マルチバース スパイダーマン from 国立魔法大学付属第一高校   作:葱山嵐

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入学式

入学式そうそう変な目で見られるのを避けるため、達也の言葉の通り別れて、僕は一科生が並ぶ前の席に移動する。

一科生の方も既に沢山の人が並んでいて、ある人は静かに入学式が始まるのを待ち、また、ある人達は仲良くおしゃべりしている。

 

僕は座る場所を探そうとキョロキョロをと辺りを見回す。

残念ながら誰も座っていない席など既に存在せず、僕は適当なところに腰掛けようと席に近づき、僕が座ろうとした席の隣の人に声をかける。

 

「すいません、お隣座ってもいいかな?」

 

僕はお喋りしていた女の子に声をかける。

何だか、背の小っちゃい女の子だなぁ、とか失礼な事を思いながら隣に座っていいかの許可を貰おうとする。

 

「うん、問題ないよ」

「ありがとう」

 

僕は小っちゃい女の子から許可を貰い、お隣に座らせてもらうと女の子が僕に声をかけてきた。

 

「初めまして、私は北山雫です。

よろしくお願いします」

 

小っちゃい女の子――北山雫は僕に自己紹介をしてくれた。

しまった、僕からしようと思ってたのに。

彼女の自己紹介が終わったとほぼ同時に、北山さんと話していたお友達と思われる女の子も自己紹介をしてきた。

 

「初めまして、私は光井ほのかです!

よろしくお願いします!」

 

お友達の子は光井ほのかというらしく、随分元気が良さそうだ。

おっと、僕も自己紹介しないと。

 

「初めまして、僕は日比田葉茅です。

こちらこそよろしくお願いします」

「うん、よろしく」

「はい、よろしくお願いします!」

 

入学式が始まるまでに友達が4人・・・いや、会長を含めていいのかな?

まぁ、とにかく友達が作れたし、高校でヒトリボッチになる事は避けれたぞ!

 

日常生活もちゃんとして、普通の人間らしく生きる。

例え、スパイダーマンの力を持っていたとしても、それは変えられようはない。

自分もたった一人の人間なのだから。

 

おっと、いかんいかん、気を抜くと考える事がすぐにスパイダーマンの事になる。

頭を切り替える為にも、二人と少し話してみよう。

 

「北山さんと光井さんは中学の同級生とかなの?」

「いえ、私と雫は小学校からの幼馴染なんです」

「ずっと一緒」

 

二人は本当に仲がいいようで、光井さんが北山さんに抱き着いている。

ん・・・なんだか北山さんの表情が少し曇ったような気が。

この子はそこまで感情の起伏が激しい感じではないのは、すぐに分かったけど・・・

何だか嬉しさと悲しさが混じった様な感じだと思う。

 

彼女の様子を見ていると入学式が始まった。

校長先生の話から始まり、ありがたい睡眠呪文を聞かされ、次に生徒会長からのお話になった。

生徒会長――七草真由美からのありがたい睡魔呪文は、そこまで効果がなかった。

というか、簡単に一言二言言うだけで、後は、生徒会役員の紹介だけで終わった。

最後はどうやら新入生代表の挨拶らしい。

 

「続いて、新入生代表。

司波深雪」

 

生徒会副会長――服部刑部が進行して新入生代表の名前を呼ぶ。

ん、今司波って 呼んだ?

達也の類縁かな、後で聞いてみよう。

そんな事を考えていると、司波深雪さんは一礼して挨拶をし、入学式は滞りなく終了した。

 

 

 

side光井ほのか

 

入学式が終わり私と雫は会場から出る時、通路の狭さから必然的に日比田君も一緒に歩く事になる。

どうせならと、私は入学式の終わりに配布される学校での必需品となる、IDカードを受け取りにいかないかと誘う。

 

「あ~、僕としては良いんだけど・・・」

 

日比田さんは歯切れが悪い。

 

「先約がありましたか?」

「うん、あるにはあるんだけどさ・・・」

 

日比田さんは私達に顔を近づけ声を潜めて話す。

 

「二人ってさ、二科生の事どう思う?」

 

彼の質問は恐らく、私達が二科生を差別しているのかどうかという意味だと思う。

こんな質問をするという事は、彼の先約は二科生が絡んでいるんだと判断出来る。

私も雫も二科生を差別はしていない、つまり答えは。

 

「私も雫も差別するような目では見てはいませんよ。

そもそもこの制度は区別するという意味しか持ちませんもの」

 

私はそう答えると雫もコクリと頷き、日比田さんはよかった、と安心した様子だ。

 

「実は僕の先約ってのがさ、今日二科生の友人が出来てね。

その人と入学式が終わったら落ち合う予定なんだけど、どうせなら二人を紹介したいんだ。

二人はどうかな?」

 

予想通り彼は一科と二科を公平に見ていて、雫と私を誘ったのも純粋に私達を友人に紹介したいだけみたい。

 

「ほのか、一緒に行こ」

「うん、そうね。

それじゃあ、日比田さん。

ご一緒させてもらいますね」

「もちろん。

あ、それと僕の事は、葉茅でいいよ。

ハカ、カヤ、ハッカーとも呼ばれてるから、好きに呼んでね。

敬語も無しでいいよ」

 

日比田さん――葉茅君は人とは壁を作らない性格だと分かる。

そうでもなければこんなに親しげにはなれないと思う。

それに男性の友達がいた方がいい時もあるし、こちらとしても名字で呼ぶ理由も、名前で呼ばない理由もないので、彼と仲良くなろう。

 

「それじゃあ、私は葉茅君と呼ばせてもうね」

「私も、葉茅君って呼ぶ」

 

私達が了承の旨を伝えると、彼は嬉しそうに笑う。

 

「OK!

それじゃぁ、そろそろ待ち合わせ場所に行こうか。

といっても、入り口の端だからそんな時間かかんないけど」

 

彼がそう話した時には、既に私達は会場の入り口近くについた。

 

 

 

side司波達也

 

入学式が終えて、俺は入学式会場で知り合った同じ二科生の知り合いと共に、葉茅を待つことにした。

俺が彼女達――千葉エリカと柴田美月の二人に、一科の生徒と待ち合わせしていると言うと、二人は特に気にした素振りもないので、別れる事もなく三人一緒に葉茅を待っていると、少し遅いかなと思う頃に葉茅がやってきた。

 

あちらも女子二人を連れて。

 

「葉茅、こっちだ」

 

俺の声に気が付き、葉茅はすぐに一緒にいた女子二人を連れてこっちへやってきた。

 

「お待たせ達也!

君に紹介したい友人が・・・ってもしかして、そっちもかな?」

「あぁ、こっちも同じ感じだ」

 

どうやら、お互いいい友人を持てたのかもしれないな。

俺は早速千葉さんと柴田さんに葉茅の事を紹介する。

 

「千葉さん、柴田さん。

彼がさっき言った日比田葉茅だよ。

それと、そっちの二人は初めましてですね。

司波達也です、達也で構いません」

「初めまして、アタシは千葉エリカ。

エリカでいいよ」

「初めまして、柴田美月です。

私も美月でいいですよ」

 

俺と千葉さんと柴田さんが自己紹介をして、次いで葉茅達が自己紹介をする。

 

「日比田葉茅です。

葉茅でもハカでもカヤでもハッカーでも、好きに呼んでね!

敬語もいらないから」

「光井ほのかです。

私もほのかと呼んでください」

「北山雫です。

雫って呼んでほしい」

 

自己紹介を終えて、俺達は軽い雑談をしながらIDカードを受け取りに行く事にした。

 

「そういえば、達也。

新入生総代の、えと、司波深雪って人ってもしかして姉か妹?

司波って姓はあまり聞いた事なかったから、もしかしてと思ったんだけど」

 

葉茅の質問にエリカ達もそれぞれ確かに、とかそういえば、という反応をしている。

 

「あぁ、そうだよ。

司波深雪、俺の妹で3月生まれなんだ」

「あ、やっぱりそうだったんですね」

 

やっぱり?

という、何らかの確証があったのか、美月は俺を見てそう言った。

 

「やっぱりって、美月も気づいてたのか?」

「はい、お二人のオーラは似ている所がありましたので」

 

オーラ・・・やはり・・・

 

「へぇ・・・オーラの違いが分かるなんて、目がいいんだね・・・」

 

量子放射光過敏症。

非物理的な霊子(プシオン)が見えてしまう、一種の障害ともとられるもの。

トレーニングによっては、プシオンを見ないようにする事も可能だが、人によっては眼鏡をかける。

オーラ・カット・コーティング・レンズという特殊な加工がされた眼鏡をかければ、ある程度は緩和できるのだが・・・

 

眼鏡をかけた状態で、オーラの違いが見えるという事は他の過敏症の人間よりも感受性が強いと見える。

まずいな・・・

これ以上、俺の秘密を見られるのは非常にまずい・・・

 

「へ?

眼鏡って事は過敏症って事?

入学式人多かったけど、大丈夫だった?」

「え、あ、はい。

大丈夫です、お気遣いいただきありがとうございます」

 

葉茅は量子放射光過敏症についてそれなりに知っているようだ。

過敏症の人間は人のオーラを見る事が出来る故に、人が多い所では大量のオーラに当てられることもあるから、体調を崩す人もいる。

 

そんなことを考えていると、葉茅は美月を気遣っていた。

その後、俺だけに見えるように葉茅はウインクをしてきた。

 

俺の事情を知ってか知らずか、葉茅は俺のフォローに回ってくれたようだ。

俺は目礼をして、歩を進めた。

 

しばらく歩き、俺達はそれぞれIDカードを受け取り、皆自分のクラスを確認する。

 

「アタシE組!

皆は?」

「俺はEだな」

「あ、私もです」

「えと、僕はAだね」

「私もAです、雫は?」

「私もA」

 

まぁ、半分は一科でもう半分は二科だからな、クラスが分かれるのは当然だろう。

だが、それにしても・・・

 

「奇麗にAとEで別れたな」

「奇跡」

 

俺の言葉に雫が一言でまとめてくれた。

その時、聞きなれた声が俺を呼んだ。

 

「お兄様!」

 

 

 

side日比田葉茅

 

お兄様という声が聞こえたので、僕に妹や弟はいないけど、気になり声の主の方向を見てみると、新入生総代にして、達也の妹の司波深雪さんがこっちに小走りでやってきた。

 

「深雪、早かったね」

「お待たせして申し訳ありません、お兄様」

 

達也は妹を深雪と名前で、呼んでるようだけど。

なんで、妹の司波さんはお兄様呼びなんだろう?

まさか・・・

 

「達也って、サディストなのは知ってたけど、そういう趣味なのかなぁ・・・」

「おい、葉茅」

 

まずい、声に出てしまった・・・

しかも、妹さんにめっちゃ睨まれてる・・・

達也の眼には殺意すら入ってる気がする・・・

 

「あぁ、ごめん!

別に蔑む気はないんだよ、本当だよ!

ただ、兄の事をお兄様って呼ぶの初めて見たからつい!」

「・・・はぁ、俺にそういう趣味はないからな。

次言ったら流石に怒るぞ」(深雪が)

「了解、肝に銘じておきます!」

 

どうにか、達也に許してもらった。

 

「葉茅には後で、何か罰を与えるとして、深雪。

皆に自己紹介をしなさい」

「はい、お兄様」

 

え、罰ですか・・・

まぁ、それは当然の報いとして受けるしかないか。

そう思いながら、僕は司波さんの自己紹介を聞く。

 

「初めまして、司波深雪です。

兄共々、よろしくお願いします」

 

司波さんの自己紹介に続き、僕達も自己紹介をし、司波さんを深雪さんと呼ぶ事になった。

まだ、少し睨まれてる気がするなぁ、僕・・・

 

そんなこんなしていると、僕達に声をかけてくる人がいた。

 

「こんにちは、司波君、日比田君。

また会いましたね」

 

振り返れば、そこには七草会長がいた。

 

 




約800UA。

800回見られてるといった事でしょうか、驚きました。
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