霧島悠斗は勇者?である   作:sーk

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遅くなりすみません!
今回は平和?まあ、戦いはありません!!


亀裂

 ひなたは樹海が解けた後、若葉達を病院へと連れてった。

 傷だらけとはいえ、思いのほかすぐに治った若葉達は病室の前に集まっていた。

 理由は悠斗と友奈が未だに目を覚まさないからだ。

 

「私のせいだ……」

「ええ、そうよ。あなたが最初に突出しなければ高嶋さん達もあれだけ傷を負わなかったし、私たちだってもっと戦えてたはずよ」

「すまなかった……私が無策に突っ込んだからだ……」

 

 パンッ! 

 

 俯きながら無力さを痛感する若葉に千景は若葉の頬を叩いた。

 

「違う!! こうなったのはあなたの戦う理由が原因でしょう!!」

「ち、千景さん!!」

「あなたは……! あなたは復讐の為にしか戦ってない!!」

 

 ひなたや杏が千景を止め、球子は倒れかける若葉を支える。

 しかしその後千景は自室へと帰り、杏と球子も自室へと戻っていき、若葉とひなたのみが病院に取り残された。

 

「若葉ちゃん……」

「復讐の為か……たしかにそうなのかもしれないな……」

 

 若葉の顔は暗く、ひなたも話しかけるのを躊躇っていた。

 

「私は……どうするべきなのだろうか……」

 

 

 

 

 それから数日。

 悠斗と友奈以外は学校へ来ていた。いつも通り球子と杏が一緒に教室へ入ると二人は驚愕した。

 目にした光景は予想もつかない光景だった。

 

 

「拷問、鞭打ち、死刑、恥晒し……いや全部来てもおかしくない……私は何てことを……」

「ひぃ!? あ、あんず! 若葉が壊れてるぞ!!」

「ちょっ! 若葉さん!?」

 

 机の前でうずくまってあからさまに負のオーラを放っている若葉がいた。

 

「ひなたさんこれは!?」

「えーと……何でしょうね……?」

「若葉がついにぶっ壊れた……」

 

 そこへ千景が教室にやってきて、若葉を見た瞬間見たこともないような驚きをしていた。

 

「あ! 千景! どうにかしろよ! 若葉がぶっ壊れちまったぞ!?」

「わ、私に言われても!!」

 

 先生が来るまでその騒ぎは続いた。

 

「しっかし、若葉がこんなになるなんてなー」

「確かにこんなにぼーっとしてる若葉さんは初めて見ましたね」

「まあ、そんな若葉ちゃんも可愛いですけどね♪」

「あれが……可愛い?」

 

 食堂で集まり、時間を過ごしていると、ひなたの端末にある一通のメールが届いた。

 

 

 

 

 

 その日の夜。

 若葉は眠れず、ひなたの部屋へと向かった。

 

「ひなた? 何を……」

「あ、若葉ちゃん。これはちょっと明日から大社に行かなくちゃいけなくなったので……その準備を」

「大社に?」

 

 こんな時期にひなたを呼ぶ。

 それが若葉には分からなかった。

 

「私は……」

「大丈夫ですよ若葉ちゃん。貴方なら乗り越えれます」

 

 ひなたは笑って若葉を部屋から送り出す。

 そして再び大社からのメールを読む。

 

『霧島悠斗の処遇について側近巫女の話を聞きたい。明日の朝に迎えに行く』

 

 簡潔に分かりやすく書かれていたメール。

 しかしひなたは少しばかし怒っていた。

 

(悠斗さんは勇者。その扱いなのに処遇? 絶対にそんなことはさせません……!)

 

 

 

 

 

 

 朝、目を覚ますとひなたは既にいなかった。

 若葉はいつも通り学校に行き、授業を受ける。それでも身に入らない。

 

(今となってはあの戦いでの私は酷かったな……)

 

 ぼーっとするとすぐにあの戦いを思い出す。

 たった一人で無策で突っ込み、挙句助けに来てもらった二人が意識不明。

 そればっかりが頭に浮かぶ。

 

「若葉さん」

「杏?」

「少し、街に行きませんか?」

 

 近づいてきた杏は若葉の手を取り、街へと連れ出す。

 そこで若葉は杏から様々なことを教えてもらった。

 この街の人たちのこと、そして新しい子が生まれたこと。

 

(そうか……過去より今、未来の為に戦うのか……)

 

 杏の言いたいことや千景が言っていたこと。それらが分かった若葉は今よりも強くなれるだろう。

 そこへ……

 

「あんずー!」

「きゃ!? タマっち先輩!?」

「た、球子!? いつから!?」

「へっへーん! 杏が若葉を誘った時からずっと後ろにいたぞー!」

 

 二人の間に入ってきた球子は二人に混ざる。

 

「千景もこっちこ来いよー!」

「っ!!」

「? 千景も来ているのか?」

 

 球子が道で呼び、近くの電柱の後ろで何かが動いたのが見えた。

 そして観念したかのように千景が電柱の後ろから出てくる。

 

「千景……」

「口ではなんとでも言えるわ……」

「っ」

「だから……行動で示して。あの時は少し……私も言い過ぎたから……」

「……ああ!」

 

 こうして若葉達のいざこざも消えた。

 しかし、その裏ではまた別の問題が発生していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、議論を始めましょう」

 

 大社にある少し大きめの部屋。

 そこに机が四角く並べられていた。前方にはモニターがあり、その前の机には大社のお偉いさんが勢ぞろいしていた。

 

「ではまず、そちらの医師から」

「はい。悠斗様は今意識不明の状態ですが、高嶋様よりも何故か傷の回復が遅れております。その原因として考えられるのは、まず悠斗様の身体でしょう」

 

 モニターに映されたのは病院にいる悠斗だ。上半身を見ると失った右腕はバーテックスのように白いが、他は普通の人と変わらなかった。

 

「こちらの右腕と下半身の右脚によりこちらの回復が遅められているように感じます」

 

 悠斗が意識的に回復をするならば治りは早いが、無意識の時は体内のバーテックスの要素が治療の邪魔をする為、治りが遅くなる。

 

「他にこちらを見て頂きたいです」

『!!??』

 

 次に映されたのは背中。

 そして見たものは誰しも驚愕していた。

 

「これは……!?」

「なんということか……!?」

 

 そこに映されたのはほぼ真っ白な背中。

 そしてよく似ていた。悠斗の腕や脚、戦う時の鎧に。

 

「この映像から様々な仮説が立てられます。一つは悠斗様がバーテックスになりかけていること。他にも放置すれば暴走の可能性も」

「それでは他の勇者様に危険が!?」

「ええ」

 

 お偉いさん達が話しているのをひなたは黙って聞いていた。

 

(確かに暴走の可能性もあるけど、話の内容があからさまに悠斗さんを勇者から外すような会話。やっぱり恐れているのですね……)

 

 このまま黙っているのも話が進まない為、ひなたは話に参加する。

 

「少しよろしいですか?」

「なんだね巫女殿」

「先程から聞いてると悠斗さんを勇者から外すような会話なのですがどうなんですか?」

「そ、そんなことはない。私たちは……」

「私は本音が聞きたいのですよ?」

 

 ひなたは若葉達に見せたことのないような冷たい表情と冷たい声で話す。

 それにはお偉いさん達ですら怯えかけていた。

 

「た、確かに、私たちはその案も頭には入っている。しかし、好んでやろうとは……」

「では悠斗さんへ怯える必要はないのでは? それに彼の戦い方や性格は私たちが知っています。安全性なら私たちが保証します」

 

 そう言ってひなたは席に着き、黙り込む。

 そこへ……

 

「リーダー!! 悠斗様と高嶋様が目を覚ましました!!」

「なに!? 本当か!?」

「はい!!」

「っ!」

「! お待ちなさい! 上里様!!」

 

 ひなたは席を立ち、走る。

 端末で若葉達に連絡しながら。

 

「若葉ちゃん!」

『どうした?』

「悠斗さんと友奈さんが目を覚ましました!!」

『ホントか!?』

 

 電話越しにも若葉の周りで喜ぶ球子の声が聞こえた。

 これで元通り。全てが前に戻った。いや、前よりも勇者達は強くなれた。

 

「悠斗さん!! 友奈さん!!」

「ん? おー、ひなた」

「ひなちゃん!!」

 

 ひなたは二人を見るなり飛びついた。

 

「いてて、おいひなた俺は病み上がりだぞ?」

「ひなちゃん落ち着こ〜!」

「あ、すみません。でも良かったです!」

 

 三人がしばらく話していると、医師からしばらくは悠斗は安静、友奈は後一日休んだら動けるという判断になった。

 

「では今日は帰りますけど明日は皆さんを連れて来ますね!」

「ああ」

「うん!」

 

 ひなたは帰る為に大社の車に乗り、城へ向かった。

 

 

 

 

 

 

「やはり危険性は拭えんか」

「ええ、ですからこうなった場合の時は……」

「わかっておるよ」

 

 大社の部屋で数人が話し合ってる。

 机に資料。手には飲み物。

 世の中は思い通りにはいかない事が多い。だが思い通り行くことも稀にある。

 

 

「常に最悪を考え、多少の犠牲で世界を救おうではないか」

 

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