばれたフレンズは、ギターをツチノコから受け取ると、それを引きながら歌い始めた。
ともえ「いい歌、絵にもなる」
イエイヌ「ほんとですね」
ロードランナー「そーだなー」
スナネコの歌は、どこか儚くも、ひきつけられるものであった。
そんなスナネコの姿を描いてると、ともえの視界、その端に見覚えのある黒が入る。
ともえ「あれって・・・ちょっとごめんね」
ともえはイエイヌにそう声をかけてからその黒のもとへ向かう。
視界の隅は言った黒は、以前、ハイウェイにつく前に出会った黒いアードウルフだった。
今度は顔も見れたが、普通のアードウルフで、羽織ったコートは胸元のきれいな緑の宝石が付いたブローチで止められていた。
ともえ「あの、お久しぶりです」
黒アードウルフ「あら? あなたはこの前の」
ともえ「あたしはともえって言います」
黒アードウルフ「そう、アードウルフ、そう呼ぶのが適切かしら」
ともえ「えっと、アドちゃん?」
黒アードウルフ「それでもかまわないわ」
黒アードウルフはともえに視線を合わせない、それでも会話をしてくれた。
ともえ「アドちゃんも、音楽祭を?」
黒アードウルフ「ここは新しい輝きがたくさん生まれるから」
ともえ「皆、笑顔できらきらしてますね」
黒アードウルフの言う通り、ここに集まったフレンズはみんな笑顔で、とても輝いて見えた。
黒アードウルフ「かつて人は、この輝きを残そうとした」
ともえ「輝きを?」
黒アードウルフ「ビデオ、CD、フィルム、レコード、音や映像として、人は永遠に残そうと試みた」
ともえ「???」
黒アードウルフ「でも、すべては永遠ではなかった、どれもわずかな時間の経過により、失われた」
ともえ「わずかな時間?」
黒アードウルフ「そう、人の叡智でも、永久に残し、再現は不可能だった」
CDやビデオはさっぱりわからなかったが、それがとても難しいことであることはともえにもわかった。
黒アードウルフ「だが、あの子すら支配した我等なら」
ともえ「われら?」
黒アードウルフ「少し話過ぎたようね」
黒アードウルフはリハーサルの最中にも関わらず、ステージに背を向ける。
ともえ「へ、帰っちゃうんですか?」
黒アードウルフ「目的は果たした、不安要素はあるが、上手く行けば貴女も」
ともえ「あたしも?」
その意味を訪ねようとしたが、人混みの中に消えてしまった。
ともえがイエイヌ達のところへ戻ると、早速イエイヌに抱きつかれた。
イエイヌ「何処に行ってたんですか、もうすぐ始まりますよ」
ロードランナー「全く、どうせスケッチでもしてたんだろ?」
ともえ「そんなところ、かな?」
笑って誤魔化しつつ、皆と音楽祭の開演を今か今かと待っていたが。
ラモリ「警告! サンドスターローノ濃度上昇ヲ確認、又、付近ノラッキービーストカラノ目撃報告多数!」
ともえ「もうすぐ始まるのに!?」
イエイヌ「ともえさんはラモリさんのそばに」
ロードランナー「ハンターも動き出したぜ」
会場にもラモリの警報と同じ音が響く。
会場に居たハンター達も慌ただしく動き出す。
その中の1人、カラカルがステージに上がる。
カラカル「ハンターのカラカルよ、単刀直入に言うわ、セルリアンが多くててが足りないから、戦いが得意な子はてを貸して!」
それだけ言うと、カラカルはステージを降りて駆けていく。
ステージ前に居たフレンズの中から少しだがついていくフレンズが出た。
イエイヌ「ゴマさん、私達も」
ロードランナー「だな」
ともえ「あたしも」
イエイヌ「ともえさんは駄目です、ハンターが足りないくらい多いんですよ」
ロードランナー「それに、ともえは戦いは苦手だろ」
ともえ「そうだけど」
イエイヌ「ここで待っていてください、ラモリさん、お願いします」
ラモリ「マカセテ」
ともえ「まって」
ともえも着いていこうとしたが、ラモリに服の裾を捕まれ、かなわなかった。
カラカルに率いられた一団が現場につくと、ハンター達の指揮を採る、大きな熊の手がついたハンマーを手にしたフレンズが、キンシコウとリカオンを引き連れてやってきた。
カラカル「ヒグマ、協力してくれる子達を連れてきたわ」
ヒグマ「そうか、君達、大型はハンターで対処する、小さいのを相手に、二人以上で当たってくれ」
イエイヌ「ゴマさん、聞きましたね」
ロードランナー「お前と一緒にだな」
イエイヌ「はい、ここで倒せば、ともえさんを守れます」
ロードランナー「無茶だけはするなよ」
ヒグマ「来るぞ!」
ヒグマが叫ぶと共に、フレンズ達は散開する。
木々の間から現れたのは、フレンズよりやや大きいカタツムリに似たセルリアンが5体、フレンズの腰ほどの小型セルリアンがその数倍はいた。
ロードランナー「多いだろ!」
イエイヌ「文句を言ってもセルリアンはきいてくれませんよ」
ロードランナー「言わなきゃやってらんないんだよ」
ヒグマ「先ずはでかいのから二人ともいくぞ、かばんが見つけた道具もある!」
キンシコウ「了解」
リカオン「了解っす」
ヒグマが小型セルリアンを熊手で蹴散らし、その隙にキンシコウとリカオンが大型セルリアンに接近する。
だがセルリアンもカタツムリの胴体部分から生えた触手を、先端をワニの口に似た形にかえ、
勢いをつけて二人に伸ばす。
キンシコウ「来ました、構えて」
リカオン「オーダー了解」
キンシコウとリカオンは避けずり左腕を向ける。
そこには透明で、フレンズの胴体を覆うくらいの、真ん中にジャパリパークのマークが入った板がくくりつけられていた。
セルリアンのワニグチ触手はその板に噛みつくが、砕く事ができない。
無防備になったセルリアンに、ヒグマの強烈な横からの一撃が入り、セルリアンは砕け散った。
ヒグマ「先ずは一体、この調子でいくぞ」
イエイヌ「凄い、一瞬で」
ロードランナー「流石、ハンターだな」
カラカル「そこの二人、ぼぉっとしない!」
イエイヌ「すいません!」
ロードランナー「ごめんなさい!」
カラカル「全く、こっちも行くわよ」
カラカルに叱られ、ヒグマ達に見とれていたイエイヌ達は小型セルリアンの相手を再開する。
それを確認したカラカルも、行動を開始した。
カラカル「見た感じ、石は胴体、ここから見えないとなれば」
カラカルは小型セルリアンの隙間を縫って大型セルリアンに接近すると、自慢のジャンプで空に飛び上がる。
カラカル「石は胴体と殻の間、それなら」
石の位置を確認するとカラカルは腰に刺していたY字型の頭に紐のようなものと、長い半円形のものがついた見た目の道具、スリングショットを取り出すと腕宛を下ろし、丸く削ったサンドスターのかけらをつがえ、石目掛けて放つ。
小さくともサンドスター、正確な狙いで放たれたそれは石を砕き、セルリアン本体も砕け散った。
カラカル「どんなもんよ」
ロードランナー「あんなのありかよ」
イエイヌ「あれ、スタッフ用のパチンコです」
ロードランナー「ぱち・・・?」
イエイヌ「投げるより遠くに飛ばす道具です、なんでカラカルさんが」
ロードランナー「そんなのあとにして今はこっちだろ」
イエイヌ「そうでした!」
イエイヌは近づいてきた小型セルリアンの頭にある石を爪で潰し、ロードランナーは蹴り飛ばす。
大型セルリアンをハンター達が押さえているお陰で、セルリアンは数が多いだけで何とかなっていた。
イエイヌ「・・・この臭い」
ロードランナー「どうしたんだ?」
イエイヌ「間違いない、この臭いは!」
ロードランナー「おい、どうしたんだよ!?」
イエイヌは何かの臭いを感じ取ると、唸りながら身構える。
ロードランナーもよくわからないが身構える。
そして、ともえも又、この気配に気づいていた。
ともえ「・・!ラモリさん、あたし、やっぱりいく」
ラモリ「ダメダヨ」
ともえ「ごめん、行かないと!」
ラモリの制止も聞かずともえはバイクに跨がるとイエイヌ達のところへ急ぐ。
ラモリも諦めたのか側車に飛び乗った。
その間にも、イエイヌ達にそれは近づいていた。
イエイヌ「この臭い、間違いない」
ロードランナー「一人で納得してないで教えろよ」
イエイヌ「来ます!」
カラカル「!、セルリアンじゃないのが来るわ!」
セルリアンの後から影が飛び出す、それはヒグマに迫る。
ヒグマも気がつき備え、直後に鈍い音が響く。
影の正体を知り、ハンター達は驚愕した。
ヒグマ「こいつ、ビーストだと」
トラのビースト「ガルルル」
イエイヌ「やっぱり、雪山で会った」
ロードランナー「ビーストって、あのヤバイのか?」
イエイヌ「そうですよ」
影の正体、それはイエイヌがともえと雪山で出会ったトラのビースト、両腕には切れた鎖のついた拘束具、首には黒い首輪がついていた。
トラのビーストはヒグマから離れると構え直す、ヒグマも建て直そうとしたが、セルリアンがそれを妨害する。
キンシコウ「セルリアンがビーストを助けてる、そんなことって」
リカオン「あり得ないっすよ、ビーストは見境なしっすよ!」
ヒグマ「考えるのはあとだ、何とか抑え込むぞ!」
カラカル「手を貸すわ、そこの二人は下がってなさい!」
カラカルは赤い玉を手に取るとビースト目掛けて放つ。
ビーストは腕の一振りでこれを防ぐ、直後にキンシコウが如意棒で突くが躱され、逆に如意棒をつかまれそのまま吹き飛ばされる。
間一髪のところでリカオンが受け止めたが、セルリアンに襲われ後退する。
カラカル「あいつ、唐辛子液を食らっても平気みたいね」
ヒグマ「動きも早いが、セルリアンが邪魔だ!」
カラカルとヒグマは伸びてきたセルリアンの触手をはたき落とす。
セルリアンだけ、ビーストだけなら何とかなる、だが同時に相手をするほど余裕はない。
ハンターでさえこの状況、他のフレンズは自分の身を守るので精一杯だ。
ロードランナー「イエイヌ、一旦下がって他の奴等と」
イエイヌ「あの動き・・・っ!」
ロードランナー「おい、待てよ!」
林の中まで下がっていたロードランナーとイエイヌだったが、突如としてイエイヌが飛び出す。
ビーストがそれに気が付き殴りかかる、だが。
トラのビースト「グガァァァァ!」
イエイヌ「!」
イエイヌは体をひねってこれを避けると、ビーストの足を引っかけて転ばせる。
ビーストもただでは倒れまいと爪でひっかきにくるが、これを前転でかわす。
ロードランナー「イエイヌ戻れ! あいつはヤバイって」
イエイヌ「私が相手します、ゴマさんはその間にセルリアンを、邪魔されたくないんです」
ロードランナー「あぁもうわかったよ、やばくなったら逃げろよな!」
ロードランナーも出てイエイヌの邪魔はさせないとセルリアンにちょっかいを出して注意を引く。
イエイヌはビーストの攻撃を避けていく。
イエイヌ「動きが目で追える、これなら」
イエイヌはビーストの動きを追えた、回避し続けるならそれで充分だった。
イエイヌが避け続ければ、ビーストにスキが生まれる、そして。
キンシコウ「たぁ!」
トラのビースト「!」
ビーストはわきから突き出された如意棒を体をそらして避ける、キンシコウは一度距離をとるが、セルリアンを減らしていたリカオンもヒグマもくる。
ヒグマ「そろそろ帰ってくれないか?」
トラのビースト「ガルルル・・・」
キンシコウ「帰ってはくれないようなら」
リカオン「少し眠ってもらうっすよ」
ハンターとイエイヌに囲まれたビースト。
ジリジリとにじりよる四人、ビーストは逃げる素振りを見せなかったが。
トラのビースト「ガアァァァァァ!」
リカオン「!、サンドスターが」
キンシコウ「ビーストに」
イエイヌ「まずい、皆さん離れて!」
ヒグマ「走れ!」
咆哮と共にビーストの周りにサンドスターが渦を巻いて集まりだす。
イエイヌとヒグマの警告で動き出すが、僅かに遅かった。
トラのビースト「グアァァァァ!」
再度の咆哮、ビーストの周りで渦を巻いていたサンドスターが赤く輝き、そして炎になり、天まで貫く柱となった。
ともえ「な、なにあの炎!?」
ラモリ「アレハフレンズノ技ダネ」
ともえ「あれが」
バイクを飛ばすともえにも、炎の柱ははっきりと見えた。
そして、ともえの胸に不安がよぎる。
ともえ「イエイヌちゃん、ゴマちゃん、もっと急がないと」
ラモリ「オソラク、アノ炎ノ近クニイルヨ」
ともえ「補助はお願いね!」
さらにバイクの速度をあげるともえ、倒れないようラモリが補助する。
そしてあの炎の近くまで来ると、周りには怯えたフレンズ達、そして。
ロードランナー「ともえ、なんできたんだよ!」
ともえ「二人が心配だったから、イエイヌちゃんは」
ロードランナー「ごめん、さっきのよくわかんねぇのではぐれちまった、動けなくなったやつを避難させるので」
ともえ「ありがとう、ラモリさん、ゴマちゃんと動けなくなった子を助けてあげて、バイク動かせるんでしょ」
ラモリ「無論ダ、了解シタヨ」
ロードランナー「お前はどうするんだよ」
ともえ「イエイヌちゃんを助けにいくの!」
ロードランナー「待てって、お前もかよ、ボス、急いで運んで追いかけるぞ」
ラモリ「ワカッテル」
イエイヌを探しにいくともえ、止めるのが間に合わなかったロードランナーはラモリと炎の柱で腰が抜けたりして動けないフレンズの救助に回る。
ともえ「イエイヌちゃん、いたら返事して!」
イエイヌを呼びながら、森の中を駆けるともえ。
周りには火の粉が漂っているが、草木は燃えていなかった。
そんな異様な森の中を、ともえは必死になってイエイヌを探す。
ともえ「イエイヌちゃーん!・・・イエイヌちゃん!」
木々の間に倒れたイエイヌを見つけて、急いで駆け寄る。
抱きかかえると、少しうめいて、目を覚ました。
イエイヌ「ともえ、さん、なんで・・・」
ともえ「心配だったからかだよ、ゴマちゃん達のところまで行くから」
イエイヌ「ともえさ・・・っ!あぶない!」
ともえ「へっ?」
肩を貸して立ち上がったとき、ともえはイエイヌに突き飛ばされ一緒に倒れる。
先ほどまでいた場所に、炎が走る。
ともえ「あの子って」
イエイヌ「ビースト・・・です」
トラのビースト「ガルル」
炎の正体、それはビースト、その両手は炎をまとっていた。
低いうなり声を出しながら、二人をにらみつける。
イエイヌ「ともえさん・・・逃げてください・・・」
ともえ「そんなことできないよ」
イエイヌ「ヒトを守るのが、私の使命、約束なんです」
ともえ「やめて、イエイヌちゃん!」
イエイヌがふらふらと立ち上がるが、ともえがそれを止めようとする。
それを許してくれるほどビーストはやさしくない。
トラのビースト「ウガアァァァァァァ!」
ともえ「!」
イエイヌ「ともえさん!?」
咆哮をあげ、襲い掛かるビーストからイエイヌを守るため前に出るともえ。
イエイヌが止めるも間に合わず、ビーストの拳が迫る、フレンズの拳をヒトのともえがまともに食らえば、どうなるかは明白だった。
それを見たくなかったイエイヌは目をつむる、だが、それは来なかった。
イエイヌ「・・・え?」
トラのビースト「グルルル」
ともえ「うぅ・・・!」
イエイヌが見たもの、それはあとすこしで何かに拳を阻まれるビースト、そして前進から淡い光を放つともえの姿。
イエイヌ「これって、ともえさんが・・・」
呆然とするイエイヌ、その間にもビーストは一度後ろへ下がるも、防いだなにかはまだあった。
ともえ「イエイヌちゃんを、これ以上、傷つけないで!」
トラのビースト「・・・グガァー!」
ビーストは再び拳に炎をまとわせ殴りかかる、だがともえを守る何かに触れたとき、炎は引きはがされ、拳は再び止められる。
さらにそれが輝きを増したとき、ビーストの首輪にひびが入る、その時であった。
・・・タス・・・ケテ・・・
ともえ「!」
イエイヌ「!?」
何かの声が二人に聞こえる。
ビーストは何かを壊そうともう片方の腕を振り上げるが。
ヒグマ「いいかげんに、しろ!」
トラのビースト「!」
キンシコウ「二人から、離れなさい!」
どこかに飛ばされていたのか、ヒグマとキンシコウがビーストを引き離す。
ビーストはあきらめたのか、どこかへと走り去っていった。
あたりに、静寂が戻る。
ヒグマ「二人とも、大丈夫か?」
イエイヌ「は、はい、ともえさん」
ともえ「よかった、イエイヌちゃんが、無事で・・・」
イエイヌ「ともえさん!?」
二人を守った何かが輝きとなって消えると、ともえは意識を失い、イエイヌにもたれかかる。
その時、輝きがともえの胸に下がるお守りに集まっていたが、誰も気が付かなかった。
ー
ーー
ーーー
「もう大丈夫ですよ」
誰?
「頼まれたんです、あなたを連れ出して、守ってあげてって、ご両親から」
お父さんと、お母さんから?
「はい、すぐにここを出ましょう、大丈夫、私が守りますから」
でも、お父さんもお母さんももう、それに、知らないヒトには。
「なら、ほら、これならわかりますよね」
これって、もしかして。
「ね、知ってるヒトでしょ」
うん、ここから、でれるの?
「はい、今なら外に出れます、急ぎましょう、眼鏡のガイドさんがすぐ近くまで来てるはずですから」
ーーー
ーー
ー
ともえ「・・・あれ? あたしは」
イエイヌ「ともえさん!」
ともえ「わふっ! イエイヌちゃん?」
イエイヌ「よかった、なんで、あんな無茶を!」
ともえ「え?だって、イエイヌちゃんが心配で・・・ビーストは? フレンズちゃん達は?」
目を覚ましたともえは、涙目のイエイヌに抱き着かれた。
半分寝ぼけてイエイヌの頭をなでていたともえは、意識を失った後のことを尋ねた。
イエイヌ「ビーストは行く手をふさぐセルリアンを倒してどこかに行ったと、スカイダイバーズの皆さんがおっしゃってました、残ったセルリアンもカラカルさんが中心になって」
ともえ「そう、助けてくれた二人は?」
イエイヌ「吹き飛ばされただけだったので、リカオンさんがゴマちゃん達を呼んできてくれて、皆でともえさんを運んだんですよ」
ともえ「そうなんだ、ところで、ここは・・・テントの中?」
ある程度事態を把握すると、ともえは自分がどこにいるのかに意識を向けることができた。
自分がいるのはいつものテント、だがバイクが見当たらない、どこへ行ったのか見渡していると、誰かが入ってきた。
ロードランナー「よぉ、目が覚めたか」
ともえ「ゴマちゃん」
イエイヌ「ゴマさん、お水ありがとうございます」
ロードランナー「もういらなそうだけどな」
ロードランナーは片手に水の入った桶を持っていたが、それを地面に置く。
足元には、ラモリもいた。
ともえ「ラモリさん」
ラモリ「トモエ、無茶ハダメダヨ、危ナイナラ逃ゲナイト」
ロードランナー「そうだぜ、聞いた話じゃ、セルリアン退治の時、フレンズが相手して、ヒトはその後ろで手助けしてたらしいし、ビーストに挑むなんて無茶だぜ」
ともえ「ごめん」
イエイヌ「そうですよ、今後は、私に任せてください」
ともえ「でも」
ロードランナー「俺様だっているし、道具ならラモリのやつが持ってるんだろ?」
ラモリ「トモエ、今回ハ僕ノミスダヨ、今後モ助ケルタメニムチャスルナラ、対応スルヨ」
ともえ「皆」
自分がいかに危険なこと、そして心配をかけたのか、ともえはようやく理解した。
けど、大切な友達が危ないのにじっとしてるのは、やっぱり性に合わない。
ともえ「でも、あたし、やっぱり」
イエイヌ「もう、なんで危ない目にあいに行くんですか」
ロードランナー「そうだぜ、さっきハンターと博士が話してたけど、そのお守りがなきゃ危なかったらしい時じゃねえか」
ともえ「お守り?」
イエイヌ「そうですよ、何か壁?ができて、ビーストの拳を防いでた」
ともえ「壁?何のこと?」
イエイヌ「まさか、覚えてないんですか?」
ともえ「ごめん、無我夢中で」
ロードランナー「なんじゃそりゃ」
ラモリ「火事場ノ馬鹿力ダネ」
ふいに、笑い声が響き、笑みがこぼれる、話はこれでおしまいと、ロードランナーが口を開く。
ロードランナー「おっと、もうすぐライブが始まるぜ」
ともえ「始まるんですか?」
イエイヌ「中止かもって」
ロードランナー「予定変更はあるけど、やるってよ」
ともえ「そうなんだ、あたし行く!」
イエイヌ「あぁ、待ってください」
ラモリ「寝起キダカラ注意シテネ」
こけそうになるのをイエイヌに助けられながらも、ライブ会場へ向かうともえ達。
あたりは暗くなりつつあるがすでにお客はいっぱい、見たこともないフレンズもたくさんいた。
ステージはこの暗さを吹き飛ばすように、まばゆい光に照らし出されていた。
コノハ「それでは、音楽祭を始めるのです」
ミミ「最初はパークを代表する、この曲なのです」
コノハ「しっかりスタートさせるのですよ」
笛のような、ふしぎな音が響き渡ると、ステージが煙に包まれる、そして飛び出してきたのは、白と黒で構成された服をきた、5人のフレンズ。
「キャー!ペパプ―!」
「こっちむいてー!」
ともえ「あれが、ペパプ」
ロードランナー「パークを代表するペンギンアイドルなんだぜ!」
イエイヌ「初めて見ました!」
プリンセス「さぁ、皆行くわよ、ようこそ、ジャパリパークへ!」
トモエから見て右端のフレンズの掛け声とともに、パークのテーマ曲が流れる。
ペパプは歌も上手く、振り付けも躍動的、まるでステージを飛んでいるかのようであった。
ともえ「すごい、これがアイドル?」
イエイヌ「すっごく、きらきらです!」
ロードランナー「パークの人気者なんだぜ、キラキラで当然なんだよ!」
プリンセス「皆ありがとう、でも、まだ始まったばかり、また会うとき、へばってちゃだめだからね!」
「もちろん!」
「次もあるのー!」
「ジェーンちゃんこっち向いて―!」
歓声の中、ステージの奥に下がるペパプ、ステージのライトが落ち、暗闇に包まれる。
そして再びステージが照らされると、そこには二人のフレンズが。
???「我らの歌に」
???2「我らの踊りに」
「「酔いしれるがいい!」」
先ほどとは違い、どこか明るいテンポの曲が流れ始める。
二人は踊りはじめ、次第に会場も盛り上がっていく。
ともえ「あの二人は・・・暗くて図鑑が」
ラモリ「アレハ‛カタカケフウチョウ’ト‛ゴクラクフウチョウ’ダヨ」
イエイヌ「鳥のフレンズさん? ゴマさんしってますか?」
ロードランナー「知らないぜ」
ともえ「つまり、楽しんでしまえばいいんだね!」
イエイヌ「ともえさん・・・」
ラモリ「オ祭リハ、ノリトイキオイダヨ」
二人のことはよく知らないけど、その場のノリに合わせるともえ、イエイヌとロードランナーもそれにつられる。
終わるころには、皆盛り上がっていた。
ともえ「次は誰かな?」
イエイヌ「ここに出るってことは、すごいひとですよきっと」
ロードランナー「ボスは何か知らねぇのか?」
ラモリ「知ラナイシ、知ッテイテモ教エナイヨ」
次にステージに立ったのは、白い羽に朱が美しい鳥のフレンズと、朱に身を包んだ鳥のフレンズ。
ロードランナー「トキとショウジョウトキか」
イエイヌ「知ってるんですか?」
ロードランナー「高山にあるカフェの歌姫だって、サバンナから来た奴が行ってたぜ」
ともえ「歌姫、絵になりそう、あのに暗くて」
2羽のトキによるコーラスは、静かに響く。
そして終わったとき、会場は拍手に包まれた。
ともえ「すごかった、すごかった」
イエイヌ「胸にきました!」
ロードランナー「最高だったぜ」
ラモリ「・・・ソロジャナクテヨカッタ」
拍手は二人が見えなくなるまで続いた。
そして次は、パークを代表する彼女たちがもう一度の登場。
プリンセス「皆、待たせたわね!」
イワビー「ばててるやつはいねーよな?」
ジェーン「本当にダメな方は、無理せず医務室へ」
コウテイ「倒れたら、ダメだからな、そうなる前にだ」
フルル「あの木、かばんさんの帽子みたい」
「プリンセスー!」
「イワビー!抱いて―!」
「ジェーンさんのやさしさが染みわたるー!」
「コウテイイケメーン!」
「ふるるー!」
先ほどまでとは違う、何かが違う、ともえ達はそれを感じ取っていた。
ともえ「なんだか、熱くなってる」
イエイヌ「これが、うわさに聞くフリッパーの力」
ロードランナー「お、おい、これも勢いで行くのか?」
ともえ「たぶん、それしかない」
プリンセス「そりじゃ、大空ドリーマー、いくわよ!」
曲が始まるとともに、会場に掛け声が響く。
それはステージにいるペパプをもりあげる。
PPP「「「「「そらはー、とべーないけどー、ゆめーの、つばさがあるー♪」」」」」
「「「「ふぅー!」」」
ともえ「ふ、ふぅー!」
イエイヌ「ふー!」
ロードランナー「ふ、ってタイミング逃した」
この一体感に、ともえ達はついて行くだけでやっとだった。
曲が終わったとき、3人は行が上がっていたが、笑顔だった。
ともえ「楽しかったね」
イエイヌ「はい!」
ロードランナー「音楽って、結構大変なんだな」
ペパプが下がり、会場の空気が少し落ち着くと思っていたが、そうではなかった。
最後のトリが残っていた。
ステージに上がったのはリハーサルをしていたスナネコ、ツチノコ、そして見慣れないフレンズだった。
そのフレンズは丸い輪っかがたくさんついたものの前に、スナネコはギターを、ツチノコは黒い板のようなものの前に立っていた。
スナネコ「スナネコです、歌います」
ツチノコ「ナミチー、合わせるんだぞ」
ナミチー「きひひ、任せて」
ともえ「スナネコちゃんとツチノコちゃんと、もう一人は?」
ラモリ「‛ナミチスイコウモリ’ダネ、イタズラズキナフレンズラシイヨ」
イエイヌ「いたずら?」
ロードランナー「そんな雰囲気ねぇぞ」
そんな疑問を抱いてるていると、ナミチーの軽快なリズムを合図にに曲が始まった。
スナネコ「合縁奇縁一期一会♪、袖すりあうも多少の縁♪」
ともえ「これって」
イエイヌ「すごい」
ロードランナー「演奏しながら」
ラモリ「ナミチスイコウモリガドラム、ツチノコガシンセサイザーダネ」
ラモリが説明しているがともえ達の耳には届いていない、それほどに会場は盛り上がっていた。
スナネコ「たまには二人話し合おう♪嫌なこと全部吐き出そう♪」
「スナネコ―!天使―!」
「ツチノコ!こっちみてー!」
「ナミチー!いたずらしてー!」
みな、スナネコの歌に夢中であった、そして。
スナネコ「つまりはこれからもどうかよろしくね♪・・・・・・・・・満足♪」
「「「「ふぅー!」」」」
歌い終わるとともに、歓声がとどろく、音楽祭はこうして、たくさんの輝きとともに幕を閉じた。
ともえ「たのしかったね、イエイヌちゃん」
イエイヌ「はい! 次があったら、また来たいですね」
ロードランナー「今度はハイウェイでやってくれねーかな」
ラモリ「楽シメテヨカッタネ」
音楽祭も終わり、バイクまで戻ってきたともえ達、すでに日が暮れているので、ここで一泊することになった。
ともえ「明日から、またフレンズちゃん達に聞いて回らないと」
イエイヌ「そうですね、どこかに知ってるフレンズがきっといます」
ロードランナー「パークは広いからな」
島の長も知らない相手を探す、それは難しいかもしれないが、あきらめる気はなかった。
そろそろ寝ようかと支度を始めたとき、訪ねてくるフレンズがいた。
カラカル「ここにいたのね」
ともえ「カラカルちゃん、どうしたの、こんな遅くに」
イエイヌ「夜行性の子はこれからが本番ですよ」
ロードランナー「飯はもう食っちまったぞ」
カラカル「そんなんじゃないわよ、その、ごめんなさい」
カラカルは頭を深々と下げた。
カラカル「危険な目に合わせて、本当はビーストみたいなのはハンターが対処しないといけないのに」
イエイヌ「頭を上げてください、私もともえさんも無事なんですし」
ともえ「そうですよ、それにカラカルちゃんが残ったセルリアンを退治してくれたから、音楽祭だって」
ロードランナー「そうだぜ、頭を上げろって」
カラカル「でも…そうね、なら、あんた達の探してる相手、あたしも探すわよ」
ともえ「いいんですか?」
カラカル「危ない目に合わせたんだから、このくらいは当然よ」
ともえ「なら、守護けもさんって知りませんか?」
カラカル「守護けもさん・・・」
ともえの問いに、カラカルは顎に手を当てて考える。
カラカル「あいつ、会えないわよ」
ともえ「そうですか」
イエイヌ「残念です」
ロードランナー「手掛かりなしか・・・ん?」
ともえ&イエイヌ&ロードランナー「「「会えない?」」」
カラカル「そうよ、ボスの縄張りって場所にいて、取り巻きに門前払いされるもの」
カラカルの言葉、会えない、それはつまり、彼女が守護けもさんを知っているから出てくる言葉であった。
そしてボスの縄張り、それは間違いなく、居場所であった。
カラカル「ごめんなさい、力になれなくて」
ともえ「そんなことないです!」
イエイヌ「そのボスの縄張りはどこに!」
ロードランナー「おい、早く教えろよ!」
カラカル「顔が近い、落ち着きなさい、あたしが案内してあげるから!」
思わぬところからでた手がかり、旅は大きく前進する。
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しろげ「あおかげさん、お元気そうで」
あおかげ「そちらも元気そうだな」
くりげ「そっちも情報あった?」
あおかげ「あぁ、急いで報告しないといけないことがな」
あおかげ「というわけでして、彼女はヒトのフレンズでない可能性があります」
しろげ「それと、例の施設で見つかった使用後は、関係があると思います」
くりげ「だからね、正式に調査の続行をお願いします」
あおかげ「よし、これでもうしばらくパークにいられるぞ」
しろげ「沖の皆さんにも、連絡を入れておかないと」
くりげ「でもうれしそうだったね、博士」
あおかげ「そうだな、もう会えないと思っていた相手が、生きてたんだ、うれしくもなるさ」
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