とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

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ヨシコ=サンの事情!

話はやっぱり進まない!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


60話

ーーシロネコ視点ーー

 

コカビエルにヤられた後、神野サンに壊されて、

あわや蟲になるところを救助したヨシコ=サン

ですが記憶はきっちり修正されてるようで何より

でした。

 

と言うか、その辺もしっかり偽装してた神野サン

が凄いんですけどね。

 

気分で仕事してるようで、演出には手を抜かない

から使う方としては助かるんでしょうねぇ。

 

結局のところ、神野サンを使えるだけの器量と

仕事と趣味を両立させることが出来る環境を

作れるご主人様が凄いって話ですけど。

 

しかしこの貧乳は・・・ワザワザ名前を変えて

紹介したんだから、その辺の空気を読めよ。

 

貴族のお嬢様には酷なのかも知れませんが、

折角の配慮が台無しです。

 

いや、それとも私がボケたと思ってツッコミ

を入れたんですかね?

 

ふむぅ・・・ヨシコ=サンのことを知ってたら

その可能性も有りますか。それならシカタナイ。

 

「とりあえずソーナ殿が心配してるであろう、

元エクソシストを信用して良いのか?と言う

疑問にお答えしましょう」

 

貧乳眼鏡はまだ呆然としてますからね。そりゃ

いきなり現れた聖剣使いを、何の説明もなく

「コイツは使えるから信用して眷属にしなさい」

と言われても反応に困るのはわかります。

 

優しいシロネコさんがきちんと解説してあげましょう!

 

「え、あ、はい。ヨロシクオネガイシマス」

 

うむ。普段は一番下の子扱いだから、やっぱり

こう言うの良いですよね!

 

いや、狐様に様付けで呼ばれるのはカンベン

してほしいんですけど。

 

黒歌姉さまは「クロネコと呼んでください!」

って最初にお願いしたらしいですね。

 

私に事前に情報を貰えなかったのはアレだけど、

情報漏洩は処刑案件だからシカタナイね!

 

「「・・・」」

 

おっと、今は狐様とかじゃないですよね。

 

さて、キチンと聞く体勢が出来てる貧乳眼鏡と、

直立不動の元恥女の胸部装甲を見比べながら

この私が説明をしてやろうじゃないですか!

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

ーーソーナ視点ーー

 

「いや、気になってるのはソコじゃないです」

 

な~んて言ったら、私の首から上がなくなりますよね?

 

実際今まで何してたのか?とか信用して良いのか?

って言う疑問は有るから。説明して貰えるなら

ありがたいのは事実ですよ。

 

「何を隠そう、実は彼女。とある任務で聖剣を

盗んだコカビエルを追跡していたエクソシスト

さんでしてね」

 

「へ、へぇー。そうでしたか!」

 

しらなかったわ~。

 

「それで、先日の駒王学園での戦闘の際、

コカビエルの攻撃を受けた後、彼の配下の

堕天使と戦い敗れてしまったようなのです」

 

シロネ様の言葉を聞き、視線を彼女に向ければ

ヨシコさん、いや、ゼノヴィアさんは頭を掻いて

恥ずかしそうに肯定した。

 

「お恥ずかしながら、奇襲を先読みされて

しまってね。洒落にならないダメージを

受けてしまいヤツの配下の堕天使にも殺され

かけてしまったんだ」

 

うん。まぁ歴戦のコカビエルに対して奇襲を

成功させるのは難易度が高いですよね。

 

「なるほど・・・」

 

そう言いながら私は頭の中でその状況を再現して

見るけど、普通に絶対絶命ですよね?

 

なんで生きてるの?

 

「でもって、ダメージを受けても決して諦めない

ヨシコ=サンを見て、その心を折ろうとしたので

しょう。

その堕天使はあろうことか、聖書の神の死を

エクソシストである彼女に伝えたのです!」

 

汚い、流石堕天使。汚い!

と言いながら説明を続けるシロネ様。

 

なんと言いますか・・・堕天使も性格悪い

ヤツ多いですからねぇ。

それに彼女は中々男好きする体だし、心を

壊しても色々使い道は有りますもんね。

 

「うむ。ソレを聞いて自棄になった私は相討ち

覚悟で戦いを挑み、その堕天使を倒したものの

ソコで倒れてしまってな」

 

あぁ。心が折れたってことで油断してNDKして

たところを、聖剣で貫かれたのね。

 

マヌケなヤツも居たもんだわ。ヤッパリ油断慢心

は絶対駄目よ!

 

アホな堕天使の死に様を思い浮かべ、基本的な事

だからこそ大切にしなきゃ駄目だと再確認する。

 

「その後の記憶が無いらしいのですが、結界が

破壊された後、そのまま学園の敷地内で傷を負い

気を失っていたヨシコ=サンを学園での戦いを

観測してた私が発見し、治療したんですよ。

その後なんやかんやあって保護したわけです」

 

へぇ。としか言えませんね。だけど保護ってナニ

から保護したのかしら?

 

「ん?ナニか聞きたいことが有るような顔を

してますが、どうしました?」

 

か、顔に出てた?!

 

「えっと。保護ってナニから保護したんですか?」

 

気付かれたのは未熟の証拠なんだけど、今さら

よね。恥ずかしがる必要なんか無かったわ。

 

うん。気になることは普通に聞こう。

シロネ様の冷たい視線にも慣れてきたわよ!

 

「ふむ。まぁその辺は貴族のお嬢様だからシカタナイか」

 

ゼノヴィアさんにまで憐れまれたけど、もう

良いの!知ったかぶりが一番駄目なのよ!

 

「・・・ですね。良いですかソーナ殿。彼女が

知った聖書の神の死と言うのは、事実では有り

ますが我々三大勢力の中では秘事にあたります」

 

「そ、そうですね」

 

二人の冷たいような生暖かいような、そんな視線

を受けながら、教えを理解しようと必死で頭を

回転させる。

 

確かに秘事よね?だけどソレを知ったと知られな

ければ問題は無いんじゃない?

 

ワザワザ吹聴してまわるような事じゃないし。

ん、アレ?コイツまさか・・・

 

「もしかして、彼女。その事を教会の上層部に

確認したんですか?」

 

嫌な予感を感じて、もっとも有り得ないであろう

予測を口に出して見る。

 

普通に考えたら有り得ないけど、普通じゃない

のがエクソシストだもんね。

 

「うむ。真偽の確認を取ってしまったのだ」

 

コイツ馬鹿だ?!私たちには秘事で済むけど、

教会の中じゃ禁忌でしょ?!

 

驚愕した様子を見て取ったのだろうシロネ様は

頷きながら説明を続ける。

 

「ソーナ殿も理解出来たようですね。そもそも

連中は神の名を騙り信徒から金を集め、更に

聖剣計画やらシグルド計画と言った人体実験を

行うような連中ですよ」

 

そんな連中に、神の死の確認なんか取ったら・・・

 

「理解したみたいだね。まぁ私もシロネ様に

言われるまで気付かなかったから偉そうな事は

言えないんだが・・・その場で私は異端者扱い

されてしまったんだ」

 

そりゃそうなるわよねぇ。未だに神を信じる

狂信者からしたら、堕天使の言うことを真に

受けて「神が死んだ」なんて言うヤツは異端者

だろうし、上層部にしてもそんなことを言いふら

されても困るもの。

 

納得する私を見て、説明を続けるゼノヴィアさん。

 

「それで、その場はなんとか私を処刑しようと

する連中から逃れることは出来たんだが、当然

追っ手を差し向けられたのさ」

 

そりゃそうでしょうよ。よく確認したときに

殺されなかったわね?

 

まぁ何かしらの備えはしてたんでしょうけど。

 

「追手の相手をしながらこれからどうしようか

と悩んでいたら、私をイタリアに送り届けて

くれたシロネ様と偶然接触できてね」

 

「シロネ様と?」

 

部下に任せずにワザワザご自分でイタリアまで

行ったの?それに偶然?有り得ないわよね?

こうなる事を予想して監視してたんでしょう。

上手く行けば聖剣使いをスカウト出来るもの。

 

「いやぁ驚きましたよ。イタリアでジェラート

を食べたり簪様へのお土産を選んでたら、夜の

街角でエクソシストが戦闘してるんですからね」

 

暗殺チームがメタリカしたり、親衛隊が土の中

を泳いでたりと、イタリアもマッポーでしたね。

 

とか言ってますけど、まさか・・・

 

「普通に観光してたんですか?!」

 

き、教会のお膝元で甘味を満喫って。いや、

そういえばディオドラも普通に元聖女が居た

場所に通勤してたわよね。

 

・・・私が言うことじゃないけど、教会も

相当駄目よね。

 

「そりゃそうです。イタリアなんかそうそう

行く機会は無いですし。

大体スカウトの為にヨシコ=サンを監視する

ほど私たちは人材不足じゃありませんよ?」

 

何を今更と言いながら、当たり前のように説明

してくれてますけど、本人の目の前ですよ!

 

流石に気を悪く・・・してませんね。

怒るとかじゃなく、苦笑いしてるわ。

 

「まぁハッキリ言われるとアレだが、事実では

あるしな。それにそう言ってもらえた方が私と

しても信用できるのさ」

 

いやまぁ、それはそうでしょうね。

 

はじめから下心が有って接触してきたなら

まだしも、完全に偶然なら疑うことも無いわ。

 

「無論、私達にも下心が無いわけでは無いです。

接触したのは偶然ですが、そもそも私が無一文の

彼女をイタリアまで送り届けたのは、彼女と契約

を結んだと言うのも有りますが、教会勢力の中に

不和の種を撒く為だったんですから。

まぁ親しい友人やら何やらに神の死を伝えて

くれたらなぁ~程度のモノだったんですけどね」

 

まさか彼女が真っ先に上層部に確認を取るとは

思わなかったと言うことですね。それに、

 

「ちゃんと悪魔的な意図が有ったんですねぇ」

 

無償の善意なんて悪魔らしい悪魔を掲げる

オセ様には有り得ないことですからね。

 

「当たり前です。ついでに偵察と観光もして

ましたが、基本はお仕事ですよ」

 

偵察も立派なお仕事だと思うんですけど・・・

いや、あまりにも警備がザルで仕事にすら

ならなかったんですかねぇ?

 

「けど、ソレは本人に聞かせても良いんですか?」

 

折角の信用が無くなりませんかね?

 

「「・・・はぁ」」

 

そんな私の考えは、やはり現場を知らない小娘

の妄言だったみたいで、二人は溜息を吐いて

解説をしてくれる。

 

「その事に関しては私とて織り込み済みさ。

悪魔が無償の善意で動くはずないからね。

なにかしらの悪巧みはしてるだろうってこと

くらい普通に考えるよ」

 

で、ですよねー。普通なら考えますよねー。

 

「その上でヨシコ=サンは本国への帰還と事実の

確認を優先したというわけです。まぁ悪魔と契約

を交わしたのですから、その時点で彼女を異端

扱いするのも間違いでは有りませんがね」

 

あ、そう言えば契約してたんですよね。

 

つまりシロネ様はしっかり報酬を貰った上で彼女

をイタリアまで送り届け、ついでに教会の内部に

不和の種を撒き、ついでのついでに偵察と観光

もしてきたわけか。

 

なるほど。一石二鳥どころじゃない。コレが

正しい悪魔の在り方なのね。

 

「契約と言っても私が支払ったのは今回私が

日本で得た情報と、聖剣を扱うことが出来る

私の遺伝子情報、つまり髪の毛と血の提供だ。

その気になれば拷問でもなんでもして、好きな

だけ入手出来るモノで支払いを済ませてくれた

シロネ様には感謝しか無い。

同時に裏が有ると確信することにもなったのさ」

 

なるほどなるほど。無一文を治療し、悪魔が教会

の総本山であるイタリアまで運ぶことを考えたら

安すぎるくらいの対価よね。

 

そりゃ裏が有ると疑うわ。

 

「そんなわけで、私は私で狙いが有り、彼女は

彼女で狙いがありました」

 

利害の一致か。契約には十分よね。

 

「だけど私が会った時に感じた彼女の性格だと、

神の死を知った上で追っ手と戦うようなヒト

とは思えませんでしたけど・・・」

 

普通に自害するか、生を諦めて粛々と殺される

ようなタイプですよね?

 

「うむ。普通なら神の死を知った時点で生を

諦めていただろうが、1度ソレを乗り越えた

からだろうな。神の死を嘆くよりも、神の死を

知りながら信徒を欺く連中に対して怒りを

覚えたのだよ」

 

あぁ、本来なら駒王学園で堕天使に心を折られて

終わって居たのが、相討ち覚悟で破れかぶれとは

言え、立ち上がって戦ったんですもんね。

 

落ち着く時間的な余裕も有っただろうし、

それで本国へ戻り事実を確認した後で命を

狙われる羽目になり、上層部への怒りが沸き

上がってきたわけか。

 

怒るところが命を狙われたことじゃなく、神の

名を騙るってところが良く理解できないけど、

ソレも狂信者の在り方よね。

 

「それで、暗殺チームに追われていた彼女に

接触したところ、なんと彼女の方から契約を

持ちかけて来たのですよ」

 

教会の上層部に復讐するなら、悪魔か堕天使に

協力を仰ぐのはわかるけど、ソレって信仰的に

は大丈夫なのかしら?

 

首を傾げながらゼノヴィアさんを見れば、

さっきより深い苦笑いをしていた。

 

「追手と戦闘をしているところにシロネ様が

現れてね。『喧しい、夜中に騒ぐな』と言って

暗殺者チームの連中を瞬殺したんだ」

 

あぁ。なるほど。接触ってそう言う・・・

そりゃ契約を持ちかけるわよね。

 

「納得できたみたいだね。ソーナ殿が予想した

ように、もしも彼処で契約を持ちかけなければ

そのまま私も殺されていただろう」

 

遠くを見ながらそう告げるゼノヴィアさん。

 

よっぽど怖かったのね。思い出したのか膝が

震えてる・・・うん。必死で契約をしようと

する様子が目に浮かぶわ。

 

「私としてもあんな場所で死ぬ気は無かったし、

殺される理由が『夜中に騒いだから』なんてのは

ゴメンだからな。それに銀行の口座は凍結された

し、無一文で補給も休息もままならん状態だ。

もしもシロネ様に殺されなくとも、契約を結んで

貰わなければそのまま犬死にしていただろうな」

 

うん。それはそうよね。教会にしたら禁忌を

知ったエクソシストを生かす理由は無いし、

財産だって没収するのが普通よね。

 

現金を持ち歩くタイプには見えないし、そもそも

邪魔になるから戦闘に必要なモノ以外は意図して

持たないといった感じかしら。

 

「契約の内容はイタリアからの脱出の幇助と

当面の生活の保障でした。まぁその程度なら

オセ様に確認を取らなくても、私の判断で

出来ましたからねぇ」

 

あぁ。なるほど。無一文だと生活がアレだし、

今までみたいに悪魔や堕天使を狩る理由もない。

 

それにエクソシストは私たちから見ても仇

だからね。教会の追手だけじゃなく、悪魔や

堕天使にまで命を狙われたら教会の上層部へ

の怒りを晴らすどころじゃないものね。

 

生活の保障は重要だわ。

 

「そしてその条件が聖剣を使った各種実験だった

んだ。わかりやすく言うなら、実験に付き合って

給料を貰うと言った感じかな?」

 

わ、ワザワザわかりやすくしなくても

大丈夫ですよ?流石にそのくらいはわかります。

 

いや、さっきからわかりきった事を質問してる

のが理由なんでしょうけど。

・・・むしろ配慮してくれてるんでしょうね。

 

「我々としても正規の聖剣使いによって振る

われる聖剣のデータは欲しいですからね。

何時までも『聖剣だ!ヤバイ!』なんて言って

られませんし」

 

なるほど。為政者としても、研究者としても

弱点を弱点のままにしないのは当然よね。

 

ゼノヴィアさんにしてみたら微妙な気分に

なるかも知れないけど、他に支払うものが

なければソレしかないか。

 

「それで、研究は一段落したんです。普通なら

何年か生活するのに不足は無いだけのお金を

支払いましたし、私たちが用意した拠点で

暮らす分にはある程度生活も保障出来るように

してたんですけどね」

 

あぁ。確かにゼノヴィアさんの当座の生活は

守られたけど・・・

 

「そもそも私の目的は安穏に暮らすことではなく

教会の上層部に対する復讐。いや連中の粛清だ」

 

ですよねー。普通に暮らすなんて望むようなら

狂信者なんかやってませんよねー。

 

「更に天界が悪魔や堕天使と正式に休戦して

しまいました。コレではヨシコ=サンの目的は

果たされぬままになってしまいます」

 

現場ではかなり不満が有るみたいだけど、

やっぱり天使も人間を見下してるのよね。

 

自分達の決めたことに従え。従わないなら

異端として排除するって感じなんでしょ?

 

信仰の対象である神の正式な下僕である天使に

狙われたら、そりゃエクソシストも表立って

抵抗はできないわよね。

 

「そこで私が考えたのが、反三大勢力同盟の

禍の団への荷担か、戦争推進派であるオセ様

への協力と言うわけだ」

 

ふむ、個人で勝てないなら組織を頼る。

当たり前の話ではあるけど中々に難しい

決断でもあるわ。

 

教会の上層部を狙うなら反三大勢力の禍の団が

一番手っ取り早いような気もするけど、教会も

和平に反対してる連中が多数居るわよね。

 

そうなれば禍の団は教会はあえて放置して

内部分裂を誘うでしょう。つまり時間がかかる。

 

だけどゼノヴィアさんには禍の団で時間を

潰すわけにはいかない事情があるわよね。

 

何せ彼女は今まで大量の悪魔や堕天使を殺して

きた有名なエクソシスト。

旧魔王派が幅を聞かせる禍の団に所属したら、

確実に命を狙われるでしょう。

 

だから禍の団への参加を見合わせた。

 

そしてオセ様は誰よりも悪魔らしい悪魔。

エクソシストに負ける悪魔が悪いって言うヒト

だから、ゼノヴィアさんに対して恨みは無い

だろうけど、肝心のゼノヴィアさんの信仰を

考えれば助力を請うには抵抗があるわよね。

 

「ま、そこまで考えたとき、悩むまでも

無かったと思い至ったがな」

 

そう言って苦笑いをしながら肩を竦める彼女を

見れば、どちらを選んだかなんて聞くまでも無いわよね。

 

そもそもシロネ様やオセ様を様付で呼んでるし。

いや、呼び捨てしたら確実に死ぬからって可能性

も無きにしもあらずだったけど。

 

「ヨシコ=サンには個人の力も不足して

ましたからね。自らを鍛えると言う意味も

込めて私たちに従うことにしたんです」

 

個人の力不足も何も・・・

 

「シロネ様が眷属最弱とか言う時点で色々

おかしいですもんね。

そりゃ彼女だって鍛え直そうと思いますよ」

 

魔王のお姉様より強いのがその扱いって

どう考えても異常ですからね。

 

「そうだな。私はシロネ様とカンザシ様に

しかお逢いしたことは無いが、お二人を

上回る実力者が何人も居ると言われたら、

禍の団に加入しようとは思えないよ」

 

しみじみと語るゼノヴィアさんに、心から

同意します。

 

「そこまではわかりましたが、私の眷属で

良いんですか?私は魔王様の妹で、休戦協定

に反対してるわけじゃありませんよ?」

 

前にシロネ様にも聞いたけど、別に私が敵に

回ってもいつでも潰せるから問題ないって

言う話だから、オセ様やシロネ様はそう言う

思想の転換を強要してこないのよね。

 

むしろ敵対することを望んでる節もある。

 

ソレが何を意味するかは知らないけど・・・

いざとなったら私はお姉様とシトリー家を

天秤にかけることになるのよね。

 

今のところは、お姉様を泣き落としてでも方針を

転換させてオセ様に完全服従する予定だけど。

 

「あぁ。それでも構わない。どうせ協定は

崩れるからね。ソレまで死にたくはないし、

今以上に力をつけたいのさ。その為にはオセ様

所縁の悪魔が望ましいし、ソーナ殿なら多少

ではあるが繋がりも有るしな」

 

「なるほど・・・」

 

いつまでも所属不明の元エクソシストのままでは

切り捨てられる可能性が有るし、ゼファードルや

私は今現在鍛えられて力をつけてる最中。

 

そして私とは元から顔見知りだし、私への評価も

低くは有るけど悪くはない。

むしろ貴族のお嬢さんにしたらマシな部類って

考えてるのかしら?

 

彼女にしたら私を主とする選択肢は決して

悪くないのね。

 

それに休戦協定が崩れると確信している。

各勢力に外から煽る連中や、内側から崩そうと

してる連中が居るからそう考えるのが普通か。

 

こう言う実戦を理解して、兵士としての視点を

持つ彼女は私としても是非に欲しい存在。

それでいて聖剣と言う切り札が有れば、確かに

ゼファードルとのゲームでも使えるわよね。

 

そう考えてうんうんと頷く私の様子を見て、

シロネ様も私が彼女を眷属にすることに否は

無いと判断したようだ。

 

「ではさっさと眷属になさい。騎士か戦車を

オススメしますが、あえて兵士とするならソレ

も良いでしょう」

 

うん、そうよね。ソレが本題だから、さっさと

済ませろって言うのはわかります。

 

「そ、そうですね!では駒は・・・」

 

今の私なら聖剣を持つとは言え人間の彼女を

眷属にするなら、兵士の駒でも一つか二つで

いけると思う。

 

だからこそ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なるほど、コレが悪魔になると言うことか」

 

駒を使って悪魔に転生したゼノヴィアさんは、

自分の体の変化を確かめるように手を握ったり、

踏み込みの確認をしている。

 

「それではコレでシツレイします。ヨシコ=サン

が扱う聖剣については、後日簪様が手を加えた

モノを用意します。

とりあえず今は素の力を高めることと、剣術の

基礎を学ぶカリキュラムを組むのでそのつもりで

いなさい。

ソーナ殿は今まで通り夜叉一さんに鍛えて貰う

ように。良いですね?」

 

「「ハイっ!お疲れさまでしたっ!」」

 

そう言って立ち去るシロネ様にアイサツする

私とゼノヴィアさん。

うん、しっかり教育済みで何よりです。

 

それに、私たちがやってる連携訓練にはまだ

参加させずに個の力を向上させる方針ですか。

 

まぁ現状で上級クラスの実力は有るし、経験も

あるから、リアスとのゲームでは連携よりも

単独で使うことを視野に入れた方が良さそうね。

 

そうやって早速彼女の使い方を考え込む私

の前に立ち、ゼノヴィアさんは一礼をした。

 

改めてアイサツするのかしら?

 

礼儀正しさに苦笑いしそうになるが、こう言う

のは最初が肝心。

気を引き閉めて彼女の言葉を待つ。

 

 

 

 

 

 

 

「私はロウヒーロー・ヨシコ=サン。コンゴトモヨロシク・・・」

 

 

 

 

 

うん。色々言いたいことはあるけど、アイサツ

にはアイサツで答えなきゃね!

 

「ソーナ・シトリーよ。よろしくねゼノヴィアさん」

 

そう呼ぶと彼女は物分かりが悪い子供を見るかの

ような目を向けてくる。

 

いや、それ主を見る目じゃないから!

 

そうツッコミたいが、シロネ様から今までの

自分の行いを指摘された私は、もしかして

私が悪いのか?と思う気持ちもあるわけでして。

 

だから思いきって聞いてみることにした。

聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥って言うしね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・そもそもヨシコ=サンって何なの?」

 

「・・・はぁ」

 

その問いに対する答えは溜息でした・・・まる。




無駄に長くなった説明回。

禁忌を知ったヤツをそのまま追放?
この世界観の教会が?有り得ませんよね?

普通に黒タイツ履いた天使とかが信者を
使って殺しに来ますよね?

わざわざ悪魔に聖剣を渡すのも有り得ないし。

自暴自棄になって悪魔になるより、狂信者と
して神の名を語り信者を騙してる上層部へ
鉄槌を下すための手段として悪魔になる方が
自然じゃないかなぁと思いました。

悪魔にならないとその前に死ぬと言う確信
が有ると言う事情も有りますけどね。

どこまでが本当でどこまでが嘘なのか。
悪魔は嘘をつけないと言う世界観でもないので、
契約以外では普通に嘘も吐きますよ。




ヨシコ=サンだって言ってるだろ!ってお話。

ちなみに改造手術は受けてません。


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