他にも色んな情報が来るから楽しみです!
悠斗と友奈が目を覚ましてから一週間。
その一週間で悠斗はあの戦いで聞いたことを共有した。
「結局さー、あの少女は天の神って事でいいのか?」
「確かに悠斗さんを疑うわけではないですけど……」
「でも実際にあの力を体験したら信じるしかないんじゃ……」
球子と杏は未だに信じきれてないが、千景は多少は納得はしてるようだ。
「だが、あいつを倒せばこの戦いも終わる筈だ。ならやる事は変わらないさ」
「若葉ちゃんの言うとおりですよ。でも……いつ出てくるか分からないので来たら撃退という形にはなりますけど……」
「まあ、仕方ないだろ。それでもあいつは強い。簡単にはいかない筈だ」
「うーん……ならさ! みんなでレベルアップしようよ!!」
友奈の言葉に誰もが疑問になっていた。レベルアップといっても色んな事がある。技術的な問題、協力の問題。
強くなるにしてもこの問題は避けられない。
「でも確か友奈ってもう一体精霊がいるんだろ? それは使えるのか?」
「うぅ、ごめんねタマちゃん。アレはまだダメらしくて……」
「なら悠斗さんに聞いたらどうですか? 家で様々な武術をやっていたみたいですし」
突然振られて反応に困ったが、考えてみると武術を習っていた悠斗や若葉、友奈ならある程度動けるが、今まで訓練しかやってない他の三人はやはり悠斗達に比べれば弱い。
「でも教えるなんてあまり出来ないぞ? それに戦い方も変わるしな」
「ゆう君ならできるよ!」
「根性論か!?」
そこで端末が鳴り響く。
「っ! 今からか!?」
「ならこの話は戻ってからだな」
次に目を開けると見慣れた景色に変わっていた。
しかし、星屑の数は前回よりも多く、進化体モドキも少しいた。
「あの、若葉さんも大丈夫だろうから今回から陣形を使ってみませんか?」
「陣形?」
杏が言うには、五人をローテーションで回していき、杏は城の上から全体を見て指示と逃した奴を倒す。
最初の陣形は正面に若葉、東に友奈、西に球子、そして休憩に千景と悠斗が待機していた。
「確かに持久戦にはもってこいだな」
「なら交代のタイミングは杏に任せよう」
「え?」
「だなー。あんずならタマも安心だ」
頼られる事が少なかった杏は、思いもよらない褒め言葉に慣れていなかった。
「アンちゃんなら大丈夫!!」
「そうね……伊予島さんなら信用できるわ」
「が、頑張りましゅ! あっ!」
「そこで噛むか……」
「うぅ……」
杏が舌を噛み、痛がってると友奈が提案をしてきた。
「そうだ! あれやろ! あの集まってオー!! ってやるやつ!」
「円陣か。いいな」
そう言ってみんなが集まる。
「大社が言うには四国以外でも生存の可能性があるらしい。この戦いが終わってもやる事はある。その為にも勝つぞ!!」
『オオ──!!』
正面から見たバーテックスはそれこそ無数とも見えるだろう。そして若葉はあの顔を見ると心の中から憎悪がふつふつと湧き出る。
そこへ……
「若葉ちゃーん!!」
「友奈?」
「落ち着いてー! 張り切っていこー!!」
少し離れているのに若葉の心境を見抜いたかのように元気付けてくれる。
「そうだな。今はみんなの……未来の、平和の為に戦うんだ。それが亡くなった人達の為にも今生きてる人の為にもなるんだ」
若葉は生太刀を持ち、前を見る。
既に速いものはかなり近い。
迫り来る星屑を一刀両断して、若葉は高らかに叫ぶ。
「勇者達よ!! 決戦だ!!」
戦いが始まり既に三十分は経過しただろう。
「友奈さん少し下がってください! タマっち先輩! 右に神樹様の方に向かってるのがいるよ! タマっち先輩の武器なら当たる!!」
二人は言われたとおり、友奈は少し下がり、敵をよく見て殴る。球子は離れたのを楯を投げて潰す。
「的確だな。これなら消耗も減らせるか」
悠斗が呟いてると、千景は少し暗い表情をしていた。
「戦えない勇者には価値が無いって思ってないか?」
「……え?」
「図星か? ならその答えはノーだ」
話をドンドン進めていく悠斗。千景はそれを黙って聞いていた。
「この世に価値の無い奴はいない。それに千景はもう俺らにとっちゃ大事で守りたい人だぞ」
「っ……貴方ってタラシって言われない?」
「ひでぇ! てか言われたことねぇよ!」
それでも千景の表情は先程よりもマシになっていた。
「若葉さん! 千景さんと交代です!!」
「いやまだ……! いや分かった!」
若葉は後ろに飛び、千景の前に立つ。
「あと少し遅かったら切ってたわよ?」
「それは怖い。……頼んだぞ千景」
若葉は手を上げ、千景もそれに合わせて手を叩く。
「ええ、任せなさい」
千景は前に飛び、敵陣へと向かう。
その姿は誰が見ても勇者にしか見えない。
「変わったな千景も」
「そういう若葉だって変わっただろ?」
若葉の表情は今までの戦いの時よりも張り詰めていなく、むしろ余裕のある顔になっていた。
「確かに変わったのかもな」
「これで変わってないって言ったら笑うぞ?」
待機してる二人はここで良い感じに緊張や不安が拭えていた。そこで前線を見ると先程行った千景は巧みに鎌を操り、ダメージを食らうことなく流れるように戦っていた。
「綺麗な戦い方だ」
「ああ。無駄な動きが減ってるな」
武術を習う二人から見たら最初の千景は酷かったが、今まで散々練習してきたお陰で、今ではスムーズに鎌を振るっていた。
「悠斗さん、そろそろタマっち先輩と交代です」
「ん、分かった」
城の上から杏が告げる。
「んじゃ、行ってくるわ」
「ああ、期待してるぞ」
「あんまされても困るけどな……」
拳を合わせ悠斗を見送ると、球子が帰ってきた。
「だあ──!! 疲れたー!!」
「お疲れ球子。調子が良さそうだな」
待っていた若葉は球子に横に来るように手を招く。
そこからでも戦況はよく見えていた。
「流石杏だな。これ程までの敵は初めてだがここまで順調に進むとは……」
「そりゃあんずだしな。タマはあんずならやってくれると信じてたぞ!」
「それに持久戦になるならこの陣形は正解みたいだな。全く、杏には敵わないな」
思わず肩をすくめるが、戦況からは目を離さない。
目の前の悠斗は武器を剣にして敵を切り裂いていた。
「そういえば悠斗の得意な戦い方は何だろうな」
「確かに悠斗って色々使うよなー。どれが本命かも分からん」
「だがあの剣さばきは相当練習しなきゃできないぞ?」
遠目から見てもその太刀筋は若葉と同じくらい上達してるのが分かる。
「なら後で聞けばいいじゃないか。勝てばいつでも聞けるだろ? タマも気になるしな!」
「だな。その為にもこの戦いに勝つぞ」
戦う為にも今は休むことに専念する二人。
前線では悠斗がやる気を出していた。
「うぉらっ!」
手には若葉の生太刀に近い大きさの長剣を持ち、星屑を両断するが、やはり剣では拳よりも手数が足りない。
「なら!」
剣を戻し、形を変える。
長剣から短剣に変え、二つ作り上げる。
「はぁっ!」
両手に短剣を持ち、脚には脚力を上げる為に鎧を付けてスピードを上げた。
それにより星屑が追いつかない速さで斬り伏せて行く。
一対複数の為、視覚を作らないように気を配り、背後からの攻撃も躱す。
(この調子ならまだ戦える……でもそろそろ……)
「っ!!」
考えていた事が今まさに起ころうとしていた。
「悠斗さん! その進化を防いで下さい!!」
「ああ!!」
「若葉さんは悠斗の穴埋めを!」
「承知した!!」
戦況を把握しやすい杏がすぐさま進化しようとしている塊を見つけ、悠斗に向かわせ、その穴を若葉が塞ぐ。
これで問題が無いように思えたが……
「わわっ! アンちゃん! こっちも〜!!」
「こっちもよ……!」
「えっ!?」
まさかの三方向同時に進化をしようとしていた。
杏もこれは予想出来ずに頭の中が真っ白になっていた。
そこへ同時に二つの声が聞こえた。
「「精霊を使え!!」」
その声は前方の進化をしようとしている所は向かう悠斗と穴埋めに行った若葉だった。
「俺の方はちゃんとやっとく! お前たちは精霊で素早く潰せ!!」
「出し惜しみはするな!! この融合を止めなくては勝てんぞ!」
若葉は既に『義経』を使っており、速度を上げて敵の数を少しでも減らしていた。
その後真っ先に動いたのは友奈だった。
「よーし! 来い!! 『一目連』!!」
一目連を宿し、暴風を纏った拳で目の前の星屑たちを一気に吹き飛ばした。
「みんなも!! ちゃちゃっと済ませちゃお!!」
「……そうね。出番よ『七人御先』!!」
「だな! 『輪入道』!!」
「はい! 『雪女郎』!!」
友奈の言葉に頷き、各自も精霊を宿す。
精霊を宿せば攻撃の威力も上がり、倒すのが早くなる為、進化を防ぐには一番。
しかし、精霊のいない悠斗はこれ以上のパワーアップは出来ない。
なら何をするか。
(最近じゃ頭痛なんて慣れ始めたけど、破壊衝動的なのは強くなり始めてる……でも進化を一人で止めるならこれしか無い)
そう考えてると、悠斗の目の前に星屑が落ちてきた。
「止めるにはこれしかねーんだよ!!!」
悠斗は一気に足に力を溜め、解放して星屑に突進する。
それには武器を使わずに顔から突っ込んだ。
そして……
ガブリッ!!
星屑を喰らった。