とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

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嫌いな人は読み飛ばし!


101話

アザゼル視点。

 

「では今回御二方は、以前こかびえるさんがとある学校で神野さんに使った『神を殺せる術式』の解析はしない。ということでよろしいのでしょうか?」

 

俺たちの狙いが向こうにバレていた。

 

いつからだ? 誰から……は言うまでもねぇな。オセだろ? もしくはセラフォルーの妹。

 

俺だって悪魔連中の情報管理に期待を抱くほど馬鹿じゃねぇ。

 

だからセラフォルーにこっちの狙いを話した時点で情報が漏れるのは覚悟の上だ。むしろ今回は情報の漏洩を期待したってのも有る。

 

「ほほう? なにやら私が聞いた話と齟齬があるようですが……嘘、吐いたんですか?」

 

「い、や、その、嘘というか……」

 

「嘘というか、なんでしょう?」

 

「ほら、その、なぁ?」

 

爺さんがそう言いながら俺を見てくるが、残念だったな。

 

「いや、俺を見られても知らんよ。なにせ俺はこの会談に先立って爺さんが日本神話群の皆さんになんて言ったか知らねぇし」

 

「アザゼルぅぅぅ!?」

 

嘘じゃねぇぞ。お前らは口出しすんなって言われたから、口出しどころか一切関わらないようにしてたからな!

 

「そういえば、堕天使さんからはなにも言われてませんでしたねぇ」

 

「そりゃそうじゃが、わかるじゃろ? というか、わかった上で言っとるんじゃよな!?」

 

「なんのことやら」

 

明らかに理解している表情をしながらも、爺さんを許そうという気配がない鬼帝。

 

これはアレだ。

『面倒事に巻き込みやがって』っていうアレだ。

 

確かに日本神話群からみて今の俺たちは、反三大勢力組織である禍の団との抗争中の組織だからな。

 

下手に会談なんかしたら他の神話群から聖書陣営と何かしらの繋がりを持ったって疑いを持たれてしまうし、場合によっては禍の団の標的にされる可能性もある。

 

それも、直接的な攻撃とかならまだしも、無関係の一般人が襲われたりするんだから、そりゃ堪ったもんじゃねぇだろうさ。

 

反論しようにも、これまでの信用ってのが、な。

俺たち堕天使や元エクソシストが一般人を殺したり、悪魔陣営が山を壊したり、会談の日に三大勢力が争ったりしたんだから、そりゃ信用はねぇよ。

 

加えて神野の存在まで察知してるなら尚更だ。

俺だって他の勢力がこんな厄ネタを抱え込んで会談を申し込んでしたら切れる自信がある。

 

そう考えれば面倒事の主犯である俺にも何かしらのペナルティはありそうなもんだが、今のところその気配はなさそうだ。

 

……間違いなく後からOHANASHIかOSHIOKIがあるだろうが、今はいい。俺にとってなにより重要すべきは、さっき神使が言い放った一言にある。

 

「爺さんの口上はさておくとして、だ」

 

「おいィ!?」

 

爺さんの叫び声? 聞こえねぇぁ。

 

「日本神話群は神野の存在を、いや、ヤツが現界していることを把握している。それで間違いないな?」

 

そう。目の前の神使は確かに神野の名前を口にした。

 

でもって奴が名乗った神野明影とは日本の妖怪の名だ。

 

奴が数ある異名の中からその名を名乗った以上、何かしらの関係はあると思っていたし、機会があれば聞こうと思っていたんだ。その機会を向こうが用意してくれたってんなら、こっちとしては乗るしかねぇよなぁ?

 

「えぇ、勿論把握しておりますとも」

 

「……そうか」

 

「件の土地は、現在悪魔に貸し出しているとはいえ我々の土地であることに違いありませんからねぇ」

 

隠しもしねぇって? それならそれで話は早い。

 

「んじゃ、日本神話群は俺たちと足並みを揃える心算ってことでいいのか?」

 

神野の存在を知り、コカビエルの使った術式の中身を知っている日本神話群が、神野に対抗するための術式を調査しに来た俺たちと会談をするっていうのはそういうことだろ?

 

……そう考えた上で共同作戦を提案した俺と、俺の言いたいことを理解して『あわよくば助かるかも』と目を輝かせる爺さんに対し、向こうの神使はあっさりと言い放ちやがった。

 

「え? 我々日本神話群にはアナタ方と足並みを揃える心算なんかありませんよ?」

 

「「は?」」

 

 

ーーーー

 

ウィーネ視点。

 

狐殿の言葉を耳にして阿呆面を曝すアザゼルとオーディン。

 

簪殿から『後で愉しむために必要だから』と言われて預かっていた記録媒体にしっかりと記録されていることを確認している最中も、狐殿の言葉は続く。

 

「そもそも日本神話群の考え方では、神野さんは滅ぼすべき邪悪ではありませんしねぇ」

 

「「はぁ?!」」

 

神野さんの存在を肯定するかのような言葉を聞いて、さらに阿呆面を曝す両名。というか聖書の陣営の敵は、他の陣営にとっては味方でしかありませんよね。

 

「おや? 一神教である聖書陣営のあざぜる様が驚くのはわかりますけど、多神教である北欧神話群のおーでぃん様がそこまで驚くのは意外でしたねぇ」

 

二人のリアクションが面白かったのか、それとも簪様や教頭先生に見せる良い画が録れたことが嬉しいのか。おそらく両方だろう。狐殿はコロコロと笑いながら二人に日本神話群のスタンスを解説する。

 

「日が差すところに影ができるのは当然の理。故に光輝なる天照大神様が治世に神野さんのような存在が生まれることもまた必然。そう言った考えが大元にある以上、我々はアナタ方のように、影を無くそうとか、影を排除しようなどと考えることはないのです」

 

「……ふむ。確かにそういった考え方もある、か」

 

「そりゃ、そうかもしれねぇが……」

 

「光に対する影、もしくは闇の存在は不可分のものですよ。聖書の陣営で言えば、堕天使であるあざぜる様や、悪魔であるうぃーね様だってそういう存在でしょう?」

 

「……まんまそうじゃな」

 

「……」

 

そうですね。教頭先生もおっしゃっていましたが、聖書の神が絶対にして唯一の存在であり、その存在だけで世界が回るのであれば、神の敵対者である悪魔も堕天使も必要ありません。そしてそれは北欧神話群にも同じことが言えます。

 

「そういった感じなので、今のところ我々日本神話群は神野さんを敵視していません。むしろ神野さんが現界した理由を生み出した、アナタ方聖書の陣営を敵視する意見の方が多いのですよ」

 

「くっ」

 

なんかアザゼルが『痛いところを突かれた!』って表情をしていますが、実際のところ彼が現界したのは、ご主人様が『悪魔が悪魔を召喚したらどうなるんだろうな?』っていう好奇心から召喚してみたら彼が来たってだけの話なんですよねぇ。いやはや、それを知っていながらしっかりとアザゼルに釘を刺すとは。流石は狐殿。やりますねぇ。

 

「おーでぃん様があざぜる様に協力しているのは、神野さんへの対策というのもありますが、悪名高き聖書の陣営が神殺しの術式を開発、そして独占することを防ぐという狙いもあるのでしょう?」

 

「……まぁ、包み隠さずに言えばそうじゃな。神野とやらへの復讐に凝り固まっとるアザゼルの小僧はまだしも、悪魔だの天使どもがその術式を手にしたら何をするかわからんからのぉ。勢力を束ねる主神ならば、自らの勢力を脅かしかねん連中に備えるのは当然のことじゃろ?」

 

組織の長としてはその通りとしか言えません。ですがねぇ。

 

「なら最初からそう言えばいいんですよ。無駄に隠そうとするから後から面倒事になるのです」

 

「スミマセンデシタ!」

 

補佐官様の言う通りです。どーせこいつらは解析した術式を自分たちで独占しようとしていたのでしょうけど、補佐官様を欺けるはずがないでしょうに。最初から『解析目的で訪日したいのですがよろしいでしょうか?』と正直に話していれば、わざわざ会談の場を用意したり、狐殿が代理をするなんて面倒なことにはなっていないのです。

 

まぁ、今回のお説教も狐殿の実績になるということらしいですので、私も師姉様も多少の面倒には目を瞑る心算ではありますけどね。

 

「それに関しましては補佐官様のおっしゃったとおりです。『会談のため』と言われて求められる準備と、『研究のため』と言われて求められる準備は違いますからね。本来であれば私が言うべきことではないとは思いますが、他の勢力への訪問の際は注意してくださいませ」

 

「「……ハイ」」

 

「で、そういった事情を勘案した上で結論を言わせていただきます」

 

「「……」」

 

「日本神話群としては、アナタ方への協力は致しません。ですが、アナタ方が術式を解析し、研究することについて掣肘するつもりもございません。好きにしてくださって結構です」

 

「「はぁ?」」

 

断られると思ったのでしょうか。狐殿から告げられた日本神話群としての結論を耳にしたオーディンとアザゼルが揃って阿呆面を晒しました。

 

ですが内実を知る我々からすればおかしいことではありません。そもそも日本神話群にとって重要なのは既存の理を破壊しないことなのです。それを踏まえた上で考えれば、今回連中が解析しようとしている術式は、すでに教頭先生が日本神話群に提出済みのモノ。というか、元々日本神話群の上位者の方々が纏った理の応用でしかないのです。だからこそ彼らの研究を妨げる必要がないんですよね。

 

「具体的には、今回御二方が駒王町へ赴き、術式を解析したり研究する分には構いません。ただし、そうやって出来上がった術式の検証や使用を行う際は、日本国内ではなくご自分の地元でお願いします」

 

わざわざ内実を明かすつもりはないのでしょう。狐殿は驚きに固まる二人に釘を刺します。

 

日本で使うなというのは、まぁ、あれです。前にマダオさんを宿した阿呆がやったみたいに、ポンポンと山を壊されても困りますからね。

 

「それさえ守って頂けるのであれば、我々から付け加えることはございません。以上が日本神話群からの通達となります。御二方からは何かございますか?」

 

このまま二人がなにも言わないのであればそれで会談は終わり。そう思っていたのですが、世の中そうそう上手くは回らないようで……

 

「……一つ聞きたい」

 

「爺さん?」

 

「なんでしょうか?」

 

オーディンが顔を顰めながら狐殿に問いかけました。私としては「空気読め」と言いたいところですが、あくまでこの場は狐殿と連中の会談の場です。護衛に過ぎない私に発言権はありません。まぁ、あまりにも狐殿を冒涜するようなことを口にしたならば、数日後にどこかで老神の死体が揚がることになるでしょうけど、ね。

 

そんな私の思惑を知ってか知らずか、オーディンは狐殿に問いかけます。

 

「……日本神話群にとって、先日コカビエルが使用したという『神殺しの術式』とはどのような扱いなのだ?」

 

「何を……いや、そうか!」

 

なるほど。確かに先ほど狐殿はコカビエルが使用した術式について言及しましたからね。ならば日本神話群がすでにその術式を観測していると考えるのは当然のこと。さらに『自分たちの研究の邪魔をしない』ということから、オーディンはこの術式が「日本神話群がその術式を手中に収めた上で、自分たちに研究を許可する程度の術式でしかない」と考えたのでしょう。

 

そこまで考えが及べば『なぜその程度の術式が、神野さんに通用したのか?』という疑問につながりますよね。

 

その次は『実は効いていなかったのではないか?』という疑問。

さらに次は『ならば何のための偽装か?』となります。

 

一応これまでの神野さんの言動から『堕天使をおちょくるため』という理由は用意できますが、その場合どうしてもコカビエルに術式を与えた我々への不審は募りますよね。

 

現時点で我々と神野さんの繋がりが発覚するのは……あれ? 別にいいのかな?

 

あ、いや。ダメだ。現時点でそれが発覚した場合、怒るのは堕天使と悪魔の上位陣だけ。当然連中が敵に回っても討伐できるけど、それは教頭先生の望みではありません。

 

さりとて、この状況では何と答えても『日本神話群が神殺しの術式の流出を防がない』という不自然さは残りますよねぇ。

 

つまるところこの質問は、オーディンが『諸々の不自然さ』に気付いたが故の質問です。

 

 

 

 

 

 

 

流石は知恵の神にして神話群の主神と言ったところですね。こういった連中は単純な力では量れない厄介さがあります。

 

はてさて。この曲者に対して狐殿はなんとお答えするのでしょうか。

 

 

 

……証拠隠滅のご命令は補佐官様がいないところでお願いしますよ?

 

 

 

 

 

 




原作を見ても、聖書の陣営って味方になる勢力の方が少ないと思うんですけどねぇ。特に悪魔(主人公陣営)

狐殿の返答は如何に? ってお話。


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