マルチバース スパイダーマン from 国立魔法大学付属第一高校   作:葱山嵐

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高校生

桜の花びらが舞い散り、春に入ってもまだ風は少し冷たく日差しだけが僕を温めてくれる。

僕は日比田葉茅、この世界でたった一人のスパイダーマンだ。

スパイダーマンが日本で名が知れてから約3年が経って、僕は15歳になり高校生になった。

入学先はこの世界で魔法を学べる学校。

国立魔法大学付属第一高校――通称第一高校。

魔法科高校は全国に九つあり、東京八王子にあるこの第一高校は、特に名門で、毎年優秀な魔法師を世間に送っている。

まず、魔法を扱えるというだけでも「才能」が必要であり、入学が許された時点でちょっとだけエリートらしい。

 

更に言うと、第一高校と幾つかの高校だけはとある制度がある。

それは第一科と第二科という、悪く言えば優等生と劣等生に分ける制度がある。

これは全国的に見ても、魔法師は不足しており、魔法を教える教員になろうという人も少なく、殆どの魔法科高校の卒業生は軍や警察等になるか、一般職、或いはCADのエンジニアだったり、製造に携わる仕事だったりするので、先生という職の人はかなり貴重だったりする。

 

故に、教員が少ない分は教員から教えを受けれる生徒は一科生のみにして、二科生は教員の教えを受けれないという状態になっている。

確かに、力のある物をより強くさせようとするのは分かる。

合理的だし、マンツーマンで教えてもらえればより明確に自分の課題が分かると僕も思う。

 

だけど、どうやらこの第一高校では第一科と第二科での「区別」は「差別」になっているらしい。

 

だからといって、スパイダーマンが差別を無くそう!と叫んでも、差別はプライドから発生するものだったりするから、プライドの高そうな人間しかいなさそうな魔法科高校では差別がなくなりそうにないな。

 

何故そう思うのかって?

 

 

初めて登校する第一高校への通学路を歩む生徒達が、既に一科と二科で別れているのだもの。

 

「意識高すぎじゃないかなぁ・・・」

 

僕はそう思いながら、胸元の一科のエンブレムを撫でながらため息をつく。

 

息苦しくなければいいんだけどなぁ・・・

 

 

 

side司波達也

 

国立魔法大学付属第一高校。

魔法という稀少な才能がある者のみ入学を許される、全国に九つある魔法科高校の内の一つに入学する事が出来たのはいいのだが、どうにも試験の結果に納得いかない妹の機嫌を取り、入学式総代挨拶の打ち合わせに向かわせる事が出来たのはいいが、入学式までまだ時間があったのでベンチで読書をしていたのだが、そんな俺に声をかける奴がいるとは思わなかった。

 

「ねぇ、君、隣座ってもいいかな?」

 

声の主を見ると、そいつは男で、身長は175くらいだろうか。

制服越しでは分かりにくいが、しっかりと鍛えられている様子で、軸もしっかりとした立ち姿で俺を見ていた。

だが、何か妙だ。

この男が放つ雰囲気を俺は知っている。

 

戦闘経験のある奴の雰囲気だ。

魔法科高校に通うのであれば多かれ少なかれ、戦闘経験のある者はいる。

だが、こいつのそれは違う。

何か、そう。

 

俺とは違う、戦闘経験の持ち主だ。

 

「え~と・・・もしかして、お邪魔だったかな?」

「いや、そんな事はないですよ、どうぞ。」

 

俺が中々返答をしなかったから、機嫌を損ねてしまったのだと思ったようだ。

俺はすぐに、少し隣にどいた。

男はよかったぁと、息をつき隣に座った。

 

「えっと、同じ新入生だよね?

初めまして、僕は日比田葉茅っていいます、どうぞよろしく」

「えぇ、同じ新入生です。

司波達也です、こちらこそよろしく」

 

男――日比田葉茅は挨拶と共に手を差し出してきて、握手を求めた。

別に断る理由もないし、入学初日から敵を作る気もないので俺は握手に応じた。

だが、よく見ると日比田は一科生だった。

 

「日比田さんは、一科生なんですか?」

「え、あぁ、そうだよ。

・・・あ~、もしかして、一科と二科の事?」

 

日比田はどうやら俺の聞きたい事を察してくれた様だ。

 

「僕は一科とか二科とかの、その・・・差別って言っちゃって良いかな?

僕はあまりこれは好きじゃないんだよね・・・

区別するという点ではこの制度は合理的だとは思うけれど、これを差別に変えちゃうのはちょっとねぇ・・・」

「なるほど、いい考えですね」

 

どうやら彼は学校の制度をちゃんと理解しているようだし、差別する人間というわけでもない様に思える。

 

「そうですか、日比田さんはこの学校では結構珍しい人かもしれませんね」

「そうかなぁ、あ、僕の事は葉茅でいいよ。

あだ名もハカとかハッカーとか、カヤとかあるし、好きに呼んでね。

あと、敬語もいらないよ、あ、でも、敬語が普段の話し方なら強制はしないよ」

 

日比田、いや、葉茅はかなりフランクな性格なのかもしれない。

 

「分かった、なら俺の事も達也でいい。

もちろん、敬語も無しでな、葉茅」

「了解、達也」

 

俺達は入学式が始まるまでそれなりに打ち解けあっていた。

 

 

 

side七草真由美

 

私は入学式が始まるまでに、道に迷っている生徒がいないか構内を見回っていると、私は我が目を疑うような光景を目にした。

同じベンチに座り一科と二科の生徒が楽しそうに話していた光景。

中々この学校ではお目にかかれないものなのに、入学式という華々しい日にそれを見る事が出来て、私はとても嬉しく思えた。

だけど、もうすぐ、入学式会場が開く時間だから、そろそろ移動してもらわないとね。

 

私はその二人に近づき声をかける。

 

「新入生ですね?

もうすぐ、会場の時間ですよ」

 

二人の少年は私の声に気が付き、同時に振り向いた。

何だか、兄弟みたいで可愛いわね。

 

「あ、そうでしたか、教えてくれてありがとうございます」

 

一科の方の子が立ち上がってお礼を言ってくれる。

二科の方の子もありがとうございますと言い、礼をしてくる。

一科の子もそれを見て慌てて、礼をする。

 

何だかこの二人は凹凸コンビみたいで見てて楽しいわね。

私はついクスクスと笑ってしまう。

 

「え~と、僕、顔に何かついてました?」

「え、いえ、そうじゃないの。

何だか貴方達ってとても仲が良さそうに見えて、とても嬉しいの」

 

私の言葉に二人は少し笑ってそうですかね?、そうですか?と同時に答えた。

二人は顔を見合わせて驚いていたけど、私はもう限界だった。

 

「フフフ、貴方達本当に仲がいいわね。

中学生の頃からの仲なの?」

「いえ、僕達はついさっき会ったばかりですよ」

「えぇ、さっき自己紹介したばかりです」

 

私は二人を見てとても気分がよくなってきたところで、自己紹介をしてないのを思い出した。

 

「そういえば、自己紹介がまだでしたね。

初めまして、第一高校生徒会長三年生の七草 真由美(さえぐさ まゆみ)です。

七草(ななくさ)と書いて七草(さえぐさ)と書きます。

よろしくね」

 

 

 

side日比田葉茅

 

達也と打ち解けあい話していると、生徒会長に話掛けられた。

だが、この生徒会長はどうやらナンバーズ、つまり。

 

「七草というと、十師族の?」

 

あ、これはいけない、失言だったかも。

 

「えっと、はい・・・

七草の長女です・・・」

 

あ、これは完全に失言だったね。

もう、これだから僕は口が軽いってたまに・・・いや、それなりに・・・結構言われるんだよね・・・

 

「あ~、え~と、すいません。

別に深い意味はなかったんです。

気に障ったなら謝ります。

すいません・・・」

 

僕は七草先輩、いや会長か。

七草会長は僕が頭を下げると、驚いた様子で僕を止める。

 

「え! いや、私の方こそごめんなさい。

別に気を悪くしたとかではないのよ?

でも、ほら、十師族って必ずしも良く思われてるというわけではないから、つい・・・」

 

僕と七草会長は気まずい雰囲気になってしまった。

・・・まずい、初対面から生徒会長に嫌な目で見られるのは流石にきついなぁ・・・

 

「会長、自分達はそろそろ会場に向かいます」

 

達也ナイス!

暗闇の中に一筋の光が刺した気分だよ!

 

「そ、そうね!

そろそろ行かないと遅刻するかもしれないから、会場に向かって下さい!」

「そ、そうだね達也!

それでは会長、僕達はこれで!」

 

僕は達也と共に会場へ向かおうと、背を向く。

 

「あ、僕、日比田葉茅です!

これからよろしくお願いします!」

「自分は司波達也です、よろしくお願いいたします。」

 

僕達は急ぎ足で自己紹介をして、会場へ向かった。

 

 

 

side七草真由美

 

「日比田葉茅君に、司波達也君・・・

もしかして・・・」

 

彼ら――日比田君と、司波君の姓を聞き私はある事を思い出した。

二科生ながら筆記で2位の司波君。

彼の小論文を見た時は、正直私には同じ様な事は書けないとすぐに分かった。

 

日比田君は小論文もそうだけど、実技、筆記共に1位だった。

強いて問題を上げるとすれば。

 

「字が汚かったのよね・・・」

 

正直、司波君の小論文を私が書き上げるよりも、彼の字を翻訳する事の方が難しかったわね・・・

 

でも、総合1位の一科生と筆記2位の二科生があんなにも仲良く、話していた見た時、私はきっとあの二人なら、この学校の今の制度も、雰囲気もガラッと変えてくれるかもしれない。

 

なんて、確証もないのに思えた。

 

「フフ、今年の一年生は面白いかも」

 

私は上機嫌になりながら、見回りに戻った。

 

 

 

side司波達也

 

七草会長と別れて俺達は会場へと向かい、俺も少し気分が良かったのか葉茅に冗談を口にしていた。

 

「途中から俺は空気になってしまったが、会長に見惚れたか?」

「ちょ!?

そんなわけないだろ、達也!?

ていうか、君って意外と冗談とか好むタイプ?」

 

葉茅冗談を言われるのには慣れていないようで、その表情が愉快でつい笑ってしまった。

 

「すまん、なんだか面白くてな。

つい、からかいたくなってしまってな。」

「達也ってサディストなのかい?」

「いや、人が悪いとは言われるな」

 

俺の返答に葉茅は口では勝てないねと肩を竦めた。

 

そうこうしている内に、俺達は入学式の会場に着いた。

 

会場内には既に人が何人もいて、席の上の方には二科生(ウィード)。

下の方には一科生(ブルーム)と奇麗に分かれていた。

いっそ清々しい。

 

「うわぁぉ・・・

もうこれは二色の国旗みたいだね・・・

いっそ、一国作れそう、第一高校国とか・・・」

「国民と国土が少なすぎるけどな・・・」

 

葉茅はだよねぇ・・とぼやきながら空いている席を探している。

 

「あ、あそこ良さそうだね。

程よく目立たなそうだし」

「ん? 一緒に座るのはいいが、入学早々変に目をつけられてもいいのか?

会長にも変な目で見られてそうなのに」

 

うげぇ・・・嫌だなそれは、とまたぼやき頭を掻きながら、また肩を竦める。

 

「また後で、会えばいい。

終わったら、入り口の端で落ち合おう。

その時にまた話の続きをしよう」

「うん、そうだね。

それじゃぁ、また後でね!」

 

葉茅はそう言って、一科の方の席へと向かった。

 




二話このまま書き続けていると、長くなりますので少し分割しています。

因みに気が付いた人もいると思いますが、スパイダーマンの能力はサムライミ版。
つまりビデオ版のトビー・マグワイア主演の時の能力です。

マイルズの能力も持っていますので、ちょっといいとこどりですね。
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