霧島悠斗は勇者?である   作:sーk

8 / 12
だんだん悠斗のキャラが変わってる気がする……
なんか頼れる系になり始めたけど大丈夫かな?


災害

 休暇から二日。

 悠斗達は城で勉強していた。

 

「あ〜暇だな〜」

「タマっち先輩! ダメだよ自習だからって何もしないのは」

「だってよ〜あんず〜タマはもう頑張ったんだぞ〜?」

 

 時間としては昼食後の一番眠くなる時間帯。球子は机にだらけていた。

 

 

 そこへけたたましい警報音が教室に鳴り響いた。

 

 

「うおっ! 敵か!?」

「球子気合入れろよ」

「おうよ! タマに任せタマえ!!」

 

 各自端末を持ち、光に飲み込まれる。

 

 

 

 

 

 

「さて、この景色にも慣れて来たな」

 目を開くといつもの樹海の景色が見えた。

 そしてその先には星屑達もいつも以上に見える。

 全員が丸亀城の天守閣からその光景を見ていた。

 

「神託通り、多いな」

「みんなでがんばろー! ね? ぐんちゃん!」

「ええ。頑張りましょう」

 

 全員が気合を入れてる中、若葉は張り詰めた顔をしていた。

 

「どうした? 若葉」

「いや、なんでもない」

「? そうか」

 

 その時は気にしていなかったが、それが命取りになる事を悠斗はまだ知らなかった。

 

「よし、敵さんもこっちに来てる事だし、こっちも行くぞ!」

「「「「おおー!!」」」」

 

 気合を入れて声を出すと、若葉がものすごい勢いで飛び出してった。

 

「ちょ!? 若葉!?」

「くそ! またか!!」

 

 前回もこうして若葉は飛び出していたが、前はまだ声が聞こえていた。しかし、今回は全く声が聞こえていない。

 

「くっそ! 俺が若葉のとこに向かう! みんなで他のを頼む!」

「待ってください!! 向こうは若葉さんを隔離しようとしてます! 一人では……!」

「ならわたしが行くよ!」

 

 悠斗の横に友奈が立つ。

 

「友奈……」

「時間が無いよゆう君!! 急ご!!」

「っ! あ、ああ! 杏!」

「はい!」

「こっちの指揮は任せるぞ!」

「っ、はい!」

 

 悠斗はそう言って友奈と若葉の方へと走り出す。

 

「あんず、どうするんだ?」

「とりあえず千景さんを前にします。ですが私が精霊を使って敵を減らします」

「でもそれでは伊予島さんに負担が……」

「大丈夫です。すぐに解除しますから。なのでそこからは千景さんにお願いしたいです」

 

 杏は千景と球子に作戦の内容を伝える。

 

「それでいけるのね?」

「こちらの敵ならこれで行けるはずです」

「ならタマもそれでいいぞ! あんずを信じてるからな!」

 

 球子は楯を持ち上げ、やる気を見せる。

 

「ならそれで行きましょう」

 

 千景は前に出て敵を見据える。

 そして杏は準備する。

 

「頼むぞー! あんずー!!」

「うん! 任せてタマっち先輩!」

 

 杏は城の屋根の上で待つ。敵の数は多く、三人でもキツイだろう。そこで杏は深呼吸する。

 そして……

 

 

「お願い!! 『雪女郎』!!」

 

 

 杏の姿は変わり、紫羅欄花の装束から白い装束へと変わった。

 そして辺りの温度が下がって行く。

 

「お願い凍えて!!」

 

 その一言で、辺りが吹雪に襲われる。

 そして星屑達を凍らせる。

 

「これが……伊予島さんの精霊……」

「あんずぅー!! 前が見えないぞー!」

「我慢してタマっち先輩! 千景さん! もうすぐ出番です!!」

「ええ!」

 

 吹雪が止み始めると同時に千景は突撃する。

 吹雪が止んだお陰で敵は減った。しかしそれでも敵は星の数ほどいる。

 

「まさか私が伊予島さんの指示を聞くなんてね」

 

 苦笑しつつも、敵を斬り倒して行く。

 そして、千景も精霊を使う。

 

「出番よ。『七人御先』」

 

 彼岸花の装束の上に白いフードを被り、鎌を構える。

 

 

 

 

「さあ、来なさい。鏖殺してあげるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「友奈!」

「任せて!」

 

 友奈は迫るバーテックスを殴り、吹き飛ばす。

 

「『モードチェンジ:槍』!!」

 

 槍へと武器を変え、力を込める。

 

「捕まれ友奈!」

 

 その声にすぐさま反応して悠斗の槍を掴む友奈。

 

「行くぞぉぉおおおおおお!!!」

 

 勢いをつけて駆け抜ける。

 その一走で何十ものバーテックスを蹴散らして行く。

 そして目の前まで若葉が見えてきた。

 

「若葉ぁ!!」

「っ! 悠斗!? なぜ来た!?」

「うるせえ!」

「痛っ!」

 

 会って早々に若葉に強烈なチョップをかます悠斗。

 

 

「バカか!? 一人で突っ込むな!! みんながどれだけ心配したと思ってる!!」

「っ! ……すまない」

「謝るならまずは生きて帰るぞ。説教はひなたと二人掛かりでやってやる」

 

 悠斗はそう言って槍を構える。友奈は先に攻撃を仕掛けていた。

 若葉も少し遅れるが、刀を持ち、戦闘態勢に入る。

 

「死ぬなよ」

「若葉ちゃん達もね」

「絶対生きて帰るぞ」

 

 三人は囲んでいた星屑達を蹴散らしていく。

 友奈は鍛え上げた武道で殴り、突き進む。しかしそれでも敵は多く、少しずつダメージと疲労が増えていく。

 

「やぁぁああああ!!」

 

 それでも持ち前の運動神経の良さで致命傷は避けていく。

 

「若葉ちゃん! そっちに少し向かったよ!!」

「了解だ! 任せろ!」

 

 最前線で戦っていた友奈をスルーし、奥に進む星屑を若葉が流れるように斬り刻む。さらに囲んできた奴らにはその場で回り、その顔を斬る。

 しかし、その隙に背後から星屑が体当たりを若葉に与えてくる。

 

「ぐっ! 舐めるなぁ!!」

 

 態勢が崩れたが、すぐに持ち直してそいつを瞬殺する。しかし、その背後と若葉の背後から星屑がほぼ同時に押し寄せてくる。

 

「しまっ……!」

「っ! 若葉ちゃん!!」

 

 鮮血が飛び散る。

 よく見ると、星屑の口周りには血が付いていた。

 

「っ!! てめぇぇええらあああああ!!!」

 

 それに気づいた悠斗も若葉の下に急いだ。しかし、それを邪魔するように星屑が壁になる。

 

「どけっ!!」

 

 槍を回し、細切れに斬る。その後に数体目掛けて槍で突く。

 そんな時に……

 

「ッ、ぐあっ!」

「ゆう君!?」

 

 突如悠斗が苦しみ出す。

 しかもそれは尋常ではなく、相当ヤバイ感じがしていた。

 目の前では悠斗が苦しみ、少し前では若葉が二体の星屑に挟まれてダメージを受けている。

 友奈はどっちを助けるかですぐには動けなかった。

 

「……ごめん若葉ちゃん! すぐ行くから!」

 

 友奈はまず悠斗を助けに周りの星屑達を倒しにかかる。

 そして悠斗の下へ駆け寄り、安全な場所へと運ぼうとする。

 

「ゆう君! しっかり!!」

「ゆう、な? わるい……」

「平気だよ! それよりも……」

「ああ、もう平気だ。友奈は若葉の所に行ってくれ」

 

 悠斗はそう言うとそこで降りて、武器を作り出す。

 

「俺は多分平気だ。それより若葉のが心配だ」

「大丈夫なんだよね?」

「ああ」

「……」

 

 しばしの静寂。

 そして友奈は踵を返して前を向く。

 

「行ってくるね!」

「ああ」

 

 友奈を見送った後、悠斗は城でも若葉のいる方でもない所を向く。

 その先には人影が見えていた。

 

「あれがひなたの言ってた人……でもこの感じは……」

 

 その感じは懐かしく感じるが、それが何なのかは悠斗には分からなかった。

 とにかく人なら話が出来ると思い、話しかけてみる。

 

「あんたは誰だ? 人か?」

「……」

 

 無言。

 しかし、少しづつ近づいて来ており、徐々にその姿と顔が見えた。

 見えたのは少女だった。身長は球子と同じかそれより少し小さい。髪の毛は真っ赤に燃える様な赤色のロング。

 何よりも異質なのは服。

 真っ黒な服かと思えば所々に黄色に光る何かがついており、異様な存在感を出していた。

 

「子供?」

「妾を子供と申すか小僧」

 

 たった一言。

 それだけで悠斗は身体中から大量の汗を出し、後ずさりしていた。

 

「まあ良かろう。妾とて今は本気で殲滅しに来たわけではないしの」

 

 殲滅? 

 全く意味が分からない事を言うが、こいつならやりかねないと悠斗は本気で思えるほどに、その存在は圧倒的だった。

 

「ぁ、アンタの目的は何だ? アンタは誰なんだ?」

「そうだのう。お主は面白い体質をしておるからそれに免じて妾の正体、そして目的を教えてやろう」

 

 そう言うと少女は悠斗にまた一歩と近づいてくる。

 

「良いか? 妾の正体は──」

「悠斗ー!!」

 

 すると聞こえて来たのは球子の声。

 そこには杏や千景もいた。

 

「球子……」

「ん? この子がひなたの言ってた人か?」

「何じゃ? お主ら。今はそこのヤツと話しておる。邪魔するでない」

「んだとー!? ガキの癖にー!」

「っ、バカ! 球子!」

 

 次の瞬間、球子の横を何かが通り過ぎてった。

 球子の頬からは先程のが当たったのか、血が垂れていた。

 

「タマっち先輩!」

「っ!」

 

 球子は黙って崩れ落ち、杏が急いで支える。千景は手に持っていた鎌を持ち直し、構える。

 後ろを見ると、樹海の根に前に戦った敵が放って来た矢が深く突き刺さっていた。

 

「次は無いと思え。妾に二言はない」

「「「ッッ!!」」」

 

 その目は明らかな殺意に満ちており、杏は球子と一緒に崩れ落ち、千景は今にも鎌を落としそうになり、足も震えていた。悠斗も同様に、動けなかった。

 そこへ、二つの影が舞い降りて来た。

 

「ゆう君! みんな!! 平気!?」

「すまない! 遅くなった!」

 

 若葉と友奈だ。

 周りを見渡すと星屑達は消えており、あとは目の前の少女のみとなった。

 そして若葉達も状況を見る限りでどの様な状況かが分かった。

 

「ふむ……これが勇者か。しかしこやつ以外は正直どうでも良いな」

「何をブツブツと言っている」

「ああ、すまんな。こっちの事情でな。だから主らもちと寝とってくれ」

 

 刹那、悠斗を除いた勇者達に先程と同じ攻撃が飛ばされる。

 

「ぐあっ!」

「きゃ!!」

「っ! きゃ!」

「若葉! 友奈! 千景!」

 

 しかしどれも傷は酷いが、致命傷ではなくまだ治せる範囲内だった。それに治せる範囲とは言え、脚を中心的に攻撃されてとても戦えないだろう。

 

「くそ!」

 

 悠斗はその身の鎧を変え、壁を目の前に作り、若葉達を守ろうとする。

 しかし、その行動も一瞬にして無駄になった。

 

「ほれ、眠っとけ」

 

 いつの間にか若葉達の後ろに現れた少女は首を叩き、気絶させる。

 

「なっ!?」

「さて、小僧には話があるが、先程小僧は妾の正体を聞きたがってたな」

「それで?」

「正体を教えてやろう」

 

 それが嘘か本当かは分からなかったが、今はバーテックスには謎が多い。

 もし敵なら有力な情報が出てくる可能性もあった。

 

「妾は天の神。この世界を、人類を根絶やしにしようとする者だ」

「……は?」

「だから妾は天の神だ。そこで小僧に提案だが、妾側へ来んか?」

 

 悠斗の頭は一度に多くの情報が来た為、思考が停止していた。それでも容赦なく悠斗に近づいて来る天の神を名乗る少女。

 

「そ、それで何のメリットがある」

「メリットと言われてもな、貴様は妾の作り出したこいつらがいなきゃ死んでたのだぞ? そして妾が作ったということは妾の一部のようなもの」

 

 そう言って天の神は指を鳴らす。真横に星屑が現れる。

 

「だからほれ、こんな事も出来る」

 

 その体を触り、何かを唱えると、突然星屑の形が変わって行く。

 

「なっ!?」

「だから貴様には拒否権なぞない。まあ、それだと面白くないからしないがな」

「……」

 

 目の前で変異した星屑。目の前で倒れている勇者達。

 絶望的な状況だが、それでも悠斗はどうしても我慢出来なかった。

 

「おい、天の神様よ」

「お?」

「俺はお前の方へは行かない。それに人類も失わせない」

 

 そう言うと悠斗は半身を前に出して戦闘態勢へと入る。

 

「そうか。それならば仕方ないな」

 

 しかし、そう言うと天の神の表情が一変する。

 

「ならば貴様にも用はない」

 

 刹那、天の神が消え、悠斗の背後に回る。

 

「っ!」

「ならば精々、妾を楽しませれるように努力するんだな」

「ぐふっ!」

 

 一刺し。

 どこからか出てきた針によって、悠斗の腹は貫通されていた。

 

「ではな。しばらくしたらまた様子を見に来てやろう」

「ぐ、ま……て……!」

 

 その言葉を最後に悠斗の意識は途切れ、樹海も解けていく。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。