とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

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戦いはライザー陣営の勝利で終った。
だがこの戦いが残した爪痕は大きく、
特にリアス・グレモリーとその眷属の心に
は大きなしこりが出来るモノであった。

愚かな上層部はこの戦いですべての決着が
着いたと祝杯を上げる。
だが、そんな上層部の中でさえ様々な意思が
錯綜していることに気付く者は少ない。

そう、休息とは次の戦いへの準備期間に
過ぎないのだから・・・

ギ●ンの野望風前書きっ!

オリ設定っ!
オリ展開っ!

嫌いな人は読み飛ばしっ!



13話

「あぁ・・・コレはひどいな」

 

旦那様も普通にビックリですが、気持ちは

わかります。『コレはひどい』としか言いよう

がありません。

 

この無能は一体なにやってんですかね?

自分の将来と意思を貫くために臨んだ戦いで、

格上を相手にお茶飲んでのんびり作戦会議?

さらに無駄にトラップを仕掛ける為に

戦力を単独で外に出し、部下が働いている

最中に衆人環視の中で愛人とスキンシップ?

 

兵士の駒の封印の解除と言ってますが、

悪魔の駒にそんな機能があったんですか?

 

簪からはそんなの聞いてませんが、空殿は

戦車二つ使ってましたよね?

・・・いや、空殿が全力を出せばアレなのは

聞いてますから、今のままで良いんですけど。

 

ま、まぁ空殿は良いのです。今の問題は無能。

コイツの戦略も意味がわかりません。体育館

を確保しても維持できないでしょう?

 

そもそもコイツは攻めたいの?守りたいの?

人員が不足しているから磐石な守りなど不可能

だし、そもそも素人が張った未熟なトラップに

実戦経験がある相手眷属が引っかかるとでも思ってるのですかね?

 

しかも、なんでコイツは極々自然に他者を

見下してるんですか?自分を含めて眷属全員

初陣ですよね?油断慢心出来る立場ですか?

 

「はい!あの無能は私たちの顔に何度も

泥を塗りました!それだけに飽きたらず、

今もまたグレイフィア様が何やら企んで

いるのです!コレではあんまりです!」

 

当主に望まれて婿養子として家に入るのに、

妻となる女は無能で現実を見ていないって。

 

ついでに義理の兄は結婚に反対してるし。

もう完全に支離滅裂ですよ。

 

・・・と言うか、なんで無能は今も被害者面

してるんでしょうねぇ?

 

「・・・とりあえず。あまりにもライザーが哀れなのはわかった」

 

ですねぇ。無能が当主の意見に逆らい、

さらにゲームで決めたことに従うと

言っておきながら、ソレに納得してないって。

 

むしろ。あそこまであっさりヤられたら、

全部吹っ切れると思うんですが。

 

実力の差も理解出来ただろうし・・・

出来てますよね?まさか指揮官として完全敗北

したくせに「負けたのは偶然だ!」とか、「もう一度ヤれば!」とか思ってませんよね?

 

『くっ、イッセーが無事なら・・・』とか言って

ますが、相手を案山子と勘違いしてませんよね?

 

ん~諦めの悪さを生き汚さと表現すれば中々の

モノと言えますが・・・醜いのは確かです。

 

でもって妹魂(シスコン)がソレを陰ながら

応援しようとしていると。

 

まぁこの情報はコチラが流したモノですが

そのへんはまだ理解出来てませんか。

 

しかし我々としてはアレが結婚できずに

いてくれた方が、保証人がはっきりし

ていて色々やりやすいのですけど。

旦那様はどうお考えでしょうか?

 

面白いと思えば計画の変更もしますけど?

 

「それで、結婚式が終わったら私の元に

行儀見習いに来る予定のレイヴェル殿が、

態々結婚式の前に当家に来たのは何用かな?

まさか『試合の映像を見せる』と言う、

こちらからの依頼を果たす為だけでは

ないのだろう?」

 

ですよねー。

 

本来なら映像を見せて旦那様に愚痴を

聞かせる小娘など、首を捩じ切って終わり

ですが、旦那様が解説を頼みましたからね。

 

試合が瞬殺で終わったので、試合内容では

なく、フェニックス家の所感を述べるよう

に言ったための愚痴です。

 

元々彼らの本心を聞きたかったのですから、

ソレを咎めるつもりはありません。

 

後はまぁ、本題次第ですね。

 

「は、はい!我が兄、ライザー・フェニックス

はグレモリー家の次期当主と婚姻した場合、

当主代行として親政を行う予定なんです!」

 

ほほう。こちらとしてはわかりきったこと

ではありますが、ある意味では極秘情報。

 

サーゼクスあたりが聞いたら激怒する

内容をここで臆せずに述べるとは・・・

 

「ふむ。あの無能やあれを育てた家族が

信用出来んというのは良くわかる。

私でもアイツらに仕事を任せるような事はしないだろうな」

 

ですよねー。もし何かを任せる場合だって、

せめて10年は教育した上で適性を見る形になります。

 

適性がないなら閉じ込めて捨扶持を与えて終わりですね。

 

あとはミリキャスとやらの能力次第ですが・・・

 

しかし婚姻した場合(・・・・・・)ですか。前もそんなことを言ってましたね。

 

この期に及んで上手く泥沼から抜ける

方法が・・・有るには有りますが、

自力でソレに気付きましたか。

 

ルヴァルかライザーかは知りませんが、

堕天使や天使と違い、悪魔は若手の方が

優秀なようですね。

 

「ご理解頂きありがとうございます!

つきましては我が兄、ルヴァル・フェニックス

よりオセ様に対してお願いがありまして・・・」

 

お願いねぇ・・・前回来た時に軽々しく

契約という言葉を使うなと注意しました

から、ソレを踏まえてのことでしょう。

 

更に本来ならルヴァル・フェニックスが

直接来るべき案件をこの小娘に任せたのは、

結婚式の準備やら何やらで動けない為?

 

いや自分が周囲の貴族の目を引きつける

役を担ったと言ったところでしょう。

 

こういう抜け目のなさは旦那様も好む

ところですから、無礼・不敬を問う必要も

ありません。

 

もし自分が咎められても、旦那様が小娘

の行儀見習いを受け入れると言った以上、

長男の不敬で小娘を殺すことも無いと判断

したのでしょう。

 

どちらにせよ彼らは我々を軽く見てはいないし、

万が一があってもフェニックス家が滅ぶことは

無いようにしてからの一手。

 

まったく、此処まで分不相応に有能な親族を

迎え入れることが出来るというのに、無能は

一体何が不満なのやら・・・

 

どーせ自由になってもレーティングゲームするだけでしょう?

 

なら領地運営を任せる相手が出来たと喜ぶべきでしょうに。

 

「フェニックス家の次期当主たる

ルヴァル殿からのお願いか。

現在の状況を考えれば大体予想は出来るが、

レイヴェル殿の口から聞かせてもらおうか?」

 

そうですね。内容は予想は出来ますし、

こちらが提示する条件もすでに考えています。

 

ただ、小娘の使者としての仕事を潰すわけには

いきませんからね

 

「は、はい!(わたくし)レイヴェル・フェニックスより、

オセ様に対しルヴァル・フェニックス

からのお願いをお伝えさせて頂きます!」

 

要望ではなくお願いというのが、また

なんとも間抜けではありますが・・・

そういうのも追々教えていきましょうか。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『そんなんじゃおまえは何時まで経っても強くなれない』

 

赤い夢の中で、その声は心の奥底から

いや、俺の左腕から聞こえてきた

・・・誰だ?何が居る?

 

赤い竜の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)ドライグ。お前の左腕にいるものだ』

 

ウェルシュ・ドラゴン・・・ドライグ・・・

 

『負けるのもいい。死ななければ敗北も力の糧になる。だが・・・』

 

俺と何がどうなるって言うんだ・・・

 

『そのうちわかるさ・・・嘲笑った連中に

見せてやればいい。「ドラゴン」って存在をな』

 

ドラゴン・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『(よぉし良しっ!今回の宿主は悪魔だ!

つまりヤツに狙われることはないっ!

ふははは、勝ったぞ!ザマミロ白いのっ!)』

 

 

ん?コイツ、今なんか言ったか?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ライザー、良くやった!」

 

まさしく完全勝利!無能とて言い訳のしようも

ない、プロとしての完璧な勝ち方だ!

 

これからのこともあるが、今はあの

無能に吠え面かかせただけで十分っ!

 

これでフェニックス家の面目は保たれたし、

オセ殿も条件付きでライザーを認めると

おっしゃってくれた。

 

グレイフィアが何か企んでいるそうだが、

アレは明らかにサーゼクスの企みだろう。

 

内容も予想出来ている以上、対処も出来る。

 

・・・最悪の中でも少しでも良い方向に

持っていこうとしただけなのに、何故

我らがここまで譲歩せねばならんのかは

未だに釈然としないものが有るが、ソレ

でも最悪は脱したからな。

 

気持ちは随分楽になったし、それはライザーも一緒だろう。

 

 

 

「あぁ。自分でも最低限の仕事は果たしたって

のはわかってる。そしてボールは向こうに

投げた。後はアッチがどう動くかって話に

なるよな?」

 

確かに最低限ではあったが、アレは無能が悪い。

 

「うむ。その通りだ」

 

本来なら少しは見せ場をやるべきだと苦言を

呈するべきだが、アレではな。

 

まぁ少なくともこちらはヤるべきことは全て

やったし、無能には指揮官としての実力の差

を見せつけることが出来た。

 

恥を云々言うならば自分たちの拠点での

行動を省みろと言えば良い。

 

未熟者が勝手に相手の行動を決めつけて

油断した隙を突かれたと言うだけの話だ。

 

そんなヤツにワザワザ見せ場などやる必要は

無いし、そもそも今回は遊びや指南の為の

ゲームでは無かったのだからな。

 

自分の将来をかけた戦いで油断慢心など・・・

 

「あとはオセ様の条件なんだが・・・アレは

どう判断すれば良いんだろうな?いや、別に

嫌と言う訳じゃないし、本人も気持ち的には

微妙では有るが、まぁ納得してくれてるから

良いんだけどよ」

 

あぁ。あの条件な。

 

「確かに、奥方殿が人間で有った頃に因縁が

有った名前。と言われてもなぁ」

 

正直そんなの知るかっ!と言いたい所だが、

その名を名乗られたら殺したくなるとまで

言われては・・・改名するしかないよなぁ。

 

と言うかあの方は転生悪魔だったのか。

いやいや、別にだからどうしたと言う

つもりは全くないんだがな。

力もさることながら、オセ殿の隣に居るのが

当たり前に見える程だったから、てっきり

分家筋の方かと・・・いや、生まれや種族に

関係なくアレが貴族の夫婦としての正しい形なのだろう。

 

うむ、やはりオセ殿は参考になる。

 

「しかもレイヴェルが『絶対に言うことを聞いて

下さいっ!断ったら間違いなくフェニックス家

が滅びます!』と口酸っぱく言うくらいの殺意

を浴びせられたんだろ?

向こうにしたら余程のことみたいだし、少なく

ともオセ様にはソレだけの我儘を言えるだけの

力が有るから、本当に不満はねぇんだぞ?」

 

それはそうだ。更にその条件さえ満たせば

これからフェニックス家も交流が出来るし、

ライザーがグレモリー家に入った後も人員

やら何やらの面でフォローしてくれるらしいじゃないか。

 

キチンと此方にも得が有る。と言うか、得が

多すぎる気もするが、害しか及ぼさない小娘

の一族の我儘に比べたら万倍マシだ!

 

「とりあえずお前と本人が納得できるなら改名

した方がよいだろう。見返りもきちんと用意

してくれているのだしな」

 

当主たるもの基本は自家が得をするように

動くべきだが、その場その場の損得で動く

のは未熟の証と言うことだな。やはりオセ殿

から学ぶことは多いよ。

 

「……その気になれば何も言わずに殲滅

することだって出来る方々が、わざわざ

こうして選択させてくれるってことを感謝

すべきなんだろうな」

 

その通りだ。

 

利益を独占するのではなく、お互いが得を

するように動けば将来的には更に良い関係

を結べるのだ。

 

基本では有るが、その基本をしっかりと理解

して実際に行うことがどれだけ難しいことか。

 

その場その場の感情でしか動かないグレモリー

の連中を見れば良くわかると言うものだ。

 

「それに比べてあの連中は・・・あんなこれ

見よがしに悪巧みしやがってよぉ!

バレねぇとでも思ってんのか?!

ゲームの時の無能の行動と言い、ヤツらは

どんだけ俺たちを馬鹿にすりゃ気が済むんだ!」

 

アレな。流石にあんなことをされたら覚悟を

決めたライザーも切れるだろうさ。

 

何せ奴らは此方の面子や都合など完全に無視

して、魔王と言う立場と超越者としての力を

使って、その場その場の感情から生まれた

我儘をごり押ししてくるのだからなぁ。

 

あんな連中を後ろ楯にするくらいなら、

貴族派と呼ばれてもオセ殿に庇護して貰った

方が政治的にも軍事的にもマシだ。

 

それを分かっていながらも、貴族派と言うのは

周りが勝手にそう表現しているだけで、基本的

にオセ殿が派閥を形成しているわけでも無いし、

すり寄るような真似をすれば逆に嫌われるのは

知っていたから、今までは何の接点も無かった。

 

今回の件で、レイヴェルを行儀見習いとして

預けることが出来たのは完全な僥倖だ。

 

実質人質ではあるがな。それでも構わん。

父上や母上は人質としてではなく、普通の

行儀見習いとしか考えてないが、鍛えて

もらえるのは事実だし。

 

何とかお手付きになって貰えんものかなぁ。

 

・・・レイヴェルのことはさておき、眷属の

名を改名するだけでさらに繋がりを強める

ことが出来るなら安いものだろう。

 

あとは最後にサーゼクスがどう動くかで

我々の将来も決まる。

 

ライザーを妹の婿として認めるなら良し。

認めないなら・・・決断するだけだ。

 

我ら貴族がいつまでも大人しく泣き寝入る

だけだと思うなよっ!

 

 

――――――――――――――――

 

 

「・・・納得されてませんか?」

 

「ええ。勝負が着いたとしても、俺は納得出来ません」

 

何が何だかわからないうちにやられてよぉ!

『ゲームに負けました。約束通り部長は

鳥野郎と結婚します』なんて言われて納得

出来るかよ!

 

俺はまだ何も出しきっちゃ居ないんだっ!

 

あんな野郎に部長を渡したくない!

 

「サーゼクス様からのお言葉をあなたへお伝えします」

 

・・・部長のお兄さんから?

 

「『妹を助けたいなら、会場に殴り込んできなさい』だそうです。

その裏にも魔法陣があります。お嬢様を奪還した際にお使いください。

必ずお役に立つと思いますので」

 

・・・・・・

 

 

「必ず、部長さんと帰って来てください」

 

笑顔で俺に言うアーシア。

 

「ああ、もちろんだ」

 

と、思い出した。アーシアに伝えたいことがあったんだった。

 

「アーシア、実はな・・・」

 

「はいっわかりました!」

 

事情を話すと、すぐに了承して部屋にあるモノを取りに戻ってくれた。

 

よし、これであと残すは・・・

 

(・・・いるなら、話がある。出てこいっ!)

 

不気味な笑い声が心の中で響き渡る。

 

『ああ、なんだ、小僧。俺になんの話がある?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ФωФ)

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『妹を助けたいなら会場に殴り込んできなさい』

 

ねぇ。そんでもって

 

『お嬢様を奪還した際に・・・』

 

って・・・馬鹿じゃない?

 

フェニックス家との約束ガン無視だし、結婚式

を潰されたら、立場とか面目丸潰れよね~。

明らかにフェニックス家や来客に喧嘩を売る

形になるだけど?

 

コレは魔王としての失策かな?それとも

グレモリーとしての失策になるのかな?

 

どちらにせよ自分達が監視されてる可能性にも

気付かないから脳筋って言われるのよ。

 

私に追手をかけて、白音を奪い取ろうとした

コイツらに私が遠慮すると思うな?

 

ドラゴンのフェロモンなんざわかってれば

いくらでも対処出来るし。

 

こんなの御主人様と比べたら・・・いや、

比べるだけで奥様に『不敬』って言われて殺されるにゃ。

 

ま、まぁそれは良いにゃ!コイツらの計画はわかったし

 

さっさとコレを奥様に報告して、御主人様に褒めてもらうにゃん♪

 

 




性犯罪者が関わるところで作者っぽくない
地の文は、原作そのまま引用してるんだぜ(ゆっくりみていってね)

CV子安。殲滅フラグ回避に成功したもよう。

奥様は転生悪魔だったようだ。

まぁ二人の出会いとかに関してはフロム脳的な
脳内補完でお願いします。


(ФωФ)とは一体・・・

次回でようやく原作二巻終了かな?ってお話

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