とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

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原作6巻開始・・・の前?

胃痛魔王と聖女スキーのお話

オリ設定!
オリ展開!

今日も一話!

嫌いな人は読み飛ばし!


原作6巻
77話


ーーアジュカ視点ーー

 

バアル領の殲滅から数日。ソコに居たモノは

全滅したし、元々引き継ぎ用の資料が用意

されていたこともあり、避難させられていた

民たちを建物が無事だった東部に纏めて入植

させた上で、新たな領主を決めたことで混乱と

言う混乱が起きることもなく収まった。

 

これにより、後始末を含めたオセ家による

バアル家の粛清は幕を閉じたと言うわけだが

当然悪魔社会の上層部は混乱している。

 

まぁ老害共がある程度片付けられた

とは言え全滅したわけではない。

 

ゼクラム老が持っていた権益やら何やらを

自分のモノにしようとしたり、オセに

擦り寄ろうとしたり、我々に庇護を求め

ようとしたりと、かなりの混乱具合である。

 

そんな中では、政治はサーゼクスの領域と

言って全てを押し付けるわけにはいかんし、

何よりサーゼクスに任せっきりは怖くて

仕方が無い。

 

そんなわけで俺達も貴族どもの相手や、

レーティングゲームの運営に関する新たな

法整備などを行っていた。

 

『おひさしぶりです。ベルゼブブ様』

 

忙しい中、アスタロト家・・・つまり実家から

緊急連絡が入って来たのはそんな時だった。

 

「久しいなディオドラ」

 

実際こうして個人的に話すのは、久しいどころではない。

 

血統的には従兄弟ではあるが、俺は魔王

として、いや、技術者として実家に

関わらないようにしていた為、サーゼクスや

セラフォルーのように親族と言う理由で彼ら

と接する機会などなかったのだから。

 

魔王としては正しいのかもしれんが、実家の

政治力も利用していれば、少しは悪魔社会の

政治も良く出来たかもしれんと考えれば、

随分遠回りしたものだと思う。

 

まぁ俺個人の感情は良い。

 

珍しく連絡を寄越して来た従兄弟。それも

緊急連絡と言うのだから、その内容を精査

するべきだろう。

 

『えぇ、誠に。本来なら時候のアイサツやら

何やらをするのが政治家としては正しいので

しょうが、陛下もお忙しいでしょう。

故に単刀直入に本題に入るご無礼をお許し下さい』

 

・・・この時点で単刀直入では無いような

気もするが、ソレは俺が政治家ではなく

技術者だからそう感じるのだろうな。

 

「あぁ、気遣い痛み入る。早速本題に入ってくれ」

 

俺にしても、ここで世間話を振るようなタイプ

の悪魔では無いから、助かると言えば助かる。

 

なにせ老害や通常の貴族と言うのは本題に

入る前に最短で10分以上の口上を述べるのだ。

 

その口上の中に含みやら何やらを持たせる

から聞き逃しも出来んし、下手に相槌を

打てば賛同したと見做される。

 

貴族の相手とは、俺のようなタイプの

悪魔にしてみれば面倒この上ない。

 

だからこの程度の前置きで本題に入って

くれるディオドラに対し、無条件で好感度

が上がるのも止むを得ないことだろう。

 

『では早速、クルゼレイ・アスモデウスと

シャルバ・ベルゼブブを始めとした連中が

英雄殿のレーティングゲームを狙い、

何やら企んでおります』

 

「・・・」

 

そうか。連中、餌に掛かったか。

 

英雄を利用して何をするかは知らんが、

今まで散々顔に泥を塗ってくれたことに

なっているアレに意趣返しをしつつ

開戦の狼煙にでもする気か?

 

下手に動かさずに隔離しているだけで

餌として機能するのだから、最初から

なんとかしてアレを隔離しておけば、

常識の習得やら何やらも可能になって

いたかもしれんな。

 

奴らに破壊された胃をさすりながら、

苦笑いを浮かべる俺をどう見たのか、

通信機の向こうではディオドラが何やら

戸惑った表情をしている。

 

「報告ご苦労。その情報が手に入ると言う

ことは、連中はお前にも声をかけてきたのだな?」

 

魔王の実家がテロリストに加担したと

なれば、政治的なダメージは計り知れん。

 

失敗しても政治的な混乱は免れん。

 

つまるところ、英雄だけでなく俺たちに対する意趣返しにもなるな。

 

連中にしては考えたものだ。

いや、元々連中は他人が嫌がることを

する分には超一流の手腕が有ったな。

 

『そうですね。本来はグラシャラボラス家も

巻き込む予定だったそうですが、どうも

向こうは以前からアスモデウス様の目が

光っていたようで、接触出来なかったそうです』

 

あぁ、ゼファードルの件だろうな。

 

堕天使や旧魔王派がYOSHITUGUの正体を

探るために実家に人員を差し向けるであろう

ことを警戒したファルビウムが手を打った

のだろうが、ソレがそのまま干渉を阻む一手

となったか。

 

「なるほど。シトリー家やグレモリー家も

魔王の実家だが、サーゼクスもセラフォルー

もそれなりに実家と繋がっている。

故に実家から距離を置く俺たちを狙ったか」

 

狙いは間違ってない。

 

特にグレモリーに接触しないのは正解だ。

 

グレイフィアの立場が有る以上、絶対に

連中に味方することは無いだろうし、

アレを味方にすれば慢性的な胃痛と頭痛に

悩まされることになる。

 

英雄が離反したとなれば痛いが、

向こうについたなら滅ぼすことも

できると考えれば・・・いや、無理か。

 

サーゼクスが必死で抵抗するよな。

 

まぁソレを狙ってナニカしたり、餌の

甥であるミリキャスに英雄様の実態を

吹き込んで動かすという手も無いわけ

ではないが・・・ミリキャスはまだ子供。

 

種を植えるには十分だが、ソレが芽を出す

まで待つ時間も無いのだろう。

 

なにせバアル家が旧魔王派に対する

支援を理由に滅ぼされたからな。

今後連中に支援をする貴族の数は激減

するだろう。ソレを焦ったか。

 

我慢だの節制が出来るような連中では無いからな。

 

動けるうちに動かねばジリ貧だ。

その程度の理性は有ったようで何より。

 

『そのようですね。無条件で支援してくれた

大王家からの支援が無くなり、このまま他の

支援者も居なくなれば残るは惨めな孤立です』

 

なるほど。

 

「ふっ。周囲に自分を称えてくれるモノ共

が居なくなるのが耐えられんか」

 

政治的な視野が無いのは俺たちも同じ

だから、偉そうに批判できるモノでも

無いが・・・もはやガキの癇癪だな。

 

 

『えぇ、偉そうな物言いをしていますが、

過去に中央から辺境に隔離されたことで

連中は孤立することに対して異常とも

言える恐れを抱いております』

 

若造とも言えるディオドラにすら

器の底を見切られたか。

 

「その結果がなりふり構わずの勧誘か。末期だな」

 

敵対したとは言え、昔馴染みが落ち

ぶれるというのは悲しいものだ。

 

ソレに巻き込まれるモノたちが居る

以上、容赦をする気はないが。

 

むしろ辺境で好き勝手に国造りでもして

いれば、その統治内容でもって我々の

未熟さを指摘し、政治的なマウントを

取れただろうに。

 

寂寥感とでも言うのだろうか、彼らが

選択を間違えなければ・・・と言う思いに

浸っていた俺の思考は、ディオドラの放った

言葉で吹き飛ばされた。

 

『えぇ、ただなりふり構わない暴走だから

こそ厄介であるとも言えます。

・・・連中はオーフィスの蛇を使っての

大盤振る舞いを始めました』

 

「なんだと?!」

 

戦力の底上げとしてオーフィスの蛇を

使ってくるのはわかっていた。

 

と言うか連中にはソレしか方法がない。

 

だが、アレは継続性が無いドーピング剤。

 

もしレーティングゲームに使ったとしても、

王の駒と違い不正が疑われてしまうから

意味がないどころか自分の首を締める行為

となってしまう。

 

戦争で使うにしても、所詮は一時的な強化。

 

元の能力が低ければ暴走するし、力を

使いこなすこともできん。

強化された魔力を使い遠距離から魔力砲撃を

放つだけの砲兵にしかならんのだ。

 

ソレに専念されれば面倒ではあるが、いくら

大盤振る舞いと言っても、すべての兵士に

蛇を渡すようなことはしないだろう。

 

となれば元の立場と矜持が邪魔をして、

一兵士として動くことなど出来んだろう。

 

その結果出来上がるのは、統率の取れない中途半端な力を持つ個の群れだ。

 

そんな連中が中途半端に政治力を持つ

ようになれば面倒この上ない。

 

『どうも私が英雄殿に対して隔意を抱いて

いると確信しているようですね。

連中は私のところにも何体かの蛇を手土産と

して持ってきましたよ』

 

そう言って瓶を掲げてみせるディオドラ。

 

その中には黒いナニカが渦を巻くように

蠢いている。

 

・・・アレがオーフィスの蛇か。

 

前にカテレアが見せたときは一瞬だった

から細いことは不明だったが、なるほど。

確かにオーフィスの力の一部を魔力に

還元できるようにしているのだろうな。

 

未知のモノに対する興味は有るが、今は

それどころではない。

 

このような真似をしてオーフィスの蛇を

ばら蒔いているのだとすれば、一体何程の

貴族達が奴らに賛同することか。

 

オセによってバアル家が滅んだとは言え、

オーフィスの名と脅威には勝てん。

 

さらに悪魔は本能的に力に憧れるモノだ。

 

この誘惑に抗うのは相当な自制心が必要になる。

 

連中に自制心を求めるほど、俺は腑抜けてはいないぞ。

 

・・・中立派を騙る連中の大半は、奴らに

対して何かしらの便宜を図っていると見た

方が良いかもしれんな。

 

しかしよくもまぁディオドラはその誘惑を

振り切ったものだ。

 

「若手の悪魔に英雄に対する隔意が有るのは

当然だろう。嫉妬もあるだろうが、事実を

知ればなおさらだ。

サイラオーグなど、喉から手が出るほど欲して

いた実績を、何もせずに得ているのだからな」

 

むしろ邪魔をしてるまである。

 

だからこそわからん。

 

『あぁ、私が英雄を擁立した現政府につく理由ですか?』

 

そうだ。普通なら巫山戯るな!と声を

上げてもなんの不思議もないのだ。

 

実際に実績を積んでいるディオドラなど

その筆頭だろう。

ついでに言えば英雄のところの元聖女は

ディオドラが教会から離反させたモノ。

 

獲物を取られた上にこの扱いと考えれば、

旧魔王派がディオドラを味方とカウント

する理由も良くわかる。

 

「率直に言えばそうだ。英雄との確執は

さて置き、クルゼレイやシャルバならば

ともかく、オーフィスが敵となるのだ。

俺たちの敵に回ることは有っても味方に

なる理由がわからんよ」

 

ドーピング剤とはいえ力を貰い、聖女を

掠め取られた恨みを晴らすことも出来る。

その上、旧魔王派が勝てば確実に幹部と

して迎え入れられるのだぞ?

 

それだけの高待遇に転ばない理由があるのか?

 

『まずさて置かれた英雄殿との確執ですが、

確かに私が教会から離反させたのを英雄殿に

奪われた形ではありますよ?

恨みと言うか、ナニしてくれるんだ?!と

言う気持ちは確かに有りました』

 

態々英雄との話を先に持ってきたのは、

そちらから説明した方が話が早いと思ったからか?

 

「・・・」

 

それともどうせ説明するんだからと言うことか?

 

続けるように視線で促すと、ディオドラは

一つ頷いて心境を吐露する。

 

『その上で言わせて貰えば、私は英雄殿に

関わりたく無いのです』

 

おぉう。思った理由とは全然違うが、凄い説得力だ!

 

『獲物を奪われたのは業腹ではありますが、

それも私が彼女を手に入れるまでキチンと

管理しなかったからだと言われてしまえば

その通りですからね』

 

うむ。まぁその通りだ。なんでソーナと

英雄が居るところに聖女を差し向けたのか

未だにさっぱりわかってないからな。

 

下級堕天使に聖女の神器を抜き取らせると

言う名目を与えたと言うなら、ソレは

悪魔の管理地である必要は無いだろう。

 

日本語を話せない箱入りの聖女をイタリア

から日本に移動させる手間暇を考えれば

ムダが多すぎる。

 

『自分が釣った魚を、タグも付けずに

他者の生け簀に放流したら他者に釣られた。

ソレだけの話です。怒るなら自分でしょう?』

 

「まぁ、その通りとしか言えんな」

 

苦笑いするディオドラに、こちらも

苦笑いで返す。

 

つまり自制と自省が出来るなら、英雄に

対して「聖女を獲られた!」と騒ぐような

真似は出来んと言う事だな。

 

自分が惨めになるだけだ。

 

『そして旧魔王派ですが、アレらに味方

するということとオーフィスがバックに

付くと言うことはイコールではありません』

 

うむ。それもその通り。

 

頷く俺を見て、ディオドラは更に言葉を続ける。

 

『極めつけは先日のオセ様の戦です。内容は

知りませんが、バアル領が全滅したのは事実。

その中にはオーフィスの蛇を持ったモノも

居たでしょう。王の駒を持ったモノも

居たでしょう。ですが彼らは生き延びましたか?

オーフィスは彼らを守りましたか?』

 

確かに旧魔王派に援助していたバアル家に

対し、援軍として参戦した連中の中には

王の駒を持つモノ達も居ただろうな。

 

当然オーフィスの蛇の所持者も居ただろう。

 

『そもそもカテレア殿がオーフィスの蛇を

使ってもアザゼルに勝てなかったのですよ?

他にも、百年単位で修練をして、研究を

重ねて、トップランカーと言われた悪魔が

王の駒を使っても皇帝に勝てないのですよ?

外付けの力に意味がないことの証拠ではありませんか』

 

王の駒を造った者としてはアレだが・・・

実際に言っていることは間違ってはいない。

 

世の中は結果が全てだ。

 

『今から私たちが修練したところで、

相手も強くなります。まぁ技術者で

あるアザゼルの場合は慣れや最適化と

いう方向かもしれませんがね』

 

うむ。アレも人工神器などを造っていた

ようだからな。

カンザシ・オセの擬似神器と言い、アレ

を量産して使いこなす方が健全といえば

健全かもしれんが・・・多少話がズレて

来ているな。

 

「つまり、連中に味方してオーフィスの

蛇を手に入れても、我々に滅ぼされる

ことが目に見えている。

その際オーフィスが庇うようなことを

するとは思えないため、後ろ盾としては

不十分だと判断したわけか」

 

政治的に見ればこんなところか。

まぁ少しでもオーフィスを知れば

そのような答えに行き着くだろう。

 

コレは家の存続も視野に入れた政治判断。

つまりディオドラだけでなく、父上の

判断も有ると言う事か?

 

『そうですね。力が無駄とは言いませんが、

今はそれよりも政治が大事だと思っています』

 

話がズレていたことを自覚したのだろう、

気恥ずかしそうに笑いながら結論を述べる

姿に嘘は感じられない。

 

『陛下は最近のフェニックス領を見ましたか?

以前は涙の生産で得た収入を交際費やら何やら

に使ってましたが、今は領内の整備。特に

インフラ整備に当ててます』

 

ほう。大口顧客であるゲームの運営に

対してフェニックスの涙の販売数を減らし、

「自ら収入源を減らした」と陰口を叩かれて

いた彼らがそんなことを。

 

『その結果、税収と言う確固たる収入源

を得て、フェニックス領は更なる発展を

しようとしています』

 

「フェニックスの涙に頼らん領地運営か」

 

コレはオセのところに差し出した娘の

入れ知恵か?それとも何かを学んだか?

 

『陛下はオセ領を見たことがありますか?』

 

そう言われて、俺は一度もオセの所領を

自らの目で見たことが無いことに気づいた。

 

部下から「辺境とは思えないほど発展している」

だの「統治が行き届いている」だのと言う報告を

受けているだけだ。

 

だが、先日の演説の際に会場となった場に

居たオセ領の兵を見れば、その軍事力と

ソレを支える所領の豊かさはわかる。

 

だが、それだけでは無いのだろう。

 

ディオドラは興奮した様子を隠すことなく

オセ領について語る。

 

『アレこそ専制政治の極みなのでしょう。

既得権益を求めた商人や業者は追放や殺害。

全て自らの家臣団で管理・運営しています。

なにせ我らは人間とは違い、寿命が長い。

その為専制政治の最大の問題点と言える

後継者争いが発生せず、国力の全てを発展に

注ぐことができます。

さらに彼らには民が賢くなっても統制出来る

だけの能力があるのです。

アレを見てしまえば、私もドーピングをして

中途半端な力を誇示するより、政治を学んで

領内を栄えさせたいと思いますよ』

 

それが貴族と言うモノでしょう?

 

そう告げるディオドラにかける言葉がない。

 

俺たちは彼らを若手だなんだと言って、

正しく評価が出来ていなかった。

 

この目はまさしく節穴だ。

 

『ソレに旧魔王派には展望がありません。

力こそ正義と言っても、アザゼルに勝てない

程度の力しかないのです。

もっと言えば、彼らは政治の意味も必要性も

正しく理解していない。故に私のような

悪魔は居心地が悪いでしょうね』

 

つまり旧魔王派に味方する理由がないと言うことか。

 

目先の力ではなく、このように先を見据えた

考えを持つ貴族が一体どれだけ居ることか。

 

ソレが自分の親族であることが誇らしく思える。

 

我ながら現金なものだ。

 

「お前の考えは理解した。納得もな。

・・・外交官としての情報収集見事である」

 

ディオドラの選択は何一つ間違っていない。

更に功績を挙げたのも事実。

 

今まで無難だの俺と比べて才能が無い

だのと言われてきたディオドラだ。

コイツにはコイツなりの葛藤も有っただろう。

 

だがディオドラはソレを乗り越えたのだ。

ならば俺は魔王として評価しようじゃないか!

 

『はっ!ありがとうございます!』

 

告げ口だ卑怯だなどと見下すような感情が

一切無い、純粋な評価。

 

アジュカと比較されることなく得られた、

正当なプラスの評価。更にソレを下した

のは他ならぬアジュカ・ベルゼブブ!

 

これこそがディオドラ・アスタロトが望んだモノ。

 

彼の渇望はココに満たされる。故に

旧魔王派に靡くことはない。

 

「貴公には今後も連中の味方として情報を

収集してもらう。出来るな?」

 

出来るか?とは聞かない。何故なら

アジュカはディオドラを認めたから。

 

『無論です!』

 

そしてディオドラも出来ないとは言わない。

 

自らを認めた漢の前で無様は晒せないし、

何より彼が掲げた夢である外交官の任務

とは国家公認の情報収集員と言う意味も

有るのだから。

 

疎遠であったアジュカと、ディオドラ。

二人の間に確かな信頼が生まれたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では最初の命令だ。コレを旧魔王派を滅ぼす一手としよう」

 

『なんなりと!』

 

本来ならファルビウム辺りと考えるべき

ことだろうが、どちらにせよコレは必要

なことだからな。

 

そう自分に言い聞かせ、アジュカは彼に

非情の命令を下す。

 

「・・・英雄を挑発しろ。周囲にわかるようにな」

 

関わりたくないと言った彼に対してこの命令。

ココに居るのはまさしく悪魔の王!

 

『・・・かしこまりました』

 

さっきまでのテンションは何処へやら。

 

通信機の向こうには、今までの感動も

何もかも吹っ飛ばした無表情が有った。

 

不満も有る、不安も有る、だが必要な事だと

言うことも理解している。ソレ故の無表情だ。

 

若手悪魔のせめてもの抵抗と言っても良い。

 

若者の無表情を見て正直スマンと思いつつ

命令を撤回する気もないアジュカは、この

従兄弟に何か補填しようと心に決めたのであった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「あぁアーシアさん!やっと会えた!」

 

「だ、誰だ!アーシアに何の用だ!」

 

「え、ま、まさか貴方は?!」

 

 

 

 

 

 




胃痛魔王と聖女スキーとの血縁関係が良く
わからないので従兄弟設定にしました。

情報が有れば後から修正することに
なるが、私は一向に構わんッ!(情報求ム)

聖女スキーはなぁ。向こうに付く理由は
いくらでも有るんだよなぁ。
まぁ基本的には自業自得ですが。

ソレを認識出来てたらこうなったってお話。

理由があって殺すオセ君より、気紛れで動くオーフィスの方がバックにするには怖いよね?

オリ設定でオリ展開と言ってるから
ダイジョーブ!ダイジョーブ!


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