とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

8 / 103
コレぞ究極奥義っ!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!

誤字報告ありがとうございます!


8話

「お久しぶりです。オセ殿」

 

「お、お初にお目にかかります!レイヴェル・フェニックスと申します!」

 

ふむ。焼き鳥と無能の結婚式の予定日を

算出して、フェニックス領を焦土にする

計画を立てていた所にまさかの来客。

 

このタイミングで来ると言うことは、

コレは現当主の意向ではなく、眼前で旦那様

にアイサツしているルヴァル・フェニックス

の手並みでしょう。

 

「レイヴェル嬢は初めまして。そして

ルヴァル殿は確かに久しいな」

 

基本的に次期当主でしかないコイツには、

伯爵家当主である旦那様との接点はない

から久しくなるのもシカタナイでしょうね。

 

呼び名としてはオセ様かオセ閣下が正しい

のですが、彼のような次期当主に対しては

旦那様が殿呼びを許容しているので私と

しても矯正する気はありません。

 

「えぇ、本当に。私としてはオセ殿の領地運営に

興味があるので、もっと頻繁にお会いしてその

手腕を学びたいと思っているのですがね」

 

見え透いたお世辞ではありますが、

旦那様が計画し私が運営する領地運営が

ある種の理想に有るのは事実。

 

ここは素直に賞賛されていると思いましょう。

 

「私の施政はともかくとして、卿は現在

レーティングゲームでトップ10に入る

実力者ではあるものの、それ以前に

フェニックス家の次期当主でもある。

流行りのゲームにご多忙なのはわかるが、

卿の家の財政状況を考えればそろそろ政を

真剣に学ぶ時期ではないかな?」

 

ですよねー。名家には名家の仕事があります。

 

コイツがレーティングゲームに参加するのは

名前を売るのと賞金が目当てなのでしょうが、

コイツらってそんなことする必要ないんですよね。

 

そもそも正式な72家の一つなのですから

フェニックス家が成り上がりと言う風潮も

おかしいし。

 

経済的に差を付けられた老害どもが

苦し紛れに文句を抜かしてるだけでしょ?

 

旦那様に関しても文句を言ってましたが

ソレは結果で黙らせましたし。

 

コイツも似たようなことをしようとして

実力を見せつけているのでしょうけど、

所詮運営の手のひらで転がされるゲームの

プレイヤーでしかありません。

 

せめて運営側に回らないとねぇ。

 

「功名餓鬼に領地経営は出来ませんが、

勇名が有れば人材も得やすいですからね。

中々難しいところです」

 

ほほう。旦那様の皮肉に対し上手い返し。

言ってることも強ち間違いでは無いし、

まぁ及第点でしょうか。

 

「ふむ。昨今のフェニックス家のご当主は

調子が思わしくないようだが、卿が居れば

フェニックス家は安泰のようだな」

 

調子が思わしくない、ですか・・・そう言う言い方も出来ますよね。

 

「え?お父様が?!」

 

減点1。

 

「レイヴェルっ!」

 

減点2。

 

「あ、し、シツレイしましたっ!」

 

ほう。この場で減点2で収めますか。

やはり中々のモノです。

頭の調子が悪い当主に替わって、

さっさと当主になったらどうですか?

 

「謝罪を受け入れよう。だがこの場に

妹殿を連れてきたのは何の為かな?」

 

そうそう、さっさと話を進めましょう。

 

場数を踏ませるためなどと抜かしたら、

その無礼と不敬を鳴らして今日にでも

ライザー・フェニックスの眷属諸共

滅ぼしてやるぞ?

 

「ご配慮に感謝を・・・本日妹をこの場に

連れてきたのは、オセ殿の所領を見せ

見識を広める為であり、またオセ殿と

契約を結ばせたいと思いまして」

 

所領を見せる、ねぇ・・・場数と同じ

意味ではありますが、問題は契約ですか。

 

旦那様は余程の無礼がない限り、契約に

関しては内容を精査しますし、妥当と

判断すれば相手が誰であれ契約を結びます。

 

ソレを知った阿呆どもはあの手この手で

旦那様を嵌めようとしてきたのですが・・・

 

さて、今回のコイツは何を宣う?

 

契約をチラつかせれば何とでもなると

考えているなら、そこの鳥頭を持って

所領に侵攻し、家を含む全てが焦土と

なる様を見せつけることでその勘違いを

糺すことになりますよ?

 

「契約ねぇ。最近は悪魔の中でも契約を

軽んずるものが多くてな。

悪魔が契約を反故にした場合、何を失うかを

正しく理解出来ていないのではないかと思って

いるところだよ」

 

「「・・・」」

 

そうなんですよねぇ。

 

本来契約違反をした悪魔が失うのは、

金でも信用でもありません。その存在です。

 

グレモリー家は違約金と言う形で金を

支払って終わりと考えているかもしれんが、

実際は連中の悪魔としての根幹部分が

すでに失われている。

 

ソレも当主個人ではない、グレモリー家の

悪魔全体に言えること。

 

日常生活では気付かんだろうが、もはや

グレモリー家は悪魔として終わりだぞ?

 

「なるほど・・・軽々しく契約と言う

言葉を使ったことをお詫び致します」

 

さて、謝罪したものの要望を取り下げる

気は無いようですね。

 

ですが、言いたいことはわかりますよ?

行儀見習いでしょう?

 

「卿が謝る事でもないが・・・とりあえず

話を進めよう。察するに妹御を預かって

教育して欲しいと言うのだろう?」

 

グレモリーとシトリーがアレですからね。

自分の家で育てるのではなく、他所に

預けるのは決して間違ってませんからね。

 

「えぇ、その通りです。ライザーが婚約

していたアレやシトリー家のお嬢さんの

ような、貴族の物笑いの種になられても

困りますからね」

 

婚約していた(・・・・・・)アレときましたか。

コレはどっちの意味なんでしょうね?

 

婚約破棄か、それとも結婚することに

なったと言うことか。

 

「若者は夢を追うものだが、領民の

命を預かる者が現実を見れんのでは困る。

妹御がアレらのようになっては、折角

卿が押し上げたフェニックス家の勇名が

地に堕ちることとなるからな。

弟の眷属として甘やかすよりも外に

出して学ばせるのは正しい判断だ」

 

婚約していたってところはスルーですか。

まぁどっちに転んでも一緒ですからね。

 

それに実際問題、サーゼクスが挙げた勇名は

グレモリー家の当主と次期当主の行いのせいで、

もはや汚名に変わりましたからねぇ。

 

「弟としては妹を自分の眷属とすることで、

悪い虫が付かないようにするという意味合い

もあったようですが、過保護にした結果が

あの二人ですから・・・」

 

凄い説得力ですよねぇ。

 

しかし焼き鳥の眷属はハーレムメンバーであり

交配を前提とした連中だったはずでは?

 

・・・いや、妹との交配も、珍しいことでは

ありますが無いわけでは無いですからね。

 

流石にここで行儀見習いする間は

自粛してもらう形となりますけど。

 

・・・しかし旦那様もそのくらいの積極性

があれば良いのですけどねぇ。

 

後宮と言うには数が少なすぎますよ?

 

流石に行儀見習いで預かった小娘を

側室にするようなことは・・・待てよ?

 

コレは血統的に考えれば純血の悪魔ですよね?

 

それに行儀見習いとは、そもそもそう言う

可能性を考慮したモノですよね?

 

ふむぅ。コレはあとで簪に確認させる必要がありますね・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「だ、大丈夫ですか?お兄様・・・」

 

正直に言えば全然大丈夫では無いが・・・

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

そう、問題はない。

 

オセ殿は特に意識していなかったのかも

しれんが、あの自然と出る圧力だけで

潰されそうになったし・・・

奥方殿からは明確な威圧を受けて、何度か

気を失いかけたがソレでも気絶はしなかった。

 

なんだあの二人は、以前会った時より

更に強くなっているじゃないか。

 

アレ相手に5秒?・・・絶対に無理だ。

 

だがまぁ、その結果と言って良いのだろうな。レイヴェルを彼の下に預けることが出来た。

 

まだ契約という形では無かったが、口約束でも十分。

 

オセ殿は嘘をつかないし約定も守る。

 

これで最悪でもフェニックス家は生き残れる。

 

「良いかレイヴェル。オセ殿も仰っていたが

貴族として、統治者として政治と言うのは

非常に重要だ」

 

何も考えてない老害共がウチやオセ殿の

発展を羨んでイロイロと小細工を弄して

いるが、そんな暇があったら自領の発展の

為に働けと言いたい。

 

「はい。確かにレーティングゲームで

勝っても得られるのは名誉と賞金です。

所領が栄えるわけではありません」

 

その通り。例外としてはその賞金を使って

開発するという考えもあるかもしれんが、

ソレは維持費と言うモノを理解してない

素人の妄言。

 

政治を行うためにはそのような一時金に

頼ったモノではなく、定期的に入る税収が

必要不可欠なのだ。

 

「そうだ。一介の貴族であれば名誉を

重んずるものだからゲームで名を上げる

のも良いだろう。しかし当主は違う。

当主は統治で以て名を高めねばならん」

 

ゲームで勝ちました。

連戦連勝です。

でも領土が荒れ果てて税収がありません。

開発も生活もゲームの賞金頼りです。

 

こんな貴族が貴族と言えるか?

 

フェニックス家は涙の販売が有るから

財政的にはそれほど悪くはないが、それ

だって彼らにしてみたら微々たるモノだ。

 

1個1億円の涙を年間100個売るのと、

100万の民に1日200円使わせること。

どちらが利益が大きいか? という話だからな。

 

どう考えても後者だろう。

 

また、涙の生産量を増やすのと1日に

使わせる金額を増やすこと、どちらが

簡単かと言われれば後者に決まっている。

 

特産品で儲けるのは悪くはない。だが

それだけに頼ってはいかんのだ。

 

所領の発展の為には溜め込んだ資金を有効に

使わねばならん。

そのために必要なのは正しい政治の知識と経験。

 

私が直接教えを受けることが出来れば良いが、

流石に不可能だからな。

 

レイヴェルに学ばせて、その知識を

フェニックス家のために活用してもらう。

 

それに、もしレイヴェルがオセ殿の

お手つきとなればオセ家から支援を

受けられることになるしな。

 

更に彼の眷属であるシロネ・オセは

レイヴェルと同年代でありながら、既に

魔王級の実力者と言われている。

 

彼に鍛えてもらえれば、レイヴェルも

10年後には魔王級とまではいかなくとも、

最上級悪魔に匹敵する実力者となれるだろう。

 

「はい!ざっと見た感じでは有りますが、

オセ様の所領はフェニックス家とは比べ物

にならないくらい広大で、栄えています!

コレが正しい貴族による正しい政治の結果なのですね!」

 

うむ。きちんと本質を理解しているな。

 

「そうだ。老害共がほざくような理想の

貴族像ではなく、オセ殿が体現している

姿こそが貴族の正しい在りかたなのだ」

 

老害共からは『堕天使の領域と接する辺境故

広大なのだ』などと言われているが、

これはあえてこういう土地を報奨として

入手していると見做すべきだろう。

 

老害が蔓延る中央から距離を取れるし、辺境の

守護者としての実績と名声を得ているからな。

 

更に何かしらの理由が有るのだろうが、

それはまだ私にはわからん。

 

「はいっ!学べることは全て吸収し

フェニックス家の為に役立てます!」

 

・・・レイヴェルに重荷を押し付けることに

なるが、3ヶ月の研修期間を乗り越えれば

正式に契約を交わせるということだったな。

 

それまではなんとしても耐えて貰わねば。

 

いや、教えを受けるのに耐えると言うのはおかしいか。

 

そもそもオセ殿の在り方は悪魔の理想。

その教えを受けることが出来ると言う

のは、どこの悪魔であっても垂涎の的。

 

オセ殿はあまり乗り気ではなかったよう

だが、奥方殿が何か伝えたようだったな?

 

…奥方殿の思惑はなんであれ、あの口添え

がなければ、三ヶ月とはいえレイヴェルに

教育を受ける許可を頂けたかどうかわからんのだ。

 

あの方々が無駄な虐待なとするはずもないし、

もしかしたら奥方殿の付き人にでもするか?

 

それなら最高と言えるんだが・・・あぁいや、

最高なのは奥方殿の許可を頂いて寵姫や側室

となることだが・・・

 

現時点でそこまで高望みはするべきではないな。

 

最悪繋がりを持つだけで良いんだ。

 

しかし、本来なら今日からでも預ける予定

だったが、ライザーとアレの試合が終わる

までは眷属を変えるのはフェアじゃないと

言われてしまったのは誤算だった。

 

いや、言われてみれば確かにそうなんだが。

 

素人であるアレが眷属を増やす分には構わんが、

こちらは迎え撃つ側である以上、減るにせよ

変わるにせよ、後出しでメンバーを変えるべき

ではないと言うのは正論だろう。

 

それに、悪いことでもない。何せ試合までの

間に、レイヴェルに対して心構えを伝える事

ができる。

 

「あぁそれでいい。その覚悟を忘れるな?

他家の政治を学ぶのだ。甘えは許さんぞ」

 

まだ若いとは言え、政治にそんなのは関係ない。

妥協して手を抜いたり、我儘を抜かした時点で

放逐されるだろう。

 

そしてその際の評価や評判は将来まで影響する。

 

・・・いや、将来どころか奥方にそのまま

誅される可能性も有る。

 

試合まで一週間も無いが、行儀見習いを

するにあたっての心構えだけではなく

最低限の礼儀作法と教養は叩き込むべきだよな。

 

ケーキだのお茶もあくまで趣味だし。

 

それはそれとして、だ。

 

「アレとの試合の際、万が一でも

傷を負っては困るからお前は戦闘に

参加せず即座に下がるように。

戦わなければ良いと言う訳じゃない。

リタイアしてフィールドから出ておけよ」

 

普通ならありえんが赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の保持者が居るからな・・・

 

「あ、た、確かにそうです!」

 

今さらアレとの試合なんざどうでも良いんだ。

 

だが、そのどうでも良い試合のせいで、

あのお二人を相手に行儀見習いの延期を

願い出るなど絶対にゴメンだぞ!

 

「ライザーには私から伝えておく。これは

兄としての頼みではなく次期当主としての

命令だ。良いな?」

 

アレみたいに勝手な解釈をして我儘を

抜かすようなら、オセ殿に生け捕りにされて

搾取される前に俺が殺してやるぞ?

 

「か、かしこまりました!」

 

よし、レイヴェルはこれで良い。あとは

ライザー次第か。

 

「あの、それで、お兄様?」

 

「ん?どうした?」

 

何か聞きたいことや言いたいことが有るなら

出来る限り聞いてやろう。

・・・コレが最後になるかもしれんのだから。

 

「えっと、お父様ってどこか具合が悪いのでしょうか?」

 

・・・あぁ。それか。

 

「そうだな。ハッキリ言って重症だ」

 

母上もな。

 

「そ、そんなっ!我々フェニックスでも

治癒できない病が?!」

 

あぁ、ソレに怯えてたか。うん、まぁ勘違い

するような言い方だからなぁ。

 

「取り返しがつかないくらい重症だよ。

何せアレを見て尚、アレを育てた家に息子を

婿養子として差し出そうとするんだからな」

 

不死鳥の馬鹿は治らんってな。

 

「・・・あぁ。そう言うことでしたか」

 

そう言うことだ。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天才って言葉はあまり好きじゃないわ」

 

「どうしてですか?」




究極奥義!土下座外交っ!

わかりやすく言えば妹は人質ですね。
まんま外史のネコモドキと同じ扱いでごわす。

奥方は何かを計画しているようだ・・・

ちなみに奥方にアイサツしてませんが、
オセ君との話し合いなのでコレで良いのです。

信長と濃姫が一緒に居る場合、何か用が無い
限りは信長にアイサツすれば良いのです。

濃姫にアイサツして、信長を無視して
会話するのは無礼な行為になりますからね。

普通、相手の家がここまでグダグダなら
婿にやるのは考えませんかね?ってお話

追伸。

皆様の誤字報告はありがたいのですが、前話の
仏の顔【を】三度までと言う名セリフは
謙虚なナイト様が言い残したセリフであり、
正しいブロント語です。

この言い回しは天才のセンスであって
決して誤字では無いのです!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告