とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

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今更ですが、この作品は「とある師弟」が主役です。

師はオセ君に限りませんし、弟子も筆頭だけではありません。

オリキャラ化したのが全部主役だと
思って貰えれば「主人公はどーした?!」
と言うツッコミも我慢してもらえるかなぁ




ーーーー

ようやく会合終了だッ!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


57話

ーーソーナ視点ーー

 

いや、ゼファードルにレーティングゲームって。

 

自殺行為でしょ?実力差がわかってないの?

魔王様達が頭を抱えてるわよ?

 

しかも老害共も「良く言った!」みたいな

顔して頷いてるし。

 

コレはアレね。運営としてもオイシイし、

リアスや一部の老害は、魔王様方が本心では

ゼファードルに対して怒ってると勘違いしてるのね。

 

魔王様はこの場の空気のせいで怒れないから、

代わりに自分が怒って機嫌を取ろうとしてるわけか。

 

まぁリアスは兄魂(ブラコン)が炸裂しただけでしょうね。

あぁいや、性犯罪者の件もあったか。

 

て言うか魔王を目指してるサイラオーグ=サン。

貴方、反対意見は全部殴り飛ばす気なのかしら?

 

別にゼファードルがナニを考えていようと

ソレが冥界に役立つことならソレで良い

でしょうし、邪魔をしないって言ってるん

だからそのまま放っておけば、私と彼は

別枠で試合を組まされてたと思うわよ?

 

だって今の貴方じゃどう考えても一方的に

負けるもの。

 

「ゼ、ゼファードル君。彼らはこう言ってるが

君の意見はどうかな?」

 

サーゼクス様がやや慌てたような感じで

ゼファードルに問いかける。

 

ちなみに魔王様方の目はゼファードルや

サイラオーグではなく、サーゼクス様に

向けられてるわね。

 

本来なら「お前たちの意見は聞いてない」

って言ってバッサリ切り捨てるべきところ

を「どうしたい?」なんて確認しちゃった

からねぇ。

 

ここでサーゼクス様がゲームを認めない!と

言うにはそれなりの理由が必要になるわ。

 

運営の老害もサイラオーグもリアスも納得

する理由かぁ・・・私には思い浮かばないわ。

 

「無論売られた喧嘩は買います。ですが現時点で

コイツらには俺に挑むだけの力が有りませんね。

さっきも言いましたが、弱い者イジメして自分が

調子に乗るのはゴメンですよ」

 

おぉう。ゼファードルも攻めるわねぇ。まぁ

逃げる必要はないだろうし、この場で私たち

全員相手にしても勝てる実力があるからね。

 

とは言え、散々眼中に無いと言われてるリアスや

性犯罪者の仇を討とうとしてる姫島朱乃あたりは

もう限界かしらね?

 

他人事と割り切って見る分には面白い

見世物なんだけど・・・一応障壁

張っておいた方が良さそうね。

 

私が障壁を展開したのを見て、隣の

シーグヴァイラやディオドラも自分と

眷属を守るように障壁を展開する。

 

私たちが障壁を張ったことで、場が更なる緊張に

包まれる中、ゼファードルの言葉は続く。

 

「そもそもの話ですが、今の段階で俺がコイツら

とレーティングゲームをしても何も得るものが

ありません。ついでにコイツらも、気分で他人を

殴り倒すなんて言う評価を得たいわけでも無い

でしょう?」

 

そう言って肩をすくめて苦笑いする姿は、

この場を笑い話で収めようとしているとも

取れるけど・・・

 

うーん。正しく正論よ。

 

サイラオーグとしては魔王を目指すのに

短気で短慮で脳筋だって評価はマズイし、

リアスに至っては戦えばメッキが剥げて

英雄としての評価を落とすことになる。

 

そんなの誰も望んでないわよねぇ。

 

「ゼファードル。貴様は随分と口が回る

ようだが、目の前で夢を穢されて笑って

いられるほど俺は大人ではないぞッ!」

 

そう言ってゼファードルを睨み付けるサイラオーグは怒気を隠そうともしていない。

 

笑い話で済ませようとするゼファードルの

配慮には気付かなかったか。

 

確かに配慮と言うにはちょっとアレだけど、

彼は彼で、喧嘩を売られてスゴスゴと逃げたら

向こうで地獄()を見るからねぇ。

 

それにしてもサイラオーグは煽り耐性低すぎ。

これが王になったらどんな世界になるのかしら?

 

いや、コレは支持者に対するポーズと言う

可能性もあるわね。

 

それにこの感じ。おそらく7~8割くらいの

出力かしら?これだけなら匙一人で勝てるし、

私も椿姫と二人で当たれば無傷で勝てるわね。

 

フフフ、その調子で情報を出して頂戴。

若手ナンバーワンサマ?

 

「知るかよ。少なくとも夢ってのは現実を

見てから見るもんだ。

無能の脳筋が魔王サマに憧れるのはわかるが、

お前の価値観をこっちに押し付けるな。

それにお前じゃまだまだ実力が足りねぇよ」

 

私はこの場を彼らの情報を得る場にしようと

考えをシフトしたけど、ゼファードルは最初

からその必要すら無いと判断してるわね。

 

シッシと手を振って追い払おうとしてる

ゼファードル。

 

言い方はアレだけど言ってることは

間違ってないわ。

 

サイラオーグの夢なんか彼には関係ないし、

ガキの癇癪に付き合ってられるかってのを

隠しもしていない。

 

他人に己の価値観を押し付けるには、正しい

知識や理屈で相手の蒙を啓くか、絶対的な力に

よる強制が必要だけど・・・今のサイラオーグは

未熟者の暴走だもの。

 

今までサイラオーグが相手してきた雑魚なら

ともかく、色んな意味でホンモノの怖さを

知ってるゼファードルに対して、その価値観を

押し付けるには完全に力不足。

 

どうでも良いと言わんばかりにあしらわれ

怒りに震えるサイラオーグに対して、

涼しいカオで正論を述べるゼファードル。

 

・・・どう見ても凶児はサイラオーグよねぇ。

 

「ゼファードルッ!貴方には私の眷属も

お世話になったし、是非ともその借りを

お返ししたいんだけど?」

 

性犯罪者を傷付けられた上にお兄様まで

馬鹿にされたと感じてるリアスは、殺気を

隠そうともしていない。

 

まぁ、無理だけどね。ゼファードルは嫌そうに

リアスを見ているけど、アレは別に滅びの

魔力を警戒してるわけじゃなくて、面倒くさい

子供の癇癪程度にしか思ってないわ。

 

「あースマン。お前とは関わり合いたく

無いから、さっさと別に行ってくれ。

ほら、向こうにいるシトリーとかアガレス

とかと遊んでたらどうだ?」

 

うわっ!完全に相手にしてない!

 

無能(雑魚)無能(サーゼクス様の妹)無能(英雄様)だもんねぇ。

そりゃ関わりたくないわ・・・って

言うかコッチを巻き込まないでよっ!

 

「そうよソーナ!貴女もセラフォルー様を

馬鹿にされたのよ?!」

 

私を見て「だから力を貸せ!」と言わんばかりに

声を荒げるリアスを見て、正直ドン引きする。

 

いや、なに言ってんのこいつ?

 

どっちかといえば退屈だったところに

笑いを提供してもらったって感じよねぇ。

 

ちらりとお姉様を見ると、苦笑いして

ナイナイと眼前で手を振っている。

 

うん。やっぱりそうよねぇ。

 

て言うか本気で私を巻き込むのやめて

欲しいんですけど。

 

私と同じような感想を持ったのだろう。

 

ちらりと横を見ると、隣で障壁を張っている

シーグヴァイラも嫌そうな顔をしながら首を

横に振っている。

 

「「はぁ」」

 

私たちは二人同時に溜息を吐くが、事態は

一向に改善されない。

 

と言うか魔王様。さっさとこの茶番止めて

くれませんかねぇ。

 

「つーか二人共、その温い殺気っぽいのは

さっさと収めるべきだな。

ココがどういう場かわかってるのか?」

 

心底面倒臭そうに忠告するゼファードル。

コレは挑発ではなく本心からの忠告だった

のだろう、だけど頭に血が昇ったリアス達に

そんなのがわかるはずもない。

 

「「なめるなっ!!!」」

 

我慢の限界を超えたのか、サイラオーグが

間合いを詰めようと踏み込み、リアスが滅びの

魔力をゼファードルに向かって放った!

 

ボンッッッ

 

・・・が、その魔力はゼファードルに

当たる前に消滅した。

 

「えっ?!」

 

本気で驚くリアスだが、何に驚いているのやら。

 

ギシッ!

 

「なっ!」

 

間合いを詰めようとしたハズのサイラオーグは、

踏み込んだ足がそのまま地面に縫い付けられたか

のような感触を受けて、その動きを止められた。

 

驚愕の表情を浮かべる二人だが、コレを

やったのはゼファードルじゃないわよ?

 

魔王様や老害貴族が見てる前でそんな

行為が認められるわけがないでしょうに。

 

「それまでだ。控えろサイラオーグ・バアル。

そしてリアス・グレモリー。

確かにサーゼクスは貴様らに要望を聞いたが、

それ以上の発言を許した覚えはない。

貴様らは誰の許しを得て発言し、戦闘行為に

及ぼうとしたのだ?」

 

冷たい声で両者に声をかけるアジュカ様。

 

ま、言ってることは確かよね。ゼファードルの

場合は挑発(本心だとおもうけど)を交えて

サーゼクス様の質問に答えただけ。

 

後は忠告と、お前にゃ関係ないって言う事実を

指摘しただけだし。

 

けど、意外だわ。てっきりリアスの魔力は、兄の

サーゼクス様が消滅させるかと思ったんだけど、

この様子だとアジュカ様の覇軍の方程式によって

消されたみたいね。

 

サイラオーグの踏み込みに関しても同じ

だけの力で相殺したのかしら?

 

アジュカ様の技術に驚嘆すると共に、二人の

行動に対して何のリアクションも取らなかった

ゼファードルに違和感を感じる。

 

「しかしアジュカ様っ!」

 

なおも言い募ろうとするリアスに対し

今度はお姉様が言葉をかける。

 

「リアスちゃん?勝手に私を馬鹿にされた

ことにしてソーナちゃんを巻き込まないで

くれないかなぁ?」

 

うん。私も全面的に同意します。

 

・・・笑顔だけど、アレは相当怒ってるわね。

 

まぁ最初に私を巻き込んだのはゼファードル

だけど、今回は彼も被害者だしねぇ。

 

「あ、えっと・・・申し訳ございません」

 

お姉様が本気で自分を怒っていると理解

したのだろう。

 

なんで?と言う思いを隠そうともせずに、

とりあえずの謝罪をして引っ込むリアス。

 

ま、コレでリアスは良いわね。

残るはサイラオーグなんだけど・・・

 

アレよね?なんで彼は生きてるのかしら?

 

あの方々に仕込まれたゼファードルが、子供の

癇癪と見てるとは言え、喧嘩を売られて黙って

済ませるハズが無いと思うんだけど・・・

 

「ゼファー、槍を収めてくれないかな~」

 

疑問に思っているとファルビウム様が

ゼファードルにそう声をかけた。

 

槍?

 

シーグヴァイラや椿姫の顔を見ても

?マークが浮かんでるけど・・・

 

彼は槍なんか持ってないわよね?

相変わらず?マークが頭に浮かぶ私達。

 

そんな私たちを見ずに、サイラオーグを

横目で見るゼファードルだったが

 

「了解です」

 

そう言ってナニカを懐にしまう。

 

「・・・なるほど」

 

今のはあえて槍を見せるように動いたのでしょうね。

 

私も椿姫も、その動きを見て理解する。

彼は間違いなく見えない槍を持っていたわ。

 

ソレが短槍なのか、長さが調節できるのかは

知らないけど、懐に入るくらいの槍。

 

仕込み槍とでも言うのかしら。それを持って

いて、サイラオーグが間合いに踏み込んで

きたら突き殺す気だったと。

 

リアスに対してはその後で投槍の

ようにして使う気だったのかしら?

 

どちらにせよ二人は魔王様のおかげで

命を拾ったと言うことね。

 

それを理解してるのは魔王様方と私達。

それにサイラオーグとその眷属が何人か。

 

ディオドラもシーグヴァイラも気付いてない。

 

リアスに至っては未だになんで邪魔したんだ!

って顔でアジュカ様を見てるから、アレは

本当に何も理解出来てないわね。

 

同期の戦力調査が出来たから良かった

と思えば良いのか、それともこれからも

こんな連中と同期として付き合って

行かなきゃダメだと考えるべきか・・・

 

はぁ。溜め息が止まらないわ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーアジュカ視点ーー

 

「はぁ・・・」

 

あの現実を知らんガキ共に対してもだが、

今は「さっさと止めろ」と言う俺たちの視線

に対し、「・・・頼む」と言って俺に処理を

依頼してきたサーゼクスに思わず溜息が出る。

 

妹に嫌われたくないのと、従兄弟の自尊心を

砕く事を嫌ったんだろうが、お前が甘やかす

からあぁなったんだと言うことをしっかり

自覚して欲しいモノだ。

 

・・・それにしてもアノガキ共もなぁ。

 

いくら甘やかされたからと言ってもアレは度が

過ぎてるだろう。

 

もう少し常識というものを持てんのか。

 

「ゼファー、槍を収めてくれないかな~」

 

ファルビウムの声を聞き「了解です」とだけ

言って文字通り矛を収めたゼファードル。

 

うむ。完全に大人の対応だ。

 

今回アイツは正当防衛だし、槍もしっかり

隠す配慮も見せているから、特に咎める

必要はないだろう。

 

そもそも罰ゲーム云々で俺たちは誰一人

怒ってないしな。

 

それに、そんなことを言ったら魔力を持たない

サイラオーグが『魔王になる』と言った事も

不遜として罰する必要も出てくるだろう。

 

自分は挑発まがいの事をしても良いが他人は

ダメと言うのは、王としての資質に問題あり

と見做されるぞ。

 

その上すぐに暴力に訴えようとしたのも

マイナスだ。

 

旧魔王派ならそれでも良いのだろうがな。

 

アイツらも今の我々を見て温いと感じてると

言うことだろうか?

 

どちらにせよこの場を荒らした二人には

何かしらの罰が必要だろう。

 

・・・望み通り戦わせるか?

 

今のを見ればゼファードルは手加減する

余裕もあるようだし、本気で殺されかければ

実戦を知らんサイラオーグも舐めた口を

叩くことは無くなるだろう。

 

元々の予定でもあったし、何よりコイツらが

自分で望んだことだ。

 

叶えてやろうと言えば文句はないだろうな。

 

老害共もゲームをさせることに文句を

言うことはないだろう。

 

問題はゼファードルやディオドラ、ソーナ、

シーグヴァイラ・アガレスに全く得が無い

と言うことだ。

 

特にゼファードルは眷属の数が少ないし、

ルールによっては一方的に負けてしまう。

 

自分に有利な状況に持っていくのは軍略

の基本だからな。

おそらくサイラオーグはソコをついてくる

ことになると思うが、さて、どうする。

 

今後の展開を考えながらもサーゼクスに対し、

とりあえず場は収めたからあとはお前がヤレと

言う視線を向ければ、ヤツは決意を決めたよう

な顔をして軽く頷いた。

 

いや、妹が絡んだ時のお前のキメ顔はロクな

ことがないから正直見たくなかったんだが・・・

 

「今アジュカが言ったように、ココでの

戦闘行動を認める訳にはいかない。

そもそもココは君たち若手を見定める場

でもあると言うことは最初に伝えたハズだ」

 

おぉ。当たり前のことを当たり前に妹に

告げるサーゼクスに驚きを隠せない。

 

サーゼクスにまで説教をされるとは

思ってなかったのだろう。無能は頭を

下げてフルフル震えている。

 

サイラオーグは・・・さっきのゼファードル

の槍について考えているのか、硬い表情を

崩さない。

 

実際あと2歩踏み込んだらゼファードルの槍を

認識する前に頭を貫かれて死んでたからな。

 

光の槍を使うコカビエルと槍で渡り合った

ゼファードルの槍術は、コイツらが想像する

よりずっと洗練されていて、更に強力だ。

 

槍が見えず、そこまでの間合いが掴めてなく

とも、あのままだったら自分が死んでいた

と言うことを理解出来ればソレだけで十分な

収穫だろうよ。

 

怒りやら何やらで完全に動きを止めた二人

とは対照的に、何事もなかったかのように

サーゼクスの言葉を聞くゼファードルを見て、

俺は今の段階でもファルビウムの補佐くらい

は出来るとその評価を更に上方修正する。

 

「とはいえ、若者が血気に逸るのは当然のことでもある」

 

「「「?!」」」

 

おいィ?!

 

咎めるどころか、その行動を認めた妹魂(シスコン)

驚きの目で見るファルビウムにセラフォルー。

 

俺も同じ目をしているだろう。

 

サーゼクスは蟀谷に冷や汗を垂らしながら、

こちらを決して見ないようにして言葉を続ける。

 

「ちょうどいい。ゲームをしようじゃないか」

 

直前までゲームを渋ってたコイツがソレを

認めるだと?リアスが恥をかくぞ?

 

コイツの狙いが読めない俺はどうにかして

言葉の意味を探ろうとするが、サーゼクスは

俺には何も言わせ無い!と言わんばかりに、

周囲を無視して話を進めていく。

 

「無論、若手同士のゲームだ。実は近日中に

アザゼル(堕天使の総督)や各勢力のレーティングゲームの

ファンを集めてデビュー前の若手のゲームを

観戦させるという名目があってね」

 

お前はさっきまでソレに反対してただろうがっ!

 

俺たちの視線による心からのツッコミを軽やかに

受け流すサーゼクス。

 

「まずはサイラオーグとゼファードルで一戦。

執り行ってみようではないか」

 

あぁん?ソレでゼファードルの強さを知れば

無能も我慢すると踏んだのか?

 

もしくは時間を稼いで無能に何らかの補強を

行い、無能でも勝てるルールの試合を見つけて

から挑ませるつもりか?

 

それならリアスが恥をかくことはないだろうが・・・

 

考え込む俺を余所に、予想もしなかった

ところから予想外の提案が飛び出す。

 

「あ、それならリアスちゃんとソーナちゃん

も一戦してみたらどうかな?」

 

サーゼクスの言葉に便乗する形で無能に

死刑宣告をするセラフォルー。

 

どうやらさっきのアレはコッチの妹魂(シスコン)

とって許せることではなかったらしいな。

 

まぁ下手にさっきのに巻き込まれて戦闘に

参加してたら、ココでソーナまでもが無様を

晒していた可能性もあるのだ。

 

そりゃ我慢できんだろうよ。

 

「だったらさ~ディオドラ・アスタロトと

シーグヴァイラ・アガレスも一戦しよっか?」

 

セラフォルーの笑顔とともに齎された

提案(死刑宣告)に顔を蒼白にするサーゼクスを

尻目に、ファルビウムもその後押しをする。

 

・・・ここまで来たら俺も乗るべきだな。

 

「どうせなら総当りで良いだろう。実際の

若手ナンバーワンを決めるのも面白い」

 

1対1なら間違いなくゼファードルだが、

眷属を加えた戦闘ならソーナも中々の

戦いを見せるだろうし、無能と違い

下手に手を加えなくともルールによっては

勝つことも不可能ではないだろうからな。

 

完全に外堀を埋められて口をパクパク

させるサーゼクスを尻目に、運営の老害

を交えて細かい日程を決めていく。

 

元々予定していたことだから、コレに

関しては問題あるまい。

 

「第一戦は約20日後の8月20日。

第二戦はその翌日で8月21日。

第三戦はさらに翌日の8月22日。

前日の8月19日に他の勢力の来賓に

対するお披露目を兼ねたパーティを

行うので、眷属を交えて参加するように」

 

同じ日でも良いが、ずらした方が来賓と

しても観戦が楽だろうし外交は一日で終わる

モノではない。

 

何日か滞在する名目が有った方がよかろう。

 

セラフォルーに目配せすると、ソレで問題ない

と言うように頷いた。

 

これでよし。いい加減無能には目を覚まして

もらわないと、コッチの胃がもたん。

 

サーゼクスを放置し、ひと仕事を終えて満足して

居ると、セラフォルーが何かを思い出したかの

ように「あっ!」と声を上げる。

 

なんだ?ナニカあったか?

 

ファルビウムにも思い当たることが無い

のか、首を傾げてセラフォルーを見る。

 

「じゃ、最後はソーナちゃんだね☆」

 

「えぇ?!」

 

「「「「「「・・・」」」」」」

 

おいおい、この空気で?

 

この妹魂(シスコン)は妹にタヒねと申すか?

 

セラフォルーの言葉を聞き本気で驚く

ソーナを見て、さっきまでソーナを

笑い者にしようとしていた老害達までもが

彼女に哀れみの目を向けた。

 

そんな視線が集中する中でも彼女は

健気に前に出て・・・

 

「・・・シトリー家の次期当主として

ガンバリタイトオモイマス」

 

そう言った。言うことが出来たソーナに、俺は拍手を送りたくなった。

 

・・・うん。ガンバレ

 

老害貴族も魔王派もそして魔王(俺たち)も。

この場にいる全ての悪魔が同じ感想を抱いた

だろうということは想像に難くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲の生暖かい視線と、よく出来ました!と

満面の笑みで拍手するセラフォルー。

 

 

 

このとき、ソーナ・シトリーの目は確かに死んでいた。




色々大荒れの会合。
最終的にコレに持っていく為に
一体原稿用紙何枚分使ったことやら・・・

修行パート?ハハッ。

道化にすらなれなかった悲しい眼鏡会長。
きっと見せ場はあるさ!ってお話

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