とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

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長い!(11000字越え)

今日も一話だ!

さっさと終わらせるために強引に話を纏めたぜ!


オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


74話

ーーソーナ視点ーー

 

『コレが!お前らが変態行動を繰り返す

コトで駒王学園の品位が疑われ!

肩身の狭い思いをさせられた挙句!

ずーっと心痛と頭痛で悩まされた

私たち生徒会の恨みだぁ!!!!』

 

私たち全員の魂の叫びを乗せた蹴りが

兵藤一誠に当たり、そして

 

『リアス・グレモリー様の兵士。リタイア』

 

と言うグレイフィア様のアナウンスが

聞こえたとき、思わずガッツポーズを

した私は悪くない!

 

良くやったわ留流子!貴女には特別ボーナスよ!

 

ヨシコ=サンはともかく、ココに居ない

椿姫達も全力でガッツポーズをしている

であろうことは想像出来るわ。

 

更に駐車場では、椿姫の神器の禁手である

狂乱の赤い池(マッド・パーティ)』によって生み出した疑似

生命体による状態異常術式もばっちり嵌ったわ!

 

元々椿姫は追憶の鏡(ミラー・アリス)によって望まぬ形で

異形を呼び寄せていたのよ。

だけど今回の修行で禁手に至ったことで

特殊な範囲系能力を齎す生物を、ある程度

選別して生み出す事が出来るようになった。

 

その生物を使えば、ソコには居ないのに

居るように見せる事も可能。

 

認識を弄る鳥や、不思議な「ねこ」による

視線を認識すれば、彼女たちはなにも

居ないのに完全に包囲されたと認識するわ!

 

当然映像では把握出来ないから対処も不可能よ!

 

流石にシロネ様が使う術式みたいに完全に

認識を破壊することは不可能だけど、今回は

コレで十分!

 

別動隊(リアスが居るから本隊かしら?)

の動きを止めて、兵藤一誠を潰す事が

出来たんだからね!

 

リアスたちにしてみればヤツこそ要!

ヤツこそ居なくなれば、勝手に暴走して

冷静に動くことは出来なくなる!

 

そうなれば『狂乱の赤い池』そのものに

対して抗うことは不可能になるわ!

 

冷静に動こうとする人狼も、冷静だから

こそアノ術式は嵌る。

 

最初に言ったけど、コレからはずっと私たちの

ターンよ。とりあえずは完全に動きを封じられた

リアスたちを放置して本陣を急襲させましょうか。

 

「2人とも良くやりました。ではコレより

第二段階プランBに移行します。

匙と留流子は敵本陣に向かいなさい。

本陣にギャスパー君が居る可能性が有ります

から油断はしないように。

そして匙は建物に黒い龍脈を使って間接的に

ギャスパー君の力を奪い続けなさい、奪った

力は留流子に渡す分と自分の強化。

それでも力が余るようなら、その辺の雑貨や

店舗の商品を拾って強化しなさい」

 

コレで匙のオーバーフローは無くなるわ。

あとはギャスパー君を見つけて撃破しましょう。

 

『『サー・イエッサー!』』

 

まさか開始早々にリアスまでもが本陣を捨てて

立体駐車場に出るとは思わなかったけど、

コレは各個撃破の恰好の的。完全にリアスの失策よ。

 

「もしも本陣の前に扉が有ったら、匙の

黒い龍脈(アブソーブション・ライン)で扉を開ければいいわ。

そうすれば中にギャスパー君がいた場合でも

視線をコントロール出来るでしょう」

 

扉一枚隔てた部屋の中程度なら、ギャスパー君

が居るかどうか位はわかるでしょう。

 

不在なら本陣を落とした後で別を探せば言い。

 

本陣に居たなら扉を開くタイミングとかを

コントロールすることで、彼が匙達を直視する

ための視線の動きやタイミングを掌握出来るわ。

 

「視線を遮るものがなかったら、その辺の

店の壁を破壊するなり、カーテンを破くなり、

ローブを使うなりして視界を遮断して頂戴」

 

現状、こうして皆が動けていることを考えれば、

直視さえされなければ彼の神器は怖くないわ。

 

そもそもギャスパー君個人は神器頼りの弱者。

接近さえ出来れば奇襲し放題よ。

 

匙の黒い龍脈を繋げることが出来れば、

何かする前に潰せるでしょう。

 

後は必要に応じてプロモーションと

行きたいところだけど、まぁこのまま

で問題無いわよね。

 

場合によっては騎士にして速度を上げ、

合流を急がせても良いけど。

 

『『サー・イエッサ!』』

 

 

よし、コレで向こうの本陣は問題ない。

 

そもそも今回のゲームはお姉さまが提案した

とは言え、英雄を勝たせなきゃいけないって

言うメッセージが込められたモノよ。

 

その中で、しっかりと個別に復讐する

機会を与えてくれたのよね(多分だけど)。

 

それなら私たちが真っ先に討伐するのは

性犯罪者・兵藤一誠。

 

コレを潰すことが作戦の第一段階だった。

 

孤立していようが、集団だろうがアレだけ

は必ず潰す必要が有った!ソレが私たちの

意地でもあるし、アレを殺ればリアスも

姫島朱乃もタダの女に成り下がるからね。

 

その後で姫島朱乃を孤立させて狙うのが

本来の第二段階。つまりプランAだった

けど、アレがリアスと一緒に行動してる

なら私たちはガラ空きの本陣を潰すわ。

 

誇りも名声も徹底的に(ブレイク)してあげる!

 

本陣は勝敗には関係ないけど、その陥落はソレ

だけで低評価になるからね。

 

本来ならココまで殺る予定じゃ無かったけど、

私だけじゃ無く、眷属の皆をあそこまで反則

だの卑怯だの言われておきながら、黙って

負けてあげるほど、私は達観して無いわよ!

 

それも性犯罪者である兵藤一誠に言われて

我慢出来るとでも思ってるのかしら!?

 

予定ならこの時点で罠を解除する

気だったけど、とことん行くわよッ!

 

「ふむ。向こうの主力を潰して喜ぶのは

わかるが、少し入れ込み過ぎだな」

 

ヨシコ=サンに言われて、随分呼吸が

乱れた居たことを自覚する。

 

落ち着け!落ち着くのよソーナ!

 

すぅ。はぁ。すぅ。はぁ。深呼吸して周りを見る。

 

そうよ。まだ勝負は始まったばかり。

ココで何か失敗して状況を覆される

訳には行かないの。

 

「ふぅ。落ち着いたわ。ありがとうヨシコ=サン」

 

「なに気にすることは無い。主殿は

初陣なんだから硬くなるのは当然さ」

 

感謝する私に男前な返事をするヨシコ=サン。

翼紗とは違って男にも女にもモテそうよねぇ。

 

けどそうか、私は初陣で入れ込んでたのか。

自覚すれば気恥ずかしさを覚えるが、今は

こんなどうでも良い事まで考えることが

出来るくらいまでには落ち着けたわ。

 

落ち着いたところで今後のプランを練りましょうか。

 

まぁ勿論英雄様相手に勝とうとは思って

ないから、試合には負けてあげるわよ?

 

公式では私に黒星が付いて、リアスは白星。

記録だけ見れば十分でしょ?

 

ただしリアス。貴女のプライドと評価は

木っ端微塵に粉砕するけどね!

 

民衆やテロリストに対する英雄としての

価値に関しては・・・まぁアレよ。

 

昨日のゼファードルとサイラオーグの戦いでの

暴露のせいで、何か事故があると不味いから

今回のゲームは生中継しないって話だし。

 

老害の皆さん。精々頑張って編集して頂戴。

 

後は今回の苦戦をバネにして、グレモリー領で

勝手に成長して下さいな。

 

・・・

 

さて、大体の流れを再構築したところで

次の行動に移りたいんだけど・・・

その為には本陣の陥落かギャスパー君の撃破が最低条件。

 

何せ彼に直接視認されたら停止させられる

可能性が残ってるからね。

 

こんなところで間抜けは晒さない。

 

もし向こうの本陣に伏兵が居て、匙や

留流子が撃破されたら私たちが動くけど、

そもそもリアスと姫島朱乃と人狼と

元聖女の声が聞こえてるのよね。

 

ならば本陣は無人かギャスパー君一人。

 

そう考えていた私の耳に吉報が届く。

 

 

『リアス・グレモリー様の僧侶。リタイア』

 

 

良し。コレでギャスパー君が突然ナニカに

目覚めて暴走したりする危険性も無くなった。

 

ヨシコ=サンの結界も解除しても良いわね。

 

そうヨシコ=サンに指示を出そうとしたが、

その指示が口から出る前に思いとどまる。

 

・・・いや、待て。待つのよソーナ。

リアスには僧侶が2人居るじゃない。

 

万が一の可能性として、兵藤一誠が堕ちたことで

トチ狂ったリアスや姫島朱乃による同士討ちって

パターンも有るわよね。

 

最近のリアスは常に私の想像の斜め下を行く。

だからこそ匙や留流子から連絡が有るまで、

思い込みで動くべきじゃ無いわ。

 

確認しようと思ったけど、コッチから連絡するのは論外。

 

もしも向こうに何かしらの備えがあって、

今も戦闘中なら彼らの邪魔になるもの。

 

今はまだ焦る時間じゃない。

 

そう自分に言い聞かせ、深呼吸して眷属からの連絡を待つ。

 

そう、私は王なの。戦の準備をして命令して、

仕事を任せたならあとは戦勝報告を待てばいい。

 

意識して背筋を伸ばし、不敵に笑え。

 

すべて私の計画通りなんだと思わせろ!

 

このゲームを見ているであろう赤龍帝と

リアス目当ての来賓に、いつも心配して

くれたお姉様に!鍛えてくれたシロネ様に!

そして私を阿呆扱いしてきた老害貴族共に、

私は変わったと見せつけるのよ!

 

 

『会長。敵本陣にて敵僧侶のギャスパーを発見。

コレと交戦し、撃破。敵本陣を制圧しました』

 

 

よし。匙からの報告に小さく頷く。

 

撃破から制圧の時間が掛かったのは、罠や

誰かが隠れてる可能性を疑ったからかしら?

 

とにかく油断慢心しないのは良い事よ。

 

「了解。ならばコレから椿姫と合流して

指示を待ちなさい」

 

『『サー・イエッサー!』』

 

残るはリアス・姫島朱乃・人狼と元聖女。

 

自分の眷属が少ないから少ないなりに動いた

のかも知れないけど、性犯罪者を過信したのが

貴女の敗因よ!

 

あぁいや、負けるのは私なんだけどね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーアザゼル視点ーー

 

 

『リアス・グレモリー様の僧侶・リタイア』

 

本陣に待機していた吸血鬼が、歩兵二人に

ダイナミックエントリーされてそのまま

落とされた。

 

なんつーか。軍人かってくらい動きに無駄がねぇ。

 

「おー。アイツらガキにしてはアレだNA?

悪魔っぽさって言うかそう言うのねーNA?」

 

まったくだ。若手が魔力より技術を使って戦う

様子を見ると、若手悪魔のゲームと言うより、

サバゲーにしか見えん。

 

「無駄のない指示とソレに従う兵士。

つまりゲームをしようとして油断していた

英雄に対し戦争を仕掛けた嬢ちゃんか。

ふむ。今回は英雄を勝たせる八百長試合を

警戒しておったが、悪魔がこのゲームに

真摯じゃと言うのは本当らしいの」

 

本気か皮肉かイマイチ良く分からない

オーディンの爺さんの言葉を聴き、口を

パクパクさせるサーゼクスや貴族悪魔達。

 

阿呆が。ソコはセラフォルーみてぇに

笑顔で頷いてれば良いんだよ。

 

「ソレはそうですよオーディン様。

政治的配慮から、試合結果として負ける

ことはあるかも知れませんが、試合内容

まで妥協する謂れがありませんので」

 

笑顔のままシレっと抜かすセラフォルー

に驚きの目を向けるサーゼクス。

 

アレはそんなこと言って良いのか?!って目だな。

 

良いんだよ(断言)。

 

英雄を勝たせるってのはわかる。当然だ。

帝釈天もオーディンもソレは当然わかってる。

 

三大勢力としては英雄は餌であれば良い。

不敗で常勝というネームバリューが有れば尚良い。

 

このゲームで苦戦したところで、英雄様が

テロリストの面目を潰したことには違いが

無い。英雄を苦戦させた若手(セラフォルーの妹)

要チェック対象になるだけだ。

 

むしろ、英雄様を実質子供扱いできる若手が

居ると言うのは、悪魔陣営の層の厚さを意味

することになる。

 

つまり内容で圧倒しても最終的に向こうの

嬢ちゃんが負けて、英雄様が勝利したと言う

記録が残れば、対外的な帳尻は合う。

 

元々サーゼクスの妹とセラフォルーの妹で

ライバル関係みたいなモンだったらしいし、

多少の苦戦は当たり前だろう。

 

むしろシトリー家としたらそのくらいの

見せ場が無ければ不満が溜まるだろう。

 

バアルの小僧とは事情が全く違うからな。

 

何が言いたいかって言えば、極論すれば

俺達が見に来たのは未熟なガキのゲーム

じゃねぇってことだ。

 

赤龍帝の能力と、悪魔の駒を使って

転生した悪魔のデータ採取なんだよ。

 

だから帝釈天やオーディンの爺さんは

勝敗には拘らねぇんだ。

内容が面白ければソレに越したことはないがな。

 

セラフォルーは外交官としてソレを

理解しているからこその発言だ。

 

むしろ真面目に試合を観戦してる

お前らの方が異常なんだよ。

 

そんでもって、赤龍帝の能力は倍化と譲渡を確認した。

 

禁手はタダ鎧を纏って強化するだけだから

特に見る価値もねぇ。

 

亜種に至れば話は別かもしれんが、今の

ところはリングのサポート無しじゃ何も

出来ん小僧だ。

 

禁手する前のデータの方がよっぽど

貴重だろうよ。

 

俺としては特に実験室内での譲渡と

実際のゲームでの譲渡の違いを分析

したいところだが・・・

 

まぁソレは帰ってからだな。

 

『そんな?!ギャスパーまで?!

そんな目で私を見るなぁぁぁ!』

 

リアス・グレモリーが悲痛な声を上げるが、

そもそもお前はトチ狂って周囲に消滅の

魔力をバラ撒いてるだけじゃねぇか。

 

それに私を見るなって何だ?

 

『くっ!数が多いッ!ソレにこの視線!

いい加減にしなさいっ!!』

 

姫島朱乃はそう言いながら周囲に雷光を放つ。

 

いや、バラキエルの力を使うことにした

のは良いが、視線?本当に何に向かって

撃ってるんだ?

 

数が多いとは言うが、離れたところに居る

シトリーの女王が、使い魔でも放ったか?

 

「幻術でも無いのぉ。こうなれば先ほど

眼鏡の嬢ちゃんが展開した赤い池のような

ナニカが、何らかの認識障害を起こしてる

と見るべきか、それとも映像では見えん

ナニカが居ると見るべきのぉ?」

 

そう言いながら俺を見て来るが・・・

ナニカを生み出す神器だと?

 

まさか魔獣創造では無いだろうし、

ステルス性能が高いってんなら連中に

見つかる前に強襲出来るよな。

 

『・・・ぐっ!』

 

『ルー・ガルーさん!』

 

何も考えずに周囲に魔力をバラ撒く二人の

攻撃から元聖女を庇う人狼。

 

ダメージを負う度に元聖女が回復させてる

が、いい加減冷静になれや。

 

いくら人狼でも英雄様の魔力が直撃したらマズいぞ?

 

このままだとリアス・グレモリーや姫島朱乃は

魔力切れか体力切れを起こし、人狼は味方

からの攻撃でダウン、元聖女もそのまま

落ちることになるが・・・誰もその場を

離れようとしないのは、ナニカに囲まれて

いると確信しているからか。

 

認識阻害系の術式は自分がソレを起こして

いると知らなければ、解除できん。

 

そうこうしているウチに向こうの

兵士も合流しちまったし。

 

数字だけ見るなら英雄様もまだ2人しか

落ちてないから、巻き返しが不可能って

訳でも・・・無理だな。

 

 

 

いや、マジで。コレからどうやって負ける気なんだ?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ーーソーナ視点ーー

 

 

『会長、匙と留流子が合流しました』

 

リアスたちが駐車場で暴走している

間に、椿姫から連絡が入る。

 

どうやら無傷で合流できたようね。

 

ならばココは更に獲るべき。

 

「匙は姫島朱乃に伸縮自在の愛を着けて

向こうから引き摺りだしなさい。

飛んできたところを隙があれば椿姫が

両腕を切断して。後はタコ殴りよ!

隙が無ければ眷属全員で作りなさい。

雷光の威力は見た通りだから

直撃しても大したことないけど、無駄に

攻撃をさせることも無い。わかるわね?」

 

奴らに見せ場なんか必要無いの。

屈辱と恥辱に塗れてもらうわ!

 

『『『『サー・イエッサー!』』』』

 

姫島朱乃の次は・・・孤立させましょうか。

 

リアスの性格なら無傷で投了なんかしないでしょう。

 

むしろ軽く挑発するだけでコッチを

卑怯者扱いして騒ぐわよね。

 

「姫島朱乃の処刑が終わったら人狼と

元聖女ね。

その後リアスが騒ぐでしょうから、

ソレに乗ってゲームを終わらせます。

其々を甚振ることなく、最短の時間で

終わらせなさい」

 

獲物を前に舌なめずりなんかして

逆転なんかされるわけには行かない。

 

人狼と聖女には恨みがあるわけじゃない

からさっさと終わらせてあげる。

 

恨むなら性犯罪者とソレを甘やかした

主人を恨むのね。

 

『『『『サー・イエッサー』』』』

 

さぁ終局よ。

 

まだ時間は1時間も経ってないけど、

まぁ良いでしょう。

 

こんな時間はさっさと終わらせるに限るわ。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーリアス視点ーー

 

 

『リアス・グレモリー様の女王。リタイア』

 

『リアス・グレモリー様の僧侶。リタイア』

 

『リアス・グレモリー様の戦車。リタイア』

 

 

やられたっ!と思ったときには既に遅かった。

 

気が付けば不快な視線は無くなり、私の

周りに居た眷属は全滅していたわ。

 

何かしらの術を仕掛けられていたのね。

 

その所為で私たちは誰も居ない空間で

囲まれたと錯覚してしまい、この場に

留められてしまった。

 

その結果、イッセーを見殺しにし、他の

皆まで失うことになったわ。

 

完全に作戦負け・・・だけど、こんな

無様な負けが許されるわけが無い!

 

眷属に防具も用意しない主君。

 

神滅具を持つ眷属を使い潰した主君。

 

最高クラスの神器を持つ眷属を孤立

させて、各個撃破されることを見逃した主君。

 

幻術に嵌って何もないところに攻撃を

し続けて、一緒に居た朱乃達が居なく

なったことにすら気付かなかった主君!

 

そしてっ!

 

「椿姫。私を見下すなんて偉くなったモノね!」

 

ソーナの女王にすら見下される主君っ!

 

「あぁ。ようやくお目覚めですかリアス様?

ですが眷属の皆さんはすでにベッドでお休み

のようです。お目覚めになったばかりで

申し訳ございませんが、そのままお眠りに

なった方が良いのではないですか?」

 

私を見下しながらそう告げてくる椿姫。

 

グレモリー家のお嬢さんの面倒は見る

気が無いとでも言いたいのかしら?!

 

「残念ながらあまりの怒りで眠れそうに

無いわね。貴女の主君に文句の一つも

言いたいんだけど、案内してくれないかしら?」

 

落ち着きなさい。今は呼吸を整えて魔力を

溜めるのよ。

 

「誠に申し訳ございませんが、今の

リアス様では主のソーナ・シトリー様と

面会させるわけには行きません」

 

それはそうでしょうね。私に残った唯一の

勝機はソーナとの一騎打ちですもの。

 

警戒するのは当然か。

 

「ドレスコードがねぇ。そのようなボロボロの

恰好でシトリー家の次期当主様にお会いできる

ハズ無いでしょう?」

 

「何ですって?!」

 

警戒でも何でもなくドレスコード?!

どこまで私を馬鹿にする気?!

 

「それに、いつもご自身で仰ってるでは

ありませんか。

「自分をグレモリー家のリアスでは無く、

リアス個人として見て欲しいのだ」と。

そして個人で見た場合、シトリー公爵家の

次期当主様にタダのお嬢さんが直に

お会いできるはずがないでしょう?」

 

「くっ!」

 

そう言いながら椿姫が静かに右手を挙げれば、

周りにソーナの眷属達が集まって来る。

 

「一度顔合わせはしてますから、再度

ご紹介する必要はありませんね。

あぁ、ちなみに性犯罪者・兵藤一誠を

打ち破ったのはコチラの兵士の仁村と

兵士の匙です。

両腕をへし折り頭を潰しましたが、

生きては居るでしょう・・・多分」

 

「貴様らがッ!」

 

イッセーの仇を目の前にしてカッとなった

私は、したり顔をしていた椿姫に

ぶつけるべく溜めていた魔力を向こうの

兵士二人へ向けて放つ!

 

「「う、うわー」」

 

特大の滅びの魔力を受けて吹き飛び、

そして消えていく兵士!

 

『・・・ソーナ・シトリー様の兵士×2。リタイア』

 

手応えがちょっとアレだけど、いきなり

の攻撃に防御も出来なかったみたいね!

 

イッセー!仇は取ったわよっ!

 

「おぉ。流石はリアス様ですね。まだ

これだけの魔力を隠し持ってるとはー」

 

驚く椿姫だけど、正直今のは兵士に

使うには勿体無い魔力量だったわ。

 

一矢報いたとはいえ、兵士を削った所で

余力があることがバレてしまった。

コレでもう奇襲は通じないわよね。

 

ソレに向こうにはまだ戦車が2人と騎士が

1人、僧侶が2人に女王まで残ってる。

 

「ですがこれまでですね。リアス様、投了しませんか?」

 

「なんですって?」

 

この私に投了しろと言うの?!ソーナなら

まだしも、眷属の椿姫が?!

 

「いえね?私たちとしてもグレモリー公爵家の

令嬢にして魔王様の妹。更に悪魔の英雄サマを

一方的に囲んで潰すと言うのは本当に心苦しい

のですよ」

 

言ってることも口調も真剣そのもの

だけど、目が私を見下してるのよっ!

 

所詮は貴族のお嬢様とでも言いたいの?!

 

「とは言え、リアス様からすれば我々は

赤龍帝・兵藤一誠の仇でしょう?

戦うとなれば意地でも抵抗しますよねぇ?」

 

そうよ、コイツ等はイッセーの仇!

実行した兵士は潰したけど、コイツ等が

居なければイッセーを一人で戦わせる

なんてことは無かったッ!

 

「勝負は既に我々の勝ちが決まっている

のに、ココで戦えば損害が出る。

我々としては無駄な損耗はしたくないんです」

 

「無駄ですって?!」

 

この私の首に価値を見出してない

とでも言うつもり!?

 

「そうですねぇ。さっき言ったように

リアス様はお偉い様。貴女に対して

本気で戦う訳にはいきません。

かといって手加減してコチラが損耗する

のも馬鹿らしい。

時間切れを待つのも来賓の方にシツレイ。

ならば潔い投了こそがリアス様が選択する

べきコトではありませんか?」

 

当たり前のように勝利を確信し、私を

見下すソーナの眷属達に殺意が沸く。

 

ソレに今コイツ何と言った?

 

「私相手に本気で戦えないですって?」

 

接待プレイをしたとでもいうつもり?!

 

「そうですよ?そうじゃ無いと術を

解除して、こうしてお話などしません。

あのまま奇襲で潰してますよ」

 

何処までも舐め腐ってっ!!

 

「結局のところ貴女は貴族のお嬢様で

我々は転生悪魔です。

立場が違いますからね。下手に怪我を

させたらソーナ様の立場も悪くなる。

故にこうして降伏勧告をしてるのですよ。

貴族らしく潔く投了しませんか?」

 

「なめるなっ!!」

 

どこまでも調子に乗ってる椿姫に魔力を

向けるも、さっきの兵士への攻撃を

見ていた彼女は油断せず攻撃を避ける。

 

「優しさのつもりなんですけどねぇ」

 

何が優しさよ!ココまで馬鹿にされて

黙ってヤられるものですか!

 

「ならシカタナイ。コチラが投了しましょう」

 

「は?」

 

コイツ、今なんて言った?!

椿姫の言った言葉の意味が分からず固まる

私に、椿姫を始めとしたソーナの眷属達は

心底馬鹿にしたような目を向け・・・

 

『ソーナ・シトリー様の僧侶。リタイア』

『ソーナ・シトリー様の騎士。リタイア』

『ソーナ・シトリー様の僧侶。リタイア』

 

私の目の前で次々リタイアしていく

ソーナの眷属。

そんな・・・コレって?!

 

「悪魔の英雄様には勝てませんからね。

それではお疲れ様でした」

 

そう言って通信機を置き一礼して消えていく椿姫。

 

『ソーナ・シトリー様の女王。リタイア』

『ソーナ・シトリー様の戦車。リタイア』

『ソーナ・シトリー様の戦車。リタイア』

 

策でも何でもなくリタイアしていく

ソーナの眷属達。

 

ソレを告げるグレイフィアのアナウンスに

茫然としていると、椿姫が置いていった

通信機からソーナの声が届く。

 

『リアス、コレから実家で鍛えるのでしょう?

次に会う時までに成長しておきなさいな』

 

上から目線。いえ、勝者の余裕を持って

私にそう告げるソーナ。

 

「ま、まちなっ・・・!」

 

『ソーナ・シトリー様の投了を確認。

リアス・グレモリー様の勝利です』

 

そして私に何も言わせないかのように

告げられる勝利のアナウンス。

 

「勝利?コレが?!馬鹿げてる!あと一歩、

いや半歩で、ソーナは勝っていた!

目前の勝利を放棄する正当な理由が何か

あると言うの?!」

 

そう叫ぶ私の声に答える者は居ない。

だけど私は知っているわ。

 

椿姫が言ったじゃない!ソレは私が悪魔の『英雄』だから。

 

英雄が負けるわけには行かないからっ!

 

だからソーナは負けを選んだ。いえ、私に勝利を譲ったのよっ!

 

情けない話ね。私は本来、自分のモノではない

勝利を譲ってもらった。まるで乞食のようにっ!

 

ライザーには何が何だかわからないうちに負けて。

 

コカビエルには相手にもされず。

 

駒王会談ではアザゼルの殺気で倒れ。

 

ゲームの前のパーティでテロリストを逃がし。

 

格下と侮ったソーナに勝ちを譲られたっ!

 

こんな勝利があるかっ!こんな惨めな思いを

する勝利が有ってたまるかっ!

 

こんな無様な英雄が居てたまるかっ!!

 

 

ゲーム会場から転送されて控室に戻った私は、

眷属が待つ医務室に向かうことも出来ず、

 

声も出さないまま涙を流していた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

若手交流戦・第三戦。

 

英雄リアス・グレモリー嬢とソーナ・シトリー嬢

のレーティングゲームは前評判の通り

英雄リアス・グレモリー嬢の勝利で終了した。

 

ゲームの内容は前日のバアル家の不祥事が

あった為生中継では無く、録画されたモノで

あったが、それでもファンを熱狂させるには

十分なモノで、特に建物内の時間を止めての

赤龍帝による中央突破すら囮にすると言う大胆な

戦法は玄人を唸らせ、その策に嵌って結界内

から一歩も動けなかったソーナ・シトリー嬢を

終始翻弄したリアス・グレモリー嬢の策が際立つモノであった。

 

特に評論家が評価したのは、駐車場にて

ソーナ・シトリー嬢の女王と眷属を蹴散らした

リアス・グレモリー嬢の滅びの魔力と

若手最強の女王と言われる姫島朱乃の雷光の

組み合わせの凶悪さだ。

 

ソーナ陣営が仕掛けた罠を正面から

食い破る様子は一見の価値有りとして、

絶賛されることとなる。

 

これにより兵力である眷属を失った

シトリー嬢が、投了を宣言する決定打となったからだ。

 

敗者であるソーナ・シトリー嬢は

この試合の後「一層の精進をします」

とだけ述べてその場を立ち去った。

 

勝者たるリアス・グレモリー嬢は

コメントを差し控えたが、コレは長年の

学友であるソーナ・シトリー嬢へ気を

使った為とされる。

 

だがライバルとの戦いの勝利は格別だったのだろう。

勝利の後は控室で一人歓喜の涙を流していたと言う。

 

このように、強いだけでなく敗者を気遣うことも

出来る心優しさや、謙虚なところも、彼女が英雄

として称えられる理由であろう。

 

コレからも英雄リアス・グレモリーの活躍からは目が離せない!

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ーー奥様視点ーー

 

 

『コレが!お前らが変態行動を繰り返す

コトで駒王学園の品位が疑われ!

肩身の狭い思いをさせられた挙句!

ずーっと心痛と頭痛で悩まされた

私たち生徒会の恨みだぁ!!!!』

 

シトリー眷属の蹴りを喰らってリタイア

するマダオの所持者。

 

うむ。中々良い一撃です。喋りながらと

言うのはアレですし基礎能力が足りないから

まだまだですが、十分にナニカ籠った一撃。

 

1等から2等の実力でアレなら十分です。

 

「ん?あれ?赤龍帝も違ったか?」

 

おや珍しい。旦那様が本気で驚いてます。

 

まぁアレは明らかにおかしい(ナニかに護られた)存在でしたからね。

 

私としてもアレを主人公の第一候補として

見てたから、何かしら不思議なこと(ご都合主義的なこと)

おこると思ってたのは事実です。

 

ですが主人公だとすれば、あそこで

何かしらの奇跡っぽいのが起きますよね。

 

「いや、もしくは負けても死なないから、

成長するために経験として受け入れた?それか

ギャグに対するツッコミのようなモノ

だから、回避出来なかったか?」

 

うーむ、真剣にツッコミの可能性も考えてます。

 

確かにバアルの小僧とは違い、収監される

わけでは無いから、まだ再起は可能です。

 

それ故、主人公の可能性はまだあるんですよねぇ。

 

コレをバネにすると言う可能性も十分ありますし。

 

性根を叩きなおしたと考えれば

有り得ない話ではありません。

 

とは言え既に結果は出ました。

 

簪が造った疑似神器も正常に作動して

いますし、アレを量産すれば我々の陣営は

更に強化されることでしょう。

 

差しあたっては老害共の粛清で実験する

事になるでしょうが・・・

 

「とりあえず観れるものは観た。簪もコレ

を観てるハズだから、今後は量産体制に

入るか改良するかの判断はお前たちに任せる」

 

「かしこまりました」

 

そうでした。量産の前に改良する可能性だって

有りますよね。

 

うむ。老害共を粛清すると言うことで無意識に

逸って居たようです。

 

流石我が師。いえ、旦那様。隙がありません。

 

「それとシトリー家には何か戦勝祝いでも

贈ってやろう。

お世話になったお鬼ぃさん達にも必要だし

シロネコにも褒美だな。シロネコにはお前

から聞いてくれ」

 

「はっ!」

 

ふむ。シトリー家には貴族として一般的な

戦勝祝いの品を贈答しましょうか。

 

阿呆とか言われてた存在ですからね。

普通の扱いになったと知れば喜ぶでしょう。

 

シロネコは奥に所属するモノとしての

褒美が良さそうですね。

 

補佐官殿には・・・あぁ、旦那様が

用意してたアレがありますか。

 

なら後は夜叉一殿ですね。

 

クッキー殿からチー子さんの為に何か

女の子らしいモノが欲しいと言う

話があったようでしたから・・・

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ーー???--

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほほう。コレが噂の魚沼産コシヒカリと

南魚沼産、シオザワのコシヒカリですか。

・・・やりますね」

 

態々分けて来るとは。中々のチョイス。

これほどの品、以前頂戴した炊飯器で炊く

べきか、ソレとも釜で炊くべきか・・・

 

「おぉ!俺達には食い物以外にもクッキーと

チー子用のリボンですぜ!気が利くねぇ。

こーゆーのはさっぱり分かんねぇからな。

正直助かりやす!」

 

ほう。桜色と赤のリボンですか。

どこの家庭も奥方は強いですからね。

娘さんが加われば尚更でしょう。

 

「へへっ!こんなの貰ったからには残りの期間もしっかり鍛えてやらねぇと!」

 

ふむ。夜叉一さんも殺る気十分と言ったところ。

 

しかし、彼女たちは指示通りしっかり殺って

くれたようですし、貰いっぱなしと言うのも

アレですね。

 

私も多少手ほどきをするべきでしょうか?

 

 

「いや、君は手を出さない方が良いと思うよ?」

 

「働けヒゲ」

 

どっから出てきた。またサボりか。

 

「扱い酷くない?!」

 




原作マダオ曰く一番怖いのは「こもった一撃」だそうで。

うん。こもってるよなぁ。

椿姫副会長の神器の禁手はなぁ。原作でも
おっかない可能性を秘めてますよねぇ
SCP?ナンノトデス?血の池?
作者は水の中の死体は見たことありません。
そっちじゃない?ナンノコトヤラ。


会長。勝負に勝って試合に負けました。
原作通り、英雄の評価とプライドを粉砕しましたね。

ただ、英雄様は対外的には餌のままである。
編集マンセー。記事を書いた記者は
普通に映像を見て本心で書いてます。

貴族のお嬢様に軽く当たるマスコミが異常
なのか、マスコミに普通に接する貴族令嬢が
アレなのか・・・

まぁ悪魔社会ですからね。人間の価値観とは違います。

会長陣営は椿姫に言われても潔く投了なんかしないだろうと確信していたもよう。

だったらコッチが投了してやんよぉ!ってお話。

元々勝敗は決まってるのは皆(来賓含む)
分かってますからねぇ。

一騎打ちとか自爆とか色々考えましたが、
顔も見せずに終わるのが一番屈辱を与える
事が出来るんじゃないかなぁと思いました。

朱乃さん?タコ殴りにされましたが何か?(ΦωΦ)?

ソーナ一行には勝ったのに地獄が待ってるぜ!

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