『なんでもかんでも仕事料金+1000円で請け負います!』
店先の張り紙をひっぺがす。
もう俺は仕事はしないと決めた。
こんな稼業もうこりごりだ。
ある時は秘密組織の資料を盗み?
ある時はマフィアのボスを暗殺し?
「危険すぎるだろ、こんなの……」
お金に困って始めたことだけど、これが中々どうして、意外と上手くいく。
そのまま流されて、今は贅沢に
もう金輪際こんな仕事はしない。
俺、まっとうに生きていく。
「あの、なんでも屋さんってここですか……?」
そんな俺に、新たな依頼が舞い込んだチクショウ。
◇
とりあえず中に通したが、どうしたもんかなこれ。
金髪。金髪幼女だ。珍しい、外人の子……だよな?
「そいで、用件は?」
「えと、えと、これを」
「ん?なんだ、いっちょまえに依頼書なんて持ってきて」
肩掛けバッグから取り出された紙の内容を読む。
どれどれ……『おとうさんのたいせつなおてがみをとりかえしてほしい』、か。
犬か猫か、なるほど、これは子供一人にはできんな。
「ちなみに、父親の職業は?」
「しょくぎょう?」
「んー、あー……。仕事だ、お仕事」
「あぁ!えっとねー、『だいとーりょー』?とか言ってた!」
俺は膝をついた。
「チクショウまた国家絡みかよぉぉおおおお!」
「おとうさんがね、ここにきておねがいしなさいって」
「何で国家公認なんだよぉぉおおおおお!」
「だ、だいじょうぶ?」
「だいじょばない。だいじょばないから少し黙っててくれ」
落ち着け、落ち着け俺!
そうだ、怒鳴ってもしかたがない。
子供と金と酒と女と田中に罪はない!
「田中って誰だよぉぉおおおおお!」
いかん、俺も相当まいってるようだ。
こんなときは素数を数えて……
「1と3と7と田中しか知らねえよぉおおお!田中誰だよぉぉおおおおお!」
くそっ……。
さっきから頭にちらつく学生時代のクラスメイトの顔がうざい!
何で地味にぼやけてるんだよちゃんと覚えてやれよ可哀想だから。
「だ、だいじょうぶ?」
「進まない。話が進まないぞ。くそう、わかった。わかったから、んで、その『たいせつなおてがみ』はどこにあるんだ?」
「あれ」
「ん?」
「あれ」
大統領の娘さんが窓の外を指差す。
そこにあったのは……
「向かいのマンションじゃねえか」
「うん。あそこにあるって」
「国家権力でごり押ししろよ」
「ふとうなけんりょくのこーし?はダメなんだって!」
「………………」
思わず目頭を押さえる。
まあ、どっちにせよこれが最後の仕事だ。
「わかった、わかりましたよ。やらせていただきます」
「ほんと!?」
「嘘ついてどーする。と、その前に……」
「?」
「1000円札をいただきます」
◇
やってきました向かいのマンション。
「なんでお前も付いてくるんだ?」
「わたしもつれてってよ」
「なんでじゃ」
「わたしもおとうさんのおてがみ見たーい!」
な、ん、だ、と!?
要するに、マンションに侵入して『おてがみ』を盗んで、さらに護衛もしろ、と?
「それなんて無理ゲー?」
「むりげー?」
「めっちゃ難しいって事だよ」
とりあえず、入らなければ意味がない。
すたすたとマンションに近づき、その自動ドアの前に立つ。
「あかないね」
「高いマンションは暗証番号が必要だからな。……そこで、これだ」
「?レシート?」
俺が取り出したのはホームセンターのレシート。
ふっと魔法をかけるかのように息を吹き掛け、自動ドアの隙間に勢いよく放り込む。
向かい側でレシートが宙を舞う。
そして……
「!?あいた!?」
「簡単な話さ。向かい側からのセンサーじゃないと開けられないのなら、向かい側のセンサーを起動させればいい」
レシートやお
「さて、ここはまだ序の口。行くぞ」
「あっ、うん!」
そうして俺たちは、マンションの中へと入っていった。
なんか長くなりそうだから次へ持ち越し。
一話で終わらせるつもりだったのに……