けものフレンズR ・君と歩く道・   作:yatagesi

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ゴマちゃんことロードランナーが加わり、にぎやかな旅をするともえ一行。
音楽祭を目指す中、フレンズが作った休憩所で白い狐のフレンズのミケツ、そのお供のオオミミギツネに出会う。
ラモリさんがソーラーパネルを充電して、イエイヌとオオミミギツネがお茶を入れている間、ともえはミケツに人の無関心と裏切り者の話を聞く。
お茶が終わった後、音楽祭の会場まで同行、そこで二人とはお別れ、また会えるといいな。
音楽祭にはたくさんのフレンズ、島の長二人にツチノコちゃん、それとカラカルちゃん、もうたくさん。
その中にこの前会った不思議なアードウルフも、なにかよくわからない話をしてたけど。
もうすぐ始まるというところでセルリアンがやってきた、イエイヌとロードランナーもハンター達とともに戦うも、そこにビーストが加わり大変なことに。
ともえも駆けつけて、イエイヌを助けようとしてビーストの前に立ちふさがる、あわや大けがというところで不思議なことが起きて、二人は無事、でも、あの声は・・・。
音楽祭は大盛り上がりで終了、一泊しようとしたところでカラカルちゃんがやってきた、そしてなんと、彼女が守護けもさんの居場所を知ってるらしい。
いよいよ、守護けもさんに会えるのかな?


第5話 クリーンセンター

様々な樹が生え、場所によっては日の光りさえ遮るしんりんちほー。

フレンズもあまり使わない道を、ともえ達は進んでいた。

 

ともえ「カラカルちゃん、この道であってるんだよね?」

カラカル「そうよ、だからしっかり運転しなさい」

 

運転するともえの後ろで、カラカルが進むべき道を指示する。

 

ロードランナー「まだつかねぇのかよ!」

イエイヌ「さすがにしんどくなってきました」

ラモリ「定員オーバー、キケン」

カラカル「しかたないじゃない、これに追い付けないんだから」

 

道案内のためバイクの後ろに座るカラカル、イエイヌとロードランナーの二人は側車に体を縮めて入っていた。

一人用なので狭いのだが、カラカルの足ではバイクに追いつけないし、長時間並走することもできない。

仕方がないとはいえ、座り心地はよくなかった。

 

ともえ「もう少しなんですよね?」

カラカル「そうね、あと数本、小川も渡るわよ」

イエイヌ「結構遠いですね」

ロードランナー「なんでこんな不便な場所に住んでるんだ、守護けもって奴は」

ともえ「そうかな? あたしはなんだか雰囲気あっていいと思うけど」

 

細い道の先に住んでいるというのは、なかなか趣があるのではないかと思うともえ。

カラカルの案内で進むと、これまでパークで見てきたのと違う、灰色の橋が架かっていた。

 

ともえ「なにこれ?」

カラカル「コンクリートの橋よ、この辺りはこんなのばっか」

イエイヌ「ハイウェイのと、一緒なんですな」

ロードランナー「なんだ? ここにもハイウェイが通る予定だったのか?」

ラモリ「検索、該当ナシ、ココハ関係者以外立チ入リ禁止エリアダネ」

カラカル「あら、今は関係ないでしょ?」

ラモリ「ソウダネ、パークハ営業シテナイカラネ」

 

木製の橋よりもしっかりしたコンクリート製の橋を渡る。

下が見えなければ地面の上と勘違いしそうなくらい安定していた。

道も土がむき出しの状態から、舗装された砂利道にかわる。

 

ともえ「ここら辺は、手入れされてるんですね」

カラカル「ボスが手入れしてるわよ、ほら、あそこにも」

イエイヌ「何か運んでますね?」

ロードランナー「ほんとだ、なんか薄っぺらいのは混んでんな」

ラモリ「漂着物ダナ」

 

すれ違ったラッキービーストはみな頭に赤茶色のよくわからないものを乗せていた。

なかには壊れたラッキービーストを乗せている子もいた。

 

ともえ「ボスとたくさんすれ違うね」

イエイヌ「たしかに、ここまですれ違うのは珍しいですよ」

ロードランナー「ボスの縄張りは伊達じゃないってことか?」

カラカル「そうね、でも、ここまで奥にくる子は多くないわ」

 

道を進む旅、ラッキービーストとすれ違う、ふとともえは、気になったことをカラカルに尋ねる。

 

ともえ「ところでカラカルちゃんは、どうして守護けもさんに?」

カラカル「それをいうなら、あなた達こそ」

ともえ「えっと、私は記憶がなくて、昔のことを知れば何か分かるかなって」

イエイヌ「昔のヒトの暮しとか、たくさんヒトがいた場所がっわかれば、何かヒントがあるんじゃないかって」

ロードランナー「行かなきゃいけない場所だっけ? それがわかるかもしれねぇ、だっけ?」

カラカル「ふーん、なんだ、私と似たり寄ったりね」

ともえ「カラカルちゃんも」

カラカル「ここで止まって」

 

 

 

カーブに差し掛かる、カラカルが話を遮り制止させるとバイクを降りてその先をのぞき込む。

 

カラカル「やっぱりいるわね」

ともえ「どうかしたの?」

カラカル「いつも門前払いにするやつがいるの」

ともえ「こ、怖い人?」

イエイヌ「ともえさん」

カラカル「まぁ、今はヒト、ともえがいるし、いつもと違うかも」

ロードランナー「適当だな」

カラカル「こっちよ、ゆっくり前進して」

 

カラカルの指示でバイクを前進させる、カーブを抜けた先には鉄のフェンスとゲート、そしてその前には黒いラッキービーストと腰に何かを下げている、眼鏡をかけ灰色の長髪をもち、白を中心として服をまとったフレンズがいた。

 

カラカル「ヘビクイワシ、少しいいかしら?」

ヘビクイワシ「カラカル君ですか、何度も言いますがここは立ち入り禁止です、そちらの方々は?」

ともえ「ともえです」

イエイヌ「イエイヌです」

ロードランナー「ロードランナー様だ」

ヘビクイワシ「ふむ、ヒトがいれば入れると考えたのですね」

 

ヘビクイワシはメガネに手を当てる、知的な空気をまとう彼女に、ともえはついつい筆を取り出しスケッチしていた。

 

ヘビクイワシ「ですが、この施設にあるものは危険なものが多いので、入れるわけにはいきません」

カラカル「なによ、いつもながらけち臭いわね」

ともえ「あの、ヘビクイワシちゃん、あたしたちは守護けもさんに会いに来たの」

ヘビクイワシ「守護けもさん・・・あの方のことですね、ですがあの方はここの施設長も兼任されていますので、急な面会は」

イエイヌ「そんな、少しだけでいいんです」

ヘビクイワシ「できません、私から話は通します、今日のところはおかえりください」

ロードランナー「なんだよ、けち臭いな、会うだけなのになんでそんなに嫌うんだよ」

ヘビクイワシ「ここは危ないものが多い、興味本位で入られたら大変なことになるからです」

 

杓子定規なヘビクイワシに、空気は険悪になっていく。

ともえは場所が分かったので帰ろうとするが、ラモリがヘビクイワシへと向かう。

 

ヘビクイワシ「おや、どうかなされましたか?」

ラモリ「ヘビクイワシ、コノ施設ヲ見学シタイ、ボクノ権限ナラ今スグニデキルハズダヨ」

ヘビクイワシ「上位権限者の専属個体だったのでしょうか? ですが私には確認するすべがありません」

カラカル「なによ、なんでそんなにダメなのよ!」

ロードランナー「そうだぜ、こうなったら、無理やりにでも」

ともえ「落ち着いて、二人とも」

イエイヌ「そうですよ、焦ってはだめですよ!」

ヘビクイワシ「カラカル君、ロードランナー君、無理矢理にでも入るというなら、こちらもそれ相応の対応をしなければなりません」

 

そういってヘビクイワシが腰から下げていて物を手に取る、それは黒い色をしていて、持ち手がついていた。

筒のようなものが上下にならび、下についた持ち手が動くと、ガシャンと独特な音が響く。

 

ヘビクイワシ「この音は、嫌な音ですが、もっと嫌な音が鳴りますよ」

カラカル「くっ、いつもその嫌なので脅してきて」

ロードランナー「なんだかわかんないけど、あんまり聞きたくな」

イエイヌ「あれって・・・って、ともえさん!?」

ともえ「あ・・・あっ・・・」

ヘビクイワシ「ともえ君?」

 

ともえは足を震わせ、顔は真っ蒼になっていた。

慌ててイエイヌがそばにより体を支えるが、ともえは立ってるのがやっとの状態であった。

 

ともえ「あれは・・・あぁ・・・いや・・・いやぁぁぁぁ!」

イエイヌ「ともえさん! 落ち着いて!」

ロードランナー「てめぇ、ともえに何しやがった!」

ヘビクイワシ「わ、私は何も!」

ラモリ「フラッシュバックノ可能性ガアルナ、トニカク救護班ヲ」

ヘビクイワシ「急ぎこちらへ、施設には医療設備があります」

カラカル「さっきはダメって」

ヘビクイワシ「私の責任です、早く」

 

急に暴れだし、かと思えば気を失ったともえは、イエイヌに抱えられ、ヘビクイワシの案内でフェンスの向こう側へと運ばれた。

 

・・

・・・

 

どうして、なんで?

 

『お前が生きてるだけで邪魔なんだ、だから、両親のもとに送ってやるんだ、感謝しろよな!」

 

*******

 

あれ?なにが、あれ?あつい、痛い、痛い・・・。

 

痛い、痛いよ、なんで、なんで。

 

「しっかりしてください、あいつは、あいつはもう何もしてこないから、だから」

 

なんで、まっかに、あぁ、あたしも。

 

「なんで、なんで平然とあんなことを」

 

さむい、さむいよ。

 

「しっかりしてください! 血が止まらない・・・こうなったら、あそこに行きます、あそこなら!」

 

さむいよ、離さいで、一人にしないで。

 

・・・

・・

 

ともえ「う、うぅ」

イエイヌ「ともえさん!」

ともえ「あれ、イエイヌちゃん? ここは」

 

ともえが目を覚ますと、目に入ったのはイエイヌの顔、そしてその向こうには白い天井。

体を起き上がらせると、そこは見慣れない部屋だった。

壁は白一色、小さなテーブルとイス、壁をくりぬいて小物を置いておくスペースがある、なんとも今までのパークとは毛色の違う場所だった。

 

ともえ「あたし、どうして?」

イエイヌ「ヘビクイワシさんが持っていたものを動かしたとき、急に体調を崩したんですよ」

ともえ「あれ、銃の音、だよね?」

イエイヌ「ともえさん、震えて」

ともえ「ごめん、あの音、怖い」

 

ともえがそう言ってイエイヌの顔を見たとき、一瞬だがその顔に赤い色が重なる。

目をつぶり首を振ると、それは消えた。

 

イエイヌ「ともえさん」

ともえ「大丈夫だよ、それより、ゴマちゃんとラモリさん、カラカルちゃんは?」

イエイヌ「三人は外のバイクを移動させてきて、目が覚めたら合流すると」

ともえ「どうして?」

???「その方がいいと、思ったからよ」

 

軽く空気の抜ける音と共に入ってきたのは、薄茶色のショートヘアーに薄茶色と黒色の縞模様に小さなポケットが付いたエプロンをつけたフレンズだった。

 

ともえ「えっと」

フクロオオカミ「フクロオオカミ、医務室の室長、してるわ」

イエイヌ「ともえさんのそばにいるのは私だけって言ったのもこのヒトなんですよ」

ともえ「そうなんですか?」

フクロオオカミ「えぇ、なんだか、二人がそうするのが、一番な気が、したから」

 

そういいつつ、フクロオオカミはともえの額に手を当てたり、目を見つめたりする。

人取り終わると、微笑みを浮かべていた。

 

フクロオオカミ「問題、なし、記憶喪失は聞いてる、から、倒れたのは、トラウマが、原因かも」

ともえ「あたしの知らない、トラウマ」

イエイヌ「ともえさん、大丈夫です、ほら、もふもふのしっぽですよ」

ともえ「イエイヌちゃん、ありがとう」

 

ともえはイエイヌのしっぽをモフモフする、さっきまでざわついていた心は落ち着きをとし戻していく。

堪能し終えたころには、いつものともえになっていた。

 

ともえ「いつモフモフしても、飽きが来ない」

イエイヌ「えへへ、自慢のしっぽですから」

フクロオオカミ「二人、とも、お友達、待たせてる」

ともえ「そうだった、イエイヌちゃん、えっと・・・どこに行けばいいの?」

イエイヌ「医療棟のエントランス、だそうです

フクロオオカミ「案内、するわ」

ともえ「ありがとうございます」

 

フクロオオカミについて部屋を出ると、白い廊下には大きな窓があって明るく、清潔感が漂っていた。

階段を下りて、広い場所に出ると、たくさんの長椅子と受付、そしてロードランナーとカラカルだった。

 

ロードランナー「ともえ、大丈夫か?」

ともえ「おかげさまで」

カラカル「ごめんなさい、あんなことになるなんて」

ともえ「気にしないで、あたしも知らないことだったし」

イエイヌ「そうですよ、ラモリさんは?」

ロードランナー「なんか話をつけてくるって」

カラカル「見学がどうとか、言ってたわね」

 

そういうはなしをしていると、エントランスの入り口からラモリと、灰色のショートヘアーに白いエプロンのフレンズがやってきた。

 

フクロオオカミ「コアラ、ちゃん、お話し、終わった?」

コアラ「はいー、施設長の準備する間、クリーンセンターの案内をするようにとー」

フクロオオカミ「わかった、ここから、は、コアラ、ちゃんに」

コアラ「よろしくですよー」

ともえ「よろしくお願いしますね、コアラちゃん」

コアラ「こちらこそー、では皆さん、こちらですよー」

 

コアラの案内で、エントランスを出る一行。

通路は天井は高く、両側に連なる窓からの明かりで照らされていた。

 

ともえ「凄く綺麗、パークじゃないみたい」

イエイヌ「はい、私のお家とも違います」

ロードランナー「ハイウェイに少しにてるけど、違うところの方が多いぜ」

カラカル「遺跡はいつくか見てきたけど、そのどれとも違うわね」

ラモリ「ココハフレンズノ利用ヲ想定シテナイカラネ」

 

ラモリの言葉に首をかしげつつ、一行は通路を進む。

終わりがあるのか不安になって来た頃、漸く扉が現れた。

 

コアラ「其では、ただ今よりー、クリーンセンター見学を、はじめますー」

ラモリ「僕モ手伝ウヨ」

ともえ「どんな場所だろうね」

イエイヌ「危ないとか、ヘビクイワシさんがいってましたよね?」

ロードランナー「どうせはったりだろ」

カラカル「だといいわね、まぁ、気にしても始まらないわよ」

 

扉が左右に開き、ともえ達はコアラ、ラモリに続いて中に入る。

通路はがらりと代わり、丸く透明の屋根となり、まるで細い管のようであった。

緩い上り坂を進むと、明るい場所に出た。

 

コアラ「ここクリーンセンターは、パークに遺されたりー、流れ着いたフレンズにとって危険なものを、解体処理してリサイクルしてるんですよー」

ともえ「危険なもの? 解体?」

ラモリ「例エバアレダヨ」

 

ラモリがアームで示す先、通路から見えるのは、下に置かれた沢山の赤錆た鉄の箱、周りには沢山のラッキービーストがいて、時折火花が煌めいていた。

 

ともえ「あれは?」

ラモリ「コンテナダヨ、滅多ニナイケド海ニ落チテ漂ウンダヨ」

コアラ「波の力でパークに流れ着くんですよー」

イエイヌ「沢山あるんですね」

ロードランナー「落としすぎだろ」

カラカル「一度に落とす量が多いのかしら」

コアラ「コンテナは、ボスの皆さんが力を合わせて、小さくしていきますー」

 

ともえ達の目の前で、コンテナの一つが屋根を切られ持ち上げらやれると、側面が内側に倒され、それも半分に切られて持ち上げられていった。

 

コアラ「ここ火を使うので、近づけません、次に行きますよー」

ともえ「火を使うなら、ヘビクイワシさんが頑固だったのも」

イエイヌ「わかりますね」

カラカル「それだけかしら」

ロードランナー「すげー!、って、置いてくなよ!」

 

遅れたロードランナーを待って、通路を進む、次のエリアは沢山の箱が並んでいた。

 

ともえ「ここは?」

コアラ「裁断エリアですよー、ここではさっきのコンテナや中身をあの裁断機で細切れにするんですよー」

ラモリ「落チタラ助カラナイヨ」

イエイヌ「本当に危険なものばかりですね」

カラカル「どっかの誰かなら落ちるわね、うん、そりゃ厳しくなるわ」

ロードランナー「スゲー、細かくなってやがる!」

 

ラッキービーストが鉄の板を沢山の牙がついた丸い物が回ってる箱に放り込むと、下から細かくなって出てくる。

あれに食べられたらどうなるのか、想像するだけで恐くなる。

それでも見学は続く。

 

コアラ「次は細かくした鉄を溶かす工程ですよー」

ともえ「あの固いのを?」

ラモリ「ソウダヨ」

イエイヌ「そもそも溶けるんですか?」

コアラ「溶けますよー、ほらー」

四人「「「「・・・え?」」」」

 

四人の目線の先、そこには真っ赤で、ドロドロしたものがでかい鍋から鍋へとうつし変えられていた。

 

コアラ「あれが溶けた鉄でー、とっても危ないんですよー」

ラモリ「サンドスター炉ノ実用化デ、パークデモ金属ノリサイクルガ可能ニナッタンダ」

ともえ「前は出来なかったの?」

コアラ「必要な物が地面の下にあるから、木を切ったり山を崩したりー」

イエイヌ「確実に揉めますね」

カラカル「パークの地下資源はそもそも多くないはずよ」

 

よくわからないが、サンドスターが凄いのはわかった。

 

コアラ「このあと、石油由来品のリサイクルも見学できますよー」

ともえ「鉄で充分です」

イエイヌ「恐いのはちょっと」

ロードランナー「おっかない物が多すぎだろ」

カラカル「一息いれたいわ」

コアラ「残念ですー、では、こちらへー」

 

少し残念な顔をしたコアラに案内され、ともえ達は通路を進む、入口と似た扉を抜けると、そこには長机と長椅子、観葉植物が置かれ、奥にはカウンターのある部屋に着いた。

 

コアラ「ヤブワラビーさーん、フクロギツネさーん、お茶のご用意をお願いしますー」

???「「はーい」」

 

コアラに呼ばれてカウンターの奥から出てきたのはメイド風のフレンズと、パティシエール風のフレンズ。

 

ヤブワラビー「初めまして、わたくしはヤブワラビーと申します」

フクロギツネ「あったしはフックロギツネだよっ♪」

ともえ「初めまして、ともえです」

イエイヌ「イエイヌです」

ロードランナー「ロードランナー様だ」

カラカル「カラカルよ」

コアラ「挨拶も終わったようなのでー。二人とも、お客様にフルーツとお茶をお願いしますー」

ヤブワラビー「かしこまりました」

フクロギツネ「まっかせてー♪」

 

ヤブワラビーはカウンターから出ると手早く机を拭きティーセットを並べる。

席につくとカウンターの奥からは甘い香りが漂い初め、スプーンとフォークが用意される。

 

イエイヌ「凄い速さ、それでいて丁寧」

ヤブワラビー「メイドとして、当然のことでございます」

ともえ「メイド?」

ロードランナー「なんだそりゃ?」

カラカル「世話好きのプロみたいなもんよ」

ロードランナー「適当だな、おい」

 

そうしている間にも、ヤブワラビーはカップに紅茶を注ぎ、フクロギツネの作ったフルーツとホイップクリームがたっぷりのったクッキーが中央に運ばれてきた。

 

フクロギツネ「エプロン愛好会特製フルーツクッキーだよ♪」

ヤブワラビー「心行くまでお召し上がりくださいまし」

ともえ達「「「「いただきまーす!」」」」

 

手に取り、一口食べればフルーツの甘味、それを引き立てるクリーム、サクサククッキーが奏でる優雅なワルツ、紅茶も主役を引き立てる名脇役。

 

ともえ「美味しい! 凄く美味しいよ!」

イエイヌ「どうすればこんな美味しい紅茶を」

ロードランナー「うめぇー!とにかくうめぇー!」

カラカル「流石はフクロギツネね、ともえ達がメロメロに」

 

美味しい美味しいと食べるともえ達に、二人はにっこりご満悦。

少し落ち着くと、ともえが気になった事を訪ねる。

 

ともえ「ところで、エプロン愛好会って何?」

コアラ「エプロン愛好会は、有袋類のフレンズを中心にしたグループですよー」

ともえ「グループ?」

イエイヌ「仲のいいフレンズや共通点のあるフレンズの繋がりや纏まりの事ですよ」

カラカル「図書館を縄張りにしてる長達もグループに属してるわ、グループの仲間が集まると小さなけもハーモニーが出来て特別な効果があるのよ」

ロードランナー「俺は知らなかったぞ!」

ヤブワラビー「今は、グループその物が少なくなっております」

コアラ「残ったのは私達のエプロン愛好会にー、博士達のまったり浮遊部くらいですよー」

ともえ「そうなんだ、あれ? ヘビクイワシさんと守護けもさんは?」

 

入口で出会ったヘビクイワシは鳥類、守護けもさんはわからないが何故か違う気がした。

 

コアラ「お二人は違いますよー、施設長はここを縄張りしていてー、ヘビクイワシさんも私達も一緒に暮らしてるんですよー」

ともえ「ここ、守護けもさんの縄張りなんだ」

イエイヌ「こんな凄い場所が縄張りで、ヘビクイワシさんやエプロン愛好会の皆さんが従ってる、間違いなく凄い人です」

ヤブワラビー「ご主人様はここをクリーンセンターにしたのですから、凄くて当然です」

ロードランナー「おい、いま何て言った?」

ともえ「クリーンセンターにした? じゃあ、最初は違ったの?」

コアラ「そうですよー」

 

最初は違った、それをコアラは否定しなかった。

 

コアラ「たしかそれを話してる人の絵がー」

ラモリ「映像ダネ、アクセススルカラ少シ待ッテネ」

コアラ「やっぱりボスは凄いですねー」

 

ラモリがアクセス中と呟きながら壁の方に体を向ける。

胸元が光ったと思うと、壁には何かが映し出され、次第に鮮明になっていく。

 

ともえ「これって」

イエイヌ「映像記録ですよ」

ロードランナー「なんだ、ボスってそんなこともできるのか!?」

カラカル「静かに、始まるわ」

 

映し出された映像には、白衣を羽織、長い髪をもふもふした尻尾のような髪飾りでまとめてポニーテールにした女性がいて、その後ろには何かの建物が見えていた。

 

女性『私の後ろに見えるのが建設中のマシナリーセンター、パークで運用されるバスやラッキービーストを初めとされる機械の製造、整備、リサイクルを目的とした施設になる予定だ』

 

イエイヌ「マシナリーセンター・・・」

ロードランナー「リサイクルって、いまもやってることだろ」

カラカル「そうだけど、何か違うみたいね」

ともえ「・・・」

 

女性は、表情を変えずに話を続ける。

 

女性『居住区と医療区画は完成、現在は現場の強い要望からリサイクル区画の建設を進めているが』

 

イエイヌ「表情が」

ロードランナー「怒ってるのか」

カラカル「隠そうとしてるけど、出来てないわね」

 

イエイヌ達の言う通り、女性の顔には怒りの色が出ていた。

 

女性『区画が予定よりも小さい、それどころか生産、整備区画の建設が始まってる、まだ処理区画は完成してないのにだ』

 

ロードランナー「処理区画?」

コアラ「汚れた物を綺麗にする場所ですよー」

イエイヌ「それがないと、パークが大変な事になるんです」

 

女性『建設は上層部の一部が独断で進めている、私利私欲で建設範囲を無断で拡大しジャパリ農園も潰すつもりらしい』

 

コアラ「ジャパリ農園はフクロオオカミちゃんが開墾したんですよー」

フクロギツネ「皆に美味しい野菜をって」

イエイヌ「ひどい」

 

女性『内偵がすみ次第、私はパークを離れてこの事を告発する、体調が安定しない私なら申請も通るだろう』

 

そう言ってから、女性の表情に悲しみが現れる。

 

女性『出来るなら、あの子達も連れていきたいたいが、皮肉なことだが・・・』

ラモリ「映像ハココマデダヨ」

ロードランナー「気になるところで終わりやがって」

カラカル「でもいまの状態からすると、告発はうまくいったみたいね」

コアラ「ジャパリ農園も無事ですしー、ここ以外は作りかけだったんですよー」

イエイヌ「なら、さっきの女性が・・・あれ? ともえさん?」

 

話が盛り上がるなか、一番に入ってきそうなともえが黙ったままなのに、イエイヌが気がついた。

 

ともえ「いまの人、知ってる、カコ博士だ!」

イエイヌ「ひゃい、と、ともえさん、カコ博士って、誰ですか?」

ともえ「さっきの映像に映ってた人だよ、それに、この前思い出した白い服のお姉さん、あの人もカコ博士だよ」

ロードランナー「じゃあ、いまの人が」

イエイヌ「ゴマさん、あの時ともえさんは、そのカコ博士より、声だけの人の方が大事だって」

ロードランナー「そうだっけか?」

ともえ「うん、それに、カコ博士の事、名前しか思う出せなくて」

コアラ「なんだかよくわかりませんけどー、大変ですねー」

カラカル「思い出せるだけいいじゃない」

 

手懸かりが増えたかに思えたが、別段そうでもなく落ち込むともえ達。

コアラ達が紅茶を渡して元気付けようとする。

 

コアラ「まー、何も分かんないよりはましですよー」

カラカル「そうよ、そのカコ博士?が分かっただけでも、前に進んでるわよ」

ともえ「コアラちゃん、カラカルちゃん」

ヤブワラビー「何事も一日にしてならず、すぐ解決する方が希でして」

フクロギツネ「そうそう、一日一歩、三日で三歩、ゆっくりこつこつ♪」

イエイヌ「ヤブワラビーさん、フクロギツネさん」

???「例え少しの増加でも、結果は大きく変わるものです」

ロードランナー「ヘビクイワシ・・・って、てめぇいつの間に!?」

ヘビクイワシ「ついさっきです、とは言え、叫ぶ必要はないかと」

 

いつの間にかいたヘビクイワシにともえ達が驚き下がる、特にともえはイエイヌの後ろに隠れる。

ヘビクイワシもそんなともえを見つける。

 

ヘビクイワシ「ともえ君」

ともえ「は、はい」

ヘビクイワシ「知らなかったとは言え、恐い思いをさせて、本当に申し訳ない」

ともえ「へ、ヘビクイワシちゃん!?」

 

ヘビクイワシは深々と頭を下げ謝罪する。

流石にともえも慌て、頭をあげるよう伝えるが、彼女は3分ほど、頭を下げ続けた。

 

カラカル「で、ここに来たのは謝罪だけじゃないんでしょ」

イエイヌ「カラカルさん、言い方」

ロードランナー「いくらなんでもそれは」

ヘビクイワシ「構いません、ともえ君」

ともえ「はっ、はい」

ヘビクイワシ「準備が終わりました、施設長との面会に向かいます」

ともえ「守護けもさんと」

イエイヌ「ようやく」

ロードランナー「随分と待たせやがって」

 

ここまで来た理由、守護けもさんとの面会。

ともえ達の目に期待の色が映る。

 

ヘビクイワシ「カラカル君は、ともえ君達の後になります」

カラカル「構わないわ、ともえ、しっかり聴いてきなさい」

ともえ「うん」

イエイヌ「それでは、お先に」

ロードランナー「じ、じゃあな」

ヘビクイワシ「こちらです」

 

カウンターの突き当たり、その壁にヘビクイワシが手をかざす。

壁が後ろに下がると右に動き、そこには少しくらいが、通路があった。

 

ともえ「隠し扉、カッコいい!」

イエイヌ「ともえさん」

ロードランナー「おめぇ、ぶれねぇな」

ヘビクイワシ「着いてきてください」

 

ヘビクイワシの先導で、薄暗い通路を進んでいく。

 

ともえ「さっきの通路と大分違うね」

イエイヌ「少し空気も淀んでますし」

ロードランナー「それになんか、暖かさがねぇな」

ヘビクイワシ「見学用通路と違い、此方は職員用ですので」

ともえ「そうなんだ」

イエイヌ「ラモリさんは平気ですか?」

ラモリ「問題ナイ」

ヘビクイワシ「階段です、足元にご注意を」

 

足元に注意しながら階段を登り、廊下を進み、また階段を登る。

どのくらい進んだのかわからないまま、ヘビクイワシは止まった。

 

ともえ「ここ、ですか?」

ロードランナー「なんにもねぇじゃないか」

イエイヌ「いえ、ヘビクイワシさんと違う臭いが」

ヘビクイワシ「流石はイエイヌ君、施設長、お客様をお連れしました」

施設長「ご苦労様、いま開けるわ」

 

施設長と思われる声がそう答えると、壁か開き、中から光が漏れる。

ヘビクイワシが此方へとジェスチャーをするので、ともえは中にはいる。

 

ともえ「お、おじゃましま・・・す・・・」

イエイヌ「ともえさん、どうしまし・・・」

ロードランナー「二人ともどうした・・・」

ヘビクイワシ「まぁ、初対面はそうなりますね」

ラモリ「三人トモ、シッカリシロ」

 

ともえ達が固まるのも無理はない。

暖かい色合いのじゅうたんがひかれ、ソファーとテーブルが置かれた応接の準備の先、そこに彼女はいた。

黄緑色を中心にスカートと首もとに黒の斑点があしらわれた服、頭には先端が虹色の翼、髪も黄緑で、その眼差しは凛々しさを感じられた。

だが、彼女がただのフレンズでなく、もっと言えば本来なら危険かもしれない相手だと、三人は感じてしまっていた。

 

施設長「私はセーバル、今は施設長で、守護けもさんの、元セルリアンのフレンズだよ」

 

彼女、セーバルは微笑みながら、ともえ達にそう告げた。





・・
・・・

あおかげ「音楽祭はもう終わってたか」
コノハ博士「来るのが遅すぎるのです」
ミミちゃん助手「もっと早く来るのです」
しろげ「なんか偉そうな方たちですね」
くりげ「そうだね」
コノハ博士「長だから偉くて当然なのです」
ミミちゃん助手「当たり前なのです」
おおかげ「長、だったら」

コノハ博士「会いましたよ」
ミミちゃん助手「来ていましたよ」
あおかげ「本当か、で、そのヒトはどこに?」
コノハ博士「わからないのです」
ミミちゃん助手「ところで、なんでお前らはともえを追っているのですか?」
しろげ「この二人、長なら事の重大さを」
くりげ「しろげちゃん、落ち着いて」
あおかげ「そうだ、ヒトがいなくなって久しいんだ、一から話そう」

コノハ博士「そ、そんな恐ろしい事態になるのですか!?」
ミミちゃん助手「に、にわかには信じられません!」
あおかげ「信じてもらわないと困る、彼女の保護はパークの平穏のためでもあるんだ」
しろげ「ですから、協力してもらえますか?」
くりげ「私達もパークを守りたいの」
コノハ博士「わかったのです、これも島を守るため、ともえを見かけたらお前らに連絡するのです」
ミミちゃん助手「この島の長なので、お前たちもしっかり探すのですよ」
あおかげ「わかってる、それと、もう一つお願いがあるんだけど」

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