とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

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前話の続き!

原作キャラ登場!
地の文の粗さが目立つっ!


パーティーがぁぁぁ?!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


63話

ーーYOSHITUGU視点ーー

 

「アレが噂の『無能の英雄』ですか・・・」

 

ゴトウが感慨深そうに頷いているが、無能で

英雄って組み合わせに違和感を感じさせない

のがアイツの凄ぇところだよな。

 

「見ての通りお飾りで疫病神だ。アレとは

極力関わるなってファルビウムのアニキ

からも言われてるからな。

「出来るだけ放置で、突っかかってきたら

瞬殺するように」だとさ」

 

シロネサマや簪の姉御にも嫌われてるからな。

下手に親しくしたらどうなることか。

 

「なるほど。さして難しい問題でもなさそうですな」

 

誰が見ても弱点丸出しだもんなぁ。

 

「連中は赤龍帝に依存してますよね。

赤龍帝を討つか孤立させればソレで

終わりでしょう」

 

トスカがそう言うが、全く持って同意見だ。

 

眷属がある意味で特別扱いされるのは

当然だが、ヤツらの場合は完全に龍の気

に飲まれてる。

 

要を抜くか破壊すれば終わるだろうよ。

 

「今回のゲームは私たちに出番が無さそう

っすからねぇ。楽なのは良いんすけど、

あんまり張り合いが無いのもなんだかなー

って感じっすよねぇ」

 

元エクソシストが悪魔のパーティーに

参加するってのに、欠片も緊張してねぇ

リントのふてぶてしさに苦笑いが浮かぶ。

 

「無能程度に全力を出すわけにも

行かねぇからなぁ。

年寄り共が見たいのはゲームであって

弱い者イジメじゃねぇ。蹂躙もソレは

ソレで面白いかも知れんが、いずれは

敵になる連中も居る」

 

北欧神話だのギリシャ神話だの、色々

招待したらしいからな。

 

少なくとも帝釈天とハーデスが禍の団に

手を貸してるのは確定だから、連中に

手の内を見せるわけには行かねぇ。

 

とは言え・・・

 

「けどアレですよね?連中の奥の手を

引き出せって言われてますよね?」

 

そうなんだよなぁ。

シグが言うように、今回は旦那からの

命令が出てるんだよなぁ。

 

奥の手の内容は知ってるが、ソレを晒す

ようにしろって言われてんだ。

 

だからこそ瞬殺は出来ねぇし、それなりに

追い込む必要もある。

 

ソレにアイツが奥の手を使えば、三等に

届く可能性も有るとか?

 

そうなれば俺達の鍛錬にも使えるし、

ソコソコ楽しめると思うんだが・・・

 

「引き出したところで大したことも無い

可能性が有るからな。あんまり期待

しねぇでヤってみようじゃねーか」

 

そもそもがバアル家の無能だ。魔力を

持たないから闘気がどうとか言ってる

らしいが、話になんねぇよ。

 

珍しいもんで勝てるのは最初だけだ。

応用が利かねぇから対策取られたら

終わるし、そもそも独学で鍛えたところで

限界がある。

 

よーいどんで始まるガキの喧嘩ならまだ

しも、戦場に出るには100年早ぇ。

魔王になりてぇとか言うなら勝手になってろ。

 

「ですな。それにオセ殿がゼファー殿に前座

を用意してくれたようですぞ?」

 

眷属には俺の事をゼファーと呼ぶように

言ってるから俺に関しては良いんだがよぉ。

旦那をオセ殿呼びって大丈夫なんだよな?

 

長年の付き合いがあって本人から許可を

貰ったって言うけど、姉御とか姐さんに

「悪魔になったんだから弁えろ」とか

言われねぇだろうな。

 

とりあえず今は何も言われてねぇから

ソレで良いのかも知れねぇけど・・・

何にも言わずに殺されるから油断が

出来ねぇんだよなぁ。

 

不安を覚えながらゴトウが指差す方向を

見ると、そこにはクロカサマの使い魔が

居て、コッチをじっと見ていた。

 

あぁ、なるほど。俺に実績でも積めってか?

 

「・・・俺とトスカで行こう。ゴトウは

リントとシグを頼む」

 

少し考えて、流石に全員が抜けるのは問題が

有るだろうと思い、俺と結界を使えるトスカ

で向かうことにする。

 

「了解です」

「畏まりました」

「行ってらっしゃいっす~」

「頑張って~」

 

ゴトウはともかくリントとシグは完全に

他人事だな。

 

気が抜けることこの上ねぇが、肩の力を

抜くことが出来たと考えれば悪くないか。

 

気合を入れなおしてクロカサマの使い魔

の後を追いながら、相手について思いを馳せる。

 

公式の場で実績になるってことは、相手は

禍の団なんだろうが、問題はその中の誰を

用意してるかってことだ。

 

シャルバだのクルゼレイだとかなら、蛇を

使われても奥の手を使えばなんとか戦える

だろうが、旦那たちのスパルタを知ってる

俺としては、いきなりオーフィスが居る

可能性も考慮しなきゃなんねぇんだよなぁ。

 

・・・その場合は生き延びればセーフか?

 

強敵が居るのは間違いないだろうな。

 

期待半分・恐怖半分で会場の外に出て

近くの森へと辿り着いた俺が見たのは・・・

 

「ねこだな」

 

「ねこですね」

 

猿と背広を着た男がネコについて語っていた。

 

奴らは確か禍の団の猿と聖剣使い。

 

 

 

 

「・・・トスカ。猿の方を任せる」

 

情報が確かなら、背広の男は聖剣使い。

実力的にはトスカも戦えるが、聖剣は

場合によってはやべぇからな。

 

「了解です・・・ホウイ」

 

さぁてコッチが見つかる前に出来るだけ

準備しとこうか。

 

 

・・・なんでネコについて語りながら

戦闘態勢を取ろうとしてるのやら。

 

クロカサマが何かしたのか?

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーークロネコ視点ーー

 

(ΦωΦ)フフフ…!はぐれ悪魔だから暗躍が

メインで、更に神野とかが諜報をする

もんだからめっきり影が薄くなって来た

黒歌お姉さんの出番にゃ!

 

まぁ影が薄い方が暗躍しやすくなるし、

ご主人様にも地味な仕事をキチンと

出来るって評価されるから、ソレは

ソレで良いんだけど!

 

そもそもご主人様と出会って無ければ

白音とも離れ離れになってたしね。

 

白音に「白音も悪魔になっちゃった♪」

って言ったとき「ほわーん」って感じ

だったけど、アノ時の判断は間違って

無かった!

 

しっかり恩返しするにゃ!なんて思って

たのもあるけど、結局のところは自分の

為なんだよにゃ~。

 

白音と一緒に居たいって言うのも極論

すれば私の我侭だし。

 

そう言う建前を取っ払えば、クロネコ

としてご主人様の側に居る幸せを満喫

したいってだけなんだ。

 

ソレに性交があんなにイイものだなんて知らなかったし。

 

アノ房中術で互いを高め合う感じはいい、

最後に魔力をもって行かれる感覚も好き。

 

メスとしてご主人様には勝てない。

 

もう私はご主人様から離れられないにゃ~。

 

・・・そもそも離れる気はないけど。

 

白音と一緒に鍛えてもらって、今じゃ

普通の魔王なんかには負けないくらいの力は有る。

 

まぁ神様とかには勝てないけど、そもそもが妖怪だし。

 

神様になるには1000年必要だよね~

 

子供も欲しいけど、今はまだダメだって。

ナニカあるみたいだけど・・・その辺は追々で良いの。

 

とりあえず捨てられないように

キチンと仕事しないと!

 

とは言え、今回の仕事って冥界に潜む

禍の団の連中の中で、ソコソコ強い

のを自称弟子に当てるってダケなんだよにゃぁ。

 

アイツに実績上げるって言うけど、

白音の実績にしちゃ駄目なのかな?

 

いやまぁ、地上に居る白音がわざわざ

コッチに来て、手抜きした戦闘なんか

したら違和感ありまくりだけど。

 

まぁいいにゃ。とりあえずコイツ等を

引き摺りだすにゃ。

 

術式展開。さぁ行け私の使い魔たち!

 

「ナニモノ?!・・・なんだねこかぃ」

 

ふふん。お猿さんはそこそこ仙術の心得が

あるみたいだけど、純度が足りないわ。

 

初代ならまだしも、こんな未熟者に破れる

ような術じゃないわよ?

 

「・・・むぅ。ねこがいますね」

 

聖剣コールブランドを持った剣士。コレが

アーサーか。まぁこの術は聖剣だとか

そう言うのは関係無いからね。

 

さぁ認識しろ、警戒しろ、ソレがお前たちを

術に嵌めることになる!

 

けてるけてるけてるけてるけてるけてる~

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

ーー美猴視点ーー

 

(ΦωΦ)

 

 

冥界での潜伏の指示を受けて、禍の団の

連中が用意した潜伏用の建物の中で

くつろいでいたら、急に何者かの視線を感じたぜぃ。

 

普通なら違和感を抱かないだろうが、

野生動物が俺っちを見るかのような

視線でかなりさりげなく俺っちを

観察してるような気配を感じたんだ。

 

最初は勘だったが、意識すればするほど

その視線が間違いなく俺っちを捕捉して

いると言うことがわかる。

 

この自然な気配の消し方、かなり使い手だ

・・・そう考え警戒しつつ、さりげなく

振りむけば・・・

 

(ΦωΦ)

 

そこには黒いねこがいてじっとコチラを見ていた。

 

普通なら「なんだねこか・・・」で済む話だが、ココは冥界。

 

普通のねこなんか居るハズがねぇ。

つまりは何者かの使い魔だろ?

 

「なぁアーサー。こっちを見てるあの

ねこ、どう思う?」

 

さりげなく同僚のアーサーに話を振る。

 

 

(ΦωΦ)

 

 

「スゴク・・・ねこですね」

 

何の警戒もしていないかのように

ネコをネコとしてしか認識しない

アーサーに、警戒心よりも呆れを覚える。

 

コイツ、動物好きだったのか?いや、

ルフェイが魔女だからクロねこに対して

敵意を抱きにくい?

 

判断がつかないが、まぁねこを認識しつつ

さりとて警戒して無いと言うなら、向こうを

騙せる可能性も有るってことだ。

 

禍の団に所属してるヤツの使い魔なら

コッチに接触してくるだろうし、接触

してこないで監視してくるってことは

ココを襲撃しようとしてる奴が居るって

ことだよな?

 

 

(ΦωΦ)

 

 

ココを用意した禍の団の旧魔王派が

裏切ったのか、偶然見つかったのは

知らねぇが・・・緊急事態だろう。

 

「とりあえず準備しようぜぃ」

 

何時襲われても良いように拠点の中の

金目のモノは収納していく。

 

 

(ΦωΦ)

 

 

こっちを見るねこの視線に耐えながら。

 

「おや、あそこにもねこがいますね」

 

 

(ΦωΦ)

 

 

アーサーが二匹目のねこを見つけた

ようだ。

 

暗闇の中に居るからわかりにくいが、

目が輝いてるからわかったのだろう。

 

なんつーか、普通のねこの目じゃ無く、

人間っぽさって言うのかねぇ?

そう言うのが見え隠れしてるんだぜぃ。

 

(ΦωΦ)

 

隠形は一流だが、視線に感情が乗る

時点でこのねこの主は未熟なんだろう。

 

問題はその主が情報をやってる先だ。

コレは一回捕獲して逆探知するべき

かもしれないぜぃ。

 

 

(ΦωΦ)

 

 

そもそも、この場所をどうやって

見つけたかって言うのも有るし。

 

 

(ΦωΦ)

 

「むぅ・・・ねこが増えた?」

 

考えているうちに、コッチを見る

ねこの数が増えているようだ。

 

一見すれば何にもねぇ所や、ソコに

入んのかよ?!と言うような隙間

からも視線を感じる。

 

(ΦωΦ)

 

向こうも俺っちにバレたことを察して

数を増やして来たんだろう。

 

そう言えばなんか若手のゲームをする

ってことで来賓を招いてパーティー

をしてるんだったか?

 

(ΦωΦ)

 

その警備の為に色んな所を探ってて

ココもバレたと考えれば、有り得なく無い。

 

(ΦωΦ)

 

ねこ多いな?!

 

完全に包囲されてるんじゃないか?!

 

(ΦωΦ)

 

姿は見えずとも気配はわかる。

 

ソレを感じればかなりの数のねこが

俺達や建物を見張っているのが分かる。

 

(ΦωΦ)(ΦωΦ)

 

「ねこです」

 

(ΦωΦ)(ΦωΦ)

 

「ねこだな」

 

(ΦωΦ)(ΦωΦ)

 

とりあえずこの視線を向けてくるねこが

何をしてくるでも無いが、そもそも潜伏

してる俺達が、これだけの気配に囲まれ

てるってのは焦燥感を煽る。

 

(ΦωΦ)(ΦωΦ)

 

また増えた?!コレは何かの罠か?

もしくは絶対に逃がさないと言う包囲網?

 

「アーサー!とりあえず斬ってくれぃ!」

 

空間を切り裂くアーサーの技でもって

移動すれば、包囲も何もねぇんだぜぃ!

 

(ΦωΦ)(ΦωΦ)(ΦωΦ)

 

 

アーサーが空間を切り裂いた瞬間。

俺達に向けられる視線が更に増えたことを感じる。

 

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もしかしてコレは何かの術なのか?!

俺っちが知らない術理に内心驚愕するが、

そう言うのは後だ!とにかくここはヤバイ!

 

アーサーも何かヤバイとは感じている

のだろう。

 

俺と目を合わせて一つ頷くと、俺達の

周囲全ての空間を切り裂き、視線を一度

全て遮断したうえで更にもう一回空間を

斬って、その中に入っていく。

 

 

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(ΦωΦ)フフフ…私の前で空間を切っても

無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ♪

 

・・・

 

アーサーが切り裂いた先は、俺達の

拠点からも、パーティー会場からも

少し離れた森の中だった。

 

普通に考えれば、パーティー会場の

護衛がココに目を向けることは無いし、

向こうからココだと距離も離れてる

ので、同じヤツが警備してるってことも

無いだろう。

 

一体あの視線は何だったのか?

一息吐いて状況を思い出そうと

したとき

 

(ΦωΦ)(ΦωΦ)(ΦωΦ)

(ΦωΦ)(ΦωΦ)(ΦωΦ)

 

・・・またアノ視線を感じた。

 

アーサーも同じく視線を感じたのだろう。

 

普段は顔色を変えないコイツが

目に見えて顔色を悪くしている。

 

とりあえず聞くまでも無い事だろうが、

アーサーが感じたモノと今の俺っちが

感じたモノの認識を合わせようと

 

「ねこだな」

 

と俺っちが聞けば

 

「ねこですね」

 

アーサーも頷いて俺を見る。

 

その目はさっきから俺を見ていた

ねこの視線のように見えて・・・

 

アーサーが俺を見る目に恐怖を覚え、

「俺を見るなぁぁぁ?!」と叫び

出しそうになった時。

 

「何がネコなのか知らねぇが・・・

禍の団所属の闘戦勝仏の末裔美猴と

聖剣使いアーサー・ペンドラゴンだな?」

 

バッ!

 

あのままだったらアーサーと俺っちが

同士討ちしていただろう。ソレが術者

の狙いだったと判断した俺っちは術に

嵌められたことを悔いる。

 

もう視線は感じない。

 

恐らく第三者にして俺達の共通の敵が

現れたことで術が解除されたのだろう。

 

一触即発の空気は霧散し、俺達は声を

掛けてきた方へと視線を向ける。

 

ソコに居たのは緑を基調とした中華服の

ようなモノを着込んだ2M程の大男と、

同じ格好をした12、3歳前後の小柄な少女。

 

向こうは何故か俺達を知ってるようだが、

俺っちも、俺達もコイツを知っている。

 

ゼファードル・グラシャラボラス。

 

今回のパーティーの主役の一人であり、

凶児と呼ばれていた問題児。

 

そしてコカビエルを圧倒し、ウチの

リーダーを一蹴した強者!

 

「YOSHITUGUッ・・・」

 

コカビエルとの戦いでは見えない槍を

持っていたらしいが、今はどうだ?

 

と言うか、何故ここに居る?

 

「あぁん?俺の事を知ってるようだが、

どっからだ?堕天使陣営からの情報か?」

 

訝し気にコチラを見るヤツからは、

情報収集と言うよりタダの確認と

言った感じしか伺えない。

 

「ゼファーさん。尋問は捕えてからでも十分です」

 

怖い事を言う少女だが、言ってる

事は間違ってない。

 

今の段階でヴァーリに勝ったコイツに

勝てるとは思ってねぇが、かといって

何もせずに逃げるってのもな。

 

アーサーを横目で見るも、目を向け

られたアーサーは無言で首を横に振る。

 

だよなぁ。そもそもココにコイツが居る

って事は、アーサーが空間を切り裂いた

際にナニモノかが、干渉して来たって

ことだろう。

 

その干渉が何かわからない限り、簡単

には逃走出来ねぇだろう・・・

 

ソレにヴァーリが敗れて、コイツを

越える為に今も修行してるのは事実だが、

実際どの程度の強さか知らねぇから俺ら

としては興味があるのも事実だ。

 

「ヴァーリを一蹴したと言う強者。

興味が無いと言えば嘘になります!」

 

とりあえずアーサーが行ったか!

 

出来るだけデカい音を出して護衛の悪魔を

集めれば、そいつ等が足手纏いになって

動きを止める可能性も有る。

 

それまで精々時間を稼がせてもらうぜぃ!

 

「残念ですがお猿さん。貴方は既に終わってます」

 

唐突に聞こえる少女の声に反応し

そちらを見れば、少女は目を閉じて

コチラに掌を向けている。

 

無防備に見えるが、YOSHITUGUが

戦場に連れてくるヤツがタダのガキとは

思えない。

 

とりあえず術で牽制しようと右手で

印を組もうとするが・・・

 

「う、動かねぇ?!」

 

拘束されてる!?いつの間に?!

 

「攻性結界・ジョウソ・・・結ッ!」

 

「ぐぅっ!!」

 

少女の言葉に合わせて細い針のような

何かが俺っちの肩を貫いた。

 

俺の防御用の術式をいとも簡単に

貫かれたことに驚くが、少女の技を

身に受けてソレの凶悪さを理解した。

 

コイツ、細くて先が尖ってる上にドリルみてぇに回転してやがる!

 

結界術で動きを封じられている俺を

貫く様子は、まさしく標本!

 

可愛い顔してえげつねぇ真似をしてくれるッ!

 

自分を拘束する術式を解明しようとするが、

どう見ても普通の結界術じゃねぇ。

 

コレはまさか・・・

 

「結界系の神器かよっ!」

 

ソレを知ったところで何も解決はしない。

 

むしろこの拘束の解除が一気に厄介に

なったという事実に絶望を覚える。

 

何せ一定の法則を持つ術式と違い、それぞれ

が訳の分からねぇ起源を持つのが神器だ。

 

どの系統の結界なのかを知らなきゃ抵抗すら難しい。

 

クソっ!俺っちがアーサーと睨み合ってる

間に仕込みを終わらせてやがったか!

 

「ぐはっ!」

 

アーサーも聖剣の一撃を捌かれて

ヤツに蹴り飛ばされたっ!

 

アーサーは人間だからどうしても肉体的な

耐久度が低い。

 

ただでさえ2Mを越える大男の、さらに

魔力や闘気を纏った一撃だ。

 

その攻撃は、自分が喰らったわけでも無い

のに、アーサーがもう立てないであろうと

確信するような重さが内包されていた。

 

くそっ!訳の分からねぇ視線からココまで

全部向こうの予定通りかよ!

 

準備不足が悔やまれる。このままでは俺らは

ココで終わる!そう思ってたら・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何をしてるのゼファードルッ!」

 

紅髪の悪魔が、眷属を連れて現れやがった。

 

期待していた足手纏いの登場だ。だが、

今のアーサーじゃ逃げることもできねぇ。

 

結果として敵が増えただけと絶望仕掛けたが・・・

 

「アーシア!向こうの彼がヤバいッ!すぐ回復して!」

 

そう言ってアーサーを回復させようとする紅髪の悪魔に

 

「ハイッ!」

 

異論も挟まず回復させる元聖女。

 

「邪魔はさせねぇぞ!!」

 

へっぴり腰でYOSHITUGUを睨む赤龍帝と

 

「それ以上ヤるなら私たちが相手をしますわ!」

 

赤龍帝にならんで決めポーズしている女王

 

「「・・・」」

 

ナンダコレ?

 

即座にアーサーを回復させた悪魔の行動に

俺っちとアーサーが絶句して動きを止め。

 

「「・・・はぁ」」

 

少女とYOSHITUGUは、溜息を吐いて

頭を振り、明らかに殺る気を無くしたように

構えを解いた。

 

それと同時に俺の拘束も解ける!

 

「美猴っ!」

 

回復したアーサーが俺の元へ駆け寄り、

有無を言わさず俺の背後の空間を切り裂いた!

 

「「「え?」」」

 

とりあえずこの場から逃げる!

 

術者の存在は警戒しなきゃならねぇが、

今のYOSHITUGUの様子を見れば

不思議と大丈夫な気がする。

 

「ありがとよ!」

 

「次は必ず貴方に剣を届かせます!」

 

 

「「「えぇ?!」」」

 

 

アホな顔してコッチを向く紅髪の悪魔を

尻目に、俺っちとアーサーはその場を

逃げ出すことに成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

その後の事は旧魔王派に聞いたが、禍の団

に所属する俺達がパーティー会場から

それほど離れてないところに居たことを

問題視して、パーティは中止となったらしい。

 

警備を担当していた現魔王派は各勢力から

散々嫌味を言われていた!と、上機嫌で

報告してきて、なんかボーナスやら酒も

貰ったんだが・・・

 

何故か事件を起こす前に俺達を発見して

撃退したのが、悪魔の英雄『紅髪の滅殺姫』

となってることに俺っちとアーサーは首を

捻る事になる。

 

まぁYOSHITUGUと戦ったとか

言ったらヴァーリがへそを曲げるから

ソレはソレで助かるんだが・・・

 

あの視線は一体何だったのか。

 

アレ以来ネコを見るたびにビクっとする

俺っちとアーサーを不思議そうに見る

ルフェイの視線が痛いぜぃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

(ΦωΦ)

 

 

 

 

 

 




クロネコ、働く。働く?
恐ろしい術だった・・・

トスカは結界について色々研究
しているようだ・・・

なぜ英雄がこんなところにっ?!

それぞれの細かい動きは次話だッ!ってお話。

原作のクロネコさんは現段階の性犯罪者が
禁手した程度で恐怖を抱き、尻尾を巻いて
逃げるんですよねぇ・・・

龍王と戦うお猿さんと比べて戦力的にどうなの?

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