何でもあの後、会長側が仕掛けた罠を
全部破壊してあっさりと逆転したらしいんだ!
流石は部長だぜ!だけど俺は何の役にも
立てなかった。
だから今度こそしっかり修行して、部長の役に立ってみせる!
そんな決意をした俺の元にアーシアが飛び込んできた!
え?なに?どうしたアーシア。
焦ったアーシアから伝えられたのは衝撃の事実で・・・
な、なんだってー?!
ーー
今日も一話だ!
オリ設定!
オリ展開!
嫌いな人は読み飛ばし!
75話
ーー兵藤一誠視点ーー
俺が目覚めたのは三日後のことだった。
アーシアが言うには腕も頭も特に異常なし。
ダメージと肉体的、精神的な疲労があったらしい。
会場に設置された医務室から搬送されて、
今はグレモリー家の中の一室を借りてるらしい。
俺が真っ先にリタイアしたゲームに関しては
部長はしっかり勝ったらしい。
「らしい」が多いけど、実際映像とかは
見せてもらって無いし、雑誌の記事を
見てもイマイチ良くわからないんだよなぁ。
アーシアも途中で退場したからどうやって
勝ったかはわからないんだとか。
朱乃さんがすごい勢いで飛んでいった
と思ったら戦闘音みたいなのが聞こえて、
それから直ぐに気を失ってリタイア
してたんだと。
うーん。わけがわからない。
おそらく朱乃さんが自分たちを囲んで
いた敵を倒しに行ったんだろうけど・・・
余波か何かで気絶したのかな?
と、とりあえず勝ちは勝ちだ!
本来なら祝勝会みたいなのをやるんだろう
けど、どうやらそんな気分じゃないとか。
雑誌だとかなり優勢に戦って勝ったって
話だけど、実際のところ部長は相当苦戦
したみたいだ。
そりゃそうだよな。俺は最初に落とされて、
アーシアだって落とされたって言うなら
その後は回復役が居ない状態で、更に敵の数
が多いってことだ。
しかも相手の会長側は部長の性格を読んで
作戦を潰して来たし、2対1を卑怯とも
思わない連中だ。
苦戦するに決まってる。
そして前評判で圧倒的有利とされながら、
そこまで苦戦した部長の評価はゲーム前と
比べてかなり落ちてしまったらしい。
あ、評価が下がったって言うけど、世間では英雄のままなんだ。
ただ、実際観戦してた上役の人たちの評価が
下がったって意味だな!
特に赤龍帝である俺が真っ先に落とされた
って言うのが問題だったとか。
そりゃそうだよな。向こうは匙以外
全員駒1個で眷属になったんだ。
それなのに兵士8個分の俺が兵士1個の
少女に負けたら、俺の実力不足より
運用方法のミスを指摘されるよなぁ。
クソ!やっぱり誰も潰せずに負けたって言うのが悔しいぜ!
匙と戦って潰すか、せめてあの後輩の女の子に
洋服崩壊を喰らわせて、リタイアさせていたら
ここまでの評価にはならなかっただろう。
そう思うと、いくら匙が援護したからと
言っても、駒一つの少女に負けた自分の
弱さが情けなくなる。
俺も修行しなきゃって思ったね!
そもそも俺は勉強と修行の為に冥界に残ることになったんだもんな!
そんでもって他の眷属のみんなは、試合前に
グレイフィアさんに言われたようにそれぞれ
移動している。
朱乃さんとル・ガルーさんとギャスパーは
既に地上に行った。
そしてアーシアと部長は冥界で修行。
俺もこれから勉強や修行をすることになる。
俺は部長には会えないらしい。部長の
お母さん曰く、何でも今は俺たちに会うと
甘えが出るとか。
苦戦したんだから少しくらい弱音を
吐いても良いと思うんだけど、その辺は
グレモリー家の教育だからな。
部長も、次期当主に相応しい悪魔だって
言われるようになるまで必死で修行
するんだろう。
俺だって置いていかれる訳にはいかない!
ここでアーシアと一緒に強くなるぜ!
って言うか妙に慌ただしいけど・・・何かあったのか?
「イッセーさん!大変です!」
悪魔の文字や歴史を勉強しながら屋敷の
中が慌ただしいなと思ってたら、アーシアが
すごい勢いで飛び込んできた!
「ど、どーした?!何があった?!」
こんなに焦ってるアーシアは相当珍しい。
ま、まさか部長に何か?!
そう思ってたんだけど、アーシアが言う
「大変」は俺が想像していたのとは
まるで違ったもので・・・
「戦争です!リアス部長のお母さんの家が
宣戦布告されたんです!」
「は?」
今アーシアはなんて言った?
戦争?
部長のお母さんの家って確かバアル家だよな?
大王家で、サイラオーグさんが次期当主の・・・
悪魔に対してとか、三大勢力に対して
じゃなくバアル家に宣戦布告?
だから屋敷内が慌ただしいのか。
い、いや、そうじゃない!
な、何がどうなってるんだ?!
ーーーーーーーーーーーー
ーーライザー視点ーー
コンコン。
「入れ」
息を整えてからドアをノックすると中から
入室を許可するオヤジの声が聞こえてきた。
グレモリー家との婚儀が流れてからと言う
もの、兄貴と一緒にオセ様に会いに行き、
その領地経営に感銘を受けたオヤジは、
レーティングゲームを運営する老害共に
売るフェニックスの涙の量を減らし、
オセ様と共同で新たな薬を開発したりする
のを始めとした様々な改革を行っている。
そんなわけで俺も新たな領地経営の勉強を
することになり、新しい発見に日々胸を
躍らせているところなんだが・・・
今のオヤジの声は、最近じゃ聞かなくなった硬い声だ。
急な呼び出しといい、よほどのことが起こったらしいな。
「遅れてすまねえ」
一言謝罪して会議室に入ると、ソコには
オヤジと母上とルヴァルの兄貴、それに
オセ様の元に行儀見習いに出したはずの
レイヴェルの姿があった。
「・・・来たかライザー」
「お久しぶりですお兄様」
オヤジに緊急招集だって言われたから
鍛錬を切り上げてきたが・・・
まさかオセ様関連かよ。
「レイヴェルがここに居ることでもわかる
と思うが、今回お前を呼び出したのは
フェニックス家の方針を伝えておく為だ」
オヤジが硬い顔で言うが・・・
「ん?方針も何も、オセ様と歩調を合わせるんだろ?」
貴族派っていう派閥が正式に出来たらソレに
従うし、出来なくてもレイヴェルからの情報で
敵対だけはしないようにするって話だよな?
「まぁその通りだ。そこさえ押さえていれば
問題はないんだがな」
兄貴がそう言って肯けば
「ですが今回のことは流石に問題が
ありましてね」
母上は深刻な顔をしている。
「流石に今回のことはまだマスコミに
流せませんので次兄様にはお教え出来ません。
ですがフェニックス家としての対応をキチンと
決めておかないと、下手にライザーお兄様が
動かれてしまえば取り返しがつかないことに
なりますから・・・」
レイヴェルは、何かを怖がってるようだな。
つーかコイツ、妙に強くなってないか?
普通に上級悪魔以上の魔力を感じるぞ?
「そういうことだ。家の者が個人的に
味方したと言っても、オセ殿には通用せん。
フェニックス家として一族郎党眷属、その
全ての統制を遺漏なく執る必要がある」
関係者全員纏め上げろってか?
一体なんだってんだ?と思う俺に
ルヴァル兄貴から衝撃の情報が齎された。
「よく聞けライザー。オセ殿は明日
バアル大王家に対し断交と粛清宣言、
つまり宣戦布告する」
「はぁ?」
断交はまだしも宣戦布告?!しかもバアル大王家?!
「内容は、協定違反とテロリストの禍の団に
いる旧魔王派に対する資金・情報の援助。
そしてフェニックスの涙や他の軍事物資の
横流しだ。・・・オセ殿はこの機に大王家を
完全に駆逐する気らしいな」
「さらにコレは魔王、アジュカ・ベルゼブブ様
とファルビウム・アスモデウス様からのオセ様
に対する密命でもあります」
兄貴の溜息と、レイヴェルの緊張した口調で
明かされたその情報は、正直ヤバイなんてもんじゃない。
「レイヴェル、情報漏洩にならねぇんだな?」
そう、ヤバイのは俺たちじゃなくレイヴェルだ。
こんな重大情報を実家とはいえ、他家に
漏洩したとなれば、今後オセ家の中では
生きて行けないだろう。
俺たちが庇うにしてもバアル家のように
家ごと粛清される可能性も有れば、
暗殺される可能性もある。
普通に考えて相当やばいんだが・・・
「その点は大丈夫です。むしろ奥様より
「この情報をフェニックス家に伝えなさい」
とご命令を受けました!」
そう言って胸を張るレイヴェルの様子
からは嘘は見受けられない。
つまりは本当に奥様からの命令なのだろう。
しかしそうなると、オセ様は何を狙って
こんな情報を俺たちに流したんだ?
「そういうことだ。つまりオセ殿からの
踏み絵と言ったところだろうな」
意図が読めない俺に、上座のオヤジから声がかかる。
「踏み絵?」
たしか地上で教会の人間かどうかを調べるために
行われた選別方式だよな?
俺がオウム返しに聞けば、オヤジは机に肘をつき、
手を組みながら「そうだ」と言って言葉を続けた。
「フェニックスの涙が老害からテロ組織に
流れてることを知りながら、今後も販売する
と言うなら我々もテロリストの協力者。
粛清対象となった大王家に売ると言うなら
オセ家の敵。さらに大王家に味方する貴族
連中に売ってもオセ家の敵だな」
適当な貴族を中間に立てて、向こうに涙を
販売するのは許さねぇってか?だが・・・
「それなら暫く生産と販売停止で問題ねぇだろ?
別にオセ様だけに売れって訳でもねぇだろうし」
『味方しねぇから敵』なんてコトはねぇだろ。
オセ様がそんなセコイことするハズねぇからな。
敵対しねぇなら黙って見てろって感じだろ?
「うむ。私と父上、そして母上も同じ意見だ。
当然レイヴェルもな」
そりゃそーだろ。態々老害の味方して滅んでたまるかってんだ。
「私としてはライザーにリアス関連で
グレモリーから協力要請が来た時の
可能性を考えてね?
貴方はなんだかんだで優しいから・・・」
母上が本当に安心したと言った表情で俺を見る。
グレモリー?あぁリアスの母親がバアル家
出身だもんな。
つーか、いくらなんでもソレはねーよ。
優しいとかは完全に母上の欲目ってヤツだ。
「流石に俺もあそこまで俺らの顔に泥を
塗ったグレモリーの為に動く気はねぇぞ。
サーゼクスサマから直接言われても断る」
いや、マジで。
「儂もそのつもりでな。今回は向こうから
何を言われても断る気だったから、お前も
そのつもりだと聞いて安心した」
そう言って本当に安心したように息を吐く
オヤジ。
この2人、どんだけ俺を過大評価してんだよ。
「つーか、オセ様の味方はしなくて良いのか?
援軍・・・は要らねぇだろうが、支援物資とか
色々出せると思うが?」
普通に考えてバアル家程度じゃオセ様には
勝てねぇだろ。
タダでさえ勝てるところに援軍に行っても
手柄の横取りか、ゴマすりと言われて評価を
落とすだけだ。
それなら物資とかを出したほうが評価は
高くなると思うんだが・・・
「その必要は無いとのことです。なにせ今回の
戦闘予定期間は10日。領民・兵士・将。その
全てを滅ぼし、捕虜も取らないそうですから」
「「「「・・・」」」」
レイヴェルの言葉に思わず唖然とする。
両親や兄貴も同じように無言だってコトは
コレは今知ったってことか。
「つまり私がこうして来たのは、お父様が
仰ったように踏み絵と言う意味も有ります
けど、今すぐ当家の関係者をバアル領から
避難させるよう指示してもらう為です」
なるほど。
バアル大王家が率いる大王派は冥界の悪魔勢力の
政治を一手に担う派閥。
当然俺たちも無関係じゃないから、その領都
に駐在させてる一門のモノが居るし、商売
として向こうに滞在してる連中も居るだろう。
そいつらを今すぐ引き上げろってわけか。
「しかし取引の最中とか在庫とか色々都合が有ると思うんだが?」
信用にも関わるし、直ぐに完全封鎖で戦争って
わけでもないだろう?
少しくらい滞在して処理をさせても大丈夫じゃないのか?
そう思ったんだが・・・
「宣戦布告したら、誰一人とてバアル領から
出ることは許さないそうです。
そして退避の際に発生した損失はオセ家で
補填するそうです」
はぁ?
「誰一人とて出さねぇって・・・そんなことが可能なのか?」
広大な領土を持つバアル家だぞ?
抜け道だってあるだろうし、そもそも
封鎖すら難しいだろ?
ソレを完全に抑える?それだけの兵がいるってのか?
オヤジや兄貴も同じように考えてるのだろう、
レイヴェルに「何か知ってるのか?」と言う
視線を向ける。
自分に向けられた俺たちの視線の意味を
正しく理解したレイヴェルは、背筋
伸ばしてはっきりとした口調で告げる。
「どのような手段を使うのかまでは
私にはわかりませんでした。ですが
少なくとも奥様方は本気でした」
・・・なるほど。
何かしらの方法があるってわけか。
でもってレイヴェルにはまだ見せられねぇと。
そりゃ在庫がどうこう言ってる場合じゃねぇな。
「流石に今のは初耳だが、まぁ聞いての通りだ。
これから儂らはバアル領から関係者を撤退させる。
当然バアル大王家と付き合いがある貴族共
の所領からもだ。
大仕事になる故、お前にも手伝ってもらうぞ」
オヤジは有無を言わさぬ気迫を纏い、そう告げてくる。
「当然だ。さっさとやろう。俺は何をすればいい?」
そもそも反対する理由がねぇし、ようやく
家の役に立てると思えば嬉しく思う気持ちすらある。
まぁ心残りと言えば、悪魔最強と言われる
オセ様の戦争を見てみたかったってのも有るが・・・
「ではお兄様!今すぐ動きましょう!
無駄な動きをすれば矯正されてしまいますわ!」
レイヴェルの本気で焦った顔を見れば、
そんな生易しい状況ではないらしい。
対岸の火事と油断すれば無能の烙印を
押されて価値無しと判断されるって?
さすがはオセ様。おっかねぇなぁ。
このとき既に俺の中ではバアル家が
終焉を迎えることは確定していた。
あとはどれだけの連中がソレに味方し、
地獄を見るのかってことくらいか。
とりあえず俺達がその地獄に巻き込まれ
ないように、全力で動くぞ!
ーーーーーーーーーーーーーー
ーー奥様視点ーー
「久しいですなゼクラム殿」
そう旦那様が通信機越しに話しかける相手は
大王家の初代ゼクラム・バアル。
家督は既に譲っているものの、実権を握った
ままであり、子孫を傀儡にしているとの噂が
流れているが・・・
『うむ、久しいな。お主は相変わらず悪魔の
ようで羨ましい限りだ』
普段の他の老害に見せるような無駄に大物ぶった
受け答えをせずに、旦那様と普通に会話をする姿は
その辺の老害とは一線を画した貫禄と言うものが
確かに宿っている。
何千年と齢を重ね、悪魔を見てきたモノだ。
旦那様もその歴史には素直に敬意を払う。
「現在のご当主殿も先代殿も、貴族遊びが
過ぎましたな。
今回あの神滅具を隠すよう指示したのは、
時代の変遷を感じ取った為と推察します。
・・・ご自身の指示に反発するモノが
出ることを期待したのでしょう?」
そう、この老体は自分が古い考えから抜け
出すことはできないとわかっている。
だからこそ過去の内乱で旧魔王派を打ち破った
指揮官であるにも関わらず、連中も同胞である
という考えをもって援助をするし、今の
悪魔社会に対しても古き悪魔の価値観を植え付けようとする。
そして己の指示を超えて動くモノが
現れたなら、ソレが新しい時代を作ると
言うこともしっかり理解している。
様々な時代の変遷を見てきた老体にとって、
ソレは必要なモノではあるが、自分とは相容れないもの。
故に自分の指示を超えて動くモノの存在を
疎ましく思いながらも期待したのだろう。
だからこそ今回の神滅具隠匿の指示だ。
コレは元々各勢力の不文律のようなモノ
だったが、三大勢力の休戦協定に正式に
盛り込まれた条約に違反する行為だ。
それゆえ報告・・・まぁこの場合は密告に
なるかもしれませんが、ソレをしても
魔王を始めとした他の勢力によって庇護
される案件であった。
つまりご老体の指示に逆らうという、
古き時代に新たな流れを創る行為の
大義名分となっていたのだ。
その大義名分を与えられておきながら、
ご老体が決めたバアル家の次期当主である
実の弟を殴り倒してその座を奪ったアレが、
そこまでして『魔王になる』と抜かした
アレが最後までご老体の影響力から脱却
出来なかったと言うことが、どれだけご老体に
失望を抱かせたか・・・アレは今も理解して
いないだろう。
もしくは当代か先代が未熟者を使って
蜥蜴の尻尾切りなどせず、黙ってご老体を
差し出せば、古き時代へ終止符を打ったと
言う名誉はバアル家に齎されたのに。
どれだけ歯がゆい思いをしたことか。
話を聞いた当初は「自分で子孫を圧迫して
おきながら何を虫の良い事を」と思わないでも
なかったが、今では終ぞご老体を超えることが
出来なかったモノ共への呆れの方が強い。
『ふっ。それはお主の考えすぎだ。
儂はそこまで出来た悪魔ではない。
所詮は古き価値観を引きずる老害の
首領でしかないのだぞ?』
なるほど。そういうことですか。
「・・・そうですか。それではゼクラム殿が
抱えている古き時代を、ソレに縋る老害を
御身諸共滅ぼします」
このご老体は抱えて逝くことを選んだのですね。
『うむ良くぞ申した!それでこそ悪魔よッ!』
旦那様の宣誓に、本当に嬉しそうに笑うゼクラム。
あぁ、コレが悪魔らしく在ると言う事か。
「バアル家に関しては、サイラオーグ・バアルが
現在魔王領の施設に収容されています。
滅びの魔力の継承を考えマグダラン殿を逃すと
言うならその後で正式な宣戦布告を致しますが、
如何なさいますか?」
悪魔としてはアレですが、貴族にとっては家の存続が何より重要ですからね。
流石に先代や当代を逃がす気はないが、
次期当主の座を奪われたモノならば
特に問題はありません。
その辺の配慮もしようと言うのでしょう。
『ご配慮痛み入る。・・・そうだな。では
マグダランを魔王への仲介の使者としよう。
事情を知ってるのはファルビウムか?』
ほう。流石に旦那様の独断ではないとわかりますか。
しかし先程から上機嫌なのはアレですかね?
自分が選んだ魔王が自分を超えたと言うなら、
古き時代の番人としても本望といったところでしょうか?
「ベルゼブブ様もですね。恐らくですが、
今頃レヴィアタン様も壁を超えているでしょう」
そんなご老体の気持ちを理解している
のでしょう。旦那様は正直に告げます。
『ふっふっふっ。そうか、あの小僧共。
ようやくか。しかしサーゼクスがまだとはな』
あれはなぁ。無駄に情に厚いから、脱却
には相当時間がかかるでしょうね。
「いずれルシファー様も超えますよ」
旦那様が慰めるようにそう言うが、
いつになるのやら・・・
まぁアレもしっかりと超えれなければ死ぬだけですからね。
『うむ。そうだな。しかし今回はお主に
全ての泥を被せることになる。
何か補填してやりたいが、現状ではな』
信賞必罰が世の習い。ご老体にとっても
旦那様の行動は悪魔勢力の為の行動だと
わかっているのでしょう。
ですがご老体から何かを受け取れば
粛清の大義名分が消えてしまいます。
かと言って頭っから拒否すればご老体の
最後の気遣いも台無しになる。
むぅ・・・難しいところですね。
そう思ってましたが、それは私がまだまだ
旦那様を過小評価していたのでしょう。
「今回は貴族の義務と言うヤツです。
義務の遂行に報奨を求めたりはしませんよ」
なるほど、そうきますか。確かに戦争で戦うのは貴族の義務です。
弟子が師を量りきれないのは当然ですが
過小評価はいけませんよね。
失敗失敗。正妻失敗です。
それに今回、人件費やその他諸々の諸経費は
魔王に請求です。
無料で軍の大規模演習が出来ると考えれば
それだけで褒美のようなモノですからねぇ。
旦那様の言葉を聞き、さらに顔を綻ばせるご老体。
『ふははははは!流石は誰よりも貴族らしく、
悪魔らしいと言われるだけのことはある!
・・・お主があと1000年早く生まれて
居ればと思わずにはいられんよ』
1000年って、スパンが長すぎますねぇ。
しかし、もしもそうなったら今の悪魔社会は
どうなってましたかね?
まぁ私は変わらず旦那様のお側にいますけど。
ありえない想定に思いを馳せている間にも、
ご老体と旦那様の話し合いは続きます。
『・・・こんなところか。では宣戦布告のタイミングは任せるぞ』
「かしこまりました・・・良い戦を」
『ふっ。小僧が!そう簡単に勝てると思うなよ!
年寄りの怖さを教えてやるわ!』
通信機越しにもわかるような覇気を纏った
ご老体に一礼し、旦那様は通信を終えました。
・・・・・・
通信を終えても、旦那様は頭を下げたまま、
その場を動こうとはしませんでした。
コレはご老体への敬意でしょうか。
それとも古き時代への黙祷なのか。
未だに旦那様のお考えがわからないのが
歯がゆいと思う気持ちと、それこそが旦那様
と思う気持ちがあって、中々複雑です。
私と旦那様しか居ない執務室。
それから少ししてから、旦那様は
一度深呼吸して、目を開けました。
私の目に映るのは、在りし日の師の姿。
「・・・雪蘭」
「はっ!」
「地獄を創るぞ」
「・・・はいっ!」
懐かしいその姿に、その言葉に、年甲斐も
なく胸をときめかせるのはシカタナイコト
だと思います。
だからクロネコ。今日は諦めなさい。
今日の林冲様は私だけのモノです!
(ΦдΦ)?!
今回の前書き、これって次話の前書きに
するべきじゃない?
と思った読者様。君は間違っていない。
だがこのまま行くぜ!
宣戦布告前にフェニックス家みたいな
会議が出来たのは極一部です。
援軍は参戦拒否。
勝手に参加した場合は「ついて来たら死ぬぞ?」(モモン様)的なことになります。
誰得ゼクラム・バアルのキャラブレイク!(強化?)
いや、数千年生きててタダの老害ってことは
無いでしょうってお話。