とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

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キツイ。英雄がキツイ。
でも出さなきゃっ!(謎の使命感)

白蜥蜴と孫悟空の子孫の運命や如何に?!
短めでごわす。

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばしッ!


88話

ーーYOSHITUGU視点ーー

 

さて、猿の方はゴトウのオッサンが

抑えてるし、半死半生のメガネは

・・・ディオドラが傷を焼いてるな。

 

ありゃ捕虜にする気か。

 

なら傷口を焼いた後でフェニックスの涙を

使わせて、あの状態が正常だと認識させれ

ば完璧だと思うが、今は義手とか義足が

有るからなぁ。

 

その辺どう考えてるんだか。

いや、アレか。義手や義足でも聖剣を

使えるかどうかの実験でもする気か?

 

もしソレが可能なら、悪魔の中にも普通に

聖剣を使うヤツが出てくるかもしれねぇ。

 

それかソーナの眷属のヨシコ=サンみてぇに

擬似神器でサポートする形にしても良いかもな。

 

そんな俺には似つかわしくないことも

考えてしまうのは、目の前の白蜥蜴が

あまりにもアレな為だ。

 

「なぁお前、ここ1、2ヶ月何してた?

つーか数ヶ月程度の鍛錬で俺に勝てると

本気で思ったか?」

 

前回の時は勝手に隙を晒したアホを殴り

倒しただけで、今回は普通に正面から

打ち合ってるんだが・・・

 

これがまぁ酷い。

 

まず白龍皇の能力かなんだか知らんが、

翼を展開する意味がわからん。

 

もしかしてハーフだから自前の翼が無いのか?

 

そう思ったが、そもそもアレじゃ的が大きく

なって当然空気抵抗も増すよな。

 

でもって白蜥蜴は翼から喰いすぎた分を

放出するから、翼は弱点の一つでも有る。

 

ソレを態々さらけ出すのがわからん。

 

「黙れぇぇぇぇぇ!」

 

でもってこの一見すれば直情的に見える行動。

 

例えばこの右手を大きく振りかぶったテレフォンパンチも・・・

 

「見え見えだ」

 

コレはわざと回避させて、相手のカウンターを誘う攻撃だから普通に受けてやれば良い。

 

「なっ?!ぐわっ!」

 

防御されることに慣れてないもんだから

簡単に体勢が崩れるんだよ。

 

そこに普通に蹴りでも打撃でも加えてしまえば

半減させることもできずに吹っ飛ぶわけだ。

 

ま、普通白龍皇の半減を知っていれば

誰だって回避を選ぶから、防御された時の

引き出しがほとんどないのも無理はない。

 

鍛錬で防御してもらっても、ソレは

してもらってるだけのモノ。

更にその場合は己の半減も封じてる

から実戦形式とは程遠い。

 

まぁアレだ。当たれば勝てるって

のは明確な強みだからな。

一点集中で鍛えるのは悪くねぇんだ。

 

でもって何とかして最初の一撃を加える

のがコイツの戦闘スタイルだから、相手の

裏をかこうとするのは間違いじゃない。

 

だが肝心のコイツがなぁ。

 

中途半端にプライドが高いから、騙し討ち

したあとは正面から戦ってきたんだろ?

 

でもって半減を使いながら潰してきたわけだ。

 

その戦い方が主流になっちまってるから、

どうしても小技に頼るのを良しとしねぇんだろう。

 

その結果がバレバレのフェイントに、拙い戦闘技術だ。

 

つーかなんで覇龍を使って来なかった?

まさかその状態でどこまで出来るか試す

とか言うガキ臭せぇ理由じゃねぇよな?

 

ま、コイツの都合なんざどーでも良い。

離れるってことは穂先に映るってことだぞ?

 

「『結べ、蜻蛉切』」

 

「グッ!クソッ!」

 

どこまで見てたかは知らんが、詠唱と

同時に斬撃が飛ぶ程度は分かっているらしい。

 

俺の声を聞き回避しようとするが、残念だったな。

 

「ギャッ!!」

 

俺の狙いは猿だ・・・とりあえず腕一本。

 

これでアイツは傷と俺の存在を気にしながらオッサンと戦う必要が出てきた。

 

オッサンも楽になるだろうよ。

 

「美猴?!おのれぇ!」

 

どーした?何を怒ってる?

無視されたことか?それとも戦ってる

仲間に不意打ちをされたことか?

 

「さっきまで2人で掛かって来てたのは

お前らだろ?猿がオッサンに向かった

からと言って俺がアレを逃がす理由があるのか?」

 

勝手に相手を交換した気になってるがな。

俺たちが居るのは戦場だぞ?敵に後ろを

見せれば死ぬし、流れ弾だってあるだろう。

 

プロレスのタッグマッチじゃねぇんだ。

目の前の一人しか見てねぇようなガキが

生き延びれると思うな。

 

「てめぇの敗因は最初っから覇龍を使って

こなかったことだ」

 

大方前回は奇襲で負けたんで、真正面

から戦えばそれなりに戦いになると

踏んだんだろうがな。

 

んなわけねーだろ。

 

「そもそもが未熟な半悪魔。肉体強度の違いは

どーしよーもねぇし、鎧を纏ったところで、馬鹿の

一つ覚えの半減が通用しなけりゃ、そんなの

糞の役にも立たねぇ目立つハリボテにすぎん。

それなら兵士の駒8つ分のドーピングがあって、

更に自己強化出来る赤蜥蜴のほうが数倍マシだぞ」

 

『なっ?!』

 

今まで黙ってた白蜥蜴が声を上げる。

侮辱されたと思ったか?だが実際そうだからなぁ。

 

「あぁ、自分が特別で死ぬことがないなんて

勘違いすんなよ?ルシファーの血筋だろうが

なんだろうが所詮はテロリスト。

その扱いはそこのベルゼブブの子孫と同じだ」

 

更に堕天使陣営だろ?アザゼルがなんか

それらしい言い訳をしたらしいが、手前が

会談の場で禍の団に参加したって自白した

のは知ってんだ。

 

「都合が悪くなったら抜けます」なんて

真似が許されると思うな?

 

「どこまでも上から目線で言ってくれる!

ならば見せてやろうっ!歴代最強の白龍皇

の力をなッ!」

 

俺の言葉を聞き、腰を落として顔の前で

腕を交差する白蜥蜴。

 

「『我、目覚めるは 、覇の理に全てを奪われし二天龍なり 』」

 

何をする気かと思えば・・・馬鹿か?

 

戦闘中に敵の目の前で詠唱?ソレもサポートが一人もいない状況で?

 

こりゃダメだ。一応警戒しろとは言われてたが

馬鹿を警戒する必要はねぇ。

 

「『無限を妬み、夢幻を想う 』グフッ!き、貴様っ!」

 

蜻蛉切が無防備な白蜥蜴の腹を貫く。

 

「阿呆が。俺は言ったぞ。てめぇの敗因は最初っから覇龍を使ってこなかったことだとな」

 

そして命の保証はしねぇともな。

動かねぇなら殺すだけだろうが。

 

「がはっ!」

 

蜻蛉切を捻り体内を傷つけてから、穂先を抜く。

 

そして止めを刺すために白蜥蜴の全身を

穂先に映し込もうして、ふと考えた。

 

駆動に慣れるために何度も使ってきたが、

あまり使いすぎるとネタバレになるから

頻度はソコソコにしとけって話だったよな。

 

今の状況を観てる連中が居るなら、

コレも解析される可能性もあるよな?

 

それに悪魔陣営は情報漏洩に定評があるし。

 

今までの戦闘でわかるのは詠唱と同時に

遠距離攻撃も出来る斬撃程度だろ?

 

ここで映し込むと言うプロセスを見せて、確信させるのは面白くないよな。

 

強度的にも白蜥蜴の鎧程度なら問題なく貫けたし、遠距離攻撃も試せた。

 

テストには十分だろう。

 

ついでに言えば、コイツの血筋は捕虜にするには

めんどくせぇし、そもそもコイツは姐さんに命を

狙われてるからな。

 

ここで生かしたら俺が殺される。だからこそしっかり殺す。

 

「じゃあな白蜥蜴。次はもう少しまともな寄生先を見つけろよ」

 

串刺し。ソレが俺が選んだ殺し方だ。

 

『ヴァーリ!逃げろッ!!』

 

白蜥蜴が叫ぶが、腹に穴が空いた上に、捻られて

内臓に損傷を負った半分人間のコイツが機敏に

動けるわけねーだろ。

 

腹を押さえるコイツ目掛けて放たれた攻撃は、

寸分違わず頭を貫き、完全に吹き飛ばす。

ビクンとその全身を痙攣させたあと、

腹を押さえていた手をだらりと垂らして

倒れこむ白蜥蜴。

 

鎧は解除され、残ったのは頭がない死体だ。

 

問題はこのままだと悪魔の駒か何かで

復活するかもしれねぇってことだ。

 

中途半端に体を残さずに、このまま魔力を

ぶつけて消滅させた方がいいのか、それとも

カンザシの姉御の為にサンプルとして持って

帰るべきか・・・

 

向こうを見れば、すでにオッサンが猿の首を切っていた。

 

捕虜も一人獲ったしシャルバも殺した。

ついでにテロリストも殺せば十分だろ。

 

「ディオドラ、終わったぞ」

 

これでココでの仕事は終わりだ。あとは

その辺で鍛錬するか茶でも飲んで時間を

潰せば良いだろ。

 

あ、鍛錬はダメだな。

 

下手にココで鍛錬して俺やオッサンが消耗したら、何か有った時に対処できなくなっちまう。

 

となると茶か。

 

そう思って奥の部屋に行こうとしたとき・・・

 

「お前!なんで殺したんだッ!もう勝負は着いてただろ!」

 

猿を殺したオッサンの前に『英雄様』御一行が現れた。

 

ディオドラは驚きに目を見開き、オッサンはめんどくさそうに溜息を吐く。

 

そして俺は・・・約束された面倒事に巻き込まれる前に姿を消したのだった。

 

ディオドラが何か言ってるな。裏切り?知るか。

俺は『英雄様』と関わりたくねぇんだよ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーー兵藤一誠視点ーー

 

俺の籠手に反応があった。コレは前にも有った。

近くに白龍皇が来てるってことだ!

 

ソレを部長に伝えれば、部長は顎に手を当てて考えるような仕草をして俺に確認を取ってくる。

 

「白龍皇がココに来た?確か彼は何かしらの

仕事で堕天使の拠点には居なかったのよね?」

 

「はい、そうです」

 

俺がアザゼル・・先生のところで修行を

している最中、白龍皇は仕事で出てるって

話だったんだ。

 

仕事の内容までは知らないけど、今回この

タイミングで来たってことは俺たちの救援

なんじゃないかと思うんだ。

 

「ならアザゼル総督が用意した救援と考えれば

辻褄が合いますわね。さっきから本人と連絡が

つかないのは戦闘中と思われます」

 

朱乃さんも俺と同じ判断をしたようだ。

つーか現状ソレ以外に無いよな!

 

「となると、私たちはどうするべきかしら?

救助が来るまでここで待機するべきか、

もしくはここから出て救助と合流すべきか」

 

え?それって悩むことなんですか?

 

「ここは壁とかが頑丈ですから、外の様子が

まったくわかりません。アザゼル先生と連絡が

取れない以上は、外はまだ戦闘中で危険だと

考えるべきだと思いますぅ~」

 

なるほどな。俺の中じゃさっさと外に出て

救助と合流してアーシアの無事を確認したい

とこだけど、ギャスパーはここで待つべき

だって考えなのか。

 

アーシアの事を考えればもどかしいけど、部長

が危険に晒されるかもって考えたら隠れてる

方が安全だよな。

 

「私としては戦闘中だからこそ、少しは動く

べきだと思いますわ。そうしないと何時まで

経っても私たちは餌のまま。いえ、今回の件で

旧魔王派が壊滅するとしたら・・・」

 

朱乃さんはそう言って言葉を区切る。

 

テロリストが居なくなるなら良いことなん

じゃ?そう言いたいところだけど、部長は

一瞬ハッとした顔をして頭を押さえている。

 

い、一体どうなるってんだ?!

 

「獲物が居なくなれば『英雄』も必要なくなる。

『英雄』は『英雄』のまま飼い殺しにされるわね」

 

か、飼い殺しだって?どう言うことだ?!

 

「えぇ、そうなるでしょう。グレイフィア様の

様子を見れば、リアスはこのままグレモリー家で

教育を受けることとなる可能性が高い。

そしてほとぼりが覚めるまで・・・普通に考え

れば、百年単位での教育を施すまでは外に出し

たりはしないでしょうね」

 

ひ、百年単位の教育って、ソレはもう監禁ですよね?!

 

あの部長を愛してるお父さんがそんなことを

するとは思えないけど、部長と朱乃さんは

ソレがあり得ると判断してるみたいだ。

 

「グレイフィアから言われた事を考えれば、

確かにその可能性は高いわ。更に敵が居なく

なってしまえば、私たちが功績を上げることが

出来なくなるわよね・・・」

 

そ、そうか。実績って言うのは、俺たちが成長

したって言う証拠にもなる。

旧魔王派の連中が居なくなれば、その実績を

積む相手か居なくなる。

 

「そうですわね。他のテロリスト相手にリアス

を出すような真似はしないでしょうから、冥界

から出られないリアスには何も出来なくなる。

そこそこの戦闘が有ったときに『作戦を考えた』

とか言って適当な功績を与えられるでしょう」

 

つ、つまりこのままじゃ部長は駒王学園に

戻ることは出来ないし、俺も家には帰れない

ってことかよ?!

 

ソレなら多少の無理はしてでも外に出て

上級悪魔や中級悪魔を倒すべきだよな!

 

そう言う実績が有るのと無いのだとやっぱり

違うだろうし!

 

「それを考えたら、とりあえずディオドラの元へ

行くのも悪くはないわね。もしも敵が居なくても

纏まってた方が救助もしやすいでしょうし、敵が

居たなら白龍皇と協力して戦えば良いわ」

 

アイツと協力か。魔法使いを敵だからって

理由であっさり殺すヤツだけど、間違いなく

俺達の中の誰よりも強い。

 

そんなアイツに譲渡を使えば、その辺の

上級悪魔なんか楽勝だよな!

 

それに部長は外に出て行きたいみたいだし。

そもそもグレモリー家での教育がそこまで

長引くなんて考えもしなかったし、部長だって

出来るだけ早く駒王学園に戻りたいはず。

 

「あとはグレイフィア様に言われたように

戦闘の邪魔になってはいけません。

戦闘している相手がいた場合、どちらが味方

でどちらが敵なのかの判断は絶対に必要です」

 

あ、そうだ。ソレが有った。

 

駒王会談の時はアレが最善だと思って

動いたけど、実際は最悪の選択だったんだ。

さらに俺たちにはテロリストを回復させて

逃がしたって言う実績もある。

 

もしも外で戦闘が続いてるなら、敵と味方の見極めは絶対に必要だよな!

 

「俺としては出るべきではないと思う。

功績より命を取るのは間違いではないぞ?」

 

ルー・ガルーさんは反対か。

 

だけど、白龍皇が救助に来てるならその心配は

ほとんど無いだろう。

 

何度も言うけど、アイツは強いからな!

 

そんなことを話した後、俺たちは最終的に地下の避難場所から抜け出すことになった。

 

そして神殿の奥へと到着した俺たちがソコで見たのは、

笑いながら倒れてる相手に攻撃を加えるディオドラと、片腕が無くなり、傷だらけになってるヤツの首を刎ねた鎧武者の姿だ。

 

ソレを見たとき、俺はその鎧武者が敵なのか?とか、

味方なのか?とか関係なく叫んでいた。

 

「お前!何で殺したんだッ?!もう勝負は着いてただろッ?!」

 

勝負が着いたなら殺す必要なんか無いはずだ!

そう言うのに敵も味方も関係ねぇだろ?!

 

俺の叫び声を聞いて驚きの表情を見せる

ディオドラと、何の行動も見せない鎧武者。

 

視界の端でナニかが消えたような気がしたけどそんなのは後でいい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディオドラは味方かも知れねぇけど、その腐った性根を叩き直してやるぜッ!

 

 

 

 

 




死亡確認。

まぁこの世界の死亡判定は、神(原作者)様に
愛されてるかどうかで容易に覆りますけどね。


因みに原作主人公一行は、初戦でゼノヴィアの
攻撃でディオドラ君の眷属を消滅させてます。

特に罪悪感も何もなく、普通にスッキリ
してる様子に、作者は恐怖を覚えました。


ついに英雄が動き出す!ってお話


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