とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

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若手なんばーわん。(別に一番強いとは言ってない)散る。

そしてとうとうオセ君が動く?

今日は2話投稿できるかなぁ・・・

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


69話

ーーアザゼル視点ーー

 

『グォォォォォォォォォォォォォ!』

 

真っ黒に染まった結界の中からくぐもった

獣のような声が響き渡る。

 

神器が、いや神滅具が自律行動することには

確かに驚いた。そもそも義務化した矢先に

神滅具の情報を秘匿する悪魔共にも驚いたが。

 

だが最優先すべきはあのガキが行っている詠唱ッ!

 

遠距離攻撃を無効化する効果を持つ

獅子王の戦斧に対して、術でダメージを

与えるってのは、まさかアレも『理』か?!

 

「爺さんっ!」

 

思わずオーディンの爺さんを見る。

爺さんは真剣な顔をして結界を見ていたが

 

「いや、アレは違うの」

 

首を振って俺の言葉に籠められていた期待を否定した。

 

「ほほう?オーディンサンには何か

わかったのかYO?

俺には結界の中がただ真っ黒になった

だけにしか見えんGA?」

 

帝釈天が俺たちの言葉に反応するが、

コイツは明らかに俺たち三大勢力の敵だ。

 

情報を与えて良いものかどうか・・・

そう考えたのは俺だけらしい。

 

「うむ。アレは結界の内部に複数の重力源を

発生させて、中の相手を破壊するための術じゃな」

 

重力源の発生か・・・重力を発生させる

神器があるくらいだから、ソレを操る術式

もあるのだろう。

 

しかしあの棺みたいな狭い箱の中に

複数の重力源を生むのかよ。

 

わかりやすく言うなら右手の小指と

薬指を反対側に引っ張る感じだろ?

 

そんな感じを複数?

 

確実に壊されるじゃねぇか。えげつねぇ術式だぜ。

 

でもってアレが獅子王の戦斧にダメージを

与えたのは、自分の周囲に発生した重力源が

攻撃とみなされないからか。

 

まぁ重力を攻撃と見做せば、奴が地上に立つ

ことはできねぇしな。

 

ソレが明らかに自分に関係する攻撃だと

判断すればどうなるかはわからねぇが、

「周囲に発生した」ってのがキーだろう。

 

あとの問題は痛覚や治療か。何かしらのダメージ

を負ったようだが、アレは道具じゃなく悪魔化

したからとでも言うのか?

 

痛覚がないなら叫び声など上げんだろう。

 

だがまぁ、コレは普通の術式だ。

 

『理』を纏わない単純な重力やら何やらじゃヤツには通用しねぇ。

 

正直あの詠唱に興味がないわけじゃねぇが、今回は後回しだ。

 

「サーゼクス。流石にいきなりの協定違反は見過ごせねぇぞ?」

 

そう、あの詠唱が『理』と関係ないのなら、今の

俺がすべきは堕天使の総督としての仕事だ。

 

隠してたのはゼクラムあたりの指示だろうが、

そもそもなんの為の協定だと思ってやがる。

 

それに来賓を招いてのゲームだぞ?

参加選手くれぇきっちり調べろや。

 

ここで甘い顔すればオーディンの爺さんは

俺を見限るだろうし、帝釈天も俺たちに

対してどんな行動を取るかわからん。

 

帝釈天とて昨日の会談や、今の俺の態度で俺と

オーディンの爺さんが協力体制にあるってのは

なんとなくわかってるハズだから、今はそれほど

突っ込んでこねぇだろうがよ。

 

「う、うむ。私としても初耳だ!コレは

見過ごせん!ここは一度明日のゲームを延期

して、事実調査を行いたいと思うが・・・

帝釈天殿やオーディン殿はどうだろうか?」

 

明日のゲームを延期して調査ぁ?

 

『英雄、リアス・グレモリー』のお披露目を

しねぇってか?まぁ気持ちはわかるがよ。

 

「確かに自律型の神滅具は気になるけどYO!

赤龍帝も同じ神滅具だRO?しっかり調査

する意味でもゲームはするべきじゃね?」

 

そうだよなぁ。そもそもコイツは赤龍帝と

悪魔の駒を見に来たんだ。

今回の獅子王の戦斧に関しては僥倖でしかない。

 

本題を優先するのは当然だろうよ。

 

それに自律型と言えば狗も似たようなもん

・・・いや、アイツとは違うか。

 

なんと言ってもコッチは元が斧だからな。

何が有れば斧に悪魔の駒を使うってことに

なるやらさっぱりだが、その辺は調査を

待てばいいだけだ。

 

「うむ。確かに獅子王の戦斧は気になるが

赤龍帝もなにか問題が生じておる可能性も

あるからの。

お主らに調査させるには信用が足りん。

故にしっかりと見せて貰いたいもんじゃな」

 

そうだ。俺やオーディンの爺さんにして

みれば、赤龍帝の倍加はヤツへ対抗する

ために必要不可欠な技術。

その確認を怠るなんざありえねぇ。

 

「そ、そうですか・・・わかりました。

では調査とゲームを両立させて行いますので、

今回の件に関する詳細報告は明日以降となって

しまいますが、お時間を頂いても?」

 

一見調査報告を作るための時間稼ぎと

思えるが、コレは違う。

 

ゲームを潰すか、最悪でも延長させようとしてやがるな。

 

当然それに気づいている後ろの魔王たち、

特にセラフォルーの目がヤバイ。

 

まるで犯人のクマを見つけたウサギみてぇな

目をしてやがるぜ。

 

それに帝釈天やオーディンは譲る気がねぇぞ?

 

「あぁ、ソレでかまわねぇYO!なぁオーディンサン?」

 

「うむ。致し方あるまい」

 

陽気に頷く帝釈天と、鷹揚に頷く爺さん。

 

サーゼクスの様子から何かを隠そうと言う

気配を感じ取ったんだろうな。

 

ソレを邪魔してニヤニヤしてるが・・・

サーゼクスが隠したいのは秘密兵器とか

じゃなく『英雄』の実態だぞ?

 

まぁ関係者の胃と頭に甚大な被害を与える

秘密兵器と言えばその通りだがよ。

 

 

 

 

 

『グ・・ォォォォ・・・ォォ!』

 

「やはり重力は無効化できませんか。所詮は欠陥品ですね」

 

俺たちがそんなやり取りをしている間にも

向こうでは僧侶が獅子王の戦斧に対して

言葉を向ける。

 

この会話の最中でも結界の中では重力の

嵐による蹂躙が行われているのだろう。

 

しかし欠陥品とはどういう事だ?

 

俺たちが抱いた疑問を感じ取ったのか、

YOSHITUGU、いや、ゼファードルの

僧侶は解説を行う。

 

「そもそもネメアの獅子の魂は、ギリシャ神話

のゼウス様の手で獅子座へと昇華しています。

大戦で倒されて体や魂に手を付けることが

出来た白龍皇や赤龍帝とは違い、聖書の神が

どうこうできるようなモノではありません」

 

「「「「・・・」」」」

 

そりゃ・・・うん。そうだな。

 

「そもそも、ネメアの獅子のどこから斧が出てきたんです?」

 

いや、どこって言われても・・・

 

「そう言った様々な観点から、我々はソコに

あるのは残留思念の様なモノかナニカでは

ないかと推察しました。

なにせヘラクレス様の豪腕で三日も首を絞め

られていたのですからね。

その肉は食われ、皮は剥がれたとしても

害意や無念は残ったでしょう。

ソレを聖書の神が拾い、自分が造った神器の中に

組み込んだのではないでしょうか?

・・・コレが斧ではなく皮を加工して作られた

服等なら、聖書の神が関わらないホンモノの

意思が宿る可能性も認めることもできますがね」

 

『・・・』

 

そう言いながら攻撃を続ける少女。獅子王の

戦斧が呻き声すら上げていないのはダメージか?

それとも自己の存在が揺らいでいるのか?

 

「「「「・・・」」」」

 

いや俺を見るな。オヤジが何考えてあんなの

造ったかなんて知らねぇよ!

 

つーか、確かネメアの獅子は武器やら何やらが

通用しないって特性が有って、ヘラクレスの矢を

弾き、棍棒の攻撃を無効化したんだったよな。

 

加工された革はヘラクレスの服となったが、

そもそも皮が攻撃を無効化したワケじゃなく、

その下の肉とか骨とか魔力的なモノとか、

全部が揃って攻撃を無効化していたはずだ。

 

そこでヘラクレスはフロントチョークで

締め上げることにしたわけだが・・・

 

うん斧は全く関係無いな。間違いなくオヤジの

趣味だ。だから魔王共。俺を見るなってば。

 

神器研究の第一人者だからって、なんでも知ってるわけじゃねぇんだよ!

 

『ば、馬鹿な。では私は!このワタシは

残留思念に過ぎないというのかぁ?!』

 

俺が頭の中でネメアの獅子について考えて

いた間も、当然ながら戦いは継続している。

 

襲い来る痛みの中でなおも叫ぶ獅子王の戦斧。

その声は悲痛さにまみれていた。

 

その声を聞き、俺はあの僧侶の狙いにようやく

気付く。そうか、破壊とはこういう事かっ!

 

「さぁ?ただ誇り高き獅子ならば、ゼウス様に

復讐を目論むか、己を打倒したヘラクレス様に

従うことはあっても、私ごときに敗れるような

王様気取りに仕えるなどありえないでしょうね」

 

この時点でもはや貴方にネメアの獅子を

名乗る資格は無いのでは?

 

結界に閉じ込められた獅子王の戦斧にそう

告げる少女の目には、喜怒哀楽のどれも

含まれてはいない。

 

それだけに今の言葉も彼女が当たり前のことを、

当たり前に告げてるだけだと言うのがわかる。

 

ソレを受ける獅子王の戦斧も同様だろう。

いや、俺たちより余程衝撃はデカいハズ。

 

『誇り・・高き獅子・・・あぁ・・ワタ・シハ

ワタしワタシワたしわたしワタシワタしわタし

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

 

・・・壊れた。これが狙い。

 

魂だけの存在が、肉体となるモノを破壊された

上で己の存在を否定する事を事実と認めて

しまえば、その存在を保つことなどできねぇ。

 

自分が死んだことに気付いてない幽霊に

既に死んでいることを伝えるようなもんだ。

 

後に来るのは暴走そして消滅。

 

だが壊れた敵を見逃すほどソコの

僧侶は温くねぇ。

 

「滅」

 

今までは「結」と言って攻撃を加えていた

のを「滅」と変えたのにはナニカ意味が

あるのか?

 

そう思っていたが、その答えは直ぐに俺の

目の前に展開していた。

 

『アぁァァぁぁァぁァっッ・・・・・!!』

 

結界が小さくなっていく。

解除じゃない。押しつぶしている。

 

いや、滅しているのだ。

 

サーゼクスが驚きで目を見開くが、元々

聖なる光や聖剣で悪魔を消滅させることが

出来るように、相手を消滅させると言う

だけならバアル家に伝わる魔力以外にも

方法はあるんだ。

 

結界の中に入った異物を消滅させるのも

結界使いとしては当たり前の能力の一つ。

 

自己を見失い、抵抗するだけの意思を

亡くした残留思念なんざそれなりの

力が有れば消滅させることも可能だろう。

 

サイラオーグ・バアルは呆然としながら

その有様を、自分の眷属が消えていく様を

見せつけられている。

 

だが、ココで俺は重大なことに気付いた!

思考停止してる場合じゃねぇよ!

 

「て言うか何故リタイアさせねえんだよ?!」

 

呆然としているサイラオーグにもイラつくが、

当たり前のように消滅させようとしてる僧侶

だって問題だろう。

 

故に思わず叫んでしまう。残留思念とは言え

アレは神滅具に相応しい神器だ。

 

研究すれば他の神話生物の残留思念から

でも人工神器が造れるってことだぞッ!

 

どれだけの戦力強化になると思ってやがる!

 

ソレを消そうとするゼファードルの僧侶も、

ソレを守らねぇサイラオーグも理解できんぞ!

 

「落ち着けアザゼル。結界とは、そもそも

そう言うもんじゃ」

 

そう言って俺の肩を掴むオーディン。

 

そう言うもの。つまりは外界と隔離して

いるから、リタイア出来ねぇってのか?

 

「ならば尚更僧侶の方を止めねぇと!」

 

そう思ってファルビウムにヤツを止める

ように要請しようとしたが、

 

「小僧。ワシは落ち着けと言ったぞ?」

 

再度爺さんが俺に声をかける。

 

落ち着いてる場合かっ!そう怒鳴ろうとしたが

爺さんの様子を見て、その動きを止めた。

 

止めざるを得なかった。

 

俺を制止する爺さんは、声にも肩を掴む手にも

かなりの力を入れていて、更に画面を睨み付ける

様子は怒りに震えているようにも見える。

 

そうだよな、この爺さんにしたってアレ

だけの奇跡の結果生まれたモノが

目の前で失われるなんざ許せねぇよな?!

 

だからこそ、あの僧侶を止めないとッ!

 

そう思ってたんだが・・・

 

「聖書の神のクズが。他の神話勢力に手を

出すだけでなく、まさか死したモノの思念

まで利用するとは・・・」

 

え?

 

「・・・まったくだ。ヴリトラもそうだがよ。

オメーらは勝手が過ぎる。だからオメーらは

信用出来ねぇんだよ」

 

オーディンは我慢ならんといった感じで呟き、

普段の陽気さを消した帝釈天が冗談の欠片も

感じられない表情と口調で吐き捨てた。

 

ど、どう言うことだ?怒りの矛先は

僧侶じゃなくて俺たち??

 

俺だけじゃなく、サーゼクスたちも

オーディンの爺さんや帝釈天の言葉を

理解しきれていないようで、剣呑な

雰囲気を隠しもしない二人にどうして

良いかわからないようだ。

 

「アザゼル、お主はアレを研究して自己の

勢力の発展に役立てるつもりかもしれんがの。

ソレは全ての神話勢力に対する宣戦布告じゃ。

アレはあそこで終わらせるのが正しい」

 

宣戦布告?何が・・・??

 

「はっ!全然わかってねぇ。とりあえずアレだ。

今回の件であの嬢ちゃんやその主を罰する

ことは、須弥山代表としてこの俺が許さねぇ!」

 

怒気と共に発せられた帝釈天の宣言に、

俺たちは言葉を無くす。

 

「無論このオーディンも北欧神話を代表し、

彼奴らを罰することは許さん。

隠匿しとったバアルの小僧は知らんがな」

 

そう言って唖然とする俺たちを見回す

爺さん。これは紛れもなく本気だ。

 

二人からはココでナニカ有れば戦争も

辞さないと言う本気を感じる。

 

一体何が二人の逆鱗だったのかわからぬまま

動きを止めていた俺たちの耳に入ってきたのは・・・

 

『サイラオーグ・バアル様の兵士リタイア。

更にサイラオーグ・バアル様の投了を確認。

ゼファードル・グラシャラボラス様の勝利です』

 

と言う試合終了の宣言だった。

 

 

 

 

 

 

 

この日13個有った神滅具は12個となり、

悪魔陣営は神滅具の隠蔽を各勢力に謝罪。

 

神滅具の隠蔽は初代であるゼクラムの

指示であることが判明していたが、

バアル大王家はサイラオーグ・バアルを切り

捨てることで事態の収束を図ろうとした。

 

だがコトは悪魔だけの問題ではない。

 

そんな誤魔化しが許されるような状況では

なかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後

 

 

ーーアジュカ視点ーー

 

「で、どうかな?」

 

ファルビウムがオセと連絡を取っているが、

こいつらの会話には相変わらず主語がない。

 

『可能ですが、魔王領や他の領地に居る

連中は無理ですね。

また現地に居る連中で「アレを生かせ」だの

「コレを捕えろ」と言うのも不可能です』

 

ソレでも、通じるんだから問題は無いがな。

 

後はその方法か。コトがコトだから明言しない

だろうが・・・魔王領だの他の領地に居るヤツが

無理と言うのは、文字通り全滅させるからだな?

 

そうなると今回も前回の様な呪詛を使うのか?

 

「ソレで構わない。準備にどれくらいの

時間が必要かな?」

 

まぁ良い、重要なのは結果だ。

 

粛清は元々オセから提案されてたことだから

可能なのはわかる。

 

そして今回英雄を望まんのはオセがそう言う悪魔だと言うことを皆が知ってるからか?

 

もしくは今更悪名の一つや二つは気にせんという事か?

 

『人員の撤退もさせますから・・・準備に十日。

実行にも十日は欲しいですね』

 

十日か。ソレが早いのか遅いのか。

 

まぁ準備を含めて20日有れば俺とて

可能ではあるだろうから、この期間が

不自然と言う程のものでもない。

 

ついでに言えば、その間に逃がすべき者は逃がせと言いたいのだろう。

 

「それでいい。ヨロシク頼むよ。今回は

君に泥を被って貰う形になるけど・・・」

 

ファルビウムは普段の間延びした

口調ではなく、終始真剣な表情で

連絡を取っている。

 

しかしコレはな。仕事への報酬は当然として、

どんな形で補填すれば良いのやら。

 

サーゼクスあたりが知ったら・・・いや

アイツはアイツで従兄弟のサイラオーグ

を心配してたからな。

 

間違いなくトカゲの尻尾きりに走るで

あろうバアル家を見す見す逃がすような

真似はしないだろう。

 

『ご安心を。当方も後ろを気にしては前に

進めませんからな。老害の罪を裁くことで

他の連中への警告とするには十分でしょう』

 

前か・・・バアル大王家が旧魔王派を支援

しているのは公然の秘密。

ソレを粛清すると言うのはそのまま大義名分

になるし、悪魔陣営が纏まらなければ何時に

なっても他勢力との戦争が出来んからな。

 

その点コイツはそんな妥協を許さん

から信用できるというのが何とも・・・

 

「お手柔らかに・・・とは言わない。

今回の件でわかった。ヤツらがいる限り

悪魔に未来はない」

 

ファルビウムは本気で老害を消すことを

決意したか。

 

俺とて覚悟を決めよう。1000の老害より

100万の民を選ぶのが王というモノ。

 

今回はオセに背負わせることになるが、

その後に我々が民を導くことを考えれば

今の段階で泥は被れん。

 

向こうもそのことを理解してくれて居ると

言うのが救いではあるがな。

 

『かしこまりました。それとバアル領にある

王の駒や悪魔の駒も全て破壊します。回収しろ

等の命令は受け付けませんのでそのつもりで』

 

コレは俺に対する警告だな。

 

「あぁ、望むところだ。よろしく頼む」

 

以前言われたときにヤっていれば、

ココまで悪魔陣営が苦境に立たされる

ことは無かった。全ては俺の罪。

 

悪魔の駒の改良とレーティングゲーム

からの脱却は望むところだ。

 

俺がそう答えると、オセは満足げに頷いて

『ではこれより準備に入るので失礼します』

と言って通信を切った。

 

相変わらず迷いがない。

 

いや、王が迷いを見せてはダメだと言外に

俺たちに伝えてるのかもな。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「超龍師団・ウィーネはバアル領北部を殲滅しなさい」

 

「はっ!」

 

「妖魔師団・黒歌と百獣師団・白音は同じく西部を殲滅」

 

「「はっ!」」

 

「不死魔団・アリスは私と共に南部を殲滅します」

 

『はーい!』

 

「魔影群団・本来は神野ですが、今回は簪が率います。東部を殲滅しなさい」

 

「はっ!」

 

「外部への情報漏洩は神野が遮断します。

各々好きに殺りなさい」

 

「「「「「『はっ!』」」」」」

 

「尚、中央は空殿と天中殺・凶将百鬼陣が

動くので、決められた範囲から絶対に中に

入らないように」

 

「「「「「『はっ!』」」」」」

 

「これより状況を開始する。先に通達するが

コレは蹂躙戦だ。容赦は許さん。見敵必殺。

民も、兵も、将も、貴族も関係ない。殺せ。

王の駒を持つ者が出てきたら磨り潰せ。

オーフィスの蛇を持つ者が居たら鏖殺せよ。

オセ様こそ悪魔だと。オセ様こそが大悪魔

だと冥界のクズどもに教えてやるのだ。

今はまだその前段階に過ぎないが、

将来、来るべき時の為に働け。

往くぞ!オセ様の名を不変の伝説とせよ!」

 

「「「「「『応っ!』」」」」」

 

 

 

 

『ねぇ主ぃ、アレ、良いのかぃ?』

 

「別に構わんさ。俺は貴族悪魔だし。他の

所領に住む連中のことまで面倒見る気はない。

それに仕事は楽しくやった方が良いだろう。

バアル領如き、サーゼクスでも10日有れば

滅ぼせるからな。

お前も不自然じゃない程度に遊べばいいさ」

 

『アヒャヒャヒャヒャヒャ、相変わらず

気前の良い主で嬉しいねぇ!それじゃ

好きにやらせてもらおうかなぁ!』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

その後オセ家がバアル大王家を罪人として

弾劾し、断交及び粛清を宣言。

罪状は神滅具の不法所持及び、禍の団への

情報と資金提供。更にフェニックスの涙を

始めとした物資の横流しである。

 

悪魔勢力最大派閥を率いるバアル大王家と

悪魔勢力の最精鋭を率いるオセ家の戦闘は

長期に渡ると予測され、その被害は甚大なモノ

となると考えたモノたちより魔王に仲裁を望む

声が多数上がるも、その仲裁が行われることは無かった。

 

コレは魔王が拒否したのではなく、仲裁が

入る前にバアル大王家側が全滅したからだ。

 

 

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♪(o・ω・)ノ))))))))

 

(((((((((((ヽ(・ω・o)♪

 

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全滅。バアル大王家の血筋だけでなく、将も、

兵も、民も、全てが十日の内に滅ぼされた。

 

特に領都は正しく灰塵と化し、ソコに悪魔の

営みがあった名残すら消えていたと言う。

 

このオセ伯爵家によるバアル大王家の粛清は、

大王家に味方していた大王派貴族や、そこから

資金や物資を補充していた旧魔王派達に対して

絶大な衝撃を与えることになる。

 

戦闘期間は粛清の宣言から僅か10日。

生き残りも目撃者も皆無。

 

魔王や他の家が放った諜報員も全員が消息不明。

 

その為この間バアル大王家の所領において

ナニが有ったのかを知るモノは、オセ家の

中にしか居ない。

 

ただ周囲を攻略していた各方面の悪魔達は

遠く離れたところから届く、聞きなれない

歌を聴いたと言う。

 

その歌は冥界に住む悪魔達の中では当然ながら

知られてはいない。

だが、地上にある日本と言う国を知るモノが

聞けばこう答えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『かごめかごめ』もしくは『かごめ呪言歌』と。

 




大王家終了のお知らせ。

ちなみに魔王様とオセ君の会話は数日後の
話なので眼鏡会長はちゃんとゲームします。

赤龍帝のハードルがモノスゴク・高いッ!

謎に包まれたっょぃょぅι゛ょの名前がついに明らかに?!

オセ君サイドのお話は試合の後かなぁってお話

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