今回は戦闘が多いと思われます!
それではどうぞ!
諏訪との通信が途絶えて一週間。
あれから何も起こらなかった。
「なー悠斗ー敵はいつ来るんだー?」
「さあな。あいつらの事なんて誰も分からんだろ」
あれから一週間ずっと警戒状態が続き、球子は机にぐだっていた。
「タマっち先輩シャキッとして。だらしないよ」
「あんずぅ〜」
「アハハ。タマちゃん、アンちゃんに頼りっきりだね」
「…もうちょっとしっかりして欲しいわ…」
杏と球子のやりとりを見て笑う友奈とそれを見て呆れる千景が教室にいた。
本来今日は休日だが、近いうちに敵が来ると言う事で勇者達は城での待機となっていた。
「そういや若葉とひなたは?」
「そういえば見ませんね」
「どうしたんだろ?」
普段ならいる筈の若葉とひなたがそこにはおらず、悠斗の心に不安が出始める。
(いかんいかん。今は敵に集中しよう…)
二人なら問題は無いと思い、気持ちを切り替える。
そして次の瞬間…
端末から警報が鳴り響く。
「っ!まさか…」
悠斗は時計を見る。
それは本来なら動いている筈の秒針すら止まっていて、動けるのは悠斗を含めた勇者達だった。
「タマっち先輩…これって……」
「敵なのか悠斗!?」
焦る二人。いや、悠斗も焦っていた。
すると、目の前から光が勇者達に迫ってくる。
「わわっ!ぐんちゃん!!」
「高嶋さん!」
「杏!」
「タマっち先輩!」
友奈と千景は手を握り、球子は杏を守る様に前に立つ。
そして勇者達は光に包まれて消えた。
目を開くとそこは薄暗い所で悠斗は大きな木の根の上に立っていた。
「ここが…樹海…」
樹海。そこは神樹様のよって作られた結界の中で、バーテックスと戦う場所である。そして戦闘が終わるまでは現実世界での時間は止まっている。
「あ!向こう若葉ちゃんがいるよ!」
「なら向かうぞ」
端末を見ると、少し離れた所に若葉の名前が書かれており、そちらに向かった。
「若葉ちゃーん!」
「友奈か」
「って早!?」
若葉の姿は変わっており、その姿は戦闘用の勇者服に変わっていた。
勇者達の服はそれぞれ花をモチーフにした色をしている。
若葉は桔梗を連想させる青色。
「よし、じゃあ俺らも」
「みんなで勇者になーる!」
友奈の声に合わせて、各自が端末を押す。
友奈は山桜を連想させるピンク色。
千景は彼岸花を連想させる紅色。
球子は姫百合を連想させる橙色。
悠斗は腕と脚に白い鎧をつけ、胴体は白い服を纏っている。
しかし、杏だけは変身できなかった。
「ご、ごめんなさい……」
「杏、無理すんなって。タマ達に任せタマえ」
本来、勇者になるには安定した精神ではないとなれない。
今の杏の様に怯えきっては当然、勇者なるなど出来ないのだ。
「よし、これは私たちの初戦だ。何が起こるか分からないから常に気を配って行くぞ!!」
若葉は鼓舞する様に演説をして、モチベーションを上げる。
「なら…もちろん貴方が先頭で戦うんでしょうね…」
そんな空気を消す様に、千景が言う。
「勿論だ。リーダーである私が先頭に立って戦おう」
「おい待て。誰が先頭だとかは関係ないだろ。協力して戦えばいいだろ」
「っ…分かったわよ…」
「みんな仲良しなのは良いけど今は後にしよ?」
「「「「「仲良し?」」」」」
友奈の発言に全員が戸惑いを表す。
「友奈?誰が仲良しだって?」
「へ?ぐんちゃんと若葉ちゃんとゆうくん?」
「「「えぇ〜〜……」」」
まさかの言葉に言葉を失う三人。
「とにかく話あってる理由はあいつらの所為だからとにかく戦おうよ!」
「はぁー、そうだな。とにかく戦うか」
その言葉に各自が戦闘態勢に入った。
先頭には若葉と悠斗が立つ。
「勇者達よ!私に続けッ!!」
若葉の言葉を合図に二人は前に飛び、目の前にいるバーテックスを葬る。
若葉は刀でバーテックスを両断する。
洗練されたその一撃は次々と敵を斬りふせる。
「はっ!」
目の前の奴を横薙ぎに一閃。背後にいたのは回った勢いで斬り裂く。
ちらっと悠斗の方を気にかける。
どうやら向こうも問題は無い様だ。
ならばする事は一つ。
「斬り伏せるッ!!」
迫り来る敵を殴る。
その一撃はバーテックスの硬い体にめり込み、吹き飛ぶ。
腕と脚についている鎧によって腕力も脚力も上がり、高速で敵を潰していく。
「っ、ウラァ!」
髭の様なものの攻撃を飛んで避け、上から叩きつける。そして回し蹴りで複数のバーテックスを瞬殺する。
先程から頭痛が酷い。
この鎧を付けていると、何やら頭痛が酷くなり、思考が鈍る。
(多分…取り込んだからか?破壊衝動というか…暴れまわりたくなる…っ!)
気がつくと目の前に迫っていたバーテックスが再び悠斗を襲う。
「しまっ…!」
また喰われると思い、体が硬直する。
しかし、いつまでたっても痛みも来ない。
目を開けると、目の前のバーテックスは消えていた。
「なんで…」
「大丈夫ですか!?」
悠斗の下にやって来たのは、先程まで怯えて変身出来なかった杏だった。
「あ、杏?どうして…」
「なんかタマっち先輩に守られてたら悠斗さんが危なくて…そしたらなんか変身出来たんです」
杏の姿は紫羅欄花を連想させる白色の勇者服になっており、手にはボウガンを持っていた。
「ごめん。ありがとうな杏」
「い、いえ。大丈夫です…」
「っと、敵が来たな…」
「わ、私も戦います!援護なら出来るので!」
「なら、杏を守んなきゃな。傷でもつけたら球子に色々言われそうだな」
球子の方を見ると、楯を投げて敵を次々と倒していた。
「あれは…正しい使い方か?」
「あはは…」
そして、目の前には敵が一気に来ていた。
「よしっ!行くぞ杏!」
「はいっ!」
「やあっ!」
友奈は拳を振るう。
悠斗と戦い方は似ているが、悠斗の場合はあの武装に合わせる為、普通の武道から改良して独自の戦い方を身に付けていた。
「まだまだいっくよー!!」
無数にいるバーテックス達を一撃で倒していき、数を減らしていく。
目の前のは拳で。後ろのやつは脚で。左右からの攻撃は飛んでから下に拳を突き落とす。
それに加え、下から突き上げて真上に飛ばしたりもしていた。
しかし、そこで目に入ったのは…
「っ!ぐんちゃんッ!」
戦えずにへたり込んでいた千景がおり、その周りには複数のバーテックスがいた。
(駄目だ!このままじゃぐんちゃんが…!なら!)
友奈は覚悟を決め、息を吸う。
そして…
「来いッ!『一目連』ッ!」
神樹様にアクセスをして、その中にある知識から概念的に力を取り出す。それが『切り札』と呼ばれるものだ。
友奈の場合、妖怪である『一目連』の力を引き出す。
一目連とは、暴風を操る妖怪。
その力を纏った友奈は、一瞬で千景の下へ移動した。
「平気!?ぐんちゃん!?」
「え、えぇ…」
千景は震えており、武器である大葉刈も持っていなかった。
「惨めよね…伊予島さんにあんな事言ったのに…」
「そんな事無いよ!誰だって怖いもん!だから一緒に戦お?」
友奈は千景に手を伸ばす。
千景は先程まであった恐怖が嘘の様に無くなっている事に気がついた。
(やっぱり、高嶋さんはすごい…私にここまで元気をくれるなんて…)
千景は立ち上がり、友奈の手を取る。
「ありがとう高嶋さん。もう大丈夫よ」
「うん!じゃあ頑張ろう!」
二人は前に進み、抜群のコンビネーションで敵を倒す。
千景ぎ鎌を振るい、複数を同時に倒す。その撃ち漏らしを友奈が拳で倒していく。
そのまま敵を倒していく。
そしてしばらくすると、順調だった戦いが崩れ始める。
「撤退していく?」
「いや…これは…」
バーテックス達は攻撃をやめ、一箇所に集まっていく。
バーテックスは合体していき、一つの個体となろうとしている。
「若葉!進化体がくるぞ!」
「なにっ!?」
悠斗は若葉に向かって叫び、状況を言うが、若葉の方はこちらよりも敵が多いみたいで苦戦していた。
「っ、くそ!」
「悠斗さん!敵が動きます!」
「杏は数発矢を撃て!球子!」
「何だー!?」
「若葉の所に行ってくれ!人が足りてない!」
「分かったー!!杏を頼むぞー!」
球子は言われた通り、若葉の方へ走る。その間に来る敵は楯で押し返す。
「おりゃおりゃおりゃー!!!」
次々と楯前に突撃してくるが、時には避け、時にはこちらから突撃して突破する球子。
そして杏は言われ通り、矢を放つが進化体が持つ板の様なもので跳ね返ってくる。
「っ!させるかっ!」
悠斗が杏の前に立ち、返ってくる矢を落とそうとする。
「『モードチェンジ:薙刀』!!」
脚、腕にあった鎧を変形させて一本の薙刀に変化させる。
「ハァァアアアア!!」
薙刀を振り下ろしたり、回したりして矢を落とす。
その隙に進化体に近づいている一つの影があった。
「友奈!?」
「勇者パーンチッ!」
真上から落下しながら思いっきり叩きつける。
しかし、済んでの所で板によって防がれる。
「なら壊れるまで叩けばいい!何回だって!千回だって!!」
友奈は一目連の力を引き出し、その拳に暴風を宿す。
そして何度も何度もその拳を板に打ち付ける。
百回目辺りでヒビが入り、そのヒビはドンドン広がっていく。
そしてついに…
「千回、勇者ぁぁパァァアアアアンンンンンチィィイイイイイ!!!」
板が砕け散った後に、最後の一撃でトドメを刺す。
細かいバーテックスも丁度倒し終わり、辺りが光始める。
「終わった…のか?」
「多分…」
初めての戦い、三年ぶりに実際に見たバーテックス達。
現実では一瞬の出来事だが、悠斗達にとっては長い戦いに感じられた。
そして悠斗達は再び光に包まれた。
「戻ってきたな…」
目を開けると、そこは丸亀城の近くの外に倒れていた。
「みんないるか?」
「タマも杏も無事だ〜…」
「平気よ…」
「私も問題ないよ?」
「全員いるみたいだぞ。若葉」
若葉の言葉にちゃんと全員反応し、生存を確認した。
そこへひなたがやってくる。
「皆さんお疲れ様です」
「ひなたか…」
「とりあえず皆さんは病院ですよ?」
「まあ、そうだろうな」
何となくは予想をしていた事だ。
あれだけの戦いをして無傷なんて誰もいないのだから当然、病院送りだろう。
「それでは行きましょうか」
勇者達はひなたと大社の人たちに連行されて、病院へと向かった。
こうして、勇者達の初めての戦いは終わった。
お読みいただきありがとうございます!
今回は戦闘に入りましたがどうでしたでしょうか。
気に入ってもらえると光栄です。
では次回もよろしくお願いします!