とある師弟のD×D   作:カツヲ武士

98 / 103
か、書き方が・・・


98話

ソーナ視点

 

会談の当日。会談予定時間よりもかなり早い

時間に会場に到着した私たちは、最後の打ち

合わせを行っていた。

 

「どう?何か異常はあるかしら?」

 

『今のところはねぇな。シロネサマからも特に

何も指示は来てねぇし、今がチャンスだ』

 

「了解」

 

『「ふぅ」』

 

馬車の外に居るゼファードルと二人で同時に溜め息を吐く。

 

正直このプレッシャーはキツい。今まで私を

守っていた警護の人達に感謝の金一封を送り

たくなる程度には、要人警護と言う仕事が

どれ程大変なのかってことがわかったわ。

 

私はただの案内役だけど、ここで英雄派が

来たりしたら地元の管理者としての面目が

丸潰れになるし、ロキ様が動かなくても他の

テロ要員がどう動くかわからなかったから、

正直不安だったのよね。

 

だけど会場に着いたからにはもう安心よ!

何せこの会場、外からわかるくらいに厳重な

警備をされているし、何よりこの気配は

間違えようがないわ!

 

『つーか、本当に補佐官サマが地上に出てきたのかよ』

 

ゼファードルもわかるのね。おそらく抑止的な

意味を込めて、わざと気配を隠していないの

だろうけど・・・そう、ここには補佐官様が居るっ!

 

つまり、現時点でこの建物に攻撃を仕掛けたら、

その連中はもちろんのこと、所属する組織ごと

滅ぼされると言うことが確定したわ!

 

・・・あれ?けどそれって、もし禍の団に所属

する悪魔が来たら、悪魔が滅ぼされたりしない?

 

『貴方達の無策が原因でしょう』とか言って。

 

い、いやいや、ソレが有るからこそシロネ様が

掃除の陣頭指揮を取ってるのよね!椿姫、

頼むわよっ!悪魔の未来は貴女に掛かってる!

 

 

 

このように、心の中で己の部下に悪魔の未来を

託したソーナだったが、肝心の要人が乗る馬車

の中は静寂、いや沈痛な空気に包まれていた。

 

「・・・爺さん」

 

「わかっとる。わかっとるが・・・」

 

そんな空気を作り出しているのは今回の

事態を招いた張本人でもある来賓の二人、

堕天使の総督であるアザゼルと北欧神話群の

主神であるオーディン様。

 

この両名を会場に送り届けたら、ゼファードルや

私はお役御免となるのだけど、会談の会場に

着いた今、二人の腰は重いわ。

 

それはもう、馬車の荷台に取り付けられた

取っ手にしがみついてでも馬車から

降りることを拒否するくらいには重いわ。

 

「「・・・・・・」」

 

誰一人として馬車を降りる気配がないのは何故なのか。

 

「えっと、総督殿?」

 

「ちょっと待て。待ってくれ。待って下さい!」

 

何その三段活用?!

 

何だかんだで来賓(悪魔からすれば先代の魔王

陛下と同等の存在)であるアザゼルからの良く

わからない要望を受けて身動きが取れなくなった

私に、本当の意味でも来賓であるオーディン様

からも声がかかる。

 

「た、確かシトリーの嬢ちゃんはアヤツと

顔見知りじゃったよな?」

 

「あの、オーディン様?いきなり何を?」

 

戦乙女様が心配そうな声をかけるけど、声をかけられた方は、下を向いてガタガタと震えているわね。

 

いや、気持ちはわかるわよ?このドアを開けて

建物の中に入れば、そこには御機嫌斜めな

補佐官様が居るんでしょ?

 

即ち地獄確定。私なら迷わず逃げるわ。

 

でも今回の会談はオーディン様が申し込んだ

モノだし、流石に逃げることは出来ない。

 

逃げたらドタキャン扱いですものね。

どうせ殴られるなら諦めた方が良いと思うん

だけど、そこで何故私が出てくるのかしら?

 

「確かに補佐官様とは顔見知りですが、私は

それ以上の関係でも有りません。この中で

言えば一番親しいのは外のゼファードルかと

思われます」

 

『はぁ?!』

 

外から「俺を巻き込むな!」と言わんばかりの

悲鳴が聞こえた気がするけど、私には関係ないわ。

 

実際私なんか数ヵ月前に知り合っただけだし?

ゼファードルは何だかんだで5年近い付き合いなんでしょ?

 

有りのままを報告するのが私の仕事なのよ~。

 

「そうか・・・爺さん?」

 

「うむ!ではゼファードルよ。お主に命じるぞい。儂らを守れ!」

 

「( ゚Д゚)オーディンサマ?!」

 

戦乙女様が驚いているけど、わかるわ。確かに

ゼファードルは護衛としてここに居るけど、

建物の中に関してはノータッチだもんね。

 

それなのに本来の護衛である彼女がこんな扱いを受けていたら、完全に立場が無いわよね。

 

『つーかよぉ。この場合守るって何から守るんだ?』

 

「そうね・・・とりあえず不審者じゃない?」

 

うん。そうなのよねぇ。オーディン様や

アザゼルが何を言っても会場の中で

待ち構えているであろう補佐官様は

私たちの敵じゃ無いし、そもそもあの方は

理不尽な暴力は・・・振るわないとは

言わないけど、それだってちゃんと手加減

してくれるもんね。

 

言ってしまえばツッコミでしょ?それを

防いだら駄目なんじゃないかしら?

 

それに向こうには小龍姫様だって居るんだし、

私たちがどうこうしたところで・・・ねぇ?

 

だからこそゼファードルが動くとしたら

予想外の不審者が接近してきたときだけど、

それもアリス様の呪詛で殺せるはず。

 

殺せないような相手なら私たちは

時間稼ぎしかできないわ。

 

まぁ時間稼ぎも立派な仕事だけど、向こうの

面子を考えたら時間なんか稼ぐ必要も無いのよねぇ。

 

自分から火の中に飛び込もうとする

虫を止めてもしょうがないじゃない?

 

虫の死骸で火を灯している土台が汚れる

のを防ぐって言うのもわかるんだけど、

下手に私たちが戦って場を汚すくらいなら

小龍姫様やアリス様やシロネ様が出て

一撃で終わらせた方が早いし、綺麗に片付くと思うのよねぇ。

 

元々この建物の警備は向こうが全責任を

持って行うって告知されてるし。

 

だから私たちは絶対に関わらないのよ!

 

「いや、不審者もそうじゃが!」

 

「そ、そうだ!俺達来賓の身の安全をだな!」

 

「ソレハ、ムコウノカタガタト、イクサオトメサマノオシゴトデス」

 

「「何でカタコト?!」」

 

五月蠅いわね!実際そうなのよ!今まで

なんとか無事に任務をこなして来たん

だからコレ以上私たちを巻き込まないで!

 

それにホラ、来たわよ?

 

「お疲れ様です!」

 

「護衛ご苦労。ココから先は私たちが

引き継ぎますので、自称弟子は周囲の

警戒に移りなさい」

 

「へい!了解しやした!」

 

外のゼファードルがお疲れ様です!って大声を

上げて建物の中に声を掛けると、向こうからも

それに応える声が聞こえて来たわ。

 

この声は小龍姫様ね。

 

「「お、おい、ゼファードr」」

 

最期の守りを失った二人が声を上げようと

するけど、それより先に向こうから声が掛かる。

 

「アザゼル総督とオーディン様ですね?

中で神使様がお待ちです。

時間より早いですが会談の用意は出来て

おりますので、どうぞお越しください」

 

奥様のご友人である神使様をお待たせして

いることに若干の苛立ちがあるのか、馬車

を隔てても分かる程度の圧力が感じられるわ。

 

私に向けられたものじゃ無いと分かって

いても土下座をして許しを請いたくなる

ような圧力を直に受けている二人は、目に

見えて顔色を悪くしているわね。

 

「ロ、ロスヴァイセ!」

 

「は、はい?!」

 

そんな時。いきなり声を掛けられた護衛の

戦乙女は、ビクッとして背筋を伸ばす。

 

そうよねぇ。私が同じ立場なら

「こんな圧力を出す相手にどうしろって言うの?!」

って言って護衛対象を差し出すわよ。

 

そう思っていたらオーディンは彼女に

 

「そ、そうじゃ!お主、先触れとして向こうに挨拶をして来い!儂とて北欧神話の主神としての立場がある故な!」

 

「う、うむ、そうだな。まずは先触れが大事だもんな!」

 

「え?いや?・・・え?」

 

戦乙女は、私が?って顔をしてるけど言ってることは間違っていないわ。普通に考えたらね。

 

「・・・神使様を待たせておきながら、

護衛に挨拶をさせる。だと?」

 

だけどそれはあくまで『普通なら』よ!

そう。向こうは既に会場で待っていて、

さらに小龍姫様が迎えにまで来ているのよ!

 

そんな中で、自分たちが会場まで来ているにも関わらず、今更先触れの使者って何なの?

 

この場合は護衛と一緒に会場入りするのが

正しい作法よ。と言うか、今まで先触れの

使者なんか出した事ないでしょうに。

 

「お2人とも、諦めて下さい」

 

私も案内役として2人に会場入りを促すと、

2人から「裏切るのか?!」と言った

顔を向けられる。だけど、そもそも私は悪魔陣営ですし?

 

北欧神話も堕天使も、敵じゃないだけで

味方って訳でもありませんし?

 

って言うかさっきからお待たせしてるんで、さっさと行ってくれませんかねぇ?

 

そう思っていると、向こうから更に追加で

人が出て来た。この気配は・・・やはり。

 

まさか本当に補佐官様が地上にお越しになるとはねぇ。

 

遠い目をする私を見て戦乙女が何やら

不思議そうな顔をしているけど、

そうか。この人にはこの底なし沼の

ような深淵を感じさせる気配は理解

出来ないようね。

 

チラリとアザゼルとオーディンを見れば、

彼らは戦乙女とは違ってちゃんとこの気配を

感じ取ったのでしょう。

 

2人の顔が絶望で染まっていくわ。

 

「・・・何をしてるんですか?さっさと降りてきなさい」

 

「「はいっ!」」

 

「( ゚Д゚)オーディンサマ?!」

 

馬車の向こうから発せられた声に対し

反射的に背筋をピン!と伸ばして返事を

するオーディンの姿を見て、戦乙女が

驚きの声を上げた。

 

・・・私にしてみたら補佐官様を前に

して、普通にツッコミが出来る戦乙女の

胆力に驚きよ!

 

色々諦めてすごすごと馬車から降りて

いく2人と、表情に?マークを浮かべ

ながらオーディンに付き従う戦乙女を見て

私は「知らないって凄いなぁ」と思いました、まる。

 

 




リハビリに近いです。正直言って書き方を忘れつつありますので、内容の流れは一緒ですが書き方が変わってきそう。

偽物ではありませんよ?作者は作者でございますですはい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告