マルチバース スパイダーマン from 国立魔法大学付属第一高校   作:葱山嵐

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風紀委員

お墓参りを終えた次の日、僕はちゃんと学校へ来ていた。

今日からクラブ活動による勧誘期間なわけなんだけど・・・

 

「達也・・・風紀委員になったんだね・・・」

「あぁ・・・」

 

現在僕と達也は、渡辺委員長の先導の下により風紀委員室に向かっている。

僕は以前から誘われたから風紀委員になり、風紀委員室に行くのは当然なんだけどどうして達也も風紀委員になった理由を簡単にまとめるとこうなる。

 

事の発端は生徒会室で起きた。

 

市原先輩は達也が重力制御型熱核融合炉の研究をしていると知り、それに関する話をする。

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それを見ていた渡辺委員長が達也を見て、鍛えているのかが気になり達也に質問する。

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更にそれを見ていた七草会長がどういった鍛え方をしているのかを聞いてくる。

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達也は質問に対して返答していくが、そこでふと中条先輩も質問をする。

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CADは何を使っているのか気になり、それが中条先輩の目というか、耳に止まる。

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そこからは皆質問のラッシュになり、渡辺先輩から対人戦闘はどうなのかを聞かれた。

                   ↓

 

今まで聞き役に徹していた深雪さんも皆の質問に少しのフォローを入れていく。

                   ↓

 

すると、渡辺先輩が何かを考えこんだらしい。

結果、現状の風紀委員の事を考えて達也を風紀委員に誘うのはどうかといったらしい。

 

風紀委員は現在一科生しかいないらしく、一科が二科を取り締まるという形になっていたらしいが、二科生が一科生を取り締まるという形がないのは、一科生と二科生の差別問題の一端になっていたらしい。

 

それを聞いて、七草会長が達也にテストをさせたらしい。

魔法に関する様々なテストや対人戦闘技能をテストをその日の内にさせて、達也はそれらを難なくクリア。

当初本人は断ろうとしていたらしいけど、深雪さんが達也が風紀委員になれるかもしれないという事を喜んでいたらしく、テストを受ける事になったらしい。

テストをして分かったことがあり、達也は魔法の発動は確かに遅いらしいけど、変数の部分、変数を一回で複数作る事が出来るらしい。

 

多変数化、つまり達也は魔法の発動速度はともかく、彼が使う特化型CADを使って戦う事にはさほど問題はないのではないのか、という疑問がわいたらしい。

 

それだけでは、達也を勧誘するのには決定打にかけたらしいが、服部副会長が達也を風紀委員に勧誘するのを反対。

 

更にそれに対して、深雪さんが達也のフォローを入れたらしいが、服部副会長は冷静に返したらしい。

でもその時に使った言葉が悪かったらしく、深雪さんに目を曇らせてはいけないといったらしい。

そこから、ヒートアップしそうになったらしいけど、達也がストップをかけて服部副会長に模擬戦を提案したらしい。

風紀委員にはなりたいわけでは無いらしいけど、深雪さんの為に模擬戦をするようになったようで、模擬戦が七草会長と渡辺委員長により認められて、二人は戦う事になった。

 

そこからは、もう達也の独壇場だったらしい。

生徒会のメンバーと渡辺委員長は達也がどのように魔法を使うのかは既に知っていたから、言い模擬戦をするのではと思ったらしいけど、どうやら彼は試合が始まったと同時に、自前の体力で背後を取り服部副会長を倒した。

この模擬戦で達也は対人戦闘、並びに、風紀委員でも問題はないだろうとなり、そこからはもうトントン拍子で風紀委員になってしまったらしい。

 

「お疲れ様・・・」

 

僕は達也にそう言葉をかけるけど、達也は小さくあぁ、と返した。

 

「さて、二人共、今日からは風紀委員なんだ、しっかり活躍してくれよ?」

 

渡辺委員長は風紀委員会室の扉の前に着くと、僕らにそう言い扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

あたしは日比田君、達也君と共に風紀委員室に入り、風紀委員会全員が揃っているかを確認するように目を配る。

それにしても、あの散らかっていた風紀委員室がたったの1時間程でここまで奇麗に片付くとはな。

昨日は達也君を風紀委員に入れた後、風紀委員室に入れたのだが早速片付けをする事になり、書類やCAD等が全て片付きスッキリした状態で仕事が出来るようになった。

さて、全員いるようだし、仕事を始めるか。

 

「全員揃っているな、そのままでいいから聞いてくれ。

今年もまたあのバカ騒ぎの1週間が来た、これは風紀委員会にとっての最初の山場だ」

 

そう、来てしまったあの新入生歓迎週間。

これは本当に厄介な一週間だ。

 

「今年は処罰者出さない様により一層、気を引き締めて仕事に当たってもらいたい。

去年は風紀委員にも関わらず騒ぎを大きくしたものがいたからな、くれぐれも風紀委員が率先して騒ぎを起こすような事はするなよ!」

 

全員がより一層気を引き締める様に、一つ呼吸をしたのが分かる。

頼むぞ、お前達、いや、あたしもだけど。

 

「幸いにも今年は卒業生分の補充が間に合った、二人とも立て」

 

そう言うと、達也君と日比田君は立ち上がり、背筋を伸ばす。

達也君は落ち着いた表情で前を向いていて、正直今現在で事が起きた時ちゃんと動けるのかが心配になるが彼なら冷静に事に当たれるだろう。

日比田君も、落ち着いてはいる。

いるのだが、おい、その右目の端に見える涙は何だ?

欠伸でも噛み殺していたのか?

これも冷静、落ち着いていると取るべきなのか、やる気がないと叱責するべきかあたしは少し悩むが先に紹介を続ける。

 

「1-Aの日比田葉茅と1-Eの司波達也だ。

例年通り、早速パトロールに加わってもらう」

 

あたしの紹介に少しざわつき始め、一人が役に立つんですか、と聞いてくる。

心配ない、不安ならおまえがどちらかに付くか、と聞くが、いえ、いいですと返してくる。

 

「司波の腕前はこの目で見ているし、日比田も魔法の発動速度も速い。

二人共、ちゃんと動ける。

他に何か言いたい奴はいるか?」

 

あたしがそう言うと、皆何も言わず。

 

「何もないな、では最終打ち合わせだが、巡回要領に関しては前回までの打ち合わせ通りだ、何か反対意見があるやつはいないか?」

 

皆、何か考えてはいたが、反対意見を口にする者はいなかった。

 

「よろしい。

では、司波と日比田にはあたしから説明する、他の者は早速動いてくれ、レコーダーを忘れたりするなよ。

出動!」

 

あたしの号令と共に、全員が一斉に立ち上がり握りこんだ右手で左胸を叩いた。

余談だが、あたしは初めてこれをやった時、強く叩きすぎて痛かった。

他の者が全員風紀委員室を出た後、あたしは日比田君と達也君に説明を始める。

 

 

 

 

 

 

 

風紀委員の先輩達が風紀委員室を出た後、俺と葉茅は渡辺委員長からの説明を受けている。

まず、風紀委員の腕章と胸ポケットに入る薄型のレコーダーでレンズの部分がちょうどポケットから出るようになっている。

 

「今後、巡回の時はこれを持ち歩く事。

違反行為を見つけた時は、すぐにスイッチを押して記録撮れ。

ポケットから出ている部分にスイッチがある、確認してくれ。

それと、撮影を意識する必要は無い。

風紀委員の証言は原則としてそのまま証拠として採用されるから、念の為に。

といったくらいに考えて貰っていい。」

 

そう言いながら、渡辺委員長は携帯端末を取り出して、委員会用の連絡コードを送信すると言い、俺達は携帯端末を取り出した。

 

「送信した、受信したか確認してくれ。

報告の際はこのコードに連絡するように、また、こちらからの指示がある際もこのコードが使われるから、必ず確認する事」

 

そう言い、もういいぞ、と携帯端末をしまう様に指示され、最後の説明をされる。

 

「これが重要だ。

CADについてだが、風紀委員はCADの学内傾向を許可されている。

使用についても、いちいち誰かの指示を仰ぐ必要は無いが、その分責任重大だ。

もし、不正使用が発覚したら委員会を除名の上に、一般生徒よりも厳重な罰が課せられるので甘く考えるなよ。

一昨年にそれで退学になった奴がいるからな」

 

渡辺委員長が説明を終えて、俺は質問をする。

 

「CADは委員会備品を使用してもよろしいでしょうか?」

「ん?

別に構わないが、あれは旧式だぞ」

「確かに旧式ですが、エキスパート使用の高級品ですよ」

「え、そんな物があんな乱雑に置かれてたの?」

「おい、葉茅君、あんなとはなんだ、あんなとは」

 

葉茅の言う通り、確かに乱雑に置かれていたが、簡単な部品交換と設定だけで使える様になればまだマシだろう、と思いはしたが口には出さないでおこう。

渡辺委員長は一つ咳ばらいをして、答える。

 

「と、とりあえず、そういう事なら構わない。

好きに使ってくれていいぞ、どうせ今まで埃をかぶっていた物だしな」

「分かりました、では」

 

そう言い、俺は件のCADを二機手に取る。

 

「この二機をお借りします」

「二機?

ふふ、君は本当に面白いな」

 

渡辺委員長が笑いながら答えた。

 

 

風紀委員会室を出た俺は、一緒に出た葉茅に質問を投げかけられた。

 

「達也ってCAD、二機同時に使えるの?」

「一応使えるぞ、と言っても問題が生じない限りCADを使う事もないだろう」

「問題ねぇ・・・というか、仕事じたいない方がいいんだろうけど」

「まぁ、委員長の言い方から考えると、今年起きるんだろう」

 

俺の返答に葉茅ははぁー、とため息を吐き頭を掻く。

その後、葉茅は仕事はちゃんとする人間なのか僕は向こうを見てくるよ、と言い別れた。

俺は俺でエリカと待ち合わせをしていたので、待ち合わせ場所に向かったのだが、当の本人はおらず、エリカの位置を携帯端末のLSPで調べて位置を特定しその方向へ向かった。

 




今回は少し短いです。

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