とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

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若手同士の親睦会

特に話は進まないッ!

おや?ディオドラの様子が・・・

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


前話の麻雀のあがり役と、ゼファードルの煽り文句等微調整しております。



53話

ーーサイラオーグ視点ーー

 

今回の会合は本来なら無意味と思っていたが、

正直俺の考えが足りなかったようだ。

 

会場での諸々でリアスがアレなのもわかったし

アガレスの性格もそれなりに掴めた。

 

恐らくこういう盤外での情報戦のようなもの

をさせる目的も有るのだろう。

 

その程度のことも思い浮かばず、偉そうに

『問題が起こるだけだから必要ない』等と

進言した俺は、さぞかし滑稽に映っただろうな。

 

何せ『問題』が起こることが前提で、そこから

どれだけ情報を得るかと言うのがこの会合の

目的なのだから。

 

そしてリアスはもう目的を果たすことは出来ん。

ゼファードルへの恨み以外は何も残らん。

 

アガレスは半々か。どれだけ早く戻るか、

そして俺が居ない間に何が有って、何を

知ったかによるな。

 

シトリーは完全に出遅れた。

 

だからこそ、この麻雀から得られる情報を

余すことなく得ようとしているのだろう。

 

そうなれば、今回の情報戦はアスタロトの

一人勝ちとなるか?

 

アガレスの性格や攻撃、俺の性格や気性。

リアスの情報にゼファードルの麻雀だ。

 

あぁシトリーは情報を得ない代わりに誰にも

情報を与えないことに成功しているか。

 

だがそれはアスタロトも同じ。あえて周りを

騒がせて、自分から注意を逸らし、一切情報を

明かすようなことをしてない。

 

今わかっていることと言えば、アスタロトも

シトリーもゼファードルを侮ることは

ない、と言うことくらいか。

 

何せ今二人は、ゼファードルの麻雀を見学を

しているが、その表情は真剣そのものだ。

 

麻雀のルールを知らん俺には細かい

心理戦を理解することが出来んが、

確かに先ほどシトリーが言ったように

頭が悪い奴は何をやってもダメだよな。

 

先程堪え性が無いと自覚したばかりなのに

この様だ。まだまだ未熟だと自覚すべきだろう。

 

それにしても驚くのはシトリーの眷属だ。

 

細々とした動きに見える行動の節々に

無駄が無いし、体幹にもブレが無い。

 

全員がかなりの体術を取得している。

 

魔力に関しては俺にはわからんが、

俺の眷属が警戒するレベルのモノを

身に纏っているようだ。

 

今回集まった同期の中で最も厄介と

見ていたのは赤龍帝を擁して実戦を

経験したリアスだと考えていたが完全に

あてが外れたな。

 

しかし俺も他の奴らも成長期。

 

これからも成長するし、元より俺にはない才能

の持ち主たちだからな。

最初から油断できるような相手などいない。

 

俺を指して若手ナンバーワンというのもいるが

それとて周囲が勝手に言って居るだけで、

実績という点ではリアスどころかアスタロト

にも劣るし、指揮官としての知性なら恐らく

シトリーに勝てん。

 

アガレスのアレが半分演技だとしても・・・

その眷族の殺意は本気だったと思うが、

あの程度では俺の眷属には勝てん。だが

ゲームの内容によっては苦戦するかもしれん。

 

そうなるとあとはゼファードルだが・・・

 

「ほぉ?」

 

「・・・へぇ」

 

やつの手札(麻雀だから牌というべきか?)

を見てアスタロトとシトリーが何やら

驚いているが、俺にはさっぱりわからん。

 

所詮遊戯と馬鹿にしていたが、そもそも

俺が成り上がる為に使おうとしているのは

レーティングゲーム。

 

ゲームの名が付いていて、それにチェスの要素が

多分に含まれていることを考えれば、遊戯だから

と軽視して良いものでは無いのだ。

 

かといってこれから麻雀を習って眷属と

麻雀の修行と言うのも何か違うよなぁ。

 

まずはチェスだな。うん。

 

それに、俺がこちらの方面に弱くとも、得意な部下が居れば良いだろう。

 

「「「ロン」」」

 

自分の未来を思い描いていると、少女と

少年の声が被って聞こえてきた。

 

ロンと言えば、確か相手が捨てた牌であがることだよな?

 

・・・つまりゼファードルが捨てた牌で全員あがった?

 

どういうことだ? それならシトリーや

アスタロトのリアクションは失望であって、

驚嘆では無いはずだ。

 

一体何があった?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーソーナ視点ーー

 

 

「・・・へぇ」

 

ゼファードルの打ち方を見て、その狙いに気付き思わず声を上げてしまう。

 

コレはディオドラもきっと同じだろう。

 

もしも私の予想通りなら、コレは普通に

考えて有り得ないわ。

 

そして運命の一打。一萬切り。もしコレで

周りが反応しなければ問題ない。

だけどもし一人でも反応したら・・・

 

「「「ロン」」」

 

あぁ、やっちゃったか。

 

どうやら私が来るのを待ってて、今回が

オーラスだったらしいからね。

 

あがれるならどんな役でもあがらないと駄目だって思ったんだろう。

 

三人同時のロンだけどコレは三家和(ヤルティックキャノン)じゃない!

 

「・・・ばかな」

 

牌を倒した小柄な少女がうめき声をあげる。

その役は清一色。食い下がりで5翻。

一萬と四萬の両面待ちで、四萬ならタンヤオ

が付いて(喰いタン有りらしい)高めなのに

一萬で上がったため満貫で終わってしまった。

つまりは八〇〇〇点。

 

「マジっすか・・・」

 

黒と白の髪をした少女は茫然としている。

 

その役は面前三色と平和、ドラ2(頭ドラ)。

コチラも5翻止まりで満貫。八〇〇〇点

四萬なら平和とドラしか無いから、あえて

一萬を出して三色を追加させたのね。

 

「有り得ないでしょー」

 

少年はお手上げ~と言って卓に身を投げる。

その役は立直・一気通貫・平和・赤ドラ。

つまりコレも満貫。八〇〇〇点。

四萬なら一気通貫がつかないから、こちらも

わざわざ高めの一萬を出して調整してるわ。

 

三人全員の待ちを一萬と四萬にして、更に

一萬なら全員が五翻。

符に関係なく満貫確定よね。

 

ゼファードルは三人に満貫を振り込んで合計

24000点を放出したけど、前の場で親の

倍満をキメてたみたい。

 

つまりは・・・全員プラマイゼロ。焼き鳥も無し。

 

碁で言えば持碁を狙ってやったと言うわけか。

 

本来は一本場だからそれぞれ百点が上乗せされる

けど、ソレはゼファードルからの御祝儀みたいな

扱いかしら?

それともローカルルールで複数のロンの場合は

換算されないとか?

 

ま、その辺は良いわ。問題はコレは卓越した読み

なのか、それとも何かしらのサマなのか。

 

間違いなく運ではないのはわかるんだけどね。

 

色々と判断が難しいけど、少なくとも今の

ゼファードルは猪突猛進の猪ではなく、計算

して動く狼と言うこと。

 

はぁ。三等の実力に加えこの計算高さ。

 

他の三人も、ゼファードルに勝てなくても

二位を狙って手堅く動く性格みたいだし。

 

数は四人でも敵に回したら相当厄介よね。

 

けど基本的に彼はレーティングゲームに興味を

示してないし、私としても特に闘う予定は無い

から、直接戦闘で比較をされることは無いと言う

のがせめてもの救いかしら。

 

「で、どうだディオドラ?参考になったか?」

 

私と一緒に麻雀を見ていたディオドラに

ゼファードルが笑顔で問いかける。

 

なるほど、向こうは向こうでしっかりコッチを観てたって訳ね。

 

一手に沢山の意味を持たせるのは

策士としては当然。

 

自称とは言えオセ様の弟子を名乗り、ソレを

認められているのは伊達ではないわね。

 

「正直言えば全然足りないけどね。

それでも君を侮るのは危険だと言うことは

良くわかった」

 

ディオドラは薄く笑いながらそう答えるが

目は笑っていない。

 

気持ちはわかるわ。直接戦うことは無い

とは言え、今後同世代として評価される

ことになる相手ですもの。

 

自然と警戒しちゃうわよね。

 

「それにしても君からの評価が妙に

高い気がするんだけど・・・僕と君に

何か共通点ってあったかな?」

 

そう言って不思議そうに首を傾げてるけど、

確かに彼の性格や実績を聞けば、ディオドラ

ってゼファードルが嫌いそうなタイプよね?

 

「あん?そりゃアレだ」

 

「アレって何かしら?」

 

雀卓を片付けながらゼファードルが何を

言うのか、彼がディオドラの何を評価して

いるのかを聞こうとその会話に参加する。

 

突如会話に参加してきた私を見て、2人は

チラリとコチラを一瞥しただけで会話を

進めていく。

 

ゼファードルは完全に気にしてないわね。

 

ディオドラは、自分の情報を入手される

ことより自分の評価が気になるのかしら?

 

「お前さんは俺らの中で唯一悪魔として

働いて実績上げてるんだ。

ソレを評価しねぇなんてのは有り得ねぇ」

 

・・・なるほど。

 

確かに教会勢力から聖女を離反させるって

言う実績を上げてる以上、ソレは評価

すべき点よね。

 

趣味=仕事って言うのが一番実績を

上げやすいのも事実だし。

 

「唯一って言われてもねぇ。僕たちの

同期には英雄様が居るんだけど?」

 

ディオドラは苦笑いしながらそう言うが、

さっきまでと違い目にも柔らかさがある。

 

そりゃ純粋に自分を評価されて悪い気分に

なるヒトなんかいないわよね。

 

そして『英雄様』かぁ。

 

修行を一時中断してコッチに来て一番

最初に驚いたのがソレよね。

 

休戦協定は、まぁ今までも似たような

感じだったし、締結したって言うこと

だけは聞いてたから問題はなかったけど。

 

まさかリアスが餌にされるなんてね。

 

今回もお姉様からリアスの所業を箇条書きした

のが送られて来たけど、ホント何やってんのよ。

 

アザゼルが監視について護衛するついでに

教育するって言うのもわかるわ。

 

だってあまりにも馬鹿過ぎるもの。

 

お姉さまが絶対近寄るな!って言うのもわかるわ。

 

この様子じゃディオドラもリアスの

実情を知ってるみたいね。

 

狙ってた聖女のアーシア・アルジェントを

横から掻っ攫われた関係なんでしょうけど。

 

「その英雄様は眷属連れてどっか行ったぞ。

本来なら眷族を運ぶのは眷属に任せて、

自分はコッチで情報収集すべきだろうに。

ソレすら判断出来ねぇヤツなら、あの実績

は上層部のお人形になった結果だろうよ」

 

そう判断するわよねぇ。

 

私も運んだら?とは言ったけど、自分で運べ

なんて言ってないし。

 

ソイツの資質を見るなら咄嗟の判断を見る

のが一番だけど、リアスは完全に駄目よね。

 

「君もそう思うかい?実際彼女が現地にいた

のは事実だろうけど、どうも報道されてる

内容と現物の間に齟齬があるんだよねぇ」

 

肩をすくめて苦笑いしているディオドラ。

 

実物を知ってるディオドラにしたら、笑うか

贔屓だ!って怒るかなんだろうけど・・・

今回は笑うことにしたようね。

 

実際はタダの餌だし、リアスの評価が

高くてもコイツの趣味には関係無いものね。

 

高すぎる評価に本人が全く届いてないから、

無様でしかないのよ。能力じゃなく行動も。

 

それで英雄面してたら笑うし、名実共に

英雄になろうとしてるなら警戒するけど、

まさか英雄面もしないで努力もしない

なんてのは想定外だったでしょう。

 

「サーゼクス様の妹でバアル家の親族だ。

まさか現物そのまま報道させるわけにも

行かんだろうよ。いやはやご苦労なこった。

無能に下駄履かせるのも大変だよなぁ」

 

そう言いながらサイラオーグを見るゼファードル。

 

コレは挑発?それとも本心?

 

もしくは盗み聞きしてないで会話に加われって言う警告?

 

「ふむ。俺がその程度の挑発に乗ると

思っているなら心外だな」

 

とりあえずサイラオーグは会話に加わる

切っ掛けを貰ったと判断したか。

 

「その割には眷属がなんか無様なのを

晒してるが・・・ま、その辺の教育は

ソッチでやってくれや」

 

サイラオーグの眷属から漏れ出る殺気を、

一言で無様と切って捨てたゼファードルに

ディオドラも驚いてるわね。

 

そりゃ普通に考えれば結構な殺気よ?

それぞれが上級に届くんじゃない?

 

だけど殺気なんか出してる時点でねぇ。

 

殺すなら殺せ、殺さないなら隠せ。

隠せないなら死ね。そんなのが前提の

地獄に居た彼らにしたら、あんなの無様

以外のなにものでもないでしょう。

 

それに私たちもシロネ様に言われたけど、

殺気を向けるってことは明確な敵対行為。

殺されても文句が言えないわ。

 

眷属がソレを出してるなら止めるのが

主君の務めでしょうに。

 

『俺の為に怒ってくれてありがとう』

とでも考えてるの?

 

・・・そう言えばリアスと従兄弟だったわ。

コレとも距離を置くべきかしら。

 

「あ、あらソーナ。来てたのね」

 

サイラオーグとの距離を考えてる私に

後ろから声が掛かる。

 

なんかさっきから居たけど、話しかける

タイミングを伺ってたみたいなのよねぇ。

 

溜息を我慢して後ろを振り返れば、青い

ローブを纏ったシーグヴァイラが微妙な

笑顔でコチラを見ている。

 

ん?この微妙な笑顔は何?部屋を荒らした

気恥ずかしさ?

 

良く分からないわね。とりあえず無難な

アイサツを返そうかしら。

 

「久しぶりね。さっき着いたのよ」

 

部屋に関しては触れない。麻雀に関しても

雀卓はもう無いし、知らない振りで良いわよね。

 

当たり障りのない会話で時間を潰そうと

した私に対し、何かを言いたい様子の

シーグヴァイラ。

 

私と彼女に何か接点ってあったかしら?

 

さっきから落ち着かない様子で下を向いて

眼鏡をいじってるけど・・・あぁ眼鏡が被ってるわね。

 

まさか眼鏡トークでもする気かしら?

私の眼鏡は百八式も無いわよ?

 

警戒する私を他所に、何か決心を固めた

様子で顔を上げる。

眷属も「頑張れ!」と何やら励ましてる

ようだけど、アレかしら?

匙に一目惚れでもしたのかしら?

 

留流子は完全に慕ってるみたいだし、桃も

意識してるみたいだから応援は難しいけど

だからと言って邪魔はしないわよ?

 

それにアガレス家に婿入りしたら側室くらい

持てるわよね?そしたら二人も一緒に娶って

貰えば、みんな幸せになれる可能性も有る。

 

うん、ココは積極的には応援出来ないけど

紹介するくらいなら問題無いわね!

 

「あのね?貴女が地上で駒王町?の管理

してるってのは知ってたのよ」

 

「ん?」

 

匙の事と思って身構えていた私に対して、

ボソボソと小声で話して来るシーグヴァイラ。

 

ここで駒王町の管理の話?

リアスの『英雄』に関する情報収集かしら?

 

「でもって、グレモリー家がオセ家から

断交されたのも知ってるわ。

……その理由を知ったのはつい最近だけど」

 

ふむ。それならリアスの評価に違和感を

覚えるのも当然よね。

 

いつリアスが戻って来るか分からないし

小声になるのも当然か。

 

「ソレで?」

 

私も声を落として続きを促す。

 

「・・・貴女方がオセ家のフォローを受けてたって本当なの?」

 

そっちか。そりゃ私のプライドにも

関わる話だから聞きづらいわよね。

 

アガレス大公は大王派と魔王派の橋渡し

みたいな役割をしてるし、貴族派と呼ばれる

ようになったオセ様を警戒するのも当然。

 

でもって魔王派と貴族派の仲が悪くなる

のは避けたいわよね。

 

とは言え私としては隠すようなことでもないわ。

 

「事実よ。特にオセ様の眷属である

シロネ・オセ様にはお世話になってるわ」

 

実際はカンザシ・オセ様にも相当お世話に

なってるんだろうけど、顔を合わせて会話

したことあるのはシロネ様だけだし。

 

私の言葉を聞いて、シーグヴァイラと眷属達

の間にざわっとした空気が生まれる。

 

いや、麻雀は終わったから、ざわ…ざわ…

されても困るんだけど。

 

「し、シロネ・オセ様とお話したことがあるの?!」

 

驚きに声を大きくするシーグヴァイラ。

 

いや、あんまり大声であのヒト達の

名前を出して欲しくないんですけど。

 

あのヒトたちは目立つの嫌いだし、情報漏洩

扱いされたらリアルで地獄見るんですけど!

 

個人情報はシャレにならないんですけど!!

 

 

 

 

(ΦωΦ)

 

 

 

 

?!?!?!

 

とてつもなく嫌な予感がして周囲を見回した

けど、特には何も無い。

 

いや、ゼファードルがアチャーって顔を

してるけど、ソレは男連中の会話で何か

あったからよね?!

 

コッチの会話が聞こえたわけじゃ無いわよね?!

 

狼狽する私を尻目に、私から距離を取り始める椿姫たち。

 

他の眷属の方とアイサツしてきますねー。

とか殊勝なコトを言ってるけど、絶対巻き添えを嫌ったのよね?!

 

シーグヴァイラの眼鏡に映る私の目から

徐々に光が失われていくのがわかる。

 

私が何したってのよ~!

 

確定した未来を思い、頭を抱えて転げ回り

たくなるのを必死で抑える私の手を取り、

シーグヴァイラは意を決したような表情で

言葉を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願い!私にカンザシ・オセ様を紹介してッ!」

 

・・・私にタヒねと申すか。

 

椿姫ッ、距離を取って正解だった!みたいな顔してんじゃ無いわよッ!




若手同士の交流。まぁ普通に考えれば
こういう事です。

基本的に貴族社会は談合と讒言と
離間と腐敗と競争社会ですからね。



過去の改変?ハハッ。ソレが作者の力だッ!ってお話




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