とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

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YOSHITUGUと若手ナンバーワンの決戦!

力と力がぶつかり合う戦場で
どんなドラマが生まれるのか・・・


オリ設定!
オリ展開!

今日も一話投稿だッ!

嫌いな人は読み飛ばし!




68話

・・・ソレは正しく蹂躙だった。

 

「結」

 

「おぉぉぉぉ!!馬鹿なっ!こんなことがぁっ?!」

 

青ざめた馬(ペイル・ホース)に乗る騎士の、最速の願いは知らぬと動きごと封じられ

 

「結」

 

「私の魔眼がっ?!」

 

避けられぬはずの騎士の想い(重力)は壁の

向こうには届かず無意味と散り

 

「結」

 

「貴様の能力はコレで封じ・・・がぁぁっ?!」

 

棺には自分が入れとばかりに全ての力を

失った僧侶が倒れ伏し、

 

「結」

 

「くっ私の氷を?!きゃぁぁぁぁ?!」

 

僧侶が使う氷はいとも簡単に砕かれて

 

「結」

 

「ガァァァァァァァ!!」

 

黒い龍と化した戦車の炎は知らぬと無視され

 

「結」

 

「おぉぉぉぉぉ!くっそったれがぁぁぁ!」

 

当たれば潰せるであろう戦車の一撃は

巨漢の異形ごと押しつぶされた。

 

各眷属たちは一人で挑んだのではない。

皆で連携したし、それぞれが潰される前に

決死の攻撃を繰り出している。

 

ただその全てが塵として蹂躙されただけだ。

 

それは純粋に力量の違い。

 

蟻が象に勝つことが出来ないように、

当たり前のことを当たり前に行った

結果のことである。

 

 

 

 

若手交流戦、第二戦。

 

一部の者は試合の前から既に勝者を

確信していたが、この内容は流石に

予想外だっただろう。

 

誰もが言葉なく、ゲームを映すディスプレイ

を凝視している。

 

第二戦のゲームは大方の予想を裏切り、

ゼファードル・グラシャラボラス側による

サイラオーグ・バアル側の蹂躙で幕を開けた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ーーアジュカ視点ーー

 

 

「サイラオーグ・バアル様の騎士リタイア」

 

「サイラオーグ・バアル様の騎士リタイア」

 

「サイラオーグ・バアル様の僧侶リタイア」

 

「サイラオーグ・バアル様の僧侶リタイア」

 

「サイラオーグ・バアル様の戦車リタイア」

 

「サイラオーグ・バアル様の戦車リタイア」

 

 

・・・・・

 

試合開始から一時間も経たずに兵士と

女王を除く眷属が全滅とはな。

 

さらに今も・・・

 

「いい加減にしなさいっ!」

 

『・・・!』

 

「貴様ぁぁっ!」

 

 

サイラオーグ側の女王クイーシャ・アバドン

とローブで身を隠した兵士、それに王である

サイラオーグ・バアル自身もまた、握り拳から

血を流しながら攻撃を繰り出しているが・・・

 

「はぁ・・・話になりません」

 

そう呟く一人の少女の前に、手も足も

出ない、いや、そよ風すら届かない。

 

そしてその少女の後ろでは・・・

 

 

「ポン」

 

「む・・・白ポンですか」

 

「えぇ~またっすか?」

 

「今、その牌なんか光りませんでした?」

 

凶児と言われたゼファードルが眷属と

麻雀をしていた。

 

必死の顔で攻撃を繰り出す彼らを完全に

無視し、目の前の麻雀に集中する様は

まさしく異常。

 

対戦相手に対する敬意もなければ、ゲームを

観戦している来賓に対する配慮もない。

 

コレは流石に・・・と思い来賓を見るが

 

「ほほう。あの結界系の神器をあんな

感じで使うとはな」

 

アザゼルは麻雀より結界系の神器を

使うゼファードル側の僧侶の実力に

目を見開き、

 

「HAHAHA☆あの小僧、ここで白かよ!

まだまだだな!」

 

帝釈天はゼファードルの安易な哭きに対して

ツッコミをいれ、

 

「ふむ。あの哭きには何やら深い意味

があるのじゃろうかのぉ?」

 

オーディンは哭きに込められた意味を推察している。

 

・・・少なくとも帝釈天とオーディンは

麻雀観戦を楽しんでいるようだ。

 

各陣営の配下は主神が楽しんでる以上、

文句も言えるはずがない。

 

悪魔側としては「真面目にやれ」と言いたい

ところだが、ゼファードルが真面目に

なればサイラオーグが瞬殺されてゲームが

終わってしまうと言うことがわかっている為、

注意のしようがないと言うのが実情だ。

 

まさかもう少し接戦に見えるようにしろ!

と文句をつけるわけにも行かないしな。

 

「HAHA!あのガキ。中華服っぽい服

着てるから見所あると思ったがよ、

この俺の前で麻雀とはやってくれるZE!」

 

特に上機嫌なのが帝釈天だ。

 

昨日のシーグヴァイラとディオドラの

ゲームでは若者の若者らしい戦いだと

普通に評価していたが、今回は完全に

立場を無視して楽しんでいる。

 

「しかしアザゼルから聞いては居たが

あやつが20にもならん若手とはのぉ」

 

感心するように目を細めてゼファードルを

見るオーディン。

 

昨日の会談で其の辺の情報交換は終えて

いたのだろう、チラリとアザゼルを見るが

こちらの視線には気付いてないのか

食い入るようにゲームを観戦している。

 

まぁコカビエルを打倒して白龍皇を一蹴

したYOSHITUGUの試合だ。

 

俺としても、ヤツが白龍皇への対策を講じていた

ように、彼らの眷属が持つ神器に対して

何かしらの対策を練ってくると思ったがな。

 

「まさか真っ向勝負とはねぇ。彼程度には

策も準備も必要ないって感じかな?」

 

ファルビウムは意外なモノを見たかの

ように呟き、ソレを聞いた周囲の貴族共は

アレのどこが?!と言った表情をしている。

 

しかしアレはまさしく真っ向勝負だ。

 

そう見えないのはサイラオーグの

力不足としか言い様がない。

 

なにせ彼らは特に何か特殊な真似を

しているわけではない。

 

結界の神器使いが、結界の力を使って

正面から相手の攻撃を受け止め、

相手以上の力を以て潰してるだけだ。

 

王を目指すサイラオーグには皮肉なこと

この上ないが、まさしく王道の戦と言える。

 

王とは将軍が勝利報告を携えて戻るまで、

その勝利を疑わずに居るものだからな。

 

しかし女王と兵士を潰さないのには何か

理由があるのか?

 

「ゼファードルッ!貴様ッ!俺には

見る価値が無いとでも言うのかッ?!」

 

血を吐くかのような声を上げるサイラオーグ

だが、当のゼファードルは視線をやろうとも

しないで、麻雀に集中している。

 

むしろ・・・

 

「ロン。白、ダブ南で3900だ」

 

「え?あれ?今僕3ピン切ったよね?ナンデ二萬が?!」

 

ゼファードルめ。サイラオーグをチラ見した

騎士の少年の隙を突き、捨て牌に細工しやがった。

 

「真剣勝負の最中に視線を逸らすとは。

まだまだですなシグ殿」

 

振り込みに愕然とする少年を諭す初老の悪魔。

 

元人間の眷属悪魔らしいが、随分と落ち着いているな。

 

それに彼は、彼を見たファルビウムが早速実戦投入

可能と判断し、配置を考えるほどの実力者だ。

 

指揮官としても使えるらしいが・・・

しかしこの状況で真剣勝負の相手がサイラオーグ

ではなく麻雀と言うのがなぁ。

 

「HAHAHA!やるねえ!見事な早業DA!

読みも良い。胆力もある!」

 

イカサマを使ったことを怒るかと

思えば、その技を褒める帝釈天に

 

「なるほどのぉ。コレを狙っておったか。

早上がりのための白哭きとは。

サマ前提の戦いを想定しとらんかった

儂が未熟という事かの?」

 

イカサマを想定してなかったことを

恥じるオーディン。

 

いや、それはどうなんだ?

 

真剣勝負に卑怯もクソもねぇ!と

言うならその通りなんだが・・・

 

「それにアノ麻雀のせいで、噂の

若手ナンバーワン様が完全に我を失った。

その結果が眷属全員での無様な突撃で、

返り討ちDA。完璧な作戦だZE!」

 

あぁそうか、結果を見ればそうなるか。

そして戦いとは結果が全て。

ソレを考えればゼファードルは完全に

サイラオーグをコントロールしている。

 

「じゃな。最小の労力で最大の利益を得る。

しかも相手が血気に逸り奥の手の神器やら

何やらを使用したのに対し、あの者は一切

の情報を明かしとらん。

現状あの少女が多少強力な結界を使っておる

だけじゃからな。

アレは次回以降のゲームも見据えておるよ」

 

周囲もオーディンの言葉に異論はない

ようで納得したように頷いている。

 

なるほど、決してサイラオーグを小馬鹿に

しているだけではないのか。

 

「まぁなんだかんだ言っても、前に

ゼファーが言ってたじゃん?」

 

ファルビウムは終始にやけているが・・・

 

「ゼファードルが言った?」

 

何か言ったか?

 

「アレでしょ?売られたケンカは買うって

ヤツでしょ☆」

 

首を傾げる俺を見て、セラフォルーが

ファルビウムの言葉を補足する。

 

コレは外交官として、内輪ネタにせずに

来賓にもわかるようにしようと言う魂胆が

有るのだろう。

 

それに俺も思い出した。確か・・・

 

『無論売られた喧嘩は買います。ですが現時点で

コイツらには俺に挑むだけの力が有りませんね』

 

だったか。うむ。その言葉を証明したと言う事か。

 

絵に書いたような有言実行である。

 

納得する俺にゼファードル陣営の少女の

声が聞こえてくる。

 

「さて、女王にも既に手が無いようですので

『・・・死んでください』」

 

ん、この言葉は、まさか駒王会談の時の呪詛か?!

 

殺す気か?!と思ったのは俺だけではない。

ファルビウムやセラフォルー、アザゼルまで

目を見開いてゲーム会場を凝視する!

 

「そう簡単にっ!」

 

自分に向けられた指向性のある結界を穴に

入れようとする女王。

 

目には見えないが、おそらく風か何かを見て

その進路を予想しているのだろう。

完全に捉えた!そう確信する女王。

 

だが・・・

 

「クイーシャ!後ろだッ!」

 

サイラオーグの悲痛な声が響く。

 

「え?キャァァァァァァァ?!」

 

サイラオーグの女王は呪詛ではなく、

結界によって体を抉られ堕ちていく。

 

眼前に迫る結界は女王が見切ったのではない。

 

僧侶があえて読ませていたのだ。

 

「結」

 

背後からの一撃を受け、完全に無防備に

なった女王に感情の篭らない声で追撃を

行うゼファードル陣営の僧侶。

 

「グッ!ガッ!ゴフッ!!」

 

力を失い堕ちる女王にさらに連撃を加える。

 

「やめろぉぉぉぉ!!」

 

サイラオーグが少女を殴りつけようとするが

 

ガァァァァァァァァン!

 

結界を殴る音だけが鳴り響く。

 

「も・・う・・し・・「結」ぅガッ!!」

 

主への謝罪の途中でも攻撃を止めない僧侶。

 

『サイラオーグ・バアル様の女王、リタイア』

 

結界ごと地面に激突させられる前に

リタイア出来たようだが、なかなかに

えげつない戦い方だ。

だが戦いとしては間違ってない。

 

老害貴族やサイラオーグの支持者は

彼女の攻撃を非難するが・・・

 

「ほほう。あの嬢ちゃんも中々わかってるじゃねぇか」

 

帝釈天は冷静に彼女の行動を褒め

 

「むぅ。コレが若手とは。恐ろしいのぉ」

 

オーディンもまた彼女を評価している。

 

「うんうん。アレで正解。よくやった。

まだ女王はリタイアしてなかったし、誰が

フェニックスの涙を持ってたかわからない

からねぇ。油断して隙を見せるような真似

をしてたら、来賓の方々を相手に恥を

かくところだったよ」

 

危ない危ないと言うファルビウムの

声に、老害どもの非難の声は収まった。

 

この状況で油断してやられました

なんてのは、サイラオーグの支持者

としては良いかも知れんが、悪魔と

しては未熟さの露呈となる。

 

ここまで圧倒しているのなら、もう

サイラオーグの個人評価ではなく、

悪魔の若手は底が知れんと判断して

もらったほうが良いのだ。

 

それに、サイラオーグの眷属達の攻撃は

若手の範疇を超えていたのも事実。

 

それ以上にゼファードル陣営が強かっただけだ。

 

そのことは来賓も十分わかっているだろう。

その証拠に一方的に負けているサイラオーグを

馬鹿にするようなコメントは無い。

 

「おのれオノレおのれオノレおのれぇい!」

 

女王を落とされて怒りを爆発させたサイラオーグ

が、ゼファードルを睨む。

 

しかしソレは悪手だぞ。

 

「敵から目を離すな未熟者」

 

結界を張る少女はそう言って、残った兵士と

サイラオーグを棺のような形をした結界に

閉じ込めた。

 

「『?!』」

 

そうだ。戦闘中に戦ってる相手から目を

離すなど論外。

 

王は自分が負けてる時にこそ視野を広く持たねば

ならんのに、感情に任せてソレを全く理解も実践

もできていないのはマイナスだぞ。

 

「王様気取りさん。慢心して良いのは力を

持ったホンモノの王様だけです。

今回の貴方の敗因は、貴方がゼファードル殿を

格下と見下し、奥の手を使わずに無駄な攻撃を

行うと言った選択をした為。

つまり・・・王としての判断ミスですね」

 

奥の手が何かは知らんが・・・まぁ

何か有るならココまで殺られる前に

使うべきだと言うのは確かだ。

 

歯を食いしばるサイラオーグをまるでゴミ

を見るかのように見下す少女。

 

「所詮なんの展望もなく、権力目当てで

「王になる」などと抜かす愚か者。

今まで自分を虐げて来た者達相手に散々

弱い者イジメをして調子に乗っていたよう

ですが、それも今日で終わりです。

いい夢は見れましたか?」

 

そう言えばコイツは王になると言ったが、

王になってナニをすると言うのはなかったな。

 

母親がどうとか、虐待がどうとかは所詮

サイラオーグ個人の問題。

 

民には関係ないからなぁ。そりゃ権力目当て

と言われるだろうさ。

 

でもって虐待してきたヤツらを見返すって

言うのも、ガキの頃イジメてきた奴らに

イジメ返しただけと言い切るとは。

 

そんな男に関して「王としての資質」を問うならば、首を傾げざるを得ん。

 

力こそ正義!と言うなら・・・今現在負けてるしな。

 

「さて王様気取りさん。もう理解してるとは

思いますが、わざわざ貴方と兵士さんを残した

のは、この場で貴方の罪を魔王様方や来賓の

方々に公表するためです」

 

ん?罪だと?何の話だ?

 

「貴様、まさかっ?!」

 

ソレを聞いて焦るサイラオーグ。

ヤツには心当たりが有るようだが・・・

 

「今のリアクションで十分です。もう兵士さんを

リタイアさせても構いませんよ?もちろん貴方も

投了してくれて構いません。

ソレをしないなら切り札を失った貴方を刻んで

擂り潰すだけですしね」

 

やられたっ!と言う顔をするサイラオーグ。

まぁ確かに、その罪とやらに関係してるであろう

兵士を今から逃がしたところで、それは自分の

罪を隠してますと言っているようなモノだ。

 

更に言えば抵抗も無意味。今まで散々攻撃しても

破れなかった結界だ。

今さらどうしようもないだろう。

 

そしてもしここで兵士をリタイアさせれば、

彼女は我々が確認をとる前に、罪とやらを

告発するのだろう。

 

わざわざこの場で公表するのは、恐らく事故か

何かでその罪が露呈するよりも自分達で告発

した方が、勢力としての自浄機能が健在だと

言うことを証明出来るからか?

 

つまりその罪は明かしても致命的ではないが、

サイラオーグとしては汚点になると言うことか。

 

さて、どんな罪なのやら。リアスに鍛えられた

俺の胃はそう簡単には破けんぞ?

 

そう思ってた時期が俺にも有りました。

 

「サイラオーグ・バアル。貴方の罪は神滅具

の不法所持、つまり報告を義務化した協定に

関する違反の現行犯です。

言い訳は私達ではなく魔王様方にするように」

 

は?

 

少女の言葉を聞いたが、理解が追い付かない。

 

「「「「はぁ?!」」」」

 

神滅具??不法所持???確かに神滅具は

発見次第報告するようにと言う協定は

昔からあった。

 

事実白龍皇や煌天雷獄は堕天使陣営

や天界勢力から発見と所持の報告が

上がっていたし。先の休戦協定にも

その内容は正式に盛り込まれている。

 

サイラオーグが、いや、バアル家がソレを

知りながら秘匿していた?!

 

俺たちに何も知らせずに?!

 

俺とファルビウムとセラフォルー、更に明日の

リアスを心配していたサーゼクスまでもが同じ

声を挙げ、アザゼルや帝釈天、オーディンから

は「説明しろ!」と言う視線が突き刺さる!

 

いや、説明して欲しいのはコッチだ!

一体どう言うコトだってばよ?!

 

「ぐっ!」

 

顔を歪めるサイラオーグの表情を見れば嘘とは思えない。

 

そう言えばヤツの兵士は兵士の駒7つを

使用したんだったか?

 

リアスが8つで赤龍帝を宿したガキを眷属に

出来たと考えれば・・・

 

「そこにいる自律型神滅具、獅子王の戦斧が

何よりの証拠。

何が目当てで情報を独占しようとしたかは

知りませんが、もしソレを研究出来れば

どれだけの応用技術を得られたことか。

脳筋の貴方にはわからないでしょうねぇ」

 

は?今何といった?

 

「自律行動だと?!神器、いや、神滅具が?!」

 

少女の言葉を聞き、驚きで目を見開くアザゼル。

 

確かにソレが真実なら一体どれだけの奇跡で

成り立っているのか・・・

 

それに他の魂が篭っている神器や神滅具

の自律行動の可能性を考慮すれば、ソレはタダ

の神滅具を秘匿するのとはわけが違う。

 

決して個人の名声の為に秘匿して良い情報ではないぞ?!

 

「一応その強度を確認するように指示も

出ています。遠距離攻撃を無効化すると

言う性能を見せてもらいましょう」

 

そう言いながら僧侶が印を結ぶが・・・

そもそもあの印には何か意味があるのか?

それともアレ自体がミスリード?

 

棺のような箱の中に閉じ込められた兵士、

いや、獅子王の戦斧が結界を破壊しようと

もがくが結界は微動だにしない。

 

「無駄ですよ。所詮貴方は使われる道具。

使い手がいなければ本来の力は出せません」

 

それはそうだ。何がどうなって悪魔に転生

したかは知らんが本来は斧だからな。

 

武器なら熟練した使い手が持って初めて意味があるだろうよ。

 

抵抗を続ける獅子王の戦斧に対し小型の

結界をぶつけるも、その全ては無効化されて

いるのか、ローブが破け黄金に輝く鎧の

ようなモノが見え隠れしているが、本体に

ダメージは無いようだ。

 

「本体にダメージなし。だが結界は効果がある。

ってことは、あくまでアレが無効化できるのは

自分が遠距離攻撃と認識したモノか?

つまり距離をトリガーにしている?

それとも決められた攻撃以外は無効化する?

つーか道具が悪魔になるってなんだ?付喪神?」

 

アザゼルは先程から完全に研究者の目で

獅子王の戦斧を見てるし。

 

「ほぉう。こんなことまで隠してやがったか。

汚い!流石悪魔!汚いZE!」

 

帝釈天は冗談交じりに俺たちを批判してくる。

 

冗談混じりなのは、後でしっかり教えろと

いう事か、ソレとも他に何か理由があるのか。

 

「あの嬢ちゃん・・・一体ナニをしようとしておる?」

 

オーディンは、僧侶の少女が弾かれると

わかった上で結界内部に居る獅子王の戦斧

に対して似たような攻撃を繰り返していることを

疑問に思っている。

 

強度の確認と言うのはオセからの指示

だろうが・・・一体どこから獅子王の戦斧の

情報を手に入れたのやら。

 

いや、我々が迂闊なだけか。

 

「大体分かりました。では次で最後です。

これに耐えたら貴方の勝ち。破壊出来たら私達の勝ちですね」

 

破壊?神滅具を?!

 

「おいおいおい、若手悪魔ってのは

そんな事まで出来んのかYO?」

 

呆れながらも興味深そうにしている帝釈天。

 

それはそうだ。使い手を殺すのではなく神器を

破壊出来ると言うなら、他の神話勢力にとって

無視できる情報ではない。

 

自律型の神滅具というだけでアレだがな。

 

問題はサイラオーグがリタイアさせないか

どうかだが、そんなことをしたら来賓や

俺たちからどれだけの突き上げを喰らうか

理解しているのだろう。

 

現状を打破する為の方策を必死で考えているように見える。

 

・・・打破させる気はないがな。

 

俺たちがディスプレイに釘付けになる中

僧侶は目を閉じ、そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『滲み出す混濁の紋章

不遜なる狂気の器

湧き上がり・否定し・痺れ・瞬き・眠りを妨げる

爬行する鉄の王女

絶えず自壊する泥の人形

結合せよ・反発せよ

地に満ち己の無力を知れ』

さぁ結界師の真髄を味わいなさい!真界・黒棺っ!」

 

 

『グォォォォォォォォォォォ?!』

 

 

 




力(鉄球)と力(卵)がぶつかりあった結果、
片方が一方的に潰れました。(当たり前)

「滅」してないから、まだ優しいよね?

白龍皇のことは教会のゼノヴィアさん
ですら知ってましたからねぇ。

ヴァーリの個人情報はともかく、
其の辺はしっかり告知されてたもよう。

ソレを個人で所有者しちゃダメでしょってお話。

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