マルチバース スパイダーマン from 国立魔法大学付属第一高校   作:葱山嵐

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意外な一面

僕達は声の主である、七草会長の方を向き。

一礼する。

会長の後ろには確か生徒会副会長――服部刑部副会長がいた。

仏頂面なのは、元からなのか、不機嫌なのかは分からない。

 

「こんにちは、会長。

先ほどぶりです」

 

僕は会長に挨拶をして、それに倣って皆も一礼する。

それにしても、生徒会長がわざわざ副会長まで連れてきて新入生の挨拶でもして回っているのだろうか?

いや、そこまで生徒会長は暇じゃないだろう、目的は多分。

 

「深雪、生徒会の用事はすんだのかい?」

 

深雪さんだろうね。

深雪さんがハッと何かを思い出した様に、口元を抑えるが、深雪さんが話すよりも先に、七草会長が話し始める。

 

「大丈夫ですよ、今日はご挨拶だけさせてもらいたかっただけですので」

 

あれ、本当に挨拶だけだったのか。

会長がそう言うと、その後ろで服部副会長が何か、会長に何か話し始めたが、会長は一言二言話して、副会長を後ろに下げた。

 

「それでは、司波さん、司波君、日比田君。

いずれまた」

 

そういって、会長は一礼して去っていったが、副会長は僕達を人睨みしてから、小さい悪役みたいにフンと鼻を鳴らしながら去っていった。

 

「「なんかやな感じ」」

 

とりあえず、エリカとも仲良くなれそうだ。

 

 

 

side司波深雪

 

今、私達は自分達の教室を確認しに一度分かれた。

入学早々、私は少し、不機嫌になりました。

確かに、私もお兄様の事を悪い人と思った事はあるけれど、いきなりサディストの変わった趣味の持ち主みたいな事を口に出すのはいかがなものかと思う。

お兄様が許した事から、私も気にはしないけれど、いい気分はしない。

だけど、お兄様は彼――日比田君の事を好意的に思っている様に見える。

私はそれが気になり、日比田君にお兄様との事を聞いてみた。

 

「日比田君はお兄様と随分、仲が良さそうに見えましたが、いつお知り合いになったのですか?」

 

私の質問に日比田君はまず、僕の事は葉茅でいいよ、ハカ、カヤ、ハッカーでも好きな様に呼んでね、と言い、続けた。

 

「それで、達也との事だっけ?

入学式まで時間を潰そうとして、ベンチで読書していた達也と会ってね、それで共通の話題があったんだよ。

それで、入学式の時間になったから話が途中で終わって、また、後で話そうってなったんだ」

「共通の話題ですか?

CADの事でしょうか?」

 

私が続けて聞くと、それもあるけど違うよと、笑いながら答えた。

 

「重力制御型熱学融合炉だよ。

案外近くに同じテーマを研究する人がいるなんて、世間は狭いなぁって思ったね」

 

重力制御型熱核融合炉。

加重系魔法の技術的三大難問の一つ。

これが実現されると、日本のエネルギー事情が改善されるとされる熱核エネルギー利用技術。

お兄様はこれを実現させる事を夢にしていて、実現されれば魔法師は兵器の役割から解放される。

お兄様はそう考えていて、私も微力ながらお兄様の夢の実現を応援している。

 

「それにしても、達也はすごいね。

お互い論議に熱が入って危うく、入学式に遅れるかと思ったもの」

「はい、お兄様は本気でその夢の実現に取り組んでいますので、日夜研究の日々なんです」

「だね、彼の成果を少しだけど聞かせてもらったけど、一緒に研究したいって思うよ」

 

どうやら彼もお兄様の素晴らしい点に気が付き、何より、二科生だからと差別したりしない人と分かる。

 

「お、教室ついたね」

「へぇ~、こんな感じなんですね」

「一人一人にPCデスクが配備されてる」

 

教室を見てみると、雫の言う通り、パソコンが一人一台持つようになっているようで、今となってはそれは常識なのかもしれない。

 

「座席指定はまだされてないみたいだね。

そろそろ、達也達と合流しよう」

 

葉茅君の言葉に私達は頷き、教室を後にした。

 

 

 

side北山雫

 

私達は今、葉茅君を除いた6人でエリカが提案した案に乗っかって、帰路についている。

 

「学校の帰り道に美味しいケーキ屋があるからみんなで行こう!」

 

その案に乗ったのはいいけれど、達也さんはエリカに会場の位置は確認してなかったのに、ケーキ屋の位置は確認してるんだね、と意地の悪い事を言っていて、エリカは愉快そうにしながらも、苦笑いしていた。

 

「それにしても、葉茅君残念でしたね。

用事があるって言って、別れちゃったし」

「まぁ、ケーキ屋に関してはまた今度誘えばいいだろう。

入学初日だし、何か済ませておきたい事もあるだろう」

 

ほのかと達也さんの言う通り、葉茅君は時間がないから、達也達によろしく言っておいて、と言い急ぎ足で先に帰ってしまった。

 

「あ、あそこの喫茶店だよ」

 

エリカが指さして教えてくれたのは、いかにも喫茶店って感じのお店。

 

いや、ケーキ屋じゃないの?

 

 

私達は他愛ない雑談をして、自分達の得意な事や、家での生活の事とかを話してケーキとコーヒーを楽しんだ。

喫茶店のマスターも親しみやすい人で、また来たくなる雰囲気を醸し出している。

そうこうしている内に、いい時間になり、私達は会計を済ませて喫茶店を後にする事にした。

 

 

 

side日比田葉茅

 

さて、達也達に挨拶する事も出来ず、僕は速足で校門を出て、近くの街路カメラと一般の人が目を光らせてない所に行き、僕は透明になる。

あぁ・・・本当は皆と一緒に帰りたかったけど、こういう浮かれた日ほど人は何をしでかすかはわからないからなぁ・・・

僕はそそくさとバックからスパイダーマンスーツを取り出し着替える。

インフィニティの時のアイアンマンみたいに、ナノスーツだったらいちいち着替えずに済むんだけどなぁ・・・

心の中でぼやきながら、スーツを着替え終える。

 

 

さて、スパイダーマンの時間だ!

 

 

おっと、バックは見えない所に隠さないと。

 

 

僕は町をスイングしながら街をパトロールしている。

途中で、スパイダーマンの時に仲良くなった個人経営のピザ屋によって、ピザだけ購入。

途中でコーヒーも買って高いビルの上まで、ピザとコーヒーを台無しにしない様にしながら登っていく。

屋上までついた、僕は屋上の淵に腰掛けて、ピザとコーヒーをいただく。

 

「いただきます!」

 

ピザを一切れ掴んでかぶりつき、数回噛んでコーヒーと共に流し込む。

これが美味しいんだよね!

僕の大好きなトロピカルメインのチーズとアンチョビを乗っけたLサイズならぬ、スパイダーサイズ。

僕こと、スパイダーマンが好きなこのピザはスパイダーマンの状態で何回も買いに行っちゃったせいで、あのお店――ピザ屋 The Leeはスパイダーマン訪れるお店として、大人気になっちゃったんだよね・・・

お店に迷惑かけちゃったかなと、謝ったけど寧ろ店長は。

 

「とんでもない、いつでもウェルカムだ!

君のピザはいつでも優先しちゃうよ!」

 

とまで言ってくれた。

そこまで言われては僕もありがとうしか言えなくて、結構な頻度で行く事にした。

でも、ピザを作る順番はお客さんがきた順にねと言っておいた。

流石に、先に来ていたお客さん押しのけてピザっていうエサに飛びつく程、僕は蜘蛛の様に飢えてはいないからね。

 

僕はピザの最後の一切れを食べ終えて、コーヒーを飲み干しながら、自分達の街を上から眺める。

何もなければ平和な町なんだけどなぁ・・・

流石にそれは時代が許さないか・・・

魔法を何より重視する今の社会は、正直あまり好きにはなれないけれど、その中にあるこの町の営みと日常を僕は好きだ。

絶対に守らなきゃね。

 

さて、パトロール再開しますか。

僕はピザとコーヒーのゴミを持ちながら、街をスイングして、ゴミ箱にゴミを入れる。

余談だけど、こうやってスイングしていると必ずと言っていいほど。

 

「あ、スパイダーマンだ!」

「スパイダーマン!

こっち向いてー!」

「応援してるぞー!」

 

こういう歓声が聞こえてくる。

正直言うと、それは嬉しい。

そして、こういう歓声が聞こえるって事は、街は多少平和だという事だ。

この平和を長く続ける様に頑張らないと!

 

 

それと、ピースのファンサービスを忘れずにね!

 

 

しばらく、スイングしていると、住宅街に入り早速女性の悲鳴が聞こえた。

 

「ひったくりよ!

誰か捕まえて!」

 

僕は声の方向にスイングしていくと、おばぁさんが手提げのポーチをひったくられて、倒れていた。

あの、ひったくりも勇気あるなぁ、街路カメラが目を光らせてるのにっ!

 

「おばぁさん、大丈夫!?

そこにいてね!」

 

僕はおばぁさんを立たせて、怪我が無いかを確認して、ひったくり犯を追いかける。

どうやら、ひったくり犯も僕に気が付いて、ライオンに追いかけられたウサギの様に走り始めた。

 

「逃がさないぞ!」

 

僕は住宅の屋根にウェブを出して引っ張り、スリングショットの様にひったくり犯のとこへ飛ぶ、ていうか、足早いな。

そのまま僕はひったくり犯の元へダイブして、ウェブを住宅の外壁に取り付けてまた、スリングショットの玉の様に飛んで行き。

 

「はい、ここまで!」

 

ひったくり犯を捕まえる。

 

「足早すぎない?

陸上選手目指した方がよかったんじゃない?」

 

いつもの小粋なジョークをかまして、ひったくり犯を簀巻きにする。

すると、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「スパイダーマン!?」

 

声の主を見た僕は、今きっと、マスクの下は冷や汗ダラダラだろう。

だって、声の主が、雫たちだったんだもの。

 

「ス、スパイダーマン!?

本物ですか!?」

 

雫が僕に物凄い速さで詰め寄ってきた!

ていうか、君そんなに大きな声出せたの!?

と、とりあえず応答しないと。

 

「あ~、うん、そうだよ。

親愛なる隣人スパイダーマン。

ヨロシクね」

 

僕は簀巻きのひったくり犯を電柱に張り付けながら、答える。

雫の半開きな目が、見開かれた状態で僕に声をかけ続ける。

 

「あの!

私貴方のファンでしゅ!

貴方の今までの活躍、全部見ました!!!

サ、サインください!!!!」

 

僕、今日が雫との初対面のはずだけど、僅か数時間で雫のイメージが180度変わったよ。

と、とりあえず、ちゃんとスパイダーマンとして対応しないと。

 

「と、とりあえず、お嬢さん落ち着いて。

まずは警察を呼んでこの犯人を逮捕してもらわないといけないから、まず誰か警察に連絡してもらえないかな?」

「あ、はい・・・

それが先でしたね・・・

ごめんなさい・・・」

 

雫は多分僕の邪魔をしたと思ったのかもしれない・・・

あ~、もう、そんな顔しないでよ。

僕は彼女から色紙とペンを取り、彼女にサインを書く。

ついでに、ミニスパイディもね。

 

「えっと、お嬢さん名前は?」

「あ、はい!

北山雫です!」

 

僕はちゃんとキレイな字で彼女の名前と、サインを書き、雫に渡す。

 

「それじゃ、僕はそろそろ行かなきゃ!

今後ともスパイダーマンを、よろしく!」

 

僕はそそくさとウェブを出して、おばぁさんのところに行き、荷物を返して雫達から見えない場所へ逃げる。

まさか、スパイダーマンしてて、知り合いと出会い、サインをねだられるとは思わなかったよ・・・

それに彼女のイメージもガラッと変わったし、色々疲れたな・・・

 

僕はそんな事を思いながら街をスイングしていった。




先日、アルバイトを辞めましたので今日の投稿は早くなりました。

別に無職というわけではありません。
就職するためです。
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